JP2013093486A - 配線基板の製造方法およびそれを用いた実装構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、電気的信頼性を向上させる要求に応える配線基板の製造方法およびそれを用いた実装構造体の製造方法を提供するものである。
【解決手段】
本発明の一形態にかかる配線基板4は、第1樹脂10と該第1樹脂10に被覆されたガラス繊維12とを含む繊維層14を有する基体7を準備する工程と、サンドブラスト法を用いて、微粒子を30g/min以上150g/min以下の噴射量で基体7に向かって噴射することによって、基体7にスルーホールTを形成する工程と、スルーホールT内にスルーホール導体8を形成する工程とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子機器(たとえば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ機器およびその周辺機器)等に使用される配線基板の製造方法およびそれを用いた実装構造体の製造方法に関するものである。
従来、電子機器における実装構造体としては、配線基板に電子部品を実装したものが使用されている。
配線基板に関して、特許文献1には、ガラスクロスに絶縁性樹脂を含浸させてなるコア基板にドリル加工でスルーホールを形成し、該スルーホールの側壁にメッキ法等によりCu等からなるスルーホールビア(スルーホール導体)を形成した構成が開示されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂等をガラスクロスで強化したコア基板にレーザー加工でスルーホールを形成し、該スルーホール内に導電性ペーストを充填した構成が開示されている。
ところで、ドリル加工でコア基板にスルーホールを形成すると、機械的応力や摩擦熱によって、スルーホール内壁でガラスクロスと樹脂との間に剥離が生じやすい。一方、レーザー加工でコア基板にスルーホールを形成すると、レーザーの熱によって、スルーホール内壁でガラスクロスと樹脂との間に剥離が生じやすい。
このように、スルーホール内壁でガラスクロスと樹脂との間に剥離が生じると、スルーホール導体に電圧が印加された際に、該電圧によってイオン化したスルーホール導体の一部が剥離箇所に侵入し、隣接するスルーホール導体同士が短絡することがある。それ故、配線基板の電気的信頼性が低下しやすい。
特開2006−324642号公報 特開2003−209359号公報
本発明は、電気的信頼性を向上させる要求に応える配線基板の製造方法およびそれを用いた実装構造体の製造方法を提供するものである。
本発明の一形態にかかる配線基板の製造方法は、第1樹脂と該第1樹脂に被覆されたガラス繊維とを含む繊維層を有する基体を準備する工程と、サンドブラスト法を用いて、微粒子を30g/min以上150g/min以下の噴射量で前記基体に向かって噴射することによって、前記基体にスルーホールを形成する工程と、前記スルーホール内にスルーホール導体を形成する工程とを備える。
また、本発明の一形態にかかる実装構造体の製造方法は、上記製造方法で作製した配線基板に電子部品を電気的に接続する工程を備える。
本発明の一形態にかかる配線基板の製造方法によれば、サンドブラスト法を用いて、微粒子を基体に向かって噴射することによって、基体にスルーホールを形成しているため、スルーホール内壁において、第1樹脂とガラス繊維との剥離を低減し、ひいては電気的信頼性に優れた配線基板を作製することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る実装構造体の厚み方向に沿った断面図であり、図1(b)は、本発明の一実施形態に係る実装構造体のスルーホールの内壁の表面の拡大図である。 図2(a)ないし(d)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。 図3(a)は、微粒子の噴射量が異なる条件でサンドブラスト法を行って銅張積層板にスルーホールを形成し、該銅張積層板を厚み方向に沿って切断した断面を電界放出型顕微鏡で撮影した写真であり、図3(b)は、微粒子の噴射量が異なる条件でサンドブラスト法を行って銅張積層板にスルーホールを形成し、該銅張積層板を厚み方向に沿って切断した断面を金属顕微鏡で撮影した写真である。
以下に、本発明の一実施形態に係る製造方法で作製した配線基板を含む実装構造体を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置またはその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2と、電子部品2がバンプ3を介してフリップチップ実装された平板状の配線基板4と、を含んでいる。
