JP2000037820A - 脱酸素性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
脱酸素性フィルム及びその製造方法Info
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Abstract
物性に優れた脱酸素性多層体、その製造方法及びそれよ
りなる収納物品の長期保存を可能とする包装容器を提供
する。 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム(A)と、脱酸素剤(C-
2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹脂フィ
ルム(B)との間に、脱酸素剤(C-1)を挟み込み、次いでフ
ィルム(A)とフィルム(B)を接合してなる脱酸素性樹脂フ
ィルム。 【効果】本発明の脱酸素性フィルムは、脱酸素剤含有量
が高いので、優れた酸素吸収速度及び酸素吸収容量を有
する適当な厚みの包装材料となる。本発明の脱酸素性フ
ィルムを用いて、適当な厚みの脱酸素性多層体及びこれ
からなる包装容器を工業的に製造することができる。
Description
の製造方法及びそれよりなる包装容器に関する。詳しく
は、脱酸素剤(C-1)を熱可塑性樹脂フィルム(A)と脱酸素
剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹
脂フィルム(B)に挟み込んでなるものであり、層間に散
布された脱酸素剤(C-1)分布が密になることで優れた酸
素吸収速度を発揮でき、さらに脱酸素剤(C-2)を含有す
る酸素吸収性樹脂層が積層されることで、多層体単位面
積当たりの脱酸素剤含有量を多く、高い酸素吸収容量を
有する脱酸素性多層体、その製造方法及びそれよりなる
包装容器に関する。
可塑性樹脂に脱酸素剤組成物を配合した酸素吸収性樹脂
組成物からなる酸素吸収性樹脂層を配した多層材料で容
器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に容
器自体に脱酸素機能を付与した包装容器の開発が行われ
ている。脱酸素機能を備えた多層体は、通常、脱酸素剤
組成物を配合した酸素吸収性樹脂層を中間層とし、外面
側にガスバリア性を有する外層と、内面側に酸素透過性
の内層とを備えた脱酸素性多層体で構成され、袋、蓋等
の容器用フィルムとして、又は、カップ、トレイ、ボト
ル等の容器に成形加工の容易な多層シートとして開発さ
れている。
2−72851号公報、特開平4−90848号公報の
ように鉄系脱酸素剤組成物を樹脂中に分散させた脱酸素
性多層体及び酸素吸収フィルムが知られている。また、
特開平8−72941号公報には脱酸素性多層体の脱酸
素性能の向上を図る技術が提案されている。さらに、脱
酸素剤配合樹脂層とガスバリア層の間にポリオレフィン
層を介在させる構成の脱酸素性多層体及び多層フィルム
として、特開平8−132573号公報、特開平9−4
0024号公報がある。
層する工程としては、一般に鉄系主剤とこれを活性化さ
せる助剤からなる脱酸素剤組成物がポリオレフィン等の
熱可塑性樹脂に練り混まれたコンパウンドを予め製作
し、これを押し出し機等で再溶融して、各種ラミネー
ト、共押し出し等の積層方法により積層する方法が公知
である。
れよりなる包装容器の酸素吸収性能は、脱酸素性多層体
における単位面積当たりでの酸素を吸収する速度、いわ
ゆる酸素吸収速度と、脱酸素性多層体における単位面積
当たりでの吸収可能な酸素の量、いわゆる酸素吸収容量
により評価される。酸素吸収速度は主に酸素吸収性樹脂
層中の脱酸素剤含有量及び容器表面から酸素吸収性樹脂
層中の脱酸素剤迄の酸素移動速度に依存し、酸素吸収容
量は主に脱酸素性多層体中の脱酸素剤含有量に依存す
る。
及び酸素吸収容量の大きな脱酸素性多層体を得るために
は、予め脱酸素剤含有量の高いコンパウンドを作製、こ
れを使用して脱酸素剤含有量の高い酸素吸収性樹脂層を
積層する必要がある。しかしながら、コンパウンド中の
脱酸素剤含有量が高くなると、コンパウンドの流動性が
大きく低下するため、コンパウンド自体を作製すること
や、Tダイを備えた押し出し機からコンパウンドを押し
出して均一な厚みのフィルムを形成することは困難にな
るので、コンパウンド中に多量の脱酸素剤を添加するに
は限界がある。
量を抑えても酸素吸収性樹脂層の膜厚を厚く設定するこ
とで、酸素吸収容量の改善は可能ではあるが、単に酸素
吸収性樹脂層の膜厚を厚くするだけでは酸素吸収速度の
向上は十分でなく、実質的な酸素吸収性能の向上を果た
すのは困難である。また、酸素吸収性樹脂層の膜厚が厚
い脱酸素性多層体は、多層体の総厚みが必要以上に厚く
なって包装材料としての物性に問題が生じたり、熱成
形、製袋等の二次加工性が悪化したり、さらに原料コス
トが高くなる欠点があった。
すなわち酸素吸収速度及び酸素吸収容量の大きな脱酸素
性多層体及びそれよりなる包装容器を得ることである。
本発明のもう一つの解決課題は、従来製造が困難であっ
た、脱酸素剤を多量に含有する脱酸素性フィルム及びそ
の製造方法を提供することである。
来技術の問題点に鑑み、脱酸素性多層体中に多量の脱酸
素剤を添加し、優れた酸素吸収性能を発揮する脱酸素性
多層体、その製造方法に関して鋭意研究を重ねた結果、
脱酸素剤を、熱可塑性樹脂フィルム(A)と脱酸素剤を熱
