JP4264768B2 - 導電ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷配線板上に導電回路を形成する方法の1つに、電子材料、1994年10月号の42〜46頁に記載されているように、導電ペーストを用いる方法がある。特に、導電粉として銀粉を用いた導電ペーストは、導電性が良好なことから印刷配線基板、電子部品などの配線導体や電極となる導電層の形成に使用されている。
【0003】
このように導電ペーストを用いる方法は、導電粉をバンイダに分散させ、ペースト状にした導電ペーストを基板に塗布(印刷)して所定のパターン形状の導電層を形成する方法である。
【0004】
従来の導電ペーストは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をバンイダ成分とし、このバインダ成分を有機溶剤に溶解させ、それに銀粉等の導電粉を加えてペースト状に混練したものである。
【0005】
このような導電ペーストは、基板に印刷(塗布)し、またスルーホール接続を行うために適した粘度をもつことが必要である。しかしながら、溶剤を含む導電ペーストは、スルーホール内を充填する用途に用いた場合、内部にボイドを生じ信頼性を低下させ好ましいものではなかった。
【0006】
また導電粉が、銀粉からなり略球状の粒子を用いる場合、導電性は良好であるが、銀のマイグレーションを防止することができず、スルーホールピッチが1.5mmより微細な高密度配線板を得るには信頼性が著しく低下する欠点があった。一方、導電粉が、銅粉からなり略球状の粒子を用いる場合、耐マイグレーション性は良好であるが、銅の酸化に伴う抵抗値の変化を防止することが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、スルーホール内のボイドの発生を防止し、耐マイグレーション性に優れ、かつ抵抗値の変化を防止することができ、導電性に優れ、粘度の上昇を小さくすることができる導電ペーストを提供するものである。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明のうち、特に耐マイグレーション性に優れる導電ペーストを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱硬化性樹脂及び導電粉を含む導電ペーストにおいて、導電粉が長径と短径の比率(長径/短径)3未満の楕円形状の導電粉と長径と短径の比率(長径/短径)3以 上の偏平状の導電粉で、導電粉が導電性を有し、銅からなる内層と銀からなる表皮層の2層からなり、重量比で長径と短径の比率(長径/短径)3未満の導電粉:長径と短径の比率3以上の偏平状導電粉が98:2〜80:20で、しかも溶剤を含まない導電ペーストに関する。また、本発明は、導電粉が凝集を解砕したものである導電ペーストに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂は、強度、接着性、硬化性等の点でエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂は、溶剤を含まず常温で液状のものが好ましい。常温で結晶化するものは液状物と混合することで結晶化を回避できる。例えばエポキシ基を1個有する低分子量の液状のモノエポキシ化合物を30%以下使用してもよい。本発明における常温で液状のエポキシ樹脂とは、例えば常温で固形のものでも常温で液状のエポキシ樹脂と混合することで常温で安定して液状のエポキシ樹脂となるものも含む。なお、本発明において常温とは約25℃を意味する。熱硬化性樹脂は、上記のエポキシ樹脂と溶剤を含まないフェノール樹脂を併用して用いても差し支えない。
【0010】
本発明で用いられるエポキシ樹脂は公知のものが用いられ、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ基を1個有する低分子量の液状モノエポキシ化合物としては、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、カージュラE(シェル化学(株)商品名)等のような通常のエポキシ樹脂の反応性希釈剤として用いられるエポキシ樹脂が挙げられる。またエポキシ樹脂と併用して用いられるフェノール樹脂は、例えばフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、p−t−アミルフェノール、p−t−オクチルフェノール、キシレノール等の炭素数1〜6のアルキル基を1つ又は2つ以上有するアルキル置換フェノール、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のビスフェノール類などが挙げられる。
【0011】
一方、本発明で用いられる導電粉は、形状が楕円形状導電粉と偏平状導電粉が用いられ、このうち楕円形状の導電粉は、完全に球状である必要はなく導電粉の粒子の長径と短径の比率(長径/短径)が3未満、好ましくは2.5以下のものを略楕円形状として用いることができる。また偏平状導電粉は、導電粉の粒子の長径と短径の比率(長径/短径)が3以上、好ましくは4以上ものを偏平状導電粉として用いることができる。本発明における長径と短径の比率とは、粘度の低い熱硬化性樹脂中に導電粉の粒子をよく混合し、静置して粒子を沈降させると共にそのまま樹脂を硬化させ、得られた硬化物を垂直方向に切断し、その切断面に現れる粒子の形状を電子顕微鏡で拡大して観察し、少なくとも100個の粒子について一つ一つの粒子の長径/短径を求め、それらの平均値をもって長径と短径の比率とする。
【0012】
ここで、短径とは、前記切断面に現れる粒子について、その粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせを粒子を挾むように選択し、それらの組み合わせのうち最短間隔になる二つの平行線の距離である。一方、長径とは、前記短径を決する平行線に直角方向の二つの平行線であって、粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせのうち、最長間隔になる二つの平行線の距離である。これらの四つの線で形成される長方形は、粒子がちょうどその中に納まる大きさとなる。
【0013】
楕円形状導電粉と偏平状導電粉の割合は、重量比で楕円形状導電粉:偏平状導電粉が98:2〜80:20であればペーストの粘度の上昇を小さくすることができるので好ましく、98:2〜90:10であることがさらに好ましい。
【0014】
