JP4554780B2 - 電極積層体、およびそれを用いたシート状ポリマー電池 - Google Patents

電極積層体、およびそれを用いたシート状ポリマー電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極シートと負極シートとを固体電解質フィルムを介して積層させた電極積層体、およびそれを用いたシート状ポリマー電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯型の電話やパソコンなどの電子機器用の電池として、放電容量の大きいリチウムイオン二次電池が脚光を浴びている。このリチウムイオン二次電池として、主として円柱状や箱状など、立体型電池が知られている。このような立体型電池は、たとえば帯状の正極、負極およびセパレータを、正極と負極との間にセパレータを介在させた状態で捲回し、この捲回物を適宜の電池缶などに収容することで形成される。
【0003】
従来、リチウムイオン二次電池としては、上記のような立体型電池が主流であったが、近時、小型化ならびに軽量化の点から、シート状のリチウムイオン二次電池に関心が高まっている。図7は、シート状リチウムイオン二次電池の電極積層体の一例を簡略化して示す斜視図であり、図8は、図7の切断面線VIII−VIIIからみた断面図であり、図9は正極シートおよびセパレータの構造を示す簡略化した斜視図である。従来の電極積層体51は、図7および図8に簡略化して示すように、正極シートがセパレータを介して必ず負極シートに挟まれるように配置されて積層方向Bに沿って順次積層されてなる構造を有する。図7および図8には、便宜上二枚の負極シート52,53と一枚の正極シート54しか示していないが、実際には電極積層体51は、電池一個分となるまで積層方向Bに沿って上記のように積層された構造を有する。この際、セパレータ55を介して隣り合う負極シート52,53および正極シート54は、各々負極活物質層と正極活物質層とが必ず対向するように配置される。
【0004】
セパレータ55は、正極シートと負極シートとを対向させかつ正極シートが負極シートからはみ出さないようにするため、さらには作業の効率性を向上させるため、正極シートを完全に包囲して負極シートとの物理的接触を無くすよう袋状に形成される。正極シート54は、図9に示すように袋状のセパレータ55内にそれぞれ収容される。このような袋状のセパレータ55に、図7および図8に示すように負極シート52,53をそれぞれ隣接させることで、負極シート52,53および正極シート54が、それぞれセパレータ55を介した状態で積層される。上述したような構造を有する電極積層体51は、上記のように積層された状態で粘着テープなどで巻いて電池一個分として固定され、たとえば図示しない防水性の袋体に収容し、次いで該袋体内に液体の電解質を充填して封止される。
【0005】
正極シート54は、金属箔などの集電体上に、正極活物質に導電材やバインダーなどを混合させてなる上記正極活物質層が設けられて形成される。同様に、負極シート52,53は、集電体上に負極活物質を含有する負極活物質層が設けられて形成される。通常、正極活物質としてはリチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、負極活物質としては黒鉛化炭素が用いられる。
【0006】
このようなシート状リチウムイオン二次電池は、上記小型化ならびに軽量化の点から良好であることに加えて、立体型電池と異なって薄型であるので放熱性が良く、電池内に熱が籠もる程度が低いという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したシート状リチウムイオン二次電池の電極積層体51では、正極シート54全面が負極シート52,53に対向する必要があり、負極シート52,53は正極シート54よりも若干大きな面積を有するように形成される。これは、該電池の充電時に生じる正極活物質層からの多量の放出リチウムイオンを負極活物質層にて受け留めることができないと、受け留めきれなかった部分にデンドライト(樹枝状晶)が発生し易くなってしまうためである。また正極シート54と負極シート52,53とが物理的に接触しないように、セパレータ55は、正極シート54および負極シート52,53に接する面の面積が、負極シート52,53よりも大きいものが用いられる。
【0008】
しかしながら図9に示したように正極シート54は、袋状のセパレータ55内に収容されているだけで該セパレータ55内で固定されている訳ではなく、セパレータ55内で移動して位置ずれを起こし易いという問題がある。またセパレータ55を袋状にしているため、該セパレータ55と、負極シート52,53および正極シート54との互いに隣り合う各面の間に隙間が生じやすい。上記のように電極積層体51は、各部材を積層して粘着テープで固定しただけなので、上記隣り合う面間の全面にわたった良好な接触が得られにくく、各部材が充分に密着されない。このような電極積層体51を用いたシート状リチウムイオン二次電池では、たとえば充放電サイクル特性、充放電容量特性などの、電池としての特性を安定して得ることができない不具合がある。さらに該シート状リチウムイオン二次電池は、正極シート、負極シートおよびセパレータを上記の配置で電池一個分積層して電極積層体を形成し、これを粘着テープで固定する、というように煩雑な作業を伴い、生産性に劣る不具合がある。
【0009】
本発明は、正極シートの位置ずれが起こりにくく、かつ各部材間の密着性に優れる電極積層体、および従来よりも向上した各特性が安定して得られるとともに生産性に優れるシート状ポリマー電池を提供することをその目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。本発明は以下のとおりである。