可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹脂フィルム
(B)との間に挟み込んで接合することにより、酸素吸収
性樹脂層の膜厚を必要以上に厚くしなくても脱酸素性多
層体中に多量の脱酸素剤を含有させることができること
を見い出し、本発明に至った。
塑性樹脂フィルム(A)と脱酸素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中
に分散してなる酸素吸収性樹脂フィルム(B)の間に挟み
込んでなる脱酸素性多層体に関する。また本発明は、挟
み込まれた脱酸素剤(C-1)が、熱可塑性樹脂フィルム(A)
と酸素吸収性樹脂フィルム(B)のいずれか一方又は両方
のフィルム表面に埋め込まれていることを特徴とする脱
酸素性フィルムに関する。また本発明は、脱酸素剤(C)
の平均粒径が1〜100μmの鉄粉を主剤とする脱酸素
剤組成物であることを特徴上記脱酸素性多層体に関す
る。また本発明は、挟み込まれた脱酸素剤(C-1)の重量
が、多層体1m2当たり10〜100gであることを特
徴とする上記脱酸素性多層体に関する。また本発明は、
酸素吸収性樹脂フィルム(B)中の脱酸素剤(C-2)含有量が
10〜60重量%であることを特徴とする上記脱酸素性
多層体に関する。また本発明は、上記脱酸素性多層体に
少なくともガスバリア層が積層されてなる脱酸素性多層
体に関する。また本発明は、熱可塑性樹脂フィルム(A)
表面に脱酸素剤(C-1)を均一に散布し、該散布面に酸素
吸収性樹脂フィルム(B)を熱圧着することを特徴とする
脱酸素性多層体の製造方法に関する。また本発明は、包
装容器の少なくとも一部に上記の脱酸素性多層体を使用
してなる包装容器に関する。
(C)、すなわち(C-1)及び(C-2)としては、酸素吸収反応
を生起することができるものであれば制限することなく
使用できる。熱可塑性樹脂フィルム(A)と酸素吸収性樹
脂フィルム(B)の間に挟み込む脱酸素剤(C-1)と、熱可塑
性樹脂中に分散させる脱酸素剤(C-2)とは、同種であっ
ても異なっていても良い。脱酸素剤(C-1)及び(C-2)とし
て、好ましくは、被酸化性の主剤と助剤の組み合わせか
らなる脱酸素剤組成物が用いられる。主剤には、金属
粉、亜硫酸塩、亜二チオン酸塩、アスコルビン酸又はそ
の塩、アスコルビン酸エステル等が使用されるが、中で
も金属粉が好ましく、鉄粉が特に好ましく用いられる。
また、助剤には、主剤の酸素吸収反応を促進する化学物
質が用いられる。
こしうるものであれば純度等に特に制限することなく使
用でき、例えば、表面の一部が既に酸化していても良
く、他の金属を含有するものであっても良い。また、鉄
粉は粒状のものが好ましく、例えば、還元鉄粉、噴霧鉄
粉、電解鉄粉等の鉄粉、鋳鉄、鋼材等の各種鉄の粉砕物
や研削品等が用いられる。鉄粉は、酸素吸収性樹脂フィ
ルム(B)の膜厚を薄くして強度を得るために細かい方が
良く、平均粒径1〜200μmが好ましく、1〜100
μmが特に好ましい。
助剤にはハロゲン化金属が使用される。ハロゲン化金属
は主剤の酸素吸収反応に触媒的に作用するものである。
ハロゲン化金属としては、例えば、アルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物が用いら
れ、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、又はバリウムの塩化物、ヨウ化物が好まし
く用いられる。ハロゲン化金属の配合量は、鉄粉100
重量部当たり好ましくは0.1〜20重量部、より好ま
しくは0.1〜5重量部である。
素剤の助剤として使用する場合、予め混合して添加する
ことが好ましい。例えば、ボールミル、スピードミル等
を用いてハロゲン化金属と鉄粉を混合する方法、鉄粉表
面の凹凸部にハロゲン化金属を埋め込む方法、バインダ
ーを用いてハロゲン化金属を鉄粉表面に付着させる方
法、ハロゲン化金属水溶液と鉄粉を混合した後乾燥して
鉄粉表面にハロゲン化金属を付着させる方法等をとるこ
とができる。これにより、鉄粉に付着して容易に分離し
ないようにできる。好ましい脱酸素剤組成物は、鉄粉と
ハロゲン化金属を含む鉄粉系組成物であり、特に好まし
くは、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金
属被覆鉄粉組成物である。
必要に応じて、アルカリ土類金属酸化物、シラン系やチ
タネート系の分散剤、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カ
ルシウム等の充填剤、活性炭、ゼオライト等の吸着剤を
添加することができる。
は、溶着性と酸素透過性に優れたポリオレフィン類が好
ましく用いられる。ポリオレフィン類としては、例え
ば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンに例示され
る各種ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−
エチレンランダム共重合体に例示される各種ポリプロピ
レン、メタロセンポリエチレンやメタロセンポリプロピ
レン等のメタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリメ
チルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−αオレフィン共重合体等、並びに、これらの混合物
