JP4552542B2 - 接着材層の厚みを管理された圧電式振動検出/抑制装置 - Google Patents

接着材層の厚みを管理された圧電式振動検出/抑制装置 Download PDF

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本発明は、圧電素子により物体の振動を検出し或は抑制する圧電式振動検出/抑制装置に係る。
圧電材の板やブロックが伸縮力をかけられるとその対向面間に電位差を生じ、また逆にその対向面間に電位差をかけられると伸縮しようとすることを利用して、圧電素子を自動車の車体やトランスミッション等の振動が問題となる物体の表面に接着材により取り付け、これに一対の電極を付加して該物体の振動を電気的に検出し、或いは該物体の振動を電気的に抑制することが考えられている。そのような技術に関する発明提案は、例えば下記の特許文献1、2、3に記載されている。
特開2001-127354号公報 特開平5-133435号公報 実開平6-32787号公報
上記の特許文献1には、圧電体層を物体の表面に取り付ける接着材層の劣化やばらつきを抑え、また製造工程を簡略化するために、物体上に圧電材と同じ結晶構造に誘導できるアミノポリカルボン酸金属錯体とアミンとの塩から生成された薄膜層を形成し、その薄膜層を介して物体と圧電体層とを接合することを提案されている。上記の特許文献2には、物体に入力される振動の加振周波数が変化しても常に物体の振動レベルを低レベルに保ち、また物体への入力振動の加振周波数に対し最も低い振動レベルが得られる固有振動周波数への変更制御を行うべく、物体に圧電素子を取り付け、物体に入力される振動の加振周波数に対し低い振動レベルが得られるような電圧を圧電素子に印加し、圧電素子により物体に内部引張り力または内部圧縮力を与えることで物体の固有振動周波数を変えること、また印加電圧をパラメータとして予め測定しておいた振動レベル特性データに基づき圧電素子への印加電圧を固有振動周波数制御手段により制御することが提案されている。上記の特許文献3には、軽量でトランスミッションの整備の際に邪魔にならない構造にて自動車のトランスミッションに振動低減効果の大なる振動低減装置を設けるべく、エンジンの振動を振動センサにて検出し、エンジンとトランスミッションとの間にあるフライホイールハウジングに圧電素子を固着し、振動センサの検出値に基づきコントローラにより圧電素子を制御することが提案されている。
上記の特許文献1の発明は接着材として格別の金属錯体とアミンとの塩を用いるものであるが、これに限らず、従来一般に、圧電式振動検出/抑制装置を構成する圧電材の板或いはブロックよりなる圧電素子は、振動を検出すべき物体或いは振動を抑制されるべき物体の表面に何らかの接着材により取り付けられている。この場合、接着材は一つの層をなしており、いくら薄くても変形と全く無縁ではない。一方、圧電機能による圧電素子の変形は極めて微量であるため、圧電素子を接着材により物体の表面に取り付けた圧電式振動検出/抑制装置の作動特性は、接着材の層の厚みによりかなり影響を受けると考えられる。
即ち、今例えば図1に示す如く或る一つの圧電素子100を物体102の表面に或る一定量の接着材104により取り付けるとしても、図のA、B、Cに示す如き3つの場合では、接着材層の厚みが異なり、それぞれ圧電式振動検出/抑制装置としての作動性能に差が生ずると考えられる。
また、従来一般に、接着材による圧電素子の物体表面への取り付けは、物体表面に向かい合う圧電素子の面の全体に接着材を施す所謂べた付けにより行われているが、これに対し上記の如き接着材層の厚みの変化による圧電式振動検出/抑制装置の作動性能の差を回避するために、例えば図1のAに示す如く、圧電素子100の伸縮がなるべく接着材層106に影響されることなく物体102の振動による変形に対応するよう、圧電素子100の両端部のみを接着材により物体表面に固定することが考えられる。しかし、この場合には、図1のBに示す如き物体表面の湾曲変形について、圧電素子の伸縮が物体表面の変形対応しなくなるという問題が生ずる。
本発明は、振動を検出され或いは振動を抑制されるべき物体の表面に圧電素子を接着材により取り付けることに関する上記の如き問題に鑑み、この点に於いて改良された圧電式振動検出/抑制装置を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置にして、前記接着材の層は前記物体の振動による前記表面の湾曲に沿う前記圧電素子の両端部と中央部とに分かれて設けられていることを特徴とする圧電式振動検出/抑制装置を提案するものである。
