JP4551026B2 - Iii族窒化物結晶成長装置およびiii族窒化物結晶成長方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶成長装置およびiii族窒化物結晶成長方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、その殆どがサファイア基板あるいはSiC基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いる場合には、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなる。このために、デバイス特性が悪く、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという問題がある。
【0003】
更に、サファイア基板の場合には絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長したIII族窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題がある。また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端面を劈開で得ることが容易ではない。このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行っているが、この場合にも、従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で容易に行うことが不可能であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
【0004】
これらの問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長やその他の工夫を行うことで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。
【0005】
例えば文献「Japanese Journal of Applied Physics Vol.36(1997) Part 2, No.12A, L1568-1571」(以下、第1の従来技術という)には、図10に示すようなレーザダイオード(LD)が示されている。図10のレーザダイオードは、MO−VPE(有機金属気相成長)装置にてサファイア基板1上にGaN低温バッファ層2とGaN層3を順次成長した後に、選択成長用のSiO2マスク4を形成する。このSiO2マスク4は、別のCVD(化学気相堆積)装置にて、SiO2膜を堆積した後に、フォトリソグラフィ,エッチング工程を経て形成される。次に、このSiO2マスク4上に再度、MO−VPE装置にて20μmの厚さのGaN膜3’を成長することで、横方向にGaNが選択成長し、選択横方向成長を行わない場合に比較して結晶欠陥を低減させている。更に、その上層に形成されている変調ドープ歪み超格子層(MD−SLS)5を導入することで、活性層6へ結晶欠陥が延びることを防いでいる。この結果、選択横方向成長及び変調ドープ歪み超格子層を用いない場合に比較して、デバイス寿命を長くすることが可能となる。
【0006】
この第1の従来技術の場合には、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比べて、結晶欠陥を低減させることが可能となるが、サファイア基板を用いることによる、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。更には、SiO2マスク形成工程を挟んで、MO−VPE装置による結晶成長が2回必要となり、工程が複雑化するという問題が新たに生じる。
【0007】
また、別の方法として、例えば文献「Applied Physics Letters, Vol.73, No.6, p.832-834(1998)」(以下、第2の従来技術という)には、GaN厚膜基板を応用することが提案されている。この第2の従来技術では、前述の第1の従来技術での20μmの選択横方向成長後に、H−VPE(ハイドライド気相成長)装置にて200μmのGaN厚膜を成長し、その後に、この厚膜成長したGaN膜を150μmの厚さになるように、サファイア基板側から研磨することにより、GaN基板を作製する。このGaN基板上に、MO−VPE装置を用いて、LDデバイスとして必要な結晶成長を順次行ない、LDデバイスを作製することで、結晶欠陥を低減させることが可能になるとともに、サファイア基板を用いることによる絶縁性と劈開に関する前述の問題点を解決することが可能となる。なお、この第2の従来技術と同様のものとして、特開平11−4048号が提案されており、図11には特開平11−4048号の半導体レーザが示されている。
【0008】
しかしながら、この第2の従来技術は、第1の従来技術よりも更に工程が複雑になっており、より一層のコスト高になる。また、この第2の従来技術の方法で200μm程度の厚さのGaN厚膜を成長する場合には、基板であるサファイアとの格子定数差及び熱膨張係数差に伴う応力が大きくなり、基板の反りやクラックが生じるという問題が新たに発生する。
【0009】
この問題を回避するために、特開平10−256662号には、厚膜成長する元の基板(サファイアとスピネル)の厚さを1mm以上とすることが提案されている。このように、厚さ1mm以上の基板を用いることにより、200μmの厚膜のGaN膜を成長させても、基板の反りやクラックを生じさせないようにしている。しかしながら、このように厚い基板は、基板自体のコストが高く、また研磨に多くの時間を費やす必要があり、研磨工程のコストアップにつながる。すなわち、厚い基板を用いる場合には、薄い基板を用いる場合に比べて、コストが高くなる。また、厚い基板を用いる場合には、厚膜のGaN膜を成長した後には基板の反りやクラックが生じないが、研磨の工程で応力緩和し、研磨途中で反りやクラックが発生する。このため、厚い基板を用いても、容易に、結晶品質の高いGaN基板を大面積化で作製することはできない。
【0010】
一方、文献「Journal of Crystal Growth, Vol.189/190, p.153-158(1998)」(以下、第3の従来技術という)には、GaNのバルク結晶を成長させ、それをホモエピタキシャル基板として用いることが提案されている。この第3の従来技術は、1400〜1700℃の高温、及び数10kbarもの超高圧の窒素圧力中で、液体GaからGaNを結晶成長させる手法となっている。この場合には、このバルク成長したGaN基板を用いて、デバイスに必要なIII族窒化物半導体膜を成長することが可能となる。従って、第1及び第2の従来技術のように工程を複雑化させることなく、GaN基板を提供できる。
【0011】
しかしながら、第3の従来技術では、高温,高圧中での結晶成長が必要となり、それに耐えうる反応容器が極めて高価になるという問題がある。加えて、このような成長方法をもってしても、得られる結晶の大きさは高々1cm程度であり、デバイスを実用化するには小さ過ぎるという問題がある。
【0012】
この高温,高圧中でのGaN結晶成長の問題点を解決する手法として、文献「Chemistry of Materials Vol.9 (1997) p.413-416」(以下、第4の従来技術という)には、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。この方法はアジ化ナトリウム(NaN3)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶を成長させるものである。この第4の従来技術の場合には、600〜800℃程度の比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm2程度と第3の従来技術に比較して圧力を低くできる点が特徴である。しかし、この第4の従来技術の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。この程度の大きさではデバイスを実用化するには第3の従来技術と同様に小さすぎる。
【0013】