が挙げられる。
ム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメ
タロセンポリエチレンが特に好ましい。また、この熱可
塑性樹脂には必要に応じて、エラストマー等の熱可塑性
樹脂、酸化防止剤、酸化チタンなどの顔料、シリカなど
の無機フィラー、カーボンブラックなどの着色剤、活性
炭などの吸着剤、充填剤等を添加しても良い。特に、酸
化チタンなどの無機物を添加すると、熱可塑性樹脂フィ
ルム(A)をそのまま包装容器の隔離層とした際に、脱酸
素剤(C)が隠蔽され、外観上、隔離層の表面に露出する
ことがないので、好ましい。
〜200μmの範囲であることが好ましく、30〜15
0μmの範囲であればより好ましい。10μmより薄い
と、加工性に問題が生じたり、脱酸素剤(C-1)が表面に
露出する可能性がある。また、200μmより厚いとコ
スト的に問題がある。
(B)は、脱酸素剤(C-2)と熱可塑性樹脂を溶融混練して予
め作製したコンパウンドから形成される。脱酸素剤(C-
2)としては、前述の脱酸素剤(C)を使用することができ
る。熱可塑性樹脂には、溶着性と酸素透過性に優れたポ
リオレフィン類が好ましく用いられる。ポリオレフィン
類としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエ
チレンに例示される各種ポリエチレン、ポリプロピレン
ホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体
及びプロピレン−エチレンランダム共重合体に例示され
る各種ポリプロピレン、メタロセンポリエチレンやメタ
ロセンポリプロピレン等のメタロセン触媒によるポリオ
レフィン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等、並び
に、これらの混合物が挙げられる。この中では、プロピ
レン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレ
ンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン又はメタロセンポリエチレンが特に好ま
しい。
て、エラストマー等の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、酸化
チタンなどの顔料、シリカなどの無機フィラー、カーボ
ンブラックなどの着色剤、活性炭などの吸着剤、充填剤
等を添加しても良い。酸素吸収性樹脂フィルム(B)に使
用する熱可塑性樹脂としては前述の熱可塑性樹脂フィル
ム(A)と同種のポリオレフィン類を使用することが、両
フィルムを溶着した場合の強度が高くなるので、好まし
い。酸素吸収性樹脂フィルム(B)を形成するコンパウン
ドは、従来公知の方法、例えば、押し出し機による溶融
混練後、ストランドダイから押し出し、冷却工程を経て
ペレット化する等の方法を用いて作製することができ
る。
(B)中の脱酸素剤組成物の含有量は、好ましくは10〜
60重量%であり、より好ましくは20〜60重量%で
ある。これより低いと、本発明が目的とする大きな酸素
吸収容量が得られない場合がある。また、これより高い
と酸素吸収性樹脂フィルム(B)の製膜性が悪化し、製造
工程上問題となる。
0〜250μmの範囲にすることが好ましく、20〜2
00μmの範囲にすることがより好ましい。10μmよ
り薄いと加工性に問題が生じる場合が多く、また250
μmより厚いと、脱酸素性多層体の総厚みが大きくなっ
て容器への加工性が低下したり、コストが大きくなる。
は、必要に応じて、酸化チタンやカーボンブラックなど
の着色剤、アルカリ土類金属酸化物、シラン系やチタネ
ート系の分散剤、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カルシ
ウム等の充填剤、酸化防止剤、活性炭、ゼオライト等の
吸着剤を添加することができる。
と、脱酸素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸
素吸収性樹脂フィルム(B)との間に、脱酸素剤(C-1)を挟
み込み、フィルム(A)とフィルム(B)を接合することによ
り、脱酸素性フィルムを製造する。脱酸素剤(C-1)とし
ては、前述の脱酸素剤(C)を使用することができる。
の方法で可能である。たとえば、フィルム(A)又はフィ
ルム(B)の表面に接着剤を塗布又はコーティングし、脱
酸素剤組成物を均一に散布し、次いでフィルム(B)又は
フィルム(A)を接着する。また、フィルム(A)又はフィル
ム(B)の表面に脱酸素剤組成物を均一に散布し、次いで
接着剤を塗布又はコーティングした、フィルム(B)又は
フィルム(A)を接着してもよい。
ので好ましい。即ち、熱可塑性樹脂フィルム(A)表面に
脱酸素剤(C-1)を均一に散布し、該散布面に、脱酸素剤
(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹脂
フィルム(B)を熱圧着することにより、工業的的に製造
できる。また、脱酸素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散
してなる酸素吸収性樹脂フィルム(B)表面に脱酸素剤(C-
1)を均一に散布し、該散布面に、熱可塑性樹脂フィルム
(A)を熱圧着することもまた、好ましい。熱圧着するに
は、押出し積層法が好ましい。
