JP4048476B2 - 観察機能付iii族窒化物結晶製造装置および窒化物結晶製造方法 - Google Patents

観察機能付iii族窒化物結晶製造装置および窒化物結晶製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物結晶製造装置および窒化物結晶製造方法に関し、特に光ディスク用青紫色光源、紫外光源(LD,LED)、電子写真用青紫色光源、あるいはIII族窒化物電子デバイス等に適用できる観察機能付III族窒化物結晶製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(第一の従来技術)
従来、紫〜青〜緑色光源として用いられている, InGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、その殆どがサファイアあるいはSiC基板上に、MO-CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により製作されている。サファイアやSiCを基板として用いた場合の問題点としては、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなることが挙げられる。
【0003】
このために、デバイス特性が悪いこと、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという問題点を招くことになる。更に、サファイア基板の場合には、絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長した窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題点がある。
【0004】
また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは劈開による、チップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端面を劈開で得ることが容易ではない。
このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行っている。この場合にも従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で、容易に行うことが困難であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
【0005】
これらの問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長やその他の工夫を行うことで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。Japanese Journal of Applied Physics Vol.36 (1997) Part 2, No.12A, L1568-1571では第5図に示すように、MO-VPE(有機金属気相成長)装置にてサファイア基板上にGaN低温バッファ層とGaN層を順次成長した後に、選択成長用のSiO2マスクを形成する。このSiO2マスクは別のCVD(化学気相堆積)装置にてSiO2膜を堆積した後に、フォトリソグラフィ、エッチング工程を経て形成される。次にこのSiO2マスク上に再度、MO-VPE装置にて20μmの厚さのGaN膜を成長することで、横方向にGaNが選択成長し、選択横方向成長を行わない場合に比較して結晶欠陥を低減させている。
【0006】
更に、その上層に形成されている変調ドープ歪み超格子層(MD-SLS)を導入することで、活性層へ結晶欠陥が延びることを防いでいる。この結果、選択横方向成長及び変調ドープ歪み超格子層を用いない場合に比較して、デバイス寿命を長くすることが可能となっている。(第一の従来技術)
この第一の従来技術の場合には、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比較して、結晶欠陥を低減させることが可能となっているが、サファイア基板を用いることに依る、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。更には、SiO2マスク形成工程を挟んで、MO-VPE装置による結晶成長が2回必要となり、工程が複雑化するという問題が新たに生じる。
【0007】
(第二の従来技術)
また、別の方法として、Applied Physics Letters, Vol.73, No.6,832-834(1998)では、GaN厚膜基板を応用することが提案されている。これは前述の第一の従来技術での20μmの選択横方向成長後に、H-VPE(ハイドライド気相成長)装置にて200μmのGaN厚膜を成長し、その後この厚膜成長したGaN膜を150μmの厚さになるように、サファイア基板側から研磨することにより、GaN基板を作製する。
【0008】
このGaN基板上にMO-VPE装置を用いて、LDデバイスとして必要な結晶成長を順次行ない、LDデバイスを作製する。この結果、結晶欠陥の問題に加えて、サファイア基板を用いることによる絶縁性と劈開に関する前述の問題点を解決することが可能となっている(以上、第二の従来技術)。
これと同様のものとして、例えば特開平11-4048号公報に記載の製造方法が提案されている。この内容は、前述のものと同様である。この特開平11-4048号公報に記載の製造方法を、図6に示す。
【0009】
しかし、この第二の従来技術は第一の従来技術の工程が複雑となる問題以上に、更に工程が複雑になっており、そのコスト高が益々問題となってくる。また、この方法で200μmものGaN厚膜を成長する場合には、基板であるサファイアとの格子定数差及び熱膨張係数差に伴う、応力が大きくなり、基板の反りやクラックが生じるという問題が新たに発生する。