また、この第4の従来技術の場合には、NaN3から分解したNaは結晶成長終了後に、反応生成物とはならず、金属Naとして、あるいは、NaとGaの金属間化合物として、反応容器内に残留する。結晶成長終了後、GaN結晶を取り出す際にはアルコールによる置換により金属Naを除去したり、王水によりNaとGaの金属間化合物を除去したりする。この場合に、Naが反応生成物として消費されないにもかかわらず、Naを除去してしまうという問題がある。これは、工業的に量産化する際にNaの消費量が増大することにつながり、コスト高の要因となる。さらに、Naのアルコール置換による除去や、NaとGaの金属間化合物の王水による除去では、その廃液を処理するという問題が残り、環境汚染やあるいは廃液処理コストの増大につながる。
【0014】
また、特開2000−327495号(以下、第5の従来技術という)には、上述の第4の従来技術と基板を用いたエピタキシャル法を組み合わせた技術が提案されている。この第5の従来技術では、予め基板表面にGaNあるいはAlNを成長させたものを基板として用い、この上に第4の従来技術を用いてGaN膜をエピタキシャル成長させる。しかし、この第5の従来技術は基本的にエピタキシャル成長であり、第1や第2の従来技術と同様に結晶欠陥の問題解決には至らない。更に、予めGaN膜あるいはAlN膜を基板上に成長させるため、工程が複雑となり高コストにつながる。
【0015】
また、最近、特開2000−12900号及び特開2000−22212号(以下、第6の従来技術という)には、GaAs基板を用いてGaN厚膜基板を作製する方法が提案されている。図12,図13には、この第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法が示されている。先ず、図12を参照すると、(111)GaAs基板60上に第1の従来技術と同様にSiO2膜やSiN膜をマスク61として、GaN膜63を70μm〜1mmの厚さに選択成長する(図12(1)〜(3))。この結晶成長はH−VPEにより行う。その後、王水によりGaAs基板60をエッチング,除去し、GaN自立基板63を作製する(図12(4))。このGaN自立基板63を元に、更に再度H−VPEにより、数10mmの厚さのGaN結晶64を気相成長させる(図13(1))。この数10mmの厚さのGaN結晶64をスライサーによりウェハ状に切り出し、GaNウェハを作製する(図13(2),(3))。
【0016】
この第6の従来技術では、GaN自立基板63が得られ、更に数10mmの厚さのGaN結晶64を得ることができる。しかしながら、第6の従来技術には次のような問題点がある。すなわち、SiN膜やSiO2膜を選択成長用マスクとして用いるため、その作製工程が複雑になり、コスト高につながる。また、H−VPEにより数10mmの厚さのGaN結晶を成長させる際に、反応容器内にも同様の厚さのGaN結晶(単結晶や多結晶)やアモルファス状のGaNが付着し、このため、量産性に問題がある。また、GaAs基板が犠牲基板として一回の成長毎にエッチング,除去されるため、コスト高につながる。また、結晶品質に関しても、基本的にはGaAsという異種基板上の結晶成長からくる、格子不整、熱膨張係数の違いによる、欠陥密度が高いという問題も残る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、第1,第2,第5あるいは第6の従来技術の問題点である工程を複雑化させることなく、また、第3の従来技術の問題点である高価な反応容器を用いることも無く、かつ、第3,第4の従来技術の問題点である結晶の大きさが小さくなることなく、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するために実用的な大きさで、かつ、低コスト,高品質のIII族窒化物結晶を成長させることの可能なIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶成長装置を提供することを目的としている。
【0018】
さらに、本発明は、第4の従来技術のようにNaの処理に伴う問題を解決することを目的としている。すなわち、Naなどのアルカリ金属を用いてIII族窒化物結晶を成長させるときに、直接反応生成物を形成しないアルカリ金属(例えばNa)をアルコールや酸等の薬液を用いずに、置換やエッチングすることなく、III族窒化物結晶を取り出すことの可能なIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶成長方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長装置であって、1つの反応容器内に、複数の混合融液保持容器を設け、該混合融液保持容器の温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を有していることを特徴としている。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のIII族窒化物結晶成長装置において、前記複数の温度制御領域は、一の温度制御領域にあるアルカリ金属を他の温度制御領域に輸送するためのアルカリ金属輸送領域によって連通していることを特徴としている。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載のIII族窒化物結晶成長装置において、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段が設けられていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載のIII族窒化物結晶成長装置において、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離あるいは一体化するための仕切り手段が設けられていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のIII族窒化物結晶成長装置において、前記仕切り手段によって複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離している状態で、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を独立に制御することが可能に構成されていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5記載のIII族窒化物結晶成長装置において、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を一体化してアルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段が設けられていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項7記載の発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させることを特徴としている。
【0026】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載のIII族窒化物結晶成長方法において、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
【0027】
また、請求項9記載の発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、複数の温度制御領域で順次に行ない、アルカリ金属を複数の温度制御領域間で順次に輸送することを特徴としている。
【0028】
また、請求項10記載の発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうことを特徴としている。
【0029】
また、請求項11記載の発明は、請求項10記載のIII族窒化物結晶成長方法において、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうことを特徴としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
本発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるときに、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を有していることを特徴としている。