(1)負極活物質層を有する面を対向させた二枚の負極シート間に、両面に正極活物質層を有する一枚の正極シートを、固体電解質フィルムを介して積層してなる電極積層体であって、
負極シートおよび固体電解質フィルムは、負極活物質層が固体電解質フィルムに接し、かつ固体電解質フィルムが正極シートを包囲するように挟み、対向する固体電解質フィルム同士が互いに隣接し得るように少なくともいずれかの周縁で湾曲し、
固体電解質フィルムが、互いに隣接する隣接部において、隣接する固体電解質フィルムおよび負極活物質層に固着された固着部分を有することを特徴とする電極積層体。
(2)固体電解質フィルムが、塩と相溶性溶媒とビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとを主体成分とすることを特徴とする上記(1)に記載の電極積層体。
(3)固体電解質フィルムが、その周縁に上記固着部分における負極活物質層よりも外方に突出する周縁端部分を有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電極積層体。
(4)正極活物質層が正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物を有し、負極活物質層が負極活物質として黒鉛化炭素を有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電極積層体。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電極積層体を用いてなることを特徴とするシート状ポリマー電池。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の好ましい一例の電極積層体1を簡略化して示す断面図であり、図2は図1の電極積層体1の正面図であり、図3は図1の領域IIIを拡大して示す図である。なお図1は、図2の切断面線I−Iからみた断面図である。電極積層体1は、基本的には、二枚の負極シート2,3と、一枚の正極シート4と、二枚の固体電解質フィルム5,6とを備え、これらの各部材を、負極シート2,3間に、固体電解質フィルム5,6を介して正極シート4を積層するように配置してなる構造を有する。言い換えれば、電極積層体1は、積層方向A一方側から他方側へ向かって、負極シート2、固体電解質フィルム5、正極シート4、固体電解質フィルム6、負極シート3の順で積層され、正極シート4の両面に関して積層方向Aに対称に配置される構造を有する。
【0012】
各負極シート2,3は、負極活物質層7,8を各々有する。該負極活物質層7,8は、負極活物質にバインダーなどを混合させてなる負極活物質組成物を、シート状の負極用集電体11,12上にそれぞれ層状に形成してなるものである。
また正極シート4は、正極活物質に導電材やバインダーなどを混合させてなる正極活物質組成物を、シート状の正極用集電体13の両面にそれぞれ層状に形成してなる各正極活物質層9,10を有する。なお本明細書中でいう負極活物質層は、該負極活物質組成物を負極用集電体上に塗工して層状に形成したものをさし、成形前の負極活物質組成物は含まない。正極活物質層についても同様であり、成形前の正極活物質組成物は含まない。
【0013】
負極シート2,3は、負極活物質層7,8が互いに対向するように配置される。上記のようにこれら負極シート2,3間には、両面に正極活物質層9,10を有する正極シート4が固体電解質フィルム5,6を介して積層される。したがって本発明においては、負極活物質層7と正極活物質層9とが対向し、かつ負極活物質層8と正極活物質層10とが対向するように配置されてなる。
【0014】
本発明における各負極シート2,3は、後述のように正極シート4を包囲し得るような大きさのものが用いられ、その形状は特には限定されないが、図2に示すような方形状が好ましい。また負極シート2,3の大きさも、一般的に「シート状」と呼び得る程度の大きさならば特には限定されないが、たとえば、図3に示す上記積層方向Aと同じ方向となる厚み方向Zにおける厚みD1が0.05mm〜0.15mm、図2に示す第一幅方向Xにおける長さ(第一幅)L1が2.5cm〜22cm、図2に示す第二幅方向Yにおける長さ(第二幅)L2が4cm〜32cmである。上記第一幅方向Xとは、図2に示す方形状の正面において互いに垂直な二辺のうちいずれか一方の辺に概ね沿った方向をさし、上記第二幅方向Yとは、上記二辺のうちいずれか他方の辺に概ね沿った方向をさす。なお上記第一幅方向X、第二幅方向Yおよび厚み方向Zは、互いに垂直に交わる三軸に沿った方向である。
【0015】
また正極シート4の形状は、特には限定されないが、各負極シート2,3と同じく図2に示すような方形状が好ましい。正極シート4の大きさも特には限定されないが、たとえば、図3に示す上記厚み方向Zにおける厚みD2が0.1mm〜0.2mmであり、図2に示す上記第一幅方向Xにおける長さ(第一幅)L3が2.3cm〜21.8cmであり、図2に示す上記第二幅方向Yにおける長さ(第二幅)L4が3.8cm〜31.8cmである。
【0016】
また図2に示すように負極用集電体11,12および正極用集電体13には、各負極活物質層7,8または各正極活物質層9,10が形成されていない所定の部位に、リード22,23,24がそれぞれ溶接されて設けられる。図2においては、たとえば負極用集電体11,12および正極用集電体13の各第二幅方向Y一方側の端部から、第二幅方向Y一方に各々突出して設けられる。なおリード22は、図2においてリード23の紙面に対して奥行き側に配置されており、図面には現れない。
