JPH0792112A - X線評価装置 - Google Patents
X線評価装置Info
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- JPH0792112A JPH0792112A JP5237704A JP23770493A JPH0792112A JP H0792112 A JPH0792112 A JP H0792112A JP 5237704 A JP5237704 A JP 5237704A JP 23770493 A JP23770493 A JP 23770493A JP H0792112 A JPH0792112 A JP H0792112A
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- ray
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 物質の表面構造を広範な計測法で評価でき、
かつ、光軸に対する角度依存性をも評価し得るようにす
ること。 【構成】 X線源4と、このX線源4からのX線を分光
するX線分光器7と、試料8を保持するマニピュレータ
9と、前記X線分光器7からのX線を前記試料8に対し
て入射させる入射角が相対的に可変自在で偏光面可変自
在な軟X線用偏光子10と、前記試料8から出射される
X線を検出する二次元検出器13とを真空チャンバ2内
に内蔵し、X線を真空中で取扱うようにした。
かつ、光軸に対する角度依存性をも評価し得るようにす
ること。 【構成】 X線源4と、このX線源4からのX線を分光
するX線分光器7と、試料8を保持するマニピュレータ
9と、前記X線分光器7からのX線を前記試料8に対し
て入射させる入射角が相対的に可変自在で偏光面可変自
在な軟X線用偏光子10と、前記試料8から出射される
X線を検出する二次元検出器13とを真空チャンバ2内
に内蔵し、X線を真空中で取扱うようにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば超高真空中で成
膜された試料の最上表面の原子・電子構造などの、物質
の表面構造の測定解析に適したX線を利用したX線評価
装置に関する。
膜された試料の最上表面の原子・電子構造などの、物質
の表面構造の測定解析に適したX線を利用したX線評価
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年にあっては、各種機能を持たせたデ
バイス材料の研究・開発が盛んであり、材料表面の組成
ないしは構造分析等が重要となっている。
バイス材料の研究・開発が盛んであり、材料表面の組成
ないしは構造分析等が重要となっている。
【0003】このような物質の表面原子・電子構造を評
価する手法として、電子線、X線、中性子線、イオン線
等をプローブ(励起源)として用いたものが多数ある。
例えば、電子線によるものとしては、検出量を透過電子
として原子配列、欠陥構造、界面構造等を解析する透過
顕微鏡(TEM)とか、検出量を反射電子として表面原
子構造等を解析する反射顕微鏡(REM)等がある。ま
た、X線によるものとしては、検出量を電子(エネルギ
ースペクトル)としてバンド構造、状態密度分布、化学
結合状態等を解析する光電子分光法(XPS=X-ray
PhotoelectronSpectroscopy) とか、検出量をX線
(回折、定在波、吸収微細構造)及び蛍光X線(エネル
ギースペクトル)として結晶構造、局所的原子構造(原
子間距離)を解析するX線解析法又は拡張X線吸収微細
構造法(EXAFS=Extended X-ray Absorption
Fine Structure) 等がある。
価する手法として、電子線、X線、中性子線、イオン線
等をプローブ(励起源)として用いたものが多数ある。
例えば、電子線によるものとしては、検出量を透過電子
として原子配列、欠陥構造、界面構造等を解析する透過
顕微鏡(TEM)とか、検出量を反射電子として表面原
子構造等を解析する反射顕微鏡(REM)等がある。ま
た、X線によるものとしては、検出量を電子(エネルギ
ースペクトル)としてバンド構造、状態密度分布、化学
結合状態等を解析する光電子分光法(XPS=X-ray
PhotoelectronSpectroscopy) とか、検出量をX線
(回折、定在波、吸収微細構造)及び蛍光X線(エネル
ギースペクトル)として結晶構造、局所的原子構造(原
子間距離)を解析するX線解析法又は拡張X線吸収微細
構造法(EXAFS=Extended X-ray Absorption