上記の如き圧電式振動検出/抑制装置に於いて、前記圧電素子は実質的に四角形の平面輪郭を有し、前記両端部に於ける接着材層は前記実質的四角形平面輪郭の対向する両辺に沿って設けられており、前記中央部の接着材層は前記両辺の中間位置にて該両辺に実質的に平行に延在する帯域に設けられていてよい。
或いはまた、上記の如き圧電式振動検出/抑制装置に於いて、前記両端部に於ける接着材層は前記圧電素子の平面輪郭の対向する両端部領域に点在する接着材層として設けられており、前記中央部の接着材層は前記両端部領域の中間部領域に点在する接着材層として設けられていてもよい。この場合、前記圧電素子の平面輪郭は実質的に四角形であり、前記両端部領域に点在する接着材層は前記実質的四角形平面輪郭の対向する両端部の各々に沿って隔置された少なくとも2つの点在接着材層を含み、前記中間部領域に点在する接着材層は前記両端部の中間に位置する少なくとも1つの点在接着材層を含んでいてよく、或はまた、前記圧電素子の平面輪郭は実質的に四角形であり、前記両端部領域に点在する接着材層は前記実質的四角形平面輪郭の対向する両端部の各々に沿って同じ側に偏倚した一対の点在接着材層を含み、前記中間部領域に点在する接着材層は前記両端部の中間にて前記両端部の点在接着材層とは反対の側に偏倚した1つの点在接着材層を含んでいてもよい。
更にまた、上記の課題を解決するものとして、本発明は、圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置にして、前記圧電素子は接着材層の厚みを限定するスペーサにより前記物体の表面より隔置されており、前記接着材層は前記スペーサにより隔置された前記圧電素子と前記物体の表面との間の空間を満たすように設けられていることを特徴とする圧電式振動検出/抑制装置をも提案するものである。この場合、前記スペーサは前記圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部を除きその周縁に沿って延在しており、前記接着材層は前記圧電素子と前記物体の表面と前記スペーサとにより囲まれた空間に前記小隙部の一つより該空間内へ圧入された接着材により形成されていてよい。或はまた、前記圧電素子はその一部に形成された接着材層の厚みを限定する突出部により前記物体の表面より隔置されており、前記接着材層は前記突出部により隔置された前記圧電素子の表面と前記物体の表面との間の空間を満たすように設けられてもよい。
更にまた、上記の課題を解決するものとして、本発明は、圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置にして、前記圧電素子はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路が積層された状態にてカバー部材により前記物体の表面に取り付けられており、前記カバー部材の前記電気回路を押さえ込む内面と前記物体の表面に当接するフランジ面との間の距離と前記圧電素子と前記電気回路の積層体がなす厚みの差に相当する厚みにて前記接着材の層が設けられていることを特徴とする圧電式振動検出/抑制装置をも提案するものである。この場合、前記カバー部材は前記フランジ面の内側に前記物体の表面より隔置されて該物体の表面に対向する面部を有し、この隔置面部と前記物体の表面との間に施された前記接着材の層により前記物体の表面に固定されていてよい。また、前記カバー部材の前記フランジ面を前記圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部を除きその周縁に沿って延在させ、接着材層は前記圧電素子と前記物体の表面と前記フランジ面の物体表面より隔置されてこれに対向する面部とにより囲まれた空間に前記小隙部の一つより該空間内へ圧入された接着材により形成されていてよい。或はまた、前記圧電素子はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路が載置された状態にてカバー部材により前記物体の表面に取り付けられており、前記カバー部材は前記物体の表面に当接するフランジ面と該フランジ面の内側に前記物体の表面より隔置されて該物体の表面に対向する面部を有し、前記面部と前記物体の表面に当接するフランジ面との間の距離と前記圧電素子の厚みの差に相当する厚みにて前記接着材の層が設けられてもよい。
上記の如く圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置に於いて、前記接着材の層が前記物体の振動による表面の湾曲に沿う圧電素子の両端部と中央部とに分かれて設けられていれば、圧電素子の伸縮がなるべく接着材層に影響されることなく物体の振動による変形に対応するよう接着材の施工面積を減じた上で、物体表面の湾曲変形に対しても圧電素子の伸縮を物体表面の変形に対応させることができる。