【0017】
本発明における固体電解質フィルム5,6は、固体電解質をフィルム状に形成したものである。該固体電解質としては、当分野において一般的に知られている固体電解質を好適に用いることができ、後述するように、それ自体がイオン伝導性を有しているものと、それ自体にイオン伝導性はないが、電解液が高分子被膜に浸透することによりイオン伝導性を獲得するものとのいずれであってもよい。
このような固体電解質フィルム5,6は、各々負極シート2,3と正極シート4との間に介在されて、セパレータとしての役割を果たす。
【0018】
各固体電解質フィルム5,6は、後述するように正極シート4を包囲し得る程度の大きさを有し、好ましくは各負極シート2,3よりも大きな面積を有するものが用いられる。各固体電解質フィルム5,6も、図2に示すような方形状が好ましく、その大きさも特には限定されないが、たとえば、図3に示す上記厚み方向Zにおける厚みD3が0.005mm〜0.05mmであり、図2に示す上記第一幅方向Xにおける長さL5(第一幅)が2.6cm〜22.1cmであり、図2に示す上記第二幅方向Yにおける長さ(第二幅)L6が4.1cm〜32.1cmである。
【0019】
このような負極シート2,3、正極シート4および固体電解質フィルム5,6は、積層方向Aに沿ってみたときに、負極シート2,3および固体電解質フィルム5,6が正極シート4の全周よりはみ出すように配置される。このような配置で積層された状態において、正極シート4からはみ出す各負極シート2,3および各固体電解質フィルム5,6の各周縁14,15,16,17は、負極活物質層7,8が固体電解質フィルム5,6に各々接しかつ固体電解質フィルム5,6同士が互いに隣接し得るように湾曲して、正極シート4を包囲する。
【0020】
各固体電解質フィルム5,6は、互いに隣接する隣接部において、それぞれが隣接する固体電解質フィルム6,5および負極活物質層7,8に固着される固着部分18,19をそれぞれ有する。詳しく述べると、図3に示すように固体電解質フィルム5は、固着部分18の片側が負極活物質層7に、残る片側が固体電解質フィルム6の固着部分19の片側に固着され、この固着部分19の残る片側が負極活物質層8に固着される。この固着は、固体電解質フィルム5が正極活物質層9に接し、かつ固体電解質フィルム6が正極活物質層10に接する状態で、加熱および/または加圧を施すことによって行われる。図1〜図3に示す態様の電極積層体1における該固着部分18,19は、上述した正極シート4のリード24の部分を除いて、正極シート4の全周にわたって概ね外囲するように実現される。
【0021】
このように本発明の電極積層体1においては、各固体電解質フィルム5,6および各負極シート2,3が、各周縁において湾曲し、正極シート4を包み込む。
さらに各固体電解質フィルム5,6が、隣接部において隣り合う固体電解質フィルム6,5および負極活物質層7,8に固着される固着部分18,19を有する。この固着によって、各固体電解質フィルム5,6には、その各中央付近から固着部分18,19に向かって引っ張られるような力が作用する。これによって正極シート4はその両面の概ね全てにわたって固体電解質フィルム5,6に密着され、固体電解質フィルム5,6間に固定される。したがって従来の電極積層体とは異なり、固体電解質フィルム間で正極シートが位置ずれを起してしまうというようなことがなく、かつ互いの部材間の密着性に優れる。
【0022】
また本発明においては、セパレータとして固体電解質フィルム5,6を用いることで、電解液を固体電解質フィルム5,6内に閉じ込めることができ、従来の積層方式の電極積層体とは異なって、電解液を収容するためセパレータを袋状に形成する必要がない。したがってセパレータを袋状にしたがための隙間が生じず、部材間の密着性に優れた電極積層体1を得ることができる。
【0023】
またさらにセパレータとして固体電解質フィルム5,6を用いているため、固体電解質フィルム同士および固体電解質フィルムと負極活物質層とを、加熱および/または加圧によって互いに固着することができる。本発明の電極積層体1では、固体電解質フィルム5,6および負極シート2,3で正極シート4を包み込むようにして、その外周部でこれらの部材が互いに固着されている。したがって該電極積層体1を一つのユニットとして扱うことができる。
【0024】
上記のような電極積層体1を、複数個、たとえば五個〜十個、積層方向Aに沿って電池一個分にまで積層して、粘着テープで巻いて固定することで、本発明のシート状ポリマー電池を得ることができる。このようなシート状ポリマー電池は、一個一個の電極積層体がユニット化されているため、各々密着性に優れる電極積層体1をただ積層するだけで全体としても密着性に優れたシート状ポリマー電池を得ることができる。このようなシート状ポリマー電池は、後述するようにリチウムイオンポリマー電池として実現された場合には、たとえば過充電での膨れ特性、高温下での膨れ特性、低温特性などの電池としての特性を安定して得ることができる。またさらに積層する各電極積層体1がユニット化されているため、従来のように各部材を一枚一枚積層した後にこれらを粘着テープで固定する場合と比較して作業性に優れ、生産上の扱いが容易である。なお本明細書において、「ポリマー電池」とは、セパレータとして上記の固体電解質フィルムを用いている電池をさす。
【0025】
