JP3927960B2 - 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置 - Google Patents

空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3927960B2
JP3927960B2 JP2004061358A JP2004061358A JP3927960B2 JP 3927960 B2 JP3927960 B2 JP 3927960B2 JP 2004061358 A JP2004061358 A JP 2004061358A JP 2004061358 A JP2004061358 A JP 2004061358A JP 3927960 B2 JP3927960 B2 JP 3927960B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
density
ray
matrix
scale factor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004061358A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005249613A (ja
Inventor
義泰 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rigaku Corp filed Critical Rigaku Corp
Priority to JP2004061358A priority Critical patent/JP3927960B2/ja
Priority to TW094106181A priority patent/TWI353445B/zh
Priority to EP05004692.9A priority patent/EP1571440B1/en
Priority to KR1020050018206A priority patent/KR100963605B1/ko
Priority to US11/072,924 priority patent/US7272206B2/en
Publication of JP2005249613A publication Critical patent/JP2005249613A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3927960B2 publication Critical patent/JP3927960B2/ja
Priority to US11/844,206 priority patent/US7474734B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N23/00Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00
    • G01N23/20Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00 by using diffraction of the radiation by the materials, e.g. for investigating crystal structure; by using scattering of the radiation by the materials, e.g. for investigating non-crystalline materials; by using reflection of the radiation by the materials
    • G01N23/201Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00 by using diffraction of the radiation by the materials, e.g. for investigating crystal structure; by using scattering of the radiation by the materials, e.g. for investigating non-crystalline materials; by using reflection of the radiation by the materials by measuring small-angle scattering
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • G01N15/088Investigating volume, surface area, size or distribution of pores; Porosimetry
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • G01N2015/086Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials of films, membranes or pellicules

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Length-Measuring Devices Using Wave Or Particle Radiation (AREA)

