JP4683758B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体素子収納用パッケージなどの配線基板に好適な配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、携帯情報端末の発達やコンピューターを持ち運んで操作するいわゆるモバイルコンピューティングの普及によって小型、薄型且つ高精細の配線基板が求められる傾向にある。
【0003】
従来より、配線基板、例えば、半導体素子を収納するパッケージに使用される配線基板として、高密度の配線が可能なセラミック配線基板が多用されている。このセラミック配線基板は、アルミナなどの絶縁層と、その表面に形成されたWやMo等の高融点金属からなる配線導体とから構成されるもので、この絶縁層の一部に凹部が形成され、この凹部に半導体素子が収納され、蓋体によって凹部を気密に封止されるものである。
【0004】
ところが、このようなセラミック配線基板の絶縁層を構成するセラミックスは、硬くて脆い性質を有することから、製造工程又は搬送工程において、セラミックスの欠けや割れ等が発生しやすく、半導体素子の封止の気密性が損なわれることがあるために歩留まりが低い等の問題があった。また、高温での焼成により焼成収縮が生じるために、得られる基板に反り等の変形や寸法のばらつき等が発生しやすいという問題があった。
【0005】
そこで、最近では、銅箔を接着した有機樹脂を含む絶縁層表面にエッチング法により微細な回路を形成し、しかる後にこの基板を積層して多層化したプリント基板や、銅などの金属粉末を含むペーストを絶縁層に印刷して配線層を形成した後、これを積層し、あるいは積層後に、所望位置にマイクロドリルやパンチング等によりビアホールを形成し、そのビア内壁にメッキ法により金属を付着させて配線層を接続して多層化したプリント配線基板が提案されている。
【0006】
このようなプリント配線基板においては、その強度を高めるために有機樹脂に対して球状あるいは繊維状の無機材料を分散させた絶縁層も提案されている。また、配線基板を小型化するために、ビアホール導体の径を小径化、狭ピッチ化すること、ビアホール導体を任意位置に配置できること、配線の微細化、多層化が求められている。
【0007】
このようなプリント配線基板の多層化、配線の微細化の要求に対応して、最近では、各絶縁層に対してビアホールを形成し、そのビアホール内に低抵抗金属粉末を含む導体ペーストを充填してビアホール導体を形成した後、導体層を形成し、絶縁層を積層して多層配線化した配線基板が試作されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マイクロドリルやパンチングを用いて孔を開ける方法では、ドリル径あるいはパンチ径は最小0.15mm程度であり、要求される微細加工には適していなかった。特に、有機樹脂に対して繊維状の無機材料を分散させた絶縁層に対してマイクロドリルやパンチングを用いて孔を開ける場合、ビアホールの径が小さくなると孔開け加工中にドリルまたはパンチング用ピンが繊維間に入り込み折れてしまうという問題があった。
【0009】
また、レーザー光照射によりビアホールを形成する場合、レーザー光の光径を制御することによりその径を任意に調整できる点で微細なホールの形成には非常に有利である。
【0010】
ところが、レーザー光が照射される部分は加熱により分解除去されるが、特に絶縁層表面近傍において照射部の周辺部分もレーザー光の影響を受けるため表面が分解され、ビアホールの形状は、特にレーザー光入射側の絶縁層表面近傍のみ径が大きくなっていた。すなわち、ビアホールの孔径が設計値から大きく外れることになり、この部分に導電性物質を充填すると、場合によっては近接するビアホール導体間で短絡が発生し、回路パターン間の短絡不良の原因となる。このため、ビアホールのピッチを広くしなければならず微細配線化できないという問題があった。
【0011】
また、加工部分の加工屑がレーザー光照射部の周辺部分に付着したりするため該周辺部分が盛り上がるような変形が生じ、その結果、絶縁層の平坦度が悪くなり、導体層がうまく形成できなかったり、また、配線基板を多層化する場合、積層時にデラミネーションが生じたり、積層体の平坦度が悪くなるという問題が生じた。
