JP4556032B2 - 導電ペースト用銅粉および銅粉粒子ならびに導電ペースト - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い充填率でも低粘性の導電ペーストが得られる銅粉、およびそれに適した銅粉粒子、ならびに上記銅粉を用いた導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、絶縁基板上に導電ペーストをスクリーン印刷して厚膜回路基板を作製する場合、該導電ペーストとしては銀系ペーストが主に使用されてきたが、銅ペーストも使用される傾向にある。銅ペーストは銀系ペーストに比べて次のような利点があるからである。
【0003】
(1) マイグレーションが起き難いのでショートし難い。
(2) 耐半田性に優れるので信頼性が高い。
(3) 低コスト化が可能である。
【0004】
このような利点をもつ銅ペーストは、粒径が0.1〜10μm程度の銅粉をビヒクル(樹脂)中に分散させることによって得られる。
【0005】
銅粉の製造法としては、機械的粉砕法、溶融銅を噴霧するアトマイズ法、陰極への電解析出法、蒸発蒸着法、湿式還元法等が知られている。これらはそれぞれ得失があるが、湿式還元法はペースト用に適する粒径の微細粉を比較的容易に得ることができるので、導電ペースト用銅粉を製造する場合の主流となっており、例えば特開平4−116109号公報,特開平2−197012号公報および特開昭62−99406号公報には湿式還元法による銅粉の製造法が記載されている。
【0006】
湿式還元法による銅粉の製法は、水中で析出させた水酸化銅を亜酸化銅に一次還元し、次いでこの亜酸化銅を金属銅に二次還元することを要旨とするものであり、一次還元剤としてはブドウ糖、二次還元剤として抱水ヒドラジン等が使用される。そのさい、水酸化銅の析出工程、一次還元工程および二次還元工程の条件設定により、得られる銅粉の粒径や粒子形状を制御することができ、導電ペースト用に適する粒径のものを安定して製造できる利点がある。本発明者らは先に特開2000−144217号公報において、一次還元工程と二次還元工程の間で、酸素含有ガス吹込みによる酸化処理を行う方法を提案した。この酸化処理により粒径の揃った銅粉を得ることができ、一層、粒径制御と粒子形状制御が精密化できるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
湿式還元法では導電ペーストに適した粒径の銅粉が製造できるとしても、その銅粉は、適正な粘性をもつ導電ペーストを得ようとする場合には問題があった。導電ペーストの粘性は、使用する樹脂自身の粘性、銅粉の充填率(フィラー値)および銅粉の粒度分布等が関与するが、湿式還元法による銅粉では、導電ペーストの粘性が高くなる傾向がある。すなわち、湿式還元法による銅粉では、粒径が適正に制御できても、それだけでは導電ペーストの粘性を低下させることには限界があることがわかった。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題を解決し、湿式還元法による銅粉を用いた場合でも、導電ペーストにとって必要な低い粘性を確保できる銅粉を得ることを目的とするものである。
【0009】
また、導電ペーストの粘性を低下させることのできる最適な銅粉が得られたとしても、そのような銅粉の形態を定量的に特定することは従来容易ではなかった。これは、銅粉粒子は顕微鏡レベルの微小なものであるため、その個々の形状を定量的に把握するのが極めて難しいことに原因がある。
【0010】
最近では画像処理技術および電子顕微鏡技術の発達により、電子顕微鏡内に置かれた試料表面の反射電子情報を三次元的に解析して、ミクロ的な表面凹凸のプロファイルを作成することが可能になっている。しかし、そのような手法で銅粉粒子表面の凹凸プロファイルを得たとしても、そのプロファイルから得られる表面粗さの各種パラメータと、その銅粉を用いた導電ペーストの粘性との間の相関関係を見出すことは容易ではなく、「良好な銅粉」と「良好でない銅粉」を有意差をもって判別し得る指標は未だ見出されていないのが現状である。このため、原料としての銅粉を樹脂と混ぜる前に精度良く選別することは困難であり、結局、混練後の導電ペースト(完成品)において品質を確認する必要があるという、品質管理上の不便を伴っていた。
【0011】
したがって本発明は、導電ペースト用銅粉としての適性を原料段階で定量的に評価し得る指標を確立して、銅粉粒子の形状をミクロ的に特定し、品質管理上の問題を解消することをも目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、湿式還元法で得られた銅粉に対して銅粉同士を機械的に衝突させる処理を施し、粒径や粒度分布および比表面積はそれほど変化させないで、粒子表面を平滑化させると、導電ペーストの粘性を著しく低下させることができることを見い出した。すなわち、粒子表面に存在する凸凹や角張った部分を、粒径や粒度分布を実質上変化させないで、粒子同士の衝突により滑らかにするのであり、この処理は、粒子を機械的に流動化させることができる装置を用いて行うことができる。