脱酸素剤(C-1)を挟み混んだ部分においては空隙無く熱
可塑性樹脂フィルム(A)と酸素吸収性樹脂フィルム(B)が
接着されなければならない。空隙が生じ、脱酸素剤(C-
1)が固定されない状態となった場合、脱酸素剤(C-1)が
脱落して周囲を汚染する可能性がある。そのためには、
脱酸素剤(C-1)が両方のフィルム、又は何れか一方のフ
ィルム表面に埋め込まれた状態が好ましい。
酸素吸収性樹脂フィルム(B)側に埋め込まれる割合が高
くなるようにする。即ち、熱可塑性樹脂フィルム(A)表
面に脱酸素剤(C-1)を均一に散布し、該散布面に、脱酸
素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性
樹脂フィルム(B)を圧着することが好ましい。圧着方法
は押出し積層が好ましい。このようにして得た脱酸素性
フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(A)を隔離層とする
ことで、隔離層を透過してきた酸素は脱酸素剤密度が高
くなっているフィルム(B)表面において効率良く脱酸素
剤と反応し、結果として高い酸素吸収速度が得られる。
脂フィルム(B)に挟み込まれる脱酸素剤(C-1)の重量は、
脱酸素性フィルム1m2当たり150g以下、好ましく
は10〜100gであり、より好ましくは20〜100
gである。脱酸素剤(C-1)の重量が、この範囲より低い
と本発明が目的とする優れた酸素吸収性能が得られず、
またこの範囲より高いと熱可塑性樹脂フィルム(A)と酸
素吸収性樹脂フィルム(B)の接着強度が不十分になり多
層体の機械的強度や、成形性、また包装容器としたとき
の性能に悪影響を及ぼす場合がある。
脂フィルム(A)、脱酸素剤(C-2)が分散した熱可塑性樹脂
からなる酸素吸収性樹脂フィルム(B)及び脱酸素剤(C-1)
からなり、フィルム(A)とフィルム(B)が脱酸素剤(C-1)
を挟み込み、接合されてなる。より詳しくは、本発明の
脱酸素性フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(A)、脱酸
素剤(C-2)が分散した熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性
樹脂フィルム(B)及び脱酸素剤(C-1)からなり、脱酸素剤
(C-1)が、接合された熱可塑性樹脂フィルム(A)及び酸素
吸収性樹脂フィルム(B)の少なくとも一方のフィルムの
接合面に埋め込まれてなる。
剤含有量すなわち脱酸素剤(C-1)と脱酸素剤(C-2)の量比
及び合計含有量は、使用用途及び目的に応じて任意に決
めることができるが、通常10〜450g/m2、好ま
しくは、50〜450g/m2である。特に、脱酸素剤
含有量が高い脱酸素性フィルムを製造することは、脱酸
素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性
樹脂フィルム(B)のみでは、脱酸素性フィルムを厚くし
ない限り工業的な実施が困難であるが、本発明では、酸
素吸収性樹脂フィルム(B)に分散される脱酸素剤(C-2)含
有量を酸素吸収性樹脂の成形加工性の良い範囲に抑える
ことができるので、工業的な実施が容易である。
ムにむら無く散布される方法であれば、粉体を散布する
ための公知の装置が利用できる。脱酸素剤の添加の制御
は、散布量の制御により容易かつ安定的に行なうことが
できる。また熱圧着については、押出し積層などの樹脂
フィルム積層用の公知の装置が利用できる。押出し積層
方法によれば、シンプルな装置で大量製造ができるた
め、優位な製造コストの達成が可能である。
体例を図1に示して説明する。熱可塑性樹脂フィルム
(A)面上に粒状の脱酸素剤組成物を散布し、これにTダ
イから溶融状態で供給される酸素吸収性樹脂層を積層
し、ロールで熱圧着後冷却して、脱酸素剤組成物が挟み
込まれた状態で脱酸素性多層体が形成される。また、脱
酸素剤(C)を散布した後にフィルム表面から脱落しない
よう、表面に接着剤をコーティングした熱可塑性樹脂フ
ィルム(A)の接着剤面上に脱酸素剤組成物を散布し、こ
れにTダイから溶融状態で供給される酸素吸収性樹脂層
を積層し、ロールで熱圧着後冷却して一体化しても良
い。
成物が挟み込まれた熱可塑性樹脂層と酸素吸収性樹脂層
との密着性が高まり、両層間及び粒状の脱酸素剤組成物
周辺の空隙を無くすことができる。また、熱圧着するこ
とにより、脱酸素剤組成物がフィルム表面に埋め込まれ
るため、脱酸素剤組成物の脱落が防止され、更には両層
の層間剥離を防止する強固な積層が可能になり、両フィ
ルムが一体化した脱酸素性多層体が得られる。
て、そのまま又は通気性を有する包材で包装して食品等
の保存用途に使用される。しかし、脱酸素機能を有する
包装容器の部材として用いる際には、片面にガスバリア
層を積層した脱酸素性多層体が使い易い。即ち、本発明
は、脱酸素性フィルムの片側表面、好ましくは、酸素吸
収性樹脂フィルム(B)表面にガスバリア層が積層されて
なる脱酸素性多層体である。
器外部から侵入する酸素を遮断する層であり、例えば、
アルミ箔等の金属箔、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロン6、ナイロン6
6、MXナイロン、非晶性ナイロン、ポリエチレンテレ
フタレート等のガスバリア性樹脂、アルミ蒸着フィルム
やシリカ蒸着フィルム等の蒸着フィルム等を単独又は組
