JP3572305B2 - 絶縁シートおよび多層配線基板ならびにその製造方法 - Google Patents

絶縁シートおよび多層配線基板ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも有機樹脂を含有する絶縁層を貫通して形成されたビアホールに充填された導電性ペーストによって形成されたビアホール導体を介して電気接続が行われている両面配線基板、回路部品内蔵両面配線基板、多層配線基板および回路部品内蔵多層配線基板、ならびにこれらの製造方法に関する。
【0002】
尚、「配線基板」なる用語は当業者には周知の用語であり、それに関しては、種々の説明が可能である。例えば、当該技術分野において電子機器を構成する種々の部品を構成する要素であって、少なくとも1つの絶縁層および少なくとも1つの配線層(または金属配線層)を有して成り、配線層には絶縁層を貫通して存在するビアホール導体が電気接続されている。
【0003】
【従来の技術】
近年、携帯電話に代表される移動体通信機器等の電子機器の小型化、薄型化、軽量化および高機能化が進展している。それに伴って、電子機器を構成する各種電子部品の小型化および薄型化を可能とする様々な技術開発が盛んである。また、これら電子部品が実装される配線基板に関しても、高密度実装を可能とする様々な技術開発が盛んである。最近は急速な実装技術の進展と共に、配線基板上への半導体ベアチップの直接実装の要望が高まり、また、高速信号処理回路にも対応できる多層配線構造の配線基板への要望が大きくなってきている。このような要望に対して、配線基板においては、多層配線基板の層間電気接続方式であるインナービアホール(IVH、inner via hole)接続方式が採用されている。そのような配線基板としては、樹脂材料を絶縁層に使用する多層配線樹脂基板、セラミック粉体と樹脂材料の混合物を絶縁層として使用する多層配線コンポジット基板等が各方面から提供されてきている。
【0004】
そのような多層配線基板において、配線層間の電気接続はビアホール導体によって行われる。そのようなビアホール導体は、一般に、熱硬化性樹脂から形成された絶縁シート、または熱硬化性樹脂を通常主成分として含んで成る絶縁シートにより形成された絶縁層の所定の箇所を貫通するビアホールを形成した後に、ビアホール内の内壁に金属メッキを施して形成される。ところが、そのようなビアホール導体の形成方法では、化学的なメッキ処理にかかる処理薬品が高価であること、処理時間が長いこと等、生産性と経済性に問題点がある。また、配線層が多層化した配線基板を作製する場合、ビアホール導体が配線層間で任意の所定の箇所で電気接続するように形成することが難しいため、配線パターンが高密度化した配線層を形成することが難しい。
【0005】
それに対し、絶縁シートを貫通するビアホールをの所定の箇所に形成した後、有機バインダ(熱硬化性樹脂を主成分として含んで成る)と導電性粉末とからなる導電性ペーストをビアホール内に充填し、その後、そのような絶縁シートを配線層と一緒に加熱加圧して導電性ペーストが充填されたビアホールを加熱加圧することによって、ビアホール中の導電性粉末を高密度化して導電性粉末同士を接触させてビアホール導体を形成し、それによって絶縁シートの両側に配置された配線層間を電気接続することが行われている。この方法により、メッキ等の化学的な処理を必要とせず、任意の場所にビアホール導体を形成でき、多層配線基板において高密度な電気接続ができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−155544号公報
【特許文献2】
特開平11−220262号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって配線層間を電気接続する多層配線基板を製造する場合、導電性ペーストをビアホールに有する状態で絶縁シートが所定の配線層と共に加熱加圧されて硬化する。導電性ペーストおよび絶縁シートに含まれる熱硬化性樹脂はいずれも、室温においては、粘度が非常に高く、あるいは実質的に固体の状態である、即ち、流動できない状態にある。しかしながら、加熱されて温度が上昇すると、粘度が低下し、あるいは固体の状態から溶融して非常に高い粘度を有する状態(この状態では一般的に粘着性を有する)となる。その後、温度が更に上昇すると、粘度が一層低下し、外部から積極的に力を加えなくても(即ち、自然に)室温における形状を保持できない状態またはそれに近いになる、即ち、流動できる状態となる。本明細書では、そのように流動できる状態に変化する場合に、見かけ上溶融すると言えるので、本明細書では、そのような見かけ上の変化を「溶融」なる用語で表現する。熱硬化性樹脂は、そのような溶融状態の後、温度が更に上昇すると、架橋が実質的に進行して低下していた粘度が上昇する。
【0008】
尚、絶縁層を形成する絶縁シートは、熱硬化性樹脂に加えて、配線基板の製造時に遭遇する温度では、溶融しない追加の成分を含む混合物でできていてもよい。例えば、製造する基板の放熱性を高める効果を得るために、絶縁シートはセラミック粉体を含んでよく、それに加えてまたはその代わりに、補強材として無機フィラー、ガラス繊維等を含んでよい。このような絶縁シートにより形成された絶縁層を有する基板をコンポジット配線基板と呼ぶ。そのような非溶融成分は、そのサイズが非常に小さいので、熱硬化性樹脂が溶融する場合、熱硬化性樹脂と実質的に一緒に挙動する。即ち、絶縁シートに含まれる熱硬化性樹脂が流動可能となる場合、非溶融成分は熱硬化性樹脂と共に流動できる。換言すれば、絶縁シートが全体として溶融状態となり、流動可能となる。
【0009】
上記から理解できるように、「溶融」なる用語は、純粋に科学的に用いられる場合のように、固体が液体に変化することを意味するのではなく、熱硬化性樹脂または絶縁層を形成する材料が流れることができる状態になることを意味する。
【0010】
特に、絶縁層がセラミック粉体と樹脂材料との混合物を含む多層配線コンポジット基板を製造する場合に、放熱性をより高めるためにガラス繊維などの補強材を含まない絶縁シートを用いるが、この絶縁シートの溶融時の粘度は、補強材を含む場合と比較して、低い。尚、絶縁シートの溶融時の粘度とは、絶縁シートを構成する材料全体としての粘度である。例えば絶縁シートが非溶融成分を含む場合は、そのような成分を含む状態で測定される粘度を意味する。
【0011】
そのため、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって配線層間の電気接続を行う多層配線コンポジット基板の製造方法において、導電性ペーストを充填したビアホールを有する絶縁シートを加熱加圧すると、絶縁シート自体が溶融して流動できる状態になる。その結果、ビアホールの形状が歪み易くなるので、充分な圧力を加えることができない。その場合、ビアホール中の導電性ペーストを充分に圧縮して高密度化することができず、信頼性の高い電気接続をすることができない場合がある問題点、ビアホールの位置が絶縁シートに形成した時の位置からずれ、ビアホールの位置精度が悪くなる場合がある問題点等がある。また、絶縁シートが溶融して流動可能となると、ビアホールから導電性ペーストがはみ出して、絶縁シートの表面、配線層の導体間等の領域の内、所定の領域以外の領域に付着し、隣接する配線導体同士が短絡するといった問題が生じ易かった。
【0012】
また、回路部品(例えばベアチップ半導体、LCRのようなチップ部品等)が絶縁層に埋設された配線基板の製造において、上述の絶縁シートの溶融による流動可能性は、回路部品を絶縁シート内に埋設する際に必須である。絶縁シート内に回路部品を埋設する際には、回路部品の体積に相当する量の絶縁シートの材料が回路部品によって押し退けられ、その際に材料が移動することによって、上述の絶縁シート自体の流動による問題が一層顕著になる。従って、回路部品を絶縁シート内に埋設することによる回路部品実装の高密度化を図ることと、導電性ペーストが充填されたインナービアホールによって最短距離の電気接続をすることによる配線の高密度化とを両立することが非常に難しい。
【0013】
そこで、本発明は、上述の問題の少なくとも1つ、好ましくは全部を緩和する、好ましくは解消する両面配線基板、回路部品内蔵両面配線基板、多層配線基板および回路部品内蔵多層配線基板、ならびにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
1つの要旨において、本発明は、種々の配線基板の製造に使用する、絶縁シートを提供し、この絶縁シートは、それ貫通して所定のように形成したビアホール内に充填された、熱硬化性樹脂を含む導電性ペーストを有し、導電性ペーストの硬化開始温度は絶縁シートの溶融開始温度より低い。この絶縁シートは、配線基板において絶縁層を構成し、例えば、絶縁層を貫通して存在するビアホール内に形成されたビアホール導体が絶縁層の両側に位置する配線層の配線間を所定の箇所にて電気接続する。製造される配線基板は、それに必要に応じて電子部品等を実装し、それを用いて電子機器を製造できる。
【0015】
別の要旨において、本発明は、上述の絶縁シートの製造方法を提供し、その方法は、絶縁シートを貫通する所定のビアホールを形成し、絶縁シートの溶融開始温度より低い硬化開始温度を有する導電性ペーストをビアホールに充填することを含む。
【0016】
本発明において、導電性ペーストは、導電性粉末(例えば銅粒子)および有機バインダを含んで成る。この有機バインダは、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含んで成り、更に、硬化剤および/または硬化促進剤を含んでよい。また、導電性ペーストは、その粘度を調節するために適当な有機溶媒(例えばブチルカルビトール)を含んでよい。上述の要旨の発明において、導電性ペーストは、ビアホールに例えばスクリーン印刷によって充填できるようなペースト状態にあり、それに含まれる熱硬化性樹脂は、ビアホールに充填された状態では未硬化の状態である。
【0017】
本発明において、絶縁シートは、熱硬化性樹脂を含んで成り、必要に応じて他の成分を含んでよい。例えば、放熱を促進するためにセラミック粉末等を、また、補強のためにガラス繊維等を含んでよい。上述の導電性ペーストの硬化開始温度と絶縁シートの溶融開始温度との関係を満たす限り、本発明において使用する導電性ペーストおよび絶縁シートは、同じ種類に属するものであってもよく、あるいは異なる種類に属するものであってもよく、また、ビアホール接続方式を用いて製造される配線基板用の公知の導電性ペーストおよび絶縁シートを使用することができる。上述の要旨の発明において、絶縁シートは、シート形態の部材であり、それに含まれる熱硬化性樹脂は、未硬化の状態である。
【0018】