Fine Structure) 等がある。
【0004】これらのプローブの内、X線以外の電子
線、中性子線、イオン線等は、概して空気中で吸収・散
乱されやすい欠点を有する。このため、これらのX線以
外のものでは、真空中に試料を設置して評価するものが
多い。この点、X線は空気中でも吸収・散乱が殆どない
ものであり、有望といえる。もっとも、X線の内でも、
軟X線と称される10Å以上500Å以下のX線は、空
気中では吸収・散乱されやすいために、XPS法に採用
されているように真空チャンバを使うことが多い。
線、中性子線、イオン線等は、概して空気中で吸収・散
乱されやすい欠点を有する。このため、これらのX線以
外のものでは、真空中に試料を設置して評価するものが
多い。この点、X線は空気中でも吸収・散乱が殆どない
ものであり、有望といえる。もっとも、X線の内でも、
軟X線と称される10Å以上500Å以下のX線は、空
気中では吸収・散乱されやすいために、XPS法に採用
されているように真空チャンバを使うことが多い。
【0005】ところで、これらの何れのプローブ光によ
る場合も、試料面にすれすれに光を入射させて表面最上
層の情報を得ようとする手法が各種研究・開発されてい
る。例えば、全反射蛍光X線分析法等がある。この内、
上記のように有望視されているX線を用いた表面分析法
としては、表面蛍光EXAFS法とか全反射X線計測法
等がある。これらは、何れもX線を試料面に対してすれ
すれの低入射角で入射させて、試料表面の原子・電子構
造や、表面・界面粗さ、密度、膜厚等を評価しようとす
るものである。この場合、従来にあっては、主として数
Å以下の波長の硬X線を用いるものとされている。
る場合も、試料面にすれすれに光を入射させて表面最上
層の情報を得ようとする手法が各種研究・開発されてい
る。例えば、全反射蛍光X線分析法等がある。この内、
上記のように有望視されているX線を用いた表面分析法
としては、表面蛍光EXAFS法とか全反射X線計測法
等がある。これらは、何れもX線を試料面に対してすれ
すれの低入射角で入射させて、試料表面の原子・電子構
造や、表面・界面粗さ、密度、膜厚等を評価しようとす
るものである。この場合、従来にあっては、主として数
Å以下の波長の硬X線を用いるものとされている。
【0006】また、上記の評価に使用される従来のX線
検出器は、PC(プロポーショナルカウンタ)、SC
(シンチレーションカウンタ)、SSD(半導体検出
器)、イオンチャンバ等の大きなものであり、かつ、一
次元であり二次元の空間分解能を持たないため、面分析
も不可能なものである。
検出器は、PC(プロポーショナルカウンタ)、SC
(シンチレーションカウンタ)、SSD(半導体検出
器)、イオンチャンバ等の大きなものであり、かつ、一
次元であり二次元の空間分解能を持たないため、面分析
も不可能なものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の状況
を考慮した場合、試料の最表面の原子・電子構造といっ
た表面構造、特に、成膜中の表面構造を測定し解析する
上では、成膜中の粒子による吸収・散乱の殆どないX
線、特に、軟X線をプローブとして用いる評価方式が好
ましいといえる。さらに、軟X線(ここでは、例えば波
長が10〜500Å程度のものとする)の偏光を用いる
と、磁気円二色性(磁性体が左右円偏光に対して異なる
吸収係数を示す現象をいう)の測定や有機物の配向の評
価等、応用範囲が格段に拡張されるものとなる。
を考慮した場合、試料の最表面の原子・電子構造といっ
た表面構造、特に、成膜中の表面構造を測定し解析する
上では、成膜中の粒子による吸収・散乱の殆どないX
線、特に、軟X線をプローブとして用いる評価方式が好
ましいといえる。さらに、軟X線(ここでは、例えば波
長が10〜500Å程度のものとする)の偏光を用いる
と、磁気円二色性(磁性体が左右円偏光に対して異なる
吸収係数を示す現象をいう)の測定や有機物の配向の評
価等、応用範囲が格段に拡張されるものとなる。
【0008】しかし、より良好なる評価を行うには、成
膜中の粒子によるX線、特に軟X線の吸収・散乱が極力
少ないことが望まれる。また、物質の表面構造をより広
範な計測法で評価できる汎用性を持ち得ることが要望さ
れるが、従来方式にあってはこのような点まで言及され
ていないものである。
膜中の粒子によるX線、特に軟X線の吸収・散乱が極力
少ないことが望まれる。また、物質の表面構造をより広
範な計測法で評価できる汎用性を持ち得ることが要望さ
れるが、従来方式にあってはこのような点まで言及され
ていないものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、X線源と、
このX線源からのX線を分光するX線分光器と、試料を
保持するマニピュレータと、前記X線分光器からのX線
を前記試料に対して入射させる入射角が相対的に可変自
在で偏光面可変自在な軟X線用偏光子と、前記試料から
出射されるX線を検出する二次元検出器と、これらのX
線源とX線分光器と試料とマニピュレータと軟X線用偏
光子と二次元検出器とを内蔵した真空チャンバとにより
構成した。
このX線源からのX線を分光するX線分光器と、試料を
保持するマニピュレータと、前記X線分光器からのX線
を前記試料に対して入射させる入射角が相対的に可変自
在で偏光面可変自在な軟X線用偏光子と、前記試料から
出射されるX線を検出する二次元検出器と、これらのX
線源とX線分光器と試料とマニピュレータと軟X線用偏
光子と二次元検出器とを内蔵した真空チャンバとにより
構成した。
【0010】
【作用】X線源とX線分光器と試料とマニピュレータと
軟X線用偏光子と二次元検出器とを真空チャンバ内に備
えることで、X線を真空中で取扱うため、X線、特に軟
X線であっても、吸収・散乱の少ないものとなる。ま
た、X線を用いるため、試料に対する成膜中であっても
その粒子による散乱・吸収等の影響の少ないものとな
る。また、試料を動かさず軟X線用偏光子側を動かすこ
とにより試料に対する入射光路、即ち、入射角の可変調
整を行い得るので、調整が簡便にして精度のよいものと
なる。もっとも、可変調整は相対的なものであり、軟X
線用偏光子を固定して試料面側を回転させることにより
X線の入射角を変化させてもよい。さらに、二次元検出
器によるため、二次元の空間分解能を持つ評価が可能と
なり、検知エネルギー範囲が広く、例えば軟X線、硬X
線、電子線等も計測し得るものとなる。よって、これら
の相乗効果により、物質の表面構造を広範な計測法で評
価し得るものとなる。
軟X線用偏光子と二次元検出器とを真空チャンバ内に備
えることで、X線を真空中で取扱うため、X線、特に軟
X線であっても、吸収・散乱の少ないものとなる。ま
た、X線を用いるため、試料に対する成膜中であっても
その粒子による散乱・吸収等の影響の少ないものとな
る。また、試料を動かさず軟X線用偏光子側を動かすこ
とにより試料に対する入射光路、即ち、入射角の可変調
整を行い得るので、調整が簡便にして精度のよいものと
なる。もっとも、可変調整は相対的なものであり、軟X
線用偏光子を固定して試料面側を回転させることにより
X線の入射角を変化させてもよい。さらに、二次元検出
器によるため、二次元の空間分解能を持つ評価が可能と
なり、検知エネルギー範囲が広く、例えば軟X線、硬X
線、電子線等も計測し得るものとなる。よって、これら
の相乗効果により、物質の表面構造を広範な計測法で評
価し得るものとなる。
【0011】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。まず、真空排気装置1に連通されて内部が高真空状
態とされる真空チャンバ2が設けられている。この真空
チャンバ2は厚さ0.1mmのベリリウム窓3a,3bに
より仕切られたX線源4領域と、分光領域とを連設した
もので、分光領域中にはスリット(目的によっては、ピ
ンホールでもよい)5とともに分光用チャンバ6が内蔵
され、分光用チャンバ6内にはX線分光器となるチャネ
ルカットモノクロメータ7が内蔵されている。本来の真
空チャンバ2内では、測定対象となる試料8が回転可能
なマニピュレータ9により下向きに保持されているとと
もに、前記チャネルカットモノクロメータ7で分光され
てベリリウム窓3bを通して出射するX線を前記試料8
表面に向けて低入射角で入射させる軟X線用偏光子10
が設けられている。この軟X線用偏光子10は例えば名
古屋大学プラズマ研究所資料技術報告No.127,p
17〜20中の「軟X線用偏光子」(東北大学科学計測
研究所 波岡武他)等により報告されているものであ
る。このような軟X線用偏光子10は回転軸11を中心
に回動自在とされ、試料8に対する入射角を可変し得る
ように設定されている。また、この軟X線用偏光子10
は偏光されていなかったX線を偏光させる機能も持つ。
さらに、軟X線用偏光子10・試料8間の光路上には試
料8に対する入射X線強度を計測するための小型のイオ
ンチャンバ12が介在されている。さらに、前記試料8
からの出射側光路上には二次元検出器13が配設されて
いる。加えて、本実施例では成膜中の分析を可能とする
