JP4544377B2 - 酸素吸収性多層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性に優れた酸素吸収性多層体に関する。本発明の酸素吸収性多層体は、食品や医薬品の品質を良好に保持する容器に利用される。
【0002】
【従来の技術】
鉄系の酸素吸収剤を脱酸素剤とする包装が、食品、医薬品等を保存する方法として知られているが、近年、脱酸素包装技術の一つとして、熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物を通気性包装材料にて包装してなる、ラベル型、パッキン型、カード型等の脱酸素剤が使用されている。さらに、熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を配合した樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した、脱酸素機能を備えた多層体材料からなる包装容器、すなわち脱酸素容器の開発が行われている。
【0003】
鉄系酸素吸収剤を樹脂に配合した酸素吸収性樹脂組成物としては、例えば特開昭60−158257号公報、特開昭63−281964号公報、特開平4−90847号公報、特開平7−268140号公報等に鉄系酸素吸収剤を熱可塑性樹脂に分散、混合したものの記載がある。特開平8−72941号公報、特開平7−309323号公報、特開平9−40024号公報には、鉄系酸素吸収性樹脂層を有する多層シート、多層フィルム等の酸素吸収性多層体の記載がある。
また、特開平1−73869号公報には、ガスバリア性熱可塑性樹脂に銅の量を150ppm以下、硫黄量を500ppm以下とした鉄粉と酸化促進剤を配合する樹脂配合用酸素吸収剤の記載がある。このような酸素吸収剤は、加熱時に樹脂のゲル化や分解を抑え、また異味、異臭成分の発生を抑える効果を示すことが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、脱酸素剤組成物を配した酸素吸収層を中間層とし、外側にガスバリア性の外層、内側に酸素透過性の内層を備えた脱酸素性多層体で構成された、脱酸素機能を備えた袋、カップ、トレイ、ボトル等の包装容器の検討を行ってきた。
しかし、鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物を用いた酸素吸収性多層体からなる容器を使用して食品等を保存する場合、しばしば容器内の水分が樹脂に配合した鉄系酸素吸収剤と反応して水素が発生し、これにより、容器や袋の形状又は外観が損なわれる場合があった。
本発明の目的は、容器や袋の形状又は外観が損なわれることのない、保存安定性に優れた酸素吸収性樹脂組成物及びこれを用いた酸素吸収性多層体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸素吸収樹脂層中の鉄系酸素吸収剤の硫黄含有量が600ppm以上1500ppm以下、好ましくは700ppm以上1200ppm以下に調節することにより、保存中の水素発生を抑制し、酸素吸収性能が損なわれず、さらに食品、医薬品の保存効果に優れた酸素吸収性多層体乃至酸素吸収性シートが得られることを見出した。
【0006】
本発明の酸素吸収性多層体は、従来の鉄系酸素吸収剤を用いた樹脂組成物や多層体と比較し、保存中の水素発生量が抑制されているため、食品、医薬品を密封保存した際の保存安定性に優れている。
水素の発生が抑制される機構は明らかでないが、水分と鉄とが反応して酸化鉄と水素になる反応を硫黄が阻害するものと推定される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、内側表面から順に、酸素透過性熱可塑性樹脂からなるシーラント層、鉄系酸素吸収剤を配合した熱可塑性樹脂からなる酸素吸収樹脂層、ガスバリア性材料からなるガスバリア層の少なくとも3層が積層された酸素吸収多層体において、酸素吸収樹脂層中の鉄系酸素吸収剤の硫黄含有量が600ppm以上1500ppm以下、好ましくは700ppm以上1200ppm以下の鉄粉及びハロゲン化金属からなる組成物であることを特徴とする酸素吸収性多層体である。
硫黄含有量は、鉄粉重量当たりの硫黄分(S換算)の重量ppmで示す。
本発明によれば、酸素吸収剤から水素が発生することが抑制される。硫黄の含有量が前記した量より少ないと水素抑制効果が低くなる。また、硫黄の含有量が前記した量より多いと、食品、医薬品を密封保存した際、硫黄の臭気が発生する問題が生じる。
【0008】
内側表面から順に、酸素透過性熱可塑性樹脂からなるシーラント層、鉄系酸素吸収剤を配合した熱可塑性樹脂からなる酸素吸収樹脂層、ガスバリア性材料からなるガスバリア層の少なくとも3層が積層された酸素吸収多層体においては、水素が発生することを抑制することが容器や袋の形状又は外観を保つ上できわめて重要である。特に、ガスバリア層が金属箔からなる酸素吸収性多層体においては水素が容器内から逃げずに蓄積されるので、本発明は重要である。
