JP3812221B2 - プリント配線基板用の導電ペースト,これを用いたプリント配線基板及び電子装置 - Google Patents
プリント配線基板用の導電ペースト,これを用いたプリント配線基板及び電子装置 Download PDFInfo
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Description
【技術分野】
本発明は,プリント配線基板のスルーホール内等に配置して,電気的接続を図るための導電ペースト,これを用いたプリント配線基板及び電子装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,導電ペーストを用いて基板の表側面と裏側面を電気的に接続したプリント配線基板として,「銅ペーストを用いたスルーホールプリント配線板技術」(回路実装学会誌,1997年,Vol.12,No.4,P.214)がある。
上記プリント配線基板は,スルーホールの内壁に導電ペーストをコーティングすることにより基板の表側面と裏側面とを電気的に接続している。
【0003】
しかし,上記プリント配線基板においては,上述のごとく,スルーホールの内壁にのみ導電ペーストをコーティングしているため,上記スルーホールの直上部からめっき接続を行なうことが困難である。そのため,上記プリント配線基板の高密度多層化が困難である。
また,上記導電ペーストはスルーホールの内壁のみにコーティングされているため,層間接続抵抗が高いという問題もある。
【0004】
これに対し,他の従来例として,導電ペーストをスルーホールに完全に充填したプリント配線基板が開示されている(特開平5−167245号公報)。
これにより,高密度多層化を可能とすると共に,層間接続の低抵抗化を図っている。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のプリント配線基板には以下の問題がある。
近年,プリント配線基板の高密度配線化に伴いスルーホールの小径化が進んでいる。このスルーホールの小径化に対応するためには,更なる層間接続の低抵抗化が必要である。
【0006】
ところが,上記従来のプリント配線基板においては,層間接続の低抵抗化に限界がある。
即ち,上記スルーホール内に充填された導電ペーストは,硬化する際に上記スルーホールの内壁に拘束され,その体積収縮が阻害される。そのため,本来の導電ペーストの体積収縮が行われず,導電ペースト内の導電フィラーが互いに接近することによる低抵抗化が実現されない。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,層間接続或いはパターン配線接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることのできるプリント配線基板用の導電ペースト,これを用いたプリント配線基板及び電子装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,プリント配線基板における電気的導通を図るための導電ペーストであって,該導電ペーストは,10〜50vol%の導電性フィラーと,0.1〜5vol%の中空フィラーと,残部バインダー樹脂とからなり、上記中空フィラーは、樹脂膜によって覆われた中空体からなり、上記樹脂膜の表面に導電膜を有し、
上記バインダー樹脂の熱硬化によって、上記導電ペーストが硬化或いは乾燥して上記導電ペーストが収縮する際には、上記中空フィラーが自由に変形することができるよう構成してなることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペーストにある。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,上記導電ペーストは,10〜50vol%の導電性フィラーと,0.1〜5vol%の中空フィラーと,残部バインダー樹脂とからなること,特に上記中空フィラーを含むことである。
【0010】
上記中空フィラーの配合量が0.1vol%未満である場合には,導電ペーストの体積収縮が充分に行われず,低抵抗化を図ることが困難である。一方,上記配合量が5vol%を超える場合には,導電ペーストの粘度が増加し,使用が困難となるおそれがある。
上記導電性フィラーの含有量が10vol%未満の場合には,導電ペーストの充分な導電性を得ることができないおそれがある。一方,上記含有量が50vol%を超える場合には,上記導電ペーストの粘度が上昇し,例えばスルーホールへの充填時等,その使用が困難となるおそれがある。また,この場合には,ペースト硬化物が脆くなり,プリント配線基板との密着強度が充分に得られないおそれがある。
【0011】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記導電ペーストには,上述のごとく,上記中空フィラーが配合してある。