別の要旨において、本発明は、所定のビアホールに導電性ペーストを充填して形成されるビアホール導体が、絶縁層の主表面(即ち、層を規定し、層の両側に位置する面)の少なくとも一方側に配置された所定の配線層に、電気接続された配線基板の製造方法を提供し、この方法は、熱硬化性樹脂を含有し、絶縁層を形成する絶縁シートの溶融開始温度より低い硬化開始温度を有する導電性ペーストをビアホールに充填して形成されるビアホール導体を、絶縁シートに配置された該配線層に電気接続することを含む。この配線基板の製造方法は、上述の本発明の絶縁シートを得た後、絶縁シートの主表面の少なくとも片側に配線層を配置して、導電性ペーストによって形成されるビアホール導体を配線層に電気接続することを含む。尚、絶縁シートに配線層を配置して電気接続するに際しては、配線層の電気接続すべき部分と、絶縁シートに形成したビアホールとを位置合わせする、即ち、位置的にアライメントさせる。
【0019】
従って、本発明の配線基板の製造方法は、
(a)上述の本発明の絶縁シート(導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より低い)を準備すること、および
(b)絶縁シートの主表面の少なくとも一方に配線層を配置して、ビアホール導体を配線層に電気接触すること
を含んで成る。この製造方法において、その後、後述するような工程を経て種々の配線板を製造できる。
【0020】
本発明において、「配線層を配置して、ビアホール導体を配線層に電気接続する」ことは、所定のビアホール内に含まれる導電性ペーストによって形成されるビアホール導体と所定の配線層との間で電流が所定のように流れるように接続部が形成される限り、どのような方法で実施してもよく、配線層を構成する配線の所定の領域とビアホール導体とが接続される。通常、配線層のそれ以外の領域は、絶縁シートと接着されが、電流は勿論流れない。
【0021】
好ましい態様では、ビアホール内に導電性ペーストを含む絶縁シート上に所定の配線層を配置して、加熱下、これらを一体に押圧する(即ち、加熱加圧する)ことによって電気接続する。この態様では、所定の種々の配線で構成された所定の配線層を絶縁シートに熱転写してもよい。熱転写では、転写される金属配線層を表面に有する剥離キャリアから成る転写用配線パターン形成材を使用して、加熱下で押圧する転写によって、絶縁シート上に配線層を形成する。
【0022】
熱転写方式では、剥離キャリア上に金属配線を微細に予め形成することができる。尚、転写用配線パターン形成材とは、剥離キャリア上に直接、被転写配線層を形成した構造のもの、剥離キャリア上に、極薄の剥離層を介して、被転写配線層を形成した構造のものであってよく、剥離キャリアは通常金属または樹脂から成る。転写用配線パターン形成材は、転写される金属配線層の上に電気接続された回路部品を有してよい。そのような転写用配線パターン形成材は、後述するように、絶縁シートの主表面に配線層を電気接続すると際に、絶縁シート内に回路部品を埋設する場合に使用できる。この場合、金属配線層の配置・電気接続と同時に回路部品の絶縁層への埋設を行うことができる。
【0023】
別の好ましい態様では、ビアホール内に導電性ペーストを含む絶縁シート上に金属箔を配置して、加熱下、必要に応じて押圧してこれらを一体に接着し(即ち、加熱接着し)、その後、所定の配線層として必要な領域のみを残すように金属箔をサブトラクティブ法によって、例えば化学エッチングすることによって電気接続する。化学エッチング法のようなサブトラクティブ法を用いることで、特に配線層を形成する金属箔として銅箔を使用することで、通常の配線基板の金属配線形成用エッチング装置をそのまま使用して、安価に金属配線を形成することができる。
【0024】
いずれの態様においても、バインダ中の熱硬化性樹脂が加熱されて粘着性を発現することに加えて、ビアホール導体内の導電性ペーストが圧縮されて導電性粉末が高密度化されるので、ビアホール導体と配線層との電気接続が確実なものとなる。また、絶縁シートの熱硬化性樹脂も加熱によって粘着性を発現して配線層と絶縁シートとの接着に寄与できる。従って、上述のように配線層を配置して電気接続する工程は、これらを熱圧着(thermo−compression bonding)する工程、詳しくは、配線層の所定の領域とビアホール導体を接着し、また、配線層のその他の領域と絶縁シートとを接着する工程であると言える。尚、本発明の配線基板の製造方法において、所定の配線層(通常、金属配線層)は、所定の配線の集合体であり、全体として薄層の形態である。配線層は、最終的には絶縁層上で所定の配線を形成するものであり、これらの配線を一緒に層の形態で絶縁シートの片側または両側に配置する。
【0025】
本発明の配線基板の製造方法において、硬化開始温度が溶融開始温度より低いという本発明における特徴によって、熱圧着によってビアホール内の導電性ペーストの硬化が絶縁シートの溶融に先立って始まっている。従って、絶縁シートが溶融するほどに加熱される時点では、導電性ペーストの硬化が既に進行した後であり、好ましい場合では導電性ペーストの硬化が相当進んだ後であり、より好ましい場合では導電性ペーストの硬化が実質的に完了している。1つの態様では、熱圧着を複数のステップで実施して、最初のステップにて、絶縁シートを実質的に溶融させることなく、導電性ペーストの硬化を完了させ、その後の少なくとも1つのステップで絶縁シートを溶融させ、そしてその硬化を完了させる。
【0026】
その結果、
(A)上述の電気接続に際して行う熱圧着の間に、あるいは
(B)上述の電気接続に際して行う熱圧着の後で、後述するように、
(a)電気接続に際して行う熱圧着をそのままの条件で、もしくは異なる条件で継続することによって更に熱圧着して両面回路基板もしくは片面回路基板を製造する場合に、または
(b)少なくとも1つの他の絶縁シート(後述の第3絶縁シートに相当)と共に、更に熱圧着して多層配線回路基板を製造する場合に、
適用する加熱が絶縁シートを最終的に溶融させる程度のものであっても、絶縁シートの流動化によるビアホール導体への悪影響を最小限に抑制できる。尚、明確にするため、上記(a)および(b)にて更に行う熱圧着、即ち、電気接続のための熱圧着の後で行う熱圧着を本明細書では「後熱圧着」と呼ぶ。
【0027】
特に、ビアホール導体を配線層に電気接続して得られる絶縁層を、その後、後熱圧着する場合、ビアホール導体の形状が変化しにくいので、絶縁シートの流動化による影響に対して好都合である。特に、電気接続の間に、バインダ中の熱硬化性樹脂硬化が既に充分に進んでいる場合には、ビアホール内の導電性ペーストが硬くなっている。従って、後熱圧着の間、ビアホール導体の形状変化は実質的に起こらないようになる。
【0028】
上述の配線基板の製造方法において、ビアホール導体を配線層に電気接続するための熱圧着の際に、上述のようにバインダ中の熱硬化性樹脂の硬化が実質的に進むのが好ましく、硬化が実質的に完了するのが好ましい。また、この際に、絶縁シート中の熱硬化性樹脂の硬化は実質的に進んでも、あるいは進まなくてもよいが、硬化が完了してはならない。例えば、熱圧着によって、絶縁シートの硬化状態が半硬化状態になってもよく、それが好ましい場合がある。当業者であれば、電気接続した後に得られる絶縁シートがその後、どのようにも用いられるかに応じて、電気接続後の絶縁シート中の熱硬化性樹脂の硬化状態を選択できる。
【0029】
上述の配線基板の製造方法の1つの態様では、(c)電気接続後の絶縁シート(明確にするため、第1絶縁シートとも呼ぶ)のみを、更に後熱圧着することによって絶縁シートの熱硬化性樹脂の硬化を完了させて配線基板を得ることを含む。この場合、絶縁シートの片側または両側に配線層を配置して電気接続する場合には、それぞれ片面配線基板または両面配線基板を得ることができる。
【0030】
この場合、電気接続するための最初の熱圧着の条件をそのまま維持して、継続することによって後熱圧着を実施してよい。即ち、絶縁シートの硬化が終了するまで最初の熱圧着を継続することによって、後の熱圧着を実施する。勿論、最初の熱圧着の条件と、後熱圧着の条件を変更して2またはそれ以上の段階で加熱加圧を実施してよい。例えば、最初の熱圧着は、実質的に導電性ペーストのみを十分に硬化させ、後熱圧着では、実質的に絶縁シートのみを溶融して硬化させてよい。
【0031】
このような片面または両面配線基板の主表面の少なくとも一方に、硬化が完結していない少なくとも1つの別の絶縁シート(明確にするため、第2絶縁シートと呼ぶ)を位置合わせして積層し、熱圧着処理(絶縁シートが最初に経験する「熱圧着」、およびその後に経験する「後熱圧着」と区別するために、「処理」なる用語を追加)によってこれらを一体に接着することによって多層配線基板を得ることができる。この第2絶縁シートは、片面配線基板および両面配線基板に積層して、その後、熱圧着処理することによって、所望の多層配線基板を得ることができる限り、絶縁シートの種類および数は特に限定されるものではない。尚、配線基板に積層する第2絶縁シートの数は、複数であってもよい。第2絶縁シートは、通常、それを貫通するビアホールに充填された導電性ペーストにより形成されるビアホール導体を有し、これに電気接続された配線層をその主表面の少なくとも一方に有してよい。従って、第2絶縁シートは、配線層をいずれの側にも有さなくてもよいが、必要に応じて、片側または両側に配線層を有してよい。第2絶縁シートの数および種類は、片面配線基板および両面配線基板と一緒に熱圧着処理して多層配線基板を製造する時、全ての配線層が所定のように電気接続されるように選択する。上述の本発明の片面配線基板および両面配線基板では、絶縁シートの硬化が完結しているので、第2絶縁シートは、その硬化が完結していない、好ましくは未硬化または半硬化状態である。
【0032】
具体的には、上述の多層配線基板の製造方法は、
(d)ビアホール導体を有し、少なくとも一方の主表面に、ビアホール導体に電気接続された配線層を必要に応じて有する少なくとも1つの第2絶縁シートを、上述の片面または両面配線基板の主表面の少なくとも一方に積層すること、
(e)この積層に際して、
絶縁シートを、それに隣接する他の絶縁シートと位置合わせして、
(i)引き続いて実施する後熱圧着によって、絶縁シートの配線層が、それに隣接する他の絶縁シートのビアホール導体に電気接続されるようにすること、または、
(ii)引き続いて実施する後熱圧着によって、絶縁シートのビアホール導体が、それに隣接する他の絶縁シートの配線層に電気接続されるようにすること、および、
(f)積層した片面または両面配線基板および第2絶縁シートを一体に熱圧着処理して多層配線基板を得ること
を含む。
【0033】
上記(e)において、(i)は、第2絶縁シートに対向する、第1絶縁シートの主表面が、配線層を有する場合であり、その場合、第1絶縁シートに対向する、第2絶縁シートの主表面は配線層を有さない。そして、第1絶縁シートの配線層と第2絶縁シートのビアホール導体が熱圧着によって電気接続される。
上記(e)において、(ii)は、第2絶縁シートに対向する、第1絶縁シートの主表面が、配線層を有さない場合であり、その場合、第1絶縁シートに対向する、第2絶縁シートの主表面は配線層を有する。そして、第1絶縁シートのビアホール導体と第2絶縁シートの配線層が熱圧着によって電気接続される。
