JP4216612B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物結晶の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、その殆どがサファイア基板あるいはSiC基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いる場合には、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなる。このために、デバイス特性が悪く、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという問題がある。
【0003】
更に、サファイア基板の場合には絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長したIII族窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題がある。また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端面を劈開で得ることが容易ではない。このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行っているが、この場合にも、従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で容易に行うことが不可能であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
【0004】
これらの問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長やその他の工夫を行うことで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。この手法では、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比較して、結晶欠陥を低減させることが可能となるが、サファイア基板を用いることによる、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。更には、工程が複雑化すること、及び、サファイア基板とGaN薄膜という異種材料の組み合わせに伴う基板の反りという問題が生じる。これらは高コスト化につながっている。
【0005】
こうした問題を解決するためには、基板上に結晶成長する材料と同一である、GaN基板が最も適切である。そのため、気相成長,融液成長等によりバルクGaNの結晶成長の研究がなされている。しかし、未だ高品質で且つ実用的な大きさを有するGaN基板は実現していない。
【0006】
GaN基板を実現する一つの手法として、非特許文献1では、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。この方法は、アジ化ナトリウム(NaN)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶が成長するものである。
【0007】
この非特許文献1に示されている従来技術の場合には、600〜800℃程度の比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm程度と比較的圧力を低くでき、実用的な成長条件であることが特徴である。しかし、この従来技術の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。
【0008】
【非特許文献1】
Chemistry of Materials Vol.9 (1997) 413−416
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の問題点を改善するために、これまで本願の発明者は、特開2001−058900、特開2001−064097、特開2001−64098、特開2001−102316、特開2001−119103、特開2002−128586、特開2002−201100、特開2002−128587の技術を提案している。
【0010】
例えば、特開2001−058900では、III族原料とV族原料を外部より反応容器内に供給することを提案している。また、特開2001−064097では、V族原料を安定に供給することを提案している。また、特開2001−64098では、種結晶を用いて成長する方法を提案している。また、特開2001−102316では、III族金属とアルカリ金属の混合融液からのIII族窒化物結晶の成長について提案している。また、特開2001−119103では、立方晶のIII族窒化物結晶の成長方法を提案している。
【0011】
また、特開2002−128586では、ガス導入方法の工夫,坩堝形状の工夫等による、アルカリ金属蒸発防止について提案している。また、特開2002−201100では、成長条件を脈動させることで、結晶サイズを拡大させることについて提案している。また、特開2002−128587では、反応容器の形状を制御することで、結晶サイズを拡大させることを提案している。
【0012】
このように、本願の発明者は、これまでIII族窒化物の結晶サイズを拡大させるために、多くの提案を行ってきているが、III族窒化物結晶を基板として用いるためには、より大きい結晶サイズのIII族窒化物結晶が望まれる。
【0013】