そのため,上記導電ペーストをプリント配線基板用に用いた場合,体積収縮が下記のように確実に行われ,低抵抗化を図ることができる。
【0012】
上記導電ペーストを,例えばプリント配線基板のスルーホール内の充填,回路配線或いはジャンパー線等として用いる場合には,以下のように行なう。
まず,上記導電ペーストを,上記プリント配線基板におけるそれぞれの位置に,充填,塗布等により配置する。その後,上記バインダー樹脂の熱硬化や溶剤揮発等によって,上記導電ペーストを硬化或いは乾燥する。これに伴って,上記導電ペーストは収縮する。
【0013】
この収縮時,上記導電ペーストには上記中空フィラーが配合してあるため,上記導電ペーストの全体の形状は比較的自由に変化する。
即ち,上記バインダー樹脂が硬化或いは乾燥して上記導電ペーストが収縮する際には,該導電ペーストの各部は収縮力が働く方向に引張られる。この時,上記中空フィラーは,例えば長細状,くの字状,偏平状等,自由に変形する。そのため,上記導電ペーストの全体の形状も,収縮時において自由に変化する。
それ故,上記硬化,乾燥時に,上記導電ペーストが例えばスルーホール内の側壁等に拘束されていても,上記導電ペーストの収縮が妨げられることがない(図1(A),(B)参照)。
【0014】
そのため,上記導電ペーストが熱硬化収縮等により充分に収縮して,含有された導電性フィラー同士が接近し,低抵抗化を図ることができる。
そのため,上記導電性ペーストを用いることにより,層間接続或いはパターン配線接続の電気抵抗の低い,導電性に優れたプリント配線基板を得ることができる。
【0015】
以上のごとく,本発明によれば,層間接続或いはパターン配線接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることのできるプリント配線基板用の導電ペーストを提供することができる。
【0016】
また,上記中空フィラーは,樹脂膜の表面に導電膜を有している。
これにより,上記導電ペーストの更なる低抵抗化を図ることができる。
【0017】
次に,請求項2に記載の発明のように,プリント配線基板における電気的導通を図るための導電ペーストであって,該導電ペーストは,10〜50vol%の中空フィラーと,残部バインダー樹脂とからなり,かつ,上記中空フィラーは,樹脂膜によって覆われた中空体からなり、上記樹脂膜の表面に導電膜を有し、
上記バインダー樹脂の熱硬化によって、上記導電ペーストが硬化或いは乾燥して上記導電ペーストが収縮する際には、上記中空フィラーが自由に変形することができるよう構成してなることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペーストがある。
【0018】
この場合には,上記導電ペーストは,上記導電膜を有する中空フィラーとバインダー樹脂から形成されるため,組成が簡単である。即ち,上記中空フィラーにより,上記請求項1の発明における中空フィラーと導電性フィラーの両方の機能を発揮させることができる。
従って,簡単な組成で上記請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
また,上記中空フィラーの配合量が,請求項1の発明の場合よりも多いため,上記導電ペーストの変形が容易となり,より一層の低抵抗化を図ることができる。
【0019】
上記中空フィラーの配合量が10vol%未満である場合には,充分な低抵抗化を図ることができないおそれがある。一方,上記配合量が50vol%を超える場合には,上記導電ペーストの粘度が増加し,導電ペーストとしての使用が困難となるおそれがある。また,この場合には,ペースト硬化物が脆くなり,プリント配線基板との密着強度が充分に得られないおそれがある。
【0020】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記導電膜の材料は,体積固有抵抗が1×10-5Ω・cm以下であることが好ましい。
これにより,上記導電ペーストの低抵抗化を充分に図ることができる。
上記体積固有抵抗が1×10-5Ω・cmを超える場合には,上記導電ペーストの導電性が不充分となるおそれがある。
【0021】
次に,請求項4に記載の発明のように,上記中空フィラーの樹脂膜の表面に形成した導電膜は,金属めっきにより形成することが好ましい。
この場合には,上記導電膜を容易に形成することができる。
上記導電膜としては,例えば,Cu,Ni,Ag,Au,Zn,Sn,Cr,Pt等を用いる。
【0022】
次に,請求項5に記載の発明のように,上記中空フィラーの樹脂膜の表面に形成した導電膜は,接着剤を介して金属微粒子でコーティングすることにより形成することもできる。
上記金属微粒子としては,例えば,Cu,Ni,Ag,Au,Zn,Sn等がある。
【0023】
