JP4971274B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4971274B2
JP4971274B2 JP2008234150A JP2008234150A JP4971274B2 JP 4971274 B2 JP4971274 B2 JP 4971274B2 JP 2008234150 A JP2008234150 A JP 2008234150A JP 2008234150 A JP2008234150 A JP 2008234150A JP 4971274 B2 JP4971274 B2 JP 4971274B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
group iii
iii nitride
gan
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2008234150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009007250A (ja
Inventor
正二 皿山
浩和 岩田
久典 山根
昌彦 島田
真登 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2008234150A priority Critical patent/JP4971274B2/ja
Publication of JP2009007250A publication Critical patent/JP2009007250A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4971274B2 publication Critical patent/JP4971274B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)

Description

本発明は、III族窒化物結晶の製造方法に関する。
現在、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、その殆どがサファイア基板あるいはSiC基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いる場合には、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなる。このために、デバイス特性が
悪く、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという問題がある。
更に、サファイア基板の場合には絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長したIII族窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題がある。また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端
面を劈開で得ることが容易ではない。このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行っているが、この場合にも、従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で容易に行うことが不可能であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
これらの問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長やその他の工夫を行うことで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。
例えば、文献「Japanese Journal of Applied Physics Vol.36(1997) Part 2, No.12A, L1568-1571」(以下、第1の従来技術という)には、図7に示すようなレーザダイオード(LD)が示されている。図7のレーザダイオードは、MO−VPE(有機金属気相成長)装置にてサファイア基板1上にGaN低温バッファ層2とGaN層3を順次成長した後に、選択成長用のSiOマスク4を形成する。このSiOマスク4は、別のCVD(化学気相堆積)装置にて、SiO膜を堆積した後に、フォトリソグラフィ、エッチング工程を経て形成される。次に、このSiOマスク4上に再度、MO−VPE装置にて20μmの厚さのGaN膜3’を成長することで、横方向にGaNが選択成長し、選択横方向成長を行わない場合に比較して結晶欠陥を低減させている。更に、その上層に形成されている変調ドープ歪み超格子層(MD−SLS)5を導入することで、活性層6へ結晶欠陥が延びることを防いでいる。この結果、選択横方向成長及び変調ドープ歪み超格子層を用いない場合に比較して、デバイス寿命を長くすることが可能となる。
この第1の従来技術の場合には、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比べて、結晶欠陥を低減させることが可能となるが、サファイア基板を用いることによる、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。更には、SiOマスク形成工程を挟んで、MO−VPE装置による結晶成長が2回必要となり、工程が複雑化するという問題が新たに生じる。
また、別の方法として、例えば文献「Applied Physics Letters, Vol.73, No.6, p.832-834(1998)」(以下、第2の従来技術という)には、GaN厚膜基板を応用することが提案されている。この第2の従来技術では、前述の第1の従来技術での20μmの選択横方向成長後に、H−VPE(ハイドライド気相成長)装置にて200μmのGaN厚膜を成長し、その後に、この厚膜成長したGaN膜を150μmの厚さになるように、サファイア基板側から研磨することにより、GaN基板を作製する。このGaN基板上に、MO−VPE装置を用いて、LDデバイスとして必要な結晶成長を順次行ない、LDデバイスを作製することで、結晶欠陥を低減させることが可能になるとともに、サファイア基板を用いることによる絶縁性と劈開に関する前述の問題点を解決することが可能となる。なお、この第2の従来技術と同様のものとして、特開平11−4048号が提案されており、図8には特開平11−4048号の半導体レーザが示されている。
しかしながら、この第2の従来技術は、第1の従来技術よりも更に工程が複雑になっており、より一層のコスト高になる。また、この第2の従来技術の方法で200μm程度の厚さのGaN厚膜を成長する場合には、基板であるサファイアとの格子定数差及び熱膨張
係数差に伴う応力が大きくなり、基板の反りやクラックが生じるという問題が新たに発生する。
この問題を回避するために、特開平10−256662号には、厚膜成長する元の基板(サファイアとスピネル)の厚さを1mm以上とすることが提案されている。このように、厚さ1mm以上の基板を用いることにより、200μmの厚膜のGaN膜を成長させても、基板の反りやクラックを生じさせないようにしている。しかしながら、このように厚い基板は、基板自体のコストが高く、また研磨に多くの時間を費やす必要があり、研磨工程のコストアップにつながる。すなわち、厚い基板を用いる場合には、薄い基板を用いる場合に比べて、コストが高くなる。また、厚い基板を用いる場合には、厚膜のGaN膜を
成長した後には基板の反りやクラックが生じないが、研磨の工程で応力緩和し、研磨途中で反りやクラックが発生する。このため、厚い基板を用いても、容易に、結晶品質の高いGaN基板を大面積化で作製することはできない。
一方、文献「Journal of Crystal Growth, Vol.189/190, p.153-158(1998)」(以下、第3の従来技術という)には、GaNのバルク結晶を成長させ、それをホモエピタキシャル基板として用いることが提案されている。この第3の従来技術は、1400〜1700℃の高温、及び数10kbarもの超高圧の窒素圧力中で、液体GaからGaNを結晶成長させる手法となっている。この場合には、このバルク成長したGaN基板を用いて、デバイスに必要なIII族窒化物半導体膜を成長することが可能となる。従って、第1及び第2の従来技術のように工程を複雑化させることなく、GaN基板を提供できる。
しかしながら、第3の従来技術では、高温、高圧中での結晶成長が必要となり、それに耐えうる反応容器が極めて高価になるという問題がある。加えて、このような成長方法をもってしても、得られる結晶の大きさは高々1cm程度であり、デバイスを実用化するには小さ過ぎるという問題がある。