【0014】
発明者らは銅粉粒子のミクロ的な表面形状に着目し、導電ペースト用銅粉としての適性を原料の粉末段階で精度良く評価する手法について種々検討を重ねてきた。その結果、JIS B 0601(1994)およびJIS B 0660(1998)に規定される表面粗さの概念を銅粉粒子のミクロ的な表面凹凸について適用し、かつ、JIS B 0660(1998)に規定される表面粗さの各種パラメータのうち特定のものを用いて、ある関係式によって整理したとき、銅粉粒子の表面形状と導電ペーストの粘性とを結び付ける相関関係を見出したのである。
【0015】
すなわち、低い粘性を呈するペーストを得るのに適した銅粉粒子は、下記(1)式で定義される表面指数SFが1以下である導電ペースト用銅粉粒子として特定される。
SF=(Rlr−100)×da×Rms×Ra×Ry×Rz×108 ・・・(1)
ここで、(1)式右辺の各変数は以下に定義される表面粗さパラメータであり、粒子表面の粗さ曲線から求まるものである。粗さ曲線はJIS B 0660(1998)の番号1018に規定されている。
Rlr:JIS B 0660(1998)の番号3008に規定される「粗さ曲線の展開長さ率lr」の値に100を乗じて%表示した値
da:JIS B 0660(1998)の番号4003に規定される「粗さ曲線の算術平均傾斜Δa」の値
Rms:JIS B 0660(1998)の番号2011に規定される「粗さ曲線の二乗平均平方根粗さRq」の値
Ra:JIS B 0660(1998)の番号2010に規定される「粗さ曲線の算術平均粗さRa」の値
Ry:JIS B 0660(1998)の番号2006に規定される「粗さ曲線の最大高さRy」の値
Rz:JIS B 0660(1998)の番号2007に規定される「粗さ曲線の十点平均粗さRz」の値
【0016】
またこの場合、粒子表面の平均的な凹凸形態をできるだけ精度良く表すための粗さ曲線の取り方として、以下の手法を提供する。すなわち、粒子の顕微鏡観察像の中に、該粒子の輪郭をはみ出さないように粒子投影面積の25%以上の投影面積を有する矩形領域を設定し、その矩形領域中に5本以上の平行な測定直線を両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように等間隔にn本設定し、各測定直線に沿って粒子表面の粗さ曲線をn本測定し、これらn本の粗さ曲線をつなぎ合わせて連続曲線としたものを新たに粒子表面の粗さ曲線とし、この新たな粗さ曲線に基づいてSF値を定める手法を提供する。また、その粒子表面の粗さ曲線は、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビーム軸のまわりに設置された複数の反射電子検出器によって検出された反射電子情報に基づいて粒子表面の凹凸状態を三次元的に測定することによって求めたものを使用することができる。
【0017】
上記の表面指数SFは、粉末を構成する1つの粒子の形状を特定したものであり、上記規定を満たす銅粉粒子は粘性の低い導電ペーストを構成する上で極めて望ましいものであるが、実際にペーストの製造現場で使用されるのは個々の粒子の集合である「銅粉」であるから、銅粉としての適性を評価することも品質管理上重要である。そこで、本発明では、粉末を構成する個々の粒子の前記(1)式で定義される表面指数SFの平均値SFm(以下、SFmを「平均表面指数」という)が1以下である導電ペースト用銅粉を提供する。
【0018】
またその際、同じ方法で製造された粒子からなる銅粉であれば、平均表面指数SFmを求める上で、必ずしも多数の粒子について表面指数SFを定める必要はなく、少数の粒子について以下のようにしてSF値を定めることで十分精度良く銅粉の適性を判断できることを、本発明者らは統計的に確認することができた。すなわち、SFm値は、同じ方法で製造された粉末粒子の中から任意に選んだ6個の粒子についてのSF値のうち、最大値と最小値を除いた4点を算術平均することによって定めたものを提供する。ここで、同じ方法で製造された粉末粒子とは、粒子の形成過程およびその後に受けた処理過程が共通する粉末粒子であり、例えば原料の銅から同一ロットで製造された粉末を構成する粒子はこれに該当する。また、別ロットで製造された粉末であっても、製造条件・処理条件が同じである限り、それらを混合した粉末を構成する粒子もこれに該当する。
【0019】
以上のような銅粉はそのまま樹脂に混練して導電ペーストとしても良いし、あるいは上記銅粉と他の種類の銅粉を混合したのち、その混合銅粉を樹脂に混練して導電ペーストとしても良い。そこで本発明では、上記銅粉、あるいは上記銅粉と他の種類の銅粉を混合した混合銅粉であって、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が730cpsのエポキシ樹脂8重量%に、上記銅粉あるいは上記混合銅粉92重量%を混練し、この混練物の粘度をB型粘度計を用いて10rpmで測定したとき、300Pa・sec以下の粘度を示す導電ペースト用銅粉を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
