JP4549193B2 - カルコパイライト型薄膜太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

カルコパイライト型薄膜太陽電池及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルコパイライト型薄膜太陽電池及びその製造方法に関し、特に、光吸収層と透明電極層の間にバッファ層を形成したカルコパイライト型薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
シリコン太陽電池、薄膜太陽電池、化合物太陽電池などの種類に大別される各種太陽電池のうち、薄膜型のものは薄膜技術を応用した光デバイスとして製造プロセスが簡易かつ低エネルギーで済むという利点から商品化開発が進んでいる。カルコパイライト型薄膜太陽電池は薄膜型種類に属し、I族、III族及びVI族の元素を構成成分とするカルコパイライト化合物(Cu(In+Ga)Se2 )から成るCIGS層をp型の光吸収層として備える。そして、このような化合物組成で形成される光吸収層により、特に、ソーダライムガラスなどアルカリ金属含有ガラス基板と組み合せて用いたときに高い光電効率が得られることが知られている。また、不純物混入や欠陥格子に起因する光劣化(経年変化)現象の大幅削減に基づく高い信頼性、長波長帯域を含む広い光吸収波長領域において得られる光感度特性、高い水準の光吸収係数などの利点の他に、優れた耐放射線特性を備えており、量産実用化を目的とした研究開発が進展している。
このCIGS層を備えた薄膜太陽電池の一般的構造を図1に示す。図1を参照して、この太陽電池は、ソーダライムガラス(SLG)基板1上に、Mo金属層2から成る正極たる裏面電極層と、SLG基板1に由来して生じるNaムラを防止するためのNaディップ層3と、上記のCIGS光吸収層4と、n型のバッファ層5と、負極たる透明電極層6による最外表面層とを備えた多層積層構造7で構成される。
そして、この多層積層構造7の表面受光部から太陽光などの照射光が入射すると、多層積層構造のp−n接合付近では、バンドギャップ以上のエネルギーを有する照射光によって励起されて一対の電子及び正孔が生じる。励起された電子と正孔とは拡散によりp−n接合部に達し、接合の内部電界により、電子がn領域に、正孔がp領域に集合して分離される。この結果、n領域が負に帯電し、p領域が正に帯電し、各領域に設けた電極8,9間で電位差が生じる。そして、この電位差を起電カとして、各電極間を導線で結線したときに光電流が得られ、これが太陽電池の原理である。
図2は、図1に示すカルコパイライト型薄膜太陽電池を構成する多層積層構造7の製造工程を示す工程図である。
各工程に応じて順番に説明すると、多層積層構造7を作製するに際しては、まず、SLGなどのガラス基板に対して、金属Moターゲットを用いたスパッタリング法により、Mo電極層の成膜を行う(Mo電極層成膜工程:図2(a))。
次に、Mo電極層が形成された基板ごと、レーザー切削により所望サイズに分割する第1スクライブ工程を行う(図2(b))。
その後、削り屑などを除去するために水洗浄などにより基板を清浄し、これを硫化ナトリウム希釈溶液などに浸漬して、Naディップ層を付着形成した後に、In金属ターゲット及びCu−Ga合金ターゲットをそれぞれ用いたスパッタ成膜法により、In層とCu−Ga層との二層構造から成る積層成膜を行い、これを光吸収層のプリカーサとする(図2(c))。
所望のCIGS光吸収層を得るために、このプリカーサを用いる従来の方法は、図2(d)に示すように、In層とCu−Ga層とを積層状態のプリカーサとして備える基板ごとアニール処理室内に収容し、この状態で、100℃の温度条件で10分間のプレヒートを行う。そして、アニール処理室内に挿入したガス導入管より H2Seガスを導入し、これを処理室内に通流させながら、室内を500〜520℃の温度範囲に昇温する。さらに、通流ガスとして、反応ガスたるH2Seガスを Arガスなどのパージガスに交換する。これにより、In層とCu−Ga層との積層構造から成るプリカーサを、カルコパイライト化合物から成るCIGS単層に変換する工程を終了する。
そして、アニール処理室から取り出したCIGS層付きの基板に対して、図2(e)に示すような浸漬浴堆積法(CBD:Chemical Bath Deposition)あるいはスパッタリング法により、n型半導体材料たるCdS、ZnO、InSなどの成膜を行う(例えば特許文献1参照)。
さらに、得られた積層構造に対して、レーザー照射や金属針を用いた切削加工により第2スクライブ工程を行う(図2(f))。
その後に、ZnO−Al合金ターゲットを用いたスパック成膜法により、最外表面層として、ZnOAl層から成る透明導電膜(TCO:Transparent Conductive Oxide)を積層する(図2(g))。
最後に、再びレーザー照射や金属針を用いた切削加工により第3スクライブ工程を行う(図2(h))。
このような積層構造から成る薄膜太陽電池は、切削加工によりその大きさが揃えられた単セルとして得られ、最終製品は、これら単セルを直列接続した平面集積構造である。
この種のCIGS系薄膜太陽電池に対しては、光電変換効率の向上が要望されており、このための手法の一つとして、光吸収層のワイドバンドギャップ化が有効である。最大の変換効率を得るための光吸収層のバンドギャップは、理論上1.4〜1.15eVであることが実証されている。また、光吸収層のワイドバンドギャップ化のためには、層中の金属Gaの固溶率を増大させることが必要である。一方、実用上のバンドギャップは、約1.1eVに留まっているのが実状である。
ところで、約1.1eV程度のバンドギャップを備えた光吸収層は、上記したように、
(1)In層とCu−Ga層とを積層状態のプリカーサとして備える基板ごとアニール処理室内に収容し、100℃の温度条件で10分間のプレヒートを行う、
(2)アニール処理室内に挿入したガス導入管より H2Seガスを導入し、これを処理室内に通流させながら、室内を500〜520℃の温度範囲に昇温する、
(3)さらに、通流ガスとして、反応ガスたるH2Seガスを Arガスなどのパージガスに交換する、
を経て得られる。
このとき、金属Gaの固溶率を増大させるためには、上記(2)における温度条件を、例えば650℃程度の高温にする必要がある。
特開2003−282909号公報(第2頁)
ところが、温度条件を従来より高く設定することにより、光吸収層のバンドギャップを現状の1.1eV程度からワイドバンドギャップ化(増大化)させようとしても、得られる太陽電池製品は、その開放電圧が飽和する傾向を示し、結果的に光電変換効率の低下を招いている。
この原因として、ワイドバンドギャップ化した光吸収層とこれに隣接するバッファ層との間でバンドギャップアンマッチ(バンド不整合)が生じている、と推察される。
一方、有害なカドミウムを使用しないバッファ層として注目されるInS系のものは、バンドギャップが約2.5eVと比較的大きく、これに整合するバンドギャップを備えた光吸収層を形成することが一層重要である。
本発明は、上記問題点に鑑み、光電変換効率の向上を実現し得るカルコパイライト型薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明のカルコパイライト型薄膜太陽電池は、基板上に形成された裏面電極層と、この電極層上に形成され、少なくともI族、III族及びVI族元素を含むp型の光吸収層と、この光吸収層上に形成され、InASを含むn型のバッファ層と、このバッファ層上に形成された透明電極層とを備えて構成される。
本発明によれば、I族、III族及びVI族元素を含むp型の光吸収層のワイドバンドギャップ化を行った場合でも、InASバッファ層の介在によりバンド不整合が生じにくくなる。このため、太陽電池製品の開放電圧が和することなく、光電変換効率の向上が得られる。
また、本発明は、基板上に形成された裏面電極層上に、Cu、In及びGaを含むプリカーサをスパッタリング法により形成するプリカーサ形成工程と、プリカーサ形成が行われた基板に対して、HSeガス雰囲気中で熱処理を行って 光吸収層を形成するセレン化工程と、光吸収層上に、InASを含むn型のバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、バッファ層上に透明電極層を形成する透明電極層形成工程とから成る製造方法により、得られるCIGS系薄膜太陽電池の光電変換効率向上が実現する。
この場合、セレン化工程の熱処理は、500℃より高く、かつ、基板融点より低い温度範囲で行うことが実用上望ましい。
本発明によるカルコパイライト型薄膜太陽電池は、バッファ層としてInAS成分を備えるため、p型の光吸収層とn型のバッファ層との間のバンドギャップの整合が得られる。このため、得られる薄膜太陽電池製品は、開放電圧の低下を伴わず、したがって、光電変換効率の向上を実現することができる。

また、InAISバッファ層は、InSバッファ層に比べ、高価なIn希少金属の使用量を軽減できるので、コスト削減効果も得られる。
図2(c)に示すプリカーサ光吸収層の成膜工程に対応して、本発明による光吸収層のプリカーサを製造するための成膜装置を図3に示す。
図3は、仕入室31と第1スパッタ成膜室32と第2スパッタ成膜室33と取出室34とを、それぞれ仕切弁35,36,37を介して連通させて構成したインライン式スパッタ装置38の概略図である。本装置38の各構成室31,32,33,34は、それぞれ図外の真空排気機構が設置されており、所望の圧力条件のもとで成膜工程が行われる。
仕入室31の内部には、バッチ単位の複数枚の基板1aを収納できる基板支持台(図示せず)が搭載される。収納される基板1aは、既にMo電極層の成膜が行われたものである((a)参照)。そして、複数枚のMo電極層付き基板1aのうち、成膜工程に進む基板1bが、基板搬送トレイなどの基板ホルダ(図示せず)に保持された状態で、仕切弁35を介して次の第1成膜室32に搬送される。
第1成膜室32では、両側の仕切弁35,36を閉弁状態とし、所定圧力条件のもと、Inターゲットによるスパック成膜法により、基板1b上の表面層として、金属In層の成膜が行われる((b)参照)。そして、同様にして、次の第2成膜室33において、Cu−Gaターゲットによるスパッタ成膜法により、基板1b上にCu−Ga合金層の成膜が行われ((c)参照)、プリカーサの成膜工程が終了する。成膜終了後の基板1cは、仕切弁37を介して取出室34に搬送される。取出室34内には、仕入室31のものと同様の基板支持台が搭載されており、上記と同じ成膜工程サイクルで成膜終了とされた、バッチ単位相当枚数分の基板1cが支持台に収納された時点で、全成膜工程の完了とする。
図4は、図2(d)に示すプリカーサ光吸収層のセレン化工程に対応して、本発明による光吸収層のセレン化を行うための熱処理室40の概略図である。熱処理室40は、その両側を挟んで配置されたヒータ41により加熱される。また、その内部には、所定バッチ枚数の基板を収容可能な石英ボート42が設置され、ボート42の底面上に複数の基板1cが縦型状態で収納される。また、ボート42上の基板1cを直立状態に保つための石英製サセプタ43a,43bが設けられている。このサセプタ43a,43bを設けた石英ボート42には、外部の駆動機構に連なる回転駆動軸44が接続部45を介して接続され、回転軸44の回転により、全基板1cが縦型状態を保持したまま回転することができる。さらに、全基板1cを搭載した石英ボート42は、石英製プロセスチューブ46により囲繞されている。このプロセスチューブ46により囲繞して形成される密閉空間は、図外の真空排気機構により圧力条件が可変であり、また、この密閉空間内部にガス導入管47が貫入される。ガス導入管47はセレン化ガス導入用であり、導入管47の周壁に設けられた多数のノズル孔48から H2Seガスが流入する。また、プロセスチューブ46内で均一なH2Seガスの通流が得られるように、ノズル孔48は、外径1〜2mmの大きさで穿設される。
光吸収層4(図1参照)の作製に際しては、図3に示すインライン式スパッタ成膜装置38を用いて、金属In層及びCu−Ga合金層から成る積層構造を形成したガラス基板1cを所定枚数分に揃え、図4に示すように熱処理室40内に収容する。そして、図5に示す温度プロファイルにしたがってセレン化処理を行う。
即ち、図4の熱処理室40内のプロセスチューブ46内を、図外の排気機構の作動により50〜95kPaの減圧状態に保ちながら、加熱ヒータ41により内部温度を約250℃まで昇温する。これら温度条件及び圧力条件を保った状態で、ガス導入管47のノズル孔48より所定流量のH2Seガスを所定時間(1)に亘って流入させ、これを第1セレン化工程とする。この工程は、熱処理室40内のプレヒート及びH2Seガス雰囲気の安定化のために設けられる。このときの時間(1)として、例えば10分間程度が好ましい。
さらに、図4の熱処理室40の回転駆動軸44を槻ね1〜2rpmで等速回転させることにより、同時に回転する基板1cの周囲環境、即ち、プレヒート温度条件下でのH2Seガス雰囲気がさらに安定的に確保される。この基板1cの回転は、第1セレン化工程だけでなく、後述する第2、第3のセレン化工程及び冷却工程でも行うことによりさらに効果的となる。
次に、時間(1)のH2Seガス導入終了後、プロセスチューブ46内を50〜95kPaの減圧状態に保ちながら、加熱ヒータ41により内部温度Aとして約250〜450℃まで昇温する。そして、これら温度条件及び圧力条件を保った状態で、ガス導入管47のノズル孔48より所定流量のH2Seガスを 時間(2)に亘って流入させ、これを第2セレン化工程とする。この工程は、基板1c上に形成されたIn層とCu−Ga層との積層構造から成る光吸収層プリカーサ内で、In、Cu及びGaの各成分を拡散させつつSe成分を取り込むために設けられる。このときの時間(2)として、例えば10〜120分間程度が好ましい。
さらに、約250〜450℃への昇温が行われた後に、時間(3)直前の時間(2)において、プロセスチューブ46内を真空排気して、高真空状態に保持する真空工程を介在させることで、第2セレン化工程で取り込むSe成分原料のH2Seガスが活性の高いものとして得られる。また、第1セレン化工程に由来する残留ガスの影響を考慮しなくて良いため、所要設定量のH2Seガスの導入により、第2セレン化工程でのSe成分取り込みを正確に制御できる。あるいは、第2セレン化工程においてH2Seガスの所要量が比較的大流量に及ぶときは、その流量制御を正確に行うために、複数回に分割して通流させる手法が採られることがあるが、その場合は、分割して通流を行うたびに、その直前に上記した真空工程を行う必要がある。この結果、H2Seガスの流量制御がさらに正確に行われることになる。
次に、時間(3)のH2Seガス導入終了後、プロセスチューブ46内を50〜95kPaの減圧状態に保ちながら、加熱ヒータ41により内部温度Bとして約500〜650℃まで昇温する。
なお、内部温度Bの上限値650℃は、本形態で用いるガラス基板の軟化温度の上限である。サブストレート型の太陽電池においては、基板に用いる材料に大きな制約はないため、例えばステンレスやカーボン、マイカ(雲母)等の基板を用いた場合には、さらに高い温度にてセレン化を行うことが可能となる。
そして、この状態を約10〜120分間に亘って保持し、これを第3セレン化工程とする。この工程は、これまでに行ったIn、Cu及びGaの各成分の拡散とSe成分の取り込みによって均一化が進行した光吸収層プリカーサを結晶化させ、内部膜構造の再配置を安定的に得るために設けられる。
その後、加熱ヒータ41による加熱温度を徐々に低下させ、室温まで冷却した後に、第3セレン化工程までの工程により光吸収層が形成された基板1cを取り出して光吸収層作製の完了とする。なお、残留H2Seガスが冷却中の基板1cに作用して、その表面層において不要なSe析出を生じることがある。これを防止するため、冷却中の時間(4)において、プロセスチューブ46内を真空排気して、高真空状態に保持する真空工程を介在させても良い。また、回転駆動軸44の等速回転による基板1cの回転は、望ましくは、光吸収層作製の完了時点とした、基板1cの取り出し直前まで行うと良い。
次に、p型の光吸収層とのヘテロ結合を得るために、高抵抗でn型のバッファ層を形成する。バッファ層の形成に際して、湿式のCBD法を採用し、チオアセトアミドと塩化インジウムと塩化アルミニウムの混合水溶液を用いて、InAlS系のバッファ層を形成する。なお、CBD法の実際は、温度管理を行った水溶液に光吸収層の表面を浸漬させて、水溶液中のコロイド成長により微粒子を堆積し、薄膜成長を進行させる。
その後、ZnO−Al合金ターゲットなどを用いた通常のスパッタ成膜法により、最外表面層として、ZnOAl層などから成る透明電極層を形成し、薄膜太陽電池を完成させる。
上記のようにバッファ層としてInAlS系のものを用いて薄膜太陽電池を作製し、同条件で製造した複数枚の薄膜太陽電池製品につき、その性能測定を行ったところ、図6に示す光電変換効率値を得た。
[比較例1]
InAlS系の替りに、従来のInSバッファ層を備えた薄膜太陽電池を作製し、同条件で製造した複数枚の薄膜太陽電池製品につき、その性能測定を行ったところ、図6に示す光電変換効率値を得た。
[実施例1]及び[比較例1]を対比すると、本発明による薄膜太陽電池製品において、製品の特性指標たる光電変換効率が、8.0%から8.5%と顕著な向上が認められる。これは、光吸収層とバッファ層との間のバンドギャップ整合が改善されたためである。そして、この結果、InAlSバッファ層を備えた薄膜太陽電池製品では、開放電圧こそ低下傾向にあるが、短絡電流及びフィルファクタが増大するため、光電変換効率向上という結果が得られるのである。
図7は、バンドギャップ整合を概念的に示す模式図である。図7(a)には、InSバッファ層を、ZnOAl透明電極層とCIGS光吸収層との間に介在させた積層構造が示され、図7(b)には、InAlSバッファ層を、ZnOAl透明電極層とCIGS光吸収層との間に介在させた積層構造が示される。図7(a)に示すバンドギャップ整合に比べ、図7(b)では、界面の上下両側において、透明電極層、バッファ層及び光吸収層の間の非連続部分が縮小し、また、光吸収層のワイドギャップ化とも相侯って、バンドギャップの不整合が改善されている。
さらに、InAlSバッファ層をCBD法により形成する際に、水溶液中の塩化インジウムと塩化アルミニウムの混合比率を変化させ、それぞれの場合の薄膜太陽電池製品の光電変換効率を測定したところ、図8のような結果が得られた。これにより、塩化インジウムと塩化アルミニウムの混合比率が1:1〜1:2(カラム3及び4に相当)の場合に最大の変換効率が得られることが分る。
本発明のカルコパイライト型薄膜太陽電池は、従来のバッファ層に用いていたインジウム金属の一部をアルミニウムに代替することになる。即ち、高価な希少金属インジウムを廉価な汎用金属であるアルミニウムに代替するため、太陽電池の製造コスト削減の効果も得られる。
本発明は、ワイドギャップ化が要請された光吸収層を備えたカルコパイライト型薄膜太陽電池において、そのバッファ層の製造へ活用可能である。
薄膜太陽電池の一般的構造を示す概略図 薄膜太陽電池の一般的な製造工程図 In金属層とCu−Ga合金層とから成る積層プリカーサを作製するインライン式スパッタ成膜装置の概略図 CIGS光吸収層を作製する熱処理室の概略図 セレン化工程の温度プロファイル図 [実施例1]及び[比較例1]により作製された薄膜太陽電池の光電変換効率特性を示すグラフ図 (a)InSバッファ層をZnOAl透明電極層とCIGS光吸収層との間に介在させた積層構造のバンドギャップ整合の概念模式図、(b)InAlSバッファ層をZnOAl透明電極層とCIGS光吸収層との間に介在させた積層構造のバンドギャップ整合の概念模式図 塩化インジウム及び塩化アルミニウムの混合比率を変化させて作製した薄膜太陽電池製品の光電変換効率特性を示すグラフ図
符号の説明
1 1a 1b 1c ガラス基板
2 Mo電極層
4 CIGS光吸収層
7 多層積層構造(薄膜太陽電池)
32 In金属層用第1スパッタ成膜室
33 Cu−Ga合金層用第2スパッタ成膜室
38 インライン式スパッタ成膜装置
40 熱処理室
41 加熱ヒータ
42 石英ボート
43 サセプタ
44 回転駆動軸
46 プロセスチューブ
47 ガス導入管
48 ノズル孔

Claims (3)

  1. 基板上に形成された裏面電極層と、
    該電極層上に形成され、少なくともI族、III族及びVI族元素を含むp型の光吸収層と、
    該光吸収層上に形成され、InASを含むn型のバッファ層と、
    該バッファ層上に形成された透明電極層と、
    を備えることを特徴とするカルコパイライト型薄膜太陽電池。
  2. 基板上に形成された裏面電極層上に、Cu、In及びGaを含むプリカーサをスパッタリング法により形成するプリカーサ形成工程と、
    該プリカーサ形成が行われた基板に対して、HSeガス雰囲気中で熱処理を行って光吸収層を形成するセレン化工程と、
    該光吸収層上に、InASを含むn型のバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、
    該バッファ層上に透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、
    から成ることを特徴とするカルコパイライト型薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 前記セレン化工程の熱処理は、500℃より高く、かつ、基板融点より低い温度範囲で行うことを特徴とする請求項2に記載のカルコパイライト型薄膜太陽電池の製造方法。
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