【0032】
ここで、III族窒化物結晶を成長させるのに、反応容器内には、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質、及び、少なくとも窒素を含む物質が存在している。これらの物質は、外部から供給されても良いし、あるいは、最初から反応容器内に存在していても良い。
【0033】
また、この反応容器には温度制御機能が具備されており、結晶成長可能な温度に上げること、及び、結晶成長が停止する温度に下げること、及び、それらの温度に任意の時間保持することが可能となっている。反応容器内の温度および実効窒素分圧をIII族窒化物結晶が結晶成長する条件に設定することにより、III族窒化物の結晶成長を開始させることができる。
【0034】
また、温度制御領域とは、結晶成長可能な温度に上げること、及び、結晶成長が停止する温度に下げること、及び、それらの温度に任意の時間保持することが可能な領域であり、本発明では、この温度制御領域が複数あり、それらが独立に温度制御可能となっている。
【0035】
また、本発明において、窒素とは、窒素分子あるいは窒素を含む化合物から生成された窒素分子や原子状窒素、および窒素を含む原子団および分子団のことである。
【0036】
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。図1を参照すると、反応容器101内には、第1の混合融液保持容器102と、第2の混合融液保持容器112とが設置されている。また、第1の混合融液保持容器102を任意の温度に加熱制御可能なように第1の加熱装置106が設置され、また、第2の混合融液保持容器112を任意の温度に加熱制御可能なように第2の加熱装置116が設置されている。この第1の加熱装置106と第2の加熱装置116とは、各々独立に、混合融液保持容器102,112を温度制御できるものである。
【0037】
換言すれば、混合融液保持容器102および第1の加熱装置106が、第1の温度制御領域として機能し、また、混合融液保持容器112および第2の加熱装置116が、第2の温度制御領域として機能するようになっている。
【0038】
また、第1の混合融液保持容器102の上部と第2の混合融液保持容器112の上部は、各々開口しており、連結管108によって連通している。この連結管108を加熱制御可能なように連結管加熱装置107が設置されている。ここで、連結管108は、第1,第2の温度制御領域のうちの一の温度制御領域から他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送するためのアルカリ金属輸送領域として機能するようになっている。換言すれば、第1,第2の温度制御領域は、一の温度制御領域にあるアルカリ金属を他の温度制御領域に輸送するためのアルカリ金属輸送領域によって連通している。
【0039】
また、反応容器101内に窒素を含む物質(この例では、窒素ガスとする)を供給するために、窒素供給管104が設けられており、また、反応容器101内に供給される窒素圧力を調整するために、圧力調整機構105が設けられている。なお、この圧力調整機構105は圧力センサー及び圧力調整弁等により構成されている。また、連結管108と混合融液保持容器102,112の上部との間には、窒素ガスが出入可能な程度の隙間は設けられている。
【0040】
また、反応容器101の材質は、例えばステンレスからなっており、混合融液保持容器102,112,連結管108の材質は、例えば、BN(窒化ホウ素)あるいはパイロリティックBNなどからなっている。
【0041】
このような構成のIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法を図2を用いて説明する。なお、図2において、図2(a)乃至(d)は第1の混合融液保持容器102の状態を示す図であり、図2(e)乃至(h)は第2の混合融液保持容器112の状態を示す図である。図2を参照すると、先ず、図2(a),(e)に示すように、第1の混合融液保持容器102内には、III族金属としてのGaとアルカリ金属としてのNaとの混合融液103を準備しておく。このとき、第2の混合融液保持容器112内には、III族金属としてのGa114のみが入っている。
【0042】
このような状況下で、反応容器101内の窒素圧力を例えば50気圧にし、また、第1の混合融液保持容器102の温度を結晶成長が開始する温度750℃まで第1の加熱装置106を用いて昇温する。このとき、第2の混合融液保持容器112内の温度も同様に、750℃になるように第2の加熱装置116を用いて昇温されており、連結管108の温度も同様に、750℃となるように連結管加熱装置107によって加熱されている。この成長条件を一定時間保持することで、III族窒化物であるGaN結晶109が第1の混合融液保持容器102内に成長する。このとき、2つの混合融液保持容器102,112間にはNaの輸送は起こらず、第2の混合融液保持容器112内にはアルカリ金属としてのNaが無いために、GaN結晶は成長しない。
【0043】
所望形状のIII族窒化物結晶(GaN結晶)が第1の混合融液保持容器102内で成長するまで、上記の温度,窒素圧力条件を継続する。このとき、図2(b)に示すように、第1の混合融液保持容器102内では、全てのGaはGaN結晶として消費されて、GaN結晶109とNa111のみが存在する状態となる。なお、このとき、第2の混合融液保持容器112内は、図2(f)に示すように、図2(e)と同じ状態である。
【0044】
次に、窒素圧力を常圧まで下げた後、第1の混合融液保持容器102と連結管108の温度を900℃に上げ、第2の混合融液保持容器112の温度を室温まで下げる。この状態を一定時間保つことで、第1の混合融液保持容器102から第2の混合融液保持容器112へアルカリ金属としてのNa111が移動する。すなわち、第1の混合融液保持容器102内に存在していたNa111が蒸発し、Na111は温度の低い第2の混合融液保持容器112内に移動する。このとき、図2(c)に示すように、第1の混合融液保持容器102内にはGaN結晶109のみが残る。そして、第2の混合融液保持容器112内の温度を100℃程度に上げることで、第2の混合融液保持容器112内では、図2(g)に示すように、NaとGaが混合融液113を形成する。
【0045】
次に、反応容器101内の窒素圧力を再度50気圧に昇圧し、第1の混合融液保持容器102及び連結管108の温度を750℃に保ったまま、第2の混合融液保持容器112の温度を750℃に昇温する。この状態を一定時間保持することで、GaN結晶117が第2の混合融液保持容器112内に成長する。すなわち、第2の混合融液保持容器112内に当初準備していたGa114が全てGaN結晶として反応することで、第2の混合融液保持容器112内には、図2(h)に示すように、所望のGaN結晶117とNa115のみが残る。なお、このとき、第1の混合融液保持容器102内は、図2(d)に示すように、図2(c)と同じ状態である。そして、このとき、第1の混合融液保持容器102からGaN結晶109を取り出すことができる。
【0046】
このIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法では、アルカリ金属であるNaを2回のIII族窒化物結晶(GaN結晶)の成長に用いている。第4の従来技術で述べたように一度のIII族窒化物結晶成長でアルカリ金属を消費する場合と比較すると、アルカリ金属の消費量が半分で済み、低コスト,低環境負荷につながる。
【0047】
また、アルカリ金属であるNaを気相状態を介して液相状態に戻すことで不純物を低減させる、すなわちNaの精製効果もある。従って、不純物が少ない高品質なIII族窒化物結晶(GaN結晶)を成長させることが可能となる。
【0048】
このように、図1のIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶成長方法では、第1の温度制御領域でIII族窒化物結晶を結晶成長させた後、第2の温度制御領域にアルカリ金属(Na)を輸送させて、第2の温度制御領域でIII族窒化物結晶を結晶成長させるようになっている。
【0049】