上述のように各固体電解質フィルム5,6が上記の各固着部分18,19で固着された状態において、図2および図3に示す正極シート4の端部4aから各固着部分18,19の外側の最端までの直線距離D4は、好ましくは0.5mm〜1.5mmに選ばれ、より好ましくは0.5mm〜0.7mmに選ばれる。該直線距離D4が0.5mm未満であると、正極シート4のエッジ4a1によって固体電解質フィルム5,6が破れてしまったり、劣化してしまう不具合があるため好ましくない。また該直線距離D4が1.5mmを超えると、正極シート4の位置ずれが大きくなり、負極シート2,3との対向がとりにくくなってしまう不具合があるため好ましくない。なお上記端部4aは、第一幅方向Xおよび第二幅方向Yのうちのいずれの方向の端部をも含有してさすものとする。
【0026】
また上記の状態において、図2および図3に示す正極シート4の端部4aから各固着部分18,19の内側の最端までの直線距離D5は、上述した正極シート4の厚みD2と同程度に選ばれる。
【0027】
本発明における固体電解質フィルム5,6は、負極シート2,3よりも大きな面積を有し、図1〜図3に示すように電極積層体1を形成した状態で、上記固着部分18,19における各負極活物質層よりも外方に突出する周縁端部分25,26をそれぞれ有するように配置されるのが好ましい。固体電解質フィルム5,6がこのような周縁端部分25,26を有することで、粘着テープで固定する際に、負極シート2,3のエッジへの損傷を無くすというような効果がある。該各周縁端部分25,26は、上記の効果を達成するためには、突出方向における直線距離D6が1.5mm以下に選ばれるのが好ましく、1.0mm以下に選ばれるのがより好ましい。
【0028】
また本発明の電極積層体では、固着部分は固体電解質フィルムが隣接部の全面にわたって形成されていなくてもよく、図4に示す例の電極積層体31のように破線状に形成されていてもよい。なお図4に示す電極積層体31は、固着部分の形成のされ方を除いては図1〜図3に示した態様の電極積層体1と同様であり、同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して説明は省略する。電極積層体31の固体電解質フィルム5,6は、隣接部に破線状の固着部分32,33を有する。なお図4において固着部分32は、固着部分33の紙面より奥行き側に配置され、図には現れない。
【0029】
図4の態様において、固着部分32,33の形成のされ方は、破線状に形成されるならば特に限定はないが、たとえば図4のように、周縁のうち第一幅方向Xに沿った部分に一個ずつ、第二幅方向Yに沿った部分に三個ずつ形成される。このような形成のされ方の場合において、たとえば各固着部分32,33の長さL7は、それぞれ2mm〜20mmであり、各固着部分32,33同士の中心間の距離(ピッチ)D7は、それぞれ6mm〜30mmである。
【0030】
このような電極積層体31では、電解液が移動しにくい固着部分32,33が断続的に破線状に形成されることによって、図1〜図3に示した場合と比較して、負極シート2,3および正極シート4間において電解液をより浸入、浸透し易くすることができる。このような電極積層体31を用いたシート状ポリマー電池は、製造工程において、電解液注液時間を短縮することができ、効率よく製造することができる。またこのようなポリマー電池は、性能上均一に電解液が浸透することによって、放電容量が良好であるというような効果がある。
【0031】
また本発明の電極積層体においては、固体電解質フィルムは正極シートを包囲するように挟み得るように形成されていればよく、このように正極シートを挟み得る構成であるならば、その全ての周縁が湾曲するように形成されなくてもよい。図5は、本発明の好ましいさらに他の例の電極積層体36を示す簡略化した正面図であり、図6は、図5の切断面線VI−VIからみた断面図である。なお図5および図6についても、上記の図1〜図3と同様の構成を有する部分には同一の参照符を付し、説明は省略する。本発明においては、図5および図6に示すように、一枚の固体電解質フィルム37を正極シート4を包み込み得るように折り曲げ、正極シート4を包んだ状態で折り曲げ部分37a以外の三方で固体電解質フィルム37が正極シート4を挟んで互いに接し得るように該三方の周縁を湾曲させ、固着されるように実現されてもよい。
【0032】
図5および図6に示す電極積層体36では、たとえば固体電解質フィルム37を中央付近で第二幅方向Yに概ね沿って折り曲げて、正極シート4の第一幅方向X一方側から包み込むように配置させる。このような状態で、正極シート4の残る三辺からはみ出す固体電解質フィルム37の三方の周縁を、上記三方において固体電解質フィルム37が正極シート4を挟んで互いに隣接し得るように湾曲させる。電極積層体36は、この三方に形成された互いに隣接する隣接部において、それぞれ隣接する固体電解質フィルムおよび負極シート2,3に固着された固着部分38,39を有するように実現される。
【0033】
上記のように固着部分38,39は正極シート4の四辺のうち、固体電解質フィルム37の折り曲げ部分37aが配置される辺を除く三辺からはみ出す三方に配置される周縁40,41の隣接部に形成される。図5および図6に示す態様では、正極シート4の第一幅方向X一方側に折り曲げ部分37aが配置され、残る第一幅方向X他方側、第二幅方向Y両側の周縁を湾曲させてなる隣接部に固着部分38,39が形成される。固着部分38,39は、たとえば、第一幅方向X他方側および第二幅方向他方側の隣接部の全部にわたって形成されるとともに、第二幅方向一方側(リード22〜24が突出している方向)の隣接部の一部(中央付近から第一幅方向他方側にわたる部分)に形成される。
【0034】
このように本発明の電極積層体を、一枚の固体電解質フィルム37を用いて実現することによって、図1〜図3に示した構成の場合と比較して、固着させる辺が少ないため、固着に要する余分なスペースが減少し、その分だけ正極シートを大きくできる。したがってこのような電極積層体36を用いることで、放電容量の向上したシート状ポリマー電池を実現することができる。