本発明で用いる導電粉は、内層と表皮層の2層構造からなり、このうち内層とは表皮層を除いた内部の層のことを指し、この内層には導電性を有し、酸化され易い金属から構成され、銅を用いる。内層に用いられる金属粒子の平均粒径は1〜20μmが好ましく、3〜15μmであることがさらに好ましい。また表皮層には耐酸化性に優れ、かつ導電性を有する金属から構成され、表皮層を形成するのに際し形成し易さ、コスト等の点から銀を用いる。表皮層の厚さは0.05〜3.0μmが好ましく、0.1〜2.0μmであることがさらに好ましい。
【0015】
なお本発明において導電粉の内層は表皮層で完全に覆われている必要はなく、内層の表面積の20%以下が表面に露出していても差し支えない。また導電粉は、表面の30%以上が平滑化された粉末、詳しくは表面の凹凸が30%未満の粉末を用いれば、耐マイグレーション性及び導電性に優れるので好ましい。導電粉には凝集したものが含まれることがあるが、このような場合は凝集を解砕して用いれば熱硬化性樹脂と均一に混合できるので好ましい。
【0016】
熱硬化性樹脂と導電粉の配合割合は、熱硬化性樹脂が5〜25重量%に対し導電粉が75〜95重量%の範囲が好ましく、熱硬化性樹脂が5〜20重量%に対し導電粉が80〜95重量%の範囲がさらに好ましい。
【0017】
本発明になる導電ペーストは、上記材料の他に2エチル4メチルイミダゾール、ジシアンジアミド等の硬化剤、必要に応じてベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール等の腐食抑制剤を添加して均一に混合して得られる。硬化剤の含有量は、作業性の点で熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲であることが好ましく、1〜8重量部の範囲であることがさらに好ましい。必要に応じて添加される腐食抑制剤の含有量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲であることが好ましい。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
実施例1
熱硬化性樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ(株)製、商品名エピコート828)7重量部、モノエポキシ化合物としてアルキルフェノールのグリシジルエーテル(旭電化工業(株)製、商品名ED−509)3.5重量部及び硬化剤として2−エチル−4メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2E4MZ)2重量部を加えてらいかい機で30分間均一に混合した。
【0019】
一方、内層が銅及び表皮層が銀で、かつ長軸と短軸の比率(長径/短径)が1.8で平均粒径が5.8μmの楕円形状複合導電粉84.5重量部及び長軸と短軸の比率(長径/短径)が3.6で平均粒径が7.3μmの偏平状複合導電粉3.5重量部を上記の樹脂混合物に添加し、らいかい機で30分間均一に混合して粘度が20Pa・sの溶剤を含まない導電ペーストを得た。なお楕円形状複合導電粉と偏平状複合導電粉の割合は、楕円形状複合導電粉96.0重量%に対し偏平状複合導電粉は4.0重量%であった。また熱硬化性樹脂と2種類の複合導電粉の配合割合は、熱硬化性樹脂が12.4重量%に対し2種類の複合導電粉は87.6重量%であった。
【0020】
次に上記で得た導電ペーストを用いて、厚さが1.6mmのガラスエポキシ銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−E−670)の銅箔をエッチングして除去した面に、図1に示すテストパターン1を印刷した。なお図1において2はガラスエポキシ銅張積層板である。また前記のガラスエポキシ銅張積層板2に図2に示すように直径が0.4mmのスルーホール3を形成し、このスルーホール3に導電ペーストを充填すると共にスルーホール3間を印刷して接続した。なお隣接するスルーホール3の間隔は1.3mmとした。
【0021】
この後、上記で印刷したものを、それぞれ25℃で10分間静置した後、155℃、45分間の条件で加熱処理を行って配線板を得た。得られた配線板の特性を評価した結果、導体の比抵抗は520μΩ−cm及びスルーホール1穴あたりの抵抗値は80mΩ/穴であり、スルーホール内部にボイドの発生は見られなかった。また隣接するスルーホール間に50Vの直流電圧を印加し、40±1℃、90〜95%RHに設定した恒温恒湿槽内に放置して耐マイグレーション性を評価した結果、1000時間後の絶縁抵抗は108Ω以上であった。
【0022】
比較例1
平均粒径が5.2μmの銀粉87.5重量部を実施例1で得た樹脂混合物に添加し、以下実施例1と同様の工程を経て粘度が20Pa・sの溶剤を含まない導電ペーストを得た。次に実施例1と同様の工程を経て配線板を得た後、配線板の特性を評価した結果、導体の比抵抗は650μΩ−cm及びスルーホール1穴あたりの抵抗値は72mΩ/穴であり、スルーホール内部にはボイドが発生していた。また実施例1と同様の方法で耐マイグレーション性を評価した結果、712時間を経過した時点でマイグレーションが発生し、絶縁抵抗は106Ω台に低下した。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、スルーホール内のボイドの発生を防止し、耐マイグレーション性に優れ、かつ抵抗値の変化を防止することができ、導電性に優れ、粘度の上昇を小さくすることができる。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明のうち、特に耐マイグレーション性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガラスエポキシ銅張積層板の銅箔をエッチングした面にテストパターンを印刷した状態を示す平面図である。
【図2】 ガラスエポキシ銅張積層板に形成したスルーホールに導電ペーストを充填すると共にスルーホール間
1 テストパターン
2 ガラスエポキシ銅張積層板
3 スルーホール
Claims (2)
- 熱硬化性樹脂及び導電粉を含む導電ペーストにおいて、導電粉が長径と短径の比率(長径/短径)3未満の楕円形状の導電粉と長径と短径の比率(長径/短径)3以上の偏平状の導電粉で、導電粉が導電性を有し、銅からなる内層と銀からなる表皮層の2層からなり、重量比で長径と短径の比率(長径/短径)3未満の導電粉:長径と短径の比率3以上の偏平状導電粉が98:2〜80:20で、しかも溶剤を含まない導電ペースト。
- 導電粉が凝集を解砕したものである請求項1記載の導電ペースト。
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