次に,請求項6に記載の発明のように,上記樹脂膜はアクリル系樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,スチレン系樹脂,又はウレタン系樹脂,若しくはこれらのコポリマーからなることが好ましい。これにより,スルーホール等に充填された導電ペーストの硬化収縮がスルーホール内壁等からの拘束により阻害され,低抵抗化が困難になる現象を回避することが容易となる。その結果,導電性フィラー配合量を増加させることなく,より一層の低抵抗化を実現することができる。
【0024】
次に,請求項7に記載の発明のように,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板のスルーホールに充填して,基板の表側面と裏側面の電気的接続に用いることが好ましい。
この場合には,請求項1に記載の発明の説明で述べたごとく,本発明の導電ペーストの機能を一層発揮することができる。
即ち,上記スルーホールの径が小さい場合にも,充分に層間電気的接続の低抵抗化を図ることができる。これにより,近年のプリント配線基板の高密度化に充分に対応することができる。
【0025】
次に,請求項8に記載の発明のように,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板のビアホールに充填して,層間の電気的接続に用いることもできる。
これにより,上記請求項7に記載の発明と同様に,上記ビアホールの径が小さい場合にも,充分に層間電気的接続の低抵抗化を図ることができる。
【0026】
次に,請求項9に記載の発明のように,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板の表面における回路配線の一部,又はジャンパー線に用いることもできる。
この場合には,パターン配線接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることができる。
【0027】
次に,請求項10に記載の発明のように,基板上に形成された回路配線を,請求項1〜9に記載の上記導電ペーストにより導通させることを特徴とするプリント配線基板がある。
これにより,層間接続或いはパターン配線接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることができる。
【0028】
次に,請求項11に記載の発明のように,請求項10に記載のプリント配線基板を有することを特徴とする電子装置がある。
これにより,電気抵抗が低く,電力効率のよい電子装置を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるプリント配線基板用の導電ペーストにつき,図1〜図4を用いて説明する。
本例の導電ペースト1は,プリント配線基板5における電気的導通を図るためのものである。
【0030】
上記導電ペースト1は,図1(A)に示すごとく,32vol%の導電性フィラー2と,1.5vol%の中空フィラー3と,残部バインダー樹脂4とからなる。
また,上記中空フィラー3は,図3に示すごとく,樹脂膜31によって覆われた中空体であって,上記樹脂膜31はアクリル系樹脂からなる。
【0031】
上記導電ペースト1は,図2に示すごとく,上記プリント配線基板5のスルーホール50に充填して,基板の表側面59と裏側面58の電気的接続に用いる。
即ち,図2に示すごとく,上記プリント配線基板5は,下基板51と中基板52と上基板53とからなる多層基板である。そして,上記中基板52には,スルーホール50が形成されている。また,上記中基板52の上面522及び下面521における上記スルーホール50の周囲には,導電性のランド部54が形成されている。
【0032】
上記下基板51及び上記上基板53には,ビアホール55が設けられており,該ビアホール55には上記スルーホール50内の導電ペースト1と電気的に接続されるめっき接続部56が形成されている。
また,上記めっき接続部56は上記プリント配線基板5の表側面59及び裏側面58の表層配線57と電気的に接続されている。
【0033】
次に,上記導電ペースト1の製造方法につき図4を用いて説明する。
まず,導電性フィラー2として銀粉(福田金属箔粉工業(株)製の鱗片状フィラー,品番:AgC−201)100重量部,中空フィラー3としてポリアクリロニトリル樹脂中空フィラー(真比重0.2,松本油脂製薬(株)製,品番:MFL−80GCA)0.25重量部をプラネタリーミキサー7の容器71に入れた(図4(A))。
上記中空フィラー3の粒径は約20μm,膜厚みは約0.3μmであった。
【0034】
次いで,バインダー樹脂4の主材として,ビスフェノールAジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製,品番:エピコート828)21重量部,硬化剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製,品番:キュアゾール102)1重量部,分散剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,品番:KBM403)0.2重量部を加えて,攪拌羽根72を50rpmにて回転させて,攪拌,混合した。
