JP2000082331A - 導電ペースト - Google Patents

導電ペースト

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルーホール内のボイドの発生を防止し、耐
マイグレーション性に優れ、かつ抵抗値の変化を防止す
ることができる。 【解決手段】 熱硬化性樹脂及び導電粉を含む導電ペー
ストにおいて、導電粉が球状又は略楕円形状の導電粉と
偏平状の導電粉で、導電粉が導電性を有し、酸化され易
い金属からなる内層と耐酸化性に優れ、かつ導電性を有
する金属からなる表皮層の2層からなり、しかも溶剤を
含まない導電ペースト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電ペーストに関す
る。
【0002】
【従来の技術】印刷配線板上に導電回路を形成する方法
の1つに、電子材料、1994年10月号の42〜46
頁に記載されているように、導電ペーストを用いる方法
がある。特に、導電粉として銀粉を用いた導電ペースト
は、導電性が良好なことから印刷配線基板、電子部品な
どの配線導体や電極となる導電層の形成に使用されてい
る。
【0003】このように導電ペーストを用いる方法は、
導電粉をバンイダに分散させ、ペースト状にした導電ペ
ーストを基板に塗布(印刷)して所定のパターン形状の
導電層を形成する方法である。
【0004】従来の導電ペーストは、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をバンイダ成分とし、こ
のバインダ成分を有機溶剤に溶解させ、それに銀粉等の
導電粉を加えてペースト状に混練したものである
【0005】このような導電ペーストは、基板に印刷
(塗布)し、またスルーホール接続を行うために適した
粘度をもつことが必要である。しかしながら、溶剤を含
む導電ペーストは、スルーホール内を充填する用途に用
いた場合、内部にボイドを生じ信頼性を低下させ好まし
いものではなかった。
【0006】また導電粉が、銀粉からなり略球状の粒子
を用いる場合、導電性は良好であるが、銀のマイグレー
ションを防止することができず、スルーホールピッチが
1.5mmより微細な高密度配線板を得るには信頼性が著
しく低下する欠点があった。一方、導電粉が、銅粉から
なり略球状の粒子を用いる場合、耐マイグレーション性
は良好であるが、銅の酸化に伴う抵抗値の変化を防止す
ることが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
は、スルーホール内のボイドの発生を防止し、耐マイグ
レーション性に優れ、かつ抵抗値の変化を防止すること
ができる導電ペーストを提供するものである。請求項2
記載の発明は、請求項1記載の発明のうち、特に耐マイ
グレーション性に優れ、また請求項1記載の発明に加え
て、導電性に優れる導電ペーストを提供するものであ
る。請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明のう
ち、特に耐マイグレーション性に優れる導電ペーストを
提供するものである。請求項4記載の発明は、請求項1
記載の発明のうち、特に耐マイグレーション性に優れ、
また請求項1記載の発明に加えて、粘度の上昇を小さく
することができる導電ペーストを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱硬化性樹脂
及び導電粉を含む導電ペーストにおいて、導電粉が球状
又は略楕円形状の導電粉と偏平状の導電粉で、導電粉が
導電性を有し、酸化され易い金属からなる内層と耐酸化
性に優れ、かつ導電性を有する金属からなる表皮層の2
層からなり、しかも溶剤を含まない導電ペーストに関す
る。また、本発明は、導電性を有し、酸化され易い金属
が銅であり、耐酸化性に優れ、かつ導電性を有する金属
が銀である導電ペーストに関する。また、本発明は、導
電粉が凝集を解砕したものである導電ペーストに関す
る。さらに、本発明は、球状又は略楕円形状導電粉と偏
平状導電粉の割合が、重量比で球状又は略楕円形状導電
粉:偏平状導電粉が98:2〜80:20である導電ペ
ーストに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる熱硬化性樹脂
は、強度、接着性、硬化性等の点でエポキシ樹脂を用い
ることが好ましい。エポキシ樹脂は、溶剤を含まず常温
で液状のものが好ましい。常温で結晶化するものは液状
物と混合することで結晶化を回避できる。例えばエポキ
シ基を1個有する低分子量の液状のモノエポキシ化合物
を30%以下使用してもよい。本発明における常温で液
状のエポキシ樹脂とは、例えば常温で固形のものでも常
温で液状のエポキシ樹脂と混合することで常温で安定し
て液状のエポキシ樹脂となるものも含む。なお、本発明
において常温とは約25℃を意味する。熱硬化性樹脂
は、上記のエポキシ樹脂と溶剤を含まないフェノール樹
脂を併用して用いても差し支えない。
【0010】本発明で用いられるエポキシ樹脂は公知の
ものが用いられ、例えばビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げら
れる。エポキシ基を1個有する低分子量の液状モノエポ
キシ化合物としては、例えばn−ブチルグリシジルエー
テル、スチレンオキサイド、エチルヘキシルグリシジル
エーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリ
シジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、
カージュラE(シェル化学(株)商品名)等のような通常
のエポキシ樹脂の反応性希釈剤として用いられるエポキ
シ樹脂が挙げられる。またエポキシ樹脂と併用して用い
られるフェノール樹脂は、例えばフェノール、o−クレ
ゾール、p−クレゾール、p−t−アミルフェノール、
p−t−オクチルフェノール、キシレノール等の炭素数
1〜6のアルキル基を1つ又は2つ以上有するアルキル
置換フェノール、ビスフェノールA型、ビスフェノール
F型等のビスフェノール類などが挙げられる。
【0011】一方、本発明で用いられる導電粉は、形状
が球状又は略楕円形状導電粉と偏平状導電粉が用いら
れ、このうち略楕円形状の導電粉は、完全に球状である
必要はなく導電粉の粒子の長径と短径の比率(長径/短
径)が3未満、好ましくは2.5以下のものを略楕円形
状として用いることができる。また偏平状導電粉は、導
電粉の粒子の長径と短径の比率(長径/短径)が3以
上、好ましくは4以上ものを偏平状導電粉として用いる
ことができる。本発明における長径と短径の比率とは、
粘度の低い熱硬化性樹脂中に導電粉の粒子をよく混合
し、静置して粒子を沈降させると共にそのまま樹脂を硬
化させ、得られた硬化物を垂直方向に切断し、その切断
面に現れる粒子の形状を電子顕微鏡で拡大して観察し、
少なくとも100個の粒子について一つ一つの粒子の長
径/短径を求め、それらの平均値をもって長径と短径の
比率とする。
【0012】ここで、短径とは、前記切断面に現れる粒
子について、その粒子の外側に接する二つの平行線の組
み合わせを粒子を挾むように選択し、それらの組み合わ
せのうち最短間隔になる二つの平行線の距離である。一
方、長径とは、前記短径を決する平行線に直角方向の二
つの平行線であって、粒子の外側に接する二つの平行線
の組み合わせのうち、最長間隔になる二つの平行線の距
離である。これらの四つの線で形成される長方形は、粒
子がちょうどその中に納まる大きさとなる。
【0013】球状又は略楕円形状導電粉と偏平状導電粉
の割合は、重量比で球状又は略楕円形状導電粉:偏平状
導電粉が98:2〜80:20であればペーストの粘度
の上昇を小さくすることができるので好ましく、98:
2〜90:10であることがさらに好ましい。
【0014】本発明で用いる導電粉は、内層と表皮層の
2層構造からなり、このうち内層とは表皮層を除いた内
部の層のことを指し、この内層には導電性を有し、酸化
され易い金属から構成され、例えば銅、アルミニウム等
が挙げられ、このうち銅を用いることが好ましい。内層
に用いられる金属粒子の平均粒径は1〜20μmが好ま
しく、3〜15μmであることがさらに好ましい。また
表皮層には耐酸化性に優れ、かつ導電性を有する金属か
ら構成され、例えば銀、ニッケル、ロジウム、金、白金
等が挙げられ、このうち表皮層を形成するのに際し形成
し易さ、コスト等の点から銀を用いることが好ましい。
表皮層の厚さは0.05〜3.0μmが好ましく、0.
1〜2.0μmであることがさらに好ましい。
【0015】なお本発明において導電粉の内層は表皮層
で完全に覆われている必要はなく、内層の表面積の20
%以下が表面に露出していても差し支えない。また導電
粉は、表面の30%以上が平滑化された粉末、詳しくは
表面の凹凸が30%未満の粉末を用いれば、耐マイグレ
ーション性及び導電性に優れるので好ましい。導電粉に
は凝集したものが含まれることがあるが、このような場
合は凝集を解砕して用いれば熱硬化性樹脂と均一に混合
できるので好ましい。
【0016】熱硬化性樹脂と導電粉の配合割合は、熱硬
化性樹脂が5〜25重量%に対し導電粉が75〜95重
量%の範囲が好ましく、熱硬化性樹脂が5〜20重量%
に対し導電粉が80〜95重量%の範囲がさらに好まし
い。
【0017】本発明になる導電ペーストは、上記材料の
他に2エチル4メチルイミダゾール、ジシアンジアミド
等の硬化剤、必要に応じてベンゾチアゾール、ベンゾイ
ミダゾール等の腐食抑制剤を添加して均一に混合して得
られる。硬化剤の含有量は、作業性の点で熱硬化性樹脂
100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲である
ことが好ましく、1〜8重量部の範囲であることがさら
に好ましい。必要に応じて添加される腐食抑制剤の含有
量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜3重
量部の範囲であることが好ましい。
【0018】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。 実施例1 熱硬化性樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂
(油化シエルエポキシ(株)製、商品名エピコート82
8)7重量部、モノエポキシ化合物としてアルキルフェ
ノールのグリシジルエーテル(旭電化工業(株)製、商品
名ED−509)3.5重量部及び硬化剤として2−エ
チル−4メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商
品名キュアゾール2E4MZ)2重量部を加えてらいか
い機で30分間均一に混合した。