電子部品2は、例えばICまたはLSI等の半導体素子であり、母材が、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウムまたは炭化珪素等の半導体材料により形成されている。この電子部品2は、厚みが例えば0.1mm以上1mm以下に設定されている。
バンプ3は、例えば鉛、錫、銀、金、銅、亜鉛、ビスマス、インジウムまたはアルミニウム等を含む半田等の導電材料により構成されている。
配線基板4は、平板状のコア基板5と、コア基板5の両側に形成された一対の配線層6と、を含んでいる。この配線基板4は、例えば平面方向への熱膨張率が電子部品2よりも大きく設定されている。
コア基板5は、配線基板4の強度を高めつつ一対の配線層6間の導通を図るものであり、厚み方向に貫通するスルーホールTが複数形成された平板状の基体7と、複数のスルーホールTの内壁を被覆する円筒状のスルーホール導体8と、スルーホール導体8に取り囲まれた領域に形成された柱状の絶縁体9と、を含んでいる。
基体7は、コア基板5の剛性を高めるものであり、図1(a)および(b)に示すように、樹脂10と、該樹脂に被覆された無機絶縁粒子11と、該樹脂に被覆された、複数のガラス繊維12からなる平板状の基材13と、を含んでいる。
この基体7において、基材13および該基材13のガラス繊維12間に配された樹脂10(第1樹脂)からなる層を繊維層14とする。また、各繊維層14の間に配され、ガラス繊維を含まずに、樹脂10(第2樹脂)および無機絶縁粒子11からなる層を樹脂層15とする。この繊維層14と樹脂層15との境界は、繊維層14のガラス繊維12と樹脂層15の樹脂10との界面によって構成される。なお、繊維層14は、ガラス繊維12間に無機絶縁粒子11を含んでも構わない。
また、基体7は、厚みが例えば0.03mm以上0.4mm以下に設定され、平面方向への熱膨張率が例えば4ppm/℃以上15ppm/℃以下に設定され、厚み方向への熱膨張率が例えば11ppm/℃以上30ppm/℃以下に設定され、厚み方向への熱膨張率が平面方向への熱膨張率の例えば2倍以上2.8倍以下に設定され、ヤング率が例えば20GPa以上30GPa以下に設定されている。
ここで、基体7の熱膨張率は、市販のTMA装置を用いてJISK7197‐1991に準じた測定方法により測定される。また、ヤング率は、MTSシステムズ社製Nano Indentor XP/DCMを用いて測定される。
基体7に含まれる樹脂10は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料により形成することができる。この樹脂10は、平面方向および厚み方向への熱膨張率が例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば3GPa以上10GPa以下に設定されている。
樹脂10に被覆された無機絶縁粒子11は、基体7の熱膨張率を低減するとともに基体7の剛性を高めるものであり、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたは酸化ケイ素等の無機絶縁材料を含み、なかでも、熱膨張率やヤング率等の特性がガラス繊維に近い酸化ケイ素を含むことが望ましい。その結果、樹脂層15の熱膨張率やヤング率を繊維層14に近づけることができる。無機絶縁粒子11が酸化ケイ素を含む場合、無機絶縁粒子11は、酸化ケイ素を65重量%以上100重量%以下含有することが望ましく、酸化ケイ素の他に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウムまたは炭酸カルシウム等を含有しても構わない。
この無機絶縁粒子11は、例えば球状に形成されており、粒径が例えば0.5μm以上5.0μm以下に設定され、各方向への熱膨張率が例えば2.7ppm/℃以上6ppm/℃以下に設定され、ヤング率が70GPa以上85GPa以下に設定されている。なお、無機絶縁粒子11として、ガラス繊維を細かく切断して粒子状にしたものを用いても構わない。
また、無機絶縁粒子11は、樹脂層15における含有量が40体積%以上75体積%以下に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁粒子11の含有量が40体積%以上であることによって、樹脂層15の熱膨張率およびヤング率を繊維層14に近づけることができる。また、無機絶縁粒子11の含有量が70体積%以上であることによって、スルーホールT内壁に位置する無機絶縁粒子11と樹脂10との接着強度を高めて、該無機絶縁粒子11と樹脂10との剥離を低減し、ひいてはスルーホール導体8と樹脂層15との剥離を低減できる。
ここで、無機絶縁粒子11の粒径は、基体7の断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、各粒子の最大径を計測し、その平均値を算出することによって測定される。また、樹脂層15における無機絶縁粒子11の含有量(体積%)は、樹脂層15の断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、樹脂層15に対して無機絶縁粒子11の占める面積比率(面積%)を計測し、その平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