み合わせて用いることができる。その酸素透過度は、加
工性及びコストが許す限りできるだけ小さくすることが
望ましく、その膜厚に関係なく100cc/m2・at
m・day(23℃、100%RH)以下であることが
必要であり、より好ましくは50cc/m2・atm・
day(23℃、100%RH)以下である。このよう
にすることで、本発明にかかる脱酸素性多層体を用いて
包装容器を製造した際に、包装容器の外部から侵入する
酸素量を少なくすることができ、収納物品の保存性をよ
り優れたものにすることができる。
ルム(A)と酸素吸収性樹脂フィルム(B)の接合前に、予め
フィルム(A)又はフィルム(B)の接合面の反対側に積層し
ておいても良い。また、脱酸素剤(C-1)を挟み込む工程
において、同時に熱可塑性樹脂フィルム(A)又は酸素吸
収性樹脂フィルム(B)の接合面の反対側に同時に積層し
ても良い。あるいは、接合された脱酸素性フィルムの熱
可塑性樹脂フィルム(A)側又は酸素吸収性樹脂フィルム
(B)側に積層しても良い。ガスバリア層の積層方法は共
押し出し、押し出しラミネート法、ドライラミネート
法、ホットメルトラミネート法等の公知の積層方法を用
いることができる。
バリア材料を積層する面に、予め熱可塑性樹脂層を設け
た後、ガスバリア材料を積層することもできる。特に、
ガスバリア層を本発明の脱酸素性多層体における熱可塑
性樹脂フィルム(B)側に積層した場合、この熱可塑性樹
脂層を積層することにより、脱酸素性多層フィルムとガ
スバリア材料ガスバリア層とを積層した場合の両層の接
着力が強化されるので、好ましい。熱可塑性樹脂層とし
ては前述の熱可塑性樹脂フィルム(A)と同種のものを使
用することができるが、特に、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
防ぐために、ガスバリア層の外側に熱可塑性樹脂からな
る保護層を積層することができる。保護層に用いる熱可
塑性樹脂としては、例えば、各種ポリエチレン、各種ポ
リプロピレン等の各種ポリオレフィン、ナイロン6、ナ
イロン66等の各種ポリアミド、ポリエチレンテレフタ
レート等の各種ポリエステルが挙げられ、これらを単独
で、又は組み合わせて用いることができる。
面の反対側に強度向上などの目的で、さらに熱可塑性樹
脂層(A')を設けることができる。特に、ガスバリア層を
本発明の脱酸素性多層体における熱可塑性樹脂フィルム
(A)側に積層した場合、酸素吸収性樹脂フィルム(B)表面
上、又は、脱酸素性多層体容器内側表面上に、さらに熱
可塑性樹脂層(A')を積層することが好ましい。脱酸素性
フィルムの収納物側に位置する熱可塑性樹脂層(A')によ
り、酸素吸収性樹脂フィルム(B)から脱酸素剤(C-2)が脱
落して収納物が汚染されることが防止される。熱可塑性
樹脂層(A')の積層方法は、従来公知の積層方法を利用す
ることができる。
性樹脂フィルム(A)と同種のものを使用することができ
るが、特に、ヒートシール性を有するポリエチレン、ポ
リプロピレンが好ましい。また、この熱可塑性樹脂には
必要に応じて、エラストマー等の熱可塑性樹脂、酸化防
止剤、酸化チタンなどの顔料、シリカなどの無機フィラ
ー、カーボンブラックなどの着色剤、活性炭などの吸着
剤、充填剤等を添加しても良い。
はシート状の包装材料として各種の用途に用いられる。
これを袋やトレイ等の包装容器に加工することによっ
て、外観や香味保持性等の物性に優れ、かつ包装加工性
に優れた脱酸素性包装容器が得られる。本発明の脱酸素
性多層体を容器の少なくとも一部に使用してなる包装容
器は、容器外から僅かに侵入する酸素の他、容器内の酸
素を吸収して、容器内保存物の酸素による変質を防止し
て長期の保存を可能にする。即ち、脱酸素性多層体を、
袋、トレイ、チューブ等の包装容器に加工して使用する
ことにより、また容器の蓋材、トップシールフィルムな
どの部材として使用することにより、包装容器に脱酸素
機能が付与される。例えば、フィルム状の脱酸素性多層
体を側面用フィルム2枚と底面用フィルム1枚よりなる
自立性を有する袋(スタンディングパウチ)の部材とし
て使用することにより、機能的な包装袋とすることがで
きる。
酸素による品質劣化の防止に優れた効果を発揮するた
め、各種物品の保存用途に用いられる。また、小袋入り
脱酸素剤(C)等の従来の脱酸素剤(C)では適用が困難な、
液状の食品や医薬品、高水分の食品や医薬品等の水分を
多量に含んだ物品の保存用途にも使用することができ
る。例えば、液体系食品としては、ジュース、酒、コー
ヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味
液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネー
ズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、クリーム、チ
ョコレートペースト等のペースト状菓子、液体スープ、
煮物、漬け物、シチュー等の液状加工食品、高水分食品
としては、そば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで
麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理され
た炊飯米、五目飯等の加工米製品類、粉末スープ、だし
の素等の粉末調味料、その他高水分及び液体系物品とし