【0012】
さらに、前記レーザ照射部の樹脂がカーボンに変質し、樹脂層と導体層との間に介在するため、導体層の密着性が悪くなるという問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、コア基板表面に形成される100μm以下の厚さの絶縁層に形成されるビアホールの寸法精度を高め、ビアホール径の微小化、狭ピッチ化、及び微細配線化が可能で、信頼性に優れる情報端末やモバイルコンピューターに最適な小型、薄型且つ高精細の配線基板およびその製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題について鋭意検討した結果、レーザー光照射によりビアホールを形成する工程において、入射側の絶縁層表面に特定の厚みとレーザー光の透過率が特定以下の樹脂フィルムを設け、前記ビアホール内に導電性物質を充填した後、前記樹脂フィルムを剥離することにより、絶縁層表面近傍のレーザー光照射部近傍の径の変化、変形および変質のない寸法精度の高いビアホールが形成できることを見いだし、本発明に至った。
【0015】
即ち、本発明の配線基板の製造方法は、(a)第1の配線回路層が表面に被着形成されたコア基板の表面に、熱硬化性樹脂を含有する軟質の絶縁層を形成する工程と、(b)前記絶縁層表面に樹脂フィルムを接着層を介して接着する工程と、(c)前記樹脂フィルム側から、レーザー光を照射して前記樹脂フィルム及び前記絶縁層を貫通し前記第1の配線回路層に達するビアホールを形成する工程と、(d)前記ビアホール内に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成する工程と、(e)前記樹脂フィルムを除去する工程と、(f)前記絶縁層表面に第2の配線回路層を形成し前記第1の配線回路層と前記第2の配線回路層とを電気的に接続する工程と、(g)加熱、加圧して少なくとも前記絶縁層を硬化させる工程を含む配線基板の製造方法であって、前記樹脂フィルムと接着層とを合わせた厚さが絶縁層厚さの0.15倍以上であり、かつ前記樹脂フィルムのレーザー光に対する光透過率が0.8以下であることを特徴とするものである。
【0016】
なお、前記(b)工程において、前記絶縁層の厚みが100μm以下であり、前記樹脂フィルムの厚みが、10〜50μm、接着層の厚みが10μm以下であるのが適当である。
【0017】
また、前記絶縁層に形成されたビアホール径が、入射側をd1、第1の配線回路層側をd2としたとき、0.5≦d2/d1≦1.0の関係にあることによって、ビアホールの孔径の設計値からのずれを小さくすることができるとともに、ビアホール導体の抵抗増加および接続不良を抑制できる。また、前記レーザー光が紫外領域の波長を持つことによって、被加工物の熱による変質を抑制することができ、微細なビアホールを精度よく形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配線基板の製造方法を図1に基づき説明する。
(a)まず、絶縁基板1の表面に第1の配線回路層2が形成されたコア基板Aの表面に、熱硬化性樹脂を含有する軟質の絶縁層4を積層形成する。
【0019】
ここで用いられるコア基板Aは、絶縁基板1の表面に配線回路層2が形成されたものであればあらゆるものが使用できる。例えば、図1(a)に示される通り、絶縁基板1にレーザーで貫通穴を形成し、その貫通穴内に導電性ペーストを充填してビアホール導体3を形成したもの、さらには、このようなシート表面に配線回路層2を形成したものを複数層積層した多層構造のもの、絶縁層4にドリルでビアホールを形成しその内壁に銅メッキを形成して表裏の配線回路層の接続を行ったものなど使用できる。特に、コア基板Aの絶縁基板1内には、繊維体を含有することによって強度を高めることができる。
【0020】
また、第1の配線回路層2は、例えば、絶縁基板1の表面全面に金属箔を接着した後、フォトレジスト形成、パターン露光、現像、レジスト除去の工程からなるフォトレジスト法に従い形成することができる。