すなわち、最初に、反応容器101内にある、複数の独立制御可能な温度制御領域のうちの一の温度制御領域(第1の温度制御領域)でIII族窒化物結晶を成長させる。次に、他の温度制御領域(第2の温度制御領域)にアルカリ金属(Na)を輸送させる。ここで、アルカリ金属(Na)を輸送する方法は、第1の温度制御領域の温度をアルカリ金属(Na)が蒸発する温度以上に上昇させ、第2の温度制御領域の温度をアルカリ金属(Na)が蒸発しない温度より低く設定する。この状態を継続することで、アルカリ金属(Na)を第1の温度制御領域から第2の温度制御領域に輸送させることが可能となる。この後、第2の温度制御領域で第1の温度制御領域で行ったと同様にIII族窒化物結晶を成長させる。
【0050】
第1の温度制御領域から第2の温度制御領域までアルカリ金属(Na)を輸送させる場合に、第1の温度制御領域の温度と第2の温度制御領域の温度が最も重要であり、特に規定するものではないが、それ以外の領域の温度は、望ましくは、第1の温度制御領域の温度と同様に、アルカリ金属が蒸発する温度である方が良い。これは第2の温度制御領域に、効率的にアルカリ金属を輸送するためである。
【0051】
なお、図1の構成例では、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域として、2つの温度制御領域(第1の混合融液保持容器102および第1の加熱装置106の第1の温度制御領域と、第2の混合融液保持容器112および第2の加熱装置116の第2の温度制御領域との2つの温度制御領域)が設けられているが、3つ以上の温度制御領域を設けるようにしても良い。すなわち、混合融液保持容器およびその加熱装置を3つ以上、1つの反応容器内に設置しても良い。
【0052】
図3は1つの反応容器101内に3つ以上の温度制御領域(第1,第2,第3,…,第n,第n+1,…の温度制御領域)が設けられている構成例を示す図である。なお、図3において、互いに隣接する温度制御領域間は、アルカリ金属を異なる温度制御領域に輸送するためのアルカリ金属輸送領域によって連通している。
【0053】
図3の構成では、先ず、第1の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長した後に、第1の温度制御領域から第2の温度制御領域にアルカリ金属を輸送し、第2の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長する。次に、第2の温度制御領域から第3の温度制御領域にアルカリ金属を輸送し、第3の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長する。このように、第1,第2,第3,…,第n,第n+1,…の各温度制御領域にアルカリ金属を順次に輸送し、第1,第2,第3,…,第n,第n+1,…の各温度制御領域においてIII族窒化物を順次に結晶成長させることができる。
【0054】
このとき、アルカリ金属を輸送する際に、アルカリ金属が存在する(第nの)温度制御領域の温度はアルカリ金属が蒸発する温度以上になっており、アルカリ金属が輸送される(第n+1の)温度制御領域の温度は、アルカリ金属が蒸発する温度より低い。それ以外(第nと第n+1以外)の温度制御領域の温度はアルカリ金属が蒸発する温度に設定されており、アルカリ金属が輸送されることは無い。
【0055】
このように、図3の構成では、III族窒化物の結晶成長とNa輸送を3回以上行なうことで、図1の構成よりもさらにアルカリ金属(Na)の消費量を低減することができ、低コスト,低環境負荷を実現できる。また、図1の構成において述べたNaの精製効果がNa輸送回数をさらに重ねることで、より効果的になり、Naのより一層の高純度化を図ることが可能となり、高品質のIII族窒化物を結晶成長させることが可能になる。
【0056】
また、図4は、図1のIII族窒化物結晶成長装置の変形例を示す図である。図4のIII族窒化物結晶成長装置は、図1のIII族窒化物結晶成長装置において、反応容器101に真空ポンプ403が付加されたものとなっている。すなわち、真空ポンプ403は、排気配管401により、反応容器101に接続されている。そして、反応容器101と真空ポンプ403との間の排気配管401の途中には、排気バルブ402が設置されている。
【0057】
このような構成では、真空ポンプ403および排気配管401により、反応容器101内の雰囲気を減圧にすることが可能となっており、また、排気バルブ402により、真空ポンプ403と反応容器101内の雰囲気とを分離したり一体化したりすることが可能となっている。すなわち、真空ポンプ403を動作させ、排気バルブ402を開けることで、反応容器101内の雰囲気を減圧することが可能となっている。
【0058】
すなわち、このような真空ポンブ403,排気配管401,排気バルブ402は、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段として設けられている。
【0059】
図4のIII族窒化物結晶成長装置では、一の温度制御領域にあるアルカリ金属を他の温度制御領域に輸送する前に、真空ポンプ403によって反応容器101内を減圧にし、反応容器101内を減圧にした状態で、上述したような仕方でNaの輸送を行う。この場合、反応容器101内が減圧されているので、反応容器101内を常圧にした状態でNaを輸送する場合に比べて、Naを高速に輸送することが可能となる。従って、より低コストでのGaN結晶の成長が可能となる。
【0060】
以上のように、第1の実施形態では、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させる場合に、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させるようになっている。
【0061】
より詳細に、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、複数の温度制御領域で順次に行ない、アルカリ金属を複数の温度制御領域間で順次に輸送するようになっている。
【0062】
第2の実施形態
図5は本発明の第2の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。図5を参照すると、反応容器201内には、第1の混合融液保持容器202と、第2の混合融液保持容器212とが設置されている。また、第1の混合融液保持容器202を任意の温度に加熱制御可能なように第1の加熱装置206が設置され、また、第2の混合融液保持容器212を任意の温度に加熱制御可能なように第2の加熱装置216が設置されている。この第1の加熱装置206と第2の加熱装置216とは、各々独立に、混合融液保持容器202,212を温度制御できるものである。
【0063】
換言すれば、第1の混合融液保持容器202および第1の加熱装置206が、第1の温度制御領域として機能し、また、第2の混合融液保持容器212および第2の加熱装置216が、第2の温度制御領域として機能するようになっている。
【0064】
また、反応容器201全体の温度を混合融液とは独立に加熱制御可能なように、反応容器加熱装置207が設置されている。なお、この反応容器加熱装置207は反応容器201の外側に配置されている。
【0065】
また、図5のIII族窒化物結晶成長装置では、第1の混合融液保持容器202の周辺雰囲気220と第2の混合融液保持容器212の周辺雰囲気221との分離あるいは一体化の制御が可能なように、仕切り手段としてゲートバルブ208が設置されている。換言すれば、図5のIII族窒化物結晶成長装置では、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離あるいは一体化するための仕切り手段が設けられている。
【0066】
ここで、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離するということは、異なる温度制御領域の雰囲気を全く独立のままに保持することが可能であるということであり、それらの領域の雰囲気が混じらないようにすることである。また、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を一体化するということは、これらの領域を同じ雰囲気にすることが可能であるということである。これらの雰囲気を分離あるいは一体化の制御が可能な仕切り手段は、雰囲気の分離,一体化を任意に繰り返すことが可能となっている。