その場合に、圧電素子が実質的に四角形の平面輪郭を有しているとき、前記両端部に於ける接着材層が実質的四角形平面輪郭の対向する両辺に沿って設けられ、前記中央部の接着材層が前記両辺の中間位置にて該両辺に実質的に平行に延在する帯域に設けられれば、物体表面の湾曲変形に圧電素子の変形を対応させるために必要な圧電素子の両端部と中央部との固定を各々の位置にて横方向に延在する帯状領域にて行うことにより確実にし、接着材層に影響されることなく圧電素子の伸縮を物体の振動による変形に対応させることを効果的に達成することができる。また、前記両端部に於ける接着材層が圧電素子の平面輪郭の対向する両端部領域に点在する接着材層として設けられ、前記中央部の接着材層が前記両端部領域の中間部領域に点在する接着材層として設けられていれば、圧電素子の伸縮を物体表面の振動による湾曲変形に対応させることを最少量の接着材にて達成し、物体表面の湾曲変形に対応する圧電素子の変形に対する接着材層の影響を最小限に抑えることができる。圧電素子の平面輪郭が実質的に四角形である場合の接着材層を点在させる要領としては、両端部の各々に沿って少なくとも2つの点在接着材層を隔置して設け、両端部の中間に少なくとも1つの点在接着材層を設けることにより、最小限の点在接着材層により物体表面の湾曲変形に圧電素子の変形を対応させる上で高い安定度を得ることができるが、更に、両端部領域に点在する接着材層は両端部の各々に沿って同じ側に偏倚した一対の点在接着材層とし、中間部領域に点在する接着材層は両端部の中間にて前記両端部の点在接着材層とは反対の側に偏倚した1つの点在接着材層とすれば、物体表面の湾曲変形に圧電素子の変形を対応させることを最少数の点在接着材層にて行うことができる。尚、以上いずれの場合にも、接着材層の帯状施工または点在施工により圧電素子と物体表面の間に残された空間には、圧電素子にコンデンサやインダクタンスや抵抗を組み合わせて所謂パッシブタイプの制振装置を構成する場合のコンデンサやインダクタンスや抵抗が配置されてよい。
また、圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置に於いて、前記圧電素子が接着材層の厚みを限定するスペーサにより物体表面より隔置され、接着材層は前記スペーサ間の圧電素子と物体表面との間の空間を満たすように設けられれば、接着材層の厚み、特に振動による物体表面の湾曲に沿う両端部に於ける接着材層の厚みを所定値に確実に管理することにより、圧電式振動検出/抑制装置の作動性能を所期の性能に安定させることができる。また、この場合、更にスペーサが圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部を除きその周縁に沿って延在するよう設けられ、接着材層は圧電素子と物体表面とスペーサとにより囲まれた空間に前記小隙部の一方より空気を排出させつつ他方の小隙部より該空間内へ圧入された接着材により形成されるようになっていれば、接着材層の厚みが所定値に正確に管理され、作動性能が所期の性能に安定した圧電式振動検出/抑制装置を低コストにて効率よく製造することができる。前記スペーサに代えて圧電素子の一部に接着材層の厚みを限定する突出部が形成される場合にも同じである。
或はまた、圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置に於いて、圧電素子はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路が積層された状態にてカバー部材により物体表面に取り付けられており、前記カバー部材の電気回路を押さえ込む内面と物体表面に当接するフランジ面との間の距離と圧電素子と電気回路の積層体がなす厚みの差に相当する厚みにて接着材層が設けられていれば、このように圧電素子と電気回路とをカバー部材により組み合わせ、これを接着材にて物体表面に取り付ける過程に於いて接着材層が所定の厚みを有する層に自動的に仕上られる。この場合、更にカバー部材がフランジ面の内側に物体表面より隔置されて該物体表面に対向する面部を有し、この隔置面部と物体表面との間に施された接着材の層により物体表面に固定されるようになっていれば、カバー部材により圧電素子と電気回路を物体表面に組み付ける工程と圧電素子を所定厚みの接着材層により物体表面に接合する工程とを同一の工程として実行することができる。