Description

本発明は、X線小角散乱法を用いて薄膜試料の空孔率と粒子率を測定する方法及び装置に関する。
本発明は,薄膜のマトリックスの内部に空孔または粒子が分散している試料について,その空孔率または粒子率を測定することに関係している。ここで,マトリックスとは空孔または粒子が存在している母材のことである。図1は本発明の対象となる試料の断面を模式的に示している。図1(A)の試料では,基板18上に薄膜10が形成されていて,その薄膜10のマトリックス12の内部に空孔14が分散している。薄膜の特定の範囲を考えてみると,その範囲での薄膜の体積に対する,その範囲内に存在するすべての空孔14の合計体積の割合を,その範囲における空孔率と定義することができる。図1(B)の試料では,薄膜10のマトリックス12の内部に,マトリックスとは異質の粒子16が分散している。空孔の場合と同様に,薄膜の特定の範囲を考えて,その範囲での薄膜の体積に対する,その範囲内に存在するすべての粒子16の合計体積の割合を,その範囲における粒子率と定義することができる。
近年のナノテクノロジーの発達により,ナノメートルサイズの粒子や空孔を薄膜中に形成する技術が注目を浴びている。ナノメートルサイズの粒子は,主に,量子サイズ効果による物性の向上や変化に注目が集まっている。また,ナノメートルサイズの空孔は,半導体デバイスの微細構造配線に関連して,多孔質の層間絶縁膜材料を得るための手段として期待されている。ナノメートルサイズの粒子や空孔になると,その周期性の小ささのために,通常のX線回折現象が観測されない。したがって,ナノメートルオーダーの電子密度揺らぎの観測には,X線小角散乱法やEXAFS法といった手法が重要になる。特に,X線小角散乱法は,物質中の数nm〜数百nmオーダーの電子密度揺らぎを評価する手法として古くから利用されており,例えば,粒子または空孔のサイズ評価や,長周期構造の評価に利用されている。
本発明はX線小角散乱法を用いて試料の空孔率または粒子率を測定することに関係しているが,このことは次の特許文献1に開示されている。
特開2001−349849号公報
この特許文献1は,空孔や粒子が分散した薄膜をX線小角散乱法を使って解析するものであり,測定した散乱強度プロファイルに対して理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングすることで,パラメータの最適な値を決定している。その実施例では,理論散乱強度プロファイルの散乱関数として,空孔や粒子の形状を球型や円筒型と仮定したモデルを使っていて,そのサイズと分散(サイズの分布状態を表すもの)をパラメータにすることで,空孔や粒子のサイズと分散を決定している。そして,本発明に関連する記載として,空孔率(または粒子率)とその相関距離をパラメータとして散乱関数を作ることで,パラメータフィッティングにより空孔率(または粒子率)と相関距離を決定することができる,との記述がある。
また,空孔または粒子を含む薄膜について,その散乱X線強度を求めるための数式は,次の特許文献2に開示されている。
特開平2003−202305公報
さらに,本発明の実施例では,X線小角散乱の理論プロファイルを作成する前段階として,X線反射率法を用いて薄膜の平均密度と膜厚を測定しているが,X線反射率法を用いて薄膜の平均密度と膜厚を測定することは公知であり,例えば,次の特許文献3に開示されている。
特開平10−38821号公報
上述の特許文献1によれば,X線小角散乱法で空孔率や粒子率を測定することが可能であるが,この従来技術には次の問題点がある。特許文献1で開示している方法は,空孔または粒子の最近接距離がある程度一定の距離を保っている場合(短距離秩序の状態)に解析できるモデルを使っている。空孔または粒子の最近接距離がある程度一定の距離を保っていると,その距離に対応した回折線が小角散乱パターン上に観測される。この回折線の出現角度(上述の最近接距離に対応している)と,回折線の広がり(半価幅で評価でき,これは空孔率または粒子率に対応している)に基づいて,空孔または粒子の最近接距離と空孔率または粒子率を評価することができる。この方法は,最近接距離がある程度一定の距離を保っている場合にだけ有効なものであり,空孔や粒子が無秩序に分散しているような系には適用できない。
本発明は,上述の問題点を解決するためになされたものであり,空孔や粒子が無秩序に分散していて,回折線が観測されない場合でも,X線小角散乱測定を用いて空孔率や粒子率を求めることができる測定方法及び装置を提供することにある。
本件出願は,大きく分けて三つの手法を開示している。第1の手法は,空孔率または粒子率が既知の試料を用いてX線小角散乱装置の装置定数を決定し,この装置定数を使って未知の空孔率や粒子率を算出するものである。
第2の手法は,マトリックス密度が未知であるが互いに同じで,空孔率または粒子率が異なる複数の試料を準備して,各試料について,X線小角散乱のスケール因子を求めて,それらのスケール因子を用いて,「試料間のマトリックス密度が最小になる」という条件に基づいて,各試料のマトリックス密度を決定するものである。そして,決定したマトリックス密度とスケール因子に基づいて空孔率または粒子率を算出するものである。この第2の手法で粒子率を測定する場合は,粒子密度が既知であることが条件となる。
第3の手法は,マトリックス密度が既知の薄膜について,粒子密度が未知であるが互いに同じで,粒子率が異なる複数の試料を準備して,各試料について,X線小角散乱のスケール因子を求めて,それらのスケール因子を用いて,「試料間の粒子密度が最小になる」という条件に基づいて,各試料の粒子密度を決定するものである。そして,決定した粒子密度とスケール因子に基づいて粒子率を算出するものである。
いずれの手法も,X線小角散乱の絶対強度を表すためのスケール因子を重要な要素としており,このスケール因子に基づいて空孔率または粒子率を算出している。この点で三つの手法は共通している。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
本件出願の特許請求の範囲は,独立形式の12個の請求項を含んでおり,それらの概略について,まず,簡単に説明する。
請求項1〜6が第1の手法に関係している。請求項1の発明は第1の手法を空孔率の測定に適用した方法発明であり,請求項2の発明は,それに対応する装置発明である。請求項3の発明は第1の手法を,粒子密度が既知の場合の粒子率の測定に適用した方法発明であり,請求項4の発明はそれに対応する装置発明である。請求項5の発明は,第1の手法を,マトリックス密度が既知の場合の粒子率の測定に適用した方法発明であり,請求項6の発明はそれに対応する装置発明である。
請求項7〜13が第2の手法に関係している。請求項7の発明は第2の手法を空孔率の測定に適用した方法発明であり,請求項10の発明は,それに対応する装置発明である。請求項11の発明は第2の手法を粒子率の測定に適用した方法発明であり,請求項13の発明はそれに対応する装置発明である。
請求項14及び15が第3の手法に関係している。請求項14の発明は第3の手法についての方法発明であり,請求項15の発明はそれに対応する装置発明である。
請求項1の発明は,薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)空孔率が既知の第1試料と,空孔率が未知の第2試料とを準備する段階。(イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の空孔率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。(オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じ前記X線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の空孔率を算出する段階。
請求項2の発明は,薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する装置において,次の構成を備えている。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。(ウ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(エ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に空孔を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(オ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(カ)空孔率が既知の第1試料について,その空孔率を取得する空孔率取得手段。(キ)前記空孔率取得手段で取得した前記第1試料の空孔率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。(ク)空孔率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の空孔率を算出する空孔率算出手段。
請求項3の発明は,薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)粒子率が既知の第1試料と,粒子率が未知の第2試料とを準備する段階。(イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第1試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の粒子率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。(オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じX線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第2試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する段階。