【0009】
本発明の鉄系酸素吸収剤中の硫黄含有量は、600ppm以上1500ppm、好ましくは700ppm以上1200ppm以下のものが用いられる。
硫黄含有量が前記の量より少ないと鉄系酸素吸収剤からの水素抑制効果が低く、前記の量より多いと、食品、医薬品を密封保存した際の硫黄の臭気が問題となる。
鉄系酸素吸収剤中の含有量が前記範囲に入る量の硫黄分を含む鉄粉の他、鉄系酸素吸収剤中の硫黄含有量が前記範囲に入るように鉄粉と硫黄又は含硫黄無機化合物からなる組成物を使用することができる。添加される含硫黄無機化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の硫酸塩が好ましく、アルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ土類金属の硫酸塩がより好ましく、水に不溶性の硫酸カルシウム及び硫酸バリウムが最も好ましい。
【0010】
本発明に用いられる鉄系酸素吸収剤中の鉄粉の製造方法には、特に制限はなく、還元鉄粉、噴霧鉄粉、電解鉄粉が用いられる。また、鉄系酸素吸収剤に用いる鉄粉の粒径は、酸素吸収性樹脂の層厚を薄くするために細かい方がよく、平均粒径は1〜150μmが好ましく、5〜100μmが特に好ましい。
鉄系酸素吸収剤としては、前記した鉄粉又は鉄粉と硫黄もしくは含硫黄無機化合物からなる鉄粉組成物とハロゲン化金属からなる組成物が好ましい。ハロゲン化金属は鉄粉の酸素吸収反応に触媒的に作用するものである。ハロゲン化金属としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物、臭化物又はヨウ化物が用いられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はバリウムの塩化物又はヨウ化物が好ましく用いられる。ハロゲン化金属の配合量は、鉄粉100重量部当たり好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0011】
ハロゲン化金属は、鉄粉を主剤とした酸素吸収剤の必須成分として鉄粉とともに使用されるが、鉄粉に付着して容易に分離しないよう予め混合して添加することが好ましい。例えば、ボールミル、スピードミル等を用いてハロゲン化金属と鉄粉を混合する方法、鉄粉表面の凹部にハロゲン化金属を埋め込む方法、バインダーを用いてハロゲン化金属を鉄粉表面に付着させる方法、ハロゲン化金属水溶液と鉄粉を混合した後乾燥して鉄粉表面に付着させる方法等の方法がとられる。
好ましい鉄系酸素吸収剤は、鉄粉とハロゲン化金属を含む組成物であり、特に好ましくは、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金属被覆鉄粉からなる酸素吸収剤である。本発明の酸素吸収性樹脂組成物には、鉄粉及びハロゲン化金属以外の成分を配合することもできる。例えば、アルカリ物質を添加することにより鉄系酸素吸収剤の水素発生の抑制作用を高めることができるが、鉄系酸素吸収剤の酸素吸収をも阻害するため、その量は制限される。
【0012】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合することにより製造される。本発明において熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合する量は、酸素吸収性樹脂組成物中、鉄系酸素吸収剤10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%となる量である。この範囲より多いと、樹脂組成物の加工性に問題が生じ、少ないと酸素吸収性能が低下する。鉄系酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂の層厚を薄くするために細かい方がよく、平均粒径は1〜150μmが好ましく、5〜100μmが特に好ましい。
【0013】
本発明における鉄系酸素吸収剤を配合する酸素透過性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが好ましく用いられる。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンに例示されるポリエチレン類、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体に例示されるポリプロピレン類、メタロセンポリエチレンやメタロセンポリプロピレン等のメタロセン触媒によるポリオレフィン類、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−αオレフィン共重合体に例示されるエラストマー類あるいはこれらの混合物が挙げられる。この中では、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセンポリエチレンが特に好ましい。
