JP3868156B2 - 結晶成長方法および結晶成長装置およびiii族窒化物結晶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶成長方法および結晶成長装置およびIII族窒化物結晶に関する。III族窒化物結晶を用いたデバイスは、光ディスク用青色光源や青色発光ダイオード、高温動作の高周波電子デバイス等に応用可能である。
【0002】
【従来の技術】
現在、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、そのほとんどがサファイアあるいはSiC基板上にMO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いる場合には、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなる。このために、デバイス特性が悪く、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという問題がある。
【0003】
さらに、サファイア基板の場合には絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長した窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題がある。また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端面を劈開で得ることが容易ではない。このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行なっている。この場合にも、従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で、容易に行なうことが不可能であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
【0004】
この問題を解決するために、サファイア基板上にIII族窒化物半導体膜を選択横方向成長やその他の工夫を行なうことで、結晶欠陥を低減させることが提案されている。
【0005】
例えば文献「Japanese Journal of Applied Physics Vol.36 (1997) Part 2, No.12A, L1568-1571」(以下、第1の従来技術と称す)には、図3に示すようなレーザダイオード(LD)が示されている。図3のレーザダイオードは、MO−VPE(有機金属気相成長)装置にてサファイア基板1上にGaN低温バッファ層2とGaN層3を順次成長した後に、選択成長用のSiO2マスク4を形成する。このSiO2マスク4は、別のCVD(化学気相堆積)装置にてSiO2膜を堆積した後に、フォトリソグラフィー,エッチング工程を経て形成される。次に、このSiO2マスク4上に再度、MO−VPE装置にて20μmの厚さのGaN膜3'を成長することで、横方向にGaNが選択成長し、選択横方向成長を行なわない場合に比較して結晶欠陥を低減させている。さらに、その上層に形成されている変調ドープ歪み超格子層(MD−SLS)5を導入することで、活性層6へ結晶欠陥が延びることを防いでいる。この結果、選択横方向成長および変調ドープ歪み超格子層を用いない場合に比較して、デバイス寿命を長くすることが可能となる。
【0006】
この第1の従来技術の場合には、サファイア基板上にGaN膜を選択横方向成長しない場合に比べて、結晶欠陥を低減させることが可能となるが、サファイア基板を用いることによる、絶縁性と劈開に関する前述の問題は依然として残っている。さらには、SiO2マスク形成工程を挟んで、MO−VPE装置による結晶成長が2回必要となり、工程が複雑化するという問題が新たに生じる。
【0007】
また、別の方法として、例えば文献「Applied Physics Letters, Vol.73, No.6, P832-834 (1998)」(以下、第2の従来技術と称す)には、GaN厚膜基板を応用することが提案されている。この第2の従来技術では、前述の第1の従来技術の20μmの選択横方向成長後に、H−VPE(ハイドライド気相成長)装置にて200μmのGaN厚膜を成長し、その後に、この厚膜成長したGaN膜を150μmの厚さになるように、サファイア基板側から研磨することにより、GaN基板を作製する。このGaN基板上にMO−VPE装置を用いて、LDデバイスとして必要な結晶成長を順次行ない、LDデバイスを作製する。この結果、結晶欠陥の問題に加えて、サファイア基板を用いることによる絶縁性と劈開に関する前述の問題点を解決することが可能となる。
【0008】
しかしながら、第2の従来技術は、第1の従来技術よりもさらに工程が複雑になっており、より一層のコスト高となる。また、第2の従来技術の方法で200μmものGaN厚膜を成長させる場合には、基板であるサファイアとの格子定数差および熱膨張係数差に伴う応力が大きくなり、基板の反りやクラックが生じるという問題が新たに発生する。
【0009】
この問題を回避するために、特開平10−256662号では、厚膜成長する元の基板(サファイアとスピネル)の厚さを1mm以上とすることが提案されている。このように、厚さ1mm以上の基板を用いることにより、200μmの厚膜のGaN膜を成長させても、基板の反りやクラックを生じさせないようにしている。しかしながら、このように厚い基板は、基板自体のコストが高く、また研磨に多くの時間を費やす必要があり、研磨工程のコストアップにつながる。すなわち、厚い基板を用いる場合には、薄い基板を用いる場合に比べて、コストが高くなる。また、厚い基板を用いる場合には、厚膜のGaN膜を成長した後には基板の反りやクラックが生じないが、研磨の工程で応力緩和し、研磨途中で反りやクラックが発生する。このため、厚い基板を用いても容易に、結晶品質の高いGaN基板を大面積化で作製することはできない。
【0010】
一方、文献「Journal of Crystal Growth, Vol.189/190, p.153-158 (1998)」(以下、第3の従来技術と称す)には、GaNのバルク結晶を成長させ、それをホモエピタキシャル基板として用いることが提案されている。この技術は、1400〜1700℃の高温、および数10kbarもの超高圧の窒素圧力中で、液体GaからGaNを結晶成長させる手法となっている。この場合には、このバルク成長したGaN基板を用いて、デバイスに必要なIII族窒化物半導体膜を成長することが可能となる。従って、第1および第2の従来技術のように工程を複雑化させることなく、GaN基板を提供できる。
【0011】
しかしながら、第3の従来技術では、高温,高圧中での結晶成長が必要となり、それに耐えうる反応容器が極めて高価になるという問題がある。加えて、このような成長方法をもってしても、得られる結晶の大きさは高々1cm程度であり、デバイスを実用化するには小さ過ぎるという問題がある。
【0012】
この高温,高圧中でのGaN結晶成長の問題点を解決する手法として、文献「Chemistry of Materials Vol.9 (1997) p.413-416」(以下、第4の従来技術と称す)には、Naをフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている。この方法は、フラックスとしてのアジ化ナトリウム(NaN3)と金属Gaとを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶を成長させるものである。この第4の従来技術の場合には、600〜800℃程度の比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm2程度と第3の従来技術に比較して圧力を低くできる点が特徴である。しかし、この方法の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。この程度の大きさではデバイスを実用化するには第3の従来技術の場合と同様に小さすぎる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、第1や第2の従来技術の問題点である工程を複雑化させることなく、第3の従来技術の問題点である高価な反応容器を用いることなく、かつ第3や第4の従来技術の問題点である結晶の大きさが小さくなることなく、高性能の発光ダイオードやLD等のデバイスを作製するための実用的な大きさのIII族窒化物結晶を提供し、また、このようなIII族窒化物結晶を成長させることの可能な結晶成長方法および結晶成長装置を提供することを目的としている。
【0014】
本発明は、さらに、安定的な窒素原料の供給を可能とし、フラックスの安全性を確保することの可能な結晶成長方法および結晶成長装置およびIII族窒化物結晶を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外部から窒素原料を供給しながら、反応容器内で、少なくともIII族金属を含む融液とフラックスと窒素原料とを用いてIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長装置であって、窒素原料として気体が用いられ、気体の窒素原料の圧力が制御可能となっており、気体の窒素原料を反応容器に供給するために第1のガス供給装置が設けられ、第1のガス供給装置は、気体の窒素原料を貯めておくための第1のシリンダーを備えており、該第1のガス供給装置の第1のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の結晶成長装置において、反応容器と第1のガス供給装置の間には、第2のガス供給装置がさらに設けられ、第2のガス供給装置は、反応容器に供給される気体の窒素原料を貯めておくための第2のシリンダーを備えており、第2のガス供給装置の第2のシリンダーには、第1のガス供給装置の第1のシリンダーから気体の窒素原料が充填可能に構成され、少なくともIII族窒化物を結晶成長させる間は、第2のガス供給装置と第1のガス供給装置とが分離されており、第2のガス供給装置の第2のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の結晶成長装置を用いてIII族窒化物結晶を成長させることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、反応容器内で、少なくともIII族金属を含む融液とフラックスと窒素原料とを用いてIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長装置であって、窒素原料として気体が用いられ、気体の窒素原料の圧力が制御可能となっており、気体の窒素原料を反応容器に供給するために第1のガス供給装置が設けられ、第1のガス供給装置は、気体の窒素原料を貯めておくための第1のシリンダーを備えており、該第1のガス供給装置の第1のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっている。
【0020】
なお、ここで、窒素原料とは、窒素分子、原子状窒素、あるいは窒素を含む化合物から生成された窒素分子や原子状窒素のことである。また、本発明で、フラックスとは、その材料自体が直接化合物を作ることなく、III族窒化物を低温,低圧で成長させることが可能なように作用するもののことであり、フラックスは、III族金属を含む融液に予め溶け込ませておいても、あるいは、気体の状態で結晶成長領域に供給しても良い。
【0021】
図1は本発明に係る結晶成長装置の構成例を示す図である。図1を参照すると、反応容器101内には、少なくともIII族金属(例えば、Ga)を含む融液、より具体的には、例えば、III族金属(例えば、Ga(ガリウム))とフラックス(例えば、金属NaあるいはNaを含む化合物(アジ化ナトリウムなど))との混合融液102が収容されている。また、反応容器101には、結晶成長可能な温度に制御可能な加熱装置105が具備されている。
【0022】
また、反応容器101内の気体と融液102の境界領域である気液界面113に接するように、種結晶(例えば、GaN結晶)103が設けられている。
【0023】
また、本発明において、窒素原料としては窒素ガスが用いられ、窒素ガスを反応容器101内に供給するため、反応容器101の外部には、第1のガス供給装置120が設けられている。ここで、第1のガス供給装置120は、気体の窒素原料を貯めておくための第1のシリンダー110と、第1のバルブ111とにより構成されている。これにより、窒素ガスは、窒素ガスが充填された第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110から窒素供給管106を介して、反応容器101外から反応容器101内に供給可能となっている。
【0024】
ここで、窒素圧力を調整するために、圧力調整機構が窒素供給管106の途中に設けられている。この窒素ガスの圧力調整機構は、圧力センサー107及び圧力調整弁108から構成されており、圧力センサー107で測定された圧力情報がケーブル109を介して圧力調整弁108に伝わり、圧力調整弁108で圧力調整がなされ、反応容器101内の窒素圧力が所望の値に設定されるようになっている。この時、窒素ガスが充填された第1のシリンダー110内の窒素ガス圧力は、III族窒化物(例えばGaN)結晶が、結晶成長する際に生じる反応容器101内の圧力以上になるように、窒素ガスが充填されている。
【0025】
すなわち、図1の結晶成長装置では、反応容器101の外部には、第1のガス供給装置120が設けられており、第1のガス供給装置120を通じて、気体の窒素原料が反応容器101に供給される。ここで、第1のガス供給装置120と反応容器101との間には、気体の圧力を制御することが可能な圧力調整機構が設けられており、また、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110内には、反応容器101内の窒素原料ガス圧力以上の圧力で、窒素原料ガスが収容されている。従って、窒素原料としての気体は、第1のシリンダー110から供給され、圧力調整機構で窒素原料のガス圧力が調整されて、反応容器101内に供給され、反応容器101内において、融液と窒素原料が反応しIII族窒化物を結晶成長させることが可能となる。
【0026】
このような構成の結晶成長装置では、結晶成長可能な成長温度、窒素圧力、Na量の条件下において、種結晶103を核としてIII族窒化物結晶(例えばGaN結晶)が成長し、フラックス(例えばNa)を含む融液102と外部から供給される窒素ガスとを原料として、時間経過と共にIII族窒化物結晶の大きさが大きくなっていく。この時、III族窒化物結晶の成長は、気液界面113で主に起こる。
【0027】
ところで、本発明では、窒素ガスが充填されている第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110内の窒素圧力(窒素原料圧力)が反応容器101内の圧力(窒素原料圧力)以上となっていることで、窒素ガスの圧力調整機構(107,108)を介して、反応容器101内の窒素原料圧力を所望の値に設定することが可能となる。このように、III族金属とフラックス(例えばNa)が十分ある状態で、窒素原料である窒素ガスの圧力が制御できることで、継続的なIII族窒化物結晶(GaN結晶)の成長が可能となり、III族窒化物結晶(GaN結晶)を所望の大きさに成長させることが可能となる。
【0028】
上述の例では、III族窒化物として、GaNを用いているが、それ以外にも、AlN、InN、AlGaN、InGaN、AlInGaN等のIII族窒化物であっても、本発明を適応可能である。また、上述の例では、フラックスとしてNaを用いているが、Na以外にもその材料自体が直接化合物を作ることなく、III族窒化物を成長させる温度、圧力を低減する作用があるものであれば、本発明に適応可能である。
【0029】
また、図2は本発明に係る結晶成長装置の他の構成例を示す図である。なお、図2において、図1と同様の箇所には同じ符号を付している。
【0030】
図2の結晶成長装置は、図1の結晶成長装置において、第1のガス供給装置120の他に、さらに、第2のガス供給装置130が反応容器101の外部に設けられている。すなわち、第1のガス供給装置120と反応容器101との間には、反応容器101に供給される気体の窒素原料を貯めておくための第2のガス供給装置130がさらに設けられている。
【0031】
ここで、第1のガス供給装置120は、窒素ガスが充填された第1のシリンダー110と、第1のバルブ111と、シリンダー連結管114とにより構成されている。また、第2のガス供給装置130は、第2のシリンダー112と、第2のバルブ118と、圧力センサー107と、圧力調整弁108と、ケーブル109と、窒素供給管106とにより構成されている。
【0032】
そして、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110は、第1のバルブ111とシリンダー連結管114とを介して、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112に窒素ガスを供給可能に接続されている。また、第2のシリンダー112は、第2のバルブ118,圧力調整弁108及び窒素供給管106を介して、反応容器101に窒素を供給可能に接続されている。
【0033】
また、第2のガス供給装置130の圧力センサー107は、窒素供給管106の圧力を測定し、ケーブル109を介してその圧力情報を圧力調整弁108に伝えるようになっており、この窒素ガスの圧力調整機構により、反応容器101内の圧力を所望の値に設定することができる。この時、窒素ガスが充填された第1のシリンダー110,第2のシリンダー112内の窒素ガス圧力は、III族窒化物結晶(例えばGaN結晶)が結晶成長する際に生じる反応容器101内の圧力以上になるように、第1のシリンダー110,第2のシリンダー112には窒素ガスが充填されている。ここで、第1のシリンダー110よりも第2のシリンダー112の方が窒素ガスの収容量(内容積)は小さくなっている。
【0034】
このように、図2の結晶成長装置は、図1の結晶成長装置において、反応容器101と第1のガス供給装置120との間に、第2のガス供給装置130がさらに設けられ、第2のガス供給装置130は、反応容器101に供給される気体の窒素原料を貯めておくための第2のシリンダー112を備えており、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112には、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110から気体の窒素原料が充填可能に構成され、少なくともIII族窒化物を結晶成長させる間は、第2のガス供給装置130と第1のガス供給装置120とが分離されており、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112内の窒素原料圧力は、反応容器101内の窒素原料圧力以上となっている。
【0035】
すなわち、図2の結晶成長装置では、第1のガス供給装置120と反応容器101との間に、第2のガス供給装置130が設けられ、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110には気体の窒素原料が貯えられており、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112には、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110から気体の窒素原料が充填できるようになっており、気体の窒素原料は、反応容器101内に、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112を通じて供給されるようになっている。この際、第2のガス供給装置には、気体の圧力を制御することが可能な圧力調整機構が備わっており、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112内の窒素原料の圧力は、反応容器101内の窒素原料の圧力以上のものとなっている。従って、気体の窒素原料は、反応容器101内に第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112から供給可能であり、反応容器101内で、融液102と窒素原料とが反応し、III族窒化物を結晶成長させることができる。
【0036】
このような構成の図2の結晶成長装置では、結晶成長可能な成長温度、窒素圧力、Na量の条件下において、種結晶103を核としてIII族窒化物結晶(例えばGaN結晶)が成長し、フラックス(例えばNa)を含む融液102と外部から供給される窒素ガスとを原料として、時間経過と共にIII族窒化物結晶の大きさが大きくなっていく。この時、III族窒化物結晶の成長は、気液界面113で主に起こる。
【0037】
ところで、図2の結晶成長装置では、気体の窒素原料が充填されている第2のシリンダー112内の窒素圧力が、反応容器101内の圧力以上となっていることで、窒素ガスの圧力調整機構を介して、反応容器101内の窒素原料圧力を所望の値に設定することが可能となる。このように、III族金属とフラックス(例えばNa)が十分ある状態で、窒素原料である窒素ガスの圧力が制御できることで、継続的なIII族窒化物結晶(GaN結晶)の成長が可能となり、III族窒化物結晶(GaN結晶)を所望の大きさに成長させることが可能となる。
【0038】
また、第1のシリンダー110と第2のシリンダー112との間に位置している第1のバルブ111をGaN結晶が成長している間、閉じて、第1のシリンダー110と第2のシリンダー112とを分離することで、危険性の大きいフラックス(Na)が第1のバルブ111よりも上流(第1のシリンダー110側)に拡散することを防ぐことが可能となる。
【0039】
さらに、第2のシリンダー112の容量は、第1のシリンダー110の容量よりも小さく、前述の圧力調整機能を利用することで、高精度な圧力調整が可能となる。これは、第1のガス供給装置120の第1のシリンダー110よりも、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112の方が内容積が小さいことで、窒素原料の交換頻度を少なくしつつ、高精度な圧力制御,ガス供給制御が可能となる。即ち、第2のガス供給装置130の第2のシリンダー112の内容積が小さくなることで、微小なガスの消費でも圧力変動が顕著になり、圧力制御が可能となるためである。また、第1のシリンダー110の内容積が第2のシリンダー112の内容積より大きいことで、窒素原料ガスの交換頻度を少なくすることが可能となる。
【0040】