樹脂10に被覆された基材13は、基体7の剛性を高めるとともに平面方向への熱膨張率を低減するものであり、例えば、複数のガラス繊維12が縦横に織り込まれてなる織布(ガラスクロス)を使用することができる。なお、基材13として、不織布を使用しても構わないし、複数のガラス繊維12を長手方向が互いに平行となるように配列したものを使用しても構わない。
基材13に含まれるガラス繊維12は、Tガラス、SガラスまたはEガラス等のガラスからなる繊維を使用することができ、長手方向に垂直な断面の径が例えば4μm以上9μm以下に設定されており、長手方向および幅方向への熱膨張率が2.5ppm/℃以上6ppm/℃以下に設定され、ヤング率が70GPa以上85GPa以下に設定されている。
一方、スルーホールT内壁に被着されたスルーホール導体8は、コア基板5上下の配線層6同士を電気的に接続するものであり、例えば銅、アルミニウムまたはニッケル等の導電材料により形成されたものを使用することができ、なかでも導電性の高い銅を用いることが望ましい。このスルーホール導体8は、スルーホールT内壁から絶縁体9までの長さが3μm以上20μm以下に設定されており、貫通方向および幅方向への熱膨張率が例えば16ppm/℃以上25ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば60GPa以上210GPa以下に設定されている。なお、銅の熱膨張率は、18ppm/℃程度である。また、スルーホール導体8の熱膨張率およびヤング率は、基体7と同様に測定される。
スルーホール導体8に取り囲まれた領域に形成された絶縁体9は、後述するビア導体18の支持面を形成するものであり、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料により形成することができる。
一方、コア基板5の両側には、上述した如く、一対の配線層6が形成されている。配線層6は、基体7上に積層され、厚み方向に貫通するビア孔Vが形成された絶縁層16と、基体7上または絶縁層16上に形成された導電層17と、ビア孔V内に形成され、導電層17に電気的に接続されたビア導体18と、を含んでいる。
絶縁層16は、導電層17を支持する支持部材として機能するだけでなく、導電層17同士の短絡を防ぐ絶縁部材として機能するものであり、樹脂と、該樹脂に被覆された無機絶縁粒子と、を含んでいる。この絶縁層16は、厚みが例えば5μm以上40μm以下に設定され、平面方向および厚み方向への熱膨張率が例えば15ppm/℃以上45ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば5GPa以上40GPa以下に設定されている。なお、絶縁層16の熱膨張率およびヤング率は、基体7と同様に測定される。
絶縁層16に含まれる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリエーテルケトン樹脂等により形成されたものを使用することができる。
絶縁層16に含まれる無機絶縁粒子としては、基体7に含まれる無機絶縁粒子11と同様のものを用いることができる。
導電層17は、例えば接地用配線、電力供給用配線または信号用配線として機能するものであり、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の金属材料により形成されたものを使用することができる。この導電層17は、厚みが例えば3μm以上20μm以下に設定され、平面方向および厚み方向への熱膨張率が例えば5ppm/℃以上25ppm/℃以下に設定され、ヤング率が50GPa以上250GPa以下に設定されている。
ビア導体18は、厚み方向に互いに離間した導電層17同士を相互に接続するものであり、例えば幅がコア基板5に向って小さくなるテーパー状に形成されており、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロムの導電材料により形成されたものを使用することができる。
ところで、ガラス繊維12は、スルーホール導体8よりも熱膨張率が小さいため、配線基板4に熱が印加されると、ガラス繊維12とスルーホール導体8との間に熱応力が印加されやすい。
一方、本実施形態の配線基板4においては、図1(b)に示すように、繊維層14のガラス繊維12は、スルーホールT内壁に露出した面(スルーホールTの貫通方向に平行な面)が溝状(細長形状)の凹部Cを有しており、該凹部Cの内側には、スルーホール導体8の一部が充填されている。ここで、凹部Cが溝状であるため、凹部Cへのスルーホール導体8の充填性を高めることができ、凹部Cとスルーホール導体8とのアンカー効果を高めることができる。それ故、ガラス繊維12とスルーホール導体8との接着強度を高め、ガラス繊維12とスルーホール導体8との剥離を低減することができる。その結果、スルーホール導体8の断線を低減することができ、ひいては電気的信頼性に優れた配線基板4を得ることができる。