【0034】
上述の本発明の配線基板の製造方法の別の態様では、電気接続後(従って、熱圧着後)に得られる絶縁シート(上述と同様に、第1絶縁シートと呼ぶ)に、少なくとも1つの別の絶縁シート(上述の第2絶縁シート区別するため、第3絶縁シートと呼ぶ)を積層して、これらを一体に後熱圧着することによって、多層配線基板を製造するために使用できる。第3絶縁シートは、その硬化状態厳密には、第3絶縁シート中の熱硬化性樹脂の硬化状態)が、いずれの状態であってもよい点を除いて、上述の第2絶縁シートと同じであってよい。従って、第2絶縁シートに関する先の説明の内、硬化状態に関する事項以外の事項が当て嵌まる。
【0035】
第3絶縁シートは、熱硬化性樹脂を含み、所定の箇所に貫通して形成されたビアホールを含み、その中には導電性ペーストが充填されてビアホール導体を形成している。また、第3絶縁シートは、所定の配線層を少なくとも片側に必要に応じて有し、ビアホール内に充填した導電性ペーストにより形成されたビアホール導体がその配線層に電気接続されている。従って、第3絶縁シートは、その主表面の両方に所定の配線層(これらはビアホール導体により電気接続されている)を有しても、片方に所定の配線層(これはビアホール導体に電気接続されている)を有しても、あるいは配線層を有さなくてもよい。
【0036】
多層配線基板を製造する場合、本発明の配線基板の製造方法にて電気接続後に得られる第1絶縁シートの硬化が完了していないので(即ち、未硬化または半硬化状態にあるので)、第3絶縁シートの硬化状態はどのような硬化状態であっても、第1絶縁シートを第3絶縁シートに積層してこれらを一体に熱圧着できる。通常、第3絶縁シートは、硬化または半硬化状態であるのが好ましい。
【0037】
上述の多層配線基板の製造方法は、
(D)ビアホール導体を有し、少なくとも一方の主表面に、ビアホール導体に電気接続された配線層を必要に応じて有する少なくとも1つの第3絶縁シートを、熱圧着の後に得られる第1絶縁シートの主表面の少なくとも一方に積層すること、
(E)この積層に際して、
(E−1)第1絶縁シートを、それに積層する第3絶縁シートと位置合わせして、
(i)引き続いて実施する後熱圧着によって、第1絶縁シートの配線層の所定の領域が、それに積層する第3絶縁シートのビアホール導体に、所定のように電気接続されるようにすること、または、
(ii)引き続いて実施する後熱圧着によって、第1絶縁シートのビアホール導体が、それに隣接する第3絶縁シートの配線層の所定の領域に、所定のように電気接続されるようにすること、および、
(E−2)残りの第3絶縁シートを位置あわせして、引き続いて実施する後熱圧着によって第3絶縁シートが所定のように相互に電気接続されるようにすること、ならびに
(F)積層した第1絶縁シートおよび第3絶縁シートを一体に後熱圧着して多層配線基板を得ること
を含んで成る。
【0038】
上記(E−1)において、(i)は、第3絶縁シートに対向する、第1絶縁シートの主表面が、配線層を有する場合であり、その場合、第1絶縁シートに対向する、第3絶縁シートの主表面は配線層を有さない。そして、第1絶縁シートの配線層と第3絶縁シートのビアホール導体が後熱圧着によって電気接続される。
上記(E−1)において、(ii)は、第3絶縁シートに対向する、第1絶縁シートの主表面が、配線層を有さない場合であり、その場合、第1絶縁シートに対向する、第3絶縁シートの主表面は配線層を有する。そして、第1絶縁シートのビアホール導体と第3絶縁シートの配線層が後熱圧着によって電気接続される。
上記(E−2)は、積層する第3絶縁シートが複数である場合に、片面または両面配線基板に直接隣接しない絶縁シートも所定のように電気接続させる必要があることに基づく。
【0039】
従って、上述の本発明の配線基板の製造方法は、ビアホール導体を配線層に電気接続した後に得られる絶縁シート、即ち、上述の種々の第1絶縁シートのいずれかを、少なくとも1つの他の絶縁シートと、即ち、第3絶縁シートに積層して、更に熱圧着して、即ち、後熱圧着して第1絶縁シートおよび第3絶縁シートを一体に硬化させて配線基板、即ち、多層配線基板を得ることを含む。
【0040】
尚、第3絶縁シートと一緒に積層して後熱圧着する場合、積層する第1絶縁シートおよび第3絶縁シートの配線層がビアホール導体を介して所定のように電気接続されるように位置合わせして積層した後に後熱圧着するのは勿論である。
【0041】
尚、上述の後熱圧着を複数のステップで実施してよい。導電性ペーストの硬化が完了していない場合には、最初のステップにて、絶縁シートを実質的に溶融させること、または絶縁シートの硬化を実質的に進めることなく、導電性ペーストの硬化を完了させ、その後の少なくとも1つのステップで絶縁シートを溶融させ、そしてその硬化を完了させる。
【0042】
上述のように積層する第2または第3絶縁シートは、上述の本発明の配線基板の製造方法にて電気接続された絶縁シート(即ち、第1絶縁シート)と同じものであるのが好ましい、即ち、第2または第3絶縁シートに関しても、その導電性ペーストの硬化開始温度が絶縁シートの溶融開始温度より低いのが好ましい。そのような第3絶縁シートは、必要に応じて、後述するように回路部品が埋設されているものであってもよい。
【0043】
別法では、第2または第3絶縁シートは、先に説明した本発明の方法において得られる電気接続した第1絶縁シートと一緒に積層して熱圧着処理または後熱圧着するように設計されている、別途製造した絶縁シートであってよい。更に別の態様では、第2または第3絶縁シートは、複数の絶縁層を有し、その絶縁層の間に所定の配線層が配置された多層配線を有する絶縁シートであってよい。使用する第3絶縁シートの種類および他の絶縁シートの数は、製造しようとする配線基板に応じて適宜選択できる。
【0044】
本発明の配線基板の製造方法において、電気接続に際して用いる熱圧着が絶縁シートを溶融させない程度のものである場合には、後熱圧着することによって、絶縁シートが溶融し、その後、熱用優勢樹脂の硬化が進行する。また、電気接続に際して用いる熱圧着が絶縁シートを溶融させる程度のものである場合には、後熱圧着することによって、絶縁シートの硬化が更に進み、やがて硬化が充分となる。そして、電気接続に際して用いる熱圧着によって導電性ペーストの硬化が十分に進んでいない場合には、後熱圧着することによって硬化が更に進行し、充分な硬化状態となる。そして、硬化開始温度が溶融開始温度より低いという本発明の上述の特徴の結果、このような導電性ペーストの硬化は、絶縁シートの溶融が起こる前に既に始まっており、従って、絶縁シートの溶融に由来する問題点が少なくとも緩和される。
【0045】
本発明の配線基板の製造方法の1つの好ましい態様では、絶縁シートに設けたビアホール内に形成されるビアホール導体に電気接続する配線層(即ち、第1絶縁シートに配置する配線層)は、それに予め電気接続された少なくとも1つの回路部品(例えばベアチップ半導体、抵抗器の機能を有するチップ、コンデンサの機能を有するチップ、インダクターの機能を有するチップ、LCRチップ等)を有してよい。この態様では、絶縁シートに配線層を配置して、ビアホール導体を配線層に電気接続するに際して、配線層が絶縁シートの表面に露出し、回路部品が絶縁シート内に埋設されるようにする。具体的には、熱転写により配線層を絶縁シートに転写するに際して、回路部品が予め電気接続されている配線層を有する、転写配線層支持キャリヤを、熱転写後に配線層が露出するように絶縁シートに配置して熱圧着を実施し、そのご、キャリヤを剥離することによって熱転写を実施できる。従って、この態様の配線基板の製造方法では、絶縁シートの主表面の少なくとも一方に配線層をビアホール導体を配線層に電気接続すると、回路部品が埋設され、それに電気接続された配線層が露出した絶縁シートが得られる。尚、この態様では、絶縁シート内に回路部品を埋設するために、熱圧着は、絶縁シートが溶融する条件で実施する必要があるが、絶縁シートの硬化は、進行しなくても、あるいは進行してもよいが、完了してはならない。この場合であっても、本発明の特徴によって、絶縁シートの溶融開始前に、導電性ペースとの硬化が既に部始まり、そして、硬化が進行しているので、絶縁シートの溶融に由来する悪影響が緩和される。
【0046】
このように回路部品が埋設された絶縁シート(第1絶縁シートに対応)は、配線層に回路部品が予め電気接続されている(そして、そのために、回路部品を埋設する際に、絶縁シートを溶融させる必要がある)という相違点を除いて、上述の絶縁シート(即ち、第1絶縁シート)と同じである。従って、相違点に関する事項以外の事項については、先の説明が同様に当て嵌まり、回路部品が埋設された絶縁シートは、両面配線基板または片面回路基板、あるいは多層回路基板の製造に使用できる。例えば、他の絶縁シート、即ち、上述の第2絶縁シートまたは第3絶縁シートと組み合わせて積層して一体に熱圧着処理または後熱圧着すると、回路部品が埋設された多層配線基板が製造される。
【0047】
更に、本発明の別の態様では、ビアホール導体が配線層に電気接続された絶縁シート、即ち、第1絶縁シートの配線層に少なくとも1つの回路部品を電気接続し(従って、回路部品は絶縁シートの外側に位置する、即ち、露出している)、このように回路部品を電気接続した第1絶縁シートを少なくとも1つの他の絶縁シート(これは、上述の第3絶縁シートであってよい)に積層して、これらを一体に後熱圧着し、それによって、回路部品が埋設された多層配線基板が製造される。この態様では、後熱圧着時に、絶縁シートが溶融して回路部品がその中に埋設される。
【0048】
本発明では、いずれの態様においても、絶縁層を構成し、熱硬化性樹脂を含有する絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストにより形成されたビアホール導体を、絶縁シートに配置された配線層に電気接続する。従って、絶縁シートが溶融、流動する前に導電性ペーストを硬化させる、好ましくは充分硬化させることで、絶縁シートが流動可能状態となることによってビアホールの形状が歪むことを抑制し、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体に充分な圧縮を加えることができる。その結果、高信頼性で電気接続された片面配線基板、両面配線基板、多層配線基板および回路部品を内蔵したこれらの配線基板を製造することができる。従って、本発明は、上述のような方法により製造される、回路部品を有することもある片面配線基板、両面配線基板および多層配線基板をも提供する。
【0049】