【0010】
この問題を回避するために、特開平10-256662号公報に記載の製造方法では、厚膜成長する元の基板(この公報では、サファイアとスピネルが最も望ましいと述べている)の厚さを1mm以上とすることを提案している。この厚さ1mm以上の基板を用いることにより、厚膜のGaN膜を200μm成長しても、基板の反りやクラックが生じないとしている。しかし、このように厚い基板は基板自体のコストが高く、また研磨に多くの時間を費やす必要があり、研磨工程のコストアップにつながる。
【0011】
即ち、厚い基板を用いることにより、薄い基板を用いる場合に比較してコストが高くなる。また、厚い基板を用いた場合には、厚膜のGaN膜を成長した後には基板の反りやクラックが生じないが、研磨の工程で応力緩和し、研磨途中で反りやクラックが発生する。このため、厚い基板を用いても、容易に、結晶品質の高いGaN基板を大面積化で作成することは出来ない、という問題がある。
【0012】
(第三の従来技術)
一方、例えばJournal of Crystal Growth, Vol.189/190, 153-158(1998)ではGaNのバルク結晶を成長させ、それをホモエピタキシャル基板として用いることを提案している。これは1400〜1700℃の高温、及び数10kbarもの超高圧の窒素圧力中で液体GaからGaNを結晶成長する手法である。
【0013】
この場合には、このバルク成長したGaN基板を用いて、デバイスに必要なIII族窒化物半導体膜を成長することが可能となる。従って、第一及び第二の従来技術のような工程が複雑化することなく、GaN基板を実現できる。しかし、この場合の問題点としては、高温、高圧中での結晶成長が必要となり、それに耐えうる反応容器が極めて高価になるということがある。加えて、このような成長方法をもってしても、得られる結晶の大きさが高々1cm程度であり、デバイスを実用化するには小さ過ぎるという問題がある。
【0014】
(第四の従来技術)
この高温、高圧中でのGaN結晶成長の問題点を解決する手法として、Chemistry of Materials Vol.9 (1997) 413-416では、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。
この方法は、アジ化ナトリウム(NaN3)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶が成長するものである。
【0015】
この従来例の場合には、600〜800℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm2程度と第三の従来例に比較して圧力が低い点が特徴である。しかし、この方法の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。この程度の大きさではデバイスを実用化するには第三の従来例と同様に小さ過ぎる。以下、金属フラックスを用いる方法をフラックス法と言うこととする。
【0016】
(第五の従来技術)
最近、特開2000-12900号公報及び特開2000-22212号公報で、GaAs基板を用いてGaN厚膜基板を作製する方法が提案されている。
図7は、第五の従来技術を示す製造工程図である。以下、図7を用いて説明する。(111)GaAs基板上に第一の従来技術と同様にSiO2膜やSiN膜をマスクとして、GaN膜を70μm〜1mmの厚さ選択成長する(図7(a)(1)〜(3))。この結晶成長はH-VPEにより行う。その後、王水によりGaAs基板をエッチング、除去し、GaN自立基板を作製する(図7(a)(4))。このGaN自立基板を元に、更に再度H-VPEにより、数10mmの厚さのGaN結晶を気相成長させる(図7(b))。
この厚さ数10mmのGaN結晶をスライサーによりウェハ状に切り出し、GaNウェハを作製する(図7(b)(2)(3))。
【0017】
この第五の従来技術では、GaN自立基板が得られ、更に数10mmの厚さのGaN結晶を得ることが出来る。しかし、次のような問題点がある。
・SiN膜やSiO2膜を選択成長用マスクとして用いるため、その作製工程が複雑になり、コスト高につながる。
・H-VPEにより数10mmの厚さのGaN結晶が成長する際に、反応容器内にも同様の厚さのGaN結晶(単結晶や多結晶)やアモルファス状のGaNが付着する。このため、量産性に問題がある
・GaAs基板が犠牲基板として一回の成長毎にエッチング、除去されるため、コスト高につながる。
【0018】
これまでに、本出願人はフラックスを用いたIII族窒化物結晶成長で、III族窒化物結晶を大きくすることを提案してきている。しかし、これらの結晶成長方法、結晶成長装置では結晶成長のその場観察が困難であり、結晶成長終了後にIII族窒化物結晶を取り出すまでその結晶の状態を知ることが出来なかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記第一の従来技術の場合には、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比較して、結晶欠陥を低減させることが可能となっているが、サファイア基板を用いることに依る、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。更には、SiO2マスク形成工程を挟んで、MO-CVD装置による結晶成長が2回必要となり、工程が複雑化するという問題が新たに生じる。
