JP4552544B2 - モータの過熱判定装置、モータの過熱判定方法、モータの過熱判定プログラム、モータ制御装置、モータ制御方法及び印刷装置 - Google Patents

モータの過熱判定装置、モータの過熱判定方法、モータの過熱判定プログラム、モータ制御装置、モータ制御方法及び印刷装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータが過熱状態にあるか否かを判定するモータの過熱判定装置、モータの過熱判定方法、モータの過熱判定プログラム、モータ制御装置、モータ制御方法及び印刷装置に関する。
インクジェットプリンタをはじめとする印刷装置には、印刷する紙等の媒体を搬送するための搬送モータや、紙などの媒体に対して印刷を施すための印刷部を移動させるためのモータなど、各種モータが搭載されている。このようなモータにあっては、連続して駆動されると、発熱して温度が上昇し、高温状態になることがある。モータが高温状態になると、巻線の焼損等の不具合が生じる虞があることから、印刷装置には、モータが高温状態にならないようにするための監視装置が設けられている。
その監視装置の1つとして、モータの駆動量に基づきモータの温度状態を監視する装置がある(特許文献1参照)。この装置は、モータの駆動量を逐次積算して、その積算値が所定値に達したか否かをチェックすることによってモータが高温状態にあるかどうか調べる。つまり、モータの駆動量とモータの発熱との間の関連性に着目して、モータの駆動量からモータの温度を推測するのである。モータの駆動量の積算値が所定値に達したときには、モータが高温状態にあると判断して、モータの駆動を抑制してモータの発熱を制限する発熱制限制御に移行する。この制御に移行することによって、モータの温度がこれ以上上昇するのを防ぎつつ、モータの駆動を継続して実行するのである。なお、モータがしばらくの間、駆動されなかった場合には、モータの駆動量の積算値は徐々に減らされるように処理されたり、またモータが長時間にわたり駆動されなかった場合には、モータの駆動量の積算値はゼロにリセットしたりすることが提案されている。
このようにモータの駆動量に基づきモータの温度状態を監視することによって、温度センサ等の各種センサを不要にすることができ、これにより、部品点数を増やさず、あまりコストをかけずに実施することができる。
特許2002−186285号公報
しかしながら、このようなモータの駆動量に基づきモータの温度状態を監視する装置には、次のような問題があった。すなわち、モータがしばらくの間駆動されなかった場合には、モータの駆動量が徐々に減算されたり、またモータが長時間にわたり駆動されなかった場合には、モータの駆動量の積算値がゼロにリセットされるなどして、モータの温度状態に応じて積算値が減算されていたものの、モータが非常に短い時間停止した場合、例えば、数十〜数百ミリ秒などの1秒前後の非常に短い間、モータがの駆動が停止された場合は、何ら措置がとられていなかった。このため、モータが高温状態になっていないにもかかわらず、モータが高温状態にあると判断して発熱制限制御が実効される場合があった。これにより、印刷に余計な時間がかかり、印刷速度が低下するなどの不具合が発生することがあった。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、その目的は、モータの温度状態をモータの駆動量に基づきより正確に推測することにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、 モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部と、前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記モータに関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を前記記憶部から取得し、該減算値を前記積算値から減算する演算と、を実行する演算部と、前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、を備えたことを特徴とするモータの過熱判定装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算する演算とを実行する演算部と、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
を備えたことを特徴とするモータの過熱判定装置。
この装置にあっては、モータの駆動量に関する情報に基づきモータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算に加え、モータの停止時間に関する情報に基づき取得された停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算する演算を実行するから、モータの温度状態をより正確に推測することができる。
かかる過熱判定装置にあっては、前記モータの駆動動作の合間の停止時間を計測するためのタイマーを備えても良い。このようなタイマーを備えれば、モータの停止時間を簡単に測定することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記モータの駆動量に関する情報は、前記モータの駆動毎に前記情報取得部により取得されても良い。このようにモータの駆動量に関する情報がモータの駆動毎に逐次取得されれば、モータの温度状態をより的確に推測することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記モータの駆動量に関する情報は、前記モータがその駆動量に基づき駆動する前に前記情報取得部により取得されても良い。このようにモータの駆動量に関する情報は、前記モータがその駆動量に基づき駆動する前に取得されれば、モータの温度状態を駆動前に推測することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記演算部は、前記モータの駆動が終了してから所定時間経過する毎に、前記積算値から所定値を減算する演算を実行しても良い。このような演算が実行されれば、モータの温度状態をより正確に推測することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記モータが前記判定部により過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動が制限されても良い。このようにモータの駆動が制限されれば、モータの温度上昇を抑制しつつモータを駆動させることができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記モータの駆動動作の合間の停止時間と、前記停止時間に応じた前記減算値とが対応付けられたテーブルを備えても良い。このようなテーブルを備えれば、モータの停止時間に応じた減算値を簡単に取得することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記情報取得部は、前記モータの駆動モードに関する情報を取得し、前記減算値は、前記情報取得部が取得した前記駆動モードに関する情報および前記停止時間に関する情報に基づき取得されても良い。このようにモータの駆動モードに関する情報を取得して、当該駆動モードに関する情報に基づき減算値を取得することで、駆動モードに応じた減算値を取得することができる。
また、かかる過熱判定装置にあっては、前記モータは、前記駆動モードに応じて、加速時の加速度、定速時の速度および減速時の加速度のうちの少なくともいずれか1つが異なっても良い。このようにモータが駆動モードに応じて異なる場合に、適切な減算値を取得することができる。
モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算する演算とを実行する演算部と、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
前記モータの駆動動作の合間の停止時間を計測するためのタイマーとを備え、
前記モータの駆動量に関する情報は、前記モータの駆動毎に取得されるとともに、前記モータがその駆動量に基づき駆動される前に取得され、
前記演算部は、前記モータの駆動が終了してから所定時間経過する毎に、前記積算値から所定値を減算する演算を実行し、
前記モータが前記判定部により過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動が制限され、
前記モータの駆動動作の合間の停止時間と、前記停止時間に応じた前記減算値とが対応付けられたテーブルを備え、
前記情報取得部は、前記モータの駆動モードに関する情報を取得し、
前記減算値は、前記情報取得部が取得した前記駆動モードに関する情報および前記停止時間に関する情報に基づき取得され
前記モータは、前記駆動モードに応じて、加速時の加速度、定速時の速度および減速時の加速度のうちの少なくともいずれか1つが異なることを特徴とするモータの過熱判定装置。
モータの駆動量に関する情報を取得するステップと、
前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算するステップと、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
を有することを特徴とするモータの過熱判定方法。
モータの駆動量に関する情報を取得するステップと、
前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算するステップと、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
を実行することを特徴とするモータの過熱判定プログラム。
モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得する情報取得部と、
前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算する演算とを実行する演算部と、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
前記モータの駆動を制御し、かつ前記判定部により前記モータが過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動を制限するコントローラと、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算するステップと、
減算された前記積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
前記モータの判定結果に応じて前記モータの駆動を制御するステップと、
を有することを特徴とするモータ制御方法。
モータと、
前記モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記情報取得部が取得した前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間に応じた減算値を前記積算値から減算する演算とを実行する演算部と、
前記演算部によって減算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
かかる印刷装置にあっては、前記モータが、印刷する媒体を搬送するためのモータ、または媒体に対して印刷を施す印刷部を前記媒体に対して相対的に移動させるためのモータであっても良い。
===印刷装置の概要===