本発明は、より一層大きな結晶サイズのIII族窒化物結晶を結晶成長させることの可能なIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶および半導体デバイスを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、前記混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶製造方法であって、前記反応容器内の空間を少なくとも窒素を含む物質が気体として充たしており、前記窒素が前記混合融液表面から混合融液中に溶け込み、前記混合融液内の表面近傍の温度は、前記混合融液内であって混合融液表面とは異なるIII族窒化物結晶が成長する領域の温度よりも高い温度に制御され、且つ前記空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のIII族窒化物結晶の製造方法において前記III族窒化物が結晶成長する領域に予め種結晶を設置し、該種結晶を元にIII族窒化物が結晶成長することを特徴としている。
【0017】
また、請求項記載の発明は、請求項 1 または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域を反応容器内の下部に設定することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
本願の発明者により提案されたこれまでの発明では、混合融液表面から混合融液中に窒素が溶解し、混合融液表面あるいは混合融液中にIII族窒化物が結晶成長していた。このとき、混合融液表面近傍の溶解窒素濃度が高いために、表面近傍でIII族窒化物結晶が成長し、この場合には、III族金属が混合融液表面で消費され、III族金属が効率的にIII族窒化物結晶形成に寄与しないこととなる。
【0020】
本発明は、位置的制御性,成長パラメータ制御性を高め、窒素の混合融液中への溶解及びIII族金属の消費を効率的に行ない、より大きなIII族窒化物結晶を成長させることを意図している。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、窒素が混合融液表面から混合融液中に溶け込み、混合融液表面と異なる混合融液中の領域でIII族窒化物結晶が成長する温度に、混合融液表面と結晶成長領域とが各々温度制御されていることを特徴としている。
【0022】
ここで、III族金属とは、Ga,Al,In等であり、また、アルカリ金属には、K,Na等が使用可能である。また、窒素を含む物質とは、窒素ガスや、アジ化ナトリウム,アンモニアなどの窒素を構成元素に含む化合物である。
【0023】
本発明では、混合融液表面と結晶成長領域とが各々温度制御されていれば良く、混合融液表面と結晶成長領域とは、同じ温度でも異なる温度でも何れでも温度制御可能となっている。
【0024】
このように、本発明の第1の実施形態は、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、窒素が混合融液表面から混合融液中に溶け込み、混合融液表面と異なる混合融液中の領域でIII族窒化物結晶が成長する温度に、混合融液表面と結晶成長領域とが各々温度制御されているので(換言すれば、混合融液表面でIII族窒化物結晶が核発生しない成長温度条件で、混合融液中の表面以外の領域でIII族窒化物を結晶成長させることで)、大きなIII族窒化物結晶を成長させることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、反応容器内の空間を少なくとも窒素を含む物質が気体として充たしており、該空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されていることを特徴としている。
【0026】
ここで、反応容器内の空間には、窒素を含む気体以外の気体があっても良い。
【0027】
第1,第2の実施形態を図1を用いて詳細に説明する。なお、図1は結晶成長条件の温度と圧力の関係を表した図である。なお、図1において、縦軸は反応容器内の窒素圧力であり、横軸は混合融液の温度(絶対温度)の逆数をとったものである。
【0028】
本発明のように、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶の製造方法では、図1に示す4つの領域A,B,C,Dに結晶形態が分かれる。
【0029】
すなわち、図1において、領域Aは、III族窒化物結晶が成長せずに、III族窒化物結晶が分解する領域である。また、領域Bは、種結晶のみにIII族窒化物結晶が成長し、それ以外の反応容器内壁等にはIII族窒化物結晶が成長しない領域である。また、領域Cと領域Dは、自然核発生が起こり、反応容器内壁等にもIII族窒化物結晶が成長する領域である。このうち、領域Cでは柱状結晶が支配的に成長し、領域Dでは板状結晶が支配的に成長する。
【0030】
本発明では、混合融液表面は図1の領域Aもしくは領域Bとなる温度,圧力に制御し、混合融液表面と異なる領域については、図1の領域B、若しくは領域C、若しくは領域Dとなる温度,圧力に制御して、この領域で結晶成長させるようになっている。
【0031】
ここで、混合融液表面ではIII族窒化物結晶が成長せず、窒素が混合融液表面から混合融液中に溶け込む。混合融液中に溶け込んだ窒素は、混合融液中の表面とは異なる領域に輸送され、図1の領域B、若しくは領域C、若しくは領域Dの温度,圧力条件下でIII族窒化物結晶が成長する。
【0032】
このように、第2の実施形態では、第1の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、反応容器内の空間を少なくとも窒素を含む物質が気体として充たしており、該空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されているので、圧力制御,雰囲気制御が容易となる。