この高温、高圧中でのGaN結晶成長の問題点を解決する手法として、文献「Chemistry of Materials Vol.9 (1997) p.413-416」(以下、第4の従来技術という)には、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。この方法はアジ化ナトリウム(NaN)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶を成長させるものである。この第4の従来技術の場合には、600〜800℃程度の比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm程度と第3の従来技術に比較して圧力を低くできる点が特徴である。しかし、この第4の従来技術の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。この程度の大きさではデバイスを実用化するには第3の従来技術と同様に小さすぎる。
また、特開2000−327495号(以下、第5の従来技術という)には、上述の第4の従来技術と基板を用いたエピタキシャル法を組み合わせた技術が提案されている。この第5の従来技術では、予め基板表面にGaNあるいはAlNを成長させたものを基板として用い、この上に第4の従来技術を用いてGaN膜をエピタキシャル成長させる。しかし、この第5の従来技術は基本的にエピタキシャル成長であり、第1や第2の従来技術と同様に結晶欠陥の問題解決には至らない。更に、予めGaN膜あるいはAlN膜を基板上に成長させるため、工程が複雑となり高コストにつながる。
また、最近、特開2000−12900号及び特開2000−22212号(以下、第6の従来技術という)には、GaAs基板を用いてGaN厚膜基板を作製する方法が提案されている。図9、図10には、この第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法が示されている。先ず、図9を参照すると、(111)GaAs基板60上に第1の従来技術と同様にSiO膜やSiN膜をマスク61として、GaN膜63を70μm〜1mmの厚さに選択成長する(図9(1)〜(3))。この結晶成長はH−VPEにより行う。その後、王水によりGaAs基板60をエッチング、除去し、GaN自立基板63を作製する(図9(4))。このGaN自立基板63を元に、更に再度H−VPEにより、数10mmの厚さのGaN結晶64を気相成長させる(図10(1))。この数10mmの厚さのGaN結晶64をスライサーによりウェハ状に切り出し、GaNウェハを作製する(図10(2)、(3))。
この第6の従来技術では、GaN自立基板63が得られ、更に数10mmの厚さのGaN結晶64を得ることができる。しかしながら、第6の従来技術には次のような問題点がある。すなわち、SiN膜やSiO膜を選択成長用マスクとして用いるため、その作製工程が複雑になり、コスト高につながる。また、H−VPEにより数10mmの厚さのGaN結晶を成長させる際に、反応容器内にも同様の厚さのGaN結晶(単結晶や多結晶)やアモルファス状のGaNが付着し、このため、量産性に問題がある。また、GaAs基板が犠牲基板として一回の成長毎にエッチング、除去されるため、コスト高につながる。また、結晶品質に関しても、基本的にはGaAsという異種基板上の結晶成長からくる、格子不整、熱膨張係数の違いによる、欠陥密度が高いという問題も残る。
「Japanese Journal of Applied Physics Vol.36(1997) Part 2, No.12A, L1568-1571」 「Applied Physics Letters, Vol.73, No.6, p.832-834(1998)」 「Journal of Crystal Growth, Vol.189/190, p.153-158(1998)」 「Chemistry of Materials Vol.9 (1997) p.413-416」 特開2000−327495号 特開2000−12900号 特開2000−22212号
本発明は、第1あるいは第2の従来技術の問題点である工程を複雑化させることなく、また、第3の従来技術の問題点である高価な反応容器を用いることも無く、かつ、第3,第4の従来技術の問題点である結晶の大きさが小さくなることなく、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するために実用的な大きさで、かつ、低コスト、高品質のIII族窒化物結晶を成長させることの可能なIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶および半導体デバイスを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、第5あるいは第6の従来技術の問題点である結晶品質を低下させることなく、且つ工程を複雑化させることなく、低コストで高品質のIII族窒化物結晶を成長させることの可能なIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶および半導体デバイスを提供することを目的としている。
また、本願の発明者は、従来技術(特に第4の従来技術)の問題点を改善するために、これまで、特開2001−058900、特開2001−064097、特開2001−64098、特開2001−102316、特開2001−119103の技術を提案している。
例えば、特開2001−058900では、III族原料とV族原料を外部より反応容器内に供給することを提案している。また、特開2001−064097では、V族原料を安定に供給することを提案している。また、特開2001−64098では、種結晶を用いて成長する方法を提案している。また、特開2001−102316では、III族金属とアルカリ金属の混合融液からのIII族窒化物結晶の成長について提案している。また、特開2001−119103では、立方晶のIII族窒化物結晶の成長方法を提案している。
しかし、これまで、アルカリ金属を用いてIII族窒化物結晶を成長する方法で、結晶成長条件と結晶形態、結晶成長の有無の関係が明らかでなかった。
本発明は、さらに、結晶成長条件と結晶形態、結晶成長の有無の関係を明らかにし、実用的な結晶成長条件でのIII族窒化物の結晶成長を可能とするIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶および半導体デバイスを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第1の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第1の工程と、前記第1の結晶成長条件と比較して、少なくとも前記反応容器内の圧力を低下させるか、もしくは前記混合融液の温度を上昇させるよう制御して第2の条件に設定し、前記III族窒化物の柱状結晶または板状結晶を分解させる第2の工程と、前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第3の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第3の工程と、を含むことを特徴としている。
また、この発明は、上記のIII族窒化物結晶製造方法において、前記第1または第2の工程において、前記反応容器内の窒素ガスの圧力を制御することを特徴としている。
また、この発明は、上記のIII族窒化物結晶の製造方法において、前記アルカリ金属はNaであり、前記III族金属を含む物質はGaであることを特徴としている。
また、この発明は、上記のIII族窒化物結晶の製造方法において、前記柱状結晶は、六方晶系のGaN結晶においてC軸方向に結晶が伸びたものであることを特徴としている。
また、この発明は、上記のIII族窒化物結晶の製造方法において、前記板状結晶は、六方晶系のGaN結晶においてC面方向に結晶が伸びたものであることを特徴としている。
以上に説明したように、この発明によれば、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第1の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第1の工程と、前記第1の結晶成長条件と比較して、少なくとも前記反応容器内の圧力を低下させるか、もしくは前記混合融液の温度を上昇させるよう制御して第2の条件に設定し、前記III族窒化物の柱状結晶または板状結晶を分解させる第2の工程と、前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第3の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第3の工程と、を含むことにより、III族窒化物結晶(具体的には、例えばIII族窒化物の薄膜結晶成長用の基板となるIII族窒化物結晶)を容易に得ることができる。すなわち、第1あるいは第2の従来技術で述べたような複雑な工程を必要とせずに、低コストで、高品質のIII族窒化物結晶及びそれを用いた半導体デバイスを得ることが可能となる。