請求項4の発明は,薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備えている。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。(ウ)前記粒子密度を取得する粒子密度取得手段。(エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(キ)粒子率が既知の第1試料について,その粒子率を取得する粒子率取得手段。(ク)前記粒子率取得手段で取得した前記第1試料の粒子率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。(ケ)粒子率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する粒子率算出手段。
請求項5の発明は,マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)粒子率が既知の第1試料と,粒子率が未知の第2試料とを準備する段階。(イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第1試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の粒子率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。(オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じX線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第2試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する段階。
請求項6の発明は,マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備えている。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。(ウ)前記マトリックス密度を取得するマトリックス密度取得手段。(エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(キ)粒子率が既知の第1試料について,その粒子率を取得する粒子率取得手段。(ク)前記粒子率取得手段で取得した前記第1試料の粒子率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。(ケ)粒子率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する粒子率算出手段。
請求項7の発明は,薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)マトリックス密度と前記空孔率がそれぞれ未知の試料であって,前記マトリックス密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記空孔率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。(イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出する段階。(オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,当該試料の前記平均密度と前記マトリックス密度に基づいて空孔率を算出する段階。
請求項8の発明は,請求項7に記載の測定方法において,前記マトリックス密度を算出する段階において,前記複数の試料のうちのひとつの試料を基準試料として選択し,その基準試料以外の試料のマトリックス密度を,当該試料の平均密度及びスケール因子と基準試料の平均密度,スケール因子及びマトリックス密度とを含む数式で表現して,試料間でのマトリックス密度の差が最小になるように前記基準試料のマトリックス密度を決定し,それに基づいて各試料のマトリックス密度を算出することを特徴としている。
請求項9の発明は,請求項7または8に記載の測定方法において,少なくとも三つの試料を用いることを特徴としている。
請求項10の発明は,薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する装置において,次の構成を備えている。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
(ウ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(エ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に空孔を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(オ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(カ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出するマトリックス密度算出手段。(キ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記マトリックス密度算出手段で算出されたマトリックス密度とに基づいて空孔率を算出する空孔率算出手段。
請求項11の発明は,薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)マトリックス密度と前記粒子率がそれぞれ未知の試料であって,前記マトリックス密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記粒子率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。(イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出する段階。(オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記粒子密度と前記平均密度と前記マトリックス密度とに基づいて粒子率を算出する段階。
請求項12の発明は,請求項11に記載の測定方法において,前記マトリックス密度を算出する段階において,前記複数の試料のうちのひとつの試料を基準試料として選択し,その基準試料以外の試料のマトリックス密度を,当該試料の粒子密度,平均密度及びスケール因子と基準試料の粒子密度,平均密度,スケール因子及びマトリックス密度とを含む数式で表現して,試料間でのマトリックス密度の差が最小になるように前記基準試料のマトリックス密度を決定し,それに基づいて各試料のマトリックス密度を算出することを特徴としている。
請求項13の発明は,薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備えている。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。(ウ)前記粒子密度を取得する粒子密度取得手段。(エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記粒子密度取得手段で取得した粒子密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(キ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出するマトリックス密度算出手段。(ク)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記粒子密度取得手段で取得した粒子密度と前記マトリックス密度算出手段で算出されたマトリックス密度とに基づいて粒子率を算出する粒子率算出手段。
請求項14の発明は,マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備えている。(ア)粒子密度と前記粒子率がそれぞれ未知の試料であって,前記粒子密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記粒子率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。(イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。(ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。(エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間の粒子密度の差が最小になるように,各試料の粒子密度を算出する段階。(オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記マトリックス密度と前記平均密度と前記粒子密度とに基づいて粒子率を算出する段階。
請求項15の発明は,マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備える,粒子率の測定装置。(ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。(イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。(ウ)前記マトリックス密度を取得するマトリックス密度取得手段。(エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。(オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。(カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。(キ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間の粒子密度の差が最小になるように,各試料の粒子密度を算出する粒子密度算出手段。(ク)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度と前記粒子密度算出手段で算出された粒子密度とに基づいて粒子率を算出する粒子率算出手段。