また、カバー部材の前記フランジ面を圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部を除きその周縁に沿って延在させ、接着材層が圧電素子と物体表面と前記フランジ面の物体表面より隔置されてこれに対向する面部とにより囲まれた空間に前記小隙部の一つより該空間内へ圧入された接着材により形成されるようになっていれば、カバー部材により圧電素子と電気回路を物体表面に組み付けると共に圧電素子を所定厚みの接着材層により物体表面に接合する工程は一層合理化される。また、カバー部材が前記物体の表面に当接するフランジ面と該フランジ面の内側に前記物体の表面より隔置されて該物体の表面に対向する面部を有し、前記面部と前記物体の表面に当接するフランジ面との間の距離と前記圧電素子の厚みの差に相当する厚みにて前記接着材の層が設けられていても同様の効果が得られる。
添付の図1は本発明による圧電式振動検出/抑制装置を一つの実施の形態に於いて示す幾分解図的断面図である。この断面はこの圧電式振動検出/抑制装置が取り付けられた物体の振動によるその表面の湾曲に沿う方向の切断面によるものである。図に於いて、10aにて全体的に示された圧電式振動検出/抑制装置は、圧電素子12とこれを物体14の表面に取り付ける接着材の層16−1、16−2、16−3とを含んでおり、圧電素子12は圧電材の層18とその両面に設けられた対向電極20,22とを有している。接着材の層は物体14の振動によるその表面の湾曲に沿って圧電素子12の両端部に設けられた16−1,16−2と中央部に設けられた16−3とに分かれて設けられている。
図2は図1に示す圧電式振動検出/抑制装置10aの平面図である。図2より分かる通り、圧電素子12は四角形の平面輪郭を有し、接着材の層16−1,16−2は四角形平面輪郭の対向する両辺に沿って設けられており、中央部の接着材層16−3は前記両辺の中間位置にて該両辺に実質的に平行に延在する帯域に設けられている。このように圧電素子12が物体の振動によるその表面の湾曲に沿う両端部と中央部にて接着材層、特に物体の振動による物体表面の湾曲に沿う方向に対し横方向の全幅に亙って延在する接着材層16−1,16−2,16−3にて物体表面に固定されていれば、圧電素子12がその全面に於いて接着材層により物体表面に固定されていなくても、圧電素子の変形を物体の振動による物体表面の湾曲にほぼ忠実に対応させることができる。
図3は図1および図2に示す圧電式振動検出/抑制装置10aの一部を変更したこれに類似の圧電式振動検出/抑制装置10bを図2と同様の要領にて示す平面図である。図3に於いて、図2に示す部分に対応する部分には、図2に於けると同じ符号が付されている。この場合、接着材層は圧電素子12の四角形平面輪郭の対向する両端部の各々に沿って両縁部まで隔置された2つの点在接着材層16−4,16−5,16−6,16−7と、両端部の中間部領域の中央部に位置する点在接着材層16−8として設けられている。かかる接着材層の点在配置によれば、最小限の点在接着材層により物体表面の湾曲変形に圧電素子の変形を対応させる上で高い安定度を得ることができる。
図4も同じく図1および図2に示す圧電式振動検出/抑制装置10aの一部を変更したこれに類似の圧電式振動検出/抑制装置10cを図2と同様の要領にて示す平面図である。図4に於いても、図2に示す部分に対応する部分には、図2に於けると同じ符号が付されている。この場合、接着材層は圧電素子12の四角形平面輪郭の対向する両端部の各々に沿って同じ側に偏倚した一対の点在接着材層16−9,16−10と、両端部の中間部領域にて前記両端部の点在接着材層とは反対の側に偏倚した1つの点在接着材層16−11として設けられている。かかる接着材層の点在配置によれば、物体表面の湾曲変形に圧電素子の変形を対応させることを最少数の点在接着材層にて行うことができる。
図5は本発明による圧電式振動検出/抑制装置を他の一つの実施の形態に於いて示す図1と同様の幾分解図的断面図である。この断面もまた、この圧電式振動検出/抑制装置が取り付けられた物体の振動によるその表面の湾曲に沿う方向の切断面によるものである。また図6は図5に示す圧電式振動検出/抑制装置の平面図である。図5および図6に於いても、図1および図2に示す部分に対応する部分には、図1および図2に於けると同じ符号が付されている。この圧電式振動検出/抑制装置10dに於いても、図6より分かる通り、圧電素子12は四角形の平面輪郭を有し、圧電素子12は物体の振動による表面の湾曲に沿う両端部にて接着材層の厚みを限定するスペーサ24−1,24−2により物体の表面14より隔置されており、接着材層16−12はスペーサ24−1,24−2間の圧電素子と物体の表面との間の空間を満たすように設けられている。このように接着材層の厚みがスペーサにより規定されれば、接着材層の厚み、特に振動による物体表面の湾曲に沿う両端部に於ける接着材層の厚みを所定値に確実に管理することができ、圧電式振動検出/抑制装置の作動性能を所期の性能に安定させることができる。