本発明において、絶縁シートの溶融開始温度は、所定温度における絶縁シートの粘度が、温度が上昇するにつれてある割合に減少する温度として定義する。本発明においては、室温(約30℃)における粘度が100分の1に低下する温度を溶融開始温度とすることができる。更に詳細な検討を進めた結果、50℃における粘度が50分の1に低下する温度を溶融開始温度とするのがより好ましいことが判った。絶縁シートの粘度の変化を測定するには、測定装置としてフローテスタ(島津製作所製、島津フローテスタCFT−500D)を使用する。
【0050】
本発明において、導電性ペーストの硬化開始温度は、添付の図6を参照して、以下のように定義できる:
導電性ペーストを示差熱分析(30℃から250℃(硬化開始温度以上に相当)に昇温レート5℃/minで昇温する)に付し、図6に模式的に示すような示差熱曲線(温度(T、横軸)vs温度差(ΔT、縦軸)を得る。曲線のピークを示す部分(図6では下向きのピーク)に関して、曲線の立ち上がり点B(ΔTが急激に下がり始める点)を決定する。次に、点Bからピーク点C間で、最大傾斜の点Eにて引いた外挿接線(a)と点Bにおける点Bからの外挿接線(b)の交点Gにおける温度を硬化開始温度と定義する。この示差熱曲線を得るには、熱分析測定装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製、示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA200)を使用でき、上述のような硬化開始温度は、装置に組み込まれたソフトウェアによって簡単に算出できる。
【0051】
本発明において、導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より低い、好ましくは少なくとも5℃低い、より好ましくは少なくとも10℃低い。これらの温度の差は、大きいほど好ましいが、あまり大き過ぎると、後硬化の温度が高くなり過ぎるという不都合がある。1つの態様では、導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より例えば8〜15℃低い。導電性ペーストの硬化開始温度および絶縁シートの溶融開始温度は、これらを構成する成分の種類、組成等を調節することによって、当業者であれば適切な値とすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
1つの態様において、本発明の多層配線基板は、無機フィラー(後記混合物基準で、好ましくは50体積%〜75体積%または70重量%〜95重量%)と熱硬化性樹脂とを含む混合物の絶縁シートから形成された少なくとも2つの絶縁層と、各絶縁層を挟むように位置する配線層(通常、金属配線層)と、配線層を電気接続するように絶縁層を貫通して形成されたビアホール導体とを含んで成り、ビアホール導体は、少なくとも導電性粉末と有機バインダを含有し、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する、ビアホールに充填された導電性ペーストにより形成されている。
【0053】
絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストでビアホール導体を形成し、絶縁シートの溶融開始前に導電性ペーストを硬化開始させることで、絶縁シートが溶融、流動するのに抗して形状を維持する効果のあるビアホール導体となる。導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体に充分に圧縮を加え、導電性ペースト中の導電性粉末を高密度化でき、低抵抗で、信頼性の高い電気接続の多層配線基板となる効果がある。また、ビアホール導体の形状が維持されることで、絶縁シートの溶融しても、絶縁シート材料の流動によってビアホール導体の位置がずれず、ビアホール導体の位置精度が良くなる効果がある。
【0054】
本発明において、導電性ペーストは、硬化開始温度が50℃〜150℃の範囲内にあるのが好ましい。一般に、導電性ペーストには、ビアホールへ充填する時に充填可能な粘度であること、具体的には、室温条件下で少なくとも半日は10Pa・s〜500Pa・sを維持することが必要である。硬化開始温度が50℃より低いと、室温での保存安定性を維持することが難しい。一方、150℃より高いと、例えば無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合物を含む絶縁シートが溶融する前に充分に硬化が進まず、絶縁シートの流動時に、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体の形状維持効果が充分に望めない。硬化開始温度は、特に70℃〜120℃が望ましい。硬化開始温度が80℃〜100℃の範囲内にあるのがより好ましい。
【0055】
本発明において、導電性ペーストは、導電性粉末(または導電性粒子)を80〜97重量%、好ましくは85〜95重量%、また、有機バインダを3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含む。例えば導電性ペーストは、導電性粉末80〜95重量%および有機バインダ5〜20重量%を含む。導電性粉末が97重量%より大きくなると、ペースト化することが難しくなることがあり、逆に、80重量%より小さくなると、導電性ペーストが充填されたビアホール導体を硬化させた時、ビアホール導体中に有機バインダが多量に残存し、導電性粉末同士の接触が阻害され、ビアホール導体の電気抵抗値が大きくなることがある。導電性ペーストは、粘度調節のため適当量の有機溶媒、例えばブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を含んでよい。
【0056】
尚、導電性ペースト中における導電性粉末は、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫、および鉛ならびにこれらの合金の群から選ばれる少なくとも1種の金属の粉末である。また、そのような金属のいずれかを核として有し、これらの金属の内の別の金属を被覆したものであってもよい。導電率の点からは銀が優れており、ビアホール導体の低抵抗化に有利である。また、金属自体が軟らかい場合、導電性ペーストが充填されたビアホール導体に圧縮が加えられた際の導電性粉末同士の接触面積を拡大し、低抵抗化し易いので、金または銀が適している。また、コストの点で、銅が優れている。また、銅粉を核に銀で表面を被覆したものが、銀および銅の長所をあわせもち、さらに好適である。
【0057】
本発明において、導電性ペースト中における有機バインダは、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂を混合したものがより好ましく、その混合比は、エポキシ樹脂:フェノール樹脂(重量比)=1〜4:4〜1であるのが望ましい。これは、エポキシ樹脂のみでは電気絶縁性に優れるが、導電性ペースト中の酸化した導電性粉末(金属粉末)を還元する機能は無く、一方、フェノール樹脂のみでは、還元性に優れるが、樹脂自身が脆いこと、一般に固形のため、溶剤を使用して溶解しなくてはならないこと等の欠点があるためである。使用するエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、レゾール型等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、環状脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂等の公知のものでよい。
【0058】
本発明において、有機バインダーは、アミン系化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物からなる硬化触媒もしくは硬化促進剤を含有するものであるのが好ましい。イミダゾール類の中でも、保存安定性の点から、室温で固体状のものを使用するのが好適である。所定の温度以上に加熱すると有機樹脂中に溶解し、速やかな導電性ペーストの硬化を促進する効果がある。オニウム塩系は、室温下で低活性であり、保存安定性に効果がある。また、温度に対する応答性を高くするために、樹脂中の硬化剤または硬化触媒の濃度を高くするのも効果的である。例えば、硬化触媒としてイミダゾールを使用する場合、熱硬化性樹脂の硬化のための添加量は、通常0.5〜2重量部であるが、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部(熱硬化性樹脂100重量部基準)である。この添加量は、絶縁シートの溶融開始温度よりも低温の導電性ペーストの硬化開始を確保すると共に、速硬化性と保存安定性にも効果的である。
【0059】
本発明において、絶縁シートに含まれる熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むのが好ましい。これらの樹脂を使用することで耐熱性や、電気絶縁性に優れた配線基板を製造できる。
【0060】
本発明において、絶縁シートは無機フィラーを含むのが好ましい。その無機フィラーは、Al、SiO、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。これらの無機フィラーを用いることで、放熱性に優れた絶縁性基板となる。また、無機フィラーとして、SiOを用いた場合、基板の誘電率を小さくすることができる。また、絶縁シートは、ガラス繊維等の補強材を含んでよい。また、絶縁シートは、必要に応じて、他の成分、例えば、樹脂中の無機フィラーの分散性を向上させるためのカップリング剤、着色のためのカーボンブラック等を含んでよい。
【0061】
本発明の多層配線基板基板の製造方法は、1つの態様では、少なくとも導電性粉末と有機バインダとを含有する導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって、絶縁層を介した金属配線層間の電気接続が行われる多層配線基板を製造し、その方法は、
(a)無機フィラー50体積%〜75体積%と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなる未硬化または半硬化状態の絶縁シートにビアホールを形成することと、
(b)ビアホール内に、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填することと、
(c)導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体を有する絶縁シートの少なくとも1つの主表面上に、導電性ペーストが充填され形成されたビアホール導体によって層間の電気接続が行われるように金属配線を形成することと、
(d)上記(c)で得られる絶縁シートを所定の数準備し、必要に応じて他の絶縁シートを所定数準備し、これらの絶縁シートを位置合わせして積層、加熱加圧することにより熱硬化性樹脂を硬化させてこれらの絶縁シートを一体に接着して一体化物を多層配線基板として得ることと