本発明は、空孔や粒子が無秩序に分散していて,それらの回折線が観測されない場合でも,X線小角散乱測定を用いて空孔率や粒子率を求めることができる。そして,第1の手法を使うと,空孔率または粒子率が既知の試料を用いて装置定数を算出することができて,いったん装置定数が求まれば,その装置定数を用いて,未知の空孔率または粒子率を決定することができる。また,第2または第3の手法を使うと,空孔率または粒子率が既知の試料が無くても,空孔率または粒子率が互いに異なる複数の試料を用いて,装置定数を求めることができる。そして,いったん装置定数が求まれば,その装置定数を用いて,未知の空孔率または粒子率を決定することができる。
以下,図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。本発明の実施例の説明をする前に,まず,薄膜のマトリックス密度が既知である場合の空孔率の算出方法を説明する。空孔を含まない薄膜と,空孔を含む薄膜とを準備できて,両者のマトリックスが同じ材質である(すなわち,同じマトリックス密度である)場合は,空孔を含む薄膜の空孔率を次のようにして算出できる。まず,空孔を含まない薄膜について,X線反射率法により薄膜の密度を測定する。得られたものがマトリックス密度ρMである。次に,空孔を含む薄膜について,X線反射率法により薄膜の密度を測定する。これが,空孔を含む薄膜の平均密度ρFである。空孔の密度をρporeで表し,空孔率をpで表すと,図2の(1)式が成立する。空孔の密度ρporeはゼロであるから,空孔率pは図2の(2)式のようになる。このようにして,X線反射率法でマトリックス密度ρMが分かれば,かなり精度良く,空孔率を算出することができる。
空孔の代わりに粒子が分散している場合には,上述の(1)式において,空孔の密度ρporeを粒子の密度ρparに替えればよい。これを図20の(34)式に示す。この場合,粒子密度ρparが既知であれば,粒子を含む薄膜の密度ρF(X線反射率法で測定できる)と,粒子を含まない薄膜の密度ρM(そのような薄膜を準備できれば,これもX線反射率法で測定できる)とを用いて,粒子率pを算出することができる。
以上述べたような,マトリックス密度が既知である場合の空孔率または粒子率の算出法は,本発明には含まれないが,本発明を理解する上での基礎的な知識となるので,ここで説明をした。
次に,本発明の第1の手法を説明する。第1の手法の要点は,空孔率(または粒子率)が既知の薄膜を準備できる場合には,その薄膜を利用してX線小角散乱の装置定数を決定でき,それに基づいて,空孔率(または粒子率)が未知の薄膜の空孔率(または粒子率)を測定することができる,ということにある。空孔を含む薄膜を考えると,マトリックスと空孔の電子密度差に起因する散乱X線が生じ,その散乱X線強度Iは,図2の(3)式で記述できる。この式において,k0は装置定数,pは空孔率,reは古典電子半径,fFは薄膜の平均の原子散乱因子,MFは薄膜の平均の原子量,ρFは薄膜の平均密度,Fは散乱関数である。散乱関数Fは,散乱ベクトルqと,パラメータparaの関数である。散乱ベクトルqは,薄膜に対するX線の入射角,薄膜からのX線の出射角,及び,使用するX線の波長に依存する。パラメータparaは,どのような散乱関数モデルを採用するかによって異なる。散乱関数Fの形については後述する。装置定数k0は,入射X線の輝度や装置の幾何学的配置やスリットの大きさ等に依存した係数であり,装置固有の値を持つ。
図2の(3)式において,左辺の散乱X線強度Iは,X線検出器で実際に検出できる値である。一方,右辺のうち,絶対値記号の中は理論式を用いて計算することができる。すなわち,平均原子散乱因子fFと平均原子量MFと平均密度ρFは数値で与えることができ,散乱関数Fはパラメータを可変にして計算できる。平均密度ρFはX線反射率法で測定したものを使うことができるし,もし,その数値が別の手段によってあらかじめ分かっているのであれば,その値を使ってもよい。したがって,(3)式において未知のものはk0×p/(1−p)であり,これが後述するプロファイルフィッティングの結果として決定されるものである。これをSとおいて,スケール因子と呼ぶことにする。したがって,図2の(3)式は(4)式のようになり,(4)式中のスケール因子Sは(5)式で表される。この(5)式は,スケール因子Sと装置定数k0と空孔率pの三者の関係を表す基本式となる。(5)式を変形して装置定数k0を左辺にもってくると(6)式のようになる。空孔率pが既知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めれば,(6)式の右辺が計算できて,装置定数k0を決定することができる。装置定数k0が決定できれば,空孔率pが未知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めて,このスケール因子Sと装置定数k0とを使って,(7)式に示すように空孔率pを算出することができる。以上が本発明の第1の手法で空孔率を算出する原理である。
ところで,上述の(4)式は,厳密には,図22の(37)〜(41)式のように記述される。すなわち,散乱強度Iは四つの散乱強度Ia〜Idの合計になる。Iaは,薄膜内の空孔または粒子によって入射X線が散乱する現象に起因する強度,Ibは,空孔または粒子によって散乱した入射X線がさらに界面で反射する現象に起因する強度,Icは,界面で反射した入射X線がさらに空孔または粒子で反射する起因する強度,Idは,界面で反射した入射X線がさらに空孔または粒子で散乱した後にさらに界面で反射する多重反射現象に起因する強度である。これらの合計強度Iが,空孔または粒子を含む薄膜における散乱強度Iとなる。(38)〜(41)式に出てくる符号について説明すると,qL +は散乱ベクトルであり,図23の(42)式で示される。qL -も散乱ベクトルであり,(43)式で示される。v0は波数ベクトルであり,(44)式で示される。αLは入射時の屈折角であり,(45)式で示される。ζLは出射時の屈折角であり,(46)式で示される。Imは,複素数の虚数部をとる,という意味である。dLは薄膜の厚さである。X線反射率測定で求めた膜厚の数値はここに代入することになる。添え字Lは,第L層目の意味である。すなわち,空孔または粒子を含む薄膜が多層になっている場合には,L=1,2,3,……について,それぞれ散乱強度Iを求めて,それらを合計する。なお,散乱関数Fについては,パラメータparaの関数でもあるが,(38)〜(41)式では,それを省略して表記してある。
図23の(42)式等において,Reは,複素数の実数部をとる,という意味である。(44)式におけるλは入射X線の波長である。(45)式のθ0は薄膜に入射するX線の入射角である。nLは薄膜の屈折率である。薄膜の屈折率は薄膜の平均密度から簡単に算出することができ,その平均密度として,X線反射率測定で求めた平均密度ρFを使う。(46)式のφ0は薄膜から出射するX線の出射角である。
上述の(37)〜(46)式のようにして空孔または粒子を含む薄膜の散乱強度を求めること自体は公知であり,例えば,上述の特許文献2に開示されている。
次に,第1の手法で粒子率を測定する方法を説明する。粒子を含む薄膜を考えると,マトリックスと粒子の電子密度差に起因する散乱X線が生じ,その散乱X線強度Iは,図3の(8)式で記述できる。この式において,fparは粒子の平均の原子散乱因子,Mparは粒子の平均の原子量,ρparは粒子の平均密度である。それ以外の記号は上述の(3)式で出てくるものと同じである。この(8)式は,スケール因子Sを使って(9)式のように書き換えることができる。粒子密度ρparが既知であれば,空孔の場合と同様に,X線小角散乱法におけるプロファイルフィッティングによりスケール因子Sを求めることができる。このスケール因子Sは上述の(5)式と全く同じ形をしている。したがって,空孔の場合と同様に,粒子率pが既知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めれば,装置定数k0を決定することができる。装置定数k0を決定できれば,粒子率pが未知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めて,このスケール因子Sと装置定数k0とを使って,粒子率pを算出することができる。以上が本発明の第1の手法で粒子率を算出する原理である。
ところで,上述の(8)式は,粒子密度ρparが既知であることが前提である。粒子密度が未知である場合は(8)式は使えない。その場合に,もしマトリックス密度ρMが既知であれば,図20の(28)式を使って散乱X線強度を求めることができる。この(28)式は,スケール因子Sを使って(29)式のように書き換えることができる。このようにマトリックス密度ρMが既知であれば,空孔の場合と同様に,X線小角散乱法におけるプロファイルフィッティングによりスケール因子Sを求めることができる。このスケール因子Sは(30)式の形をしている。したがって,粒子率pが既知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めれば,装置定数k0を決定することができる。装置定数k0を決定できれば,粒子率pが未知の薄膜についてX線小角散乱法でスケール因子Sを求めて,このスケール因子Sと装置定数k0とを使って,(32)式に示すように,粒子率pを算出することができる。以上が本発明の第1の手法で粒子率を算出する別の方法である。
次に,本発明の第2の手法を説明する。第2の手法は,空孔を含まない薄膜を入手できないときに利用するものである。この場合は,マトリックス密度が同じであると予想される複数の薄膜試料であって,かつ,空孔率が異なると予想される薄膜試料を準備する。一般に,i番目の試料の空孔率piは図3の(10)式で表される。ρFiはi番目の試料の平均密度であり,ρMiはi番目の試料のマトリックス密度である。i番目の試料について,マトリックスと空孔の電子密度差に起因する散乱X線強度I(i)は,図3の(11)式で記述できる。この数式の形は上述の(3)式と同じであり,違いは,i番目を示す記号があることだけである。この(11)式はスケール因子Siを使って(12)式のように書き換えることができ,スケール因子Siは(13)式のように表すことができる。