【0035】
次いで,粘土状になるまで,ブチルカルビトールアセテート(東京化成(株)製)を適宜加えながら混合を繰り返す。
更に,フィラーの分散を充分に行なうため,図4(B)に示すごとく,互いに接触しながら回転する3本のロール81,82,83からなる3本ロールミル8に,上記の混合物を3回通した。これによりペースト状組成物である導電ペースト1を得た。
【0036】
上記導電ペースト1の粘度は,75Pa・sであった(東京精密製HBT型回転粘度計,14号ロータ,10rpmにて測定)。また,上記導電ペースト1のチクソ比は23であった(東京精密製HBT型回転粘度計,粘度比1rpm/100rpmにて測定)。
【0037】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記導電ペースト1には,上述のごとく,上記中空フィラー3が配合してある。
そのため,上記導電ペースト1をプリント配線基板5用に用いた場合,下記のように,体積収縮が確実に行われ,低抵抗化を図ることができる。
【0038】
上記導電ペースト1を,プリント配線基板5のスルーホール50内に充填し,基板の表側面59と裏側面58の導通を図る場合には,以下のように行なう。
まず,上記導電ペースト1を,上記スルーホール50に充填する(図1(A))。その後,上記バインダー樹脂4の熱硬化や溶剤揮発等によって,上記導電ペースト1を硬化或いは乾燥する。これに伴って,上記導電ペースト1は収縮する。
【0039】
この収縮時,上記導電ペースト1には,上記中空フィラー3が配合してあるため,上記導電ペースト1の全体の形状が比較的自由に変化する。
即ち,上記バインダー樹脂4が硬化或いは乾燥して上記導電ペースト1が収縮する際には,該導電ペースト1の各部は収縮力が働く方向に引張られる。この時,上記中空フィラー3は,例えば長細状,くの字状,偏平状等,自由に変形する。そのため,上記導電ペースト1の全体の形状も,収縮時において自由に変化する。
それ故,上記硬化,乾燥時に,上記導電ペースト1がスルーホール50内の側壁501に拘束されていても,上記導電ペースト1の収縮が妨げられることがない(図1(A),(B))。
【0040】
そのため,上記導電ペースト1が硬化熱収縮等により充分に収縮して,含有された導電性フィラー2同士が接近し,低抵抗化を図ることができる(図1(B))。
そのため,上記導電性ペースト1を用いることにより,層間接続の電気抵抗の低い,導電性に優れたプリント配線基板5を得ることができる。
【0041】
以上のごとく,本例によれば,層間接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることのできるプリント配線基板用の導電ペーストを提供することができる。
【0042】
実施形態例2
本例は,図5に示すごとく,樹脂膜31の表面に導電膜32を形成した中空フィラー3を有する,プリント配線基板用の導電ペースト1の例である。
上記導電ペースト1は,45vol%の上記中空フィラー3と,残部バインダー樹脂4とからなる。
【0043】
上記導電膜32は,体積固有抵抗が1×10-5Ω・cm以下のAgめっきにより形成され,そのめっき膜厚は0.3μmであった。また,上記中空フィラー3の粒径は約20μmであった。また,上記樹脂膜31はアクリル樹脂からなり,その厚みは0.5μmであった。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0044】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記導電ペースト1は,上記中空フィラー3とバインダー樹脂4とから形成されるため,組成が簡単である。即ち,上記中空フィラー3により,上記実施形態例1における中空フィラーと導電性フィラーの両方の機能を発揮させることができる。
【0045】
また,上記中空フィラー3の配合量が多いため,上記導電ペースト1の変形が容易となり,より一層の低抵抗化を図ることができる。
また,上記導電膜32の材料は,体積固有抵抗が1×10-5Ω・cm以下であるため,上記導電ペースト1の低抵抗化を充分に図ることができる。
その他,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
実施形態例3
本例は,図6に示すごとく,上記導電ペースト1をジャンパー線61に用いた例である。
上記ジャンパー線61は,図6に示すごとく,プリント配線基板5の表層における複数の表層配線57のうち隣り合わない2つの表層配線57を接続するためのものである。
なお,図6において,符号62は絶縁樹脂である。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0047】
本例の場合にも,上記導電ペースト1は熱硬化等により充分に収縮し,低抵抗化を図ることができる。