このように、図1または図2の結晶成長装置を用いてIII族窒化物結晶を結晶成長させることができる。結晶成長方法の具体例として、III族金属としてGa、窒素原料として窒素ガス、フラックスとしてNaを用い、反応容器の温度を750℃とし、窒素圧力を100kg/cm2Gに一定にする。このような条件下でGaN結晶が成長可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、反応容器内で、少なくともIII族金属を含む融液とフラックスと窒素原料とを用いてIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長装置であって、窒素原料として気体が用いられ、気体の窒素原料の圧力が制御可能となっており、気体の窒素原料を反応容器に供給するために第1のガス供給装置が設けられ、第1のガス供給装置は、気体の窒素原料を貯めておくための第1のシリンダーを備えており、該第1のガス供給装置の第1のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっているので、第1あるいは第2の従来技術のように複雑な工程を必要とせず、低コストで高品質なIII族窒化物結晶を得ることができる。さらに、1000℃以下と成長温度が低く、100kg/cm2G程度と圧力も低い条件下でIII族窒化物の結晶成長が可能となるので、第3の従来技術のように超高圧,超高温に耐えうる高価な反応容器を用いる必要がない。また、窒素原料を供給する際、高精度な圧力制御機能により、安定的な窒素原料の供給が可能となり、結晶成長中の成長速度を安定に保持することが可能となって、継続的に結晶品質の高いIII族窒化物結晶を成長させることができる。従って、実用的な大きさの高品質のIII族窒化物結晶が実現可能となる。
【0042】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の結晶成長装置において、反応容器と第1のガス供給装置の間には、第2のガス供給装置がさらに設けられ、第2のガス供給装置は、反応容器に供給される気体の窒素原料を貯めておくための第2のシリンダーを備えており、第2のガス供給装置の第2のシリンダーには、第1のガス供給装置の第1のシリンダーから気体の窒素原料が充填可能に構成され、少なくともIII族窒化物を結晶成長させる間は、第2のガス供給装置と第1のガス供給装置とが分離されており、第2のガス供給装置の第2のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっているので、請求項1の作用効果に加えて、さらに次の効果がある。すなわち、第1のガス供給装置と第2のガス供給装置とが、結晶成長の間、分離されているので、フラックスの第1のガス供給装置への逆拡散を防ぐことができる。すなわち、通常、フラックスとして用いられる材料は、Naのように活性であり、空気中でも容易に反応を起こすため、安全上問題がある。第1のガス供給装置へのフラックスの拡散を防ぐことで、窒素原料を交換する際にも、安全上の危険性を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る結晶成長装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る結晶成長装置の他の構成例を示す図である。
【図3】従来のレーザダイオードを示す図である。
【符号の説明】
101 反応容器
102 融液
103 種結晶
105 加熱装置
106 窒素供給管
107 圧力センサー
108 圧力調整弁
109 ケーブル
110 第1のシリンダー
111 第1のバルブ
113 気液界面
Claims (3)
- 外部から窒素原料を供給しながら、反応容器内で、少なくともIII族金属を含む融液とフラックスと前記窒素原料とを用いてIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長装置であって、前記窒素原料として気体が用いられ、気体の窒素原料の圧力が制御可能となっており、気体の窒素原料を反応容器に供給するために第1のガス供給装置が設けられ、第1のガス供給装置は、気体の窒素原料を貯めておくための第1のシリンダーを備えており、該第1のガス供給装置の第1のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっていることを特徴とする結晶成長装置。
- 請求項1記載の結晶成長装置において、反応容器と第1のガス供給装置の間には、第2のガス供給装置がさらに設けられ、第2のガス供給装置は、反応容器に供給される気体の窒素原料を貯めておくための第2のシリンダーを備えており、第2のガス供給装置の第2のシリンダーには、第1のガス供給装置の第1のシリンダーから気体の窒素原料が充填可能に構成され、少なくともIII族窒化物を結晶成長させる間は、第2のガス供給装置と第1のガス供給装置とが分離されており、第2のガス供給装置の第2のシリンダー内の窒素原料圧力は、反応容器内の窒素原料圧力以上となっていることを特徴とする結晶成長装置。
- 請求項1または請求項2記載の結晶成長装置を用いてIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とする結晶成長方法。
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JP23720099A JP3868156B2 (ja) | 1999-08-24 | 1999-08-24 | 結晶成長方法および結晶成長装置およびiii族窒化物結晶 |
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