本発明に係るモータの過熱判定装置として、インクジェットプリンタ(印刷装置)に搭載された場合を例にとり説明する。まず、インクジェットプリンタ(印刷装置)の概要について説明する。
図1〜図4は、そのインクジェットプリンタ1を示したものである。図1は、そのインクジェットプリンタ1の外観を示す。図2は、そのインクジェットプリンタ1の内部構成を示す。図3は、そのインクジェットプリンタ1の搬送部を示す。図4は、そのインクジェットプリンタ1のシステム構成を示すブロック構成図である。
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された印刷用紙等の媒体Sを前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5および表示ランプ6が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の印刷紙のみならず、ロール紙などの連続した媒体にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
このインクジェットプリンタ1の内部には、図2に示すように、キャリッジ41が設けられている。このキャリッジ41は、所定の方向(図中、キャリッジ移動方向)に沿って相対的に移動可能に設けられたものである。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46と、が設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41を前記所定の方向に沿って相対的に移動させるための駆動源として機能する。また、タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるとともに、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転によってキャリッジ41を前記所定の方向に沿って相対的に移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41を前記所定の方向に沿って案内する。
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ41の移動方向と交差する方向に沿って搬送するための搬送ローラ17Aと、この搬送ローラ17Aを回転させる搬送モータ15とが設けられている。
一方、キャリッジ41には、各種インクを収容したインクカートリッジ48と、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21とが設けられている。インクカートリッジ48は、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容しており、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部49に着脱可能に装着されている。また、ヘッド21は、本実施形態では、媒体Sに対してインクを吐出して印刷を施す。このためにヘッド21には、インクを吐出するための多数のノズルが設けられている。このヘッド21のインクの吐出機構については、後で詳しく説明する。
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するためのクリーニングユニット30が設けられている。このクリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するために、ノズルからインクを吸い出す装置であり、ポンプモータ(図示外)により作動する。一方、キャッピング装置35は、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時など)に、ヘッド21のノズルを封止する。
次にこのインクジェットプリンタ1の搬送部の構成について説明する。この搬送部は、図3に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、搬送モータ15と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。これらのうち、搬送モータ15や搬送ローラ17A、排紙ローラ17Bなどは、本発明の搬送機構を構成している。
紙挿入口11Aは、媒体である媒体Sを挿入するところである。給紙モータ(図示外)は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sをインクジェットプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータ等で構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sを図中矢印A方向(ロール紙の場合は矢印B方向)にインクジェットプリンタ1の内部に自動的に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、搬送モータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて媒体Sを搬送モータ15まで搬送することができる。
給紙ローラ13により搬送された媒体Sは、紙検知センサ53に当接する。この紙検知センサ53は、給紙ローラ13と、搬送ローラ17Aとの間に設置されたもので、給紙ローラ13により給紙された媒体Sを検知するようになっている。
紙検知センサ53により検知された媒体Sは、プラテン14へと搬送される。プラテン14は、印刷中の媒体Sを支持する支持手段である。搬送モータ15は、媒体Sである例えば紙を搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってインクジェットプリンタ1内に搬送された媒体Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、搬送モータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、媒体Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって媒体Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した媒体Sをインクジェットプリンタ1の外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、搬送モータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、媒体Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって媒体Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
<システム構成>
次にこのインクジェットプリンタ1のシステム構成について説明する。このインクジェットプリンタ1は、図4に示すように、バッファメモリ122と、イメージバッファ124と、コントローラ126と、メインメモリ127と、EEPROM129とを備えている。バッファメモリ122は、コンピュータ装置140から送信された印刷データ等の各種データを受信して一時的に記憶する。また、イメージバッファ124は、受信した印刷データをバッファメモリ122より取得して格納する。また、メインメモリ127は、ROMやRAMなどにより構成される。
一方、コントローラ126は、メインメモリ127から制御用プログラムを読み出して、当該制御用プログラムに従ってインクジェットプリンタ1全体の制御を行う。本実施形態のコントローラ126は、キャリッジモータ制御部128と、搬送制御部130と、ヘッド駆動部132と、ロータリ式エンコーダ134と、リニア式エンコーダ51とを備えている。キャリッジモータ制御部128は、キャリッジモータ42の回転方向や回転数、トルクなどを駆動制御する。また、ヘッド駆動部132は、ヘッド21の駆動制御を行う。搬送制御部130は、搬送ローラ17Aを回転駆動する搬送モータ15など、搬送系に配置された各種駆動モータを制御する。
コンピュータ装置140から送られてきた印刷データは、一旦、バッファメモリ122に蓄えられる。ここで蓄えられた印刷データは、その中から必要な情報がコントローラ126により読み出される。コントローラ126は、その読み出した情報に基づき、リニア式エンコーダ51やロータリ式エンコーダ134からの出力を参照しながら、制御用プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132を各々制御する。
イメージバッファ124には、バッファメモリ122に受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動部132は、コントローラ126からの制御信号に従って、イメージバッファ124から各色成分の印刷データを取得し、この印刷データに基づきヘッド21に設けられた各色のノズルを駆動制御する。
また、コントローラ126には、紙検知センサ53から出力された、媒体Sを検知しているか否かを示す信号が入力される。これにより、コントローラ126は、紙検知センサ53が媒体Sを検知しているか否かを知ることができる。
なお、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、これらの他に、タイマー144を備えている。このタイマー144は、コントローラ126からの命令により時間計測を開始し、同じくコントローラ126からの命令により時間計測を終了する。タイマー144は、計測した経過時間をコントローラ126に伝達する。
<ヘッド>
図5は、ヘッド21の下面部に設けられたインクのノズルの配列を示した図である。ヘッド21の下面部には、同図に示すように、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯180からなるノズル群211Y、211M、211C、211Kが設けられている。
各ノズル群211Y、211M、211C、211Kの各ノズル♯1〜♯180は、媒体Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル群211Y、211M、211C、211Kは、ヘッド21の移動方向(キャリッジ移動方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯180には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(図示外)が設けられている。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯180から吐出される。
===印刷動作===
次に前述したインクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。ここでは、「双方向印刷」を例にして説明する。図6は、インクジェットプリンタ1の印刷動作の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下で説明される各処理は、コントローラ126が、メインメモリ127又はEEPROM129に格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従って制御することにより実行される。