また、1000℃以下と成長温度が低く、100気圧程度以下と圧力も低い条件下でIII族窒化物の結晶成長が可能となることから、第3の従来技術のように超高圧、超高温に耐えうる高価な反応容器を用いる必要がない。その結果、低コストで、III族窒化物結晶及びそれを用いた半導体デバイスを得ることが可能となる。
さらに、結晶成長の制御性を格段に向上させることが可能となり、所望の結晶形態を容易に得ることができる。
換言すれば、この発明においては、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶製造方法であって、圧力と温度とで規定される領域に対応する結晶成長条件で、III族窒化物の結晶を成長させるので、混合融液を用いた良質なIII族窒化物結晶を成長する場合の条件制御性を向上させることができる。すなわち、圧力と温度を制御することで、良質なIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。
また、無駄な原料の消費を抑え、大型のIII族窒化物単結晶を作製することが可能となる。また、種結晶のある所定位置に大型の単結晶を成長させることができる。更に、種結晶の結晶方位を制御することで、成長する結晶の結晶方位も制御することが可能となり、基板として用いる際に意図した結晶方位を使用することが容易となる。
また、この発明によれば、上記のIII族窒化物結晶の製造方法において、アルカリ金属としてナトリウム(Na)を用い、少なくともIII族金属を含む物質としてガリウム(Ga)を用い、少なくとも窒素を含む物質として窒素ガス(N)を用いて、III族窒化物として窒化ガリウム(GaN)を結晶成長させるときに、窒化ガリウム(GaN)の結晶成長条件を窒素ガス圧力とガリウムとナトリウムの混合融液の温度とで規定するので、良質なGaN結晶を制御性良く成長させることが可能となる。すなわち、窒素ガスを用いることから圧力の制御が容易となる。更に、NaとGaを用いることから、NaとGaが均一に混ざり合い、温度を均一に制御することが可能となる。従って、窒素ガス圧力と混合融液の温度を制御することで、所望の結晶形態も制御して、所望の結晶形態のIII族窒化物結晶を容易に成長させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、圧力と温度とで規定される領域に対応する結晶成長条件で、III族窒化物の結晶を成長させることを特徴としている。
ここで、III族金属とは、Ga,Al,In等であり、また、アルカリ金属には、K,Na等が使用可能である。また、窒素を含む物質とは、窒素ガスや、アジ化ナトリウム、アンモニアなどの窒素を構成元素に含む化合物である。
また、結晶成長条件を規定する圧力とは、反応容器内の空間部分の圧力である。同様に、結晶成長条件を規定する温度とは、結晶成長が起こる融液内、融液表面の温度である。
本発明において、III族窒化物の結晶の製造方法は次のようになされる。すなわち、反応容器内には、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質と、少なくとも窒素を含む物質とがあり、この反応容器を結晶成長可能な温度に上げること、及び、反応容器内の実効窒素分圧をIII族窒化物結晶が結晶成長する条件に設定することにより、III族窒化物の結晶成長が開始し、III族窒化物を継続的に結晶成長させることができる。
このように、本発明の第1の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法では、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法であって、圧力と温度とで規定される領域に対応する結晶成長条件で、III族窒化物の結晶を成長させるので、III族窒化物結晶(具体的には、例えばIII族窒化物の薄膜結晶成長用の基板となるIII族窒化物結晶)を容易に得ることができる。すなわち、第1あるいは第2の従来技術で述べたような複雑な工程を必要と
せずに、低コストで、高品質のIII族窒化物結晶及びそれを用いた半導体デバイスを得ることが可能となる。
また、1000℃以下と成長温度が低く、100気圧程度以下と圧力も低い条件下でIII族窒化物の結晶成長が可能となることから、第3の従来技術のように超高圧、超高温に耐えうる高価な反応容器を用いる必要がない。その結果、低コストで、III族窒化物結晶及びそれを用いた半導体デバイスを得ることが可能となる。
さらに、圧力と温度とで規定される領域に対応する結晶成長条件で、III族窒化物の結晶を成長させるので、結晶成長の制御性を格段に向上させることが可能となり、所望の結晶形態を容易に得ることができる。
換言すれば、圧力と温度とで規定される領域に対応する結晶成長条件で、III族窒化物の結晶を成長させるので、混合融液を用いた良質なIII族窒化物結晶を成長する場合の条件制御性を向上させることができる。すなわち、圧力と温度を制御することで、良質なIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。
第2の実施形態
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、結晶成長条件として、圧力と温度とで規定される領域を複数個設けるとき、複数の領域のそれぞれに応じて互いに異なる結晶形態のIII族窒化物の結晶が成長可能であることを特徴としている。
このように、第2の実施形態では、結晶成長条件として、圧力と温度とで規定される領域を複数個設けるとき、複数の領域のそれぞれに応じて互いに異なる結晶形態のIII族窒化物の結晶を成長可能であるので、結晶成長の制御性を格段に向上させることが可能となり、所望の結晶形態を容易に得ることができる。
第3の実施形態
本発明の第3の実施形態は、第2の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、複数の領域のうちの1つの領域は、III族窒化物の結晶成長形態として、種結晶に結晶成長するものであることを特徴としている。
このように、第3の実施形態では、複数の領域のうちの1つの領域は、III族窒化物の結晶成長形態として、種結晶に結晶成長するものであるので、他の領域への核発生及び結晶成長が殆ど発生せず、これにより、無駄な原料の消費を抑え、大型のIII族窒化物単結晶を作製することが可能となる。また、種結晶のある所定位置に大型の単結晶を成長させることができる。更に、種結晶の結晶方位を制御することで、成長する結晶の結晶方位も制御することが可能となり、基板として用いる際に意図した結晶方位を使用することが容易となる。
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態は、上述した第2の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、成長するIII族窒化物の結晶形態が、次式(数1)で表される境界により規定される領域に応じて決定されることを特徴としている。
(数1)
log P=a/T+b
ここで、Pは反応容器内の実効的な窒素圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a、bは係数である。
このように、第4の実施形態は、Pを反応容器内圧力(Pa)、Tを混合融液の絶対温度(K)、a、bを係数とするとき、成長するIII族窒化物の結晶形態が、log P=a/T+bで表される境界により規定されるので、上記数式を元にして成長条件を決定し、良質なIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。より詳しくは、上記数式を元にして、圧力と温度を決定することで、所望の結晶形態のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
第5の実施形態
本発明の第5の実施形態は、第4の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、log P=a/T+bで表される境界は、アルカリ金属のIII族属との比によって制御可能であることを特徴としている。
このように、第5の実施形態では、第4の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、log P=a/T+bで表される境界は、アルカリ金属(例えば、Na)のIII族金属(例えば、Ga)との比によって制御可能であるので、領域を容易に制御することができる。
第6の実施形態
本発明の第6の実施形態は、第1乃至第5のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、種結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を種結晶を用いて結晶成長させることを特徴としている。