【0067】
図5のIII族窒化物結晶成長装置では、ゲートバルブ208を開放することで、第1の混合融液保持容器202の周辺雰囲気220と第2の混合融液保持容器212の周辺雰囲気221とを一体化することができる。また、ゲートバルブ208を閉じることで、第1の混合融液保持容器202の周辺雰囲気220と第2の混合融液保持容器212の周辺雰囲気221とを分離することができる。
【0068】
また、この第2の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置では、上記仕切り手段によって複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離している状態で、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を独立に制御することが可能に構成されている。
【0069】
すなわち、図5のIII族窒化物結晶成長装置では、第1の温度制御領域あるいは第2の温度制御領域のいずれかでIII族窒化物結晶を成長する際には、第1の温度制御領域と第2の温度制御領域の雰囲気を仕切り手段208により分離するようになっている。また、アルカリ金属(Na)を輸送する際には、仕切り手段208を開放し、第1の温度制御領域と第2の温度制御領域の雰囲気とを一体化する。
【0070】
なお、このアルカリ金属(Na)を輸送する仕方は、第1の実施形態における場合と同様である。すなわち、第1の温度制御領域から第2の温度制御領域にアルカリ金属を輸送する場合には、この2つの領域の雰囲気を一体化しておき、第1の温度制御領域をアルカリ金属が蒸発する温度以上に保持した上で、第2の温度制御領域の温度をアルカリ金属が蒸発する温度より低くしておく。そうすることで、アルカリ金属は第1の温度制御領域から第2の温度制御領域に輸送される。
【0071】
また、図5のIII族窒化物結晶成長装置では、第1の混合融液保持容器202の周辺雰囲気220(以下、第1の雰囲気220と称す)に窒素を含む物質(この例では、窒素ガス)を供給するために、第1の窒素供給管204が設けられており、また、第2の混合融液保持容器212の周辺雰囲気221(以下、第2の雰囲気221と称す)に窒素を含む物質(この例では、窒素ガス)を供給するために、第2の窒素供給管224が設けられている。また、第1の雰囲気220内に供給される窒素圧力を調整するために、第1の圧力調整機構205が設けられ、第2の雰囲気221内に供給される窒素圧力を調整するために、第2の圧力調整機構225が設けられている。なお、これらの圧力調整機構205,225は圧力センサー及び圧力調整弁等から構成されている。
【0072】
また、反応容器201の材質は、例えばステンレスからなっており、第1,第2の混合融液保持容器202,212の材質は、例えば、BN(窒化ホウ素)あるいはパイロリティックBNなどからなっている。
【0073】
このような構成のIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法を図6を用いて説明する。なお、図6において、図6(a)乃至(d)は第1の混合融液保持容器202の状態を示す図であり、図6(e)乃至(h)は第2の混合融液保持容器212の状態を示す図である。図6を参照すると、先ず、図6(a),(e)に示すように、第1の混合融液保持容器202内には、III族金属としてのGaとアルカリ金属としてのNaとの混合融液203を準備しておき、第2の混合融液保持容器212内には、III族金属としてのGa214を準備しておく。このとき、反応容器201内の2つの雰囲気220,221は、分離していても、あるいは一体化していてもどちらでも良い。すなわち、ゲートバルブ208は、閉じた状態でも、開放の状態でもどちらでも良い。
【0074】
次に、ゲートバルブ208を閉じ、第1の雰囲気220の窒素圧力を例えば50気圧にし、第1の混合融液保持容器202の温度を結晶成長が開始する温度750℃まで第1の加熱装置206を用いて昇温する。このとき、第2の混合融液保持容器212内の温度は室温のままである。この成長条件を一定時間保持することで、III族窒化物であるGaN結晶209が第1の混合融液保持容器202内に成長する。所望形状のGaN結晶が第1の混合融液保持容器202内で成長するまで、上記の温度,窒素圧力条件を継続する。このとき、第1の混合融液保持容器202内では、全てのGaはGaN結晶として消費されて、図6(b)に示すように、GaN結晶209とNa211のみが存在する状態となる。また、このとき、ゲートバルブ208が閉じていることで、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とは分離されたままであることから、2つの混合融液保持容器201,212間にはNaの輸送は起こらず、第2の混合融液保持容器212内には、図6(f)に示すように、図6(e)と同様に、Ga214が存在するのみである。
【0075】
次に、第1の雰囲気220の窒素圧力を常圧まで下げた後に、ゲートバルブ208を開放し、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とを一体化する。この状態で、第1の混合融液保持容器202の温度を900℃に上げ、第2の混合融液保持容器212の温度は室温のままとする。この状態を一定時間保つことで、第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212へNa211が移動する。すなわち、第1の混合融液保持容器202内に存在していたNa211が蒸発し、Na211は温度の低い第2の混合融液保持容器212内に移動する。このとき、図6(c)に示すように、第1の混合融液保持容器202内にはGaN結晶209のみが残る。また、このとき、反応容器201の内壁にNaが付着しない程度に、反応容器加熱装置207を用いて、反応容器201の温度を800℃程度に上げておく。そして、第2の混合融液保持容器212内の温度を100℃程度に上げることで、図6(g)に示すように、第2の混合融液保持容器212内には、NaとGaとの混合融液213が形成される。このように、第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212にNaの輸送が完了した後に、第1の混合融液保持容器202及び反応容器201全体の温度を室温に戻す。
【0076】
次に、ゲートバルブ208を閉じ、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とを分離し、第2の雰囲気221の窒素圧力を50気圧に昇圧する。そして、第1の混合融液保持容器202の温度を室温のまま、第2の混合融液保持容器212の温度を750℃に昇温する。この状態を一定時間保持することで、第2の混合融液保持容器212内には、GaN結晶217が成長する。当初準備していたGaが全てGaN結晶として反応することで、第2の混合融液保持容器212内には、図6(h)に示すように、所望のGaN結晶217とNa215のみが残る。なお、このとき、第1の混合融液保持容器102内は、図2(d)に示すように、図2(c)と同じ状態である。
【0077】
図6の例では、アルカリ金属であるNaを2回のIII族窒化物結晶(GaN結晶)の成長に用いている。第4の従来技術で述べたように一度のIII族窒化物結晶成長でアルカリ金属を消費する場合と比較すると、アルカリ金属の消費量が半分で済み、低コスト,低環境負荷につながる。
【0078】
また、アルカリ金属であるNaを気相状態を介して液相状態に戻すことで不純物を低減させる、すなわちNaの精製効果もある。従って、不純物が少ない高品質なIII族窒化物結晶(GaN結晶)を成長させることが可能となる。
【0079】
なお、図6の例では、第1の混合融液保持容器202においてIII族窒化物を結晶成長させた後、Naを第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212に移動させ、第2の混合融液保持容器212においてIII族窒化物を結晶成長させるようにしているが、この後、さらに、Naを第2の混合融液保持容器212から第1の混合融液保持容器202に移動させて第1の混合融液保持容器202においてIII族窒化物を結晶成長させるというように、第1の混合融液保持容器202と第2の混合融液保持容器212との間でNaを交互に繰り返し移動させて、第1の混合融液保持容器202と第2の混合融液保持容器212とで交互にIII族窒化物を複数回繰り返すことができる。