ため、前記試料8の下方に位置させて成膜装置であるK
セル14が設けられている。15はそのシャッタであ
る。
る。まず、真空排気装置1に連通されて内部が高真空状
態とされる真空チャンバ2が設けられている。この真空
チャンバ2は厚さ0.1mmのベリリウム窓3a,3bに
より仕切られたX線源4領域と、分光領域とを連設した
もので、分光領域中にはスリット(目的によっては、ピ
ンホールでもよい)5とともに分光用チャンバ6が内蔵
され、分光用チャンバ6内にはX線分光器となるチャネ
ルカットモノクロメータ7が内蔵されている。本来の真
空チャンバ2内では、測定対象となる試料8が回転可能
なマニピュレータ9により下向きに保持されているとと
もに、前記チャネルカットモノクロメータ7で分光され
てベリリウム窓3bを通して出射するX線を前記試料8
表面に向けて低入射角で入射させる軟X線用偏光子10
が設けられている。この軟X線用偏光子10は例えば名
古屋大学プラズマ研究所資料技術報告No.127,p
17〜20中の「軟X線用偏光子」(東北大学科学計測
研究所 波岡武他)等により報告されているものであ
る。このような軟X線用偏光子10は回転軸11を中心
に回動自在とされ、試料8に対する入射角を可変し得る
ように設定されている。また、この軟X線用偏光子10
は偏光されていなかったX線を偏光させる機能も持つ。
さらに、軟X線用偏光子10・試料8間の光路上には試
料8に対する入射X線強度を計測するための小型のイオ
ンチャンバ12が介在されている。さらに、前記試料8
からの出射側光路上には二次元検出器13が配設されて
いる。加えて、本実施例では成膜中の分析を可能とする
ため、前記試料8の下方に位置させて成膜装置であるK
セル14が設けられている。15はそのシャッタであ
る。
【0012】ここで、各部について説明する。まず、X
線源4は主として実験室用に多用されるロータターゲッ
トを用いるのがよいが、プラズマX線源やレーザX線源
と称されるものでもよく、さらには、封入管タイプのも
のでもよい。もっとも、簡便性、使いやすさを考える
と、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Ag
(銀)、Al(アルミニウム)等をターゲットとし、電
子線を照射することにより発生する白色X線を用いるロ
ータターゲットがよい。本実施例では、例えばMoをタ
ーゲットとするロータターゲットとされている。
線源4は主として実験室用に多用されるロータターゲッ
トを用いるのがよいが、プラズマX線源やレーザX線源
と称されるものでもよく、さらには、封入管タイプのも
のでもよい。もっとも、簡便性、使いやすさを考える
と、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Ag
(銀)、Al(アルミニウム)等をターゲットとし、電
子線を照射することにより発生する白色X線を用いるロ
ータターゲットがよい。本実施例では、例えばMoをタ
ーゲットとするロータターゲットとされている。
【0013】真空チャンバ2内の真空度は10~6Torr
以上、好ましくは10~9Torr 以上の高真空、より好ま
しくは10~10Torr以上の超高真空がよい。一方、分光
チャンバ6内の真空度は10~4Torr 以上とされてい
る。
以上、好ましくは10~9Torr 以上の高真空、より好ま
しくは10~10Torr以上の超高真空がよい。一方、分光
チャンバ6内の真空度は10~4Torr 以上とされてい
る。
【0014】X線分光器となるチャネルカットモノクロ
メータ7はチャネルカットした結晶、ここでは、リン酸
二水素アンモニウム(ADP(101))結晶を(+,
+)配置させて連動するようにしたものであり、スリッ
ト5により制限されたX線を4個の分光用結晶で4回反
射させることにより分光するものである。分光用結晶と
しては、ADP(NH4H2PO4) に限らず、YB66,
EDDT(C6H14N2O6), PET(C(CH2O
H)4),α‐水晶(SiO2),InSb,Si,Ge
等であってもよい。また、軟X線を分光するためには、
格子間隔(2d)が7〜11Å位に長いほうがよい。
メータ7はチャネルカットした結晶、ここでは、リン酸
二水素アンモニウム(ADP(101))結晶を(+,
+)配置させて連動するようにしたものであり、スリッ
ト5により制限されたX線を4個の分光用結晶で4回反
射させることにより分光するものである。分光用結晶と
しては、ADP(NH4H2PO4) に限らず、YB66,
EDDT(C6H14N2O6), PET(C(CH2O