装置定数k0は試料に依存しないので,(13)式に基づいて,(14)式のような関係式を導くことができる。すなわち,複数の試料の間で,スケール因子Sと空孔率pからなる関係式が得られる。空孔率pは,図2の(2)式に示すように,試料の平均密度ρFとマトリックス密度ρMとで表現できるので,この(2)式の関係を(14)式に代入すると,(15)式に示すような関係式が得られる。さらに,(14)式に基づいて(16)式が得られ,(15)式に基づいて(17)式が得られる。
ここで,(16)式は,試料1の空孔率p1を,試料1のスケール因子S1と,試料0のスケール因子S0と,試料0の空孔率p0とで表現している。試料2以降についても,当該試料のスケール因子と,試料0のスケール因子S0と,試料0の空孔率p0とで表現することができる。すなわち,各試料の空孔率は,スケール因子Sを仲立ちとして,ひとつの試料(例えば,試料0)の空孔率p0との関係だけで表現できる。このことは,各試料のスケール因子Sが求まっていて,かつ,ひとつの試料の空孔率p0が求まれば,残りの試料の空孔率は,容易に算出できることを意味している。
また,(17)式は,試料1のマトリックス密度ρM1を,試料1のスケール因子S1と,試料1の平均密度ρFと,試料0のスケール因子S0と,試料0の平均密度ρFと,試料0のマトリックス密度ρM0とで表現している。試料2以降についても同様である。すなわち,各試料のマトリックス密度は,スケール因子Sと平均密度ρFとを仲立ちとして,ひとつの試料(例えば,試料0)のマトリックス密度ρM0との関係だけで表現できる。このことは,各試料のスケール因子Sと平均密度ρFが求まっていて,かつ,ひとつの試料のマトリックス密度ρM0が求まれば,残りの試料のマトリックス密度は容易に算出できる,ことを意味している。
(17)式において,未知数はマトリックス密度ρM0,ρM1,ρM2,ρM3,……であって,その数は試料の数に等しく,一方で,関係式の数は試料の数よりもひとつ少ない。したがって,このままでは条件が足りないので,(17)式を解くことはできない。そこで,「複数の試料のマトリックス密度が互いに同じである」と仮定する。すなわち,そのような試料を測定対象とするものとする。その場合は,「複数の試料の間でマトリックス密度の差が最小となる」という条件を加えることで,(17)式を解くことができる。そのような条件は図5の(18)式で表現できる。左辺は,マトリックス密度ρM0,ρM1,ρM2,…に関して最小にすべきもの,という意味であり,「MinFun」という関数名を用いている。右辺はその関数の形であり,分子は,i番目の試料のマトリックス密度ρMiと,j番目の試料のマトリックス密度ρMjとの差を自乗して,これを,二つの試料のすべての組み合わせについて合計して,その平方根としている。分母は,すべての試料のマトリックス密度の合計である。ところで,各試料のマトリックス密度は,(17)式に示すように,ひとつの試料のマトリックス密度ρM0の関数となるので,結局,(18)式は,マトリックス密度ρM0だけの関数になる。そこで,(19)式に示すように,(18)式をマトリックス密度ρM0で微分して,これがゼロに等しい,とおけば,これが,複数の試料の間でマトリックス密度の差が最小となる,いう条件を満足することになる。この(19)式を解くと,試料0のマトリックス密度ρM0が求まる。このマトリックス密度ρM0が求まると,(17)式に基づいて,ほかの試料のマトリックス密度ρM1,ρM2,ρM3,…を算出できる。各試料のマトリックス密度ρMが求まれば,上述の(2)式に基づいて,空孔率pを算出できる。以上が本発明の第2の手法で空孔率を算出する原理である。
さらに,空孔率が算出できれば,図2の(6)式を用いて装置定数k0も決定できる。そして,装置定数k0が決まれば,その後は,上述の第1の手法と同様に,マトリックス密度が異なる試料であっても,スケール因子Sさえ求めれば,図2の(7)式に基づいて空孔率を算出することができる。
(19)式の具体的な計算例を示すと,三つの試料を使った場合には次のようになる。試料0のマトリックス密度ρM0は図6の(20)式のようになる。すなわち,試料0,1,2についてのスケール因子S0,S1,S2と平均密度ρF0,ρF1,ρF2とを用いて試料0のマトリックス密度ρM0を算出することができる。この場合,各試料の平均密度はX線反射率法で測定でき,スケール因子はX線小角散乱法で決定できる。ρM0が求まれば,(21)式と(22)式を用いてρM1,ρM2を算出でき,これで三つの試料のマトリックス密度を決定できる。
次に,第2の手法で粒子率を測定する方法を説明する。複数の試料について,粒子密度ρparを含む図3の(9)式を使って散乱強度の理論プロファイルを作成し,測定した散乱強度プロファイルとフィッティングをすることで,スケール因子Sを求めることができる。一方,各試料のマトリックス密度は図6の(23)式で表すことができる。この(23)式は,空孔の場合の(17)式に対応するものである。試料1のマトリックス密度ρM1は,試料1のスケール因子S1と,試料1の平均密度ρFと,試料1の粒子密度ρpar1と,試料0のスケール因子S0と,試料0の平均密度ρFと,試料0の粒子密度ρpar0と,試料0のマトリックス密度ρM0とで表現される。試料2以降についても同様である。すなわち,各試料のマトリックス密度は,スケール因子Sと平均密度ρFと粒子密度ρparを仲立ちとして,ひとつの試料(例えば,試料0)のマトリックス密度ρM0との関係だけで表現できる。このことは,次のことを意味している。各試料のスケール因子Sと平均密度ρFと粒子密度ρparが求まっていて,かつ,ひとつの試料のマトリックス密度ρM0が求まれば,残りの試料のマトリックス密度は容易に算出できる。
そして,空孔の場合と同様に,図5の(19)式を解くことで,マトリックス密度ρM0を算出することができる。マトリックス密度ρM0が求まると,(23)式に基づいて,ほかの試料のマトリックス密度ρM1,ρM2,ρM3,…を算出できる。さらに,各試料のマトリックス密度ρMが求まれば,図6の(24)式に基づいて,粒子率pを算出できる。(24)式は,図20の(34)式を変形したものである。以上が本発明の第2の手法で粒子率を算出する原理である。
上述の第2の手法では,空孔率または粒子率が既知の試料が無い場合に,「粒子密度が既知」という条件のもとで,空孔率または粒子率が互いに異なる複数の試料を用いて,マトリックス密度が互いに同じになるようにマトリックス密度を決定して,装置定数を求めていた。これに対して,粒子密度は未知であるが,「マトリックス密度が既知」という状況も考えられる。その場合は,次の第3の手法を使うことになる。
第3の手法では,複数の試料について,マトリックス密度ρMを含む図20の(28)式を使って散乱強度の理論プロファイルを作成し,測定した散乱強度プロファイルとフィッティングをすることで,スケール因子Sを求めることができる。この場合,(33)式と(35)式が成り立ち,各試料の粒子密度は図21の(36)式で表すことができる。この(36)式は,第2の手法における(23)式に対応するものである。そして,粒子密度ρparについて,図5の(19)式と同様の最小化条件を解くことで,粒子密度の差が最小となるような粒子密度ρpar0を決定することができる。粒子密度ρpar0が求まると,(36)式に基づいて,ほかの試料の粒子密度ρpar1,ρpar2,…を算出できる。さらに,各試料の粒子密度ρparが求まれば,(24)式に基づいて粒子率pを算出できる。以上が本発明の第3の手法で粒子率を算出する原理である。
次に,(3)式中の散乱関数Fについて説明する。散乱関数Fとしては,いくつかのものが考えられるが,代表的なものとして,図18の(25)式と(26)式に示すものがある。(25)式は,空孔または粒子の平均直径D0と,その直径の分布状態を示す分散σとを用いるモデルである。ここで,Q(D,D0,σ)は,空孔または粒子の直径分布関数である。Dが直径を表す変数である。一方,(26)式は,電子密度揺らぎの相関距離ξを用いるデバイ(Debye)モデルである。どちらの式を用いるのが適切であるかは,試料中の空孔または粒子の状態に依存する。(25)式は空孔または粒子が特定の形状(例えば,球体)を持っている系に有効なモデル関数である。それに対して,(26)式は,蟻の巣状にグチャグチャになっている系を表すのに有効なモデル関数(二層分離型)として知られている。後述する実施例では(25)式のモデル関数を用いて理論散乱強度曲線を求めている。
次に,(3)式に出てくる平均原子散乱因子fFと平均原子量MFについて説明する。原子散乱因子fは図19の(27)式で計算できる。原子散乱因子fは,波長に依存しない因子f0と,波長に依存する異常分散f1,f2とで記述できる。iは虚数である。f0は散乱角度に依存するが,これは,小角散乱領域では原子番号Zにほぼ等しい。後述する実施例では,試料としてMSQ(methyl silsesquioxane,化学式はSi2326)を用いているが,このMSQについての平均原子散乱因子fFと平均原子量MFの計算値を図19の表に示す。X線の波長はCuKα線の0.154178nmであると仮定した。
次に,実際の測定例を説明する。空孔率が異なると想定される三つの多孔質MSQ薄膜について,本発明の第2の手法を使って空孔率を測定した例を示す。三つの試料はマトリックス密度が同じであると想定されるが,その値は未知である。まず,三つの試料(これを試料0,1,2と呼ぶ)について,X線反射率のプロファイルを測定する。その測定手法を簡単に説明する。図7(A)はX線反射率測定の説明図である。試料20の表面に対して微小な入射角θでX線22を入射させる。試料20の表面に対して出射角θ(入射角と同じ)の方向において反射X線24を検出する。そして,入射X線22の位置が固定であると仮定すると,試料をθ回転させるとともにX線検出器を(すなわち,反射X線24の方向を)2θ回転させる。そのときのX線反射率(入射X線強度に対する反射X線強度の比率)の変化を記録して,X線反射率プロファイルを得る。
図8は三つの試料についてのX線反射率プロファイルの測定結果のグラフである。横軸は2θをとり,縦軸は反射X線の強度をとっている。試料0のプロファイルを実線で示し,試料1は破線で,試料2は一点鎖線で示している。ただし,グラフが煩雑になるのを防ぐために,試料1と試料2については,反射率が低下し始める部分だけを描いてある。このグラフによれば,三つの試料は全反射臨界角(反射率が低下し始める角度)が異なっているので,試料間で空孔率が互いに異なっていることが容易に予想される。