前述のように、水酸化銅を水に懸濁させた懸濁液に還元剤を添加して亜酸化銅に一次還元し、この亜酸化銅を水に懸濁させた懸濁液に還元剤を添加して金属銅に二次還元するいわゆる湿式還元法で製造される銅粉は、粒径や粒子形状も導電ペースト用として適したものが得られる。例えば、平均粒径が0.1〜10μm好ましくは3〜10μm更に好ましくは4〜8μmで、比表面積(BET法で測定して)が0.1〜10m2/g 好ましくは0.1〜1.0m2/g のものが安定して得られる。しかし、その粒子はたとえ球状に近い形状を有していても、実際には平らな結晶面が多面的に露出した多面体形状を有しており、このために結晶面の辺では角張りがあり、全体としては粒子表面は凸凹した状態となっている。このような角張りのある表面状態は、アトマイズ粉のように溶融処理されたものとは基本的に相違している。
【0021】
そして、このような角張り(凹凸)があることが、導電ペーストの粘性を下げるのに支障となることがわかった。すなわち湿式還元法で得られた銅粉が、導電ペーストの粘性を下げることのできない理由はここにある。本発明者らは、該銅粉に対して粒径や比表面積等は変化させないで、該角張り部分を滑らかな曲面にすると、導電ペーストの粘性を著しく下げることができることを見出した。すなわち、樹脂に分散させる前に、粒子同士を機械的に衝突させるような前処理を行ない、角張り部分を減らして滑らかな曲面をもつ粒子としてから、樹脂に分散させると、処理前のものに比べて著しく粘性を低下させることができることがわかった。
【0022】
この処理は粉体の流動化によって行うことができ、この流動化は機械的に粉体を流動化させる装置、例えば筒型高速攪拌機(流動ミキサー)によるのが便利である。すなわち、各粒子に運動量を与え、その運動する粒子同士を互いに衝突させることにより、粒子表面の角張り部分を平滑化する処法によれば、粒径と比表面積は殆んど変化させずに、各粒子の表面を滑らかにすることができる。筒型高速攪拌機は、筒状の密閉容器(軸を垂直方向にした円筒型容器)の内部下方に設けた回転羽根によって粉体に遠心力と浮揚力を与えることができ、これにより容器内を粉体が流動するので、この流動の間に表面が平滑化される。
【0023】
湿式還元法の最終段階では、液中で生成した金属銅の微粉を液から分離し、分離された固形分から水分が除去されるが、この乾燥処理された状態ではいわゆるケーキ状となっているので、これを解砕機で解砕処理し、粒子同士をばらばらに単離することが必要である。解砕機では付着している粒子に衝撃を付与して互いに解離させるが、この解砕処理では粒子表面の凹凸が除去されて表面が平滑になることはあまり期待できない。このため、銅粉ケーキを解砕して得た銅粉ままでは、樹脂に分散させたときに高い粘性を示すようになる。例えば、後記の実施例に示すように、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が0.73Pa・secのエポキシ樹脂8重量%に対し、この解砕した銅粉92重量%を混練し、B型粘度計を用いてこの混練物の粘度を10rpmで測定した場合、通常は400Pa・sec以上の粘度を示すようになり、300Pa・sec以下、場合によっては200Pa・sec以下と言った低粘度は到底望めない。
【0024】
これに対し、前記のように粒子同士を機械的に衝突させて表面平滑化処理を施した銅粉の場合には、同じ湿式還元法で得られたものであるにしても、前記同様ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が0.73Pa・secのエポキシ樹脂8重量%に対し、この表面平滑化処理した銅粉92重量%を混練し、B型粘度計を用いてこの混練物の粘度を10rpmで測定した場合、通常は300Pa・sec以下、さらには250Pa・sec以下、場合によってはさらに200Pa・sec以下と言った低粘性を示すことがわかった。
【0025】
また、湿式還元法で製造された銅粉に、無機物または有機物を被覆したうえ、粒子同士を機械的に衝突させる表面平滑化処理を施した場合にも、同様に低粘性を示すことがわかった。導電ペースト用銅粉においては、導電率をさらに向上させるために銀等の金属で銅粉表面を被覆したり、表面酸化を防止するためにカルボン酸例えばステアリン酸等の有機化合物で被覆することも有利であり、このような被覆処理は、湿式還元法による銅粉の製造の場合にはその最終的な段階で行うことができる。そして、この被覆処理を施した銅粉に対して、前記同様に粒子同士を機械的に衝突させて表面平滑化処理を行なった場合には、被覆された部分を損傷することなく表面を平滑化することができ、したがって、被覆したことによる特性を具備したまま、低粘性の導電ペーストが得られることがわかった。
【0026】
次に、導電ペーストに適した銅粉を粒子の表面形態から特定する手法について説明する。