H)4),α‐水晶(SiO2),InSb,Si,Ge
等であってもよい。また、軟X線を分光するためには、
格子間隔(2d)が7〜11Å位に長いほうがよい。
【0015】軟X線用偏光子10は軟X線を偏光させる
ものであり、表面凹凸が5Å以下であることが望まし
い。この軟X線用偏光子10には軟X線に対して高い反
射率を持ち得る多層膜が用いられている。この多層膜は
前述した技術報告中にも記載されているものである。即
ち、ここでいう多層膜は、境界面で互いに拡散せず、か
つ、吸収係数が大きく異なる2種類の物質を交互に蒸着
し、基板上に1層の厚さが10〜数十Åの緻密な連続膜
を積層させたものである。具体的には、2枚鏡型、3枚
鏡型、4枚鏡型等があるが、本実施例では1枚鏡型のも
のとした。多層膜自体は、WとSiとを32Åずつの膜
厚で40層積層させたものとした。このような軟X線用
偏光子10は回転軸11を中心に0.001deg 単位で
回動し得るものとされ、入射角の微調整が可能とされて
いる。また、X線通路を中心に偏光も回転し得るものと
されている。
ものであり、表面凹凸が5Å以下であることが望まし
い。この軟X線用偏光子10には軟X線に対して高い反
射率を持ち得る多層膜が用いられている。この多層膜は
前述した技術報告中にも記載されているものである。即
ち、ここでいう多層膜は、境界面で互いに拡散せず、か
つ、吸収係数が大きく異なる2種類の物質を交互に蒸着
し、基板上に1層の厚さが10〜数十Åの緻密な連続膜
を積層させたものである。具体的には、2枚鏡型、3枚
鏡型、4枚鏡型等があるが、本実施例では1枚鏡型のも
のとした。多層膜自体は、WとSiとを32Åずつの膜
厚で40層積層させたものとした。このような軟X線用
偏光子10は回転軸11を中心に0.001deg 単位で
回動し得るものとされ、入射角の微調整が可能とされて
いる。また、X線通路を中心に偏光も回転し得るものと
されている。
【0016】二次元検出器13はPSD(半導体位置検
出素子)とマイクロチャネルプレート(MCP)とのア
センブリよりなるもので、例えば、浜松ホトニクス株式
会社製のPIAS−TI等のように、直径70nm、長さ
50nm程度の小型のものである。具体的には、検出器1
3としてN2258を用いたので、2〜500Åなる範
囲の軟X線を検出できる。
出素子)とマイクロチャネルプレート(MCP)とのア
センブリよりなるもので、例えば、浜松ホトニクス株式
会社製のPIAS−TI等のように、直径70nm、長さ
50nm程度の小型のものである。具体的には、検出器1
3としてN2258を用いたので、2〜500Åなる範
囲の軟X線を検出できる。
【0017】このような構成において、例えば、試料8
をKセル14を用いて成膜した後、X線源4からのX線
をこの試料8表面にすれすれなる低入射角(10度以
下)で入射させ、反射XANES、反射EXAFSを測
定する場合を考える。
をKセル14を用いて成膜した後、X線源4からのX線
をこの試料8表面にすれすれなる低入射角(10度以
下)で入射させ、反射XANES、反射EXAFSを測
定する場合を考える。
【0018】まず、X線源4から出射された白色X線は
スリット5で制限された後、チャネルカットモノクロメ
ータ7の4個の結晶で4回反射されることにより分光さ
れる。分光されたX線は多層膜構造の軟X線用偏光子1
0で直線偏光とされ、かつ、光路が曲げられ、試料8表
面に低入射角で入射する。この際、軟X線用偏光子10
は回動し得るものであり、試料8への入射角は調整可能
である。
スリット5で制限された後、チャネルカットモノクロメ
ータ7の4個の結晶で4回反射されることにより分光さ
れる。分光されたX線は多層膜構造の軟X線用偏光子1
0で直線偏光とされ、かつ、光路が曲げられ、試料8表
面に低入射角で入射する。この際、軟X線用偏光子10
は回動し得るものであり、試料8への入射角は調整可能
である。
【0019】この軟X線用偏光子10により試料8表面
へ入射するX線の強度はイオンチャンバ12により計測
される。試料8表面へ入射したX線は、その一部が吸収
されるが、散乱・反射される大半は、二次元検出器13
に入る。この際、図中には示さないが、成膜後は試料8
直下へ別の二次元検出器を配設することで、試料8から
出射される二次電子を検出し、EXAFSのデータもと
れるようにされている。
へ入射するX線の強度はイオンチャンバ12により計測
される。試料8表面へ入射したX線は、その一部が吸収
されるが、散乱・反射される大半は、二次元検出器13
に入る。この際、図中には示さないが、成膜後は試料8