【0014】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物又はこれより成る酸素吸収性フィルムを延伸して多孔化することにより酸素吸収速度を増加させることも好ましい。この場合、脱酸素成分以外の多孔化を補助する多孔化補助剤を酸素吸収性樹脂組成物に加えても良い。多孔化補助剤としては、水に不溶又は難溶の無機フィラーであれば特に制限はない。無機フィラーの例としては、シリカ、アルミナ、珪藻土、チタニア、硫酸バリウムなどがあり、硬度、取り扱い、価格の点から粉砕シリカ、α−アルミナを用いるのが最も好ましい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物を酸素吸収層とし、容器外側にガスバリア層、容器内側に酸素透過性のシーラント層を配することにより、脱酸素機能を備えた脱酸素性多層体が構成される。本発明の酸素吸収性樹脂組成物を酸素吸収層とし、その少なくとも片側に酸素透過層を積層した脱酸素性積層体を構成することもできる。
本発明において、酸素透過性のシーラント層に用いる樹脂としても、上記の酸素吸収性樹脂組成物に使用する熱可塑性樹脂が用いられる。シーラント層に用いる樹脂と酸素吸収層に使用する熱可塑性樹脂は、上記の熱可塑性樹脂であれば、異なっていても良いが、同種のものが好ましい。
酸素吸収樹脂層、酸素透過性の内層には、酸化チタン、スリップ剤、酸化防止剤、消泡剤、活性炭等の添加物を添加してもよい。
【0015】
本発明において、ガスバリア層は、包装容器とした場合に容器外部から侵入する酸素を遮断する層であり、例えば、アルミ箔等の金属箔、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロン6、ナイロン6, 6、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレート等のガスバリアー性樹脂、アルミニウム蒸着フィルムやシリカ蒸着フィルム等の蒸着フィルム等を単独又は組合せて用いることができる。
中でもガスバリア層をアルミ箔等の金属箔とした場合、酸素吸収樹脂から発生した水素が透過しないため、本発明の水素抑制効果が特に重要である。
【0016】
また、ガスバリア層の破損やピンホールを防ぐために、バリア層の外側に熱可塑性樹脂からなる保護層を設けることが好ましい。
保護層に用いる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のポリプロピレン類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、さらに、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類およびこれらの組合せが挙げられる。
【0017】
また、本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収性多層体の酸素吸収樹脂層に用いられる。本発明の酸素吸収性多層体は、多層フィルム又は多層シート等として、保存安定性に優れた包装材料として各種の用途に用いられる。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例に沿ってさらに詳しく説明する。尚、本発明は実施例に必ずしも限定されない。
[実施例1]
平均粒径30μmの鉄粉1000kgを加熱ジャケット付き真空乾燥機中に投入し、10mmHgの減圧下140℃で混合しつつ、塩化カルシウム50重量%水溶液50kgを噴霧し、乾燥した後、粉末状の硫酸バリウムを添加、混合し、篩い分けし粗粒を除き、硫黄含有量が850ppmで平均粒径30μmの鉄系酸素吸収剤1を得た。
次に、ベント付き二軸押出機を用いて、エチレン−プロピレンランダム共重合体(チッソ(株)製、商品名F8090)を押出しながら、サイドフィードにて鉄系酸素吸収剤を供給し、ポリプロピレン:鉄系酸素吸収剤=70:30重量比となるように、混練し、ストランドダイから押し出した後、冷却、ペレタイザーにてペレット化し、酸素吸収性樹脂組成物Aを得た。
【0019】
次いで、単軸押出機、Tダイ、冷却ロール及びスリッター及び巻取機からなる押出ラミネーター装置を用い、繰り出される無延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製、商品名RXC−11、厚さ50μm、以下CPP)上に作製した酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ30μmで冷却ロールにあてながら押出ラミネートし、酸素吸収樹脂層面を平滑化し、CPPと酸素吸収樹脂層をラミネートしたフィルム1を作製した。フィルム1の酸素吸収樹脂層面の濡れ張力(JISK6768)は、42dyn/cmであった。