【0080】
図7には、図6の最後の状態の後(すなわち、図6(d),図6(h)の状態の後)、同じNaを用いたまま、第1の混合融液保持容器202と第2の混合融液保持容器212との間で、さらに複数回結晶成長を繰り返す例が示されている。なお、図7において、図7(a)乃至(d)は第1の混合融液保持容器202の状態を示す図であり、図7(e)乃至(h)は第2の混合融液保持容器212の状態を示す図である。
【0081】
図7を参照すると、図6の例において、第2の混合融液保持容器212でIII族窒化物の結晶成長が終わった後(図6(d),(h)の状態において)、第2の混合融液保持容器212の温度を室温に戻す。このときNa215は第2の混合融液保持容器212内にある。そして、ゲートバルブ208を閉じたまま、図6(d)の状態の第1の混合融液保持容器202からGaN209を取り出し、図7(a)に示すように、金属Ga301を第1の混合融液保持容器202内に新たに収容する。このとき、第1の混合融液保持容器202からGaN結晶209のみを取り出し、Ga301と入れ替えても良いし、あるいは、混合融液保持容器202ごと入れ替えても良い。また、このとき、第2の混合融液保持容器212内は、図7(e)に示すように、図6(h)と同様の状態、すなわち、GaN結晶217とNa215とが存在しているままである。
【0082】
次に、第1の雰囲気220を窒素雰囲気に置換し、圧力を常圧にした状態で、ゲートバルブ208を開放し、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とを一体化する。そして、今度は第2の混合融液保持容器212から第1の混合融液保持容器202にNa215を輸送する。すなわち、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とを一体化した状態で、第2の混合融液保持容器212の温度を900℃に上げ、第1の混合融液保持容器202の温度は室温のままとする。この状態を一定時間保つことで、第2の混合融液保持容器212から第1の混合融液保持容器202へNa215が移動する。すなわち、第2の混合融液保持容器212内に存在していたNa215が蒸発し、温度の低い第1の混合融液保持容器202内に移動する。このとき、図7(f)に示すように、第2の混合融液保持容器212内にはGaN結晶217のみが残る。また、このとき、反応容器201の内壁にNaが付着しない程度に、反応容器加熱装置207を用いて温度を800℃程度に上げておく。そして、Na215の輸送が完了した後に、第2の混合融液保持容器212及び反応容器201全体の温度を室温に戻す。次いで、第1の混合融液保持容器202内の温度を100℃程度に上げることで、図7(b)に示すように、第1の混合融液保持容器202内では、NaとGaが混合融液302を形成する。
【0083】
次に、ゲートバルブ208を閉じ、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221とを分離し、第1の雰囲気220の窒素圧力を50気圧に昇圧する。そして、第2の混合融液保持容器212の温度を室温のままの状態にし、第1の混合融液保持容器202の温度を750℃に昇温する。この状態を一定時間保持することで、GaN結晶303が第1の混合融液保持容器202内に成長する。当初準備していたGaが全てGaN結晶として反応することで、第1の混合融液保持容器202内には、図7(c)に示すように、所望のGaN結晶303とNa304のみが残る。
【0084】
第1の混合融液保持容器202内でのGaN結晶成長が完了した後に、第1の混合融液保持容器202の温度を室温に戻す。このとき、Na304は第1の混合融液保持容器202内にある。次に、ゲートバルブを閉じたまま、第2の混合融液保持容器212からGaN結晶217を取り出し、図7(g)に示すように金属Ga305を第2の混合融液保持容器212内に設置する。このとき、第2の混合融液保持容器212からGaN結晶217のみを取り出し、Ga305と入れ替えても良いし、あるいは、混合融液保持容器212ごと入れ替えても良い。また、このとき、第1の混合融液保持容器202内は、GaN結晶303とNa304が存在しているままである。
【0085】
次に第2の雰囲気221を窒素雰囲気に置換し、圧力を常圧にした状態で、ゲートバルブ208を開放し、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221を一体化する。前述したように、今度は第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212にNa304を輸送する。すなわち、第1の雰囲気220と第2の雰囲気221を一体化した状態で、第1の混合融液保持容器202の温度を900℃に上げ、第2の混合融液保持容器212の温度は室温のままとする。この状態を一定時間保つことで、第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212へNa304が移動する。すなわち、第1の混合融液保持容器202内に存在していたNa304が蒸発し、温度の低い第2の混合融液保持容器212内に移動する。このとき、図7(d)に示すように、第1の混合融液保持容器202内にはGaN結晶303のみが残る。また、このとき、反応容器201の内壁にNaが付着しない程度に、反応容器加熱装置207を用いて温度を800℃程度に上げておく。次いで、第2の混合融液保持容器212内の温度を100℃程度に上げることで、図7(h)に示すように、NaとGaとが混合融液306を形成する。このようにして、第1の混合融液保持容器202から第2の混合融液保持容器212内にNaの輸送が完了した後に、第1の混合融液保持容器202及び反応容器201全体の温度を室温に戻す。
【0086】
この状態は、図6(c),(g)の状態と同じであり、それ以後、同様の処理を繰り返し行なうことで、Naを交換することなく、Gaを交換することで、何度でもGaN結晶の成長が可能となる。従って、第1の実施形態以上にアルカリ金属であるNaの消費量を低減させることができ、低コスト,低環境負荷につながる。
【0087】
また、この第2の実施形態においても、Na輸送回数を重ねることで、Naの精製効果が得られ、Naの一層の高純度化を図ることが可能となる。
【0088】
なお、この第2の実施形態の上述の例では、2回目以降のGaN結晶の取り出しを、もう一方の混合融液保持容器での結晶成長が完了した後に行っているが、アルカリ金属を輸送した後に、次の結晶成長が開始する前に行なっても良い。
【0089】
このように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させる場合に、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させるようになっている。ただし、第2の実施形態では、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させる。
【0090】
また、第2の実施形態では、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうようになっている。
【0091】
より詳細に、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうようになっている。
【0092】
なお、ここで、交互に繰り返し行なうということは、III族窒化物の結晶成長,アルカリ金属の輸送を、第1の温度制御領域と第2の温度制御領域とで交互に繰り返し行なうということである。
【0093】
また、図8は、図5のIII族窒化物結晶成長装置の変形例を示す図である。図8のIII族窒化物結晶成長装置は、図5のIII族窒化物結晶成長装置において、反応容器201に真空ポンプ413が付加されたものとなっている。すなわち、真空ポンプ413は、排気配管411により、反応容器201に接続されている。そして、反応容器201と真空ポンプ413との間の排気配管411の途中には、排気バルブ412が設置されている。
【0094】