【0033】
さらに、第2の実施形態では、窒素を含む気体の分圧を一定にし、温度の変化を設けることで、混合融液表面から窒素を混合融液中に溶け込ませ、混合融液中の他の領域でIII族窒化物結晶を成長させることが容易となる。
【0034】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、上述した第1,第2の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、混合融液表面近傍の温度が、混合融液中のIII族窒化物結晶が成長する領域の温度よりも高い温度に制御されていることを特徴としている。
【0035】
即ち、混合融液表面より温度が低い領域でIII族窒化物結晶が成長し、混合融液表面ではIII族窒化物結晶は成長しない。
【0036】
ここで、温度が高いということは、図1の横軸の左側に位置することである。
【0037】
第3の実施形態では、混合融液表面近傍の温度が、混合融液中のIII族窒化物結晶が成長する領域の温度よりも高い温度に制御されているので、結晶成長条件のマージンを大きく設定することが可能となる。すなわち、図1の領域Aがより高い温度となり、領域B,C,Dが領域Aよりも低い温度と設定し易いことから、結晶成長条件を広く設定することができる。この結果、後述のような様々な結晶形態のIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。
【0038】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、上述した第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域に予め種結晶を設置し、該種結晶を元にIII族窒化物が結晶成長するように、該領域の温度,圧力を制御することを特徴としている。
【0039】
具体的に、この種結晶が設置されている領域は、図1の領域Bの温度,圧力になるように制御されている。一方、混合融液表面は、図1の領域Aの温度,圧力になるように制御されている。この条件下では、混合融液表面から窒素が混合融液中に溶け込み、種結晶を設置している領域で、種結晶のみにIII族窒化物が結晶成長する。
【0040】
ここで、種結晶は、III族窒化物結晶であり、III族窒化物の種結晶として機能する物質であれば良く、混合融液中で成長するIII族窒化物結晶と同じ材質であっても、異なる材質であっても良い。異なる材質のIII族窒化物結晶であっても結晶成長はするが、成長する結晶品質の点からは、混合融液中で成長するIII族窒化物結晶と同じ材質であることが望ましい。
【0041】
このように、第4の実施形態では、第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域に予め種結晶を設置し、該種結晶を元にIII族窒化物が結晶成長するように、該領域の温度,圧力を制御するので、混合融液表面で結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長が進行することから、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0042】
すなわち、第4の実施形態では、種結晶に支配的に結晶成長することから、種結晶以外の領域には新たな結晶成長は起こり難く、原料の効率的な消費が可能となる。換言すれば、種結晶を元にして成長するIII族窒化物結晶で殆どの原料が消費されることとなり、最初に仕込んだIII族金属が効率的に使用される。その結果、より大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
【0043】
また、種結晶を元に結晶成長させることができることから、結晶方位の制御も容易になる。すなわち、予め結晶方位の明確となっているIII族窒化物結晶を種結晶として用いることにより、結晶方位の精密制御が可能となる。その結果、最終的にIII族窒化物基板として結晶をスライスする際に、面方位が明確にし易いという利点がある。
【0044】
ここで得られるIII族窒化物結晶は、欠陥密度の小さい良質な結晶となっている。
【0045】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態は、上述した第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域で、柱状のIII族窒化物結晶が成長するように、該領域の温度,圧力を制御することを特徴としている。
【0046】
具体的に、柱状のIII族窒化物結晶が結晶成長する混合融液中の温度,圧力条件は、図1の領域Cの温度,圧力となるように制御されている。一方、混合融液表面は、図1の領域Aもしくは領域Bの温度,圧力に設定されており、ここではIII族窒化物結晶は成長せず、混合融液中に窒素が溶け込む。すなわち、III族窒化物結晶が成長する領域でのみ、図1の領域Cとなっていることから、柱状のIII族窒化物結晶が成長する。
【0047】
このように、第5の実施形態では、第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域で、柱状のIII族窒化物結晶が成長するように、該領域の温度,圧力を制御することにより、混合融液表面では結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長を進行させることができ、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0048】