ついで、フィルム1の酸素吸収樹脂層側にドライラミネートにより、厚さ7μmのアルミ箔、厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム、さらに厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、酸素吸収多層体11を得た。得られた酸素吸収多層体11の構成は、内面より、CPP/酸素吸収樹脂層/アルミ箔/延伸ナイロン/ポリエチレンテレフタレートである。
【0020】
酸素吸収多層体11を用いて、評価試験を実施した。すなわち、酸素吸収多層体1を18cm×13cmに切り取り、3辺をヒートシールした後、人参、ジャガイモ等の野菜を含んだカレーシチュー150gをヘッドスペース空気量が5ccとなるように充填し、残りの一辺をヒートシールして包装袋とし、125℃、25分のレトルト処理を行った。その後、40℃、RH75%下に3ヶ月保存し、袋の外観、袋内の酸素及び水素濃度、並びに、内容物であるカレー風味の調査を行った。結果を表1に示す。
【0021】
[比較例1]
硫酸バリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。そのときの鉄系酸素吸収剤中の硫黄含量を測定したところ、50ppmであった。結果を表1に示す。
【0022】
[比較例2]
硫黄含有量が異なる鉄粉を用いた以外は、実施例1と同様にした。そのときの鉄系酸素吸収剤中の硫黄含量は、2800ppmであった。結果を表1に示す。
【0023】
[実施例2]
実施例1のフィルム1に、印刷を施した厚さ15μmの延伸ナイロン、厚さ12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(凸版印刷(株)製、商品名GL−AEH)を実施例1と同様にドライラミネートし、酸素吸収多層フィルム12を得た。
酸素吸収多層フィルム12の構成は、CPP/酸素吸収樹脂層/延伸ナイロン/印刷/シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートであった。以下、実施例1同様の評価試験を実施した。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004544377
【0025】
[実施例3]
実施例1とは硫黄含有量が異なる鉄粉1000kg及び粉末状の硫酸バリウムを加熱ジャケット付き真空乾燥機中に投入し、10mmHgの減圧下140℃で混合しつつ、塩化カルシウム50重量%水溶液50kgを噴霧し、乾燥した後、篩い分けし粗粒を除き、硫黄含有量が1150ppmで平均粒径20μmの鉄系酸素吸収剤2を得た。
鉄系酸素吸収剤2を用い、混練する樹脂に低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、商品名ミラソン18SP、以下LDPE)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸素吸収樹脂組成物Bを得た。
【0026】
次いで、2台の単軸押出機、Tダイ、冷却ロール及びスリッター及び巻取機からなるタンデム押出ラミネーター装置を用い、繰り出されるLDPE(厚さ20μm)/アルミ箔(厚さ9μm)/OPP(厚さ25μm)からなる積層フィルムに、作製した酸素吸収樹脂組成物Bを厚さ30μmで押出ラミネートし、次いで、内層として押出機より酸化チタンを5重量%配合したメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル社製、商品名PT1450)をTダイから厚さ20μmとなるように押出しラミネートし、内層(低密度ポリエチレン:酸化チタン=80:20)/酸素吸収樹脂/LDPE/アルミ箔/OPPの積層構成からなる、酸素吸収多層フィルム13を得た。この多層フィルム13を15cm×20cmに切り出し、ガゼット袋に製袋し、栗羊羹を200g、ヘッドスペース空気2ccとなるように充填密封し、40℃、RH75%下に6ヶ月間保存した。栗羊羹包装体は、保存後も形状の変形なく保存前の外観を保っていた。さらに、開封して調査したところ、栗羊羹の風味、色調が良好に保持されていることが確認された。
【0027】
[比較例3]
硫酸バリウムを添加しなかった以外は、実施例3と同様にして、鉄系酸素吸収剤3を得た。このときの鉄系酸素吸収剤中の硫黄含量は350ppmであった。これを用い、実施例3と同様にして、酸素吸収樹脂組成物Cを得、酸素吸収多層フィルムを製造し、栗羊羹包装体を得た。