図7は図5および図6に示す圧電式振動検出/抑制装置10dの一部を変更したこれに類似の圧電式振動検出/抑制装置10eを図6と同様の要領にて示す平面図である。図7に於いても、図6に示す部分に対応する部分には、図6に於けると同じ符号が付されている。この場合、スペーサ24−3は圧電素子の四角形平面輪郭の対向する2箇所の小隙部26−1,26−2を除きその周縁に沿って延在しており、接着材層16−13は圧電素子12と物体14の表面とスペーサ24−3とにより囲まれた空間に小隙部26−1,26−2の一方より空気を排出させつつ他方の小隙部より該空間内へ圧入された接着材により形成されている。この要領によれば、接着材層の厚みがスペーサ24−3により所定値に正確に管理され、作動性能が所期の性能に安定した圧電式振動検出/抑制装置を低コストにて効率よく製造することができる。
図8は、上記のスペーサに代えて圧電素子の一部に接着材層の厚みを限定する突出部18−1,18−2が形成された例を示す図5と同様の図である。この例では、突出部18−1,18−2は圧電材層18の一部の厚みが増大されることにより形成されている。突出部の形成位置は図6または図7に示すスペーサと同様の位置であってよい。
図9は本発明による圧電式振動検出/抑制装置を更に他の一つの実施の形態に於いて示す図1および図5と同様の幾分解図的断面図である。この断面もまた、この圧電式振動検出/抑制装置が取り付けられた物体の振動によるその表面の湾曲に沿う方向の切断面によるものである。また図10は図9に示す圧電式振動検出/抑制装置の図9に於ける切断面X−Xによる平断面図である。図8および図10に於いても、図1および図2に示す部分に対応する部分には、図1および図2に於けると同じ符号が付されている。この圧電式振動検出/抑制装置10fに於いては、圧電素子12はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路28が積層された状態にてカバー部材30により物体14の表面に取り付けられており、カバー部材30の電気回路28を押さえ込む内面32と物体表面に当接するフランジ面34との間の距離と圧電素子12と電気回路28の積層体がなす厚みの差に相当する厚みにて接着材層16−14が設けられている。かかる構造によれば、圧電素子12と電気回路28とをカバー部材30により組み合わせ、これを接着材にて物体表面に取り付ける過程に於いて接着材層16−14が所定の厚みを有する層に自動的に仕上られる。更にまた、カバー部材がフランジ面の内側に物体表面より隔置されて該物体表面に対向する面部36を有し、この隔置面部36と物体表面との間に施された接着材の層により物体表面に固定されるようになっていれば、カバー部材により圧電素子と電気回路を物体表面に組み付ける工程と圧電素子を所定厚みの接着材層により物体表面に接合する工程とを同一の工程として実行することができる。
また、カバー部材のフランジ面34を圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部38−1,38−2を除きその周縁に沿って延在させ、接着材層16−14が圧電素子12と物体14の表面とフランジ面の物体表面より隔置されてこれに対向する面部36とにより囲まれた空間に小隙部38−1,38−2の一方より空気を排出させつつ他方の小隙部より該空間内へ圧入された接着材により形成されるようになっていれば、カバー部材により圧電素子と電気回路を物体表面に組み付けると共に圧電素子を所定厚みの接着材層により物体表面に接合する工程は一層合理化される。
図11は図9に示す構造の一部を変更した図9と同様の図である。この場合、カバー部材30の内面32は電気回路28の上面より離れており、電気回路28は圧電素子12上に載置され、図には示されていない任意の固定手段により圧電素子12に固定されている。カバー部材には物体の表面に当接するフランジ面34より圧電素子12の厚みと形成されるべき接着材層の厚みの和に相当する距離だけ隔置された位置に物体表面に対向する面部40が形成されており、これによって面部40とフランジ面34との間の距離と圧電素子12の厚みの差に相当する厚みにて接着材層が形成されている。
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