このような構成では、真空ポンプ413および排気配管411により、反応容器201内の雰囲気を減圧にすることが可能となっており、また、排気バルブ412により、真空ポンプ413と反応容器201の雰囲気とを分離したり一体化したりすることが可能となっている。すなわち、真空ポンプ413を動作させ、排気バルブ412を開けることで、反応容器201内の雰囲気を減圧することが可能となっている。
【0095】
すなわち、このような真空ポンブ413,排気配管411,排気バルブ412は、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段として設けられている。
【0096】
図8のIII族窒化物結晶成長装置では、一の温度制御領域にあるアルカリ金属を他の温度制御領域に輸送する前に、真空ポンプ413によって反応容器201内を減圧にし、反応容器201内を減圧にした状態で、上述したような仕方でNaの輸送を行う。この場合、反応容器201内が減圧されているので、反応容器201内を常圧にした状態でNaを輸送する場合に比べて、Naを高速に輸送することが可能となる。従って、より低コストでのGaN結晶の成長が可能となる。
【0097】
このように、本発明によれば、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するために実用的な大きさで、かつ、低コスト,高品質のIII族窒化物結晶(例えば、GaN結晶)を作製し、提供することができる。
【0098】
従って、このようにして得られた実用的な大きさの高品質のIII族窒化物結晶を用いて、高品質,高性能のIII族窒化物半導体デバイスを作製することができる。なお、ここで言う高性能とは、例えば半導体レーザや発光ダイオードの場合には、従来実現できていない高出力かつ長寿命なものであり、電子デバイスの場合には、低消費電力、低雑音、高速動作、高温動作可能なものであり、受光デバイスの場合には、低雑音、長寿命等のものである。
【0099】
例えば、III族窒化物半導体デバイスとして、400nmより短い波長で発光する半導体発光デバイスを作製することができる。すなわち、従来技術では、GaN膜の発光スペクトルが深い順位からの発光が支配的となり、400nmより短い波長ではデバイス特性が悪いという問題があったが、本発明では、紫外領域でも良好な特性を有する発光デバイスを提供することができる。すなわち、本発明により得られた高品質のIII族窒化物結晶を基板に用いることで、結晶欠陥,不純物の少ないIII族窒化物半導体デバイスが実現可能となり、その結果、深い順位からの発光が抑制された、高効率な発光特性を実現することが可能となる。
【0100】
図9は本発明により得られたIII族窒化物結晶を用いて作製されたIII族窒化物半導体デバイスの一例を示す図であり、図9の例では、III族窒化物半導体デバイスは半導体レーザとして構成されている。図9を参照すると、このIII族窒化物半導体デバイスは、本発明により得られたIII族窒化物結晶(GaN)を用いて作製したn型GaN基板501上に、n型AlGaNクラッド層502、n型GaNガイド層503、InGaN MQW(多重量子井戸)活性層504、p型GaNガイド層505、p型AlGaNクラッド層506、p型GaNコンタクト層507が順次に結晶成長されて積層構造として構成されている。なお、この結晶成長方法としては、MO−VPE(有機金属気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法等の薄膜結晶成長方法を用いることができる。
【0101】
そして、上記積層構造にはリッジ構造が形成され、SiO2絶縁膜508がコンタクト層507の領域のみ取り除かれた状態で形成され、コンタクト層507上にはp側オーミック電極Au/Ni509が形成されている。また、基板501の裏面にはn側オーミック電極Al/Ti510が形成されている。
【0102】
この半導体レーザでは、p側オーミック電極Au/Ni509及びn側オーミック電極Al/Ti510から電流を注入することで、レーザ発振し、図の矢印方向にレーザ光が出射される。
【0103】
この半導体レーザは、本発明により得られたGaN結晶を基板501として用いているため、半導体レーザデバイス中の結晶欠陥が少なく、大出力動作かつ長寿命のものとなる。また、GaN基板501はn型であることから、基板501に直接電極を形成することができ、第1の従来技術(図10)のようにp側とn側の2つの電極を表面からのみ取り出すことが必要なく、低コスト化を図ることが可能となる。更に、光出射端面を劈開で形成することが可能となり、チップの分離と併せて、低コストで高品質のデバイスを実現することができる。
【0104】
なお、図9の例では、InGaN MQWを活性層504としたが、AlGaN MQWを活性層504として、発光波長の短波長化を図ることも可能である。いずれにしても、図9の例では、GaN基板501の欠陥及び不純物が少ないことによって、深い順位からの発光が少なくなり、短波長化しても高効率な発光デバイスが可能となる。すなわち、より発光波長の短い発光デバイスの作製が容易となる。
【0105】
また、上述の例では、本発明により得られたIII族窒化物結晶の光デバイスへの適用について述べたが、本発明により得られたIII族窒化物結晶を電子デバイスに適用することもできる。すなわち、欠陥の少ないGaN基板を用いることで、その上にエピタキシャル成長したGaN系薄膜も結晶欠陥が少なく、その結果、リーク電流を抑制できたり、量子構造にした場合のキャリア閉じ込め効果を高めたり、高性能なデバイスが実現可能となる。
【0106】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項11記載の発明によれば、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるので、第1,第2の従来技術で記述したような、複雑な工程を必要とせず、低コストで高品質なIII族窒化物結晶及びそれを用いたデバイスを実現することが可能となる。さらに、1000℃以下と成長温度が低く、100気圧程度以下と圧力も低い条件下でIII族窒化物の結晶成長が可能となることから、第3の従来技術のように超高圧,超高温に耐えうる高価な反応容器を用いる必要がなく、その結果、低コストでのIII族窒化物結晶及びそれを用いたデバイスを実現することが可能となる。
【0107】
すなわち、請求項1乃至請求項11記載の発明によれば、第1,第2,第5あるいは第6の従来技術の問題点である工程を複雑化させることなく、また、第3の従来技術の問題点である高価な反応容器を用いることも無く、かつ、第3,第4の従来技術の問題点である結晶の大きさが小さくなることなく、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するために実用的な大きさで、かつ、低コスト,高品質のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
【0108】
特に、請求項1乃至請求項3,請求項7,請求項9記載の発明では、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させる場合に、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させるようになっており、アルカリ金属を異なる温度制御領域間で輸送することが可能となっているので、一回の結晶成長に必要なアルカリ金属量で、複数回のIII族窒化物の結晶成長を行うことができる。これは低コスト化及び環境負荷の低減につながる。さらに、アルカリ金属を気相状態を介して輸送することで、アルカリ金属の高純度化(精製)が可能となり、高純度なIII族窒化物結晶の成長を行うことが可能となる。
【0109】
さらに、請求項3記載の発明では、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段が設けられており、アルカリ金属を異なる温度制御領域に輸送する際に、アルカリ金属輸送領域を減圧状態にすることで、より効率的にアルカリ金属の輸送が可能となる。すなわち、減圧状態でアルカリ金属を輸送することで、常圧状態に比較して、高速にアルカリ金属を輸送することができる。その結果、低コストでIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。