直下へ別の二次元検出器を配設することで、試料8から
出射される二次電子を検出し、EXAFSのデータもと
れるようにされている。
【0020】具体的に、Siウエハ上に設けた
【0021】
【化1】
【0022】なる化学式で示される含フッ素アクリレー
ト薄膜(厚さ800Å)をスピンコート法で作製して試
料8上に配置させ、分光用結晶で波長120Åに分光
し、WとSiとの多層膜構造の軟X線用偏光子10によ
って直線偏光として、試料8に低入射角(1°以下)で
入射させ、この入射角を変化させて試料8の反射率を測
定した。次いで、光軸を中心として軟X線用偏光子10
を90°回転させて同様に試料8の反射率を測定した。
このように軟X線用偏光子10を90°回転させる前後
で、反射率カーブは異なるものとなったものである。求
めた臨界角は0.2°異なっていた。これは、試料8の
側鎖の配向によるものであることが分かる。
ト薄膜(厚さ800Å)をスピンコート法で作製して試
料8上に配置させ、分光用結晶で波長120Åに分光
し、WとSiとの多層膜構造の軟X線用偏光子10によ
って直線偏光として、試料8に低入射角(1°以下)で
入射させ、この入射角を変化させて試料8の反射率を測
定した。次いで、光軸を中心として軟X線用偏光子10
を90°回転させて同様に試料8の反射率を測定した。
このように軟X線用偏光子10を90°回転させる前後
で、反射率カーブは異なるものとなったものである。求
めた臨界角は0.2°異なっていた。これは、試料8の
側鎖の配向によるものであることが分かる。
【0023】このような測定例を含め、本発明のX線評
価装置によれば、例えば、下記に列挙するような各種測
定が可能となる。特に、偏光した軟X線を用いることが
できるので、以下の測定において、有機物や軽元素材料
の光軸に対する異方性の評価や、磁気円二色性等の偏光
に対する異なる吸収係数評価が、新たに可能となる。
価装置によれば、例えば、下記に列挙するような各種測
定が可能となる。特に、偏光した軟X線を用いることが
できるので、以下の測定において、有機物や軽元素材料
の光軸に対する異方性の評価や、磁気円二色性等の偏光
に対する異なる吸収係数評価が、新たに可能となる。
【0024】 微小角反射X線測定 X線を試料8表面にすれすれの低入射角で入射させ、そ
の表面での反射X線強度の入射角依存性を二次元検出器
13で計測する。二次元計測も行う。この結果、試料8
の表面・界面の粗さとか、膜の密度、膜厚等を評価でき
る。また、粗さの異方性も評価できる。
の表面での反射X線強度の入射角依存性を二次元検出器
13で計測する。二次元計測も行う。この結果、試料8
の表面・界面の粗さとか、膜の密度、膜厚等を評価でき
る。また、粗さの異方性も評価できる。
【0025】 反射XAFS X線を試料8表面にすれすれの低入射角で入射させ、そ
の表面での反射X線強度のエネルギー依存性(吸収端近
傍)及び入射角依存性を計測する。この結果、局所的原
子構造(即ち、原子間距離、配位数、温度因子等)や、
電子構造を評価し得る。また、深さ方向の組成・構造変
化も評価し得る。
の表面での反射X線強度のエネルギー依存性(吸収端近
傍)及び入射角依存性を計測する。この結果、局所的原
子構造(即ち、原子間距離、配位数、温度因子等)や、
電子構造を評価し得る。また、深さ方向の組成・構造変
化も評価し得る。
【0026】 蛍光XAFS X線を試料8により全反射されるようにこの試料8に入
射させると、試料8表面から蛍光X線や二次電子線や反
射電子線が出射される。これらの強度の入射X線エネル
ギー依存性(吸収端近傍)や入射角依存性を計測する。
この結果、上記の場合と同様に、局所的原子構造(即
ち、原子間距離、配位数、温度因子等)や、電子構造を
評価し得る。また、深さ方向の組成・構造変化も評価し
得る。なお、試料8表面の定在波を利用するようにして
もよい。さらに、二次元検出器を2個設ければ、この
の計測と上記の計測とを同時に行うこともできる。
射させると、試料8表面から蛍光X線や二次電子線や反
射電子線が出射される。これらの強度の入射X線エネル
ギー依存性(吸収端近傍)や入射角依存性を計測する。
この結果、上記の場合と同様に、局所的原子構造(即
ち、原子間距離、配位数、温度因子等)や、電子構造を
評価し得る。また、深さ方向の組成・構造変化も評価し
得る。なお、試料8表面の定在波を利用するようにして
もよい。さらに、二次元検出器を2個設ければ、この
の計測と上記の計測とを同時に行うこともできる。
【0027】 X線小角散乱 X線を反射するようにして試料8表面に入射させ、二次