この溝状の凹部Cは、長手方向Lにおける長さが、幅方向Wにおける長さの1.2倍以上2.5倍以下に設定されていることが望ましい。その結果、長手方向Lにおける長さが、幅方向Wにおける長さの1.2倍以上であることによって、スルーホール導体8の凹部Cへの充填性を高めることができ、長手方向Lにおける長さが、幅方向Wにおける長さの2.5倍以下であることによって、幅方向Wの長さが小さくなり過ぎることを抑制し、スルーホール導体8へのアンカー効果を担保することができる。なお、凹部Cは、長手方向Lにおける長さが例えば3μm以上8μm以下に設定され、幅方向Wにおける長さが例えば2μm以上5μm以下に設定され、深さが例えば0.5μm以上3μm以下に設定されている。
また、凹部Cは、図1(b)に示すように、基体7の厚み方向に沿った溝状であることが望ましい。その結果、スルーホール導体8と比較して平面視における熱膨張量が小さいガラス繊維12において、スルーホールTの周回方向におけるアンカー効果を生じるため、スルーホールT内壁とスルーホール導体8との接着強度を高めることができる。
ガラス繊維12のスルーホールT内壁に露出した面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.3μm以上3μm以下に設定されている。なお、ガラス繊維12の樹脂10に被覆された面(スルーホールT内壁に露出していない面)の算術平均粗さは、例えば0.1μm以下に設定されており、ガラス繊維12のスルーホールT内壁に露出した面の算術平均粗さよりも小さい。このガラス繊維12の樹脂10に被覆された面の算術平均粗さは、ガラス繊維12のスルーホールT内壁に露出した面の算術平均粗さの例えば10%以上50%以下に設定されている。
かくして、上述した実装構造体1は、配線基板4を介して供給される電源や信号に基づいて電子部品2を駆動若しくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図2に基づいて説明する。
(基体の準備)
(1)図2(a)に示すように、基体7と該基体7の上下に配された銅箔17xとからなる銅張積層板5xを準備する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、未硬化の樹脂10および無機絶縁粒子11を含むワニスを準備し、該ワニスを基材12に含浸させて樹脂シートを形成する。このようにワニスを基材12に含浸させる際に、無機絶縁粒子11が基材13のガラス繊維12間に侵入しにくいため、基材13外の領域(樹脂層15となる領域)に濃縮される。なお、未硬化は、ISO472:1999に準ずるA‐ステージまたはB‐ステージの状態である。
次に、該樹脂シートを積層して基体前駆体を形成するとともに、該基体前駆体の上下に銅箔17xを積層して積層体を形成した後、該積層体を厚み方向に加熱加圧することにより、該樹脂10を熱硬化させて基体7を形成するとともに、上述した銅張積層板5xを作製する。このように基体7を形成する際に、樹脂シートの基材13およびそのガラス繊維12間の樹脂が繊維層14となり、隣接する樹脂シートの基材13外の領域同士が接着して樹脂層15となる。
(スルーホールの形成)
(2)図2(b)に示すように、サンドブラスト法を用いて銅張積層板5xにスルーホールTを形成する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、銅張板積層板5xの両面に、スルーホールTの形成箇所に開口を有するレジストを形成する。このレジストは、例えば感光性樹脂の露光、現像によって形成することができる。次に、サンドブラスト装置のノズルから、銅張板積層板5xの一主面に微粒子を噴射することによって、該レジストの開口を介して、スルーホールTの一部分(非貫通)を形成する。次に、銅張板積層板5xの他主面に微粒子を噴射することによって、基体7を貫通するスルーホールTを形成する。なお、基体7を貫通するスルーホールTは、銅張板積層板5xの一主面のみに微粒子を噴射することによって形成しても構わない。次に、レジストを例えば1〜3wt%水酸化ナトリウム溶液等で除去する。次に、スルーホールTの内壁を高圧水洗することによって、残存した微粒子やスルーホールTの加工屑を除去する。
このようにサンドブラスト法を用いた場合、微粒子の噴射によってスルーホールTを形成するため、ドリル加工と比較して、ガラス繊維12と樹脂10との境界に印加される応力および熱を低減することができる。さらに、レーザー加工と比較して、ガラス繊維12と樹脂10との境界に印加される熱を低減することができる。それ故、サンドブラスト法を用いた場合、ドリル加工やレーザー加工と比較して、ガラス繊維12と樹脂10との剥離を低減することができるため、隣接するスルーホール導体8同士の短絡を低減しつつ間隔を狭くすることができ、ひいては配線基板4の配線密度を高めることができる。