上記第二の従来技術は、第一の従来技術の工程が複雑となる問題以上に、更に工程が複雑になっており、そのコスト高が益々問題となってくる。また、この方法で200μmものGaN厚膜を成長する場合には、基板であるサファイアとの格子定数差及び熱膨張係数差に伴う応力が大きくなり、基板の反りやクラックが生じるという問題が新たに発生する。
【0020】
第三の従来技術の問題点としては、高温、高圧中での結晶成長が必要となり、それに耐えうる反応容器が極めて高価になるということがある。加えて、このような成長方法をもってしても、得られる結晶の大きさが高々1cm程度であり、デバイスを実用化するには小さ過ぎるという問題がある。
【0021】
そこで、本発明の目的は、これら従来の課題を解決し、第一および第二の従来技術の問題点である工程の複雑化をなくし、第三の従来技術の問題点である高価な反応容器を用いることも無く、且つ第三や第四の従来技術の問題点である結晶の大きさが小さくなること無く、更に第五の従来技術のように高コストになること無く、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するために実用的な大きさのIII族窒化物結晶の実現、及びその結晶を成長させる成長装置、成長方法を実現することにある。
【0022】
また、本発明の他の目的は、これまで出願している発明では、フラックスを用いたIII族窒化物結晶成長で、反応容器内の結晶成長の様子を、その場観察することが出来なかったが、この点を改善して、フラックスを用いたIII族窒化物結晶成長で、その場観察、あるいは、反応容器内の様子を観察可能にすることである
【0023】
また、本願請求項5の目的は、それらのIII族窒化物結晶製造装置を用いて、III族窒化物結晶を成長する製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、次のような手段を用いている。
反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質が混合融液を形成しており、この混合融液と少なくとも窒素を含む物質から、III族金属と窒素から構成されるIII族窒化物を結晶成長させる結晶製造装置において、反応容器外部より反応容器内部が観察可能な機能を有することを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
【0025】
反応容器内にはアルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質、及び少なくとも窒素を含む物質がある。これらの物質は外部から供給しても、あるいは最初から反応容器内に存在してもどちらでも良い。この反応容器には温度制御機能が具備されており、結晶成長可能な温度に上げること、及び結晶成長が停止する温度に下げること、及び、それらの温度に任意の時間保持することが可能となっている。
【0026】
反応容器内の温度および実効窒素分圧をIII族窒化物結晶が結晶成長する条件に設定することにより、III族窒化物の結晶成長が開始する。
このような装置において、反応容器外部から反応容器内部が観察可能な状態となっている。反応容器外部とは大気側であり、反応容器内の雰囲気とは反応容器により仕切られている。
ここで言う窒素とは、窒素分子あるいは窒素を含む化合物から生成された窒素分子や原子状窒素、および窒素を含む原子団および分子団のことである。本発明で述べる窒素に関しても同じである。
【0027】
(2)請求項1の構成・動作
請求項1は、 III族窒化物結晶製造装置の内、反応容器外部より反応容器内部が観察可能な機能を有する装置部位において、反応容器外部と反応容器内部が可視光に対して透明である窓により、分離されている領域を有することを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
ここで言う可視光に対して透明とは、反応容器に設置されている窓を通して、反応容器外部から反応容器内部を観察することが可能な程度の透過率を有していることである。即ち、反応容器外部から反応容器内部を、この窓を通して観察することが出来る。
【0028】
(3)請求項1の発明は、III族窒化物結晶製造装置の窓が石英、若しくはサファイアであることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
ここで言う石英とは透明石英であり、溶融石英、合成石英の何れであっても良い。また、サファイアも透明サファイアである。
(4) 請求項1の発明は、III族窒化物結晶製造装置において、窓の反応容器内部側の少なくとも表面が、III族窒化物薄膜で覆われていることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
ここで窓の反応容器内部側の少なくとも表面がIII族窒化物薄膜で覆われているということは、反応容器雰囲気に晒される表面のみがIII族窒化物膜で覆われていても、あるいは窓材全部がIII族窒化物から形成されていても、何れでもあるいはその中間であっても良い。
【0030】
本発明で用いるアルカリ金属は、III族窒化物結晶を成長する温度、圧力条件で、石英やサファイアの透明窓材と反応し、失透させる(透明で無くなる)。あるいは、窓付近を冷却し失透しない温度にした場合には、アルカリ金属が堆積する。これまでの本発明者が検討した結果、窓に可視光に対して透明な材質を用いていても、観察不可能であった。窓の内側近傍にガスの流れを生じさせることで、アルカリ金属と窓材の反応が無くなるか、あるいは堆積を防止することが出来、観察が可能となる。
【0031】
(6)請求項2の構成・動作
請求項2の発明は、III族窒化物結晶製造装置において、窓の外側に光学系を有することを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