を含む。得られた一体化物の表面は、積層した時に最外部に位置する絶縁シートの露出した金属配線を、多層配線基板の露出表面の金属配線として有する。尚、(d)における他の絶縁シートは、先に説明した第3絶縁シートであってよく、(c)で得られる絶縁シートを用いて所定の多層回路基板を製造するために必要ないかなる絶縁シート(必要に応じて配線層および/または回路部品および/またはビアホール導体を有して成る)であってもよい。
【0062】
絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、加熱加圧して絶縁シートを硬化させる時に、絶縁シートが溶融、流動する前に導電性ペーストの硬化が進んでいるため、絶縁シートの流動に抗して、ビアホール導体の形状を維持することができる。この絶縁シートの流動に対するビアホール導体の形状維持の効果の下、絶縁シートの厚さ方向の圧縮、金属配線をビアホール中に埋設することによる圧縮等によって、ビアホール導体を充分に圧縮することができるので、ビアホール導体中の導電性粉末を高密度化し、ビアホール導体による電気接続を低抵抗かつ高信頼性で行うことができる。また、絶縁シートに形成するビアホールの間隔が小さい場合でも、絶縁シートの流動に伴うビアホール位置のずれが起こりにくいため、金属配線とビアホール導体の電気接続を位置精度良く行うことができる。また、絶縁シートの流動時に、ビアホール導体中の導電性ペーストが流出し、絶縁シートの表面や配線導体層間に付着することによって、隣接する配線回路同士が短絡する等の接続不良の発生を抑制する効果がある。
【0063】
本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法は、1つの態様では、回路部品が絶縁層に埋設され、少なくとも導電性粉末と有機バインダを含有する導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって、絶縁層を介した金属配線層間の電気接続が行われる回路部品内蔵多層配線基板を製造し、その方法は、
(a)無機フィラー50体積%〜75体積%と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなる未硬化または半硬化状態の絶縁シートにビアホールを形成することと、
(b)ビアホール内に、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填することと、
(c)導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体を有する絶縁シートの少なくとも1つの主表面上に、導電性ペーストが充填され形成されたビアホール導体によって配線層間の電気接続が行われるように、回路部品を予め電気接続した金属配線を配置すると共に、配線層に予め電気接続されている回路部品を絶縁シート内に埋設することと、
(d)上記(c)で得られる絶縁シートを所定の数準備し、必要に応じて他の絶縁シートを所定数準備し、これらの絶縁シートを位置合わせして積層、加熱加圧することにより熱硬化性樹脂を硬化させてこれらの絶縁シートを一体に接着して一体化物を多層配線基板として得ることと
を含む。得られた一体化物の表面は、積層した時に最外部に位置する絶縁シートの露出した金属配線を、多層配線基板の露出表面の金属配線として有する。尚、(d)における他の絶縁シートは、先に説明した第3絶縁シートであってよく、(c)で得られる絶縁シートを用いて所定の多層回路基板を製造するために必要ないかなる絶縁シート(必要に応じて配線層および/または回路部品および/またはビアホール導体を有して成る)であってもよい。
【0064】
本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法は、別の態様では、
回路部品が絶縁層に埋設され、少なくとも導電性粉末と有機バインダを含有する導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって、絶縁層を介した金属配線層間の電気接続が行われる回路部品内蔵多層配線基板を製造し、その方法は、
(a)無機フィラー50体積%〜75体積%と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなる未硬化または半硬化状態の絶縁シートにビアホールを形成することと、
(b)ビアホール内に、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填することと、
(c)導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体を有する絶縁シートの少なくとも1つの主表面上に、導電性ペーストが充填され形成されたビアホール導体によって配線層間の電気接続が行われるように、金属配線を配置することと、
(d)絶縁シートに配置された金属配線上に回路部品を実装する、即ち、電気接続することと、
(e)絶縁シートの回路部品が実装された表面に、上記(a)および(b)によって製造される、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体を有する別の絶縁シートを、回路部品が実装された表面の金属配線と別の絶縁シートのビアホール導体が接触するように位置合わせして、積層して積層体を得ることと、
(f)積層体を加圧加熱することにより熱硬化性樹脂を硬化させることと
を含む。
【0065】
絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、加熱加圧して絶縁シートを硬化させる時に、絶縁シートの流動前に導電性ペーストの硬化が進んでいる。従って、絶縁シートの溶融による絶縁シートの流動だけでなく、絶縁シートへの回路部品埋設に伴う絶縁シートの追加的な流動に抗して、ビアホール導体の形状を維持することができる。この回路部品埋設時の絶縁シート流動に対するビアホール導体の形状維持の効果により、回路部品が埋設された絶縁層と同一層において、導電性ペーストが充填されたビアホール導体で最短距離の電気接続を行うことができる。また、回路部品の絶縁シートへの埋設を、回路部品を含まない配線基板の製造工程に特別な工程を加えることなく、行うことができる。
【0066】
本発明の種々の回路基板の製造方法において、熱圧着および後熱圧着は、2回またはそれ以上の加熱加圧で実施する。例えば、1回目の加熱加圧を導電性ペーストの硬化温度以上、絶縁層の溶融開始温度より低い温度で行い、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体のみを硬化させ、2回目以後の加熱加圧で絶縁層を硬化させることで、絶縁層となる絶縁シートが流動する前にビアホール導体をより充分に硬化させ、絶縁シートが流動する時のビアホール導体の形状維持効果が高まる。特に、絶縁シートの流動が大きくなる回路部品を埋設する絶縁シートのビアホール導体および絶縁層の硬化を行う時に効果的である。
【0067】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0068】
(具体的な実施の形態1)
図1に、本発明の多層(図示した態様では4層)配線基板の一実施の形態を断面図にて模式的に示す。配線基板110は、絶縁シートから形成された絶縁層100、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体101、および金属配線を提供する配線層102を有して成る。
【0069】
本発明では、図示する配線基板110を製造するに際して、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストでビアホール導体101を形成することで、絶縁シートが溶融、流動するのに抗して形状を維持する効果のあるビアホール導体となる。その結果、導電性ペーストが充填されたビアホール導体に圧縮を加えることができ、また、導電性ペースト中の導電性粉末を充分に高密度化することができるので、低抵抗を有し、信頼性の高い電気接続の多層配線基板を製造できる。また、ビアホール導体の形状維持効果により、ビアホール導体の位置精度が良いという効果がある。
【0070】
(具体的な実施の形態2)
図2に、本発明の回路部品を内蔵する多層(図示した態様では4層)配線基板の一実施の形態を断面図にて模式的に示す。配線基板210は、絶縁シートから形成された絶縁層200、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体201、および金属配線を提供する配線層202を有して成り、絶縁層200には、配線層に電気接続された回路部品203が埋設されている。
【0071】
図2の場合でも、図1を参照して先に説明した効果と同等の効果が得られる。また、回路部品が埋設された絶縁層に関しても、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体によって、低抵抗を有し、高信頼性で電気接続を行うことができるので、回路部品の埋設による回路部品実装の高密度化とビアホール導体による高密度な電気接続を両立させることができる。
【0072】
(具体的な実施の形態3)
本発明の多層配線基板の製造方法の具体的な実施の形態を、模式的な断面図にて図3(a)〜(i)にて示す。
【0073】
絶縁層となる、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む未硬化の絶縁シート300を準備し(図3(a))、絶縁シート300にビアホール301を形成し(図3(b))、絶縁シート300に形成したビアホール301に、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填することによってビアホール導体302を形成し、本発明の絶縁シート310を得る(図3(c))。図3(a)〜(c)の工程に並行して、転写される金属配線を含む配線層303を有する剥離キャリア304からなる転写用配線パターン形成材315を準備する(図3(d))。
【0074】
次に、図3(e)に示すように、絶縁シート310の一方の主表面転写用配線パターン形成材315を位置合わせして積層し、これらを熱圧着する。その後、剥離キャリア304を除去することによって、配線層303の熱転写が完了する。その結果、配線層303が絶縁シート30の主表面の一方に配置されて、また、ビアホール導体302に電気接続された絶縁シート320(図3(h)の上方に図示)を得る。
【0075】
また、図3(f)に示すように、絶縁シート310の主表面の両方に転写用配線パターン形成材315を位置合わせして積層し、これらを熱圧着する。その後、剥離キャリア304を除去することによって、配線層303の熱転写が完了する。その結果、配線層303が絶縁シート30の主表面の両方に配置されて、また、ビアホール導体302に電気接続された絶縁シート330(図3(h)の中央に図示)を得る。