【0110】
また、請求項4乃至請求項6,請求項8,請求項10,請求項11記載の発明では、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させるようになっているので、アルカリ金属を異なる温度制御領域間で輸送することが可能となることに加えて、アルカリ金属を反応容器内に留めたままで、所望のIII族窒化物結晶のみを取り出すことが可能となる。
【0111】
この結果、一回の結晶成長に必要なアルカリ金属量で、III族窒化物結晶の成長を複数回行なうことができ、しかも、メンテナンス等の特別な装置補修すること以外に、継続的にIII族窒化物結晶の成長を行うことができる。これは、より一層の低コスト化及び環境負荷の低減につながる。さらに、アルカリ金属を気相状態を介して輸送することを繰り返すことで、アルカリ金属の高純度化(精製)がより一層可能となり、より高純度なIII族窒化物結晶の成長を行うことができる。
【0112】
さらに、請求項6記載の発明では、アルカリ金属を異なる温度制御領域に輸送する際に、アルカリ金属輸送領域を減圧状態にすることで、より効率的にアルカリ金属の輸送が可能となる。すなわち、減圧状態でアルカリ金属を輸送することで、常圧状態に比較して、高速にアルカリ金属を輸送することができる。その結果、低コストでIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。
【図2】図1のIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法を説明するための図である。
【図3】図1のIII族窒化物結晶成長装置の変形例を示す図である。
【図4】図1のIII族窒化物結晶成長装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。
【図6】図5のIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法を説明するための図である。
【図7】図5のIII族窒化物結晶成長装置におけるIII族窒化物結晶成長方法を説明するための図である。
【図8】図5のIII族窒化物結晶成長装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明により得られたIII族窒化物結晶を用いて作製されたIII族窒化物半導体デバイスの一例を示す図である。
【図10】従来のレーザダイオードを示す図である。
【図11】従来の半導体レーザを示す図である。
【図12】第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法を示す図である。
【図13】第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法を示す図である。
【符号の説明】
101,201 反応容器
102,202 第1の混合融液保持容器
112,212 第2の混合融液保持容器
103,113,203,213,302,306 混合融液
104,204,224 窒素供給管
105,205,225 圧力調整機構
106,116,206,216 加熱装置
107 連結管加熱装置
108 連結管
109,117,209,217,303 III族窒化物(GaN)結晶
111,115,211,215,304 アルカリ金属(Na)
114,214,301,305 III族金属(Ga)
401,411 排気配管
402,412 排気バルブ
403,413 真空ポンプ
501 n型GaN基板
502 n型AlGaNクラッド層
503 n型GaNガイド層
504 InGaN MQW活性層
505 p型GaNガイド層
506 p型AlGaNクラッド層
507 p型GaNコンタクト層
508 SiO2絶縁膜
509 p側オーミック電極
510 n側オーミック電極

Claims (11)

  1. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長装置であって、1つの反応容器内に、複数の混合融液保持容器を設け、該混合融液保持容器の温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を有していることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  2. 請求項1記載のIII族窒化物結晶成長装置において、前記複数の温度制御領域は、一の温度制御領域にあるアルカリ金属を他の温度制御領域に輸送するためのアルカリ金属輸送領域によって連通していることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  3. 請求項2記載のIII族窒化物結晶成長装置において、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段が設けられていることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  4. 請求項1記載のIII族窒化物結晶成長装置において、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離あるいは一体化するための仕切り手段が設けられていることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  5. 請求項4記載のIII族窒化物結晶成長装置において、前記仕切り手段によって複数の異なる温度制御領域の雰囲気を分離している状態で、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を独立に制御することが可能に構成されていることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  6. 請求項4または請求項5記載のIII族窒化物結晶成長装置において、複数の異なる温度制御領域の雰囲気を一体化してアルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送する際にアルカリ金属輸送領域を減圧状態にするための減圧手段が設けられていることを特徴とするIII族窒化物結晶成長装置。
  7. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させることを特徴とするIII族窒化物結晶成長方法。
  8. 請求項7記載のIII族窒化物結晶成長方法において、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とするIII族窒化物結晶成長方法。
  9. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、複数の温度制御領域で順次に行ない、アルカリ金属を複数の温度制御領域間で順次に輸送することを特徴とするIII族窒化物結晶成長方法。
  10. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、1つの反応容器内に、温度を独立に制御可能な複数の異なる温度制御領域を設け、一の温度制御領域でIII族窒化物を成長させた後、他の温度制御領域にアルカリ金属を輸送させて、他の温度制御領域でIII族窒化物を結晶成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうことを特徴とするIII族窒化物結晶成長方法。
  11. 請求項10記載のIII族窒化物結晶成長方法において、一の温度制御領域と他の温度制御領域とを分離した雰囲気下で、一の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させた後、一の温度制御領域の雰囲気を他の温度制御領域の雰囲気と一体化して、アルカリ金属を一の温度制御領域から他の温度制御領域に輸送し、その後、一の温度制御領域と他の温度制御領域との雰囲気を分離し、他の温度制御領域においてIII族窒化物結晶を成長させる工程を、一の温度制御領域と他の温度制御領域との間で交互に繰り返し行なうことを特徴とするIII族窒化物結晶成長方法。
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