また、第5の実施形態では、柱状結晶となることから、面方位が明確となっている。従って、この柱状結晶を元にGaN基板を作製する場合に、面方位の決定、スライスが容易となるという利点がある。
【0049】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態は、上述した第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域で、板状のIII族窒化物結晶が成長するように、該領域の温度,圧力を制御することを特徴としている。
【0050】
具体的に、板状のIII族窒化物結晶が結晶成長する混合融液中の温度,圧力条件は、図1の領域Dの温度,圧力となるように制御されている。一方、混合融液表面は、図1の領域Aもしくは領域Bの温度,圧力に設定されており、ここではIII族窒化物結晶は成長せず、混合融液中に窒素が溶け込む。すなわち、III族窒化物結晶が成長する領域でのみ、図1の領域Dとなっていることから、板状のIII族窒化物結晶が成長する。
【0051】
このように、第6の実施形態では、第3の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域で、板状のIII族窒化物結晶が成長するように、該領域の温度,圧力を制御することにより、混合融液表面では結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長を進行させることができ、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0052】
また、第6の実施形態では、板状結晶となることから、GaN基板として用い易い。具体的に、この板状結晶をそのままGaN基板として用いることもできるし、あるいは、表面の凹凸がある場合でも、表面研磨するのみでGaN基板として使用することができる。また、面方位が明確となっていることから、基板としての使用を容易にすることができる。
【0053】
更に、図1の領域Dでの結晶成長では、板状結晶の面方向結晶成長速度が早いことから、効率的にGaN結晶を成長させることができ、低コストにつながる。
【0054】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態は、第3,第4,第5,第6のいずれかの実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域を反応容器内の下部に設定することを特徴としている。
【0055】
ここで、III族窒化物結晶が成長する反応容器内の下部の領域とは、混合融液中に窒素が溶け込む混合融液表面よりも下側の領域である。
【0056】
この第7の実施形態では、III族窒化物が結晶成長する領域を反応容器内の下部に設定することにより、混合融液中で大きなIII族窒化物を継続的に結晶成長させることが可能となる。すなわち、混合融液中の安定的な成長条件(温度の揺らぎが少ない、原料物質の量比が一定している)が得られ、高品質で大きなIII族窒化物が結晶成長可能となる。
【0057】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態は、第1または第2の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、混合融液表面近傍の温度と、混合融液中のIII族窒化物結晶が成長する領域の温度とが、概ね同じ温度に制御されていることを特徴としている。
【0058】
ここで、III族窒化物結晶が成長する領域は、図1の領域Bの温度,圧力に設定されており、この場合には、III族窒化物結晶は、種結晶のみに結晶成長する。なお、ここで言う概ね同じ温度とは、図1の領域Bの温度範囲内であれば良く、窒素を含む気体の圧力は、概ね反応容器内では一定であることから、この制御する温度を決定することができる。
【0059】
この第8の実施形態では、混合融液表面近傍の温度と、混合融液中のIII族窒化物結晶が成長する領域の温度とが、概ね同じ温度に制御されていることにより、混合融液全体の温度が均一となり、熱的変動が少なく、安定した結晶成長条件で、III族窒化物を結晶成長させることが可能となる。この結果、高品質で大きなIII族窒化物を結晶成長させることが可能となる。
【0060】
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態は、上述した第1または第2の実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、混合融液表面近傍の温度が、混合融液下部の温度よりも低い温度に制御されていることを特徴としている。
【0061】
なお、混合融液下部とは、混合融液表面近傍よりも下側を意味している。ここで、III族窒化物結晶が成長する領域と混合融液表面の温度,圧力は、いずれも図1の領域Bの温度,圧力に設定されており、この場合には、III族窒化物結晶は、種結晶のみに結晶成長する。
【0062】
この第9の実施形態では、混合融液表面近傍の温度が、混合融液下部の温度より低い温度に制御されていることにより、混合融液の対流を発生させることができ、混合融液が対流することで、混合融液表面で溶け込んだ窒素が融液全体に拡散して均一な窒素濃度となり、この結果、安定してIII族窒化物結晶が成長し、高品質で大きなIII族窒化物を結晶成長させることが可能となる。
【0063】
(第10の実施形態)