コントローラ126は、コンピュータ装置140から印刷データを受信すると、その印刷データに基づき印刷を実行すべく、まず、給紙処理を行う(S102)。給紙処理は、印刷しようとする媒体Sをインクジェットプリンタ1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する処理である。コントローラ126は、給紙ローラ13を回転させて、印刷しようとする媒体Sを搬送ローラ17Aまで送る。コントローラ126は、搬送ローラ17Aを回転させて、給紙ローラ13から送られてきた媒体Sを印刷開始位置に位置決めする。
次に、コントローラ126は、キャリッジ41を媒体Sに対して相対的に移動させて媒体Sに対して印刷を施す印刷処理を実行する。ここでは、まず、キャリッジ41をガイドレール46に沿って一の方向に向かって移動させながら、ヘッド21からインクを吐出する往路印刷を実行する(S104)。コントローラ126は、キャリッジモータ制御部128を介してキャリッジモータ42を駆動してキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出する。ヘッド21から吐出されたインクは、媒体Sに到達してドットとして形成される。
このようにして印刷を行った後、次に、媒体Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行する(S106)。この搬送処理では、コントローラ126は、搬送制御部130を介して、搬送モータ15を駆動して搬送ローラ17Aを回転させて、媒体Sをヘッド21に対して相対的に搬送方向に所定量だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド21は、先ほどの印刷した領域とは異なる領域に印刷をすることが可能になる。
このようにして搬送処理を行った後、排紙すべきか否か排紙判断を実行する(S108)。ここで、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。一方、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、復路印刷を実行する(S110)。この復路印刷は、キャリッジ41をガイドレール46に沿って先ほどの往路印刷とは反対の方向に移動させて印刷を行う。ここでも、コントローラ126は、キャリッジモータ制御部128を介して、キャリッジモータ42を先ほどとは逆に回転駆動させてキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出し、印刷を施す。
復路印刷を実行した後、搬送処理を実行し(S112)、その後、排紙判断を行う(S114)。ここで、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、ステップS104に戻って、再度往路印刷を実行する(S104)。一方、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。
排紙処理を行った後、次に、印刷終了か否かを判断する印刷終了判断を実行する(S118)。ここでは、次にコンピュータ装置140から印刷データに基づき、次に印刷すべき媒体Sがないかどうかチェックする。ここで、次に印刷すべき媒体Sがある場合には、ステップS102に戻り、再び給紙処理を実行して、印刷を開始する。一方、次に印刷すべき媒体Sがない場合には、印刷処理を終了する。
===搬送モータの駆動制御===
<搬送制御部の機能>
搬送モータ15の駆動制御は、搬送制御部130により行われる。搬送制御部130は、コントローラ126からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ15を駆動させる。搬送モータ15は、指令された駆動量に応じて搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bとを回転させる。これにより、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bとが回転して、媒体Sは所定の搬送量分だけ搬送される。媒体Sの搬送量は、搬送ローラ17Aの回転量に応じて定まる。したがって、搬送ローラ17Aの回転量が検出できれば、媒体Sの搬送量も検出可能である。ここでは、搬送ローラ17Aの回転量を検出するために、ロータリ式エンコーダ134が設けられている。
<ロータリ式エンコーダ>
図7は、ロータリ式エンコーダ134の構成を説明した説明図である。ロータリ式エンコーダ134は、ロータリ式エンコーダ符号板402と検出部404とを備えている。
このロータリ式エンコーダ符号板402は、同図に示すように、円盤状に形成されている。ロータリ式エンコーダ符号板402の外周縁部には、所定の間隔置きに小さなスリット406が多数形成されている。ロータリ式エンコーダ符号板402は、媒体Sを搬送する搬送ローラ17Aの軸端部に一体的に設けられた大歯車408に隣接して一体的に設けられている。大歯車408は、小歯車410を介して搬送モータ15に接続されていて、搬送モータ15の回転駆動によって、小歯車410を介して回転する。これにより、搬送ローラ17Aが搬送モータ15の回転駆動によって回転し、ロータリ式エンコーダ符号板402も、大歯車408および搬送ローラ17Aと同期して回転する。一方、検出部404は、ロータリ式エンコーダ符号板402に隣接して設けられたもので、ロータリ式エンコーダ符号板402の回転量を検出する。
<検出部の構成>
図8は、ロータリ式エンコーダ134の検出部404の構成を詳しく示したものである。検出部404は、発光ダイオード412と、コリメータレンズ414と、検出処理部416とを備えている。検出処理部416は、複数(例えば4個)のフォトダイオード418と、信号処理回路420と、例えば2個のコンパレータ422A、422Bとを有している。
発光ダイオード412の両端に抵抗を介して電圧Vccが印加されると、発光ダイオード412から光が発せられる。この光はコリメータレンズ414により平行光に集光されてロータリ式エンコーダ符号板402を通過する。ロータリ式エンコーダ符号板402には、所定の間隔(例えば1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリット406が設けられている。
ロータリ式エンコーダ符号板402を通過した平行光は、図示しない固定スリットを通って各フォトダイオード418に入射し、電気信号に変換される。4個のフォトダイオード418から出力される電気信号は信号処理回路420において信号処理され、信号処理回路420から出力される信号はコンパレータ422A、422Bにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。コンパレータ422A、422Bから出力されるパルスENC−A、ENC−Bがロータリ式エンコーダ134の出力信号となる。
図9A及び図9Bは、搬送モータ15の正転時及び逆転時におけるロータリ式エンコーダ134の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。図9Aは、搬送モータ15が正転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。図9Bは、搬送モータ15が反転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。
図9A及び図9Bに示すように、搬送モータ15の正転時及び逆転時のいずれの場合も、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。搬送モータ15が正転しているとき、すなわち、媒体Sが図7に示すように搬送方向に搬送されているときには、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が進む。一方、搬送モータ15が反転しているとき、すなわち、媒体Sが搬送方向とは逆方向に搬送されているときには、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。各パルスの1周期Tは、搬送ローラ17Aがロータリ式エンコーダ符号板402のスリット406の間隔(例えば、1/1440インチ(1インチ=2.54cm))分だけ回転する時間に等しい。
そして、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスENC−A、ENC−Bの各々の立ち上がりエッジ、立ち上がりエッジがシステムコントローラ126により検出され、その検出されたエッジの個数が計数されれば、システムコントローラ126は、その計数値に基づいて搬送モータ15の回転位置を演算することができる。この計数は、搬送モータ15が正転しているときは、1個のエッジが検出されると「+1」を加算し、逆転しているときは、1個のエッジが検出されると「−1」を加算する。パルスENC−A及びENC−Bの各々の周期は、ロータリ式エンコーダ符号板402の、あるスリット406が検出部404を通過してから、次のスリット406が検出部404を通過するまでの時間に等しく、かつパルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。このため、上記計数のカウント値「1」はロータリ式エンコーダ符号板402のスリット406の間隔の1/4に対応する。これにより、上記計数値にスリット406の間隔の1/4を乗算すれば、その乗算値に基づいて、計数値が「0」に対応する回転位置からの搬送モータ15の搬送量を求めることができる。このとき、ロータリ式エンコーダ134の解像度はロータリ式エンコーダ符号板402のスリット406の間隔の1/4となる。
<搬送制御部の構成>
図10は、搬送制御部130の回路構成を示したブロック構成図である。この搬送制御部130は、同図に示すように、位置演算部431と、減算器432と、ゲイン433と、速度演算部434と、減算器435と、比例要素436Aと、積分要素436Bと、微分要素436Cと、加算器437と、PWM回路438と、加速制御部439A、タイマ439Bとを有する。
位置演算部431は、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスのエッジを検出し、その個数をカウントし、このカウント値に基づき搬送モータ15の回転位置を演算する。位置演算部431は、2つのパルス信号の比較処理から搬送モータ15の正転・逆転を認知し、1個のエッジが検出された時に正転・逆転に応じてインクリメント・デクリメントするように計数処理する。
減算器432は、コントローラ126から送られてくる目標位置と、位置演算部431により検出された検出位置との位置偏差を演算する。ゲイン433は、減算器432から出力される位置偏差にゲインKpを乗算し、目標速度を出力する。ゲインKpは、位置偏差に応じて決定される。なお、このゲインKpの値と位置偏差との関係を示すテーブルは、メインメモリ127に格納されている。
速度演算部434は、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスに基づいて、搬送モータ15の回転速度を演算する。すなわち、速度演算部434は、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスのパルス周期を計測し、このパルス周期に基づいて搬送モータ15の回転速度を演算する。
減算器435は、ゲイン433から出力される目標速度と、速度演算部434により検出された検出速度との速度偏差を演算する。