【0035】
図5および図6において用いられる固体電解質フィルム37の寸法は、上記のように折り曲げた状態で、図1〜図3に示した固体電解質フィルム5,6の各寸法と同程度に形成されるならば、特には限定されない。また第二幅方向一方側(リード22〜24が突出している方向)の隣接部に形成される固着部分38,39の中央付近から第一幅方向他端にわたる直線距離D8は、特には限定はないが、たとえば0.5cm〜20cmである。このように該直線距離D8を選ぶことによって、正極シート4が第二幅方向Yにずれてしまったりあるいは抜けてしまったりしないように適宜調整することができる。また上記の態様においては、固着部分は、三方の隣接部の全部に形成されていてもよく、また図4のように破線状に形成されてもよい。
【0036】
本発明において用いられる固体電解質フィルム5,6,37としては、加熱および/または加圧によって固体電解質フィルム同士および負極活物質層に固着可能なものであれば特には限定されず、それ自体がイオン伝導性を有しているものと、それ自体にイオン伝導性はないが、電解液が高分子被膜に浸透することによりイオン伝導性を獲得するものとのいずれであってもよい。
【0037】
該固体電解質のうち、それ自体がイオン伝導性を有するものとしては、リチウムイオンなどを高分子鎖に配位することが可能なドナー性の高いものが好ましく用いられる。このような固体電解質としては、たとえばポリエーテル、ポリフォスファゼン、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0038】
また該固体電解質のうち、それ自体にイオン伝導性はないが、塩および相溶性溶媒を含有する電解液が高分子被膜に浸透することによりイオン伝導性を獲得するものとしては、該電解液に対する親和性が大きいものが好ましく用いられる。
このような固体電解質としては、たとえばポリスチレン、ポリブタジエンおよびそれらの共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネートなどが挙げられる。
【0039】
本発明においては、後者の固体電解質、中でも塩と相溶性溶媒とビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとを主体成分とする固体電解質ゲルをフィルム状としたものが、特に好ましく用いられる。上記ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとは、ビニリデンフルオライドの単独重合体、または、ビニリデンフルオライドとその他のフッ素原子を有するビニル系モノマーとの共重合体を意味し、これらは単独でも混合しても用いることができる。その他のフッ素原子を有するビニル系モノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
また、共重合体の形態はランダム、ブロックのいずれの形態でもよい。共重合体である場合、ビニリデンフルオライド(の単位)の割合が70モル%以上が好ましく、特に好ましくは75モル%以上である。
【0040】
また、上記ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーは、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO2OH)、カルボン酸エステル基(−COOR)、アミド基(−CONH2)またはリン酸基(−PO(OH)2)などからなる官能基を有するビニル系モノマーの重合体がグラフトされていてもよい(カルボン酸エステル基(−COOR)における置換基Rは、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましいものである。)。フッ素ポリマーをかかる官能基を含有する重合体がグラフトした態様のポリマー形態にすると、正極シートまたは負極シートへの固体電解質フィルムの接着性が向上するので好ましい。
【0041】
上記官能基を有するビニル系モノマーとしては、官能基を除く部分の炭素数が4以下の化合物からなるモノマーが好適である。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸などのカルボキシル基を1個有するものの他、イタコン酸、マレイン酸などのカルボキシル基を2個以上有するものも使用可能である。スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などが好適である。カルボン酸エステル基含有モノマーとしては、メチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが好適である。アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミドなどが好適である。リン酸基含有モノマーとしては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシルなどが好適である。これらのうち最も好ましいものは、アクリル酸またはメタクリル酸である。
【0042】
グラフト化する方法としては、特には限定されないが、放射線法が好適である。たとえば、ポリマー鎖基質(グラフトされる側のポリマー)とグラフトモノマー材料とを共存させて、放射線を連続的または間欠的に照射する。該方法では、両者を共存させる前にポリマー鎖基質に放射線を照射し、予備的に活性化させておくことが好ましい。放射線としては、電子ビーム、X線またはγ線が使用される。放射線の照射により、ポリマー鎖基質は遊離基を発生して活性化する。
【0043】