図6は本発明のIII族窒化物結晶を用いて作製された半導体デバイスの構成例を示す図である。なお、図6の半導体デバイスは、半導体レーザとして構成されている。図6の半導体レーザは、本発明のIII族窒化物結晶成長方法により作製されたIII族窒化物結晶(例えばGaN結晶)を用いたn型GaN基板601上に、n型AlGaNクラッド層602、n型GaNガイド層603、InGaNMQW(多重量子井戸)活性層604、p型GaNガイド層605、p型AlGaNクラッド層606、p型GaNコンタクト層607が順次に結晶成長されて積層されている。
【0064】
この結晶成長方法としては、MO−VPE(有機金属気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法等の薄膜結晶成長方法を用いることができる。
【0065】
そして、このようなGaN,AlGaN,InGaNの積層膜にリッジ構造が形成され、SiO絶縁膜608がコンタクト層607のところでのみ穴開けした状態で形成され、上部及び下部に、各々、p側オーミック電極(Au/Ni)609及びn側オーミック電極(Al/Ti)610が形成されている。
【0066】
この半導体レーザでは、p側オーミック電極609及びn側オーミック電極610から電流を注入することで、レーザ発振し、図6の矢印方向にレーザ光が出射される。
【0067】
この半導体レーザは、本発明のIII族窒化物結晶(例えばGaN結晶)を基板として用いているため、半導体レーザデバイス中の結晶欠陥が少なく、大出力動作且つ長寿命のものとなっている。また、GaN基板はn型であることから、基板に直接電極を形成することができ、従来のサファイア基板等の絶縁性基板を用いた場合の、p側とn側の2つの電極を表面からのみ取り出すことが必要なく、低コスト化を図ることが可能となる。更に、光出射端面を劈開で形成することが可能となり、チップの分離と併せて、低コストで高品質なデバイスを実現することができる。
【0068】
なお、上述の例では、InGaN MQWを活性層604としたが、AlGaN MQWを活性層604として、発光波長の短波長化を図ることも可能である。すなわち、本発明では、GaN基板の欠陥及び不純物が少ないことで、深い順位からの発光が少なくなり、短波長化しても高効率な発光デバイスが可能となる。
【0069】
また、上述の例では、本発明を光デバイスに適用した場合について述べたが、本発明を電子デバイスに適用することもできる。すなわち、欠陥の少ないGaN基板を用いることで、その上にエピタキシャル成長したGaN系薄膜も結晶欠陥が少なく、その結果、リーク電流を抑制できたり、量子構造にした場合のキャリア閉じ込め効果を高めたり、高性能なデバイスが実現可能となる。
【0070】
すなわち、本発明のIII族窒化物結晶は、前述したように、結晶欠陥の少ない高品質な結晶である。このIII族窒化物結晶を用いて、デバイスを作製あるいは基板として用いて、薄膜成長からデバイス作製を行うことで、高性能なデバイスが実現できる。ここで言う高性能とは、例えば半導体レーザや発光ダイオードの場合には、従来実現できていない高出力且つ長寿命なものであり、電子デバイスの場合には低消費電力、低雑音、高速動作、高温動作可能なものであり、受光デバイスとしては低雑音、長寿命等のものである。
【0071】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0072】
(第1の実施例)
図2は本発明で用いられる結晶製造装置の一例を示す図であり、図2には、反応容器の内部が断面的に示されている。
【0073】
すなわち、図2を参照すると、反応容器101内には、混合融液保持容器102が設置されており、混合融液保持容器102内には、少なくともIII族金属を含む物質としてのGaとアルカリ金属としてのNaから構成される混合融液103が保持されている。
【0074】
なお、アルカリ金属(Na)は、外部から供給されても良いし、あるいは、最初から反応容器101内に存在していても良い。
【0075】
また、混合融液保持容器102の上には蓋109があり、混合融液保持容器102と蓋109との間には、気体が出入できる程度の僅かな隙間がある。
【0076】
また、反応容器101は、例えばステンレスで形成されている。また、混合融液保持容器102は、例えば、BN(窒化ホウ素)、あるいは、AlN、あるいは、パイロリティックBNで形成されている。
【0077】
また、反応容器101には、III族窒化物(GaN)を結晶成長可能な温度に制御できるように、第一の加熱装置106と、第二の加熱装置107とが設けられている。ここで、第一の加熱装置106は混合融液保持容器102の下部を、また、第二の加熱装置107は混合融液保持容器102の上部を、各々主に加熱できるように、第一の加熱装置106が第二の加熱装置107の下部に位置決めされている。
【0078】
また、混合融液保持容器102の下部の温度を検知する第一の温度センサー112と、混合融液保持容器102の上部の温度を検知する第二の温度センサー113とが、各々、混合融液保持容器102の下部と上部とに設置されている。ここで、第一の温度センサー112は第一の加熱装置106に、第二の温度センサー113は第二の加熱装置107に、各々温度のフィードバック制御が可能に接続されている。
【0079】
また、少なくとも窒素を含む物質としては、例えば窒素ガスを用いることができる。図2の例では、窒素ガスは、反応容器101外に設置されている窒素ガス容器114からガス供給管104を通して反応容器101内の空間108に供給することができる。図2の例では、窒素ガスは、反応容器101の下側から供給するようにしている。そして、この窒素ガスの圧力を調整するために、反応容器101内の窒素ガスの圧力を検知する圧力センサー111と、圧力調整弁105とが設けられている。ここで、反応容器101内が所定の圧力となるように、圧力センサー111から圧力調整弁105にフィードバック制御がかかるようになっている。
【0080】
第1の実施例では、このような図2の装置を用いて、反応容器101内の窒素圧力を3MPa、混合融液保持容器102の上部の温度を1000℃、混合融液保持容器102の下部の温度を850℃に設定し、また、混合融液保持容器102の下部に種結晶を予め設置しておく。この状態で、上記の温度,圧力を保持することで、種結晶を核にしてGaN結晶110が成長し、大きくなる。
【0081】
このとき、混合融液103の表面(混合融液表面)にはGaN結晶110は成長せず、混合融液保持容器102の下部の種結晶が設置されている領域のみにGaN結晶110が成長する。窒素は混合融液103の表面から混合融液103中に溶け込み、種結晶の領域のみでGaN結晶が成長する。
【0082】
このように、混合融液表面で結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長が進行することから、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0083】
なお、この第1の実施例において、混合融液表面の温度,圧力は図1の領域Aに対応し、種結晶が設置されている混合融液下部の温度,圧力は図1の領域Bに対応している。
【0084】
図3は、この第1の実施例において成長するGaN結晶110の一例を示す図である。
【0085】
図3を参照すると、第1の実施例においては、混合融液保持容器102の下部に、種結晶となるGaN結晶301を設置しておき、上記の結晶成長条件に保持することで、種結晶301を元に、GaN結晶が大きく成長し、成長後のGaN結晶302となる。
【0086】
ここで、種結晶301として六角柱状の結晶を用いており、この種結晶301の周りに結晶が成長し、GaN結晶が大きくなっている。図3において、六角柱の上面及び底面が(0001)面となっている。
【0087】
図1の領域Bでは、種結晶に支配的に結晶成長することから、種結晶以外の領域には新たな結晶成長は起こり難く、原料の効率的な消費が可能となる。すなわち、種結晶を元にして成長するGaN結晶で殆どの原料が消費されることとなり、最初に仕込んだ金属Gaが効率的に使用される。その結果、より大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
【0088】
また、種結晶を元に結晶成長できることから、結晶方位の制御も容易になる。すなわち、予め結晶方位の明確となっているGaN結晶を種結晶として用いることにより、結晶方位の精密制御が可能となる。その結果、最終的にGaN基板として結晶をスライスする際に、面方位が明確にし易いという利点がある。
【0089】
この第1の実施例で得られるGaN結晶は、欠陥密度の小さい良質な結晶となっている。
【0090】
なお、図3の例では六角柱状の種結晶を用いているが、後述の第3の実施例で示すような板状結晶を種結晶として用いても良い。また、従来技術で述べたエピタキシャル膜上に結晶成長させることも可能である。この場合、板状の大きなGaN結晶を得ることができる。
【0091】
(第2の実施例)
第2の実施例では、前述した図2の装置を用いて、反応容器101内の窒素圧力を3MPa、混合融液保持容器102の上部の温度を1000℃、混合融液保持容器102の下部の温度を800℃に設定する。この状態で、上記の温度,圧力を保持することで、混合融液保持容器102の下部にGaN結晶110が成長し、大きくなる。
【0092】
このとき、混合融液103の表面(混合融液表面)にはGaN結晶110は成長せず、混合融液保持容器102の下部のみにGaN結晶110が成長する。窒素は混合融液103の表面から混合融液103中に溶け込み、混合融液保持容器102の下部のみでGaN結晶が成長する。この時、混合融液保持容器102の下部で成長したGaN結晶としては、図4(a)または図4(b)の形態の柱状結晶401が支配的に成長する。
【0093】
ここで、図4(a)のように成長したGaN結晶401は六角柱状のものであり、また、図4(b)のように成長したGaN結晶401は六角柱の上方に六角錘が重なったような形状のものである。図4(a),図4(b)のいずれのGaN結晶401も上面及び底面がC面(0001)面となっており、C軸方向に伸びた結晶形態である。
【0094】
このように、第2の実施例では、混合融液表面で結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長が進行することから、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0095】
なお、この第2の実施例において、混合融液表面の温度,圧力は図1の領域Aに対応し、GaN結晶が成長する混合融液下部の温度,圧力は図1の領域Cに対応している。
【0096】
図1の領域Cでは、柱状結晶が支配的に結晶成長することから、面方位が明確となっている。従って、この柱状結晶を元にGaN基板を作製する場合に、面方位の決定,スライスが容易となるという利点がある。
【0097】
また、この領域Cでは、種結晶がなくとも、自発核発生により柱状結晶が成長することから、前述の領域Bで用いる種結晶として、本領域Cで結晶成長した柱状結晶を使用することができる。
【0098】
(第3の実施例)
第3の実施例では、前述した図2の装置を用いて、反応容器101内の窒素圧力を3MPa、混合融液保持容器102の上部の温度を1000℃、混合融液保持容器102の下部の温度を730℃に設定する。この状態で、上記の温度,圧力を保持することで、混合融液保持容器102の下部にGaN結晶110が成長し、大きくなる。