このように、第6の実施形態では、種結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を種結晶を用いて結晶成長させることで、大型のIII族窒化物単結晶を作製することが可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、種結晶を元にした結晶成長が支配的であり、他の領域への核発生及び結晶成長が殆ど発生しないことから、無駄な原料の消費を抑え、大型のIII族窒化物単結晶を作製することが可能となる。また、種結晶のある所定位置に大型の単結晶を成長させることができる。更に、種結晶の結晶方位を制御することで、成長する結晶の結晶方位も制御することが可能となり、基板として用いる際に意図した結晶方位を使用することが容易となる。
第7の実施形態
本発明の第7の実施形態は、第1乃至第5のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶成長方法において、柱状結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を柱状結晶を用いて結晶成長させることを特徴としている。
このように、第7の実施形態では、柱状結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を柱状結晶を用いて結晶成長させるので、良質な柱状結晶を成長させることが可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、柱状結晶が支配的に結晶成長することから、面方位が明確となっている。従って、この柱状結晶を元にIII族窒化物基板を作製する場合に、面方位の決定、スライスが容易となる利点がある。
第8の実施形態
本発明の第8の実施形態は、第1乃至第5のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、板状結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を板状結晶を用いて結晶成長させることを特徴としている。
このように、第8の実施形態では、板状結晶を用いて結晶成長可能な結晶成長条件領域で、III族窒化物の結晶を板状結晶を用いて結晶成長させるので、良質な板状結晶を成長することが可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、板状結晶が支配的に結晶成長することから、III族窒化物基板として用い易い。この板状結晶をそのままIII族窒化物基板として用いることも可能である。あるいは、表面の凹凸がある場合でも、表面研磨するのみでIII族窒化物基板として使用することができる。また、面方位が明確となっていることからも、基板としての使用を容易にすることができる。更に、この結晶成長条件領域での結晶成長では、板状結晶の面方向結晶成長速度が早いことから、効率的にIII族窒化物結晶を成長することができ、低コストにつながる。
第9の実施形態
本発明の第9の実施形態は、第1乃至第8のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶成長方法において、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内、複数の条件領域を利用して、III族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
第9の実施形態は、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内、複数の条件領域を利用して、III族窒化物結晶を成長させることで、複数の形態を有する結晶成長が可能となる。従って、同一の結晶成長において異なる形態のIII族窒化物結晶を得ることができる。
第10の実施形態
本発明の第10の実施形態は、第9の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域と柱状結晶または板状結晶が成長する成長条件領域とを利用して、III族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
第10の実施形態は、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域と柱状結晶または板状結晶が成長する成長条件領域とを利用して、III族窒化物結晶を成長させることで、III族窒化物結晶に対して分解と成長の両方を行うことができ、これにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、柱状結晶や板状結晶が成長する条件領域では、多数の結晶核が発生する。多数の結晶核発生と分解の両条件を推移させることで、小さな結晶が分解され、より大きな結晶が成長し易くなる。従って、第10の実施形態によれば、大型の結晶を成長させることができる。
第11の実施形態
本発明の第11の実施形態は、第1乃至第5のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、アルカリ金属としてナトリウム(Na)を用い、少なくともIII族金属を含む物質としてガリウム(Ga)を用い、少なくとも窒素を含む物質として窒素ガス(N)を用いて、III族窒化物として窒化ガリウム(GaN)を結晶成長させるときに、窒化ガリウム(GaN)の結晶成長条件を窒素ガス圧力とガリウムとナトリウムの混合融液の温度とで規定することを特徴としている。
このように、第11の実施形態は、アルカリ金属としてナトリウム(Na)を用い、少なくともIII族金属を含む物質としてガリウム(Ga)を用い、少なくとも窒素を含む物質として窒素ガス(N)を用いて、III族窒化物として窒化ガリウム(GaN)を結晶成長させるときに、窒化ガリウム(GaN)の結晶成長条件を窒素ガス圧力とガリウムとナトリウムの混合融液の温度とで規定するので、良質なGaN結晶を制御性良く成長させることが可能となる。すなわち、窒素ガスを用いることから圧力の制御が容易となる。更に、NaとGaを用いることから、NaとGaが均一に混ざり合い、温度を均一に制御することが可能となる。従って、窒素ガス圧力と混合融液の温度を制御することで、所望の結晶形態も制御して、所望の結晶形態のGaN結晶を容易に成長させることが可能となる。
第12の実施形態
本発明の第12の実施形態は、第11の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、次式で表される結晶成長条件領域で、種結晶を用いて窒化ガリウム(GaN)を結晶成長させることを特徴としている。
(数2)
/T+b≦log P≦a/T+b
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a1,b1, a2, b2は係数で、a1=−5.40×10−3, b1=4.83, a2=−5.59×10−3, b2=5.47である。
このように、第12の実施形態は、Pを窒素ガス圧力(Pa)、Tを混合融液の絶対温度(K)、a1,b1,a2,b2を、a1=−5.40×10−3,b1=4.83,a2=−5.59×10−3,b2=5.47の係数とするとき、a/T+b≦log P≦a/T+bで表される結晶成長条件領域で、種結晶を用いて窒化ガリウム(GaN)を結晶成長させるようにしており、種結晶を元にしてGaN結晶を成長させることが、圧力と温度を制御することで可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、種結晶を元にした結晶成長が支配的であり、他の領域への核発生及び結晶成長が殆ど発生しないことから、無駄な原料の消費を抑え、大型のIII族窒化物単結晶を作製することが可能となる。また、種結晶のある所定位置に大型の単結晶を成長させることができる。更に、種結晶の結晶方位を制御することで、成長する結晶の結晶方位も制御することが可能となり、基板として用いる際に意図した結晶方位を使用することが容易となる。
第13の実施形態
本発明の第13の実施形態は、第11の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法におい
て、次式で表される結晶成長条件領域で、柱状の窒化ガリウム(GaN)結晶を成長させ
ることを特徴としている。
(数3)
/T+b≦log P≦a/T+b
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a2,b2, a3, b3は係数で、a2=−5.59×10−3, b2=5.47, a3=−5.67×10−3, b3=5.83である。
このように、第13の実施形態は、Pを窒素ガス圧力(Pa)、Tを混合融液の絶対温度(K)、a2,b2,a3,b3を、a2=−5.59×10−3,b2=5.47,a3=−5.67×10−3,b3=5.83の係数とするとき、a/T+b≦log P≦a/T+bで表される結晶成長条件領域で、柱状の窒化ガリウム(GaN)結晶を成長させるようにしており、これにより、良質な柱状結晶を成長させることが可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、柱状結晶が支配的に結晶成長することから、面方位が明確となっている。従って、この柱状結晶を元にIII族窒化物基板を作製する場合に、面方位の決定、スライスが容易となる利点がある。また、この結晶成長条件領域では、種結晶がなくとも、自発核発生により柱状結晶が成長することから、前述の第12の実施形態で用いる種結晶として、この第13の実施形態の結晶成長条件領域で結晶成長した柱状結晶を使用することができる。