本発明による圧電式振動検出/抑制装置を一つの実施の形態に於いて示す幾分解図的断面図。 図1に示す圧電式振動検出/抑制装置の平面図。 図1および図2に示す圧電式振動検出/抑制装置の一部を変更したこれに類似の圧電式振動検出/抑制装置を図2と同様の要領にて示す平面図。 図1および図2に示す圧電式振動検出/抑制装置の一部を変更したこれに類似の他の一つの圧電式振動検出/抑制装置を図2と同様の要領にて示す平面図。 本発明による圧電式振動検出/抑制装置を他の一つの実施の形態に於いて示す図1と同様の幾分解図的断面図。 図5に示す圧電式振動検出/抑制装置の平面図。 図5および図6に示す圧電式振動検出/抑制装置の一部を変更したこれに類似の圧電式振動検出/抑制装置を図6と同様の要領にて示す平面図。 スペーサに代えて圧電素子の一部に接着材層の厚みを限定する突出部が形成された例を示す図5と同様の図。 本発明による圧電式振動検出/抑制装置を更に他の一つの実施の形態に於いて示す図1および図5と同様の幾分解図的断面図。 図9に示す圧電式振動検出/抑制装置の図8に於ける切断面X−Xによる平断面図。 図9に示す構造の一部を変更した図9と同様の図. 圧電素子100を物体102の表面に或る一定量の接着材により取り付けるとしたときの3つの場合をA、B、Cとして示す従来技術説明図。 圧電素子100の両端部のみを接着材106により物体102の表面に固定したときの物体表面の湾曲変形と圧電素子の伸縮変形の対応を示す従来技術説明図。
符号の説明
10a〜10f…圧電式振動検出/抑制装置、12…圧電素子、14…物体、16−1〜16−14…接着材層、18…圧電材層、18−1,18−2…圧電材層の厚み増大部、20,22…電極、24−1〜24−3…スペーサ、26−1,26−2…スペーサの小隙部、28…電気回路、30…カバー部材、32…カバー部材の内面、34…カバー部材のフランジ面、36…カバー部材の隔置面部、38−1,38−2…カバー部材フランジ面の小隙部、40…面部、100…圧電素子、102…物体、104…接着材、106…接着材層

Claims (4)

  1. 圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置にして、前記圧電素子は接着材層の厚みを限定するスペーサにより前記物体の表面より隔置されており、前記接着材層は前記スペーサにより隔置された前記圧電素子と前記物体の表面との間の空間を満たすように設けられており、前記圧電素子はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路が積層された状態にてカバー部材により前記物体の表面に取り付けられており、前記カバー部材の前記電気回路を押さえ込む内面と前記物体の表面に当接するフランジ面との間の距離と前記圧電素子と前記電気回路の積層体がなす厚みの差だけ前記圧電素子が前記物体の表面より隔置されることにより前記カバー部材の一部が前記スペーサをなしていることを特徴とする圧電式振動検出/抑制装置。
  2. 圧電材の層と対向電極とを有する圧電素子と、前記圧電素子を振動の検出または抑制が施されるべき物体の表面に取り付ける接着材の層とを含む圧電式振動検出/抑制装置にして、前記圧電素子は接着材層の厚みを限定するスペーサにより前記物体の表面より隔置されており、前記接着材層は前記スペーサにより隔置された前記圧電素子と前記物体の表面との間の空間を満たすように設けられており、前記圧電素子はその上に該圧電素子と電気的に組み合わされる電気回路が載置された状態にてカバー部材により前記物体の表面に取り付けられており、前記カバー部材は前記物体の表面に当接するフランジ面と該フランジ面の内側に前記物体の表面より隔置されて該物体の表面に対向し前記圧電素子の一部に係合して前記圧電素子を前記物体の表面へ向けて押さえ込む面部を有し、前記面部と前記物体の表面に当接するフランジ面との間の距離と前記圧電素子の厚みの差だけ前記圧電素子が前記物体の表面より隔置されることにより前記カバー部材の一部が前記スペーサをなしていることを特徴とする圧電式振動検出/抑制装置。
  3. 前記カバー部材は前記フランジ面の内側に前記物体の表面より隔置されて該物体の表面に対向する面部を有し、この隔置面部と前記物体の表面との間に施された前記接着材の層により前記物体の表面に固定されていることを特徴とする請求項またはに記載の圧電式振動検出/抑制装置。
  4. 前記カバー部材の前記フランジ面は前記圧電素子の平面輪郭の対向する2箇所の小隙部を除きその周縁に沿って延在しており、前記接着材層は前記圧電素子と前記物体の表面と前記フランジ面の物体表面より隔置されてこれに対向する面部とにより囲まれた空間に前記小隙部の一つより該空間内へ圧入された接着材により形成されていることを特徴とする請求項またはに記載の圧電式振動検出/抑制装置。
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