JP4551739B2 - ガラス手摺構造 - Google Patents

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本発明は、ガラス面材を備えたガラス手摺構造に関する。
従来より、床面から立設する複数の支持柱に支持された手摺又は壁等に支持された手摺と、床面に取り付けられた下枠とにガラス面材が固定されたガラス手摺構造が知られている。このガラス手摺構造は、ステンレスやスチール、アルミニウム等の金属製の手摺を使用するのが一般的であるが、木製の手摺を使用する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平5−71204号公報
しかしながら、手摺を金属製にすると、木製に比して材料コストが大きくなってしまうという欠点があった。これに対し、手摺を木製にすると、手摺のスパンが長かったり、複数のガラス面材を並べて用いる代わりに、高さに比して横幅の大きい1枚のガラス面材を使用するガラス手摺構造では、人によって手摺に力が作用した際に手摺が短手方向に撓み、ガラス面材が手摺から外れたり、さらにはガラス面材自体が割れてしまう恐れがあった。
本発明の課題は、ガラス面材を備えたガラス手摺構造において、材料コストを抑えながら、ガラス面材が手摺から外れたり、破損するのを防ぐことである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、ガラス面材4と、このガラス面材4の上端部に設けられる手摺2とを備えるガラス手摺構造において、
前記手摺2は、木製の手摺本体7と、
この手摺本体7の長手方向に延在し、かつ前記ガラス面材4に対して垂直に配設された金属板からなる補強材(例えば、鋼板8)とを備え、
この補強材(例えば、鋼板8)が前記手摺本体7の上面に固定され、
前記手摺2は、前記手摺本体7及び補強材(例えば、鋼板8)を覆う化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、木製の手摺本体7を使用するため、金属製の手摺本体を使用する場合に比して、材料コストを抑えることができる。また、手摺本体7には、その長手方向に延在する補強材(例えば、鋼板8)が固定されているため、手摺2の剛性が大きくなる。従って、人によって手摺2に力が作用した際に、手摺2が短手方向に撓むのを防ぐことができ、ガラス面材4が手摺2から外れたり、破損するのを防ぐことができる。
また、補強材として金属板(例えば、鋼板8)が、ガラス面材4に対して垂直に手摺本体7に固定されるため、手摺2の短手方向の剛性が大きくなる。従って、人によって手摺2に力が作用した際に、手摺2が短手方向に撓むのを防ぐことができ、ガラス面材4が手摺2から外れたり、破損するのを防ぐことができる。
また、手摺本体7及び補強材(例えば、鋼板8)を化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)で覆うため、手摺本体7と、補強材(例えば、鋼板8)と、手摺本体7及び補強材(例えば、鋼板8)の接合部分とが露出するのを防ぐことができる。従って、意匠的に優れた手摺2とすることができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のガラス手摺構造において、前記化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合しかつ溶融させて成形してなるものであることことを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)は、原料が比較的安価なセルロース系微紛粒と樹脂とを混合し、かつ溶融させて成形してなっている。そしてこれらの工程を経て得られる化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)は、セルロース系微粉粒が、化粧材(例えば、第1化粧材11、第2化粧材12)の表面に露出するため、木質感に加えて、天然の木目に極めて近い木目模様が形成される。しかも、通常の木材に比べて、水分を吸収し難く、伸縮が少なく寸法安定性に優れているものである。従って、材料コストを抑えながら意匠的、材料的にも優れた手摺2とすることができる。
ここで、前記セルロース系微粉粒の原料は、基本的に木材であるが、木材の他に、バカス、稲、パルプ等を原料としてもよい。また、木材としてはどのような木材を用いてもよく、例えば工場や建築現場で捨てられる廃材を用いてもよい。そして前記原料に磨砕処理、すなわち、木材等の粗分紛砕物から微粉砕物にする磨砕処理と、微粉砕された紛粒を、繊維状態のものが絡み合い、その表面が繊毛で覆われている状態の粉粒形状から、表面に繊毛が少ない状態となるように表面研磨する研磨処理とを併せた処理を施すことによってセルロース系微粉粒が得られる。また、前記樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等がある。
請求項に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1または2に記載のガラス手摺構造において、前記手摺2は、コ字型金物9を少なくとも1つ備え、