比例要素436Aは、速度偏差に定数Gpを乗算し、比例成分を出力する。積分要素436Bは、速度偏差に定数Giを乗算したものを積算し、積分成分を出力する。微分要素436Cは、現在の速度偏差と、1つ前の速度偏差との差に定数Gdを乗算し、微分成分を出力する。比例要素436A、積分要素436B及び微分要素436Cの演算は、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスの1周期毎に行われる。
比例要素436A、積分要素436B及び微分要素436Cから出力される信号値は、それぞれの演算結果に応じたデューティDXを示す。ここで、デューティDXは、例えばデューティパーセントが(100×DX/2000)%であることを示す。この場合、DX=2000であれば、デューティ100%を示し、DX=1000であれば、デューティ50%であることを示す。
加算器437は、比例要素436Aの出力と、積分要素436Bの出力と、微分要素436Cの出力とを加算する。この加算結果は、デューティ信号として、PWM回路438に送られる。PWM回路438は、加算器437の加算結果に応じた指令信号を生成する。ドライバ440は、この指令信号に基づいて搬送モータ15を駆動する。ドライバ440は、例えば複数個のトランジスタを備えており、PWM回路438からの指令信号に基づいて、トランジスタをオン・オフさせることで、搬送モータ15に電圧を印加する。
また、加速制御部439A及びタイマ439Bは、搬送モータ15の加速制御時に用いられる。タイマ439Bは、コントローラ126から送られてくるクロック信号に基づいて、所定時間毎にタイマ割込信号を発生する。加速制御部439Aは、タイマ割込信号を受ける毎に所定のデューティDXPを積算し、積算結果としてデューティ信号をPWM回路438に出力する。
搬送モータ15を加速駆動するとき、PWM回路438は、加速制御部439Aから出力されるデューティ信号に基づいて、指令信号を搬送モータ15に出力し、搬送モータ15を制御する。搬送モータ15を定速駆動するとき、及び、搬送モータ15を減速するとき、PWM回路438は、加算器437から出力されるデューティ信号に基づいて、指令信号を搬送モータ15に出力し、搬送モータ15をPID制御する。
<モータの駆動方法>
図11Aは、PWM回路438に入力されるデューティ信号の時間変化のグラフである。図11Bは、搬送モータ15の速度変化のグラフである。以下、これらの図を用いて、搬送モータ15の駆動について説明する。
搬送モータ15が停止している時に、搬送モータ15を起動させる起動指令信号がコントローラ126から搬送制御部130へ送られると、信号値がDX0である起動初期デューティ信号が加速制御部439AからPWM回路438へ送られる。この起動初期ディユーティ信号は、起動指令信号とともにコントローラ126から加速制御部439Aへ送られてくる。そして、この起動初期ディユーティ信号は、PWM回路438によって、信号値DX0に応じた指令信号に変換されて、搬送モータ15の起動が開始される。
搬送制御部130が起動指令信号を受信した後、所定の時間ごとにタイマ439Bからタイマ割込信号が発生される。加速制御部439Aは、タイマ割込信号を受信する毎に、起動初期デューティ信号の信号値DX0に所定のデューティDXPを積算し、積算されたデューティを信号値とするデューティ信号をPWM回路438に送る。このデューティ信号は、PWM回路438によって、その信号値に応じた指令信号に変換されて、搬送モータ15の回転速度は上昇する。このため加速制御部439AからPWM回路438に送られるデューティ信号の値は、階段状に上がっていく。
加速制御部439Aにおけるデューティの積算処理は、積算されたデューティが所定のデューティDXSになるまで行われる。時刻t1において積算されたデューティが所定値DXSとなると、加速制御部439Aは積算処理を停止し、以後PWM回路438に一定のデューティDXSを信号値とするデューティ信号を送る。
そして、搬送モータ15が所定の回転速度になると(時間t2参照)、加速制御部439Aは、PWM回路438へ出力するデューティ信号を減少させて、搬送モータ15に印加される電圧のデューティパーセントを減少させるよう制御する。このとき、搬送モータ15の回転速度は更に上昇する。そして、時間t3になると、PWM回路438は加算器437の出力を選択し、PID制御が行われる。PID制御が開始される時点(t3)において、積分要素436Bの積分値が適当な値に設定されており、積分要素436Bの出力値が所定の値になる。
PID制御が開始されると、搬送制御部130は、目標回転位置と、ロータリ式エンコーダ134の出力から得られる実際の回転位置との位置偏差にゲインKpを乗算して目標回転速度を算出する。そして、搬送制御部130は、この目標回転速度と、ロータリ式エンコーダ134の出力から得られる実際の回転速度との速度偏差に基づいて、比例要素436A、積分要素436B及び微分要素436Cを用いて比例成分、積分成分及び微分成分の演算を行い、これらの演算結果の和に基づいて、搬送モータ15の制御を行う。尚、上記比例、積分及び微分演算は、例えば、ロータリ式エンコーダ134の出力パルスENC−Aの立ち上がりエッジに同期して行われる。これにより、搬送モータ15の回転速度は、時刻t4において、所望の回転速度となるように制御される。
搬送モータ15が目標回転位置に近づくと(時刻t5)、位置偏差が小さくなるから目標回転速度も小さくなる。このため速度偏差、即ち減算器435の出力が負になり、搬送モータ15は減速し、時刻t6に停止する。
===モータの過熱判定===
このような搬送モータ15が連続して駆動された場合に、搬送モータ15が発熱して温度が上昇し、高温状態になることがある。このように搬送モータ15が高温状態になると、例えば、巻線が焼き切れるなどの不具合が生じることがある。そこで、本実施形態のインクジェットプリンタ1にあっては、このような不具合が生じるのを防ぐために、搬送モータ15が高温状態になる前に、過熱状態にあるかどうかを判定する過熱判定装置を備えている。
<過熱判定の概要>
この過熱判定装置は、搬送モータ15の駆動量を逐次積算して、その積算値が所定値に達したか否かをチェックすることで、搬送モータ15が過熱状態にあるか否か判定する。この過熱判定装置により搬送モータ15が過熱状態にあると判定されたときには、その搬送モータ15に対して発熱制限制御を実行する。この発熱制限制御とは、搬送モータ15に対して必要に応じて、搬送モータ15が放熱するための冷却時間を持たせる制御のことである。具体的には、搬送モータ15が1回駆動される毎に、余計に待機時間を持たせる。これにより、搬送モータ15が次回駆動されるまでの間に、搬送モータ15の温度を若干下げることができ、次回駆動されても温度が上昇し過ぎるのを防ぐことができる。このことから、このような発熱制限制御を実行することによって、搬送モータ15の温度上昇を抑制しつつ、印刷処理を続行することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ1では、搬送モータ15の駆動量に関する情報の取得と、搬送モータ15の駆動量を逐次積算して積算値を求める演算と、その求められた積算値が所定値に達したか否かのチェックとをコントローラ126により行う。すなわち、本実施形態のコントローラ126は、本発明の情報取得部、演算部および判定部に相当する。
<実際の過熱判定>
図12は、実際に搬送モータ15が駆動されたときの制御状態の一例を簡単に説明したものである。インクジェットプリンタ1が印刷処理を開始すると、媒体Sを搬送するために搬送モータ15が駆動される。搬送モータ15が駆動されると、その駆動毎にその駆動量(ここでは、搬送モータ15の駆動量をステップ数という単位で表わす。以下、「PFstep」ともいう)が逐次積算される。コントローラ126は、搬送制御部130に向けて送信した搬送指令にて指令した搬送モータ15の搬送量を逐次積算する。つまり、コントローラ126は、搬送制御部130に向けて搬送量として200ステップ分の搬送指令を送信した場合には、200ステップを加算する。さらに、コントローラ126が、搬送制御部130に向けて駆動量として300ステップ分の搬送指令を送信した場合には、既存の積算値(現在は、「200」)300ステップ分を加算する。これにより、積算値は、「500」となる。このようにしてコントローラ126は、搬送制御部130に指令した搬送モータ15の駆動量を逐次積算する。なお、本実施形態では、コントローラ126により算出される積算値を「Psum」という。
図13は、コントローラ126による搬送モータ15の駆動量PFstep(駆動ステップ数)の積算の一例を示したものである。同図に示すように、搬送モータ15が「200ステップ」駆動した後、次に「150ステップ」駆動すると、積算値Psumは「350」となる。さらに搬送モータ15が「250ステップ」駆動すると、積算値Psumは「600」となる。次に搬送モータ15が「100ステップ」駆動すると、積算値Psumは「700」となる。そして、搬送モータ15が「50ステップ」駆動すると、積算値Psumは「750」となる。このように搬送モータ15が駆動する都度、その駆動量PFstepが積算値Psumに逐次積算される。
印刷処理が進むと、コントローラ126により算出される積算値Psumが徐々に増加する。ここで、時刻t1において、積算値Psumが所定値(ここでは、「Pduty」という)に達すると、コントローラ126は、搬送モータ15が過熱状態にあると判定して、搬送モータ15に対して搬送制御部130を通じて発熱制限制御を開始する。この発熱制限制御は、前述したように、搬送モータ15が1回駆動される毎に、必要に応じて余分に待機時間を持たせる制御のことである。これにより、搬送モータ15の温度上昇を抑制しつつ、搬送モータ15を継続して駆動する。
図14は、搬送モータ15が発熱制限制御された場合と、発熱制限制御されていない通常時の場合の搬送モータ15の動作状況を説明したものである。図14Aは、発熱制限制御されていない通常時の場合を示し、図14Bは、発熱制限制御された場合を示す。
発熱制限制御されていない場合には、図14Aに示すように、搬送モータ15は、印刷処理の際に、キャリッジモータ42と交互に駆動される。つまり、搬送モータ15が駆動されているときには、キャリッジモータ42の駆動が停止され、また、搬送モータ15の駆動が停止されているときには、キャリッジモータ42が駆動される。キャリッジモータ42の駆動が終了したときには、直ちに搬送モータ15の駆動が開始される。
一方、発熱制限制御された場合には、図14Bに示すように、搬送モータ15は、キャリッジモータ42の駆動が終了した場合であっても、直ちに搬送モータ15の駆動が開始されない。つまり、搬送モータ15は、キャリッジモータ42の駆動期間が終了した後も、しばらくの間、駆動が見送られて、所定の待機時間が経過してから、駆動が再開される。これは、過熱状態に陥った搬送モータ15に十分な冷却時間を与えるためで、搬送モータ15が次回駆動時に、温度が上昇し過ぎないようにするための措置である。これにより、搬送モータ15の温度上昇を抑制しつつ搬送モータ15を駆動して、印刷処理を続行することができる。このようにして搬送モータ15の温度上昇を抑制しながら、印刷処理を完遂する。
そして、図12に示すように、時刻t2にて印刷処理が終了した後、しばらくの間、ユーザーから印刷命令がなく、印刷待機状態が続いた場合には、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動量PFstepの積算値Psumを時間経過とともに徐々に減らす。ここでは、コントローラ126は、所定の時間Δtmが経過するごとに、積算値Psumを所定値ΔPmずつ減算する演算処理を実行する。このようにしてコントローラ126は、ユーザーから新たな印刷命令があるまでの間、積算値Psumを所定値ΔPmずつ徐々に減らす。