先述のように、本発明ではJIS B 0601(1994)およびJIS B 0660(1998)に規定される表面粗さの概念を銅粉粒子のミクロ的な表面凹凸について適用する。すなわち、JISで定義される粗さ曲線と同様の概念で「粒子表面の粗さ曲線」を定める。その際、理想的には、粒子表面のきるだけ広い面積について数多くの粗さ曲線を測定し、各種パラメータの算出にはそれら全ての粗さ曲線を考慮するのが、正確さを期す上で望ましいと考えられる。しかし、現実には粉末サンプルを電子顕微鏡で観察し、その視野中で粗さ曲線を測定する必要があることから、1つの粒子の表面全体にわたって粗さ曲線を測定することは困難であり、どうしても粒子表面の一部からの情報によってその粒子の形態を代表的に表す手法を確立しなければ不便である。そこで本発明者らは鋭意研究した結果、例えば以下のような手法で「粒子表面の粗さ曲線」を定めることによって、導電ペースト用原料としての適否を十分な有意差をもって評価し得ることを見出した。
【0027】
すなわち、粒子の顕微鏡観察像の中に、該粒子の輪郭をはみ出さないように粒子投影面積の25%以上の投影面積を有する矩形領域を設定し、その矩形領域中に5本以上の平行な測定直線を両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように等間隔にn本設定し、各測定直線に沿って粒子表面の粗さ曲線をn本測定し、これらn本の粗さ曲線をつなぎ合わせて連続曲線としたものを新たに粒子表面の粗さ曲線とする。そして、この新たな粗さ曲線を用いて後述のSF値を求めるのである。
【0028】
ここで、粒子の顕微鏡観察像とは、粉末サンプルを一方向から見た画像(例えば後述の図3〜8に示す電子顕微鏡SEM像)の中に見られる1つの粒子の像である。ただし、他の粒子に隠れて粒子の輪郭が十分に把握できない粒子は測定対象としない。そして、粒子の像の中に矩形領域を設定するのであるが、その際、矩形領域はその境界(辺および頂点)が当該粒子の輪郭をはみ出さないように、かつ、矩形領域の投影面積が粒子投影面積(すなわち粒子の輪郭に囲まれた部分の投影面積)の25%以上の面積率を有するように設定する。当該面積率が25%未満だと、粒子の局所的な凹凸形態を強く反映した粗さ曲線が得られる恐れがあり好ましくない。
【0029】
矩形領域の中に設定する測定直線は、矩形領域全体の情報をなるべく均等に拾うように配置するのが理想的であるため、平行な複数本の直線を、両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように設けるのが良い。測定直線の本数は5本以上とすることが好ましく、より精度を上げるためには10本以上とすることがより好ましい。ただし、あまり本数を増やしても、それに見合ったSF値の精度向上効果は得られなくなるため、20本程度が最も良いと考えられる。図1に、粉末粒子の顕微鏡観察像の中に設ける矩形領域と測定直線の例を模式的に示す。矩形領域は長さaの長辺境界と同bの短辺境界に囲まれ、その投影面積はa×bで表される。粒子の投影面積は、粒子の輪郭を表す線で囲まれた部分の面積である。この図は測定直線を5本設けた場合の例であり、5本のうち両端の2本は矩形領域の長辺境界と一致している。
【0030】
このようにして設けた各測定直線に沿って、粒子表面の凹凸形状を表す粗さ曲線を測定する。具体的測定方法として、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビーム軸のまわりに複数の反射電子検出器を設置した三次元形状解析装置を用いる手法が好適に利用できる。これによると、検出された反射電子情報に基づいて測定直線に沿ったミクロ的な表面凹凸状態を精度良く測定することができる。
【0031】
なお、粗さ曲線はJIS B 0660(1998)の番号1018に規定されているとおり「測定断面曲線から、所定の波長より長い表面うねり成分を位相補償形高域フィルタで除去した曲線」であるため、実際には、断面曲線(断面の切り口に現れる輪郭)の測定データを処理して得られるものである。図2には、断面曲線と粗さ曲線の関係を概念的に示したJIS B 0601(1994)の図1(a)を参考のために示しておく。上記の三次元形状解析装置をはじめ最近のデジタル式粗さ測定装置には、断面曲線から粗さ曲線を自動的に導くソフトウエアが組み込まれており、粗さ曲線の測定が容易になっている。
【0032】
各測定直線に沿って測定された粗さ曲線をすべてつなぎ合わせることによって、矩形領域全体の凹凸形態を反映した1本の連続曲線が得られる。したがって、この連続曲線を新たに粒子表面の粗さ曲線とし、この新たな粗さ曲線に基づいて後述のSF値を求めることで、粒子表面の凹凸形態をより精度良く評価することができるのである。
【0033】
SF値は、銅粉粒子表面の粗さ曲線から得られる表面粗さパラメータによって、その銅粉粒子の導電ペーストに対する適性を評価する指標であり、本発明者らはこれを「表面指数」と呼ぶこととした。表面粗さパラメータは、JIS B 0660(1998)に各種のものが規定されているが、本発明者らは、これらのうち特定の6種類のパラメータを用いて前記(1)式により表面指数SFを導出した。このSFの値によって、導電ペーストの粘性を小さくする上で効果的な銅粉粒子を、ミクロ的な表面形状により定量的に特定することができることを見出したのである。
種々検討の結果、表面指数SFが1以下である銅粉粒子は、導電ペースト用の原料として非常に適していることがわかった。