第14の実施形態
本発明の第14の実施形態は、第11の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、次式で表される結晶成長条件領域で、板状の窒化ガリウム(GaN)結晶を成長させることを特徴としている。
(数4)
/T+b≦log P
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a3,b3は係数で、a3=−5.67×10−3, b3=5.83である。
このように、第14の実施形態は、Pを窒素ガス圧力(Pa)、Tを混合融液の絶対温度(K)、a3,b3を、a3=−5.67×10−3,b3=5.83の係数とするとき、a/T+b≦log Pで表される結晶成長条件領域で、板状の窒化ガリウム(GaN)結晶を成長させるようにしており、これにより、良質な板状結晶を成長することが可能となる。すなわち、上記の結晶成長条件領域では、板状結晶が支配的に結晶成長することから、III族窒化物基板として用い易い。この板状結晶をそのままIII族窒化物基板として用いることも可能である。あるいは、表面の凹凸がある場合でも、表面研磨するのみでIII族窒化物基板として使用することができる。また、面方位が明確となっていることからも、基板としての使用を容易にすることができる。更に、この結晶成長条件領域での結晶成長では、板状結晶の面方向結晶成長速度が早いことから、効率的にIII族窒化物結晶を成長することができ、低コストにつながる。また、この結晶成長条件領域では、種結晶がなくとも、自発核発生により板状結晶が成長することから、前述の第12の実施形態で用いる種結晶として、この第14の実施形態の結晶成長条件領域で結晶成長した板状結晶を使用することができる。
第15の実施形態
本発明の第15の実施形態は、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内の1つの成長条件領域を選択してIII族窒化物結晶を成長させるための圧力制御機構及び温度制御機構を有しているIII族窒化物結晶成長装置である。
第15の実施形態のIII族窒化物結晶の製造装置は、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内の1つの成長条件領域を選択してIII族窒化物結晶を成長させるための圧力制御機構及び温度制御機構を有しているので、III族窒化物結晶を種結晶成長する成長条件、柱状結晶成長条件、板状結晶成長条件の所望の成長条件に圧力、温度を制御することができる。従って、1台の結晶成長装置で、所望の成長条件でIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
第16の実施形態
本発明の第16の実施形態は、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内、複数の条件領域を利用してIII族窒化物結晶を成長させるための圧力制御機構及び温度制御機構を有しているIII族窒化物結晶の製造装置である。
第16の実施形態のIII族窒化物結晶成長装置は、III族窒化物結晶が成長せずに分解する条件領域、種結晶成長する成長条件領域、柱状結晶が成長する成長条件領域、板状結晶が成長する成長条件領域の内、複数の条件領域を利用して成長させるための圧力制御機構及び温度制御機構を有することで、III族窒化物結晶を分解条件、柱状結晶成長条件、板状結晶成長条件の任意の条件に制御することができる。従って、任意の形態のIII族窒化物や大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
第17の実施形態
本発明の第17の実施形態は、第1乃至第14のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法で作製されたIII族窒化物結晶である。
このIII族窒化物結晶は、第1乃至第14のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶成長方法で作製されたものであるので、高品質のものとなっている。
第18の実施形態
本発明の第18の実施形態は、第17の実施形態のIII族窒化物結晶を用いた半導体デバイスである。
このように、第18の実施形態は、第17の実施形態のIII族窒化物結晶を用いた半導体デバイスであるので、高品質の半導体デバイスを提供できる。
なお、ここで、半導体デバイスは、光デバイスであっても良いし、電子デバイスであっても良い。
次に、上述した各実施形態をより詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、III族窒化物結晶
がGaN結晶であるとして説明する。
図1は本発明のIII族窒化物結晶の製造方法で用いられる結晶製造装置の一例を示す図である。
図1を参照すると、反応容器101内には、アルカリ金属(以下の例では、Na)と少なくともIII族金属(以下の例では、Ga)を含む物質との混合融液103を保持する混合融液保持容器102が設置されている。
なお、アルカリ金属(Na)は、外部から供給されても良いし、あるいは、最初から反応容器101内に存在していても良い。
また、混合融液保持容器102の上には蓋109があり、混合融液保持容器102と蓋109との間には、気体が出入できる程度の僅かな隙間がある。
また、反応容器101は、例えばステンレスで形成されている。また、混合融液保持容器102は、例えば、BN(窒化ホウ素)、あるいは、AlN、あるいは、パイロリティックBNで形成されている。
また、反応容器101には、III族窒化物(GaN)を結晶成長可能な温度に反応容器101内を制御するための加熱装置106が設けられている。すなわち、加熱装置106による温度制御機能によって、反応容器101内を結晶成長可能な温度に上げること、及び、結晶成長が停止する温度に下げること、及び、それらの温度に任意の時間保持することが可能となっている。
また、図1のIII族窒化物結晶製造装置には、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス、アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)を供給するための供給管104が設けられている。なお、ここで言う窒素とは、窒素分子あるいは窒素を含む化合物から生成された窒素分子や原子状窒素、および窒素を含む原子団および分子団のことであり、本発明において、窒素とは、このようなものであるとする。
また、少なくとも窒素を含む物質は、容器107に収納されている。ここで、少なくとも窒素を含む物質として窒素ガスを用いるときには、容器107には窒素ガスが収納されている。
また、少なくとも窒素を含む物質として窒素ガスを用いるときには、供給管104には、窒素ガスの圧力を調整するために圧力調整機構(例えば、圧力調整弁)105が設けられている。また、図1の装置には、反応容器101内の窒素ガスの圧力を検知する圧力センサー111と、混合融液保持容器102の温度を検知する温度センサー112とが設置され、反応容器101内の圧力が所定の圧力となるように、圧力センサー111は圧力調整機構105にフィードバックをかけるように構成されている。また、温度センサー112は、加熱装置106にフィードバックをかけるように構成されている。
本発明の具体例では、少なくとも窒素を含む物質として、窒素ガスを用い、窒素ガスを、反応容器101外に設置されている容器107から供給管104を通して反応容器101内の空間108に供給することができる。この際、窒素ガスは、図1に示されているように、反応容器101の下側から供給されるようにしている。この窒素ガスの圧力は、圧力調整機構105によって調整することができる。
図1の装置を用いてIII族窒化物(GaN)の結晶を成長させる場合、反応容器101内の温度、圧力を所定の温度、所定の圧力に設定し、この状態を一定時間保持することで、混合融液保持容器102内にはIII族窒化物結晶としてGaN結晶110が成長する。この場合、このときの温度、圧力の成長条件により、GaN結晶110の結晶形態が異なってくる。
図2は結晶成長条件の温度と圧力の関係を表した図である。なお、図2において、縦軸は反応容器101内の窒素圧力であり、横軸は混合融液103の温度(絶対温度)の逆数をとったものである。
図2において、領域Aは、GaN結晶が成長しない領域である。また、領域Bは、種結晶のみにGaN結晶が支配的に結晶成長する領域である。また、領域Cは、柱状のGaN結晶が支配的に結晶成長する領域である。また、領域Dは、板状のGaN結晶が支配的に結晶成長する領域である。なお、ここでいう支配的とは、大部分がその形態で結晶成長している状態をいう。