グラフト化の程度は、いくつかの因子により決定することができるが、最も重要なのは、活性化した該基質がグラフトモノマーと接触している時間の長さ、放射線による該基質の予備活性の程度、グラフトモノマーが該基質を透過できるまでの程度、および、該基質および該モノマーが接触しているときの温度である。
グラフトモノマーが酸であるとき、該モノマーを含有する溶液をサンプリングして、塩基に対して滴定し、残留するモノマー濃度を測定することにより、グラフト化の程度を観測することができる。グラフト化の程度は最終重量の1モル%〜30モル%が好ましく、5モル%〜10モル%がより好ましい。なお、グラフト化は、ポリマー鎖基質を光照射または熱によって活性化(遊離基の発生)させる方法で行ってもよい。
【0044】
塩(電解質)としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、Li(CF3SO22Nなどから選ばれる一種または二種以上が好適に使用される。また、相溶性溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが例示され、これらの1種または2種以上の混合物が使用される。溶液中の塩(電解質)濃度は、好ましくは0.1モル/L〜2モル/L、より好ましくは0.5モル/L〜1.5モル/Lである。塩(電解質)の濃度が0.1モル/L未満であると、イオン伝導性の低下によって電池容量が充分に得られず、またハイレート特性が著しく低下する不具合があるため好ましくない。また該濃度が2モル/Lを超えると、著しい粘度上昇が生じ、ハイレート特性および低温特性の低下が生じる不具合があるため好ましくない。
【0045】
なお、上記相溶性溶媒とともに、電池の使用温度(特に低温使用時)での溶液の結晶化防止などを目的に、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチル−ピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの可塑剤を使用するのが好ましい。当該可塑剤を添加することで、フッ素ポリマーに浸透(含浸)させた溶液の結晶化は起こらず、固体電解質フィルムの充分なイオン伝導性が確保することができる。
【0046】
上記のような固体電解質を、たとえばブレードナイフ式塗工機などの装置を用いて、シート状基材(アルミ箔、樹脂シート)などにペースト状で塗工し、熱風炉にて乾燥させるというような条件でフィルム状に形成する。このフィルム状のものを、上記した塩と相溶性溶媒とを含む溶液に含浸させてゲル化することで、本発明において用いられる固体電解質フィルム5,6,37を得ることができる。
【0047】
該ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーに、塩および相溶性溶媒を含浸させたものから主としてなる固体電解質フィルムを用いて、上記固着を加熱のみによって行う場合は、たとえば熱プレス、ヒートシーラー、真空熱プレスなどの装置を用いて、好ましくは100℃〜180℃、より好ましくは130℃〜160℃の温度で、固体電解質フィルム5,6,37の各固着部分がある該電極積層体の外周部を加熱する。また上記固着を加圧のみによって行う場合は、たとえばプレス、プレスロールなどの装置を用いて、好ましくは0.1MPa〜20MPa、より好ましくは5MPa〜10MPaの圧力で、固体電解質フィルム5,6,37の各固着部分がある該電極積層体の外周部を加圧する。上記固着を加熱および加圧によって行う場合は、熱プレス、ホットロールプレス、真空プレスなどの装置を用いて、好ましくは120℃〜160℃の温度および0.1MPa〜20MPaの圧力で、より好ましくは130℃〜150℃の温度および5MPa〜10MPaの圧力で行う。
【0048】
本発明の電極積層体1において、負極活物質および正極活物質については特には限定はないが、好ましくはリチウムイオン二次電池の負極活物質および正極活物質として従来から広く知られているものを用いるのが好ましい。本発明のシート状ポリマー電池は、下記の各材料を用いて、リチウムイオンポリマー電池として実現されるのが好ましい。
【0049】
負極活物質としては、従来公知の負極活物質と同様の黒鉛化炭素が好適に用いられる。このような黒鉛化炭素としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、たとえば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類が挙げられる。負極活物質と共に用いるバインダーとしては、従来と同様に、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどが好適なものとして挙げられ、中でも特にポリビニリデンフルオライドが固体電解質フィルム5,6,37との固着の点から好ましい。上記負極活物質の使用量としては、負極活物質とバインダーとの合計量100重量部あたり2重量部〜20重量部程度が好ましい。
【0050】
負極用集電体11,12としては、従来と同様の銅、ニッケル、銀、ステンレスなどで形成された箔やエキスパンドメタルなどが挙げられ、これらは孔が形成されていてもよい。
【0051】
正極活物質としては、たとえば下記の一般式(1)または(2)で示されるLi−遷移金属複合酸化物が好適に用いられる。
LiA1-XMeX2 (1)
LiA2-XMeX4 (2)
式(1)において、MはたとえばCo、Ni、Mn、V、Geなどの遷移金属を示す。式(2)において、MはたとえばMn、Fe、Niなどの遷移金属を示す。式(1)及び(2)において、MeはM以外の、周期律表の3〜10族元素、たとえばZr、Cr、Mo、Fe、Co、Mn、Niなど、または13〜15族元素、たとえばB、Al、Pb、Sn、Sbなどを示す。Meは二種以上の元素であってもよい。