元検出器13によりX線の散乱程度を計測する。この結
果、膜の構造・組織の評価が可能となる。
元検出器13によりX線の散乱程度を計測する。この結
果、膜の構造・組織の評価が可能となる。
【0028】 軟X線分光計測 本発明においては、真空中でX線を取扱うので、上記
〜に例示した計測以外に、従来では難しかった軟X線
を用いることも可能となる。即ち、上記〜の場合と
同様にして、軟X線で計測を行うと、従来では不可能で
あった高分子材料とかSi,Alといった低い原子番号
の材料についても、上述したような評価が可能となる。
さらには、従来では得られなかったフェルミレベルに近
い電子構造をも評価し得る。
〜に例示した計測以外に、従来では難しかった軟X線
を用いることも可能となる。即ち、上記〜の場合と
同様にして、軟X線で計測を行うと、従来では不可能で
あった高分子材料とかSi,Alといった低い原子番号
の材料についても、上述したような評価が可能となる。
さらには、従来では得られなかったフェルミレベルに近
い電子構造をも評価し得る。
【0029】 X線回折 従来より知られているX線回折ももちろん可能である。
【0030】 XPS,AES,RHEED,REE
D等の計測法への適用も可能である。例えば、電子銃や
エネルギー分析器を新たに設ければよい。
D等の計測法への適用も可能である。例えば、電子銃や
エネルギー分析器を新たに設ければよい。
【0031】 試料8がマニピュレータ9により下向
きに保持されているので、Kセル14等により成膜しな
がら、上記〜の計測ができ、そのデータをフィード
バックさせることで成膜制御を行うことも可能となる。
きに保持されているので、Kセル14等により成膜しな
がら、上記〜の計測ができ、そのデータをフィード
バックさせることで成膜制御を行うことも可能となる。
【0032】なお、本発明は、このような計測・解析に
限定されるものではなく、物質の表面構造等を広範な計
測法で、かつ、1原子層であっても、評価可能なもので
ある。
限定されるものではなく、物質の表面構造等を広範な計
測法で、かつ、1原子層であっても、評価可能なもので
ある。
【0033】また、X線源によっては軟X線強度が非常
に弱い場合もある。この点、本実施例の二次元検出器1
3は感度が高いので、長時間かければ評価可能となる。
もちろん、SOR(放射光)のある場所に本発明による
評価装置を持込んで軟X線を用いる場合には短時間で測
定可能となる。
に弱い場合もある。この点、本実施例の二次元検出器1
3は感度が高いので、長時間かければ評価可能となる。
もちろん、SOR(放射光)のある場所に本発明による
評価装置を持込んで軟X線を用いる場合には短時間で測
定可能となる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、X線源とX線分光器と
試料とマニピュレータと軟X線用偏光子と二次元検出器
とを真空チャンバ内に備えて、X線を真空中で取扱うよ
うにしたので、X線、特に軟X線であっても、吸収・散
乱の極力少ないものとすることができ、かつ、X線を用
いるため、試料に対する成膜中であってもその粒子によ
る散乱・吸収等の影響の少ないものとすることができ、
かつ、二次元検出器によるため、二次元の空間分解能を
持つ評価が可能となり、検知エネルギー範囲が広く、例
えば軟X線、硬X線、電子線等も計測し得るものとな
り、よって、これらの相乗効果により、物質の表面構造
を広範な計測法で評価することができる。
試料とマニピュレータと軟X線用偏光子と二次元検出器
とを真空チャンバ内に備えて、X線を真空中で取扱うよ
うにしたので、X線、特に軟X線であっても、吸収・散
乱の極力少ないものとすることができ、かつ、X線を用
いるため、試料に対する成膜中であってもその粒子によ
る散乱・吸収等の影響の少ないものとすることができ、
かつ、二次元検出器によるため、二次元の空間分解能を
持つ評価が可能となり、検知エネルギー範囲が広く、例
えば軟X線、硬X線、電子線等も計測し得るものとな
り、よって、これらの相乗効果により、物質の表面構造
を広範な計測法で評価することができる。
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
2 真空チャンバ 4 X線源 7 X線分光器 8 試料 9 マニピュレータ 10 軟X線用偏光子 13 二次元検出器
Claims (1)
- 【請求項1】 X線源と、このX線源からのX線を分光
するX線分光器と、試料を保持するマニピュレータと、
前記X線分光器からのX線を前記試料に対し入射させる
入射角が相対的に可変自在で偏光面可変自在な軟X線用
偏光子と、前記試料から出射されるX線を検出する二次
元検出器と、これらのX線源とX線分光器と試料とマニ
ピュレータと軟X線用偏光子と二次元検出器とを内蔵し
た真空チャンバとよりなることを特徴とするX線評価装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5237704A JPH0792112A (ja) | 1993-09-24 | 1993-09-24 | X線評価装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5237704A JPH0792112A (ja) | 1993-09-24 | 1993-09-24 | X線評価装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0792112A true JPH0792112A (ja) | 1995-04-07 |
Family
ID=17019277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5237704A Pending JPH0792112A (ja) | 1993-09-24 | 1993-09-24 | X線評価装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0792112A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09189622A (ja) * | 1995-10-24 | 1997-07-22 | Siemens Ag | X線拡散を使用した原位置温度測定装置 |
JP2002236200A (ja) * | 2001-02-09 | 2002-08-23 | Sumitomo Electric Ind Ltd | X線光学素子およびその製造方法 |
JP2004245840A (ja) * | 2003-02-12 | 2004-09-02 | Jordan Valley Applied Radiation Ltd | 小角散乱測定を含むx線反射率測定 |
JPWO2004061428A1 (ja) * | 2002-12-27 | 2006-05-18 | 日本政策投資銀行 | 空孔または粒子サイズ分布測定装置 |
US7680243B2 (en) | 2007-09-06 | 2010-03-16 | Jordan Valley Semiconductors Ltd. | X-ray measurement of properties of nano-particles |
-
1993
- 1993-09-24 JP JP5237704A patent/JPH0792112A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09189622A (ja) * | 1995-10-24 | 1997-07-22 | Siemens Ag | X線拡散を使用した原位置温度測定装置 |
JP2002236200A (ja) * | 2001-02-09 | 2002-08-23 | Sumitomo Electric Ind Ltd | X線光学素子およびその製造方法 |
JPWO2004061428A1 (ja) * | 2002-12-27 | 2006-05-18 | 日本政策投資銀行 | 空孔または粒子サイズ分布測定装置 |
JP4557253B2 (ja) * | 2002-12-27 | 2010-10-06 | 株式会社リガク | 空孔または粒子サイズ分布測定装置 |
JP2004245840A (ja) * | 2003-02-12 | 2004-09-02 | Jordan Valley Applied Radiation Ltd | 小角散乱測定を含むx線反射率測定 |
JP4512382B2 (ja) * | 2003-02-12 | 2010-07-28 | ジョーダン・バレー・セミコンダクターズ・リミテッド | 小角散乱測定を含むx線反射率測定 |
US7680243B2 (en) | 2007-09-06 | 2010-03-16 | Jordan Valley Semiconductors Ltd. | X-ray measurement of properties of nano-particles |
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