ては、工業材料、農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化
学薬品並びに乳液、液体及びペースト状の医薬品、化粧
水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャン
プー等が挙げられる。
る。なお本発明は実施例に必ずしも限定されない。
じ)を加熱ジャケット付き真空混合乾燥機中に投入し、
10mmHgの減圧下140℃で加熱しつつ、塩化カル
シウム50重量%水溶液5部を噴霧し、乾燥した後、篩
い分けして粗粒を除き、粒状の脱酸素剤組成物(真比重
8g/cm3)を得た。
密度ポリエチレン(三井化学(株)製、商品名:ウルトゼ
ックス15100C、真比重0.92g/cm3、以下LLD
PEと略す)40部をドライブレンドし、二軸押し出し
機を用いて樹脂温度230℃にて押し出しを行い、ブロ
ワ付きネットベルトで冷却後ペレタイザーを経て、脱酸
素剤組成物配合コンパウンド1を得た(真比重1.96
g/cm3)。
ール、引き取り機からなる押出ラミネーターを用い、繰
り出されるLLDPE(東京セロファン紙(株)製、商品
名:TUX−TC#50)からなる厚さ50μmのフィル
ム表面に、製造例1で作製した脱酸素剤組成物を50g
/m2となるように散布し、その上に、脱酸素剤組成物
配合コンパウンド1からなる酸素吸収性樹脂を厚さ50
μmの層となるように押し出し、両フィルムが重なった
状態で冷却ロールに導入して押出ラミネートし、LLD
PEフィルムと酸素吸収性樹脂層とで脱酸素剤組成物が
挟み込まれた脱酸素性フィルムを得た。
積当たりの全脱酸素剤含有量は、109g/m2であ
る。脱酸素性フィルムの含有する全脱酸素剤を厚さ50
μmの酸素吸収性樹脂層に分散すると仮定した場合、脱
酸素剤組成物含有量は77重量%に相当する。この脱酸
素性フィルムの断面を顕微鏡にて観察したところ、熱可
塑性樹脂層と酸素吸収性樹脂層とは空隙無く接合され、
散布した脱酸素剤組成物の大部分は酸素吸収性樹脂層側
接合面に、一部熱可塑性樹脂層側接合面に埋め込まれて
おり、また熱可塑性樹脂層表面への脱酸素剤の露出はな
いことを確認した。
ガスバリア層として厚さ9μmのアルミ箔を、厚さ20
μmの低密度ポリエチレン(日本ユニカー(株)製、商品
名:NUC8003、以下LDPEと略す)を接着剤樹脂と
して介して押し出しラミネートし、さらにアルミ箔側に
保護層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(ユニチカ(株)製、商品名:エンブレットPT
J-12、以下PETと略す)をドライラミネートし、ガス
バリア層を有する5層からなる脱酸素性多層体1を得
た。
内側にしてヒートシールし、内寸20cm×10cmの
脱酸素性袋1を作製した。2つの脱酸素性袋1に水10
ccを含ませた綿と空気200cc又は300ccを充
填、ヒートシールにて密封した試験サンプルをそれぞれ
作製した。この試験サンプルを25℃で保存して袋内部
の酸素濃度経時変化を測定し、袋内酸素濃度が0.1%
に到達するまでの所要時間を脱酸素所用時間として求め
た。この結果を表1に示す。
こと以外は実施例1と同様にして、脱酸素性多層体4を
得た。脱酸素性多層体4の構成は、内面となる側から、
LLDPEフィルム;50μm/酸素吸収性樹脂層(脱
酸素剤含有量60重量%);50μm/LDPE;20
μm/アルミ箔;9μm/PET;12μmである。こ
の脱酸素性フィルムにおける単位面積当たりの全脱酸素
剤含有量は、59g/m2である。この脱酸素性多層体
2を用いて、実施例1と同様に脱酸素性袋4を作製し、
袋内部酸素濃度の経時変化測定を行った。結果を表1に
示す。
23部を用いて、脱酸素剤組成物配合コンパウンド3
を、実施例1と同様の方法にて得た(真比重2.89g
/cm3)。コンパウンド3は、厚さ50μmの層とし
た場合の単位面積当たりの全脱酸素剤含有量が109g
/m2に相当する量の脱酸素剤組成物を含有する。な
お、脱酸素剤組成物配合コンパウンド3は製造の際にス
トランド化することが困難で、安定した生産ができなか
った。続いて、脱酸素剤組成物をLLDPEフィルム表
面に散布しないこと以外は実施例1と同様にして脱酸素
性多層体を作製しようと試みたが、酸素吸収性樹脂層を
厚さ50μmに連続的に製膜することが不可能であり、
脱酸素性多層体を作製することができなかった。
合量をそれぞれ30部と70部に変えた他は実施例1と
同様にして、脱酸素剤組成物配合コンパウンド2を得た
(真比重1.25g/cm3)。続いて、繰り出される
LLDPEからなる厚さ50μmのフィルム表面に、製
造例1で作製した脱酸素剤組成物を80g/m2となる
ように散布し、その上に、脱酸素剤組成物配合コンパウ
ンド2からなる酸素吸収性樹脂を厚さ30μmの層とな
るように押し出し、両フィルムが重なった状態で冷却ロ
ールに導入して押出ラミネートし、LLDPEフィルム
と酸素吸収性樹脂層とで脱酸素剤組成物が挟み込まれた
脱酸素性フィルムを得た。この脱酸素性フィルムにおけ
る単位面積当たりの全脱酸素剤含有量は、91g/m2
である。この脱酸素性フィルムの断面を顕微鏡にて観察
したところ、熱可塑性樹脂層と酸素吸収性樹脂層とは空
隙無く接合され、散布した脱酸素剤組成物の大部分は酸
素吸収性樹脂層側接合面に、一部熱可塑性樹脂層側接合
面に埋め込まれており、また熱可塑性樹脂層表面への脱
酸素剤の露出はないことを確認した。