領域Cで支配的に成長する柱状の窒化ガリウム(GaN)結晶とは、六方晶系のGaN結晶において、C軸<0001>方向に結晶が伸びた形状のものである。また、領域Dで支配的に成長する板状の窒化ガリウム(GaN)結晶とは、六方晶系のGaN結晶において、C面すなわち(0001)面方向に結晶が伸びた形状のものである。
領域Aは、ライン1より圧力が低く、温度が高い(1/Tが小さい)領域である。また、領域Bは、ライン1とライン2で挟まれた領域である。また、領域Cは、ライン2とライン3で挟まれた領域である。また、領域Dは、ライン3よりも圧力が高く、温度が低い(1/Tが大きい)領域である。
ここで、本願の発明者らは、ライン1とライン2とライン3が、それぞれ、次のように表されることを実験的に見出した。
すなわち、ライン1は、次式(数5)によって表わされる。
(数5)
log P=a/T+b
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a1,b1は係
数で、a1=−5.40×10−3, b1=4.83である。
また、ライン2は、次式(数6)によって表わされる。
(数6)
log P=a/T+b
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a2,b2は係数で、a2=−5.59×10−3, b2=5.47である。
また、ライン3は、次式(数7)によって表わされる。
(数7)
log P=a/T+b
ここで、Pは窒素ガス圧力(Pa)、Tは混合融液の絶対温度(K)、a3,b3は係数で、a3=−5.67×10−3, b3=5.83である。
前述した数2は、窒素ガス圧力がライン1とライン2との間の領域Bになければならないことを表わし、また、数3は窒素ガス圧力がライン2とライン3との間の領域Cになければならないことを表わし、また、数4は窒素ガス圧力がライン3より上の領域Dになければならないことを表わしている。
先ず、図2の領域Bの結晶成長条件を用いてGaN結晶を成長させる場合について説明する。この領域Bでは、種結晶に支配的に結晶成長する。従って、種結晶以外の領域には、結晶核の発生、及び結晶成長は殆どしない。
具体的に、図1の結晶成長装置を用い、結晶成長条件として、窒素ガス圧力を2MPa、融液温度を850℃(1/T=8.9×10−4−1)にしてGaN結晶成長させた場合、図3に示すような結晶成長となる。すなわち、図1の混合融液103中に種結晶となるGaN結晶301を設置しておき、上記の結晶成長条件(窒素ガス圧力;2MPa、融液温度;850℃)に保持する。その後、種結晶301を元に、GaN結晶が大きく成長し、成長後のGaN結晶302となる。
ここで、種結晶301として六角柱状の結晶を用いており、その種結晶301の周りに結晶が成長し、GaN結晶が大きくなっている。図3において、六角柱の上面及び底面が(0001)面となっている。
図2の領域Bでは、種結晶に支配的に結晶成長することから、種結晶以外の領域には新たな結晶成長は起こり難く、原料の効率的な消費が可能となる。すなわち、種結晶を元にして成長するGaN結晶で殆どの原料が消費されることとなり、最初に仕込んだ金属Gaが効率的に使用される。その結果、より大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
また、種結晶を元に結晶成長できることから、結晶方位の制御も容易になる。特に、予め結晶方位の明確となっているGaN結晶を種結晶として用いることにより、結晶方位の精密制御が可能となる。その結果、最終的にGaN基板として結晶をスライスする際に、面方位が明確にし易いという利点がある。
また、このようにして得られるGaN結晶は、欠陥密度の小さい良質な結晶となっている。
また、この例では、六角柱状の種結晶を用いているが、後述のような板状結晶を種結晶として用いても良い。また、従来技術で述べたエピタキシャル膜上に結晶成長させることも可能である。この場合、板状の大きなGaN結晶を実現することができる。
次に、図2の領域Cの結晶成長条件を用いてGaN結晶を成長させる場合について説明する。この領域Cでは、柱状結晶が支配的に結晶成長する。
具体的に、図1の結晶成長装置を用い、結晶成長条件として、窒素ガス圧力を3MPa、融液温度を800℃(1/T=9.32×10−4−1)にしてGaN結晶を成長させた場合、図4(a)または図4(b)に示すような柱状結晶401が成長する。すなわち、図1の結晶成長装置において、上記の結晶成長条件(窒素ガス圧力;3MPa、融液温度;800℃)に保持することで、混合融液103中に図4(a)または図4(b)の形態のGaN結晶401が成長する。
ここで、図4(a)のように成長したGaN結晶401は六角柱状のものであり、また、図4(b)のように成長したGaN結晶401は六角柱の上方に六角錘が重なったような形状のものである。図4(a)、図4(b)のいずれのGaN結晶401も上面及び底面がC面(0001)面となっており、C軸方向に伸びた結晶形態である。
図2の領域Cでは、上述のように柱状結晶が支配的に結晶成長することから、面方位が明確となっている。従って、この柱状結晶を元にGaN基板を作製する場合に、面方位の決定、スライスが容易となる利点がある。
また、この領域Cでは、種結晶がなくとも、自発核発生により柱状結晶が成長することから、前述の領域Bで用いる種結晶として、本領域Cで結晶成長した柱状結晶を使用することができる。
次に、図2の領域Dの結晶成長条件を用いてGaN結晶を成長させる場合について説明する。この領域Dでは、板状結晶が支配的に結晶成長する。
具体的に、図1の結晶製造装置を用い、結晶成長条件として、窒素ガス圧力を5MPa、融液温度を750℃(1/T=9.77×10−4−1)にしてGaN結晶を成長させた場合、図5に示すような板状結晶501が成長する。すなわち、図1の結晶製造装置において、上記の結晶成長条件(窒素ガス圧力;5MPa、融液温度;750℃)に保持することで、混合融液103中、及び、融液表面に、図5の形態のGaN結晶501が成長する。
なお、図2の領域Dの結晶成長条件を用いて成長させたGaN結晶501としては、図5に示すような六角板状のもの以外にも、多角形状の六方晶の板状結晶も得られる。いずれもC面(0001)面方向に伸びた結晶形態である。
この領域Dでは、板状結晶が支配的に結晶成長することから、GaN基板として用い易い。この板状結晶をそのままGaN基板として用いることも可能である。あるいは、表面の凹凸がある場合でも、表面研磨するのみで、GaN基板として使用することができる。また、面方位が明確となっていることからも、基板としての使用を容易にすることができる。
更に、この領域Dでの結晶成長では、板状結晶の面方向結晶成長速度が早いことから、効率的にGaN結晶を成長することができ、低コストにつながる。
また、この領域Dでは、種結晶がなくとも、自発核発生により板状結晶が成長することから、前述の領域Bで用いる種結晶として、本領域Dで結晶成長した板状結晶を使用することができる。
このように、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法を用いて、III族窒化物結晶を作製することができる。このように作製されたIII族窒化物結晶は、結晶欠陥の少ない高品質な結晶となっている。
また、図11は本発明の結晶製造装置の他の例を示す図である。図11の結晶製造装置は、図1の結晶製造装置において、圧力センサー111と圧力調整弁105との間に、圧力制御機構130が設けられ、また、温度センサー112と加熱装置106との間に温度制御機構131が設けられている。
図11の結晶製造装置では、圧力調整弁105を圧力制御機構130を介して制御し、また、加熱装置106を温度制御機構131を介して制御することで、III族窒化物結晶の成長条件の設定や変更などを自動的に行うことが可能となる。この結果、1台の結晶製造装置で、所望の形態のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。あるいは、III族窒化物結晶を分解条件、柱状結晶成長条件、板状結晶成長条件の任意の条件に制御することが可能となる。従って、任意の形態のIII族窒化物や大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。すなわち、意図した結晶形態を任意の時間成長、分解することが可能となり、低コストで大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
図12あるいは図13は図11の結晶製造装置の具体例を示す図である。図12、図13の例では、図11の圧力制御機構130、温度制御機構131の機能を有するパーソナルコンピュータ140が設けられている。すなわち、圧力センサー111、温度センサー112からの検知情報はパーソナルコンピュータ140に入力され、パーソナルコンピュータ140によって、圧力センサー111、温度センサー112からの検知情報に基づいて、容器101内の圧力、温度が所定の圧力、温度となるように圧力調整弁105、加熱装置106を制御するように構成されている。