さらに、基体7における無機絶縁フィラー11の含有量を増加させた場合に、ドリル加工のようにドリルが摩耗することがなく、また、レーザー加工よりも容易にスルーホールTを形成することができる。それ故、基体7における無機絶縁フィラー11の含有量が高い場合、サンドブラスト法を用いると、効率良くスルーホールTを形成することができる。
特に、微粒子を噴射する基体7の樹脂層15における無機絶縁粒子11の含有量は、40体積%以上75体積%以下に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁粒子11の含有量を40体積%以上とすることによって、サンドブラスト法による樹脂層15の切削性を高めることができる。また、無機絶縁粒子11の含有量を75体積%以下とすることによって、スルーホールTを形成する際にスルーホールT内壁からの無機絶縁粒子11の脱粒を低減し、該脱粒に起因した窪みに気泡が残存してスルーホールT内壁とスルーホール導体8との密着強度が低下することを低減できる。
また、レジストを使用してサンドブラストを行っていることから、微粒子を広範に噴射して複数のスルーホールTを同時に加工できるため、ドリル加工やレーザー加工と比較して、スルーホールTを効率良く形成できる。特に、基体7の厚みが0.03mm以上0.4mm以下と薄く設定されていると、サンドブラスト法を用いて効率良くスルーホールTを形成することができる。
以上のようにサンドブラスト法でスルーホールTを形成するためには、サンドブラスト法は以下の条件で行うことができる。
まず、サンドブラスト法は、ドライブラストにより行われる。その結果、ウェットブラストと比較して、微粒子に対する抵抗が小さいため、スルーホールTの切削性を高めるとともに、切削時の加工屑の残留を低減し、該加工屑による切削阻害を低減できる。
一方、サンドブラストで噴射する微粒子は、例えば球状の微粒子(球状粒子)または破砕形状の微粒子(破砕粒子)を用いることができ、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素またはジルコニア等の無機絶縁材料を用いて形成することができる。
なかでも、サンドブラストで噴射する微粒子は、ガラスよりも硬度の高い無機絶縁材料からなる破砕粒子を用いることが望ましい。その結果、ガラス繊維12よりも硬い破砕粒子の尖った端部によって、スルーホールTの内壁に露出したガラス繊維12を効率良く切削することができるため、ガラス繊維12と樹脂10との間に印加される応力を低減しつつ、スルーホールTを効率良く形成することができる。また、ガラス繊維12よりも硬い破砕粒子の尖った端部によって、スルーホールTの内壁に露出したガラス繊維12の面が部分的に切削されるため、厚み方向に沿った溝状の凹部Cを形成することができる。
このようにガラスよりも硬度の高い無機絶縁材料としては、例えばアルミナ、炭化ケイ素またはジルコニア等を用いることができ、なかでもアルミナを用いることが望ましい。なお、硬度としてはビッカース硬度を用いることができる。
また、微粒子の粒径は、10μm以上30μm以下に設定されていることが望ましい。その結果、粒径を10μm以上にすることによって、微粒子による切削性を高めスルーホールTを容易に形成することができる。また、粒径を30μm以下にすることによって、微粒子が孔詰まりすることなくスルーホールTを形成することができる。なお、微粒子の粒径は、各粒子の最大径の平均値である。
また、微粒子を噴射する圧力は、0.15MPa以上0.22MPa以下に設定されていることが望ましい。その結果、圧力を0.15MPa以上にすることによって、スルーホールT内のガラス繊維12を効率よく切削加工することができる。また、圧力を0.22MPa以下にすることによって、微粒子同士の衝突を低減して、微粒子の散乱を低減できるため、基体7の内部側への樹脂層15の切削量を低減できる。それ故、樹脂層15において大きな窪みが形成されることを低減し、窪みに気泡が残存してスルーホールT内壁とスルーホール導体8との密着強度が低下することを低減できる。
ここで、本実施形態において、微粒子の噴射量は、30g/min以上150g/min以下に設定されている。その結果、噴射量を30g/min以上にすることによって、スルーホールT内にあるガラス繊維12を効率よく切削加工することができる。また、噴射量を150g/min以下にすることによって、微粒子同士の衝突を低減して、微粒子の散乱を低減できるため、基体7の内部側への樹脂層15の切削量を低減できる。それ故、樹脂層15において大きな窪みが形成されることを低減し、窪みに気泡が残存してスルーホールT内壁とスルーホール導体8との密着強度が低下することを低減できる。