【0021】
絶縁層4は、有機樹脂、または有機樹脂と無機質フィラーからなる組成物を混練機や3本ロールなどの手段によって十分に混合し、これを圧延法、押し出し法、射出法、ドクターブレード法などによってシート状に成形し、このシートをコア基板A上へ位置合わせ積層することにより絶縁層4を形成することができる。この時の温度は、絶縁層4のコア基板Aへ密着性を高めるために、100〜150℃、1〜7MPa、好適には、120〜150℃、1〜5MPa、最適には120〜140℃、2〜5MPaであることが望ましい。
【0022】
また、この絶縁層4の厚みは、微細配線回路を形成するために、100μm以下、特に50μm以下、さらには45μm以下であることが望ましい。
【0023】
(b)次に、作製した絶縁層4の上に、接着層5を介して樹脂フィルム6を重ねる。樹脂フィルム6は、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリル、フッ素系などの高分子材料等のシート化が可能なものが使用できる。特に、PET、ポリエチレン、フッ素系高分子が好適に使用できる。
【0024】
この時、樹脂フィルム6の表面は、絶縁層4との密着性を高めるために接触面を粗化処理することもできる。
【0025】
また、樹脂フィルム6は、後述するレーザー光に対する透過率が0.8以下であることが望ましい。これは、光の透過率が0.8を超えてしまうと、レーザーによって樹脂フィルム6を貫通してビアホールを形成する時に、樹脂フィルム6に貫通穴を形成することが難しくなり、絶縁層4のみが加工され、その加工屑が絶縁層4と樹脂フィルム6の間に飛散するなどの弊害が生じるためである。
【0026】
また、接着層5は、アクリル系、エポキシ系等の通常、糊となるタイプの接着剤が使用できる。接着層5の厚みは2〜10μmであることが望ましい。これは、接着層5が無いかもしくは2μmより薄い場合、絶縁層4と樹脂フィルム6の密着性が悪くなり、密着の悪い部分にレーザー光が照射されると、絶縁層表面近傍のレーザー照射部の周辺部分に変質および変形が生じるためである。また、接着層5の厚みが10μmよりも厚いと、樹脂フィルム6を絶縁層2から剥離する時に絶縁層2上に接着層5が部分的に残り、樹脂を硬化する際に残留した接着層5がカーボンとして残留し、配線基板を多層化する場合、積層不良の原因になるからである。
【0027】
本発明によれば、この樹脂フィルム6と接着層5の合計厚みが絶縁層4の厚みの0.15倍以上であることが必要である。これは厚みが0.15倍よりも小さいと、レーザー加工時に樹脂フィルム6の効果が充分に発揮されず、
レーザー光の加工しきい値近傍部分をカットできないために、スミアの発生や、ビアホールの熱変形が生じてしまう。樹脂フィルム6と接着層5の合計厚みは、絶縁層の厚みが100μm以下、特に50μm以下である場合、12〜50μmであることが望ましく、50μmよりも厚くなると、絶縁層に対して精度の高いビアホールを形成することが困難となるためである。
【0028】
(c)次に、上記樹脂フィルム6を接着した絶縁層4に対して、レーザー光7を樹脂フィルム6側から照射して、樹脂フィルム6、接着層5および絶縁層4に直径100μm以下、特に60μm以下のビアホール8を形成する(図2(c))。
この時、形成されるビアホール8の形状は、レーザー光の径方向のエネルギー分布およびレーザー光照射時に発生する熱の伝導及び被加工物がレーザー光を吸収して分子間、原子間結合を解離するアブレーションにより、必然的にレーザー光入射側の絶縁層表面の孔径がレーザー光の孔径に対して大きくなる。
【0029】
特に、図1(c)ように、レーザー光7によりビアホール8が形成されレーザー光の入射面側のホール径をd1、配線回路層3側のビアホール径をd2とした時、0.5≦d2/d1≦1、特に0.7≦d2/d1≦1.0であることが望ましい。ビアホール8の両端面のホール径d2、d1を上記のとおりにすることにより、ビアホールの孔径の設計値からのずれが小さくて済み、回路パターン間の短絡不良が減ずるため、配線回路の信頼性が向上するとともに、ビアホールのピッチを狭くすることができ、微細配線化が可能となる。