ここで、図12の例では、パーソナルコンピュータ140には、操作部として、板状結晶選択部141と、柱状結晶選択部142とが設けられており、また、記憶部143には、板状結晶を成長させるための成長条件(圧力、温度データ)と、柱状結晶を成長させるための成長条件(圧力、温度データ)とが記憶されている。
図12の例では、オペレータが板状結晶選択部141を選択操作すると、コンピュータ140は、記憶部143から板状結晶を成長させるための成長条件(圧力、温度データ)を読み出し、容器101内の圧力、温度を、この圧力、温度に自動制御する。これにより、板状結晶を確実に成長させることができる。
また、オペレータが柱状結晶選択部142を選択操作すると、コンピュータ140は、記憶部143から柱状結晶を成長させるための成長条件(圧力、温度データ)を読み出し、容器101内の圧力、温度を、この圧力、温度に自動制御する。これにより、柱状結晶を確実に成長させることができる。
また、図13の例では、パーソナルコンピュータ140には、操作部として、種々の成長方法を選択可能な選択部144−1〜144−nが設けられている。また、記憶部143には、種々の成長方法を実現するためのデータが記憶されている。例えば、記憶部143には、選択部144−1に対応させて、領域CでGaN結晶を成長させた後、領域Dの成長条件に変更する成長方法を実現するためのデータが記憶され、また、選択部144−2に対応させて、領域Cあるいは領域DでGaN結晶を成長させた後、分解領域である領域Aに条件を変更し、しかる後、更に領域Cあるいは領域Dに条件を変更する成長方法を実現するためのデータが記憶されている。
この場合、例えば選択部144−1が選択されると、これに対応したデータが記憶部143から読み出され、領域CでGaN結晶を成長させた後、領域Dの成長条件に変更する成長方法が実行されるようになっている。また、例えば選択部144−2が選択されると、これに対応したデータが記憶部143から読み出され、領域Cあるいは領域DでGaN結晶を成長させた後、分解領域である領域Aに条件を変更し、その後、更に領域Cあるいは領域Dに条件を変更する成長方法が実行されるようになっている。
このような構成では、オペレータが選択部144−1を選択すると、領域CでGaN結晶を成長させた後、領域Dの成長条件に変更する成長方法が実行され、柱状結晶と板状結晶の両方の結晶形態のGaN結晶を成長させることができる。
また、オペレータが選択部144−2を選択すると、領域Cあるいは領域DでGaN結晶を成長させた後、分解領域である領域Aに条件が変更し、領域Cあるいは領域Dで成長した柱状あるいは板状のGaN結晶の内、小さい結晶が分解する。その後、更に領域Cあるいは領域Dに条件が変更し、再度GaN結晶成長が開始し、この結果、大きな結晶を成長させることができる。
図6は本発明のIII族窒化物結晶を用いて作製された半導体デバイスの構成例を示す図である。なお、図6の半導体デバイスは、半導体レーザとして構成されている。図6の半導体レーザは、本発明のIII族窒化物結晶成長方法により作製されたIII族窒化物結晶を用いたn型GaN基板601上に、n型AlGaNクラッド層602、n型GaNガイド層603、InGaN MQW(多重量子井戸)活性層604、p型GaNガイド層605、p型AlGaNクラッド層606、p型GaNコンタクト層607が順次に結晶成長されて積層されている。
この結晶成長方法としては、MO−VPE(有機金属気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法等の薄膜結晶成長方法を用いることができる。
そして、このようなGaN,AlGaN,InGaNの積層膜にリッジ構造が形成され、SiO絶縁膜608がコンタクト層607のところでのみ穴開けした状態で形成され、上部及び下部に、各々、p側オーミック電極(Au/Ni)609及びn側オーミック電極(Al/Ti)610が形成されている。
この半導体レーザでは、p側オーミック電極609及びn側オーミック電極610から電流を注入することで、レーザ発振し、図6の矢印方向にレーザ光が出射される。
この半導体レーザは、本発明のIII族窒化物結晶(GaN結晶)を基板として用いているため、半導体レーザデバイス中の結晶欠陥が少なく、大出力動作且つ長寿命のものとなっている。また、GaN基板はn型であることから、基板に直接電極を形成することができ、第1の従来技術(図7)のようにp側とn側の2つの電極を表面からのみ取り出すことが必要なく、低コスト化を図ることが可能となる。更に、光出射端面を劈開で形成することが可能となり、チップの分離と併せて、低コストで高品質なデバイスを実現することができる。
なお、上述の例では、InGaN MQWを活性層604としたが、AlGaN MQWを活性層604として、発光波長の短波長化を図ることも可能である。すなわち、本発明では、GaN基板の欠陥及び不純物が少ないことで、深い順位からの発光が少なくなり、短波長化しても高効率な発光デバイスが可能となる。
また、上述の例では、本発明を光デバイスに適用した場合について述べたが、本発明を電子デバイスに適用することもできる。すなわち、欠陥の少ないGaN基板を用いることで、その上にエピタキシャル成長したGaN系薄膜も結晶欠陥が少なく、その結果、リーク電流を抑制できたり、量子構造にした場合のキャリア閉じ込め効果を高めたり、高性能なデバイスが実現可能となる。
すなわち、本発明のIII族窒化物結晶は、前述したように、結晶欠陥の少ない高品質な結晶である。このIII族窒化物結晶を用いて、デバイスを作製あるいは基板として用いて、薄膜成長からデバイス作製を行うことで、高性能なデバイスが実現できる。ここで言う高性能とは、例えば半導体レーザや発光ダイオードの場合には、従来実現できていない高出力且つ長寿命なものであり、電子デバイスの場合には低消費電力、低雑音、高速動作、高温動作可能なものであり、受光デバイスとしては低雑音、長寿命等のものである。
なお、上述の例では、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス、アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)を供給するとしたが、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス、アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)と不活性気体(例えば、アルゴンガス)との混合気体を供給するようにしても良い。
なお、ここでいう不活性気体とは、反応容器101内で、アルカリ金属、少なくともIII族金属を含む物質、及び少なくとも窒素を含む物質と反応しない気体である。
このように、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス、アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)と不活性気体(例えば、アルゴンガス)との混合気体を供給する場合でも、III族窒化物結晶成長のための圧力は、混合ガス全体の圧力ではなく、反応容器内の実効的な窒素ガス圧力によって決定される。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法で用いる結晶製造装置の構成例を示す図である。 III族窒化物の結晶成長条件の温度と圧力の関係を示す図である。 本発明により成長させたIII族窒化物結晶の一例を示す図である。 本発明により成長させたIII族窒化物結晶の他の例を示す図である。 本発明により成長させたIII族窒化物結晶の他の例を示す図である。 本発明に係る半導体光デバイスの構成例を示す図である。 従来のレーザダイオードを示す図である。 従来の半導体レーザを示す図である。 第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法を示す図である。 第6の従来技術によるGaN厚膜基板の作製方法を示す図である。 本発明の結晶製造装置の他の構成例を示す図である。 図11の結晶製造装置の具体例を示す図である。 図11の結晶製造装置の具体例を示す図である。
符号の説明
101 反応容器
102 混合融液保持容器
103 混合融液
104 ガス供給管
105 窒素圧力調整弁
106 加熱装置
107 窒素ガス容器
108 反応容器内の空間
109 混合融液保持容器の蓋
110 III族窒化物(GaN)結晶
111 圧力センサー
112 温度センサー
130 圧力制御機構
131 温度制御機構
140 パーソナルコンピュータ
141 板状結晶選択部
142 板状結晶選択部
143 記憶部
144−1〜144−n 選択部
301 種結晶
302 成長後のGaN結晶
401 六角柱状のGaN結晶
501 板状のGaN結晶
601 n型GaN基板
602 n型AlGaNクラッド層
603 n型GaNガイド層
604 InGaN MQW活性層
605 p型GaNガイド層