ここで、時刻t3にて、ユーザーからインクジェットプリンタ1の電源をOFFする命令があった場合には、コントローラ126は、電源をOFFする際に、そのときの積算値Psumをメインメモリ127等の適宜な記憶部に記憶する。そして、インクジェットプリンタ1の電源がOFFになっている間、積算値Psumを記憶して保持しておく。
そして、ユーザーにより時刻t4にて、再びインクジェットプリンタ1の電源が入れられたときには、コントローラ126は、メインメモリ127等から記憶している積算値Psumを読み込む。そして、再度、印刷処理が開始されたときには、前述した場合と同様に、搬送モータ15の駆動量PFstepを、読み出した積算値Psumに逐次積算する。これにより、図12に示すように、搬送モータ15の駆動量PFstepの積算値Psumが再び徐々に増加し始める。そして、時刻t5にて再び、積算値Psumが所定値Pdutyに達すると、コントローラ126は、搬送モータ15に対して搬送制御部130を通じて発熱制限制御を開始し、搬送モータ15が1回駆動される毎に、必要に応じて余分に待機時間が設定される。これにより、搬送モータ15の温度上昇を抑制しつつ、搬送モータ15を継続して駆動する。
さらに、時刻t6にて印刷処理が終了し、その後、しばらくの間、ユーザーから印刷命令がなく待機状態が続くと、コントローラ126は、積算値Psumを時間経過とともに徐々に減らす。ここでも、前述した場合と同様に、所定の時間Δtmが経過するごとに、所定値ΔPmずつ積算値Psumが減らされる。
そして、時刻t7にて再びユーザーから印刷命令があり、印刷処理が開始されると、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動量PFstepを積算値Psumに逐次積算し、積算値Psumが再度徐々に増加し始める。その後、時刻t8にて再び積算値Psumが所定値Pdutyに達すると、コントローラ126により、再び搬送モータ15に対して発熱制限制御が実施される。
<コントローラの処理>
図15は、コントローラ126の積算処理手順を説明するフローチャートである。コントローラ126は、まずはじめに、積算値Psumに対して初期値をセットする(S202)。この初期値は、例えば、「ゼロ」であってもよく、また、メインメモリ127等に記憶された電源OFFの前の積算値Psumであっても良い。次に、コントローラ126は、搬送制御部130に向けて搬送指令を送る際に搬送モータ15の駆動量PFstepに関する情報を取得したかどうかチェックする(S204)。ここで、駆動量PFstepに関する情報を取得していない場合には、ステップS204へと戻り、再度、駆動量PFstepに関する情報を取得したかどうかチェックする(S204)。このチェックは、駆動量PFstepに関する情報を取得するまで行われる。
搬送モータ15の駆動量PFstepに関する情報を取得した場合には、コントローラ126は、次にステップS206へと進み、取得した駆動量PFstepを積算値Psumに加算する(S206)。この加算処理を終了した後、次に、コントローラ126は、演算により得られた新たな積算値Psumが、過熱状態か否かの判定基準となる所定値Pdutyに到達したか否かをチェックする(S208)。ここで、新たな積算値Psumが、所定値Pdutyに到達していた場合には、コントローラ126は、搬送モータ15が過熱状態にあると判定して、搬送モータ15に対して搬送制御部130を通じて発熱制限制御を開始する(S210)。その後、コントローラ126は、積算処理を終了する。
一方、新たな積算値Psumが、所定値Pdutyに到達していなかった場合には、コントローラ126は、搬送モータ15が未だ過熱状態にはないと判定して、ステップS204へと戻り、再度、駆動量PFstepの取得を試みる(S204)。
<所定値Pdutyの設定>
搬送モータ15が過熱状態にあるか否かの判断基準となる所定値Pdutyの設定方法について説明する。ここでは、実際に搬送モータ15を駆動した場合を想定したシミュレーションを実行して、そのシミュレーションの結果に基づき所定値Pdutyを決定する。このシミュレーションにおいては、判定対象となる搬送モータ15が実際に駆動された場合の発熱量を求める。ここでは、搬送モータ15が最も過酷な条件(ワースト条件)にて駆動された場合について調べる。この場合の搬送モータ15の発熱量から搬送モータ15の上昇温度を算出して、搬送モータ15を安全に使用できる限界の温度(以下、「制限温度」ともいう)に到達するまでの搬送モータ15の総駆動量を調査する。
搬送モータ15の発熱量は、搬送モータ15への負荷の大きさや、搬送モータ15に流れる実効電流、搬送モータ15の巻線の温度特性などを考慮して算出する。また、最も過酷な条件としては、キャリッジモータ42の駆動時間がきわめて短い場合、例えば、縦線を描画する場合等のキャリッジ移動方向への印刷幅が非常に短い場合などを想定して設定する。搬送モータ15の総駆動量は、搬送モータ15の温度が制限温度に達するまでにかかる搬送モータ15の駆動時間を求め、その駆動時間から算出する。本実施形態では、ここで算出された搬送モータの総駆動量のことを所定値Pdutyと呼ぶ。
図16は、所定値Pdutyの求め方の一例を説明するためのものである。実効電流410mA(260gcm相当)で制限温度(110℃)に到達するまでの時間が、1000sとする。A4サイズの用紙1枚当たりの印刷に要する搬送モータ15の駆動量が15000ステップで、その印刷時間が10s(印刷処理速度:6ppm)であるとすると、搬送モータ15が制限温度に到達するまでに印刷し得る用紙の枚数は、1000s/10sで、およそ100枚となる。このことから、所定値Pdutyは、15000×100となり、1500000の値が得られる。
===従来との相違点===
従来は、搬送モータ15がしばらくの間駆動されなかった場合には、積算値Psumが徐々に減算されたり、また搬送モータ15が長時間にわたり駆動されなかった場合には、積算値Psumがゼロにリセットされるなどして、搬送モータ15の温度状態に合うように積算値Psumが減らされていたが、搬送モータ15が非常に短い時間停止した場合、例えば、キャリッジモータ42が駆動している間の非常に短い時間停止した場合などについては、積算値Psumに対して何ら対応がとられていなかった。
このため、搬送モータ15が過熱状態に陥っていないにもかかわらず、積算値Psumが所定値Pdutyに達してしまい、搬送モータ15が過熱状態にあると判定してしまうことがあった。搬送モータ15が過熱状態にあると判定されると、発熱制限制御が実行され、搬送モータ15に冷却するために余計に待機時間が生じ、印刷時間が長くなり、印刷処理が遅れるといった不具合が発生する場合があった。
本実施形態にかかるインクジェットプリンタ1にあっては、このような不具合を解決するために、キャリッジモータ42が駆動されている間に搬送モータ15が停止した場合についても、その停止時間に応じて積算値Psumを減らす処理を行える。つまり、搬送モータ15が停止する都度、その停止時間に応じた値(本発明の減算値に相当。以下、本実施形態では、「Psub」ともいう)を積算値Psumから減算する。なお、このとき、搬送モータ15の停止時間に応じた値「Psub」を積算値Psumから減算する処理はコントローラ126により行う。
===処理の概要===
図17は、この処理の概要を説明したものである。コントローラ126は、搬送モータ15が駆動される前に、その駆動量PFstepの情報を取得して、その駆動量PFstepを積算値Psumに加算する。また、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動が停止されると、その停止時間を計測して、その停止時間に応じた減算値Psubを積算値Psumから減算する。コントローラ126は、このような減算処理を、搬送モータ15の駆動が停止される都度、実行する。そして、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動停止期間が終了し、搬送モータ15が再度駆動され始められた後、速やかに減算値Psubを積算値Psumから減算する。
なお、搬送モータ15の停止時間の計測には、図4に示すタイマー144が用いられる。コントローラ126は、搬送モータ15の駆動が停止すると、直ちにタイマー144を起動して時間計測を開始する。そして、キャリッジモータ42の駆動が終了し、搬送モータ15が再び駆動され始めると、コントローラ126は、タイマー144による時間計測を終了し、搬送モータ15が停止している間の時間をタイマー144から取得する。そして、コントローラ126は、その取得した時間に応じた減算値Psubを積算値Psumから減算する。
<コントローラの減算処理>
図18は、このときのコントローラ126の処理手順の一例を示したものである。コントローラ126は、まず、搬送モータ15の駆動が停止したか否かをチェックする(S302)。ここで、搬送モータ15の駆動が停止していない場合には、ステップS302へと戻り、再度、搬送モータ15の駆動が停止したか否かをチェックする。このチェックは、搬送モータ15の駆動が停止するまで行われる。
搬送モータ15の駆動が停止したことが確認された場合には、コントローラ126は、ステップS304へと進み、タイマー144を起動して直ちに時間計測を開始する(S304)。次に、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動が開始されたか否かをチェックする(S306)。ここで、搬送モータ15の駆動が開始されていない場合には、ステップS306へと戻り、再度、搬送モータ15の駆動が開始されたか否かをチェックする。このチェックは、搬送モータ15の駆動が開始されるまで行われる。
搬送モータ15の駆動が開始されたことが確認された場合には、コントローラ126は、ステップS308へと進み、タイマー144の時間計測を停止させる(S308)。これにより、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動が停止していた時間を取得する(S310)。
次に、コントローラ126は、搬送モータ15の停止時間に基づき、当該停止時間に対応する減算値Psubを取得する。ここで、コントローラ126は、減算値Psubを搬送モータ15の停止時間から演算により求めるようにしてもよく、また、搬送モータ15の停止時間と減算値Psubとが対応付けられたテーブルから減算値Psubを取得するようにしてもよい。
次に、コントローラ126は、取得した減算値Psubを積算値Psumから減算する演算処理を行う(S314)。これにより、搬送モータ15の停止時間に応じて積算値Psumを減らすことができる。このようにして減算値Psubを減らした後、コントローラ126は、ステップS316へと進み、印刷処理が終了したか否かを調べる。ここで、印刷処理が終了していなかった場合には、コントローラ126は、再び、ステップS302へと戻り、再度、搬送モータ15の駆動が停止したか否かをチェックする(S302)。一方、印刷処理が終了した場合には、コントローラ126は、搬送モータ15の停止時間に応じた積算値Psumの減算処理を終了する。
===減算値Psub===
積算値Psumから減算する減算値Psubについては、搬送モータ15の停止時間に応じた値であれば、どのような値であっても構わない。しかしながら、本実施形態にあっては、なるべく適切な減算値Psubを積算値Psumから減算するために、搬送モータ15の停止時間以外に、搬送モータ15の駆動モードも考慮して、その駆動モードに応じた減算値Psubを積算値Psumから減算する。