このようなX線反射率のプロファイルに対して,理論反射率プロファイルをパラメータフィッティングすることで,試料の膜厚と,密度と,界面(薄膜と基板の界面)の粗さを求めることができる。この点については公知技術なので詳しい説明は省略する。その詳細は,例えば,上述の特許文献3に開示されている。図9はそのフィッティングによって決定されたパラメータの一覧表である。これにより,三つの試料について,平均密度と膜厚と粗さが決定された。三つの試料は,マトリックス材質は同じであるが平均密度が異なっているので,空孔率が異なっていることだけは分かる。
次に,三つの試料についてX線小角散乱測定を実施した。念のため,三つの試料のX線小角散乱を測定する際に,それぞれ,入射X線強度プロファイルも測定したので,これを図10に示す。この図10のグラフは,三つの入射X線強度プロファイルを重ねて示したものであるが,ほぼ完全に互いに重なっているので,ひとつのプロファイルとして描かれている。このグラフから,三つの試料に対するX線小角散乱測定において,入射X線強度が互いに等しいことが分かる。この条件のもとでX線小角散乱プロファイルを測定した。
まず,X線小角散乱法のオフセットスキャンプロファイルとロッキングスキャンプロファイルを説明する。図7(B)はオフセットスキャンプロファイルの測定方法の説明図である。試料20の表面に対して微小な入射角θでX線22を入射させる。試料20の表面に対して出射角「θ+Δθ」の方向において散乱X線26を検出する。すなわち,出射角は,入射角と比較して,Δθだけオフセットしている。このようにオフセットすることで,強度の強い全反射X線がX線検出器に入るのを避けることができる。そして,入射X線22の位置が固定であると仮定すると,試料をθ回転させるとともにX線検出器を(すなわち,散乱X線26の方向を)2θ回転させる。そのときの散乱X線強度の変化を記録して,オフセットスキャンプロファイルを得ることができる。一般には,2θの角度にして,0〜8度程度の範囲でプロファイルを測定する。
図7(C)はロッキングスキャンプロファイルの測定方法の説明図である。試料20の表面に対して微小な入射角ωでX線22を入射させる。散乱X線26を検出する方向は,入射X線22に対して2θの角度のところであり,これを一定にしておく。入射X線22の位置が固定であると仮定すると,試料20をだけをω回転させる。そのときの散乱X線強度の変化を記録して,ロッキングスキャンプロファイルを得ることができる。
図11は三つの試料についてX線小角散乱のオフセットスキャンプロファイルを測定したグラフである。オフセット角Δθは0.1度である。これらの三つの測定プロファイルについて理論プロファイルとのプロファイルフィッティング(パラメータフィッティング)を実施する。
図12は試料1についてのX線小角散乱のオフセットプロファイルのプロファイルフィッティングの例である。オフセット角Δθは0.1度である。丸印は測定結果を模式的に示したものであり,その集合が測定プロファイルとなる。一点鎖線は空孔に起因する散乱についての理論散乱X線強度である。この強度は,上述の(37)〜(41)式を用いて求めたものである。破線は表面界面の粗さに起因する散乱についての理論散乱X線強度である。この粗さによる散乱強度については,公知の理論式(例えば,上述の特許文献2に開示されている理論式)を用いて計算できる。そして,実線はその両者を合計したものである。この合計の理論散乱X線強度が,測定プロファイルにできるだけ一致するように,パラメータを可変して,最適なパラメータを選択した。もし,空孔に起因する散乱強度が粗さに起因する散乱強度よりも格段に大きければ,粗さに起因する散乱強度を省略してフィッティングすることも可能である。この実施例では,散乱関数として,上述の(25)式のモデル関数を用いており,球形の空孔が薄膜中でランダムに存在していて,空孔サイズの分布がガンマ分布関数に従う,というモデル関数を用いた。
図13は試料1についてのX線小角散乱のロッキングスキャンプロファイルのフィッティングの例である。2θ=0.8度でのロッキングスキャンの例である。なお,グラフの中央の高い測定ピークは全反射によるものであり,これは空孔による散乱X線ではない。したがって,この全反射ピークは,理論プロファイルとのフィッティングに際しては無視する。
実際の測定では,三つの試料のそれぞれについて,図12に示すようなオフセットプロファイルフィッティングを実施し,かつ,図13に示すようなロッキングスキャンプロファイルフィッティングを実施した。ロッキングスキャンプロファイルフィッティングについては,2θ=0.6度,0.8度,1.0度,1.2度,1.5度で実施した。理想的には,オフセットプロファイルとロッキングプロファイルのすべてで,測定値と理論値のプロファイルフィッティングを同時に実施して,最も誤差が小さくなるようにパラメータを決定する。誤差の最小化の手法としては,例えば,非線形最小二乗法を利用する。
以上のフィッティングの結果,図14に示すように,空孔の平均直径と,直径の分布状態を示す分散(ガンマ分布関数の分散)とがパラメータとして得られ,かつ,そのときのX線強度からスケール因子Sが得られた。
次に,スケール因子Sと平均密度ρFからマトリックス密度を求める方法を説明する。平均密度ρFはX線反射率法で決定しており,これは図9に示したとおりである。スケール因子SはX線小角散乱法で決定しており,これは図14に示したとおりである。そこで,これらの値を図5の(20)式に代入すると,試料0のマトリックス密度ρM0を算出できる。その値は1.412である。さらに,試料1と試料2のマトリックス密度ρM1とρM2は,図6の(21)式と(22)式で算出でき,それらの値は,1.413と1.412になる。このマトリックス密度を使って,空孔率pを図2の(2)式で算出でき,三つの試料の空孔率は,それぞれ,p0=0.175,p1=0.237,p2=0.296となる。このような算出結果の一覧表を図17に示す。
次に,試料間のマトリックス密度の差を最小にすることについて,別の観点から説明する。図15は,三つの試料のマトリックス密度についての(17)式の関係をグラフ化したものである。横軸は試料0のマトリックス密度ρM0であり,縦軸は三つの試料のマトリックス密度ρM0,ρM1,ρM2である。(17)式中の平均密度ρF0,ρF1,ρF2とスケール因子S0,S1,S2の数値には,図17の一覧表の値を使っている。試料0と試料1の二つだけを考えると,二つの直線の交点のところで,両者のマトリックス密度が等しくなる。そのマトリックス密度が,二つのマトリックス密度の差を最小にする(ゼロになる)ところである。したがって,少なくとも二つの試料を測定対象とすれば,マトリックス密度を決定することができる。
さらに,三つの試料を考えると,3本の直線の交点として,三つの交点が存在することになる。ただし,図15のグラフでは,3本の直線はほぼ同一の点で交わっている。この交点でのマトリックス密度の値は1.412である。三つの交点がほぼ同一の点で交わっているということは,本発明によって決定されたマトリックス密度の信頼性が高いことを意味している。もし,三つの交点が互いにかなり離れていたとすれば,(20)式で算出されたマトリックス密度の信頼性は低いものとなる。このように,マトリックス密度の信頼性を確認するためには,図15のグラフに示すように,少なくとも三つの試料について第2の手法を適用することが好ましい,ということが言える。
図16は三つの試料の空孔率についての(16)式の関係をグラフ化したものである。試料0の空孔率p0が決まると,試料1と試料2の空孔率も容易に算出できることが分かる。
上述の実施例では,試料の平均密度と膜厚をX線反射法で求めているが,これに限らず,試料の平均密度と膜厚を何らかの形で取得できれば,それらを使ってもよい。例えば,それらの値をオペレータがキーボード等を使って入力してもよい。
試料の断面図である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(1)〜(7)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(8)〜(14)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(15)〜(17)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(18)〜(20)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(11)〜(24)式である。 X線反射率測定とX線小角散乱測定の説明図である。 X線反射率の測定結果のグラフである。 X線反射率法で決定されたパラメータの一覧表である。 入射X線強度のグラフである。 X線小角散乱のオフセットスキャンの測定結果のグラフである。 X線小角散乱のオフセットスキャンのプロファイルフィッティングのグラフである。 X線小角散乱のロッキングスキャンのプロファイルフィッティングのグラフである。 X線小角散乱法で決定されたパラメータとスケール因子の一覧表である。 試料間の相対的マトリックス密度のグラフである。 試料間の相対的空孔率のグラフである。 空孔率算出に用いられた数値と算出された空孔率の一覧表である。 散乱関数の数式の(25),(26)式である。 原子散乱因子の数式の(27)式と,平均原子散乱因子と平均原子量の計算例を示す表である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(28)〜(34)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(35),(36)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(37)〜(41)式である。 空孔率または粒子率の算出に関連する数式の(42)〜(46)式である。
符号の説明
10 薄膜
12 マトリックス
14 空孔
16 粒子
18 基板
20 試料
22 入射X線
24 反射X線
26 散乱X線