このコ字型金物9は、その凹部9aを前記コ字型金物9を固定すべき固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)と反対側に向けた状態で前記固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)に固定され、
前記手摺本体7は、前記凹部9aに手摺本体7の端部を嵌合した状態で前記コ字型金物9に固定されていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、コ字型金物9の凹部9aを固定すべき固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)と反対側に向けた状態で、固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)にコ字型金物9を固定し、さらに、コ字型金物9の凹部9aに、手摺本体7の端部を嵌合して固定する。従って、釘の斜め打ちや接着剤などによって手摺本体7を固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)に直接固定する場合に比して、固定面(例えば、第1壁枠16、第2壁枠17)と手摺本体7とを強固に固定することができる。
本発明によれば、木製の手摺本体を使用するため、材料コストを抑えることができる。また、手摺本体には、その長手方向に延在する補強材が固定されているため、手摺の剛性が大きくなる。従って、人によって手摺に力が作用した際に、手摺が短手方向に撓むのを防ぐことができ、ガラス面材が手摺から外れたり、破損するのを防ぐことができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図2は、本発明に係るガラス手摺1を、建物内の中間床18に、吹き抜けに面して設けたものである。ここで、中間床18とは、1階の床面20から0.9〜1.4mの高さに設けられた床のことである。
図2に示すように、ガラス手摺1は、第1壁枠16及び第2壁枠17に支持された手摺2と、床面18aに取り付けられた下枠3と、これら手摺2及び下枠3に固定された2枚のガラス面材4と、から構成されている。
図1及び図2に示すように、下枠3は、中間床18の床面18aに取り付けられ、上面に下枠溝5aが形成された下枠本体5と、下枠本体5を覆う下枠化粧材6から構成されている。ここで、下枠化粧材6は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合しかつ溶融させて成形してなるものであり、下枠本体5と当接する面には突起が複数形成されている。
また、下枠本体5に形成された下枠溝5aは、ガラス面材4の下端部を固定するものであり、下枠本体5の長手方向に直線状に形成されている。この下枠溝5aには、ガラス面材4の緩衝材であるセッティングブロック13と、ガラス面材4と下枠本体5との接合部を補強する発泡ポリエチレン等のバッカー材14と、ガラス面材4と下枠溝5aとの間隙を充填するシリコンコーキング等の充填材15とが、底部から順に層を形成している。
図3に示すように、手摺2は、下面に手摺溝7aが形成された手摺本体7と、この手摺本体7の上面に固定された略長方形状の鋼板8と、第1壁枠16及び第2壁枠17に手摺本体7の両端部を固定するコ字型金物9と、これら手摺本体7と2つのコ字型金物9と鋼板8とを覆う第1化粧材11及び2つの第2化粧材12と、から構成されている。ここで、第1化粧材11及び第2化粧材12は、下枠化粧材6と同様に、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合しかつ溶融させて成形してなるものであり、手摺本体7と当接する面には突起が複数形成されている。
図3に示すように、手摺本体7は、略長方形状の主合板7bと、その両脇に接合された2つの副合板7cとから構成されている。副合板7cは、主合板7bと略同じ厚さで、長手方向の長さが主合板よりも短く、短手方向の長さがコ字型金物9の厚さと略同じである。
また、手摺本体7に形成された手摺溝7aは、ガラス面材4上端部を固定するものであり、手摺本体7の長手方向に直線状に形成されている。この手摺溝7aの底部には、ガラス面材4と手摺溝7aとの間隙を充填するシリコンコーキング等の充填材15が詰められている。
図3に示すように、鋼板8には複数の鋼板孔8aが穿設されており、これらの鋼板孔8aにビス等を打ち込むことによって、鋼板8は手摺本体7に固定されている。
また、図2及び図3に示すように、コ字型金物9は、凹部9aを第1壁枠16及び第2壁枠17と反対側に向けた状態で第1壁枠16及び第2壁枠17に固定され、これらの凹部9aに手摺本体7の両端部をそれぞれ嵌合した状態で手摺本体7を固定している。さらに詳しくは、コ字型金物9の第1壁枠16及び第2壁枠17と当接する面には、2つの孔9bが穿設されており、同様に手摺本体7を挟持する2面にも、一面につきそれぞれ2つの側孔9cが穿設されている。そして、これらの孔9bよりビス等を打ち込むことによって、第1壁枠16及び第2壁枠17にコ字型金物9を固定し、側孔9cよりビス等を打ち込むことによって、コ字型金物9に手摺本体7を固定している。
次に、以上のように構成されるガラス手摺の施工手順について詳細に説明する。