【0034】
前記(1)式右辺の各パラメータ、すなわち、Rlr,da,Rms,Ra,Ry,Rzは、前述のようにJIS B 0660(1998)の規定に従って粒子表面の粗さ曲線から求めることができる。最近の表面粗さ測定装置には、粗さ曲線のデータを解析して各表面粗さパラメータを算出するソフトウエアが組み込まれているものが多い。本発明でも、そのようなソフトウエアを利用すると便利である。
【0035】
また、粗さ曲線から不要な高周波成分を除去するために、いわゆるフィルター処理を行い、粗さ曲線をスムージングしてもよい。本発明者らの検討によれば、例えば、1本の粗さ曲線あたり640点の高さデータを採取する測定条件の場合、n本の粗さ曲線をつなぎ合わせて得た新たな粗さ曲線は640×n点の高さデータで構成されるが、各点の値を、隣接する片側60点(両側120点)の値の加重平均を差し引くことにより平均化するスムージング手法を用いることが望ましい。重み付けの方式は、中央で1、60番目の端点で0とし、その間をリニアに変化させる三角形方式とする。このように片側60点(両側120点)の値の加重平均を差し引くフィルター処理を、ここでは「W60処理」と呼ぶ。W60処理の場合、640×n点の全高さデータのうち両端各60点はフィルター処理から外れることになるので、各パラメータの算出は両端各60点を除いた部分のデータを用いて行われる。
【0036】
以上説明した表面指数SFは、個々の粒子についての表面性状を特定する指標であり、SF値が1以下である銅粉粒子は粘性の低い導電ペーストを構成する上で極めて望ましいものである。次に、粒子の集合である「粉末」としての適性を評価する平均表面指数SFmについて説明する。
【0037】
前述のように平均表面指数SFmは、粉末を構成する個々の粒子についての上記表面指数SFの平均値を意味する。平均表面指数SFmが1以下である銅粉は、樹脂に混練して導電ペーストとしたとき、低粘性の優れた特性をもたらす。つまり、粒子の集合である粉末として見たとき、表面指数SFが1を超えるような粒子が含まれていたとしても、平均表面指数SFmが1以下である粉末は導電ペースト用銅粉として高い性能を呈するのである。
【0038】
また、同じ方法で製造された粒子からなる銅粉であれば、平均表面指数SFmを求める上で、必ずしも多数の粒子について表面指数SFを求める必要はなく、少数の粒子について求めたSF値を平均することで十分精度良く銅粉の適性を判断できる。同じ方法で製造された粒子は表面凹凸形態の特徴が共通しているため、統計的に少数の粒子の表面指数SFによって粉末全体の平均的表面指数を精度良く推定することができるのである。発明者らの詳細な検討の結果、同じ方法で製造された粒子からなる銅粉の場合、粉末粒子の中から任意に選んだ6個の粒子についてのSF値を求め、その6点のSF値のうち最大値と最小値を除いた4点を算術平均したものを平均表面指数SFmとすることによって、導電ペーストに非常に適した銅粉と適さない銅粉を十分な有意差をもって判別することが可能であった。またこの手法は実際の操業現場においてサンプリングした銅粉を容易に評価することができるため、品質管理上、非常に有効な手法であると言える。
【0039】
SFm値が1以下である銅粉は、そのまま樹脂に混練して導電ペーストとしても良いし、また、SFm値が1以下の銅粉と他の種類の銅粉を混合したのち、これを樹脂に混練して導電ペーストとしても良い。他の種類の銅粉として、例えば、平均粒径のより小さい銅粉が挙げられる。SFm値1以下の銅粉に平均粒径がより小さい銅粉を混ぜると、各粒子の空隙が埋められることにより導電ペーストの導電性が向上し、好ましい。また、特段の処理を施していないSFm値が1を超える安価な銅粉を混合することにより、SFm値1以下の銅粉使用量が減り、コスト低減を図ることも可能である。しかし、いずれにしても、樹脂と混練される銅粉は、導電ペーストの粘性を十分低く維持できるような性質の銅粉でなくてはならない。そのような銅粉として本発明では、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が730cpsのエポキシ樹脂8重量%に、SFm値が1以下である銅粉92重量%、あるいはSFm値が1以下である銅粉と他の種類の銅粉を混合した混合銅粉92重量%を混練し、この混練物の粘度をB型粘度計を用いて10rpmで測定したとき、300Pa・sec以下の粘度を示すものを規定している。
【0040】
【実施例】
〔実施例1〕
硫酸銅水溶液と苛性ソーダ水溶液を、銅1モルに対し苛性ソーダ1.25モルの当量比で混合し、水酸化銅が析出した懸濁液を得る。この懸濁液にブドウ糖液を当量以上添加し、添加後30分間で液の温度を70℃まで昇温したあと、15分間保持し水酸化銅を亜酸化銅に一次還元する。ここまでの処理操作は全て窒素雰囲気下で行う。この液中に空気をバブリングさせて酸化処理したあと、窒素雰囲気中で2日間静置後に上澄液を除去して沈殿をほぼ全量採取し、この沈殿物に純水を追加し、得られた懸濁液に抱水ヒドラジンを当量以上添加して金属銅にまで二次還元する。反応終了後の懸濁液を固液分離し、固形分を120℃の窒素雰囲気中で乾燥し、銅粉ケーキを得る。