Claims (15)

  1. 薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する方法において,次の段階を備える空孔率の測定方法。
    (ア)空孔率が既知の第1試料と,空孔率が未知の第2試料とを準備する段階。
    (イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の空孔率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。
    (オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じ前記X線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。
    (キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の空孔率を算出する段階。
  2. 薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する装置において,次の構成を備える,空孔率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (エ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に空孔を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (オ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (カ)空孔率が既知の第1試料について,その空孔率を取得する空孔率取得手段。
    (キ)前記空孔率取得手段で取得した前記第1試料の空孔率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。
    (ク)空孔率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の空孔率を算出する空孔率算出手段。
  3. 薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備える,粒子率の測定方法。
    (ア)粒子率が既知の第1試料と,粒子率が未知の第2試料とを準備する段階。
    (イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第1試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の粒子率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。
    (オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じX線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第2試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。
    (キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する段階。
  4. 薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備える,粒子率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)前記粒子密度を取得する粒子密度取得手段。
    (エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (キ)粒子率が既知の第1試料について,その粒子率を取得する粒子率取得手段。
    (ク)前記粒子率取得手段で取得した前記第1試料の粒子率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。
    (ケ)粒子率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する粒子率算出手段。
  5. マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備える,粒子率の測定方法。
    (ア)粒子率が既知の第1試料と,粒子率が未知の第2試料とを準備する段階。
    (イ)前記第1試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記第1試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第1試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)前記第1試料の前記スケール因子と既知の粒子率とに基づいて,X線小角散乱測定装置の装置定数を算出する段階。
    (オ)前記第2試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (カ)前記第2試料について,前記第1試料と同じX線小角散乱測定装置を用いて,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,前記第2試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。
    (キ)前記装置定数と前記第2試料の前記スケール因子に基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する段階。
  6. マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備える,粒子率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)前記マトリックス密度を取得するマトリックス密度取得手段。
    (エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (キ)粒子率が既知の第1試料について,その粒子率を取得する粒子率取得手段。
    (ク)前記粒子率取得手段で取得した前記第1試料の粒子率と,前記第1試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子とに基づいて,前記X線小角散乱測定手段の装置定数を算出する装置定数算出手段。
    (ケ)粒子率が未知の第2試料について前記スケール因子算出手段で算出されたスケール因子と,前記装置定数算出手段で算出された装置定数とに基づいて,前記第2試料の粒子率を算出する粒子率算出手段。
  7. 薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する方法において,次の段階を備える,空孔率の測定方法。
    (ア)マトリックス密度と前記空孔率がそれぞれ未知の試料であって,前記マトリックス密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記空孔率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。
    (イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度と前記膜厚を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出する段階。
    (オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,当該試料の前記平均密度と前記マトリックス密度に基づいて空孔率を算出する段階。
  8. 請求項7に記載の測定方法において,前記マトリックス密度を算出する段階において,前記複数の試料のうちのひとつの試料を基準試料として選択し,その基準試料以外の試料のマトリックス密度を,当該試料の平均密度及びスケール因子と基準試料の平均密度,スケール因子及びマトリックス密度とを含む数式で表現して,試料間でのマトリックス密度の差が最小になるように前記基準試料のマトリックス密度を決定し,それに基づいて各試料のマトリックス密度を算出することを特徴とする測定方法。
  9. 請求項7または8に記載の測定方法において,少なくとも三つの試料を用いることを特徴とする測定方法。
  10. 薄膜のマトリックスの内部に空孔が分散している試料の空孔率を測定する装置において,次の構成を備える,空孔率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (エ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度とを用いて,マトリックス中に空孔を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (オ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (カ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出するマトリックス密度算出手段。
    (キ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記マトリックス密度算出手段で算出されたマトリックス密度とに基づいて空孔率を算出する空孔率算出手段。
  11. 薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備える,粒子率の測定方法。
    (ア)マトリックス密度と前記粒子率がそれぞれ未知の試料であって,前記マトリックス密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記粒子率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。
    (イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記粒子密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出する段階。
    (オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記粒子密度と前記平均密度と前記マトリックス密度とに基づいて粒子率を算出する段階。
  12. 請求項11に記載の測定方法において,前記マトリックス密度を算出する段階において,前記複数の試料のうちのひとつの試料を基準試料として選択し,その基準試料以外の試料のマトリックス密度を,当該試料の粒子密度,平均密度及びスケール因子と基準試料の粒子密度,平均密度,スケール因子及びマトリックス密度とを含む数式で表現して,試料間でのマトリックス密度の差が最小になるように前記基準試料のマトリックス密度を決定し,それに基づいて各試料のマトリックス密度を算出することを特徴とする測定方法。
  13. 薄膜のマトリックスの内部に粒子密度が既知の粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備える,粒子率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)前記粒子密度を取得する粒子密度取得手段。
    (エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記粒子密度取得手段で取得した粒子密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (キ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間のマトリックス密度の差が最小になるように,各試料のマトリックス密度を算出するマトリックス密度算出手段。
    (ク)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記粒子密度取得手段で取得した粒子密度と前記マトリックス密度算出手段で算出されたマトリックス密度とに基づいて粒子率を算出する粒子率算出手段。
  14. マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する方法において,次の段階を備える,粒子率の測定方法。
    (ア)粒子密度と前記粒子率がそれぞれ未知の試料であって,前記粒子密度が互いに同一であると予想され,かつ,前記粒子率が互いに異なると予想される複数の試料を準備する段階。
    (イ)前記複数の試料について,X線反射率測定を実施して,その反射率プロファイルに基づいて平均密度と膜厚を求める段階。
    (ウ)前記複数の試料について,X線小角散乱測定を実施して,その散乱X線強度プロファイルに対して,当該試料の平均密度及び前記膜厚並びに前記マトリックス密度を用いた理論散乱X線強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を求める段階。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (エ)各試料の前記スケール因子を用いて,試料間の粒子密度の差が最小になるように,各試料の粒子密度を算出する段階。
    (オ)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記マトリックス密度と前記平均密度と前記粒子密度とに基づいて粒子率を算出する段階。
  15. マトリックス密度が既知の薄膜のマトリックスの内部に粒子が分散している試料の粒子率を測定する装置において,次の構成を備える,粒子率の測定装置。
    (ア)試料の膜厚を取得する膜厚取得手段。
    (イ)試料の平均密度を取得する平均密度取得手段。
    (ウ)前記マトリックス密度を取得するマトリックス密度取得手段。
    (エ)試料のX線小角散乱強度を測定するX線小角散乱測定手段。
    (オ)前記膜厚取得手段で取得した膜厚と,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と,前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度とを用いて,マトリックス中に粒子を含む試料の理論散乱強度プロファイルを作成する理論プロファイル作成手段。
    (カ)前記X線小角散乱測定手段で測定された測定散乱強度プロファイルに対して,前記理論プロファイル作成で作成された理論散乱強度プロファイルをパラメータフィッティングして,散乱X線強度のスケール因子を算出するスケール因子算出手段。ここで、スケール因子とは、パラメータを含む散乱関数を用いて理論的に計算される散乱X線強度と、測定された散乱X線強度との比率である。
    (キ)複数の試料について前記スケール因子算出手段で算出された前記スケール因子を用いて,試料間の粒子密度の差が最小になるように,各試料の粒子密度を算出する粒子密度算出手段。
    (ク)前記複数の試料のうちの少なくともひとつの試料について,前記平均密度取得手段で取得した平均密度と前記マトリックス密度取得手段で取得したマトリックス密度と前記粒子密度算出手段で算出された粒子密度とに基づいて粒子率を算出する粒子率算出手段。
JP2004061358A 2004-03-04 2004-03-04 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置 Expired - Fee Related JP3927960B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004061358A JP3927960B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置
TW094106181A TWI353445B (en) 2004-03-04 2005-03-02 Method and apparatus for void content measurement
EP05004692.9A EP1571440B1 (en) 2004-03-04 2005-03-03 Method and apparatus for void content measurement and method and apparatus for particle content measurement
KR1020050018206A KR100963605B1 (ko) 2004-03-04 2005-03-04 공공율의 측정방법 및 그 장치 그리고 입자율의 측정방법및 그 장치
US11/072,924 US7272206B2 (en) 2004-03-04 2005-03-04 Method and apparatus for void content measurement and method and apparatus for particle content measurement
US11/844,206 US7474734B2 (en) 2004-03-04 2007-08-23 Method and apparatus for void content measurement and method and apparatus for particle content measurement