【0052】
Aの値は、式(1)においては0.05〜1.5、好ましくは0.1〜1.1である。式(2)においては0.05〜2.5、好ましくは0.5〜1.5である。Xの値は、式(1)及び(2)において、0または0.01〜0.5、好ましくは0.02〜0.2である。Meが二種以上の元素である場合、Xは二種以上の元素の合計量とする。
【0053】
式(1)、(2)で示されるLi−遷移金属複合酸化物の好ましい例を挙げると、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn(1-X)MgX2、LiMn(1-X)AlX2、LiMn(1-X)CoX2、LiMn(1-X-Y)AlXCoY2、LiMnO4、LiMn2-XCoX4、LiMn2-XCoXGeY4、LiNi(1-X)AlX2、LiNi(1-X)CoX2などが挙げられる。なお上記の例示において、X≧0.1、Y≦0.1である。上記例示した中でもLi−Co系複合酸化物が好ましく、さらにLi−Co系複合酸化物の中でもLiCoO2がより好ましい。
【0054】
正極活物質層に含有される導電材としては、当分野において従来から広く用いられている、たとえば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの天然や人造の黒鉛類や導電性カーボンブラックなどを用いることができる。導電材の使用量は、従来と同様にたとえば正極活物質、バインダー、導電材の合計使用量100重量部あたり、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは3重量%〜7重量%とすれば良い。
【0055】
なお正極活物質と共に用いられるバインダーとしては、従来と同様のもの、たとえばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどが好適なものとして挙げられる。該バインダーは、従来と同様にたとえば正極活物質、バインダー、導電材の合計使用量100重量部あたり、好ましくは1重量%〜7重量%、より好ましくは2重量%〜5重量%配合される。
【0056】
正極用集電体13としては、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンといった導電性金属で形成された箔やエキスパンドメタルなどが挙げられ、これらは孔が形成されていてもよい。
【0057】
本発明のシート状ポリマー電池は、上述したユニット化された電極積層体1を電池一個分積層し、粘着テープなどを用いて固定した後、たとえば従来から広く用いられている袋状の外装体に収容するなどして製造される。
【0058】
上記外装体としては、熱可塑性樹脂ラミネートを片面または両面に有する熱可塑性樹脂ラミネート金属薄板または熱可塑性樹脂ラミネート箔などが挙げられる。このような熱可塑性樹脂ラミネートを有する外装体は、水やガスの透過に対する優れた透過防止性ならびに電気絶縁性などの点から、さらには該層を利用して内容物を熱融着封止できる点から好ましい。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1
〔負極シートの作製〕
負極活物質となる繊維状黒鉛とバインダーとなるポリビニリデンフルオライドとをN−メチルピロリドン中で混合してスラリー化した負極活物質組成物を得た。該負極活物質組成物中、バインダーは10重量%とした。このスラリーを負極用集電体となる厚み15μmの銅箔の片面上に塗布した後、乾燥して圧延を施し、負極活物質層を形成した。負極用集電体にニッケル板を溶接してリードを形成して、下記寸法の二枚の負極シートを得た。
長さ(第一幅)L1:3.1cm
長さ(第二幅)L2:4.8cm
厚みD1:0.082mm
【0060】
〔正極シートの作製〕
正極活物質となるLiCoO2、導電材ならびにバインダーとなるポリビニリデンフルオライドをN−メチルピロリドン中で混合し均一に分散して、スラリー化した正極活物質組成物を得た。該正極活物質組成物中、導電材は5重量%、バインダーは4重量%とした。このスラリーを正極用集電体となるアルミニウム板両面上に塗布した後、乾燥して圧延を施し、正極活物質層を形成した。正極用集電体にアルミニウム板を溶接してリードを形成して、下記寸法の一枚の正極シートを得た。
長さL3(第一幅):2.9cm
長さL4(第二幅):4.6cm
厚みD2:0.145mm
【0061】
〔ポリビニリデンフルオライドフィルムの作製〕
基材(アルミ箔)の上に塗工、乾燥させた後、フィルム状としたポリビニリデンフルオライドを該基板から剥がし、所定寸法に切断して下記寸法の二枚のポリビニリデンフルオライドフィルムを得た。
長さL5(第一幅):3.2cm
長さL6(第二幅):4.9cm
厚みD3:0.025mm
【0062】
〔電極積層体の組立て〕
上記のようにして各々得た負極シート、正極シートおよびポリビニリデンフルオライドフィルムを、図4に示したように二枚の負極シート間にポリビニリデンフルオライドフィルムを介して正極シートを積層した。このように積層した状態で、正極シートからはみ出す負極シートおよびポリビニリデンフルオライドフィルムの各周縁を、負極活物質層がポリビニリデンフルオライドフィルムに各々隣接し、かつポリビニリデンフルオライドフィルム同士が互いに隣接し得るように湾曲させた。プレス機構を備える装置にヒータを取付けた破線状の突起を有する金具(熱プレス)を用いて、2kg/cm2(0.196MPa)、155℃、0.2秒間の条件で、外周部に加熱および加圧を施し、破線状の固着部分を形成した。