ここで言う窓の外側とは、窓の反応容器外部側、即ち大気側に位置する面のことである。ここで言う光学系は、反応容器内部の状況を光学的に反射、屈折等により、投影、結像させることが可能なレンズ、プリズム等の光学部品、あるいはそれら光学部品を組み合わせた系のことである。
従って、これらの光学系を通じて、反応容器内部の状況を光学的に、反応容器外部において観察することが可能になっている。
【0034】
(8)請求項3の構成・動作
請求項3の発明は、III族窒化物結晶製造装置において、ガスが窒素ガスであることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
即ち、窒素ガスはIII族窒化物結晶製造装置の窓の内側や請求項4の光ファイバーの反応容器側に供給され、ガスの流れを生じることができる。窒素ガスは窓や光ファイバーの材質とは反応することが無い。
【0035】
(9)請求項3の発明は、III族窒化物結晶製造装置において、反応容器の内部に混合融液保持容器とIII族窒化物結晶保持機構があり、混合融液保持容器若しくはIII族窒化物結晶保持機構の、少なくともどちらか一方が移動可能なことを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
【0036】
混合融液保持容器は、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質が形成している混合融液を保持する容器である。III族窒化物結晶保持機構は、前記混合融液と少なくとも窒素を含む物質から成長するIII族窒化物結晶を保持する機能を有する。
III族窒化物保持機構の一部は、混合融液保持容器内の混合融液中に浸かっている。混合融液保持容器若しくはIII族窒化物結晶保持機構の、少なくともどちらか一方が移動することで、III族窒化物保持機構と混合融液保持容器が空間的に分離することが出来る。
【0037】
(10)請求項4の構成・動作
請求項4の発明は、請求項5のIII族窒化物結晶製造方法において、III族窒化物結晶保持機構が混合融液保持容器の蓋と連結していることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置である。
ここでいう混合融液保持容器の蓋とは、混合融液保持容器の開口部分をカバーするものである。
【0038】
この混合融液保持容器の蓋とIII族窒化物結晶保持機構が連結していることで、混合融液保持容器若しくはIII族窒化物結晶保持機構の、少なくともどちらか一方が移動した場合に、混合融液保持容器の蓋とIII族窒化物結晶保持機構の相対的位置は変化しない。即ち、混合融液保持容器に対して、III族窒化物結晶保持機構と混合融液保持容器の蓋の位置関係が変化する。
また、この蓋は混合融液保持容器と機械的に接するが、その場合にも気体の窒素原料は透過する程度の隙間はある。
【0039】
(11)請求項5の構成・動作
請求項5の発明は、請求項1〜4のIII族窒化物結晶製造装置を用いて、反応容器内部を観察しながらIII族窒化物結晶を成長するIII族窒化物結晶製造方法である。
(12)それ以外の構成・動作
それ以外の構成としては、請求項1〜4のIII族窒化物結晶製造装置と、請求項5のIII族窒化物結晶製造方法を用いて成長したIII族窒化物結晶である。
【0040】
(13)また、その他の構成としては、(12)に記載のIII族窒化物結晶を用いて作製したIII族窒化物半導体デバイスである。
ここで言うIII族窒化物半導体デバイスは、光デバイス、電子デバイスが適応可能である。光デバイスには発光デバイス、受光デバイスが含まれる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。
(第一の実施例)
図1は、本発明の第一の実施例を示すIII族窒化物結晶製造装置の断面図である。
反応容器101内には、混合融液保持容器102が設置されている。混合融液保持容器102には、III族金属としてのGaとアルカリ金属としてのNaから構成される混合融液103がある。
【0042】
この混合融液保持容器102の材質はBN(窒化ホウ素)である。
反応容器101には、結晶成長可能な温度に制御できるように加熱装置106が具備されている。反応容器内を観察することが出来る窓108が、反応容器の上部に設置されている。この窓108の材質はサファイアである。窓108の反応容器外側にレンズ109があり、更にレンズ109、窓108を通して反応容器内の像を撮影することが可能な位置に、CCDカメラ110が設置されている。CCDカメラはモニター111に電気的に接続されており、CCDカメラで捉えた反応容器内の像の信号は、モニター111により、観察することが出来る。
【0043】
窒素原料としては窒素ガスを用いている。窒素ガスは窒素供給管104を通して、反応容器101外から反応容器内の空間107に供給することが出来る。窒素供給管104が反応容器を貫通する状態で、窓108の反応容器内部側の近傍からガスを供給可能なように設置されている。この時、反応容器内の窒素圧力及び窓108近傍へのガス流量を調整するために、圧力調整機構105が備えられている。
この窒素圧力調整機構105は圧力センサー及び圧力調整弁等から構成されている。
【0044】
窒素供給管104から窒素ガスが、窓108近傍に供給される。このとき窓108近傍では窒素ガスが滞留しないように、且つ反応容器内の圧力が所望の圧力に保持できるように、排気管112を通じて窒素ガスが排気される。排気管112には排気流量調整機構113が具備されている。排気流量調整機構113と圧力調整機構105は、電気的に接続されており、所望の反応容器内圧力となるように、調整可能である。
【0045】
このような状況下で、反応容器101の窒素圧力を50気圧にし、温度を結晶成長が開始する温度750℃まで昇温する。この成長条件を一定時間保持することで、III族窒化物であるGaN結晶114が混合融液保持容器102内部に成長する。