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004061358A JP3927960B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005249613A JP2005249613A (ja) 2005-09-15
JP3927960B2 true JP3927960B2 (ja) 2007-06-13

Family

ID=34747681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004061358A Expired - Fee Related JP3927960B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置

Country Status (5)

Country Link
US (2) US7272206B2 (ja)
EP (1) EP1571440B1 (ja)
JP (1) JP3927960B2 (ja)
KR (1) KR100963605B1 (ja)
TW (1) TWI353445B (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3927960B2 (ja) * 2004-03-04 2007-06-13 株式会社リガク 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置
US7680243B2 (en) * 2007-09-06 2010-03-16 Jordan Valley Semiconductors Ltd. X-ray measurement of properties of nano-particles
US7848483B2 (en) * 2008-03-07 2010-12-07 Rigaku Innovative Technologies Magnesium silicide-based multilayer x-ray fluorescence analyzers
TWI385373B (zh) * 2008-12-17 2013-02-11 Univ Nat Pingtung Sci & Tech 介質孔隙度測量裝置
GB201105926D0 (en) * 2011-04-08 2011-05-18 Rolls Royce Plc An apparatus and a method of determining the proportions of different powders in a powder
CN103454197B (zh) * 2012-05-28 2015-12-09 中国原子能科学研究院 微孔膜孔隙率测量方法
JP2015011024A (ja) * 2013-07-02 2015-01-19 株式会社東芝 計測装置および計測方法
WO2015145983A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 日本電気株式会社 コンピュータシステム、データ処理装置、バスデータ転送方法、および、コンピュータ可読記録媒体
CN108489880A (zh) * 2018-02-08 2018-09-04 深圳市博盛新材料有限公司 一种用于隔膜的检测装置及检测方法
JP2019174249A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 三井化学株式会社 孔間距離の測定方法
JP7221536B2 (ja) * 2019-12-27 2023-02-14 株式会社リガク 散乱測定解析方法、散乱測定解析装置、及び散乱測定解析プログラム
CN113237809B (zh) * 2021-04-16 2023-03-17 贵州电网有限责任公司 一种复合绝缘子芯棒孔隙率评估方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5619548A (en) * 1995-08-11 1997-04-08 Oryx Instruments And Materials Corp. X-ray thickness gauge
JP3329197B2 (ja) * 1996-07-19 2002-09-30 株式会社日立製作所 薄膜積層体検査方法
JP2001349849A (ja) 2000-04-04 2001-12-21 Rigaku Corp 密度不均一試料解析方法ならびにその装置およびシステム
US6895075B2 (en) * 2003-02-12 2005-05-17 Jordan Valley Applied Radiation Ltd. X-ray reflectometry with small-angle scattering measurement
JP3953754B2 (ja) * 2001-06-27 2007-08-08 株式会社リガク 密度不均一試料解析方法ならびにその装置およびシステム
JP3764407B2 (ja) * 2001-10-26 2006-04-05 株式会社リガク 密度不均一多層膜解析方法ならびにその装置およびシステム
KR100879729B1 (ko) 2002-06-06 2009-01-22 가부시끼가이샤 리가쿠 밀도 불균일 다층막 해석방법, 그 장치 및 시스템
US7609812B2 (en) * 2002-12-27 2009-10-27 Technos Co., Ltd. Pore- or particle-size distribution measurement apparatus
JP3927960B2 (ja) * 2004-03-04 2007-06-13 株式会社リガク 空孔率の測定方法及び装置並びに粒子率の測定方法及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
TW200533909A (en) 2005-10-16
JP2005249613A (ja) 2005-09-15
US7272206B2 (en) 2007-09-18
KR100963605B1 (ko) 2010-06-15
EP1571440B1 (en) 2014-05-07
US7474734B2 (en) 2009-01-06
KR20060044295A (ko) 2006-05-16
EP1571440A1 (en) 2005-09-07
US20080002812A1 (en) 2008-01-03
US20050195940A1 (en) 2005-09-08
TWI353445B (en) 2011-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100963605B1 (ko) 공공율의 측정방법 및 그 장치 그리고 입자율의 측정방법및 그 장치
JP7250705B2 (ja) X線スキャトロメトリでの深層構造のプロセスモニタリング
US7130373B2 (en) Method and apparatus for film thickness measurement
CN113804710B (zh) 通过x射线反射散射测量来测量样本的方法和系统
US6091493A (en) Process for particle size measurement
IL160241A (en) Method and system for dynamic learning through a regression-based library generation process
JP4224376B2 (ja) 膜構造解析方法およびその装置
JP5743856B2 (ja) 計測装置および計測方法
JP2009507230A (ja) 光計測において反復構造の単位セル構成を選択する方法
CN110383053A (zh) 用于小角度x射线散射测量的x射线变焦镜头
JP2024505941A (ja) 歪んだ形状を有する深部構造の正確な測定のための方法およびシステム
JP2020176992A (ja) 微細構造の解析方法、装置およびプログラム
JP3764407B2 (ja) 密度不均一多層膜解析方法ならびにその装置およびシステム
US11131637B2 (en) Analysis method for fine structure, apparatus, and program
EP3339846B1 (en) Method of measuring properties of a thin film stack
JP3329197B2 (ja) 薄膜積層体検査方法
US6920200B2 (en) Density-nonuniform multilayer film analyzing method, and apparatus and system thereof
JP4996049B2 (ja) 薄膜デバイスの膜厚計測方法及び膜厚計測装置
US20140038315A1 (en) Apparatus and method for measuring the dimensions of 1-dimensional and 0-dimensional nanostructures in real-time during epitaxial growth
Thomas et al. Monitoring thickness changes in GaAs/AlAs partial VCSEL Bragg reflector stacks using optical spectroscopic, x-ray and electron microscopic methods
Omote et al. A New X-Ray Scattering Method for Determining Pore-Size Distribution in Low-k Thin Films
Katona et al. Effect of surface roughness on angle-resolved XPS Effect of surface roughness on angle-resolved XPS.

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3927960

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100309

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140309

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees