JP2004356053A - 導電性ペーストおよびそれを用いた配線板 - Google Patents

導電性ペーストおよびそれを用いた配線板 Download PDF

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慎五 小松
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Abstract

【課題】電気接続性が良好な配線板を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂を含む有機バインダ101と、有機バインダ101に分散された金属粉末102とを含む導電性ペーストであって、有機バインダ101に分散され、還元性ガス、例えば、水素ガスを含む気泡100を全体積に対して30体積%以下の割合で含むことを特徴とする。気泡100は、熱硬化性樹脂の硬化を抑制する硬化抑制ガスをさらに含んでいることが好ましい。硬化抑制ガスは、窒素、アルゴンおよびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のガスを含んでいることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂を含む有機バインダと有機バインダに分散された金属粉末とを含む導電性ペースト、およびそれを用いた配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話に代表される移動通信機器等の電子機器について小型化、薄型化、軽量化、高機能化が進展している。その進展にともなって、電子機器を構成する配線板について高密度実装を可能とするための技術開発が盛んに行われている。特に、半導体ベアチップの直接実装、または高速信号処理回路の形成が可能な多層配線板の改良が盛んに行われている。多層配線板は、複数の金属配線層を含み、各金属配線層は絶縁層の内部に埋め込まれたビア導体によって電気接続されており、ビア導体は、熱硬化性樹脂を含む有機バインダと金属粉末とを含む導電性ペーストから形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−36551号公報(5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記導電性ペーストは、その保存時において金属粉末が酸化することがあった。また、上記導電性ペーストを用いて配線板を製造する過程において、加熱により導電性ペーストと接合される金属配線層および金属粉末が酸化することがあった。そのため、上記導電性ペーストを用いて形成された配線板では、金属粉末や金属配線層の酸化による比抵抗の上昇によって、金属配線層間の電気接続性が低下する(抵抗値が上昇する)という問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、導電性ペーストの設計において、還元性を有する有機バインダを選択したり、上記金属粉末よりも酸化され易い物質(粉体等)を添加することも考えられるが、有機バインダの材料選択の幅が狭くなり、還元性を有する物質の添加により導電性ペーストの粘度が上昇して、作業性、印刷性が損なわれる等、新たな課題が生じるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性ペーストは、熱硬化性樹脂を含む有機バインダと、前記有機バインダに分散された金属粉末とを含む導電性ペーストであって、前記有機バインダに分散された還元性ガスを含む気泡を全体積に対して30体積%以下の割合で含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の配線板は、熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の両主面に配置された1対の金属配線層と、前記金属配線層間を電気接続するビア導体とを含む配線板であって、前記ビア導体が、本発明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の導電性ペーストは、還元性ガスを含む気泡を含んでいるので、導電性ペーストの保存時における金属粉末の酸化を抑制できる。また、導電性ペーストを用いて配線板を製造する過程において、加熱により上記金属粉末および導電性ペーストと接合される金属配線層の酸化も抑制できる。上記気泡の体積割合は30体積%以下であるので、本実施の形態の導電性ペーストを用いて作製される配線板の電気接続性には、気泡を含むことによる悪影響は及ばない。以上のことより、本実施の形態の導電性ペーストによれば、電気接続性が良好な配線板を提供できる。
【0009】
尚、上記気泡の体積割合の下限値について特に制限はなく、導電性ペーストに上記気泡が0体積%を超えて含まれていればよいが、5体積%以上含まれていることが好ましい。5体積%より少ない割合で気泡を含める制御は、難しいからである。
【0010】
また、本実施の形態の導電性ペーストの設計において、例えば、有機バインダの材料に、還元性を有する材料を選択する場合、還元性ガスを含むことで、有機バインダにおける還元性を有する材料の割合を減らすことができ、有機バインダの材料選択の自由度を高めることができる。
【0011】
また、例えば、金属粉末よりも酸化され易い物質、例えば、金属粉末が金、銀である場合に銅、鉄、亜鉛等を添加する場合、還元性ガスを含むことで、上記物質の添加量を減らして上記物質の添加による導電性ペーストの粘度上昇を抑制でき、作業性、印刷性の劣化を抑制できる等、配線板の製造過程における不具合を低減できる。
【0012】
還元性ガスは、水素を含んでいるとよい。
【0013】
また、上記気泡は、熱硬化性樹脂の硬化を抑制する硬化抑制ガスをさらに含んでいることが好ましい。硬化抑制ガスを含むと、導電性ペーストの保存時における硬化の進行を抑制でき、保存安定性を向上させることができるからである。
【0014】
硬化抑制ガスは、窒素、アルゴンおよびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のガスを含んでいるとよい。
【0015】
上記気泡の最大直径は、1μm〜50μmであることが好ましい。気泡の最大直径が50μmよりも大きいと、例えば、気泡が水分を含み、本実施の形態の導電性ペーストを用いて形成されたビア導体による金属配線層間の電気接続性が低下する可能性が高まるからである。また、最大直径を1μmより小さくすることは難しいからである。気泡の最大直径が上記範囲内であれば、本実施の形態の導電性ペーストを容易に作製でき、電気接続性がさらに良好な配線板の作製も可能となる。
【0016】
本実施の形態の導電性ペーストは、金属粉末を80〜95重量%、有機バインダを5〜20重量%含んでいることが好ましい。金属粉末が95重量%を超えると、ペースト化が困難となり、80重量%より少ないと、金属粉末同士の接触が不十分となり、本実施の形態の導電性ペーストから形成されるビア導体の比抵抗値が大きくなるからである。
【0017】
本実施の形態の導電性ペーストは、アミン化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含んでいることが好ましい。本実施の導電性ペーストを用いて配線板を製造する過程の加熱時において、熱硬化性樹脂の硬化を促進できるからである。
【0018】
本実施の形態の配線板は、熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、絶縁層の両主面に配置された1対の金属配線層と、金属配線層間を電気接続するビア導体とを含む配線板であって、ビア導体が、本実施の形態の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする。本実施の形態では、ビア導体が、還元性ガスを含む本実施の形態の導電性ペーストから形成されているので、電気接続性が良好な配線板を提供できる。
【0019】
本実施の形態の配線板は、上記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいると、耐熱性、電気絶縁性に優れた絶縁層を含む配線板を提供できるからである。
【0020】
以下、本発明の導電性ペーストの一例、本発明の配線板の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の導電性ペーストの一例を示す模式図である。図1に示す様に、本実施の形態の導電性ペースト1は、熱硬化性樹脂を含む有機バインダ101と、有機バインダ101に分散された金属粉末102とを含み、有機バインダ101に分散され、金属に対して還元性を有する還元性ガスを含む気泡100を全体積に対して30体積%以下の割合で含んでいる。
【0022】
導電性ペースト1は、還元性ガスを含んでいるので、保存時における金属粉末102の酸化を抑制できる。また、導電性ペースト1を用いて配線板を製造する過程の加熱時において、金属粉末102の酸化および導電性ペースト1と接合される金属配線層の酸化も抑制できる。また、上記気泡100の体積割合は30体積%以下であるので、導電性ペースト1を用いて作製される配線板の電気接続性には、気泡100を含むことによる悪影響は及ばない。
【0023】
したがって、例えば、図2に示すような配線板において、ビア導体1’を本実施の形態の導電性ペースト1を用いて形成すれば、金属配線層202−ビア導体1’−金属配線層202間の電気接続の信頼性を高めることができる。
【0024】
尚、上記気泡100の体積割合の下限値について特に制限はなく、導電性ペースト1に気泡100が0体積%を超えて含まれていればよいが、5体積%以上含まれていることが好ましい。5体積%より少ない割合で気泡を含める制御は、難しいからである。
【0025】
また、導電性ペースト1の設計において、有機バインダ101の材料として還元性を有する材料を選択する場合、導電性ペースト1が還元性ガスを含む気泡100を含むことで、有機バインダ101における還元性を有する材料の割合を減らすことができ、有機バインダ101の材料選択の自由度を高めることができる。
【0026】
また、導電性ペースト1の設計において、金属粉末よりも酸化され易い物質、例えば、金属粉末が金、銀である場合に銅、鉄、亜鉛等を添加する場合、還元性ガスを含むことで、上記物質の添加量を減らして上記物質の添加による導電性ペーストの粘度上昇を抑制でき、作業性、印刷性の劣化を抑制できる等、配線板の製造過程における不具合を低減できる。
【0027】
還元性ガスの種類については特に制限されないが、例えば、水素を用いることができる。
【0028】
気泡100は、上記還元性ガスに加え、有機バインダ101に含まれる熱硬化性樹脂の硬化を抑制する硬化抑制ガスをさらに含んでいることが好ましい。気泡100が、還元性ガスと硬化抑制ガスとからなる混合ガスを含んでいれば、金属粉体102等の酸化を抑制でき、かつ導電性ペースト1の保存安定性を高めることができるからである。また、導電性ペースト1が硬化抑制ガスを含んでいると、硬化による粘度上昇も抑制でき、作業性、印刷性の劣化が抑制される等、配線板の製造過程における不具合を低減できる。
【0029】
硬化抑制ガスには、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンおよびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のガスを用いることができる。
【0030】
気泡100の最大直径は、1μm〜50μmであることが好ましい。気泡の最大直径が50μmよりも大きいと、例えば、気泡が水分を含み、導電性ペースト1を用いて形成されたビア導体による金属配線層間の電気接続性が低下する可能性が高まるからである。また、最大直径を1μmより小さくすることは難しいからである。気泡100の最大直径が上記範囲内であれば、本実施の形態の導電性ペーストを容易に作製でき、電気接続性がさらに良好な配線板の作製も可能となる。
【0031】
有機バインダ101への気泡100の分散は、還元性ガス雰囲気中、または還元性ガスおよび硬化抑制ガス雰囲気中において、有機バインダ101と金属粉末とを含む導電性ペースト102を攪拌処理することにより実現でき、気泡100の体積割合および最大直径の制御は、雰囲気圧(真空度)および攪拌機の回転数を制御することで行える。
【0032】
導電性ペースト1は、金属粉末102を80〜95重量%、有機バインダ101を5〜20重量%含んでいることが好ましい。金属粉末102が95重量%を超えると、ペースト化が困難となり、80重量%より少ないと、金属粉末同士の接触が不十分となり、導電性ペースト1から形成されるビア導体の比抵抗が大きくなるからである。
【0033】
有機バインダ101に含まれる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を用いることができるが、特には、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂は電気絶縁性に優れるが、金属(導電性粉体、金属配線層)を還元する機能は無い。一方、フェノール樹脂は、導電性粉体に対して優れた還元性を有しているが、脆く、一般的に固体であることから溶剤を使用して溶解しなくてはならない等の欠点がある。エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む混合物は、電気絶縁性に優れ、金属に対する還元性を有し、かつ上記欠点が緩和された特性を有するため好ましい。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との混合比(重量%)は、エポキシ樹脂:フェノール樹脂=1〜4:4〜1が適当である。
【0034】
エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、レゾール型等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂等の公知のものでよい。
【0035】
金属粉末102には、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫、および鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を用いることができる。金属粉末102は、上記金属を2種以上含む合金、または、1種の金属の表面が他の金層によって被覆された複合体であってもよい。特には、金、銀および銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいることが好ましい。金、銀は、軟らかく、圧縮された際に変形により表面積を増大させることが可能だからである。銅は安価であるので、コストの点で好ましい。銅粉末の表面が金または銀によって被覆された複合材では、金または銀の長所、銅の長所を併せ持つので、さらに好適である。
【0036】
導電性ペースト1は、硬化触媒または硬化促進剤、例えば、アミン化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいることが好ましい。導電性ペースト1を用いて配線板を製造する過程の加熱時において、熱硬化性樹脂の硬化を促進できるからである。
【0037】
特に、上記イミダゾール類のうち、保存安定性の点から、室温で固体状のものを使用することが好ましい。室温では安定しているが、ひとたび所定温度以上に加熱すれば溶解して硬化促進機能を発揮するからである。オニウム塩系化合物は、室温下で低活性であり保存安定性に優れるため好ましい。
【0038】
アミン化合物としては、第三級アミン、例えば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)等、イミダゾール類としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EM124)、2−ヘプタデシルイミダゾール(HD12)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等、オニウム塩系化合物としては、例えば、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等、これらを一例として挙げることができる。
【0039】
(実施の形態2)
図2Aは、本発明の配線板の一例を示す断面図であり、図2Bは図2Aに示した配線板の部分拡大図である。
【0040】
図2Aに示すように、本実施の形態の配線板は、熱硬化性樹脂を含む複数の絶縁層200と、複数の金属配線層202と、金属配線層202間を電気接続するビア導体1’を含む配線板であって、ビア導体1’が、実施の形態1の導電性ペースト1(図1参照)から形成されている。図2Bにおいて、101’は硬化された熱硬化性樹脂を含む有機バインダである。
【0041】
本実施の形態では、ビア導体1’が還元性ガスを含む導電性ペースト1から形成されているので、配線板の製造過程において、加熱による金属粉末102および金属配線層202の酸化を抑制でき、金属粉末102同士、および金属粉末102と金属配線層202との間の電気接続性を高めることができ、結果として、金属配線層202−ビア導体1’−金属配線層202間の電気接続の信頼性が高い配線板を提供できる。
【0042】
ビア導体1’は、還元性ガスに加えて硬化抑制ガスをさらに含む導電性ペースト1から形成されていてもよい。硬化抑制ガスを含むことにより導電性ペースト1の保存時における硬化の進行は抑制されているので、ビア導体1’を含む配線板の製造過程において、作業性、印刷性の劣化が抑制される等、配線板の製造過程における不具合を低減できる。
【0043】
絶縁層200に含まれる熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいると、耐熱性、電気絶縁性が優れた絶縁層を含む配線板を提供できるからである。
【0044】
尚、図2に示した配線板は、複数の絶縁層200と複数の金属配線層202とを含んでいるが、本実施の形態の配線板はこれに限定されるものではなく、1層の絶縁層200と、その絶縁層200の両主面に配置された1対の金属配線層202と、金属配線層202間を電気接続するビア導体1’を含む構造の配線板であってもよい。
【0045】
【実施例】
次に、本発明の導電性ペーストおよび配線板の一例について、具体的に説明する。
【0046】
(実施例1)
図2に示した配線板を下記ようにして作製した。
【0047】
まず、金属配線層202を形成するための転写用配線パターン形成材を以下の方法で作製した。転写キャリア(銅箔、厚み70μm)上に、剥離層(Niメッキ層、厚み200nm以下)、金属層(銅箔、厚み9μm)をこの順で電解メッキ法により形成し、転写キャリア、剥離層、および金属層からなる三層構造の積層体を形成した。次に、この積層体の金属層にドライフィルムレジストを貼り、上記金属層を露光した後、現像処置し、化学的エッチングをして、配線パターンを形成した。次に、ドライフィルムレジストの残存部を除去して、転写用配線パターン形成材を形成した。
【0048】
次に、下記に示す組成の絶縁性材料を下記に示す形成方法により厚み200μmのシート状物に加工し、次いでシート状物に直径200μmのビアホールを複数形成し、そのビアホールに下記に示す組成の導電性ペーストを充填した。
【0049】
(絶縁性材料の組成)
Al(昭和電工社製、AS−40、平均粒径12μm)90重量%
液状熱硬化エポキシ樹脂(日本レック社製、「EF−450」)9.5重量%
カーボンブラック(東洋カーボン社製)0.2重量%
カップリング剤(味の素社製、チタネート系、46B)0.3重量%
(シート状物の形成方法)
上記成分が混合された混合物(絶縁性材料)に粘度調整用溶剤としてメチルエチルケトン溶剤を混合物のスラリー粘度が約20Pa・sになるまで添加し、アルミナ玉石を加えてポット中で48時間、回転速度500rpmの条件で回転混合し、上記シート状物の原料となるスラリーを調整した。その後、スラリーをドクターブレード法にて造膜し、乾燥して、上記シート状物を得た。
【0050】
(導電性ペースト)
球状の銅粒子(三井金属鉱業社製、平均粒径5μm)84重量%
ビスフェノールF型熱硬化エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、「エピコート807」)7重量%
ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子社製、「BRG558」)3重量%
ブチルカルビトール(日本アルコール販売株式会社製)5重量%
上記成分からなる混合物に対し、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを1重量%加え、これらを3本ロールミルにより混錬してペースト化した。次に、真空ポンプで1Pa以下に減圧した状態で1時間放置して脱泡処理を行った。
【0051】
次に、窒素97%および水素3%からなる混合ガス雰囲気中100Pa下で、10秒間、30秒間、1分間攪拌処理を行い、窒素および水素を含む気泡を1.3体積%、17.2体積%、28.4体積%含む3種の導電性ペーストを作製した。上記攪拌処理は、(株)シンキー社製、「あわとり錬太郎MX−201」(攪拌機)を用い、公転回転数2000rpmで行った。
【0052】
尚、気泡を1.3体積%含む導電性ペーストについては、攪拌時間が極めて短いため、気泡の体積割合は攪拌機の精度に影響を受け易く、体積割合の再現性については、気泡を5体積%以上含む導電性ペーストに比べて良くなかった。導電性ペーストの気泡の体積割合は、シート状物の貫通孔に充填された導電性ペースト(未硬化)をX線透過観察装置により撮影し、その断面画像から気泡の部分と気泡以外の部分とに2値化処理することで計算した。
【0053】
また、上記3種の導電性ペーストについて、X線画像から気泡の最大直径を調べたところ、いずれも38μmであった。
【0054】
次に、2枚の転写用配線パターン形成材の間に導電性ペーストが充填されたシート状物を配置して、転写用配線パターン形成材とシート状物とを重ね合わせ、200℃で1.5時間、圧力75kg/cmの条件で加熱し加圧することで、配線パターンとシート状物を接合し、シート状物および導電性ペーストに含まれる熱硬化性樹脂を硬化させた。次に、転写用配線パターン形成材の転写キャリアを剥離して、1層の絶縁層の両主面に金属配線層が配置された配線板を形成した。
【0055】
さらに、上記配線板の両主面のそれぞれに、導電性ペーストが充填されたシート状物と転写用配線パターン形成材とをこの順で積層し、再び、200℃で1.5時間、圧力75kg/cmの条件で加熱し加圧して、シート状物および導電性ペーストの熱硬化性樹脂を硬化した。最後に、転写キャリアを剥離して、3層の絶縁層と4層の金属配線層を含む四層構造の多層配線板を作製した。上記混合ガスの気泡を1.30体積%、17.2体積%、28.4体積%含む導電性ペーストを用いて形成された上記多層配線板を、配線板1、配線板2、配線板3とする。
【0056】
(比較例1)
上記混合ガスを含む気泡を含まないこと以外は(導電性ペースト)の記載に従って作製された導電性ペーストを用い、実施例1と同様にして四層構造の配線板4を作製した。
【0057】
(比較例2)
窒素97%および水素3%からなる混合ガス雰囲気中100Pa下で、2分間攪拌処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして導電性ペーストを作製し、この導電性ペーストを用いて配線板5を作製した。気泡の体積割合、最大直径を実施例1と同様にして測定したところ、47.6%、42μmであった。
【0058】
配線板1〜5について、下記に示す方法により電気接続性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0059】
[電気接続性試験] 電気的に接続されたビア導体を300個含む試料について初期電気抵抗値の測定を行った。また、上記試料について、85℃85%RHの雰囲気中に1週間放置した直後、リフロー(最高温度260℃)1回、5回、10回行った直後の電気抵抗値を測定した。
【0060】
【表1】
Figure 2004356053
【0061】
表1に示すように、還元性ガス(水素)を含む導電性ペーストを用いた配線板(配線板1〜3)は、還元性ガスを含まない導電性ペーストを用いて形成された配線板(配線板4)よりも、電気抵抗値の変化量が小さく、電気接続の安定性が良いことが分かった。また、比較例2についての結果が示すように、導電性ペーストが気泡を30体積%を超えて含むと、電気抵抗値が著しく高くなり、気泡の体積割合が30体積%以下である範囲において、水素ガスの含有量が多いほど、電気接続の安定性が良いことが確認できた。