まず、図1及び図2に示すように、ガラス手摺1を設置する床面18aに、下枠本体5をビス19及び接着剤によって取り付ける。そして、下枠溝5aの底部にセッティングブロック13を所定間隔で並べ、その上にガラス面材4を載置する。その後、ガラス面材4を直立させた状態で、ガラス面材4及び下枠溝5aの間隙にバッカー材14を嵌め込み、バッカー材14の上から充填材15を充填する。この際、充填材15は下枠溝5aから出ないようにする。
次に、手摺2を支持する第1壁枠16及び第2壁枠17の所定の位置に、コ字型金物9をそれぞれ取り付ける。コ字型金物9は、その凹部9aを第1壁枠16及び第2壁枠17と反対側に向けた状態で第1壁枠16及び第2壁枠17に当接させ、コ字型金物9の孔9bよりビス等を打ち込むことによって第1壁枠16及び第2壁枠17にコ字型金物9を固定する。
続いて、図3に示すように、手摺本体7の手摺溝7aに充填材15を充填した後、手摺溝7aにガラス面材4を嵌合させながら、手摺本体7の両端部を2つのコ字型金物9の凹部9aにそれぞれ嵌合させ、側孔9cよりビス等を打ち込むことによって手摺本体7をコ字型金物9に固定する。
その後、図1に示すように、手摺本体7の上面に鋼板8を載置し、鋼板8に穿設された複数の鋼板孔8aからビス等を打ち込むことで鋼板8を手摺本体7に固定する。そして、手摺本体7に上方から断面コ字型の第1化粧材11を接着剤等で取り付け、手摺本体7の下面にも平板状の第2化粧材12を、ガラス面材4を挟んで2つ取り付ける。また、下枠本体5に断面L型の下枠化粧材6を同じく接着剤等で、ガラス面材4を挟んで2つ取り付ける。
以上の実施形態によれば、合板からなる手摺本体7を使用するため、金属製の手摺本体を使用する場合に比して、材料コストを抑えることができる。また、手摺本体7には、その長手方向に延在する鋼板8が固定される上、鋼板8は、ガラス面材4に対して垂直に手摺本体7に固定されているため、手摺2の剛性が大きくなる。従って、人によって手摺2に力が作用した際に、手摺2が短手方向に撓むのを防ぐことができ、ガラス面材4が手摺2から外れたり、破損するのを防ぐことができる。
また、手摺本体7及び鋼板8を第1化粧材11及び第2化粧材12で覆うため、手摺本体7と、鋼板8と、手摺本体7及び鋼板8の接合部分とが露出するのを防ぐことができる。従って、意匠的に優れた手摺2とすることができる。
さらに、第1化粧材11及び第2化粧材12は、原料が比較的安価なセルロース系微紛粒と樹脂とを混合し、かつ溶融させて成形してなっている。そしてこれらの工程を経て得られる第1化粧材11及び第2化粧材12は、セルロース系微粉粒が、第1化粧材11及び第2化粧材12の表面に露出するため、木質感に加えて、天然の木目に極めて近い木目模様が形成される。しかも、通常の木材に比べて、水分を吸収し難く、伸縮が少なく寸法安定性に優れているものである。従って、材料コストを抑えながら意匠的、材料的にも優れた手摺2とすることができる。
また、コ字型金物9の凹部9aを第1壁枠16及び第2壁枠17と反対側に向けた状態でコ字型金物9を固定し、その凹部9aに、手摺本体7の端部を嵌合して固定する。従って、釘の斜め打ちや接着剤などによって手摺本体7を第1壁枠16、第2壁枠17に直接固定する場合に比して、第1壁枠16及び第2壁枠17と手摺本体7とを強固に固定することができる。
なお、以上の実施形態においては、建物内の中間床に、吹き抜けに面して設けたガラス手摺構造としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バルコニーや廊下、階段等に設けられるガラス手摺でもよい。
また、手摺の両端部が壁枠に支持される構成としたが、壁や柱等に支持されても構わない。
さらに、各部材の取付方法及び固定方法も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明を適用したガラス手摺の一実施形態の構成を示す縦断面図である。 本発明を適用したガラス手摺の一実施形態の構成を示す正面図である。 手摺本体とコ字型金物と鋼板の分解斜視図である。
符号の説明
1 ガラス手摺
2 手摺
3 下枠
4 ガラス面材
5 下枠本体
5a 下枠溝
7 手摺本体
7a 手摺溝
8 鋼板
9 コ字型金物
9a 凹部
11 第1化粧材
12 第2化粧材
16 第1壁枠
17 第2壁枠

Claims (3)

  1. ガラス面材と、このガラス面材の上端部に設けられる手摺とを備えるガラス手摺構造において、
    前記手摺は、木製の手摺本体と、
    この手摺本体の長手方向に延在し、かつ前記ガラス面材に対して垂直に配設された金属板からなる補強材とを備え、
    この補強材が前記手摺本体の上面に固定され、
    前記手摺は、前記手摺本体及び補強材を覆う化粧材を備えることを特徴とするガラス手摺構造。
  2. 前記化粧材は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合しかつ溶融させて成形してなるものであることを特徴とする請求項に記載のガラス手摺構造。
  3. 前記手摺は、コ字型金物を少なくとも1つ備え、
    このコ字型金物は、その凹部を前記コ字型金物を固定すべき固定面と反対側に向けた状態で前記固定面に固定され、
    前記手摺本体は、前記凹部に手摺本体の端部を嵌合した状態で前記コ字型金物に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス手摺構造。
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