図19は、コントローラ126が減算値Psubを取得するために参照するテーブルの一例を示したものである。このテーブルは、搬送モータ15の停止時間と、搬送モータ15の駆動モードとに応じて設定された減算値Psubを示すテーブルである。
減算値Psubは、搬送モータ15の停止時間Tmに応じて3つに区分されている。すなわち、搬送モータ15の停止時間Tmが、「100(ms)未満」の場合と、「100(ms)以上、140(ms)未満」の場合と、「140(ms)以上」の場合との3つである。各区分ごとに、設定される減算値Psubが異なる。なお、「100(ms)以上、140(ms)未満」の場合は、例えば、「はがき」サイズほどの用紙に印刷をする場合などがある。また、「140(ms)以上」の場合には、「A4」サイズほどの用紙に印刷をする場合などがある。
さらに、ここでは、搬送モータ15の駆動モード毎に減算値Psubが異なる。駆動モードについては、「PS0」〜「PS6」の7種類の駆動モードがある。各駆動モード「PS0」〜「PS6」は、搬送モータ15が駆動されるときの駆動量PFstepに応じて設定されている。ここでは、搬送モータ15の駆動量PFstepが「1〜25(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS6」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「25〜50(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS5」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「50〜100(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS4」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「100〜150(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS3」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「150〜200(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS2」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「200〜250(step)」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS1」が設定される。また、搬送モータ15の駆動量PFstepが「250(step)以上」の場合には、搬送モータ15の駆動モードとして「PS0」が設定される。
<駆動モード>
各駆動モード「PS0」〜「PS6」は、それぞれ搬送モータ15を駆動するときの搬送モータ15の制御用プロファイルが異なる。図20は、各駆動モード「PS0」〜「PS6」別の制御用プロファイルの一例を示したものである。各駆動モード「PS0」〜「PS6」は、それぞれ搬送モータ15を駆動するときの加速時の加速度、定速時の速度および減速時の加速度のうちの少なくともいずれか1つが異なっている。
駆動モード「PS0」の場合には、駆動量PFstepが「250(step)以上」と非常に大きいことから、同図図中の左上に示すように、搬送モータ15を高速で駆動するために、加速時には、搬送モータ15に対して大きな駆動電流を付与して、搬送モータ15の速度が短時間で高速域に達するように制御する。また、減速時には、高速域から短時間で停止できるようにするために、逆方向の駆動電流を付与して、急速に減速できるように制御する。
一方、駆動モード「PS1」の場合には、駆動量PFstepが「200〜250(step)」と、「PS0」の場合に比べて若干少なくなることから、駆動モード「PS0」ほど高速で駆動することはなく、また、搬送モータ15の駆動電流も小さい。
また、駆動モード「PS2」についても同様に、駆動量PFstepが「150〜200(step)」と少なくなることから、設定される駆動速度も遅くなり、駆動電流も小さくなる。
さらに、他の駆動モード「PS3」〜「PS6」についても同様に、駆動量PFstepが徐々に少なくなることから、設定される駆動速度も徐々に遅くなり、駆動電流も徐々に小さくなる。
<減算値Psubが異なる理由>
このように減算値Psubを駆動モード毎に異なるのには、次の理由がある。図21は、搬送モータ15が制限温度に達するまでに印刷可能な用紙の枚数(以下、制限温度到達枚数という)を各駆動モードPS0〜PS6別にそれぞれシミュレーションを実行して調べてまとめたグラフである。図21Aは、駆動モードPS0、PS1、PS2、PS3についてまとめたものである。図21Bは、駆動モードPS3、PS4、PS5、PS6についてまとめたものである。なお、ここでは、制限温度到達枚数については、A4サイズの用紙に印刷をした場合に換算して表している。また、制限温度到達枚数については、先に説明したように、搬送モータ15を安全に使用できる限界の温度(制限温度)に到達するまでの搬送モータ15の印刷時間から求めることができる。また、各駆動モードPS0〜PS6の間で対比をし易くするために、駆動モータPS3の場合の結果を図21Aおよび図21Bの双方にそれぞれ記載してある。
駆動モードPS0、PS1、PS2、PS3においては、図21Aに示すように、搬送モータ15の停止時間が長くなればなるほど、それぞれ制限温度到達枚数が増えている。一方、各駆動モードPS0〜PS3の間については、駆動モードPS0における制限温度到達枚数が最も多く、駆動モードPS3における制限温度到達枚数が最も少ない。これは、駆動モードPS0、PS1、PS2は、駆動モードPS3に比べて駆動速度が速いため、制限温度に到達するまでに印刷し得る用紙の枚数が多くなっているものと考えられる。
一方、駆動モードPS3、PS4、PS5、PS6においては、図21Bに示すように、駆動モードPS0、PS1、PS2の場合と同様に、搬送モータ15の停止時間が長くなればなるほど、それぞれ制限温度到達枚数が増えている。しかし、各駆動モードPS3〜PS6の間については、駆動モードPS6における制限温度到達枚数が最も多く、駆動モードPS3における制限温度到達枚数が最も少なくなっている。これは、駆動モードPS4、PS5、PS6は、1回の駆動量PFstepが小さい分だけ、搬送モータ15が停止する回数が増え、これにより、制限温度に到達するまでに印刷し得る用紙の枚数が多くなっているものと考えられる。
また、駆動モードPS0、PS1、PS2、PS3に比べて、駆動モードPS4、PS5、PS6の方が、グラフの傾きが大きくなっているのは、1回の駆動量PFstepが小さい分だけ、搬送モータ15が停止する回数が増え、これにより、搬送モータ15の停止時間が長くなればなるほど、制限温度到達枚数が増えたものと考えられる。
このように各駆動モードPS0〜PS6毎に、制限温度到達枚数が異なる。特に、他の駆動モードよりも駆動量PFstepが多い場合に、必ずしも制限温度到達枚数が多くなるわけではなく、減算値Psubを各駆動モードPS0〜PS6毎に個別に設定する必要がある。
<減算値Psubの求め方>
次に、減算値Psubの求め方について詳しく説明する。図22は、各駆動モード毎に停止時間別に制限温度到達枚数を設定した場合の一例である。ここでは、より高い安全性を確保するために、各制限温度到達枚数が安全側、即ち実際のシミュレーション結果よりも少ない側に設定されている。なお、制限温度到達枚数の求め方については、ここでは先に説明した方法を利用している。
まず、基準となる駆動条件を決める。ここでは、同図に示すように、駆動モードPS3において、モータ停止時間Tmが「Tm<100(ms)」の場合の制限温度到達枚数が、「100枚」と最も少ないことから、この駆動条件を基準として各減算値Psubを求める。
ここで、駆動モードPS0において、モータ停止時間Tmが「Tm<100(ms)」の場合の減算値Psubを求めるとする。制限温度到達枚数は「480(枚)」である。A4一枚を印刷するときの搬送モータの駆動量PFstepが580(mm)であり、この制限温度到達枚数を搬送モータ15の総駆動ステップ数に換算すると次のようになる。
480(枚)×580(mm)/25.4(インチ換算)×720(dpi)
=7891653(step)…………(1)
なお、ここでは、駆動ステップ数として、解像度720(dpi)で印刷する場合を想定して換算している。
一方、基準となる駆動モードPS3において、モータ停止時間Tmが「Tm<100(ms)」の場合における搬送モータの総駆動ステップ数を求めると、次のようになる。
100(枚)×580(mm)/25.4(インチ換算)×720(dpi)
=1644094(step)…………(2)
なお、(2)の値は、所定値Pdutyとなる。
(1)の値と(2)の値との差分を求めると、6247559(step)となる。この差分から、駆動モードPS0において、モータ停止時間Tmが「Tm<100(ms)」の場合の増加率を求めると、6247559/7891653で、増加率0.79が得られる。
この増加率0.79と、駆動モードPS0における最小駆動量250(step)とを乗算する。その結果、0.79×250=197という値が得られる。これにより得られた値を、図19のPsubテーブルに示すように、駆動モードPS0において、モータ停止時間Tmが「Tm<100(ms)」の場合の減算値Psubとして設定する。
また、駆動モードPS2において、モータ停止時間が「140≦Tm」の場合について検討する。制限温度到達枚数は「374(枚)」であることから、この場合の搬送モータの総駆動ステップ数は、次のようになる。
374(枚)×580(mm)/25.4(インチ換算)×720(dpi)
=6148913(step)…………(3)
(3)の値と、基準となる(2)の値との差分を求めると、4504819(step)となる。この差分から増加率を求めると、4504819/6148913で、増加率約0.73が得られる。この増加率0.73と、駆動モードPS2における最小駆動量150(step)とを乗算すると、0.73×150=109となり、この値を、図19のPsubテーブルに示すように、駆動モードPS2において、モータ停止時間Tmが「140≦Tm」の場合の減算値Psubとして設定する。
このようにして図22に示す制限温度到達枚数から、各駆動モードPS0〜PS6の各モータ停止時間における減算値Psubを求めて、図19に示すようなPsubテーブルを完成させる。
<減算値Psubの取得手順>
図23は、コントローラ126による減算値Psubの取得手順の一例を説明したフローチャートである。ここで、コントローラ126は、まず、減算値Psubを取得するために、搬送モータ15の停止時間を取得する(S402)。なお、搬送モータ15の停止時間の取得方法は、先に説明した通りである。このようにして搬送モータ15の停止時間を取得した後、次に、コントローラ126は、搬送モータ15の駆動モードに関する情報を取得する(S404)。ここで、コントローラ126が取得する駆動モードに関する情報とは、搬送モータの停止時間が終了した後、搬送モータ15が駆動され始めたときの駆動モードのことである。つまり、例えば、停止時間100(ms)の後、搬送モータ15が駆動モードPS4にて駆動された場合には、その停止時間100(ms)に対応して、駆動モードPS4がコントローラ126により取得される。