【0076】
更に、図3(g)に示すように、絶縁シート310の他方の主表面に転写パターン用配線パターン形成材315を位置合わせして積層し、これらを熱圧着する。その後、剥離キャリア304を除去することによって、配線層303の熱転写が完了する。その結果、配線層303が絶縁シート30の主表面の他方に配置されて、また、ビアホール導体302に電気接続された絶縁シート340(図3(h)の下方に図示)を得る。
【0077】
これらの絶縁シート得るに際して実施する熱圧着は、導電性ペーストの硬化が実質的に進行するように実施し、好ましくは硬化が完了するように実施する。また、絶縁シートの硬化については、後で実施する後熱圧着に際して、これらが相互に接着できるように選択する必要がある。即ち、図3(h)に示すように、絶縁シートを積層する場合に、隣り合う絶縁シートの少なくとも一方の硬化が完了していない(未硬化の場合も含む)ことが必要である。従って、隣り合う2つの絶縁シートの一方の硬化が完了している場合には、他方の絶縁シートの硬化が完了していてはならない。双方または片方が、未硬化でも、硬化が完了していなくてもよい(例えば半硬化状態であってもよい)。
【0078】
尚、図3(h)に示した態様では、配線層およびビアホールの位置が各絶縁シートについて同じであるが、これは、単に例示のために簡素化するためである。配線層およびビアホールの数、位置、材料、形状等は、製造すべき多層配線基板に応じて、所定のように異なってよいことが理解されよう。絶縁層および絶縁シートの厚さ、材料等についても同様である。
【0079】
次に、絶縁シート320、330および30を、これらが後熱圧着された場合に、電気接続すべき配線層303とビアホール導体302とが接触することになるように、図3(h)に示すように、位置合わせして積層する。その後、これらを一体に後熱圧着して、図3(i)に示す多層配線基板350を得る。尚、この後熱圧着は、絶縁シート同士を接着し、また、絶縁シートの硬化を完了させ、更に、先に実施した熱圧着では導電性ペーストの硬化が十分でなかった場合には、その硬化も完了させる。尚、転写用配線パターン形成材の剥離キャリア304は、上述のように各絶縁シートを形成する際に除去してよいが、別の態様では、最終的に最外部に位置することになる剥離キャリア(図示した態様では、絶縁シート320および340の剥離キャリア)は、一体に後熱圧着した後で剥離してもよい。
【0080】
絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、図3(i)を得るために後熱圧着するに際して、絶縁シートが溶融して流動可能となる前に、ビアホール導体の硬化が既に先行している、好ましくは完了している。従って、ビアホール導体の形状維持効果が得られ、この効果によって、ビアホール導体に充分な圧縮を加え、導電性ペーストの導電性粉末を高密度化することができ、その結果、低抵抗を有し、高信頼性で配線層間が電気接続された多層配線基板を製造できる。
【0081】
更に、ビアホール導体の位置ずれが起きにくいため、配線層とビアホール導体との電気接続を位置精度良く行うことができる。また、絶縁シートの流動時に、ビアホール導体中の導電性ペーストが流出し、絶縁シートの表面や配線導体層間に付着することによって、隣接する配線回路同士が短絡する等の接続不良の発生を抑制する効果がある。
【0082】
そのような効果は、図3(e)〜(g)に示すように絶縁シートを得る過程で、配線層を絶縁シート上に熱転写する時に、ビアホール導体中の導電性ペーストの硬化のみを同時に完了させておきながら、絶縁シートの溶融、好ましくは絶縁シートの溶融および硬化が実質的に起こらない条件を用いることによって、より顕著になる。
【0083】
(具体的な実施の形態4)
本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法の具体的な実施の形態を、模式的な断面図にて図4(a)〜(j)にて示す。
絶縁層となる、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む未硬化の絶縁シート400を準備し(図4(a))、絶縁シート400にビアホール401を形成し(図4(b))、絶縁シートに形成したビアホール401に絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填してビアホール導体402を形成し、本発明の絶縁シート410を得る(図4(c))。
【0084】
図4(a)〜(c)に並行して、転写される金属配線を提供する配線層403を有する剥離キャリア404からなる転写用配線パターン形成材415を準備し(図4(d))、また、それに配線層403に回路部品405を実装、即ち、電気接続した転写用配線パターン形成材416も準備する(図4(e))。
【0085】
次に、図3(e)および(g)と同様に、図4(f)および(h)に示すように、熱圧着によって配線層403がビアホール導体402に電気接続された絶縁シート420および440を得る(図4(i)の上方および下方に図示)。
【0086】
また、図4(g)に示すように、絶縁シート400の主表面の一方に図4(d)の転写用配線パターン形成材415を位置合わせして積層し、他方に図4(e)の転写用配線パターン形成材416を位置合わせして積層し、これらを熱圧着する。この時、回路部品405が絶縁シート400の内部に回路部品を埋設できるように、熱圧着を実施する、即ち、絶縁シート400の溶融が起こる条件で熱圧着を実施する。その後、剥離キャリア404を除去する。その結果、配線層403が絶縁シート440の主表面の両方に配置されて、それがビアホール導体402に電気接続され、かつ、配線層に予め電気接続された回路部品405が配線層に埋設された絶縁シート430(図4(i)の中央に図示)を得る。
【0087】
次に、図3(h)と同様に、絶縁シート420、430および430を後熱圧着して、図4(j)に示すような回路部品を内蔵する多層配線基板450を得る。
【0088】
この具体的な態様では、絶縁シート400の溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、図4(g)の熱圧着に際して、絶縁シート400への回路部品405の埋設に伴って起こる絶縁シートの流動の前に、ビアホール401中の導電性ペーストの既に硬化が進んでいる、好ましくは硬化が実質的に完了している。その結果、回路部品の埋設に伴う絶縁シートの大きな流動に抗して、ビアホールの形状、従って、ビアホール導体の形状を、ビアホールを絶縁シートに最初に形成した時と実質的に同じ形状に維持することができる。この形状維持の効果によって、ビアホール導体中の導電性ペーストに充分な圧縮を加え、導電性ペーストの導電性粉末の高密度化することができ、低抵抗を有し、高信頼性で層間が電気接続された回路部品内蔵多層配線基板となる。また、ビアホール導体の位置ずれが起きにくいため、配線層とビアホール導体の電気接続を位置精度良く行うことができる。
【0089】
(実施の形態5)
本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法の別の具体的な実施の形態を、模式的な断面図にて図5(a)〜(h)にて示す。
【0090】
絶縁層となる、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む未硬化の絶縁シート500を準備し(図5(a))、絶縁シート500にビアホール501を形成し(図5(b))、絶縁シート500に形成したビアホール501に絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填してビアホール導体502を形成し、本発明の絶縁シート510を得る(図5(c))。
【0091】
次に、図5(d)に示すように、絶縁シート510の両方の主表面に金属箔503を熱圧着によって貼り付け、その後、図5(e)に示すように、金属箔503をサブトラクティブ法によって、例えば化学エッチング処理して所定の金属配線から成る配線層504を形成する。この場合、熱圧着によって、導電性ペーストの硬化が進むのが好ましく、実質的に硬化が完了するのがより好ましい。引き続いて、形成された金属配線層504上に回路部品505を実装し、回路部品を外部に有する絶縁シート520を得る。
【0092】
次に、図5(f)に示すように、絶縁シート520、ビアホール502導体を有し、回路部品505を埋設する層となる絶縁シート530および金属箔540を準備する。これらを、絶縁シート530が中央に位置し、かつ、絶縁シート520の配線504および回路部品505に対向しない、絶縁シート530の主表面に金属箔540が隣接するように位置合わせして積層する。
【0093】
その後、図5(g)に示すように、これらを一体に後熱圧着する。この後熱圧着によって、回路部品505の絶縁シート530(これは、絶縁シート510であってもよい)内への埋設と、金属箔540の絶縁シート530への接着、絶縁シート同士(520および530)の接着、および絶縁シート中の熱硬化性樹脂の硬化の完結を行う。後熱圧着前に、導電性ペーストの硬化が十分でなかった場合、または、(例えば絶縁シート530に含まれる導電性ペーストのように)導電性ペーストが未硬化の場合には、導電性ペーストの硬化もこの後熱圧着によって完了する。
【0094】
最後に、図5(h)に示すように、絶縁シートに貼り付けられた金属箔540をサブトラクティブ法によって、例えば化学エッチングして所定の金属配線をして、回路部品内蔵多層配線基板550が得られる。
【0095】
絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、回路部品埋設時の絶縁シートの流動に抗して、導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体の形状を維持することができ、先の具体的な実施の形態4の場合と同等の効果が得られる。
【0096】
【実施例】
(実施例1)
導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体を有する、図1に示す本発明の4層配線基板を、図3を参照して先に説明した方法に類似の方法で製造した。理解を容易にするため、図3の要素の引用番号を説明において使用している。
【0097】
まず、所定の配線から成る配線層303を形成するための転写用配線パターン形成材315を次の方法で製造した。剥離キャリアの基板となる第1金属層として、厚さ70μmの電解銅箔を準備する。この第1金属層上に、100〜200nmの厚さを有するNiメッキ層を剥離層として形成して剥離キャリア304を準備する。そして、Niメッキ層上に、厚さ9μmの銅の第2金属層を電解メッキ法によって形成し、第1金属層、剥離層および金属配線となる第2金属層の三層構造体とした。
【0098】