【0030】
ビアホール8の形成に使用されるレーザー光は、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーおよびエキシマレーザー等の公知の方法が使用できるが、特に微小径ビアホール径を狭ピッチで加工するのに適した紫外光の波長をもつUV−YAG、エキシマレーザー等が適しており、特にUV−YAGレーザーが好適である。
【0031】
(d)そして、形成したビアホール8に対して、導体ペーストを充填してビアホール導体9を形成する。導体ペーストは、低抵抗金属粉末100重量部に対して、エポキシ、セルロース等の有機樹脂を0.1〜5重量部、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、オクタノール、テルピネオール等の溶剤を4〜10重量部の組成からなることが望ましい。また、該ペーストには、前記樹脂中に含まれる溶剤、硬化剤又は/及びビアホールを形成した樹脂をペーストに添加したものが好適である。所望によっては、導体ペーストをビアホール8に充填した後、60〜140℃で加熱処理を行い、ペースト中の溶剤および樹脂分を分解、揮散除去することもできる。
【0032】
(e)次に、絶縁層4表面より樹脂フィルム6および接着層5を剥離する。
【0033】
(f)次に、絶縁層4表面に、第2の配線回路層10を形成する。配線回路層10の形成には、1)銅等の金属箔を絶縁層4に接着剤で貼りつけた後に、回路パターンのレジストを形成して酸等によって不要な部分の金属をエッチング除去する、2)予め回路パターンに打ち抜きした金属箔を絶縁層4表面に貼りつける、3)絶縁層4の表面に導体ペーストを回路パターンにスクリーン印刷や、フォトレジスト法等によって形成する、4)フィルム、ガラス、金属板上にメッキ、金属箔を形成し、これをエッチングにより回路パターンを形成し、絶縁層4表面に転写する等の方法が採用されるが、この中でも4)の転写法は、絶縁層4を薬品に晒すことがない、絶縁層形成と配線回路層形成とを平行して行うことができる、などの利点を有する。
【0034】
(g)その後、150〜300℃の硬化温度で加熱して絶縁層4の有機樹脂を完全に硬化させる。また、コア基板Aにおける絶縁基板1が未硬化の場合には、これも同時に熱硬化することもできる。また、絶縁層4をコア基板Aに見立てて、(a)〜(f)を所望回数繰り返して多層化することができる。また、硬化処理は、各絶縁層形成毎に行うこともできるが、最終的に一括して行うと、工程の簡略化を図ることができる。このようにして任意の層数の多層配線基板を作製できる。
【0035】
なお、本発明の上記製造方法において、絶縁層4を形成する材料としては、少なくとも有機樹脂を含有するもので、エポキシ系樹脂、トリアジン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂等一般に回路基板に使用される樹脂が用いられるが、特に、PPE(ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドビスマレイミド樹脂が望ましく、とりわけ原料として室温でワニス状になる熱硬化性樹脂であることが望ましい。
【0036】
また、上記有機樹脂にガラス繊維を補強材として含浸させた有機樹脂を用いることもできる。この時、ガラス繊維は、織布または不織布として含有されることが望ましい。特に、均一なビアホールを形成するために、織布の繊維の一部をほぐし織布の厚さを均一にする開繊したものであることが望ましい。また、ガラス繊維は、絶縁層中に30〜70体積%の割合で含まれることが望ましい。
【0037】
さらに、絶縁層4の強度を高めるために、上記有機樹脂に無機質フィラーを添加することもできる。無機質フィラーとしては、SiO2、Al2O3、AlN等が好適に用いられ、フィラーの形状は平均粒径が10μm以下、特に5μm以下、最適には2μm以下の略球形状の粉末が用いられる。また、場合によっては、高誘電率の無機質フィラーを用いることによって、絶縁層4の誘電率を高めることも可能である。さらに、有機樹脂と無機質フィラーとの体積比率を85:15〜15:85の比率範囲で適宜配合することにより、絶縁層4の熱膨張係数を調整することができる。