このようにして搬送モータ15の駆動モードに関する情報を取得した後、次に、コントローラ126は、Psubテーブル(図19参照)を参照する(S406)。ここで、コントローラ126は、取得した停止時間と、取得した駆動モードとに基づき、これらに対応する減算値PsubをPsubテーブルから取得する(S408)。その後、コントローラ126は、減算値Psubを取得する処理を終了させる。
このようにして処理を終了した後、コントローラ126は、先に図18において説明したように、取得した減算値Psubを積算値Psumから減算する演算を行う。なお、コントローラ126は、搬送モータ15の停止時間が終了し、搬送モータ15の駆動が再開される都度、減算値Psubの取得を行う。
<減算値Psubの減算による効果>
図24は、従来の場合と本実施形態の場合とにおける積算値Psumの増え方を示したものである。従来の場合には、積算値Psumは、搬送モータ15の駆動量PFstepが逐次積算されるのみであるため、同図に示すように、印刷枚数が少ない段階で積算値Psumが、過熱状態か否かの判定基準となる所定値Pdutyに達してしまう。このため、搬送モータ15の温度がさほど上昇していない段階で、搬送モータ15が過熱状態にあると判定されてしまい、搬送モータ15に対して発熱制限制御が開始されてしまうことがあった。これにより、搬送モータ15に余計に待機時間が生じて、印刷時間が長くなり、印刷処理が遅れるといった不具合が発生する場合があった。
これに対して、本実施形態の場合には、搬送モータ15の駆動毎に、積算値Psumから減算値Psubが逐次減算される。このため、本実施形態の場合には、同図に示すように、従来の場合に比べて、積算値Psumが所定値Pdutyに到達する時期が遅れる。つまり、搬送モータ15の温度が十分に上昇しない限り、積算値Psumが所定値Pdutyに到達することはないのである。これによって、本実施形態の場合には、従来よりも余計にN枚分だけ、発熱制限制御の実行前に印刷をすることができる。
<まとめ>
以上本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、搬送モータ15の駆動量PFstepを逐次積算して積算値Psumを求める演算に加え、搬送モータ15の停止時間からその停止時間に応じた減算値Psubを積算値Psumから減算する演算を実行するため、搬送モータ15の温度状態に合った積算値Psumを得ることができる。これにより、搬送モータ15が過熱状態にないにもかかわらず、搬送モータ15が過熱状態にあると判定してしまって、搬送モータ15に対し早期に発熱制限制御が実行されるのを防止することができる。また、小さなサイズのモータであっても、同じ発熱制限温度到達枚数を確保することが可能になり、コストダウンを図ることができる。
さらに本実施形態では、積算値Psumから減算される減算値Psubが、搬送モータ15の駆動モードも考慮して設定されるから、より適切な減算値Psubを積算値Psumから減算することができ、より搬送モータ15の温度状態に合った積算値Psumを得ることができる。
また、本実施形態では、搬送モータ15の駆動量PFstepが、その駆動量PFstepに基づき搬送モータ15が駆動される前に、積算値Psumに加算されるから、事前に搬送モータ15の温度状態を予測することができ、搬送モータ15に対して早い段階で発熱制限制御を実行することができる。これにより、より安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、搬送モータ15の停止時間および駆動モードと、減算値Psubとを対応付けたPsubテーブルを備えたことから、減算値Psubを簡単に取得することができる。
なお、本実施形態では、過熱状態を判定するモータとして、搬送モータ15の場合を例にして説明したが、本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合には、キャリッジモータ42についても、過熱状態か否かの判定対象としても良い。この場合、各種演算や停止時間の取得などについてはコントローラ126により行うのが好ましい。また、もちろん、キャリッジモータ42についても発熱制限制御を実行しても良い。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るモータの過熱判定装置として、印刷装置に搭載された場合を例にして説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれる。
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
また、印刷装置側にて行っていた処理の一部をコンピュータ装置140側にて行ってよく、また印刷装置とコンピュータ装置140の間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
<印刷装置について>
前述した実施の形態では、本発明に係るモータの過熱判定装置が搭載される印刷装置として、前述したようなインクジェットプリンタ1の場合を例にして説明したが、本発明に係るモータの過熱判定装置が搭載される印刷装置として、このような印刷装置に限らず、他の方式によりインクを吐出するインクジェットプリンタや、その他、インクを吐出しないタイプのプリンタ、例えば、ドットインパクト式プリンタや熱転写プリンタ、またレーザービーム式プリンタなど、印刷機能を備えた装置であれば、どのような装置であっても本発明の印刷装置に含まれる。
<モータについて>
前述した実施の形態では、過熱判定を行うモータとして、前述した印刷装置に搭載されたモータを例にして説明したが、本発明において判定対象とするモータとしては、必ずしもこのようなモータに限定されない。つまり、印刷装置以外の他の装置に搭載されるあらゆるモータが、本発明における過熱判定の対象となり得る。
<過熱判定装置について>
前述した実施の形態では、本発明に係るモータの過熱判定装置として、印刷装置等のモータを備えた装置に設けられる場合を例にして説明したが、本発明に係るモータの過熱判定装置にあっては、必ずしもこのような場合に限られない。すなわち、本発明に係るモータの過熱判定装置は、モータを備えた装置から独立した単独の形態の装置として存在しても良く、もちろんモータからも独立した単独の装置として存在しても良い。
<モータの駆動量について>
前述した実施の形態では、モータの駆動量として、ステップ数(step数)で表す場合を例にして説明したが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限られず、他の単位、例えば、ミリメートル(mm)やセンチメートル(cm)、マイクロメートル(μm)といった単位により表されても良い。
<モータの駆動動作の合間の停止時間について>
前述した実施の形態では、モータの駆動動作の合間の停止時間として、他のモータ(ここでは、キャリッジモータ。)が駆動されている期間の場合を例にして説明したが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限られない。すなわち、モータが駆動動作の合間に停止している期間であれば、他のモータの駆動の有無は関係ない。
<情報取得部について>
前述した実施の形態では、本発明の情報取得部として、コントローラ126等が例示されていたが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限らず、モータの駆動量に関する情報、または、モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するのであれば、どのような情報取得部であっても構わない。例えば、外部とのデータの通信を行う通信インターフェース等も、本発明の情報取得部に含まれる場合もある。
<演算部について>
前述した実施の形態では、本発明の演算部として、コントローラ126が例示されていたが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限らず、モータの駆動量の積算値を算出する演算や、積算値から減算値を減算する演算を実行し得る演算部であれば、どのようなものであっても、本発明の演算部に含まれる。
<停止時間に応じた減算値について>
前述した実施の形態では、本発明の「停止時間に応じた減算値」(Psub)として、モータ(搬送モータ15)の停止時間が、「100(ms)未満」の場合と、「100(ms)以上、140(ms)未満」の場合と、「140(ms)以上」の場合との3つの場合に区分して設定していたが、本発明にあっては、必ずしもこのような区分する場合に限らず、例えば、モータの停止時間の変動に応じて増減する減算値などを取得するようにしても良い。
<所定値について>
前述した実施の形態では、本発明の所定値として、モータ(搬送モータ15)が最も過酷な条件(ワースト条件)にて駆動された場合のモータの駆動量を所定値Pdutyとして設定していたが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限らず、例えば、最も過酷な条件にて駆動された場合の値よりも小さい値に設定してもよい。
また、本発明の所定値は、前述した実施の形態のように、必ずしも固定に設定される必要はない。つまり、例えば、前述した印刷装置の場合、印刷条件や印刷方式などに応じて、所定値Pdutyが変動しても良い。この他、各種条件に応じて適宜、所定値(Pduty)が変動しても良い。
<タイマーについて>
前述した実施の形態では、タイマー144がコントローラ126とは別途設けられた構成を例にして説明したが、本発明にあっては、このような場合に限らない。すなわち、例えば、コントローラ126にタイマーが内蔵されていても良い。この場合、コントローラ126に内蔵されたタイマーを利用して、モータの停止時間を計測するようにしても良い。
<駆動モードについて>
前述した実施の形態では、本発明の駆動モードとして、モータ(搬送モータ15)の駆動量に応じて、モータの加速時の加速度、定速時の速度および減速時の加速度のうちの少なくともどれか1つが異なる駆動モードについて説明していたが、本発明の駆動モードとしては、このような場合に限らない。すなわち、駆動方式等、様々な要素によって各々異なる駆動モードであっても良い。また、印刷条件や印刷状況などに応じて異なる駆動モードであっても良い。
特に、駆動モードに応じて、モータを安全に使用できる温度、制限温度に到達するまでに印刷可能な用紙の枚数が異なる場合には、駆動モード毎に減算値Psubを設定することが非常に有効に機能する。
<モータ制御装置について>
前述した実施の形態では、モータの制御装置として、印刷装置に備えられたコントローラや搬送制御部等を例にして説明したが、本発明にあっては、必ずしもこのような場合に限らず、他の形態で構成されていても構わない。また、モータの制御方法としては、前述したような制御方法に限らない。
<媒体について>
媒体Sについては、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、インクの吐出対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。