次に、フォトリソグラフィ法によって配線層を形成した。即ち、第2金属層にドライフィルムレジストを貼り、第2金属層の配線パターン部分に対応する部分を露光、現像し、その後、サブトラクティブ法によって、例えば化学エッチング処理して配線層303を形成した。最後に、マスクとしたドライフィルムレジストの露光部分を除去して、転写用配線パターン形成材315を得た(図3(d)参照)。
【0099】
次に、厚さが200μmであり、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含む絶縁シート300を準備し(図3(a)参照)、次いで、絶縁シートに直径200μmのビアホール301を所定数形成し(図3(b)参照)、そのビアホールに導電性ペーストを充填して、ビアホール導体302を形成した絶縁シート310を準備した(図3(c)参照)。
【0100】
上述の転写用配線パターン形成材315を絶縁シート310の双方の主表面上に位置合わせして積層し(図3(f)参照)、200℃で圧力75kg/cmの条件で加熱加圧する(時間:1.5時間)ことによって転写用配線パターン形成材315および絶縁シート310熱圧着して、配線層303を絶縁シートに配置してビアホール導体302に電気接続した。その後、転写用配線パターン形成材の剥離キャリア304を除去し、双方の主表面に配線層を有する絶縁シート330を得た。
【0101】
次に、この絶縁シート330の両側の主表面に、ビアホール導体を形成した絶縁シート310を位置合わせして積層し、更に、絶縁シート330に対向しない、絶縁シート310の主表面に対向するように転写用配線パターン形成材315を位置合わせして積層した。尚、図3の方法では、絶縁シート310および転写用配線パターン形成材315を用いる代わりに、配線層を予め有する絶縁シート320および340を使用する点で、本実施例と異なる。
【0102】
これらの絶縁シート310(2つ)および330ならびに配線パターン形成材315(2つ)を、200℃で、圧力75kg/cmの条件で加熱加圧する(1.5時間)ことで、これらを一体に後熱圧着した。この後熱圧着によって、配線層303と絶縁シート310を接合させ、絶縁シート同士(310と330)を接合させ、また、絶縁シートおよび導電性ペーストの熱硬化性樹脂を硬化させた。その後、転写用配線パターン形成材315の剥離キャリア304を剥離して、図1に示す4層配線基板を得た。
【0103】
尚、導電性ペーストは以下に示す組成を有し、その硬化開始温度が90℃、100℃および120℃となるように3種類を準備した。それぞれの導電性ペーストを用いて基板1(硬化開始温度90℃)、基板2(硬化開始温度100℃)、基板3(硬化開始温度120℃)を得た。以下に、絶縁シートの製造に使用した材料の組成および絶縁シートの製造も説明する。
【0104】
(絶縁シートの製造に用いた材料の成分組成)
・Al(昭和電工社製、AS−40:粒径12μm) 90重量%
・液状熱硬化エポキシ樹脂(日本レック社製、EF−450) 9.5重量%
・カーボンブラック(東洋カーボン社製) 0.2重量%
・カップリング剤(味の素社製、チタネート系:46B) 0.3重量%
【0105】
上記各成分を、上記組成になるように秤量し、これらの混合物に、粘度調整用溶剤としてメチルエチルケトンを加え、混合物のスラリー粘度を約20Pa・sとした。次に、混合物にアルミナの玉石を加え、ポット中で48時間、速度500rpmの条件で回転混合し、絶縁シートの原料となるスラリーを調製した。その後、スラリーをドクターブレード法にてフィルム状に塗布して、乾燥し、絶縁シートを得た。
【0106】
次に、絶縁シートの溶融開始温度を測定した。測定に際しては、先に説明した装置を用いて、絶縁シートの温度vs粘度特性を測定した。絶縁シートを室温から加熱し、50℃での粘度が50分の1に減少する温度をシート状基材の溶融開始温度とした。製造した絶縁シートの溶融開始温度は100℃であった。尚、室温時の粘度が100分の1に減少する温度は、50℃での粘度が50分の1に減少する温度と実質的に同じであった。
【0107】
(導電性ペースト)
・球状の銅粒子(三井金属鉱業社製:粒径5μm) 85重量%
・ビスフェノールF型熱硬化エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート807) 7重量%
・ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子社製BRG558) 3重量%
・ブチルカルビトール(日本アルコール販売株式会社製) 5重量%
【0108】
上記成分の合計100重量部に対し、硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾールを1重量部、0.7重量部または0.5重量部加えたものを、三本ロールミルにより混錬してペースト化した。
【0109】
先に説明した方法および装置を用いて、3種類の導電性ペーストの硬化開始温度をDTA(differential thermal analysis)による熱分析によって測定したところ、90℃(2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部添加)、100℃(2−エチル−4−メチルイミダゾール0.7重量部添加)、および120℃(2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5重量部添加)であった。
【0110】
上述のようにして製造した配線基板については、次のように評価した。
製造した配線基板において、直列に電気接続した300個ビアホールの総抵抗値を、基板の製造直後(初期電気抵抗値)、85℃にて85%の相対湿度の雰囲気中に1週間放置した後、その後、最高温度230℃でリフロー炉を初めて通した後、そのリフロー炉に5回通した後、更に、10回通した後に測定した。これらの抵抗値の測定結果を(表1)に示す。
【0111】
【表1】
Figure 0003572305
【0112】
表1から判るように、絶縁シートの溶融開始温度100℃より低温の90℃で硬化開始する導電性ペーストを使用して製造した基板1が、基板2、3に比べて、いずれの抵抗値に関しても低い。これは、本発明の基板1における電気接続が、電気抵抗値、信頼性において優れていることを意味する。
【0113】
(実施例2)
回路部品を絶縁層に埋設した本発明の回路部品内蔵配線基板を製造した。製造方は、図4を参照して説明した方法に部分的に類似しているので、理解を容易にするため、図4の要素の引用番号を説明において使用している。
実施例1と同じ方法で転写用配線パターン形成材415を製造した。さらに、厚さ300μm(縦10mmx横10mm)の半導体素子を、この転写用配線パターン形成材に形成された金属配線上に導電性接着剤を用いてフリップチップボンディングし、回路部品としての半導体素子405が実装された転写用配線パターン形成材416を作製した。
【0114】
実施例1と同じ材料を用いて、厚さ600μmの絶縁シート400を準備し、絶縁シートに直径400μmのビアホール401を所定数形成した。そのビアホールに、実施例1と同じ導電性ペーストを充填して、ビアホール導体402を形成した絶縁シート410を用意した。尚、ビアホールは半導体素子の埋設領域の周囲から、即ち、半導体素子の外周部(従って、素子の4辺)から500μmの離れるように形成した。
【0115】
次に、上記絶縁シート410と、配線層403が形成された転写用配線パターン形成材415と、半導体素子405が実装された転写用配線パターン形成材416とを位置合わせして積層し、175℃、圧力10kg/cmの条件で加熱加圧(1.5時間)し、転写用配線パターン形成材上の半導体素子405を絶縁シート材料410に埋設し、絶縁シートおよび導電性ペーストを硬化させた。
【0116】
その後、転写用配線パターン形成材の転写キャリア404を剥離し、絶縁層上に配線層が転写され、半導体素子405が絶縁層に内蔵された両面配線基板(絶縁シート430の硬化が完了したものに対応)を得た。導電性ペーストは、実施例1と同じもの(硬化開始温度が90℃、100℃、120℃の3種類)使用し、それぞれの導電性ペーストに対して回路部品内蔵基板4(90℃)、回路部品内蔵基板5(100℃)、回路部品内蔵基板6(120℃)を製造した。得られた基板の評価を実施例1と同様に実施し、その結果を表2に示す。
【0117】
【表2】
Figure 0003572305
(注) ×は電気接続されなかったことを示す
【0118】
表2から明らかなように、絶縁シートの溶融開始温度100℃より低温の90℃で硬化開始する導電性ペーストを使用して製造した基板4が、基板5および6に比べ、全ての抵抗値で低くなっており、本発明の基板4の電気接続が、電気抵抗値、信頼性において優れていることが分かる。尚、表中の記号「×」は、ビアホールの位置ずれのために電気接続できなかったことを意味する。
【0119】
【発明の効果】
本発明によれば、多層配線基板および回路部品内蔵多層配線基板の製造において、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを充填して形成されたビアホール導体によって層間の電気接続を行うことによって、絶縁シートの溶融に伴う流動、および絶縁層中への回路部品の埋設に伴う絶縁シートの流動に抗して形状を維持する効果のあるビアホール導体となり、ビアホール導体に充分に圧縮を加え、導電性ペースト中の導電性粉末を高密度化でき、低抵抗で、信頼性の高い電気接続の多層配線基板、および回路部品内蔵多層配線基板を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の回路部品内蔵多層配線基板の一実施の形態を示す断面図である。
【図3】本発明の多層配線基板の製造方法の一実施の形態を示す工程断面図である。
【図4】本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法の一実施の形態を示す工程断面図である。
【図5】本発明の回路部品内蔵多層配線基板の製造方法の他の一実施の形態を示す工程断面図である。
【図6】導電性ペーストの硬化開始温度を説明するDTA曲線を示す。
【符号の説明】
100 絶縁層
101 ビアホール導体
102 配線層
110 多層配線基板
200 絶縁層
201 ビアホール導体
202 金属配線
203 回路部品
210 回路部品内蔵多層配線基板
300 絶縁シート
301 ビアホール
302 ビアホール導体
303 配線層(または配線)
304 剥離キャリア
310 絶縁シート
315 転写用配線パターン形成材
320,330,340 絶縁シート
350 多層配線基板
400 絶縁シート
401 ビアホール
402 ビアホール導体
403 配線層(または配線)
404 剥離キャリア
405 回路部品
410 絶縁シート
415,416 転写用配線パターン形成材
420,430,440 絶縁シート