【0046】
このとき窒素供給管104から窒素ガスが供給される、且つ窓108の反応容器内側付近にガスが滞留することが無いために、窓108を通してレンズ109、CCDカメラ110、モニター111により、III族窒化物結晶が成長する様子を観察することが可能となる。この窓108の反応容器内側付近への窒素ガスの供給が無かった場合、あるいは窒素ガスがこの付近で滞留した場合には、Naが窓108の材質のサファイアと反応し、失透してしまうか、若しくはNaが窓108の内側に堆積することで、反応容器101外部よりの観察は困難になる。
ここで、請求項1の発明である、窓の内側(反応容器内部側)表面がIII族窒化物膜で覆われている場合には、窓材がサファイアや石英であっても、Naとの反応は抑制出来、失透することは無い。
従っ招、Naが堆積しない程度の少ない窒素ガスを窓の内側に吹き付けることで、反応容器101外部からの観察は可能となる。
【0047】
このIII族窒化物結晶の成長の様子を確認することが出来ることで、より効率的な結晶成長が可能となり低コスト化につながる。即ち、観察しながらIII族窒化物結晶を成長することで、III族窒化物結晶が所望の大きさに成長した後には、結晶成長を終えることができる。
また、反応容器外部にレンズ等の光学系を設置することで、反応容器内の観察可能な場所を変えることが可能となる。従って、成長したIII族窒化物結晶の周辺の三次元的な状況観察も可能となる。
【0048】
(第二の実施例)
図2は、本発明の第二の実施例を示すIII族窒化物結晶製造装置の断面図である。
反応容器201内には、混合融液保持容器202が設置されている。混合融液保持容器202には、III族金属としてのGaとアルカリ金属としてのNaから構成される混合融液203がある。
この混合融液保持容器202の材質は、第一の実施例と同様にBN(窒化ホウ素)である。
【0049】
反応容器201の上部に、III族窒化物結晶保持機構217が装着されている。III族窒化物結晶保持機構217の下側の先端には種結晶(図2では図示していないが、成長したIII族窒化物結晶214の内部にある。)が装着されており、この種結晶は混合融液203内に位置している。
混合融液保持容器202の上部には、混合融液保持容器の蓋218が装備されており、III族窒化物結晶保持機構217とこの蓋218は連結されている。混合融液保持容器202はその支持台216により、支えられており、支持台216は上下方向に移動可能である。従って、支持台216が上下方向に移動した場合には、混合融液保持容器202及び混合融液203も同様に上下方向に移動する。
【0050】
反応容器201には、結晶成長可能な温度に制御できるように加熱装置206が具備されている。反応容器201の一部は、加熱装置206の一部を貫通して、反応容器の外側方向に突き出ている。その反応容器の突き出た部分が観察用ポート215である。反応容器内を観察することが出来る窓208が、観察用ポート215の先端部分に設置されている。この窓208の材質は石英である。窓208の反応容器外側にレンズ209があり、更にレンズ209、窓208を通して反応容器内の像を撮影することが可能な位置に、CCDカメラ210が設置されている。
【0051】
CCDカメラはモニター221に電気的に接続されており、CCDカメラで捉えた反応容器内の像の信号は、モニター211により、観察することが出来る。この観察用ポートは水平方向に、III族窒化物保持機構217の下側先端部と同程度の高さとなるように、位置している。従って、混合融液保持容器202が下方向に移動した場合には、観察用ポート215を通して、外部よりIII族窒化物保持機構217の下側先端部が観察出来る。
【0052】
窒素原料としては窒素ガスを用いている。窒素ガスは窒素供給管204を通して、反応容器201外から反応容器内の空間207に供給することが出来る。窒素供給管204が観察用ポート215の一部を貫通する状態で、窓208の反応容器内部側の近傍からガスを供給可能なように設置されている。
この時、反応容器内の窒素圧力及び窓208近傍へのガス流量を調整するために、圧力調整機構205が備えられている。この窒素圧力調整機構205は圧力センサー及び圧力調整弁等から構成されている。
【0053】
窒素供給管204から窒素ガスが、窓208近傍に供給される。このとき窓208近傍では窒素ガスが滞留しないように、且つ反応容器内の圧力が所望の圧力に保持できるように、排気管212を通じて窒素ガスが排気される。排気管212には排気流量調整機構213が具備されている。排気流量調整機構213と圧力調整機構205は、電気的に接続されており、所望の反応容器内圧力となるように、調整可能である。
【0054】
このような状況下で、反応容器201の窒素圧力を50気圧にし、温度を結晶成長が開始する温度750℃まで昇温する。この成長条件を一定時間保持することで、III族窒化物であるGaN結晶214がIII族窒化物結晶保持機構217の先端に装備された種結晶を中心に結晶成長する。
【0055】
所定の時間結晶成長した後に、反応容器内の温度を300℃まで下げ、混合融液保持容器202及び支持台216を下方向に移動する。このとき窒素供給管204から窒素ガスが供給し、且つ窓208の反応容器内側付近にガスが滞留することが無いために、窓208を通してレンズ209、CCDカメラ210、モニター211により、III族窒化物結晶の成長した様子を観察することが可能となる。この窓208の反応容器内側付近への窒素ガスの供給が無かった場合、あるいは窒素ガスがこの付近で滞留した場合には、Naが窓208の材質の石英と反応し、失透してしまうか、若しくは窓208にNaが堆積してしまい、反応容器201外部よりの観察は困難になる。