さらに、基材13としてガラスクロスを用いた場合に、噴射量を150g/min以下にすることによって、繊維の交差部および非交差部における繊維量の違いに起因した穴径のばらつきを低減できる。
また、1つのスルーホールTに対して微粒子を噴射する回数(スキャン回数)は、基体7の厚みに応じて設定され、例えばコア基板5の厚みが80μm以上400μm以下の場合には4回以上20回以下に設定されている。
ここで、サンドブラスト法で形成したスルーホールTの内壁は、デスミア処理を行わないことが望ましい。サンドブラスト法でスルーホールTを形成すると、ドリル加工やレーザー加工と比較して、スルーホールTの内壁に印加される熱を低減して炭化した樹脂の残滓を低減できるとともに、物理的に分子間の結合が切断されるため、スルーホールT内壁に露出した樹脂10の表面の反応活性を高めることができる。また、上述した如く、スルーホールT内壁に露出したガラス繊維12の凹部Cによってスルーホール導体8とのアンカー効果が生じる。
それ故、デスミア処理を行わなくとも、スルーホールTの内壁とスルーホール導体8との接着強度を高めることができる。このようにデスミア処理を行わないことによって、樹脂10のみが選択的にエッチングされてガラス繊維12の側面が大きく露出することを低減し、樹脂10とガラス繊維12との剥離を低減できる。
(スルーホール導体の形成)
(3)図2(c)に示すように、基体7にスルーホール導体8、絶縁体9および導電層17を形成し、コア基板5を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、無電解めっき法および電気めっき法を順次用いることによって、スルーホールTの内壁に導電材料を被着させて、円筒状のスルーホール導体8を形成する。次に、円筒状のスルーホール導体8によって取り囲まれた領域に樹脂材料等を充填し、絶縁体9を形成する。次に、絶縁体9の露出部に導電材料を被着させた後、従来周知のフォトリソグラフィー技術、エッチング等により、銅箔17xをパターニングして導電層17を形成する。なお、導電材料の被着には、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法を用いても構わない。
ここで、上述した(2)の工程にて、サンドブラスト法における微粒子の噴射量を150g/min以下にすることによって、スルーホールT内壁の窪みを低減している。それ故、スルーホールT内壁に導電材料を良好に被着させて、スルーホール導体8の電気的信頼性を高めることができる。
また、スルーホール導体を形成する際に、上述した(2)の工程で形成したスルーホールT内壁の凹部Cには、導電材料が充填される。それ故、凹部Cが溝状であることから導電材料被着の際に凹部C内に気泡が残存することを低減し、凹部Cに対する導電材料の充填性を高めることができる。
以上のようにして、コア基板5を作製することができる。
(配線層の形成)
(4)図2(d)に示すように、コア基板5の両側に一対の配線層6を形成することにより、配線基板4を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、未硬化の樹脂を導電層17上に配置し、樹脂を加熱して流動密着させつつ、更に加熱して樹脂を硬化させることにより、導電層17上に絶縁層16を形成する。次に、レーザー加工でビア孔Vを形成し、ビア孔V内に導電層17の少なくとも一部を露出させる。このように、レーザー加工でビア孔Vを形成することによって、サンドブラスト法と比較して、ビア孔V内に露出させる導電層17の損傷を低減することができる。次に、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法またはフルアディティブ法等により、ビア孔Vにビア導体18を形成するとともに絶縁層16の上面に導電層17を形成する。
以上のようにして、配線基板4を作製することができる。なお、本工程を繰り返すことにより、配線層6において絶縁層16および導電層17を多層化させることができる。
(電子部品の実装)
(5)最上層の導電層17上面にバンプ3を形成するとともにバンプ3を介して配線基板4に電子部品2をフリップチップ実装する。
以上のようにして、図1(a)に示した実装構造体1を作製することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
例えば、上述した実施形態において、電子部品に半導体素子を用いた構成を例に説明したが、電子部品としてはコンデンサ等を用いても構わない。
また、上述した実施形態において、電子部品を配線基板上にフリップチップ実装した構成を例に説明したが、電子部品を配線基板にワイヤボンディング実装しても構わないし、電子部品を配線基板の内部に実装しても構わない。
また、上述した実施形態において、配線層が絶縁層を1層含む構成を例に説明したが、配線層は絶縁層を何層含んでも構わない。
また、上述した実施形態において、基体が繊維層を3層含む構成を例に説明したが、基体は繊維層を何層含んでも構わない。