450 回路部品内蔵多層配線基板
500 絶縁シート
501 ビアホール
502 導電性ペーストが充填されて形成されたビアホール導体
503 金属箔
504 配線層(または配線)
505 回路部品
510,520,530 絶縁シート
540 金属箔
550 回路部品内蔵多層配線基板

Claims (34)

  1. 少なくとも1つの絶縁層と、絶縁層の両側に位置する配線層と、配線層を電気接続するように絶縁層を貫通するビアホール内に位置するビアホール導体とを有して成る多層配線基板であって、ビアホール導体は、絶縁層を形成する絶縁シートの溶融開始温度より低い硬化開始温度を有する導電性ペーストにより形成されており、前記導電性ペーストは熱硬化性樹脂を含む、多層配線基板。
  2. 請求項1に記載の多層配線基板であって、導電性ペーストの硬化開始温度が50℃〜150℃である、多層配線基板。
  3. 請求項1または2に記載の多層配線基板であって、導電性ペーストは導電性粉末および熱硬化性樹脂を含む有機バインダを含んで成り、導電性粉末:有機バインダの重量比が85〜95:5〜15である、多層配線基板。
  4. 請求項3に記載の多層配線基板であって、導電性粉末は、
    ・金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫または鉛である金属の粉末、
    ・これらの金属のいずれかの組み合わせから成る合金の粉末、ならびに
    ・これらの金属および合金から選択される1種を核とし、それ以外のこれらの金属および合金から選択される他の金属または合金を被覆として有する粉末
    から選択される少なくとも1種である、多層配線基板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多層配線基板であって、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも1種である、多層配線基板。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の多層配線基板であって、有機バインダが、アミン系化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物から成る硬化触媒または硬化促進剤を含有する、多層配線基板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の多層配線基板であって、絶縁シートは熱硬化性樹脂を含んで成り、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である、多層配線基板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の多層配線基板であって、絶縁シートは無機フィラーを含んで成り、無機フィラーは、絶縁シートの50〜70体積%を占める、多層配線基板。
  9. 請求項8に記載の多層配線基板であって、無機フィラーは、Al23、SiO2、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも1種でできている、多層配線基板。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の多層配線基板であって、少なくとも1つの配線層は、それに電気接続され、かつ、絶縁層内に埋設された回路部品を有して成る、多層配線基板。
  11. 配線基板の製造に使用する絶縁シートであって、それを貫通して形成したビアホール内に充填された導電性ペーストをビアホール導体として有し、導電性ペーストの硬化開始温度は絶縁シートの溶融開始温度より低く、前記導電性ペーストは熱硬化性樹脂を含む、絶縁シート。
  12. 請求項11記載の絶縁シートであって、導電性ペーストの硬化開始温度が50℃〜150℃である、絶縁シート。
  13. 請求項11または12に記載の絶縁シートであって、導電性ペーストは導電性粉末および熱硬化性樹脂を含む有機バインダを含んで成り、導電性粉末:有機バインダの重量比が85〜95:5〜15である、絶縁シート。
  14. 請求項13に記載の絶縁シートであって、導電性粉末は、
    ・金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫または鉛である金属の粉末、
    ・これらの金属のいずれかの組み合わせから成る合金の粉末、ならびに
    ・これらの金属および合金から選択される1種を核とし、それ以外のこれらの金属および合金から選択される他の金属または合金を被覆として有する粉末
    から選択される少なくとも1種である、絶縁シート。
  15. 請求項11〜14のいずれかに記載の絶縁シートであって、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも1種である、絶縁シート。
  16. 請求項13〜15のいずれかに記載の絶縁シートであって、有機バインダが、アミン系化合物、イミダゾール類、イミダゾール誘導体およびオニウム塩系化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物から成る硬化触媒または硬化促進剤を含有する、絶縁シート。
  17. 請求項11〜16のいずれかに記載の絶縁シートであって、絶縁シートは熱硬化性樹脂を含んで成り、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である、絶縁シート。
  18. 請求項11〜17のいずれかに記載の絶縁シートであって、絶縁シートは無機フィラーを含んで成り、無機フィラーは、絶縁シートの50〜70体積%を占める、絶縁シート。
  19. 請求項18に記載の絶縁シートであって、無機フィラーは、Al23、SiO2、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも1種でできている、絶縁シート。
  20. 配線基板の製造方法であって、
    (a)請求項11〜19のいずれかに記載の絶縁シートを準備すること、および
    (b)絶縁シートの主表面の少なくとも一方に配線層を配置して、ビアホール導体を配線層に電気接続すること
    を含んで成る、配線基板の製造方法。
  21. 請求項20に記載の配線基板の製造方法であって、配線層を配置してそれにビアホール導体を電気接続することは、熱圧着によって実施する、配線基板の製造方法。
  22. 請求項21に記載の配線基板の製造方法であって、熱圧着は、配線層を絶縁シートに熱転写することによって実施する、配線基板の製造方法。
  23. 請求項21に記載の配線基板の製造方法であって、熱圧着は、金属箔を絶縁シートに、必要に応じて加圧しながら、加熱接着すること、およびその後に金属箔を化学エッチングすることによって配線層を形成することによって実施する、配線基板の製造方法。
  24. 請求項21〜23のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、絶縁シートは熱硬化性樹脂を含み、熱圧着は、複数ステップで実施し、第1熱圧着ステップにおいて、絶縁シートを実質的に溶融させることなく、導電性ペーストを実質的に硬化させ、その後の少なくとも1つの熱圧着ステップで絶縁シート硬化を進行させて完了することを含む、配線基板の製造方法。
  25. 請求項21〜24のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、配線基板は片面配線基板または両面配線基板であり、配線層を絶縁シートの両方の主表面に配置し、
    (c)熱圧着の後、後熱圧着を実施して絶縁シートの硬化を完了することにより配線基板を得ること
    を含む、配線基板の製造方法。
  26. 請求項21〜24のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、配線基板は多層配線基板であり、
    (d)少なくとも1つの他の絶縁シートを、熱圧着の後に得られる絶縁シートの少なくとも一方の主表面に積層すること、
    (e)この積層に際して、
    絶縁シートを、それに隣接する他の絶縁シートと位置合わせして、
    引き続いて実施する後熱圧着によって、絶縁シートの配線層が、それに隣接する他の絶縁シートのビアホール導体に電気接続されるようにすること、または、
    引き続いて実施する後熱圧着によって、絶縁シートのビアホール導体が、それに隣接する他の絶縁シートの配線層電気接続されるようにすること、および
    (f)積層した絶縁シートを一体に後熱圧着して多層配線基板を得ること
    を含む、配線基板の製造方法。
  27. 請求項26に記載の配線基板の製造方法であって、熱圧着によっても硬化は完了しておらず、または未硬化であり、残りの硬化は後熱圧着によって完了する、配線基板の製造方法。
  28. 請求項26または27に記載の配線基板の製造方法であって、後熱圧着は、複数ステップで実施し、導電性ペーストの硬化が熱圧着によって完了していない場合、第1後熱圧着ステップにおいて、絶縁性シートを実質的に溶融させることなく、導電性ペーストを実質的に硬化させ、その後の少なくとも1つの後熱圧着ステップで絶縁シートの硬化を完了させることを含む、配線基板の製造方法。
  29. 請求項22に記載の配線基板の製造方法であって、熱転写する配線層には回路部品が電気接続されており、熱転写は、配線層が絶縁シートの主表面に露出し、回路部品は絶縁シート内に埋設されるように実施する、配線基板の製造方法。
  30. 請求項26に記載の配線基板の製造方法であって、熱圧着の後に得られる絶縁シートは、その配線層に予め電気接続され、かつ、絶縁シートに埋設された回路部品を有して成る、配線基板の製造方法。
  31. 請求項26に記載の配線基板の製造方法であって、熱圧着の後に得られる絶縁シートは、その配線層に電気接続され、かつ、絶縁シートの外側に位置する回路部品を有して成る、配線基板の製造方法。
  32. 請求項1〜10のいずれかに記載の多層配線基板であって、導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より少なくとも5℃低い、多層配線基板。
  33. 請求項11〜19のいずれかに記載の絶縁シートであって、導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より少なくとも5℃低い、絶縁シート。
  34. 請求項20〜31のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、導電性ペーストの硬化開始温度は、絶縁シートの溶融開始温度より少なくとも5℃低い、配線基板の製造方法。
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