【0038】
一方、配線回路層2は、銅等の低抵抗金属からなる金属箔や、銅、アルミニウム、金、銀等の低抵抗金属粉末を含む導体から形成される。低抵抗化の上では、金属箔から構成されることが望ましい。
【0039】
また、ビアホール導体9は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀等の群から選ばれる少なくとも1種、または2種以上の合金を主体とする低抵抗金属粉末を含む導体から形成される。低抵抗金属としては、特に銅または銅を含む合金が望ましく、充填される低抵抗金属粉末は、平均粒径が0.1〜10μmのものが望ましい。
【0040】
また、場合によっては、上記の金属以外に、回路の抵抗調整のためにNi−Cr合金などの高抵抗の金属を導体ペースト中に混合、又は合金化しても良い。更に低抵抗化のために、前記低抵抗金属よりも低融点の金属、例えば、半田、錫等の低融点金属を導体組成物中に含んでもよい。また、ビアホール導体中には、上記の抵抵抗金属以外に、金属粉末間の結合材として、あるいは金属粉末の充填性を向上させるために結合剤及び溶剤が添加される。
【0041】
本発明によれば、厚さが100μm以下の薄い絶縁層にレーザー加工でビアホールを形成する場合においても、レーザー光の透過率が0.8以下の樹脂フィルムを積層するとともに、その樹脂フィルムおよび接着層の合計厚みが絶縁層の厚みの0.15倍以上となるようにすることによって、厚みの薄い絶縁層に微細加工に優れた紫外領域のレーザーで容易に加工でき、その結果、直径が75μm以下、特に60μm以下の微細な直径のビアホール導体を±5μmの高い位置精度で形成できる結果、シリコンチップのI/Oパッドの密度が増加しパッド間の距離が200μm以下、特に150μm以下になった場合でも必要な微細な配線回路を形成できる。
【0042】
【実施例】
PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂(熱膨張率測定によるガラス転移点165〜185℃)を含むスラリー(溶媒トルエン)をガラス織布に含浸させた後、乾燥させ、ガラス繊維含浸プリプレグを準備した。なお、含有比率は、ポリイミド樹脂50体積%、ガラスの織布50体積%とした。
【0043】
次に、このプリプレグの表面に銅箔からなる配線回路層を形成した。この配線回路層は、PETフィルム表面に接着された銅箔に対して、レジスト塗布、露光、現像、エッチング処理、レジスト除去、によって所定の回路パターンの配線回路層を形成した。その後、この配線回路層が形成されたPETフィルムをプリプレグの表面に積層し、130℃、4MPaで圧着した後、PETフィルムを剥がすことによって配線回路層を転写させた。
【0044】
次に、このプリプレグの表面に、10〜120μmの絶縁層を形成した。
この絶縁層の形成は、平均粒径が0.5μmのSiO2粉末と、熱硬化型PPE樹脂との混合物をスラリー化し、ドクターブレード法によって10〜120μmの厚みに調整した。
【0045】
そして、この絶縁シートを上記コア基板の表面に積層し、140℃、3分、50kg/cm2で熱圧着させて絶縁層を形成した。
【0046】
その後、この絶縁層の表面に、厚み3〜4μmのアクリル系接着層を介して厚さ12μmのPETフィルムを接着した。但し、PETフィルムとして波長355nmの紫外光透過率が異なる複数のPETフィルムを準備した。
【0047】
そして、このPETフィルム側からUV−YAGレーザー(波長355nm)を条件30μJ、70ショットで絶縁層の入射側で50μmφのビアホール加工を行なった。そしてそのビアホール内に銀をメッキした銅粉末を含む銅ペーストを充填してビアホール導体を形成後、前記PETフィルムおよびアクリル系接着層を剥離した。
【0048】
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる転写シートの表面に接着剤を介して厚さ12μm、表面粗さ0.8μmの銅箔を一面に接着し、その後、フォトレジストを塗布し露光現像を行った後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して非パターン部をエッチング除去して配線回路層を形成した。なお、作製した配線回路層は、線幅が50μm、配線と配線との間隔が50μmとした。