パターン配線接続の電気抵抗の低いプリント配線基板を得ることができる。
【0048】
実験例1
本例においては,図7に示すごとく,実施形態例1に示した導電ペーストにおいて,導電性フィラーの配合量を変化させたときの,スルーホール1個当りの抵抗値,及びペースト粘度の変化を測定した。
上記スルーホールの高さtは0.3mm,直径は0.3mmである(図2参照)。
上記導電ペーストの構成は,上記導電性フィラーの配合量以外については,実施形態例1と同様である。
【0049】
測定結果を図7に示す。図7において,符号Aは導電ペーストのスルーホール1個当りの抵抗値を表し,符号Bはペースト粘度を表す。
図7より分かるように,スルーホール1個当りの抵抗値は,上記導電性フィラーの配合量が約32vol%のときに最も小さくなる。また,上記配合量が10vol%よりも小さくなる場合には,上記抵抗値が著しく高くなる。
【0050】
一方,ペースト粘度については,上記配合量が大きくなるにつれ高くなる。上記配合量が50vol%を超えると,ペースト粘度は102Pa・sを超え,ペースト状にならなくなり,実際の使用に適さななる。また,上記導電ペーストを硬化させた後に,そのペースト硬化物が脆くなり,スルーホール等との密着力が充分に得られないおそれがある。
本例の結果から,上記導電性フィラーの配合量は,10〜50vol%とする必要があることが分かる。
【0051】
実験例2
本例においては,図8に示すごとく,導電ペーストにおける中空フィラーの配合量によるスルーホール1個当りの抵抗値の変化を測定した。
上記導電ペーストとしては,上記中空フィラーにおける樹脂膜の表面にAgめっきからなる導電膜を形成したもの(試料1)と,形成しないもの(試料2)について測定を行なった。
なお,上記中空フィラーは,直径15μmである。また,上記スルーホールの高さtは0.3mm,直径rは0.3mmである(図2参照)。
【0052】
上記導電ペーストを製造するに当っては,まず,導電性フィラー2として銀粉(福田金属箔粉工業(株)製の鱗片状フィラー,品番:AgC−201)100重量部,中空フィラーとしてポリアクリロニトリル樹脂中空フィラー(真比重0.2,松本油脂製薬(株)製,品番:MFL−80GCA)0.25重量部をプラネタリーミキサー7の容器71に入れた(図4(A)参照)。
【0053】
次いで,上記容器に,バインダー樹脂の主材としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製,品番:エピコート807)17重量部,硬化剤としてジアミノジフェニルメタン(東京化成(株)製,一級試薬)7.5重量部,分散剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,品番:KBM403)0.2重量部を加えて,攪拌,混合した。
これにより得た導電ペーストを上記スルーホールに充填後,オーブン内で160℃,1時間加熱することにより硬化させた。
その他は,実施形態例1に示す製造方法と同様である。
【0054】
上記試料1の導電ペースト及び試料2の導電ペーストをそれぞれ上記のごとく充填したスルーホールの抵抗値を測定した。
測定結果を図8に示す。図8において,符号Cは上記試料1についての測定結果を表し,符号Dは上記試料2についての測定結果を表す。
図8から分かるように,上記導電ペーストの抵抗値は,試料1,試料2共に,中空フィラーを所定量配合することにより低下する。
そして,試料1の方が,試料2よりも抵抗値を低くすることができる。
本例より,上記中空フィラーの表面に導電膜を形成することにより,より一層低抵抗化を図ることができることが分かる。
【0055】
実験例3
本例においては,図9に示すごとく,上記実験例2において中空フィラーの表面に形成した導電膜として用いる材料の体積個有抵抗の違いによる,スルーホールの抵抗値の変化を比較した例である。
即ち,上記導電膜の材料としてAgめっきの他に,Auめっき,Znめっき,Snめっき,及びカーボンを用いた場合の,スルーホールの抵抗値を測定した。
【0056】
なお,上記カーボンは,接着剤を用いて上記中空フィラーの表面にコーティングした。また,導電ペーストへの上記中空フィラーの配合量は,それぞれ1.5vol%である。
上記導電膜以外については,導電ペーストの構成,測定方法等は,実験例2と同様である。
【0057】
測定結果を,図9に示す。
図9において,符号Cは導電膜をAgめっきにより形成したもの,符号EはAuめっき,符号FはZnめっき,符号GはSnめっき,符号Hはカーボンによりそれぞれ形成したものについての測定結果を表す。
また,図9の横軸は,導電膜の材料(Ag等)の体積固有抵抗を表す。
【0058】
図9から分かるように,上記導電膜の材料をAg,Au,Znとした導電ペーストの抵抗値は充分に小さい。また,上記材料Ag,Au,Znの体積固有抵抗は,1×10-5Ω・cm未満である。
一方,体積固有抵抗が1×10-5Ω・cmを超えるSn或いはカーボンからなる導電膜を用いた場合には,スルーホールの抵抗値は10Ω以上と大きくなることが分かる。