【0099】
このとき、混合融液103の表面(混合融液表面)にはGaN結晶110は成長せず、混合融液保持容器102の下部のみにGaN結晶110が成長する。窒素は混合融液103の表面から混合融液103中に溶け込み、混合融液保持容器102の下部のみでGaN結晶が成長する。この時、混合融液保持容器102の下部で成長したGaN結晶としては、図5の形態の板状結晶(501)が支配的に成長していた。
【0100】
なお、この第3の実施例で成長するGaN結晶としては、図5に示すような(501のような)六角板状のもの以外にも、多角形状の六方晶の板状結晶も得られ、いずれもC面(0001)面方向に伸びた結晶形態である。
【0101】
このように、第3の実施例では、混合融液表面で結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長が進行することから、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0102】
なお、この第3の実施例において、混合融液表面の温度,圧力は図1の領域Aに対応し、GaN結晶が成長する混合融液下部の温度,圧力は図1の領域Dに対応している。
【0103】
図1の領域Dでは、板状結晶が支配的に結晶成長することから、GaN基板として用い易い。この板状結晶をそのままGaN基板として用いることも可能である。あるいは、表面の凹凸がある場合でも、表面研磨するのみでGaN基板として使用することができる。また、面方位が明確となっていることからも、基板としての使用を容易にすることができる。
【0104】
更に、この領域Dでの結晶成長では、板状結晶の面方向結晶成長速度が早いことから、効率的にGaN結晶を成長させることができ、低コストにつながる。
【0105】
また、この領域Dでは、種結晶がなくとも、自発核発生により板状結晶が成長することから、前述の領域Bで用いる種結晶として、本領域Dで結晶成長させた板状結晶を使用することができる。
【0106】
(第4の実施例)
第4の実施例では、前述した図2の装置を用いて、反応容器101内の窒素圧力を2MPa、混合融液保持容器102の上部の温度と下部の温度を両方共に、850℃に設定し、また、混合融液保持容器102の下部に種結晶を予め設置しておく。この状態で、上記の温度,圧力を保持することで、種結晶を核にしてGaN結晶110が成長し、大きくなる。
【0107】
なお、上述の例では、種結晶を混合融液103の下部に設置したが、混合融液保持容器102の側面等に設置しても同様の効果は得られる。
【0108】
この第4の実施例は、混合融液保持容器102の上部と下部の温度が同じであることを除いて、概ね第1の実施例と同様の作用効果がある。異なる点は、上部と下部の温度が同じであることから、混合融液103全体の温度が均一となり、熱的変動が少なく、安定した結晶成長条件でGaNを結晶成長させることが可能となる。
【0109】
(第5の実施例)
第5の実施例では、前述した図2の装置を用いて、反応容器101内の窒素圧力を2MPa、混合融液保持容器102の上部の温度を800℃に設定し、下部の温度を850℃に設定し、また、混合融液保持容器102の下部に種結晶を予め設置しておく。この状態で、上記の温度,圧力を保持することで、種結晶を核にしてGaN結晶110が成長し、大きくなる。
【0110】
なお、上述の例では、種結晶を混合融液103の下部に設置したが、混合融液保持容器102の側面等に設置しても同様の効果は得られる。
【0111】
この第5の実施例は、混合融液保持容器102の上部と下部の温度が同じであることを除いて、概ね第1の実施例や第4の実施例と同様の作用効果がある。異なる点は、混合融液103の上部の温度が下部の温度より低いことで、混合融液103が対流し、混合融液103が対流することで、混合融液103の表面で溶け込んだ窒素が混合融液103全体に拡散し、均一な窒素濃度となる。この結果、安定したGaN結晶の成長が可能となる。
【0112】
なお、上述の例では、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質として、窒素ガスを用いたが、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質として、アンモニアガスまたはアジ化ナトリウムなどを供給することもできる。
【0113】
また、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス,アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)と不活性気体(例えば、アルゴンガス)との混合気体を供給するようにしても良い。
【0114】
なお、ここでいう不活性気体とは、反応容器101内で、アルカリ金属、少なくともIII族金属を含む物質、及び少なくとも窒素を含む物質と反応しない気体である。
【0115】
このように、反応容器101内に少なくとも窒素を含む物質(例えば、窒素ガス,アンモニアガスまたはアジ化ナトリウム)と不活性気体(例えば、アルゴンガス)との混合気体を供給する場合でも、III族窒化物結晶成長のための圧力は、混合ガス全体の圧力ではなく、反応容器内の実効的な窒素ガス圧力によって決定される。