また、上述した実施形態において、繊維層の第1樹脂と樹脂層の第2樹脂とが同一のものである構成を例に説明したが、繊維層の第1樹脂と樹脂層の第2樹脂とは異なるものでも構わない。
また、上述した実施形態において、(1)の工程にて銅箔を用いた構成を例に説明したが、銅箔の代わりに、例えば鉄ニッケル合金または鉄ニッケルコバルト合金等の金属材料からなる金属箔を用いても構わない。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
(評価方法)
基体の上下に銅箔を積層してなる銅張積層板を複数作製してそれぞれ試料とし、各試料に対し、サンドブラスト法の噴射圧を変えてスルーホールを形成した。次に、無電解めっき法および電気めっき法を用いて、スルーホールの内壁にスルーホール導体を形成した。その後、スルーホール導体形成前後の銅張積層板を厚み方向に切断し、電界放出型電子顕微鏡または金属顕微鏡を用いて、切断面を観察した。
(銅張板積層板の作製条件)
まず、未硬化のエポキシ樹脂(樹脂)、シリカフィラー(無機絶縁粒子)およびガラスクロス(基材)を含む樹脂シートを準備した。なお、樹脂シートは、シリカフィラーを60体積%を含んでいる。
次に、樹脂シートを4層積層するとともに、最外層に銅箔を積層して積層体を形成した。
次に、温度:220℃、圧力:3MPa、時間:90分の条件下で、該積層体を厚み方向に加熱加圧することにより、上述した銅張積層板を作製した。
(スルーホール加工条件)
サンドブラスト法は、微粒子を噴射する圧力:0.15MPa、微粒子の形状:破砕粒子、微粒子の粒径:26μm、微粒子の材料:アルミナの条件下で行った。
また、各試料の微粒子の噴射量は、図3(a)および(b)に示すように設定した。なお、図3(a)は、基体7の厚みを0.2mmとして両主面側から微粒子を噴射しており、図3(b)は、基体7の厚みを0.1mmとして一方主面側から微粒子を噴射している。
(結果)
図3(a)および(b)に示すように、微粒子の噴射量が200g/minでは、スルーホールT内壁に大きな窪み形成され、各スルーホールの形状のばらつきも大きかったが、微粒子の噴射量が43g/min以上86g/min以下では、スルーホールT内壁の窪みが低減され、各スルーホールの形状もより均一に形成されていた。
1 実装構造体
2 電子部品
3 バンプ
4 配線基板
5 コア基板
6 配線層
7 基体
8 スルーホール導体
9 絶縁体
10 樹脂
11 無機絶縁粒子
12 ガラス繊維
13 基材
14 繊維層
15 樹脂層
16 絶縁層
17 導電層
18 ビア導体
T スルーホール
V ビア孔
C 凹部

Claims (7)

  1. 第1樹脂と該第1樹脂に被覆されたガラス繊維とを含む繊維層を有する基体を準備する工程と、
    サンドブラスト法を用いて、微粒子を30g/min以上150g/min以下の噴射量で前記基体に向かって噴射することによって、前記基体にスルーホールを形成する工程と、
    前記スルーホール内にスルーホール導体を形成する工程と
    を備えたことを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
    前記基体を準備する工程は、
    第2樹脂と該第2樹脂に被覆された無機絶縁粒子とを含み、前記繊維層上に配された樹脂層をさらに有する前記基体を準備することを特徴とする配線基板の製造方法。
  3. 請求項2に記載の配線基板の製造方法において、
    前記基体を準備する工程は、
    酸化ケイ素からなる前記無機絶縁粒子を含む前記樹脂層をさらに有する前記基体を準備することを特徴とする配線基板の製造方法。
  4. 請求項3に記載の配線基板において、
    前記基体を準備する工程は、
    前記無機絶縁粒子を40体積%以上75体積%以下含む前記樹脂層を有する前記基体を準備することを特徴とする配線基板の製造方法。
  5. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記スルーホール内に前記スルーホール導体を形成する工程は、
    前記基体に前記スルーホールを形成する工程の後、デスミア処理をすることなく、前記スルーホール内に前記スルーホール導体を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
  6. 請求項5に記載の配線基板において、
    前記スルーホール内に前記スルーホール導体を形成する工程は、
    めっき法を用いて、前記スルーホール内に前記スルーホール導体を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
  7. 請求項1に記載の製造方法で作製した配線基板に電子部品を電気的に接続する工程を備えたことを特徴とする実装構造体の製造方法。
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