【0062】
(実施例2)
実施例1の(導電性ペースト)の記載に従い、窒素97%および水素3%からなる混合ガス雰囲気中100Pa下で、30秒間、1分間攪拌処理を行い、窒素および水素を含む気泡が15.2体積%、29.7体積%分散された導電性ペースト1、2を作製した。上記攪拌処理は、(株)シンキー社製、「あわとり錬太郎MX−201」を用い、公転回転数2000rpmで行った。導電性ペースト1、2について、X線画像から気泡の最大直径を調べたところ、いずれも37μmであった。
【0063】
[硬化抑制の評価試験] 上記導電性ペースト1、2を、冷凍庫(−10℃以下)で1ヶ月保存した後、加熱して、導電性ペーストの硬化反応時の発熱量(反応熱)を示差走査熱量計を用いて測定し、その結果を表2に示した。
【0064】
尚、表2において、導電性ペースト3についての反応熱は、混合ガスを含まないこと以外は上記導電性ペースト1、2と同様にして作製した導電性ペーストを、冷凍庫(−10℃以下)にて1ヶ月保存した後、加熱して得た値であり、導電性ペースト4についての反応熱は、混合ガスを含まないこと以外は上記導電性ペースト1、2と同様にして作製した導電性ペーストを、作製直後に加熱して得た値である。
【0065】
【表2】
Figure 2004356053
【0066】
表2に示すように、反応熱について、導電性ペースト1、2は導電性ペースト4よりも2.2mJ/mg、1.5mJ/mg小さく、導電性ペースト3は7.9mJ/mg小さかった。この結果から、還元性ガス(窒素)を含む導電性ペースト1、2は、還元性ガス(窒素)を含まない導電性ペースト3よりも、保存時における硬化の進行が抑制されていることが確認できた。
【0067】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、電気接続性が良好な配線板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ペーストの一例を示す模式図
【図2】本発明の配線板の一例を示す断面図
【符号の説明】
1 導電性ペースト
1’ ビア導体
100 気泡
101 有機バインダ
101’ 硬化された熱硬化性樹脂を含む有機バインダ
102 金属粉末
200 絶縁層
202 金属配線層

Claims (11)

  1. 熱硬化性樹脂を含む有機バインダと、前記有機バインダに分散された金属粉末とを含む導電性ペーストであって、前記有機バインダに分散された還元性ガスを含む気泡を全体積に対して30体積%以下の割合で含むことを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記還元性ガスが、水素ガスを含む請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記気泡が、前記熱硬化性樹脂の硬化を抑制する硬化抑制ガスをさらに含む請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記硬化抑制ガスが、窒素、アルゴンおよびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のガスを含む請求項3に記載の導電性ペースト。
  5. 前記気泡の最大直径が、1μm〜50μmである請求項1〜4のいずれかの項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記金属粉末を80〜95重量%、前記有機バインダを5〜20重量%含む請求項1〜5のいずれかの項に記載の導電性ペースト。
  7. 前記金属粉末が、金、銀および銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む請求項1〜6のいずれかの項に記載の導電性ペースト。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む請求項1〜7のいずれかの項に記載の導電性ペースト。
  9. アミン化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含む請求項1〜8のいずれかの項に記載の導電性ペースト。
  10. 熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の両主面に配置された1対の金属配線層と、前記金属配線層間を電気接続するビア導体とを含む配線板であって、前記ビア導体が、請求項1〜9のいずれかの項に記載の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする配線板。
  11. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む請求項10に記載の配線板。
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