固着部分の形成後、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを50体積%:50体積%の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を濃度が1.0モル/L(調製後の濃度)となるように溶解させた溶液に1分間浸漬して、ポリビニリデンフルオライドフィルムをゲル化して、固体電解質フィルムとした。このようにして下記寸法の電極積層体を作製した。
距離D4:0.5mm
距離D5:1.0mm
距離D6:0.5mm
各固着部分の長さL7:0.7cm
固着部分間の距離(ピッチ)D7:1.7cm
【0063】
〔シート状リチウムイオンポリマー電池の組立て〕
上記電極積層体を八個積層し、粘着テープで巻いて固定した後、各電極積層体の負極シート、正極シートにそれぞれ形成したリードを、結束してニッケル板に溶接した。このような電池一個分の電極積層体を、内側から順に、ヒートシール層、耐電解液性を有する絶縁層、アルミニウム層、絶縁層の積層構造を有する袋状の外装体内に、該ニッケル板のみ開口部からはみ出すように収容した。外装体の開口部に熱融着封止を施し、シート状リチウムイオンポリマー電池を完成させた。
【0064】
実施例2
一枚の固体電解質フィルムを用いて、正極シートを包み込み得るように折り曲げて、図5および図6に示した構造の電極積層体を形成し、これを用いた以外は実施例1と同様にして、シート状リチウムイオンポリマー電池を作製した。固体電解質フィルムは、折り曲げ状態における各寸法が、以下のとおりであった。
固体電解質フィルムの第一幅:3.1cm
固体電解質フィルムの第二幅:4.9cm
固体電解質フィルムの厚み:0.025mm
固着部分の直線距離D8:15mm
【0065】
比較例
固着部分を形成しなかった電極積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状リチウムイオンポリマー電池を作製した。
【0066】
比較例で形成した電極積層体は、固体電解質フィルムを介して負極シート間に挟まれた正極シートが保持されず、互いにずれ易いものであった。このため比較例で得られたポリマー電池は、正極シートおよび負極シートの端部同士が接触してショートしやすいものであった。
これに対し実施例1,2のポリマー電池は、電極積層体として正極シートが位置ずれを起こしにくく、互いの部材間の密着性に優れるものであった。このような電極積層体を用いて得られたポリマー電池は、過充電での膨れ特性、高温下での膨れ特性、低温特性などに優れる高品位なものであることが判った。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、正極シートの位置ずれが起こりにくく、かつ各部材間の密着性に優れる電極積層体、および従来よりも向上した各特性が安定して得られるとともに生産性に優れるシート状ポリマー電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一例の電極積層体1を簡略化して示す断面図である。
【図2】図1の電極積層体1の正面図である。
【図3】図1の領域IIIを拡大して示す図である。
【図4】本発明の好ましい他の例の電極積層体31を簡略化して示す正面図である。
【図5】本発明の好ましいさらに他の例の電極積層体36を簡略化して示す正面図である。
【図6】図5の切断面線VI−VIからみた断面図である。
【図7】従来のシート状リチウムイオン二次電池の電極積層体の一例を簡略化して示す斜視図である。
【図8】図4の切断面線V−Vからみた断面図である。
【図9】従来の正極シートおよびセパレータの構造を示す簡略化した斜視図である。
【符号の説明】
1 電極積層体
2,3 負極シート
4 正極シート
5,6 固体電解質フィルム
7,8 負極活物質層
9,10 正極活物質層
14,15 (負極シートの)周縁
16,17 (固体電解質フィルムの)周縁
18,19 固着部分
25,26 周縁端部分

Claims (5)

  1. 負極活物質層を有する面を対向させた二枚の負極シート間に、両面に正極活物質層を有する一枚の正極シートを、固体電解質フィルムを介して積層してなる電極積層体であって、
    負極シートおよび固体電解質フィルムは、負極活物質層が固体電解質フィルムに接し、かつ固体電解質フィルムが正極シートを包囲するように挟み、対向する固体電解質フィルム同士が互いに隣接し得るように少なくともいずれかの周縁で湾曲し、
    固体電解質フィルムが、互いに隣接する隣接部において、隣接する固体電解質フィルムおよび負極活物質層に固着された固着部分を有することを特徴とする電極積層体。
  2. 固体電解質フィルムが、塩と相溶性溶媒とビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとを主体成分とすることを特徴とする請求項1に記載の電極積層体。
  3. 固体電解質フィルムが、その周縁に上記固着部分における負極活物質層よりも外方に突出する周縁端部分を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電極積層体。
  4. 正極活物質層が正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物を有し、負極活物質層が負極活物質として黒鉛化炭素を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電極積層体を用いてなることを特徴とするシート状ポリマー電池。
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