【0041】
以上の湿式還元法による銅粉の製法において、空気バブリングの酸化処理の時間だけを変えて、A,BおよびCの3種類の銅粉ケーキを得た。得られた各ケーキをいずれも二分し、一方は解砕機に装入し、窒素雰囲気中で解砕処理して銅粉A1,B1およびC1を得た。他方は、筒型高速攪拌機に装入し、窒素雰囲気中で流動化処理して銅粉A2,B2およびC2を得た。
【0042】
解砕処理に用いた解砕機は、スイングするハンマーを内装した衝撃式粉砕機であり、凝集乾燥した銅粉ケーキを湿式還元法の最終工程で得られた微細粒子に解砕するが、粒子表面を平滑化する機能は殆んど有しない。流動化処理に用いた筒型高速攪拌機は、軸を垂直にした円筒容器の底部に2枚の回転羽根をもつミキサーであり、該羽根の回転により遠心力を付与された粉体は上方向に流動し、この流動の間に粒子同士が衝突を繰り返すことにより、粒子表面の凹凸が平滑化される。
【0043】
銅粉ケーキAを解砕処理した銅粉A1と、流動化処理した銅粉A2の電子顕微鏡SEM像(aは2000倍、bは5000倍)を図3,図4に示した。同じく銅粉ケーキBおよびCを解砕処理した銅粉B1およびC1と、流動化処理した銅粉B2およびC2の電子顕微鏡SEM像(aは2000倍、bは5000倍)を図5,図6および図7,図8に示した。また、これらのSEM像から各銅粉の平均粒径を調査すると共に、BET法による比表面積、かさ密度およびTAP密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0044】
また、各銅粉8重量%をエポキシ樹脂92重量%に振動型ミキサーで混練し、得られたペーストの粘度を測定した。エポキシ樹脂としては、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が0.730Pa・secのエポキシ樹脂を使用し、混練条件も各銅粉について一定とし、 各ペーストの粘度はB型粘度計を用いて回転速度10rpm のもとで25℃で測定した。その結果も表1に併記した。
【0045】
【表1】
Figure 0004556032
【0046】
表1の結果から、流動化処理した銅粉A2,B2およびC2は、流動化処理しない銅粉A1,B1およびC1に比べて、平均粒径、比表面積、かさ密度およびTAP密度はそれほど変わらないが、樹脂と混練したときのペーストの粘度は著しく低下していることがわかる。粒径や比表面積がそれほど変化しないのにペーストの粘度が低下したのは、図3と図4,図5と図6および図7と図8の比較から明らかなように、流動化処理したものは粒子表面の角張りが除去されて滑らかな曲面となったからであると見てよい。
【0047】
〔実施例2〕
図3〜図8に示した6種類の銅粉(A1,A2,B1,B2,C1,C2)について、それぞれ任意に選んだ6個の粒子の表面指数SFを求め、6点のSF値のうち最大値および最小値を除いた4点の値を算術平均することによって平均表面指数SFmを求めた。
【0048】
粒子の表面指数SFを求めるための前記(1)式右辺の表面粗さパラメータは、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S-4700)の電子ビーム軸のまわりに設置された4個の反射電子検出器によって検出された反射電子情報に基づいて試料の表面凹凸状態を三次元的に測定する、三次元形状解析装置((株)日立製作所製、RD-500W)を用いて求めた。その際、粒子の顕微鏡観察像の中に、該粒子の輪郭をはみ出さないように粒子投影面積の約35〜45%の投影面積を有する矩形領域を設定し、その矩形領域中に20本の平行な測定直線を両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように等間隔に設定し、各測定直線に沿って粒子表面の粗さ曲線を20本測定し、これら20本の粗さ曲線をつなぎ合わせて連続曲線としたものを新たに粒子表面の粗さ曲線とし、この新たな粗さ曲線に基づいて、表面粗さパラメータを算出した。上記の新たな粗さ曲線を定める際には、前述のW60処理によりスムージングした。矩形領域を設定してから表面粗さパラメータを算出するまでの上記一連の処理は、予めプログラミングされたソフトウエアを用いてコンピュータにより自動的に行った。
【0049】
測定条件は、使用した走査型電子顕微鏡および三次元形状解析装置において、以下のように設定した。
測定モード: Analysis
Raster Rotation: −40deg
加速電圧: 3kV
Emission Current: 20μA
W.D.: 12mm
対物絞り: 2
Cond Lens 1: 5
GW Pre-amp: 1st stage;Normal,2nd stage;Normal
試料コーティング: ターゲット;PtPa,15mA×300〜400sec
測定倍率: ×30000
プロファイルライン数: 20本
smooth width: W60
【0050】