【0049】
そして、前記のビアホール導体を形成した絶縁層の表面に、配線パターンが形成された転写シートを重ね合わせて130℃、3分、50kg/cm2圧着し、転写シートのみを剥離して配線回路層を転写し、絶縁層の表面に配線回路層を埋め込んだ。
【0050】
得られた積層体について、240℃で1時間、50kg/cm2の荷重をかけた状態で加熱して完全硬化させて配線基板を作製した。
【0051】
得られた配線基板について、ビアホール導体の抵抗測定を行なった。この抵抗測定は、ビアホール導体の両端の配線回路層間の抵抗を測定した。また、実体顕微鏡を用い、ビアホール導体の一方の端面側のホール径d1および他方の端面側のホール径d2の測定を行い、d2/d1の比率を求めた。
【0052】
また、ビアホール導体の寸法精度について、設計値からの中心位置のずれを測定し、100個のビアホール導体の位置ずれを測定した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1の結果からも明らかなように、樹脂フィルムの光透過率が0.8よりも大きいと、ビアホール導体周囲イへの加工屑の飛散樹脂屑がビアホール内に残存し、ビアホール導体の抵抗を増大させ、スミアの発生やビアホール導体の変形が見られた。また、(t1+t2)/Tが0.15よりも小さい試料No.1では、ビアホール内への導体ペーストの充填不良が発生した。
【0055】
これに対して、本発明品は、いずれも厚さ100μm以下の絶縁層に対して直径が100μm以下の低抵抗のビアホール導体を高い寸法精度で形成することができた。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、絶縁層の表面に特定の厚み、光透過率の樹脂フィルムおよび接着層を貼り合わせて、レーザー光照射によりビアホールを形成することにより、寸法精度が高く、接続信頼性に優れた配線基板を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 第1の配線回路層
3 ビアホール導体
4 絶縁層
5 接着層
6 樹脂フィルム
7 レーザー光
8 ビアホール
9 ビアホール導体
10 第2の配線回路層
A コア基板
Claims (5)
- (a)第1の配線回路層が表面に被着形成されたコア基板の表面に、熱硬化性樹脂を含有する軟質の絶縁層を形成する工程と、(b)前記絶縁層表面に樹脂フィルムを接着層を介して接着する工程と、(c)前記樹脂フィルム側から、レーザー光を照射して前記樹脂フィルム及び前記絶縁層を貫通し前記第1の配線回路層に達するビアホールを形成する工程と、(d)前記ビアホール内に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成する工程と、(e)前記樹脂フィルムを除去する工程と、(f)前記絶縁層表面に第2の配線回路層を形成し前記第1の配線回路層と前記第2の配線回路層とを電気的に接続する工程と、(g)加熱、加圧して少なくとも前記絶縁層を硬化させる工程を含む配線基板の製造方法であって、前記樹脂フィルムと接着層とを合わせた厚さが前記絶縁層の厚さの0.15倍以上であり、かつ前記樹脂フィルムの前記レーザー光に対する光透過率が0.8以下であることを特徴とする配線基板の製造方法。
- 前記絶縁層の厚みが100μm以下である請求項1記載の配線基板の製造方法。
- 前記樹脂フィルムの厚みが10〜50μm、前記接着層の厚みが10μm以下である請求項1または請求項2記載の配線基板の製造方法。
- 前記絶縁層に形成されたビアホール径が、入射側をd1、第1の配線回路層側をd2としたとき、0.5≦d2/d1≦1.0の関係にある請求項1項記載の配線基板の製造方法。
- 前記レーザー光が紫外領域の波長を持つ請求項1乃至請求項4のいずれか記載の配線基板の製造方法。
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