ここで、請求項1の発明である、窓の内側(反応容器内部側)表面がIII族窒化物で覆われている場合には、窓材がサファイアや石英であっても、Naとの反応は抑制出来、失透することは無い。
従って、Naが堆積しない程度の少ない窒素ガスを窓の内側に吹き付けることで、反応容器201外部からの観察は可能となる。
【0056】
このIII族窒化物結晶の成長の様子を確認することが出来ることで、より効率的な結晶成長が可能となり低コスト化につながる。即ち、観察しながらIII族窒化物結晶を成長することで、III族窒化物結晶が所望の大きさに成長した後には、結晶成長を終えることができる。
【0057】
第一の実施例と異なり、混合融液保持容器202に蓋218があることで、Naの蒸発が抑制出来、安定的なGaN結晶の成長が可能となる。更に、Naの蒸発量が抑制出来ることで、窒素ガスの流量を少なくしても、観察用窓208へのNaの付着がなくなり、観察がよりし易くなる。
また、第一の実施例と同様に反応容器外部にレンズ等の光学系を設置することで、反応容器内の観察可能な場所を変えることが可能となる。従って、成長したIII族窒化物結晶の周辺の三次元的な状況観察も可能となる。
【0058】
(第三の実施例)
図3は、本発明の第三の実施例を示すIII族窒化物結晶製造装置の断面図である。
反応容器301内には、混合融液保持容器302が設置されている。混合融液保持容器302には、III族金属としてのGaとアルカリ金属としてのNaから構成される混合融液303がある。この混合融液保持容器302の材質は、第一の実施例と同様にBN(窒化ホウ素)である。
【0059】
反応容器301の上部に、III族窒化物結晶保持機構317が装着されている。III族窒化物結晶保持機構317の下側の先端には種結晶(第3図では図示していないが、成長したIII族窒化物結晶314の内部にある。)が装着されており、この種結晶は混合融液303内に位置している。
混合融液保持容器302の上部には、混合融液保持容器の蓋318が装備されており、III族窒化物結晶保持機構317とこの蓋318は連結されている。混合融液保持容器302はその支持台316により、支えられており、支持台316は上下方向に移動可能である。従って、支持台316が上下方向に移動した場合には、混合融液保持容器302及び混合融液303も同様に上下方向に移動する。
【0060】
反応容器301には、結晶成長可能な温度に制御出来るように加熱装置306が具備されている。光ファイバー308は、反応容器301の側面の一部と加熱装置306の一部を貫通して、反応容器301の内部から外部に出ている。光ファイバー308の周辺には同軸状に管形状のスリーブ309が覆っている。
【0061】
光ファイバー308の外側端面は、CCDカメラ310の画像入力部に接しており、光ファイバーを通して、光ファイバーの反応容器内部側端面の画像を、CCDカメラ310に入力することが出来る。CCDカメラ310はモニター311に電気的に接続されており、CCDカメラで捉えた反応容器内の像の信号は、モニター311により、観察することが出来る。この光ファイバー308は反応容器301の内部と外部を貫通しているが、スリーブ309により、反応容器内の雰囲気と外部(大気側)の雰囲気は遮断されている。
【0062】
III族窒化物保持機構317の下側先端部と、光ファイバー308の反応容器内部側端面の高さは同程度である。従って、混合融液保持容器302が下方向に移動した場合には、光ファイバー308を通して、外部よりIII族窒化物保持機構317の下側先端部が観察出来る。
窒素原料としては窒素ガスを用いている。窒素ガスは窒素供給管304を通して、反応容器301外から反応容器内の空間307に供給することが出来る。窒素供給管304は光ファイバー308の一部を覆ったスリーブ309につながっている。スリーブ309を通して、窒素ガスが光ファイバー308の周辺、及び、反応容器内部端面に供給される。
【0063】
ここで、反応容器内の窒素圧力及び光ファイバー308周辺へのガス流量を調整するために、圧力調整機構305が備えられている。この窒素圧力調整機構305は圧力センサー及び圧力調整弁等から構成されている。このとき光ファイバー308の周辺及び反応容器内部端面近傍では窒素ガスが滞留しないように、且つ反応容器内の圧力が所望の圧力に保持できるように、排気管312を通じて窒素ガスが排気される。排気管312には排気流量調整機構313が具備されている。排気流量調整機構313と圧力調整機構305は、電気的に接続されており、所望の反応容器内圧力となるように、調整可能である。
【0064】
このような状況下で、反応容器301の窒素圧力を50気圧にし、温度を結晶成長が開始する温度750℃まで昇温する。この成長条件を一定時間保持することで、III族窒化物であるGaN結晶314がIII族窒化物結晶保持機構317の先端に装備された種結晶を中心に結晶成長する。
【0065】
所定の時間結晶成長した後に、反応容器内の温度を300℃まで下げ、混合融液保持容器302及び支持台316を下方向に移動する。このとき窒素供給管304から窒素ガスが供給し、光ファイバー308の周辺及び反応容器内部側端面近傍ではガスが滞留することが無いために、光ファイバー308を通してCCDカメラ210、モニター211により、III族窒化物結晶の成長した様子を観察することが可能となる。
【0066】
この光ファイバー308の周辺及び反応容器内部側端面近傍への窒素ガスの供給が無かった場合、あるいは窒素ガスがこの付近で滞留した場合には、Naが光ファイバー308と反応し、失透してしまうか、若しくは光ファイバー308の反応容器内部側端面にNaが堆積してしまい、反応容器301外部よりの観察は困難になる。
【0067】
このIII族窒化物結晶の成長の様子を確認することが出来ることで、より効率的な結晶成長が可能となり低コスト化につながる。即ち、観察しながらIII族窒化物結晶を成長することで、III族窒化物結晶が所望の大きさに成長した後には、結晶成長を終えることができる。
【0068】
第二の実施例と同様に、第一の実施例と異なり、混合融液保持容器302に蓋318があることで、Naの蒸発が抑制出来、安定的なGaN結晶の成長が可能となる。更に、Naの蒸発量が抑制出来ることで、窒素ガスの流量を少なくしても、光ファイバー308へのNaの付着がなくなり、観察がよりし易くなる。
【0069】
また、光ファイバー308のスリーブ309が内に窒素ガスを導入することで、第一の実施例や第二の実施例のように開放系でないために、少ない窒素ガスでNaの光ファイバーへの付着やNaとの反応を防止することが出来る。
第一、第二、第三の実施例では、何れも、III族金属を含む物質としてGaを、アルカリ金属としてNaを、窒素を含む物質として窒素ガスを用いているが、これ以外の物質であっても本発明は適応可能である。即ち、アルカリ金属としてはNa以外にK等があり、III族金属を含む物質としては、Ga以外にIn、Al等があり、窒素を含む物質としては、アンモニアやアジ化ナトリウム、あるいはヒドラジン等がある。
【0070】
(第四の実施例)
本発明の他の実施例を図4に示す。図4は、本発明の第四の実施例を示すIII族窒化物半導体デバイスの応用例である半導体レーザの斜視図である。
請求項5のIII族窒化物結晶を用いて作製したn型GaN基板401上に、順次、n型AlGaNクラッド層402、n型GaNガイド層403、InGaN MQW(多重量子井戸)活性層404、p型AlGaNクラッド層406、p型GaNコンタクト層407が結晶成長されている。
【0071】
この結晶成長方法としては、MO-VPE(有機金属気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法等の薄膜結晶成長方法を用いる。そのGaN、AlGaN、InGaNの積層膜にリッジ構造を形成し、SiO2絶縁膜408をコンタクト領域のみ穴開けした状態で形成し、上部及び下部に各々p側オーミック電極Au/Ni 409及びn側オーミック電極Al/Ti 410を形成している。
この半導体レーザのp側オーミック電極Al/Ni 409及びn側オーミック電極Al/Ti 410から電流を注入することで、レーザ発振し、図の矢印方向にレーザ光が出射される。
【0072】
この半導体レーザは本発明のGaN結晶を基板として用いているため、半導体レーザデバイス中の結晶欠陥が少なく、大出力動作且つ長寿命のもとのなっている。また、GaN基板はn型であることから基板に直接電極を形成することが出来、第一の従来技術(第5図)のようにp側とn側の2つの電極を表面からのみ取り出すことが必要なく、低コスト化を図ることが可能となる。更に、光出射端面を劈開で形成することが可能となり、チップの分離と併せて、低コストで高品質なデバイスを実現することが出来る。
【0073】
本実施例ではInGaN MQWを活性層としたが、AlGaN MQWを活性層として、発光波長の短波長化することも可能である。GaN基板の欠陥及び不純物が少ないことで、深い順位からの発光が少なくなり、短波長化しても高効率な発光デバイスが可能となる。
また、本実施例では光デバイスへの応用について述べたが、電子デバイスに応用することも本発明の適応範囲である。即ち、欠陥の少ないGaN基板を用いることで、その上にエピタキシャル成長したGaN系薄膜も結晶欠陥が少なく、その結果リーク電流を抑制出来たり、量子構造にした場合のキャリア閉じ込め効果を高めたり、高性能なデバイスが実現可能となる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
本発明の全ての請求項に共通する効果としては、III族窒化物の結晶成長を観察することが可能となる点である。光ファイバーや観察用窓を用いて、それらに適切な流量のガスを流すことで、従来困難であったフラックス法におけるIII族窒化物結晶の成長の様子を観察することが出来る。
【0075】
反応容器内の結晶成長の様子を観察することで、成長温度、成長圧力等の成長条件を適切に調整することが可能となり、高品質のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。また、成長時間の把握も容易となり、成長に寄与しない時間を省くことが可能となる。この結果、高品質、低コストのIII族窒化物結晶を成長することが出来る。
【0076】
これにより、III族窒化物の薄膜結晶成長用の基板となるIII族窒化物結晶が、本結晶成長装置を用いることで得られる。その結果、第一あるいは第二の従来技術で記述したような、複雑な工程を必要とせず、低コストで高品質なIII族窒化物結晶及び、それを用いたデバイスを実現することが可能となる。
更に、1000℃以下と成長温度が低く、100気圧程度以下と圧力も低い条件下でIII族窒化物の結晶成長が可能となることから、第三の従来技術のように超高圧、超高温に耐えうる高価な反応容器を用いる必要がない。その結果、低コストでのIII族窒化物結晶及びそれを用いたデバイスを実現することが可能となる。
【0077】
本願請求項2では、観察用窓の外側に光学系を設置することで、光学移の位置変更、あるいは光学特性変更ができる。この結果、反応容器内の観察したい場所を移動させることが可能となり、空間的な場所の結晶成長の様子を観察することが可能となる。
【0078】
本願の実施例では、安価で容易に入手可能な材質、原料を用いることで、低コストのIII族窒化物結晶の成長が可能となる。即ち、窓の材質としては、石英やサファイアであり、カルカリ金属の付着防止用のガスとしては窒素ガスを用いており、これらは高純度のものが安価且つ容易に入手可能である。
本願請求項1では、窓の反応容器内部側の少なくとも表面が、III族窒化物で覆われていることから、窓材の失透を防止でき、窓へのガスの吹き付け量が少ない量でも反応容器外部よりの観察が可能となる。この結果、より低コストで安定的(高圧下での成長圧力の制御が容易となる)にIII族窒化物の結晶成長が可能となる。
【0080】
本願請求項3、請求項4では、混合融液保持容器の蓋とIII族窒化物保持機構が連結していることで、アルカリ金属の蒸発を抑制しつつ、結晶成長の様子を観察することが可能となる。この結果、結晶品質の向上、低コスト化につながる。
【0081】
本願のその他の実施例の効果としては、請求項1〜3結晶製造装置と請求項5の結晶製造方法を用いて結晶成長することで、結晶品質の高い、デバイスを作製することが可能な程度の大きいIII族窒化物結晶を、低コストで実現することが可能となることが挙げられる。
【0082】
本願のその他の実施例の効果としてはIII族窒化物結晶を用いてIII族窒化物半導体デバイスを作製することで、高性能なデバイスを低コストで実現できることが挙げられる。このIII族窒化物結晶は前述しているように、結晶欠陥の少ない高品質な結晶である。このIII族窒化物結晶を用いて、デバイスを作製あるいは基板として用いて、薄膜成長からデバイス作製を行うことで、高性能なデバイスが実現できる。
【0083】
ここで言う高性能とは、例えば半導体レーザや発光ダイオードの場合には、従来実現できていない高出力且つ長寿命なものであり、電子デバイスの場合には低消費電力、低雑音、高速動作、高温動作可能なものであり、受光デバイスとしては低雑音、長寿命等のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示すIII族窒化物結晶成長装置の断面図である。
【図2】本発明の第二の実施例を示すIII族窒化物結晶成長装置の断面図である。
【図3】本発明の第三の実施例を示すIII族窒化物結晶成長装置の断面図である。
【図4】本発明の第四の実施例を示すIII族窒化物半導体デバイスの応用としての半導体レーザの斜視図である。
【図5】第一の従来技術を示すレーザーダイオードの断面図である。
【図6】第二の従来技術を示すレーザーダイオードの断面図である。
【図7】第五の従来技術を示すGaAs基板を用いてGaN 厚膜基板を作製する工程の図である。
【符号の説明】
101、201、301;反応容器
102、202、302;混合融液保持容器
103、203、303;混合融液
104、204、304;窒素ガス供給管
105、205、305;窒素圧力調整機構
106、206、306;加熱装置
107、207、307;反応容器内の空間
108、208;観察用窓
109、209、309;レンズ
110、210、310;CCDカメラ
112、212、312;排気管
113、213、313;排気流量調整機構
114、214、314;III族窒化物(GaN)結晶
215;観察用ポート
216、316;支持台
217、317;III族窒化物結晶保持機構
218、318;混合融液保持容器の蓋
308;光ファイバー
309;スリーブ
401;n型GaN基板
402;n型AlGaNクラッド層
403;n型GaNガイド層
404;InGaNMQW活性層
405;p型GaNガイド層
406;p型AlGaNクラッド層
407;p型GaNコンタクト層
408;SiO複縁膜
409;p側オーミック電極
410;n側オーミック電極

Claims (5)

  1. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質が混合融液を形成しており、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質から、III族金属と窒素から構成されるIII族窒化物を結晶成長させる結晶製造装置において、
    前記反応容器は外部より内部を観察することができる可視光に対して透明な窓を有しており、
    前記窓における前記反応容器内部側の表面が、前記III族窒化物の薄膜で覆われていることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置。
  2. 請求項1に記載のIII族窒化物結晶製造装置において、
    前記窓の外側に光学系を有することを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置。
  3. 反応容器内で、アルカリ金属と少なくともIII族金属を含む物質が混合融液を形成しており、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質から、III族金属と窒素から構成されるIII族窒化物を結晶成長させる結晶製造装置において、
    前記反応容器は外部より内部を観察することができる可視光に対して透明な窓を有しており、
    前記反応容器の内部に混合融液保持容器とIII族窒化物結晶保持機構があり、前記混合融液保持容器が移動後、前記窓より前記III族窒化物結晶保持機構を観察できることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置。
  4. 請求項3に記載のIII族窒化物結晶製造装置において、
    前記III族窒化物結晶保持機構が混合融液保持容器の蓋と連結していることを特徴とするIII族窒化物結晶製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶製造装置を用いて、反応容器内部を観察しながらIII族窒化物結晶を成長することを特徴とするIII族窒化物結晶製造方法。
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