図9および図10には、例として、それぞれ銅粉A1(比較例)および銅粉A2(発明例)の1つの粒子について、ある測定直線に沿って測定された1本の断面曲線を示してある。図の横軸は測定直線上の距離、縦軸は表面(断面に現れる輪郭)の高さを表している。前述のように、このような断面曲線から所定の波長より長い表面うねり成分を位相補償形高域フィルタで除去することによって、粒子表面の粗さ曲線に変換するのである。図11および図12には、それぞれ銅粉A1および銅粉A2の上記粒子について、設定された矩形領域中で測定された20本の粗さ曲線の例を示してある。図の横軸方向が測定直線の方向に一致している。これら20本の粗さ曲線はコンピュータの内部処理においてつなぎ合わされ、表面粗さパラメータの算出に供される。
【0051】
表2および表3には、例として、それぞれ銅粉A1(比較例)および銅粉A2(発明例)の各6個の粒子について、算出された表面粗さパラメータの値を示してある。各粒子ごとに6種類の表面粗さパラメータの値を前記(1)式に代入することによって表面指数SFを求め、次に、6粒子のSF値のうち最大値と最小値を除いた4点の平均値を算出し、これを銅粉の平均表面指数SFmとした。
表4には、各試料について、このようにして求めた平均表面指数SFmと、表1に示したペーストの粘度を記載した。
【0052】
【表2】
Figure 0004556032
【0053】
【表3】
Figure 0004556032
【0054】
【表4】
Figure 0004556032
【0055】
表4からわかるように、平均表面指数SFmが1以下である発明例の銅粉A2,B2,C2を用いた導電ペーストは、いずれも300Pa・sec以下の十分に低い粘度を呈しており、優れた性能を有するものであった。これに対し、平均表面指数SFmが高い比較例の銅粉A1,B1,C1を用いた導電ペーストでは、十分低い粘度を得ることができず、性能は劣っていた。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、高い充填率で樹脂に混練しても粘度の低いペーストにすることができる銅粉を湿式還元法で製造することができ、その結果、高品質の銅ペーストを安定して得ることができる。
また、粘度の低いペーストを得るのに適した銅粉粒子の形態を、粒子の表面形状の点から定量的に特定することが可能になった。同時に、粒子の集合である「銅粉」としての適性も定量的に把握することができた。このため、従来、ある銅粉が導電ペーストに適するものであるかどうかは、基本的にできあがったペーストの特性を調査するまで判らなかったものが、樹脂に混練する前の原料段階の銅粉において、その適性を判定することが可能となった。したがって、本発明は、銅粉および導電ペーストの品質管理を容易にし、高品質の導電ペーストの普及に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末粒子の顕微鏡観察像の中に設ける矩形領域と測定直線の例を示す模式図。
【図2】断面曲線と粗さ曲線の関係を概念的に示したJIS B 0601(1994)の図1(a)の抜粋である。
【図3】銅粉ケーキAを解砕処理して得た銅粉A1の電子顕微鏡SEM像であり、図3の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図4】銅粉ケーキAを流動化処理して得た銅粉A2の電子顕微鏡SEM像であり、図4の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図5】銅粉ケーキBを解砕処理して得た銅粉B1の電子顕微鏡SEM像であり、図5の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図6】銅粉ケーキBを流動化処理して得た銅粉B2の電子顕微鏡SEM像であり、図6の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図7】銅粉ケーキCを解砕処理して得た銅粉C1の電子顕微鏡SEM像であり、図7の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図8】銅粉ケーキCを流動化処理して得た銅粉C2の電子顕微鏡SEM像であり、図8の(a)は2000倍、(b)は5000倍のものである。
【図9】銅粉A1(比較例)の1つの粒子について、ある測定直線に沿って測定された1本の断面曲線を示す図である。
【図10】銅粉A2(発明例)の1つの粒子について、ある測定直線に沿って測定された1本の断面曲線を示す図である。
【図11】銅粉A1(比較例)の1つの粒子について、設定された矩形領域中で測定された20本の粗さ曲線を示す図である。
【図12】銅粉A2(発明例)の1つの粒子について、設定された矩形領域中で測定された20本の粗さ曲線を示す図である。

Claims (10)

  1. 下記(1)式で定義される表面指数SFが1以下である導電ペースト用銅粉粒子。
    SF=(Rlr−100)×da×Rms×Ra×Ry×Rz×108 ・・・(1)
    ここで、(1)式右辺の各変数は以下に定義される表面粗さパラメータであり、粒子表面の粗さ曲線から求まるものである。粗さ曲線はJIS B 0660(1998)の番号1018に規定されている。