【0019】一方、内層が銅及び表皮層が銀で、かつ長
軸と短軸の比率(長径/短径)が1.8で平均粒径が
5.8μmの略楕円形状複合導電粉84.5重量部及び
長軸と短軸の比率(長径/短径)が3.6で平均粒径が
7.3μmの偏平状複合導電粉3.5重量部を上記の樹
脂混合物に添加し、らいかい機で30分間均一に混合し
て粘度が20Pa・sの溶剤を含まない導電ペーストを得
た。なお略楕円形状複合導電粉と偏平状複合導電粉の割
合は、略楕円形状複合導電粉96.0重量%に対し偏平
状複合導電粉は4.0重量%であった。また熱硬化性樹
脂と2種類の複合導電粉の配合割合は、熱硬化性樹脂が
12.4重量%に対し2種類の複合導電粉は87.6重
量%であった。
【0020】次に上記で得た導電ペーストを用いて、厚
さが1.6mmのガラスエポキシ銅張積層板(日立化成工
業(株)製、商品名MCL−E−670)の銅箔をエッチ
ングして除去した面に、図1に示すテストパターン1を
印刷した。なお図1において2はガラスエポキシ銅張積
層板である。また前記のガラスエポキシ銅張積層板2に
図2に示すように直径が0.4mmのスルーホール3を形
成し、このスルーホール3に導電ペーストを充填すると
共にスルーホール3間を印刷して接続した。なお隣接す
るスルーホール3の間隔は1.3mmとした。
【0021】この後、上記で印刷したものを、それぞれ
25℃で10分間静置した後、155℃、45分間の条
件で加熱処理を行って配線板を得た。得られた配線板の
特性を評価した結果、導体の比抵抗は520μΩ−cm及
びスルーホール1穴あたりの抵抗値は80mΩ/穴であ
り、スルーホール内部にボイドの発生は見られなかっ
た。また隣接するスルーホール間に50Vの直流電圧を
印加し、40±1℃、90〜95%RHに設定した恒温
恒湿槽内に放置して耐マイグレーション性を評価した結
果、1000時間後の絶縁抵抗は108Ω以上であっ
た。
【0022】比較例1 平均粒径が5.2μmの銀粉87.5重量部を実施例1
で得た樹脂混合物に添加し、以下実施例1と同様の工程
を経て粘度が20Pa・sの溶剤を含まない導電ペーストを
得た。次に実施例1と同様の工程を経て配線板を得た
後、配線板の特性を評価した結果、導体の比抵抗は65
0μΩ−cm及びスルーホール1穴あたりの抵抗値は7
2mΩ/穴であり、スルーホール内部にはボイドが発生
していた。また実施例1と同様の方法で耐マイグレーシ
ョン性を評価した結果、712時間を経過した時点でマ
イグレーションが発生し、絶縁抵抗は106Ω台に低下
した。
【0023】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、スルーホール内
のボイドの発生を防止し、耐マイグレーション性に優
れ、かつ抵抗値の変化を防止することができる。請求項
2記載の発明は、請求項1記載の発明のうち、特に耐マ
イグレーション性に優れ、また請求項1記載の発明に加
えて、導電性に優れる。請求項3記載の発明は、請求項
1記載の発明のうち、特に耐マイグレーション性に優れ
る。請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明のう
ち、特に耐マイグレーション性に優れ、また請求項1記
載の発明に加えて、粘度の上昇を小さくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスエポキシ銅張積層板の銅箔をエッチング
した面にテストパターンを印刷した状態を示す平面図で
ある。
【図2】ガラスエポキシ銅張積層板に形成したスルーホ
ールに導電ペーストを充填すると共にスルーホール間を
印刷して接続した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 テストパターン 2 ガラスエポキシ銅張積層板 3 スルーホール
フロントページの続き (72)発明者 下田 修一郎 茨城県日立市鮎川町三丁目3番1号 日立 化成工業株式会社山崎工場内 (72)発明者 ▲桑▼島 秀次 茨城県日立市鮎川町三丁目3番1号 日立 化成工業株式会社山崎工場内 Fターム(参考) 4J038 DA042 DB001 HA066 KA15 KA20 NA20 5G301 DA03 DA04 DA05 DA06 DA10 DA12 DA42 DA55 DA57 DD01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂及び導電粉を含む導電ペー
    ストにおいて、導電粉が球状又は略楕円形状の導電粉と
    偏平状の導電粉で、導電粉が導電性を有し、酸化され易
    い金属からなる内層と耐酸化性に優れ、かつ導電性を有
    する金属からなる表皮層の2層からなり、しかも溶剤を
    含まない導電ペースト。
  2. 【請求項2】 導電性を有し、酸化され易い金属が銅で
    あり、耐酸化性に優れ、かつ導電性を有する金属が銀で
    ある請求項1記載の導電ペースト。
  3. 【請求項3】 導電粉が凝集を解砕したものである請求
    項1又は2記載の導電ペースト。
  4. 【請求項4】 球状又は略楕円形状導電粉と偏平状導電
    粉の割合が、重量比で球状又は略楕円形状導電粉:偏平
    状導電粉が98:2〜80:20である請求項1、2又
    は3記載の導電ペースト。
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