606 p型AlGaNクラッド層
607 p型GaNコンタクト層
608 SiO絶縁膜
609 p側オーミック電極
610 n側オーミック電極

Claims (5)

  1. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、
    前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第1の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第1の工程と、
    前記第1の結晶成長条件と比較して、少なくとも前記反応容器内の圧力を低下させるか、もしくは前記混合融液の温度を上昇させるよう制御して第2の条件に設定し、前記III族窒化物の柱状結晶または板状結晶を分解させる第2の工程と、
    前記反応容器内の圧力と前記混合融液の温度とを制御して、第3の結晶成長条件に設定し、自然核発生によりIII族窒化物の柱状結晶または板状結晶を成長する第3の工程と、
    を含むIII族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記第1または第2の工程において、前記反応容器内の窒素ガスの圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属はNaであり、前記III族金属を含む物質はGaであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記柱状結晶は、六方晶系のGaN結晶においてC軸方向に結晶が伸びたものであることを特徴とする請求項3に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記板状結晶は、六方晶系のGaN結晶においてC面方向に結晶が伸びたものであることを特徴とする請求項3に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
JP2008234150A 2002-01-29 2008-09-12 Iii族窒化物結晶の製造方法 Expired - Lifetime JP4971274B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008234150A JP4971274B2 (ja) 2002-01-29 2008-09-12 Iii族窒化物結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002019986 2002-01-29
JP2002019986 2002-01-29
JP2008234150A JP4971274B2 (ja) 2002-01-29 2008-09-12 Iii族窒化物結晶の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003018507A Division JP4801315B2 (ja) 2002-01-29 2003-01-28 Iii族窒化物結晶の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012010448A Division JP2012102015A (ja) 2002-01-29 2012-01-20 GaN結晶

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009007250A JP2009007250A (ja) 2009-01-15
JP4971274B2 true JP4971274B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=40322705

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008234150A Expired - Lifetime JP4971274B2 (ja) 2002-01-29 2008-09-12 Iii族窒化物結晶の製造方法
JP2012010448A Pending JP2012102015A (ja) 2002-01-29 2012-01-20 GaN結晶

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012010448A Pending JP2012102015A (ja) 2002-01-29 2012-01-20 GaN結晶

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP4971274B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5953683B2 (ja) * 2011-09-14 2016-07-20 株式会社リコー 13族窒化物結晶、及び13族窒化物結晶基板

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4075385B2 (ja) * 2002-01-24 2008-04-16 日亜化学工業株式会社 窒化ガリウム単結晶の種結晶およびその成長方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012102015A (ja) 2012-05-31
JP2009007250A (ja) 2009-01-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4801315B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP3929657B2 (ja) 結晶成長方法およびiii族窒化物結晶の製造方法
JP4055110B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4981602B2 (ja) 窒化ガリウム基板の製造方法
JP4216612B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4245822B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP3868156B2 (ja) 結晶成長方法および結晶成長装置およびiii族窒化物結晶
JP3966682B2 (ja) 結晶成長方法、結晶成長装置、結晶製造装置および結晶の製造方法
JP4560307B2 (ja) Iii族窒化物の結晶製造方法
JP2003238296A (ja) Iii族窒化物結晶成長方法およびiii族窒化物結晶成長装置
JP4056664B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4784922B2 (ja) Iii族窒化物結晶製造方法
JP4048476B2 (ja) 観察機能付iii族窒化物結晶製造装置および窒化物結晶製造方法
JP4551203B2 (ja) Iii族窒化物の結晶製造方法
JP4971274B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4551026B2 (ja) Iii族窒化物結晶成長装置およびiii族窒化物結晶成長方法
JP4298153B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4527496B2 (ja) Iii族窒化物の結晶製造方法
JP4414247B2 (ja) Iii族窒化物の結晶製造方法
JP4956515B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP2007001858A (ja) 結晶製造装置、iii族窒化物結晶および半導体デバイス
JP2003160398A (ja) Iii族窒化物結晶成長方法およびiii族窒化物結晶成長装置
JP5113097B2 (ja) Iii族窒化物の結晶製造方法
JP4773408B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法および結晶成長装置
JP4560497B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081009

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081009

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090730

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120403

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120405

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150