    Rlr:JIS B 0660(1998)の番号3008に規定される「粗さ曲線の展開長さ率lr」の値に100を乗じて%表示した値
    da:JIS B 0660(1998)の番号4003に規定される「粗さ曲線の算術平均傾斜Δa」の値
    Rms:JIS B 0660(1998)の番号2011に規定される「粗さ曲線の二乗平均平方根粗さRq」の値
    Ra:JIS B 0660(1998)の番号2010に規定される「粗さ曲線の算術平均粗さRa」の値
    Ry:JIS B 0660(1998)の番号2006に規定される「粗さ曲線の最大高さRy」の値
    Rz:JIS B 0660(1998)の番号2007に規定される「粗さ曲線の十点平均粗さRz」の値
  2. 粒子の顕微鏡観察像の中に、該粒子の輪郭をはみ出さないように粒子投影面積の25%以上の投影面積を有する矩形領域を設定し、その矩形領域中に5本以上の平行な測定直線を両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように等間隔にn本設定し、各測定直線に沿って粒子表面の粗さ曲線をn本測定し、これらn本の粗さ曲線をつなぎ合わせて連続曲線としたものを新たに粒子表面の粗さ曲線とし、この新たな粗さ曲線に基づいてSF値を求めたとき、SF値が1以下である請求項に記載の導電ペースト用銅粉粒子。
  3. 粒子表面の粗さ曲線は、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビーム軸のまわりに設置された複数の反射電子検出器によって検出された反射電子情報に基づいて粒子表面の凹凸状態を三次元的に測定することによって求めたものである、請求項またはに記載の粒子。
  4. 粉末を構成する個々の粒子の下記(1)式で定義される表面指数SFの平均値SFmが1以下である導電ペースト用銅粉。
    SF=(Rlr−100)×da×Rms×Ra×Ry×Rz×108 ・・・(1)
    ここで、(1)式右辺の各変数は以下に定義される表面粗さパラメータであり、粒子表面の粗さ曲線から求まるものである。粗さ曲線はJIS B 0660(1998)の番号1018に規定されている。
    Rlr:JIS B 0660(1998)の番号3008に規定される「粗さ曲線の展開長さ率lr」の値に100を乗じて%表示した値
    da:JIS B 0660(1998)の番号4003に規定される「粗さ曲線の算術平均傾斜Δa」の値
    Rms:JIS B 0660(1998)の番号2011に規定される「粗さ曲線の二乗平均平方根粗さRq」の値
    Ra:JIS B 0660(1998)の番号2010に規定される「粗さ曲線の算術平均粗さRa」の値
    Ry:JIS B 0660(1998)の番号2006に規定される「粗さ曲線の最大高さRy」の値
    Rz:JIS B 0660(1998)の番号2007に規定される「粗さ曲線の十点平均粗さRz」の値
  5. 粒子の顕微鏡観察像の中に、該粒子の輪郭をはみ出さないように粒子投影面積の25%以上の投影面積を有する矩形領域を設定し、その矩形領域中に5本以上の平行な測定直線を両端の2本が矩形領域長辺境界に一致するように等間隔にn本設定し、各測定直線に沿って粒子表面の粗さ曲線をn本測定し、これらn本の粗さ曲線をつなぎ合わせて連続曲線としたものを新たに粒子表面の粗さ曲線とし、この新たな粗さ曲線に基づいて求めたSF値の平均値SFmが1以下である、請求項に記載の導電ペースト用銅粉。
  6. 粒子表面の粗さ曲線は、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビーム軸のまわりに設置された複数の反射電子検出器によって検出された反射電子情報に基づいて粒子表面の凹凸状態を三次元的に測定することによって求めたものである、請求項またはに記載の導電ペースト用銅粉。
  7. SFm値は、同じ方法で製造された粉末粒子の中から任意に選んだ6個の粒子についてのSF値のうち、最大値と最小値を除いた4点を算術平均することによって定めたものである、請求項6のいずれかに記載の導電ペースト用銅粉。
  8. 請求項7のいずれかに記載の銅粉であって、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が730cpsのエポキシ樹脂8重量%に、上記銅粉92重量%を混練し、この混練物の粘度をB型粘度計を用いて10rpmで測定したとき、300Pa・sec以下の粘度を示す導電ペースト用銅粉。
  9. 請求項7のいずれかに記載の銅粉と他の種類の銅粉を混合した混合銅粉であって、ダイマー酸をグリシジルエステル化したエポキシ当量が446g/eqで且つ25℃粘度が730cpsのエポキシ樹脂8重量%に、上記混合銅粉92重量%を混練し、この混練物の粘度をB型粘度計を用いて10rpmで測定したとき、300Pa・sec以下の粘度を示す導電ペースト用混合銅粉。
  10. 請求項9のいずれかに記載の銅粉に樹脂を混練した導電ペースト。
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