【0116】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項記載の発明によれば、反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、前記混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶製造方法であって、反応容器内の空間を少なくとも窒素を含む物質が気体として充たしており、前記窒素が前記混合融液表面から混合融液中に溶け込み、前記混合融液内の表面近傍の温度は、前記混合融液内であって混合融液表面とは異なるIII族窒化物結晶が成長する領域の温度よりも高い温度に制御され、且つ前記空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されているので、大きなIII族窒化物結晶を成長させることができる。しかも、空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されているので、圧力制御,雰囲気制御が容易となる。
【0117】
すなわち、混合融液表面では窒素原料が混合融液中に溶け込み、III族窒化物結晶が成長する混合融液中の別の領域に、窒素原料が輸送され、結晶成長を継続的に進行させることができる。この結果、従来得られなかった大きさの大きなIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。さらに、結晶成長条件のマージンを大きく設定することが可能となる。すなわち、図1の領域Aがより高い温度となり、領域B,C,Dが領域Aよりも低い温度と設定し易いことから、結晶成長条件を広く設定することができる。この結果、様々な結晶形態のIII族窒化物結晶を成長することが可能となる。大きなIII族窒化物結晶を成長させることができる。
【0118】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域に予め種結晶を設置し、該種結晶を元にIII族窒化物が結晶成長させるので、混合融液表面で結晶成長が発生せず、意図した所定の領域のみで結晶成長が進行することから、原料が有効に消費され、また、核発生制御による結晶の高品質化が可能となる。
【0120】
また、請求項記載の発明によれば、III族窒化物が結晶成長する領域を反応容器内の下部に設定することにより、混合融液中で大きなIII族窒化物を継続的に結晶成長させることが可能となる。すなわち、混合融液中の安定的な成長条件(温度の揺らぎが少ない、原料物質の量比が一定している)が得られ、高品質で大きなIII族窒化物が結晶成長可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 III族窒化物結晶の成長条件の温度と圧力との関係を示す図である。
【図2】 本発明で用いられるIII族窒化物結晶製造装置の一例を示す図である。
【図3】 本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって結晶成長させたIII族窒化物結晶の一例を示す図である。
【図4】 本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって結晶成長させたIII族窒化物結晶の一例を示す図である。
【図5】 本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって結晶成長させたIII族窒化物結晶の一例を示す図である。
【図6】 本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって結晶成長させたIII族窒化物結晶を用いた半導体デバイスの構成例を示す図である。
【符号の説明】
101 反応容器
102 混合融液保持容器
103 混合融液
104 ガス供給管
105 圧力調整弁
106 第一の加熱装置
107 第二の加熱装置
108 反応容器内の空間
109 混合融液保持容器の蓋
110 III族窒化物(GaN)結晶
111 圧力センサー
112 第一の温度センサー
113 第二の温度センサー
114 窒素ガス容器
301 種結晶
302 成長後のGaN結晶
401 六角柱状のGaN結晶
501 板状のGaN結晶
601 n型GaN基板
602 n型AlGaNクラッド層
603 n型GaNガイド層
604 InGaN MQW活性層
605 p型GaNガイド層
606 p型AlGaNクラッド層
607 p型GaNコンタクト層
608 SiO絶縁膜
609 p側オーミック電極
610 n側オーミック電極

Claims (3)

  1. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、前記混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶製造方法であって、
    前記反応容器内の空間を少なくとも窒素を含む物質が気体として充たしており、前記窒素が前記混合融液表面から混合融液中に溶け込み、前記混合融液内の表面近傍の温度は、前記混合融液内であって混合融液表面とは異なるIII族窒化物結晶が成長する領域の温度よりも高い温度に制御され、且つ前記空間の少なくとも窒素を含む気体の分圧が、混合融液表面の温度変化に伴い、混合融液表面近傍でIII族窒化物が核発生しないように圧力制御されていることを特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法において、前記III族窒化物が結晶成長する領域に予め種結晶を設置し、該種結晶を元にIII族窒化物が結晶成長することを特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物が結晶成長する領域を反応容器内の下部に設定することを特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法。
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