実施例3と同様に6ヶ月保存した後の栗羊羹包装体は、膨らみを生じ、保存前の外観を保っていなかった。また、ガス分析の結果、生じた膨らみは発生した水素に因るものであることが判明した。
【0028】
[実施例4]
実施例1とは硫黄含有量が異なる最大粒径50μmの鉄粉1000kgを加熱ジャケット付き真空乾燥機中に投入し、10mmHgの減圧下140℃で混合しつつ、硫酸バリウム及び塩化ナトリウムを含む懸濁水溶液を噴霧し、乾燥した後、篩い分けし粗粒を除き、硫黄含有量が1100ppmで平均粒径20μmの鉄系酸素吸収剤4を得た。
鉄系酸素吸収剤4、粉状シリカ((株)龍森製、商品名CRYSTALITE VX-S2、平均粒径5μm、最大粒径20μm)及びポリプロピレン(三菱化学(株)、商品名FW3E、メルトフローレート7.0g/10min)をドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、脱酸素樹脂のペレットを得た。該脱酸素樹脂の組成は、鉄系酸素吸収剤50wt%、粉砕シリカ10wt%、ポリプロピレン40wt%であった。
【0029】
粉状シリカ((株)龍森製、CRYSTALITE VX-S2、平均粒径5μm、最大粒径20μm)、隠蔽剤として酸化チタン(堺化学工業(株)製、商品名SR-1、一次粒径0.25μm)及び、ポリプロピレン(三菱化学(株)製、商品名FW3E、メルトフローレート7.0g/10min)をドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、白色樹脂のペレットを得た。該白色樹脂の組成は、粉砕シリカ50wt%、酸化チタン10wt%、ポリプロピレン40wt%である。
【0030】
酸素透過性樹脂層としてポリプロピレン(FW3E)とエチレン−水添ブタジエン共重合体(ジェイ・エス・アール(株)製、DYNARON 6200P)の重量比1:1混合物、隠蔽層として前記白色樹脂、脱酸素層として前記脱酸素樹脂及び緩衝層としてポリプロピレン(三菱化学(株)製、FW3E)の計4層を、Tダイ幅500mmの共押出機によりこの順に配列されるように積層した。
この積層体を一軸延伸機にて6倍に延伸し、この延伸した積層体の緩衝層ポリプロピレンにバリア層としてアルミ箔をウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製A−515、硬化剤A−50との重量比10:1混合物)を用いてドライラミネートにより接着し、脱酸素多層フィルム14を得た。得られた脱酸素多層フィルム14の構成は、酸素透過性樹脂層20μm/隠蔽層40μm/脱酸素層50μm/緩衝層10μm/バリア層20μmであった。
【0031】
ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレンからなるカップに炊飯米を充填し、得られた脱酸素多層フィルム14をトップシールフィルムとしてヒートシールし、包装容器を作成した。
25℃で保存し、脱酸素時間を求めたところ、脱酸素時間は20時間であった。2週間保存後も包装容器の形状変化はなく、炊飯米の風味及び色調は良好に保存されていた。
【0032】
以上の結果からわかるように、本発明の酸素吸収性樹脂組成物及び酸素吸収性多層体は、保存安定性に優れたものであり、かつ食品等の品質を良好に保持する容器に利用することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の酸素吸収性多層体は、長期保存した場合でも良好に品質を保持し且つ水素発生を抑制し、安定した保存性を有することができる。
特に、本発明の酸素吸収性多層体からなる容器を使用して食品等を保存する場合において、樹脂に配合した鉄系酸素吸収剤から水素が発生することを防ぎ、容器や袋の形状又は外観が損なわれることを防ぎ、また、内容物に異臭を与えない。

Claims (4)

  1. 内側表面から順に、酸素透過性熱可塑性樹脂からなるシーラント層、硫黄含有量が600ppm以上1500ppm以下である鉄系酸素吸収剤及び熱可塑性樹脂からなる酸素吸収樹脂層、ガスバリア性材料からなるガスバリア層が積層された酸素吸収性多層体であって、前記鉄系酸素吸収剤が硫酸バリウムを添加して所定の硫黄含有量とするものである酸素吸収性多層体
  2. ガスバリア層が金属箔からなることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性多層体。
  3. 酸素吸収樹脂層が延伸により多孔化された層であることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性多層体。
  4. 前記硫黄含有量が700ppm以上1200ppm以下である請求項1記載の酸素吸収性多層体。
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