本発明に係る印刷装置の一実施形態の斜視図。 印刷装置の内部構成を説明した斜視図。 印刷装置の搬送部を示す断面図。 印刷装置のシステム構成を示すブロック構成図。 印刷装置のヘッドの一例を示す平面図。 印刷処理の一例を説明するフローチャート。 ロータリ式エンコーダの一例を説明した説明図。 ロータリ式エンコーダの検出部の構成を示す構成図。 図9Aは、正転時のリニア式エンコーダの出力波形を示したタイミングチャートであり、図9Bは、逆転時のリニア式エンコーダの出力波形を示したタイミングチャートである。 搬送制御部のブロック構成図。 図11Aは、PWM回路に入力されるデューティ信号の時間変化のグラフであり、図11Bは、モータの速度変化のグラフ。 搬送モータの過熱判定に基づく制御例を説明する図。 コントローラによる積算の一例を示した図。 図14Aは、通常時の搬送モータの駆動状況を説明した図であり、図14Bは、発熱制限時の搬送モータの駆動状況を説明した図である。 積算処理および判定処理の処理手順の一例を説明するフローチャート。 所定値Pdutyの設定方法の一例を説明するための説明図。 本実施形態の主要な処理の概要を説明するための説明図。 減算処理の処理手順の一例を説明するフローチャート。 減算値Psubを取得するためのテーブルの一例を示す図。 駆動モード別の制御用プロファイルの一例を説明する図。 図21Aは、駆動モードPS0、PS1、PS2、PS3の場合の制限温度到達枚数を示し、図21Bは、駆動モードPS3、PS4、PS5、PS6の場合の制限温度到達枚数を示す。 モータの駆動モード別及び停止時間別の制限温度到達枚数を示す表。 減算値の取得手順の一例を説明するフローチャート。 従来と本実施形態とにおける積算値の増え方の相違を説明する図。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ、2 操作パネル、3 排紙部、4 給紙部、
5 操作ボタン、6 表示ランプ、7 排紙トレー、8 給紙トレー、
11A 紙挿入口、11B ロール紙挿入口、13 給紙ローラ、14 プラテン、
15 搬送モータ、17A 搬送ローラ、17B 排紙ローラ、
18A フリーローラ、18B フリーローラ、21 ヘッド、
30 クリーニングユニット、31 ポンプ装置、35 キャッピング装置、
41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、44 プーリ、45 タイミングベルト、
46 ガイドレール、48 インクカートリッジ、49 カートリッジ装着部、
51 リニア式エンコーダ、53 紙検知センサ、122 バッファメモリ、
124 イメージバッファ、126 コントローラ、127 メインメモリ、
128 キャリッジモータ制御部、129 EEPROM、130 搬送制御部、
132 ヘッド駆動部、134 ロータリ式エンコーダ、140 コンピュータ装置、
144 タイマー、211Y ノズル群、211M ノズル群、211C ノズル群、
211K ノズル群、402 ロータリ式エンコーダ符号板、404 検出部、
406 スリット、408 大歯車、410 小歯車、412 発光ダイオード、
414 コリメータレンズ、416 検出処理部、418 フォトダイオード、
420 信号処理回路、422A コンパレータ、422B コンパレータ、
431 位置演算部、432 減算器、433 ゲイン、434 速度演算部、
435 減算器、436A 比例要素、436B 積分要素、436C 微分要素、
437 加算器、438 PWM回路、439A 加速制御部、439B タイマ、
440 ドライバ、S 媒体

Claims (15)

  1. モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、
    前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部と、
    前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記モータに関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を前記記憶部から取得し、該減算値を前記積算値から減算する演算と、を実行する演算部と、
    前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とするモータの過熱判定装置。
  2. 前記モータの駆動動作の合間の停止時間を計測するためのタイマーを備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータの過熱判定装置。
  3. 前記モータの駆動量に関する情報は、前記モータの駆動毎に前記情報取得部により取得されることを特徴とする請求項1または2に記載のモータの過熱判定装置。
  4. 前記モータの駆動量に関する情報は、前記モータがその駆動量に基づき駆動される前に前記情報取得部により取得されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータの過熱判定装置。
  5. 前記演算部は、前記モータの駆動が停止してから所定時間経過する毎に、前記積算値から所定値を減算する演算を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータの過熱判定装置。
  6. 前記モータが前記判定部により過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動が制限されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ過熱判定装置。
  7. 前記モータの駆動動作の合間の停止時間と、前記減算値とが対応付けられたテーブルを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のモータの過熱判定装置。
  8. 前記情報取得部は、前記モータの駆動モードに関する情報を取得し、
    前記減算値は、前記情報取得部が取得した前記駆動モードに関する情報および前記停止時間に関する情報に基づき取得されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のモータの過熱判定装置。
  9. 前記モータは、前記駆動モードに応じて、加速時の加速度、定速時の速度および減速時の加速度のうちの少なくともいずれか1つが異なることを特徴とする請求項8に記載のモータの過熱判定装置。
  10. モータの駆動量に関する情報を取得するステップと、
    前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
    取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
    前記情報取得部が取得した前記モータの駆動量に関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報とに基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を、前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部から取得し、取得した前記減算値を前記積算値から減算するステップと、
    前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
    を有することを特徴とするモータの過熱判定方法。
  11. モータの駆動量に関する情報を取得するステップと、
    前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
    取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
    前記情報取得部が取得した前記モータの駆動量に関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報とに基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を、前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部から取得し、取得した前記減算値を前記積算値から減算するステップと、
    前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
    を実行することを特徴とするモータの過熱判定プログラム。
  12. モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得する情報取得部と、
    前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部と、
    前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記モータに関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を前記記憶部から取得し、該減算値を前記積算値から減算する演算と、を実行する演算部と、
    前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
    前記モータの駆動を制御し、かつ前記判定部により前記モータが過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動を制限するコントローラと、
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  13. モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出するステップと、
    前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報を取得するステップと、
    前記情報取得部が取得した前記モータの駆動量に関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報とに基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を、前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部から取得し、取得した前記減算値を前記積算値から減算するステップと、
    演算された前記積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定するステップと、
    前記モータが過熱状態にあると判定されたときに、前記モータの駆動を制限するステップと、
    を有することを特徴とするモータ制御方法。
  14. 媒体に対して印刷を施す印刷部と、
    モータと、
    前記モータの駆動量に関する情報と、前記モータの駆動動作の合間の停止時間に関する情報とを取得する情報取得部と、
    前記モータの駆動量と前記停止時間とで区分された減算値を記憶する記憶部と、
    前記情報取得部が取得した前記駆動量に関する情報に基づき前記モータの駆動量を逐次積算して積算値を算出する演算と、前記モータに関する情報に基づき取得された前記モータの駆動量と前記停止時間に関する情報に基づき取得された前記停止時間とに応じた減算値を前記記憶部から取得し、該減算値を前記積算値から減算する演算と、を実行する演算部と、
    前記演算部によって演算された積算値が所定値に達したときに、前記モータが過熱状態にあると判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とする印刷装置。
  15. 前記モータが、前記印刷部により印刷される媒体を搬送するためのモータ、または媒体に対して印刷を施す印刷部を前記媒体に対して相対的に移動させるためのモータであることを特徴とする請求項14に記載の印刷装置。
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