【0059】
本例より,上記中空フィラーの表面に形成する導電膜として,体積個有抵抗が1×10-5Ω・cm以下の材料を用いることにより,導電ペーストの低抵抗化を図ることができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,(A)スルーホール内に充填した導電ペースト,及び(B)収縮した導電ペーストの説明図。
【図2】実施形態例1における,スルーホールを有するプリント配線基板の断面図。
【図3】実施形態例1における,中空フィラーの断面図。
【図4】実施形態例1における,導電ペーストの製造方法の説明図。
【図5】実施形態例2における,中空フィラーの断面図。
【図6】実施形態例3における,ジャンパー線の断面図。
【図7】実験例1における,導電ペーストの抵抗値と粘度の測定結果を表す線図。
【図8】実験例2における,導電ペーストの抵抗値の測定結果を表す線図。
【図9】実験例3における,導電ペーストの抵抗値の測定結果を表す線図。
【符号の説明】
1...導電ペースト,
2...導電性フィラー,
3...中空フィラー
31...樹脂膜,
32...導電膜,
4...バインダー樹脂,
5...プリント配線基板,
50...スルーホール,
61...ジャンパー線,
Claims (11)
- プリント配線基板のスルーホールに充填して、基板の表側面と裏側面の電気的導通を図るための導電ペーストであって,該導電ペーストは,10〜50vol%の導電性フィラーと,0.1〜5vol%の中空フィラーと、残部バインダー樹脂とからなり、
上記中空フィラーは、樹脂膜によって覆われた中空体からなり、上記樹脂膜の表面に導電膜を有し、上記バインダー樹脂の熱硬化によって、上記導電ペーストが硬化或いは乾燥して上記導電ペーストが収縮する際には、上記中空フィラーが自由に変形することができるよう構成してなることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。 - プリント配線基板のスルーホールに充填して、基板の表側面と裏側面の電気的導通を図るための導電ペーストであって,該導電ペーストは,10〜50vol%の中空フィラーと,残部バインダー樹脂とからなり,かつ,上記中空フィラーは,樹脂膜によって覆われた中空体からなり、上記樹脂膜の表面に導電膜を有し、上記バインダー樹脂の熱硬化によって、上記導電ペーストが硬化或いは乾燥して上記導電ペーストが収縮する際には、上記中空フィラーが自由に変形することができるよう構成してなることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1又は2において,上記導電膜の材料は,体積固有抵抗が1×10-5Ω・cm以下であることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記中空フィラーの樹脂膜の表面に形成した導電膜は,金属めっきにより形成してあることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記中空フィラーの樹脂膜の表面に形成した導電膜は,接着剤を介して金属微粒子でコーティングすることにより形成してあることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記樹脂膜はアクリル系樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,スチレン系樹脂,又はウレタン系樹脂,若しくはこれらのコポリマーからなることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜6のいずれか一項において,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板のスルーホールに充填して,基板の表側面と裏側面の電気的接続に用いることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜7のいずれか一項において,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板のビアホールに充填して,層間の電気的接続に用いることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 請求項1〜8のいずれか一項において,上記導電ペーストは,上記プリント配線基板の表面における回路配線の一部,又はジャンパー線に用いることを特徴とするプリント配線基板用の導電ペースト。
- 基板上に形成された回路配線を,請求項1〜9に記載の上記導電ペーストにより導通させることを特徴とするプリント配線基板。
- 請求項10に記載のプリント配線基板を有することを特徴とする電子装置。
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