ィルムの酸素吸収性樹脂層側にアルミ箔及びPETを積
層し、脱酸素性多層体2を得た。さらに、この脱酸素性
多層体2を用いて、実施例1と同様に脱酸素性袋2を作
製し、袋内部酸素の脱酸素所要時間の測定を行った。結
果を表1に示す。
層側にLLDPEを厚さ50μmとなるように押し出し
ラミネートした後、脱酸素性フィルムのLLDPEフィ
ルムからなる熱可塑性樹脂層側にガスバリア層として厚
さ9μmのアルミ箔を、厚さ20μmの低密度ポリエチ
レンを接着剤樹脂として介して押し出しラミネートし、
さらにアルミ箔側に保護層として厚さ12μmのPET
をドライラミネートし、ガスバリア層を有する6層から
なる脱酸素性多層体3を得た。さらに、この脱酸素性多
層体3を用いて、実施例1と同様に脱酸素性袋3を作製
し、袋内部酸素の脱酸素所要時間の測定を行った。結果
を表1に示す。
組成物を散布して脱酸素性多層体中の脱酸素剤組成物含
有量を向上させた実施例1乃至実施例3では、脱酸素剤
組成物を散布しない従来例である比較例1と比較して、
袋内の酸素濃度を速やかに吸収し、特に袋内の空気量が
多い範囲にて脱酸素するまでの所要時間が大きく短縮さ
れることが確認された。脱酸素性フィルムの製造につい
ては、比較例2に示したように、脱酸素剤が高含有量に
添加されたコンパウンドを作製して、これを酸素吸収性
樹脂フィルム(層)を工業的に製造することはきわめて
困難である。これに対し、本発明では、脱酸素剤が高含
有量に添加された脱酸素性フィルムが、工業的に製造さ
れ、脱酸素剤の添加の制御も容易かつ安定的に行なうこ
とができる。
ィルム(KON;ダイセル化学(株)製、商品名:セネシ
KON#6000、15μm/ポリエチレン;60μm)か
ら脱酸素性袋5(内寸;縦18×横15cm)を作製し
た。この脱酸素性袋5にラーメン用の生麺100gを充
填、袋内部の空気量が約80ccとなるようにヒートシ
ールして密封した。続いてこの包装袋を25℃で保存し
て袋内部の酸素濃度経時変化を測定し、袋内酸素濃度が
0.1%になるまでの脱酸素所要時間を調査した。ま
た、生麺の保存を開始してから2ヶ月後に生麺の外観及
び香りを調査した。これらの結果を表2に示す。
素性多層体4を使用したこと以外は実施例4と同様にし
て、脱酸素性袋6を作製し、生麺を充填、密封し、25
℃で保存して袋内酸素濃度が0.1%になるまでの脱酸
素所要時間、並びに、2ヶ月後の生麺の外観及び香りの
調査を行った。これらの結果を表2に示す。
ET;12μm/アルミ箔;9μm/ポリエチレン;4
0μm)を使用したこと以外は実施例4と同様にして、
脱酸素性袋7を作製し、生麺を充填、密封し、25℃で
保存して袋内酸素濃度が0.1%になるまでの脱酸素所
要時間、及び2ヶ月後の生麺の外観、及び香りの調査を
行った。これらの結果を表2に示す。
組成物を散布し、脱酸素性多層体中の脱酸素剤添加量を
多くした実施例4では、速やかに袋内の酸素を吸収し、
内容物の保存性に優れていた。それに対して、脱酸素剤
組成物の添加量が約半分の比較例3では、酸素吸収機能
を持たない比較例4と比べて内容物保存性に優れるもの
の、実施例4と比べて酸素吸収速度がやや遅く、生麺に
若干の黄変が見られ、内容物保存性に問題があることが
確認された。
レン−エチレンランダム共重合体(日本ポリケム(株)
製、商品名:ノバテックPPFL25R、真比重0.9g/
cm3、以下ランダムPPと略す)60部をドライブレ
ンドし、二軸押し出し機を用いて樹脂温度260℃にて
押し出しを行い、ブロワ付きネットベルトで冷却後ペレ
タイザーを経て、脱酸素剤組成物配合コンパウンド4
(真比重1.40g/cm3)を得た。
ール、引き取り機からなる押出ラミネーターを用い、繰
り出される厚さ50μmの白色CPPフィルム表面に、
製造例1にて作製した脱酸素剤組成物を80g/m2と
なるように散布し、一方押し出し機より脱酸素剤組成物
配合コンパウンド4を厚さ50μmとなるように押し出
し、両フィルムを重ねて冷却ロールに導入して押出ラミ
ネートし、白色CPPフィルムと脱酸素剤組成物配合コ
ンパウンド4から形成された酸素吸収樹脂層とで脱酸素
剤組成物が挟み込まれた脱酸素性フィルムを得た。
有量は、108g/m2である。脱酸素性フィルムの含
有する全脱酸素剤を厚さ50μmの酸素吸収性樹脂層に
分散すると仮定した場合、脱酸素剤組成物含有量は76
重量%に相当する。この脱酸素性多層体の一部をサンプ
リングして断面を顕微鏡にて観察したところ、白色CP
Pフィルムと酸素吸収性樹脂層は空隙無く接着され、粒
状の脱酸素剤(C)は酸素吸収性樹脂層側、或いは両方の
層に埋め込まれていることを確認した。
−エチレンブロック共重合体(日本ポリケム(株)製、商
品名:ノバテックPPEC9、以下ブロックPPと略
す);100μm/無水マレイン酸変成ポリプロピレン
(三井化学(株)製、商品名:アドマーQF305);20μ
m/ポリアミド(三菱瓦斯化学(株)製、商品名:MXナ
イロン6007);40μm/無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン;20μm/白色ブロックPP;200μmから
なるガスバリア性多層シートを作製した。次いで、無水
マレイン酸変性ポリプロピレンを介して、ガスバリア性
多層シートのブロックPP;100μm側と、脱酸素性
多層体の酸素吸収性樹脂層側を接着し、脱酸素性多層体
5を得た。
180℃にてプラグアシスト成形し、角形のトレイ状脱
酸素性容器(容量300cc、内寸;縦15cm×横1
0cm×高さ2cm)を得た。この脱酸素性容器にお粥
200gを充填し、CPP;50μm/アルミ箔;9μ
m/PET;12μmの構成を有するフィルムをトップ
フィルムとして、ヒートシールにより容器を密封した。
その際の袋内部の空気量は約100ccであった。続い
てこの包装容器を25℃で保存して容器内部の酸素濃度
経時変化を測定し、容器内酸素濃度が0.1%に到達す
るまでの脱酸素所要時間を測定した。さらにこの包装容
器を25℃で3ヶ月間保存した後、容器を開封し、お粥
の外観及び香りを調査した。これらの結果を表3に示
す。
外は実施例4と同様にして、脱酸素性多層体6を得た。
脱酸素性多層体の構成は、内面となる側から、白色CP
Pフィルム;50μm/酸素吸収性樹脂層(脱酸素剤含
有量40重量%、単位面積当たり脱酸素剤含有量28g
/m2);50μm/無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ン;30μm/ブロックPP;100μm/無水マレイ
ン酸変成ポリプロピレン;30μm/MXナイロン;5
0μm/無水マレイン酸変性ポリプロピレン;30μm
/ブロックPP;200μmである。次いで、実施例5
と同様に脱酸素性多層体6からなる脱酸素性容器を作製
し、お粥を充填、容器内酸素濃度が0.1%に到達する
までの脱酸素所要時間、3ヶ月間保存後のお粥の外観及
び香りの調査を行った。これらの結果を表3に示す。
層体中の脱酸素剤組成物添加量が多い実施例5では、速
やかに容器内部の酸素を吸収し、内容物の保存性に優れ
ていた。一方、脱酸素剤組成物添加量の少ない比較例5
では、酸素吸収速度が遅く、内容物の保存性が劣ってい
た。
添加された脱酸素性フィルムが、工業的に製造され、脱
酸素剤の添加の制御も容易かつ安定的に行なうことがで
きる。本発明の脱酸素性フィルムは、脱酸素剤含有量が
大きく、優れた酸素吸収速度及び酸素吸収容量を有す
る。
て得られる脱酸素性多層体は、それ自体の厚み及びこれ
を用いて得られる脱酸素性多層体の総厚みが必要以上に
厚くなることがないので、熱成形、製袋等の二次加工性
が良く、樹脂の使用量も増えないので、原料コストの点
でも優れた包装材料である。本発明の脱酸素性多層体及
びこれを用いて得られる包装容器は、酸素吸収性能が高
く、収納物品の長期保存を可能とする極めて有用な包装
材料及び容器である。
例を示す模式図
Claims (7)
- 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルム(A)、脱酸素剤(C-2)
が分散した熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂フィル
ム(B)及び脱酸素剤(C-1)からなり、フィルム(A)とフィ
ルム(B)が脱酸素剤(C-1)を挟み込んで接合されてなる脱
酸素性フィルム。 - 【請求項2】熱可塑性樹脂フィルム(A)、脱酸素剤(C-2)
が分散した熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂フィル
ム(B)及び脱酸素剤(C-1)からなり、脱酸素剤(C-1)が、
接合された熱可塑性樹脂フィルム(A)及び酸素吸収性樹
脂フィルム(B)の少なくとも一方のフィルムの接合面に
埋め込まれてなる脱酸素性フィルム。 - 【請求項3】請求項1又は2記載の脱酸素性フィルムの
外部表面にガスバリア層が積層されてなる脱酸素性多層
体。 - 【請求項4】包装容器の少なくとも一部に請求項3記載
の脱酸素性多層体を使用してなる包装容器。 - 【請求項5】熱可塑性樹脂フィルム(A)と、脱酸素剤(C-
2)を熱可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹脂フィ
ルム(B)との間に、脱酸素剤(C-1)を挟み込んで、フィル
ム(A)とフィルム(B)を接合することを特徴とする脱酸素
性フィルムの製造方法。 - 【請求項6】熱可塑性樹脂フィルム(A)表面に脱酸素剤
(C-1)を均一に散布し、該散布面に、脱酸素剤(C-2)を熱
可塑性樹脂中に分散してなる酸素吸収性樹脂フィルム
(B)を熱圧着することを特徴とする脱酸素性フィルムの
製造方法。 - 【請求項7】脱酸素剤(C-2)を熱可塑性樹脂中に分散し
てなる酸素吸収性樹脂フィルム(B)表面に脱酸素剤(C-1)
を均一に散布し、該散布面に、熱可塑性樹脂フィルム
(A)を熱圧着することを特徴とする脱酸素性フィルムの
製造方法。
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JP2007015709A (ja) * | 2005-07-06 | 2007-01-25 | Nihon Yamamura Glass Co Ltd | 酸素吸収性パウチ容器 |
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- 1998-07-27 JP JP21084898A patent/JP4139924B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP4652156B2 (ja) * | 2005-07-06 | 2011-03-16 | 日本山村硝子株式会社 | 酸素吸収性パウチ容器 |
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