JP4174633B2 - 酸素吸収性積層包装材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外側より外層を有することもでき、かつ酸素バリア層/ナイロン層/酸素吸収層/シーラント層で構成されていることを特徴とする酸素吸収性積層包装材料、および、このような包装材料を使用して作成されたことを特徴とする酸素吸収性包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
レトルト食品、例えば、粥類の製造方法の場合は、洗米して(脱水した)玄米(玄米粥の場合)や種々の程度の精米を水と共に耐熱性及び遮光性を有し、酸素透過性のない容器へ充填して密封してからレトルト処理を行っている。しかしながら、この製造方法では家庭で作る米飯類のような米独特の香り(炊飯臭)が弱く、ムレ臭様のレトルト臭があるため、良い評価を得ていなかった。そこで、本出願人は、手作り製品(粥など)と同様の食味を有するレトルト食品米飯類の製造方法に関して鋭意研究した結果、容器への充填密封時に容器内の酸素量を常温で生米100gあたり2〜10mgとなるようにヘッドスペース中の酸素量及び水中の酸素量を調整した後、レトルト処理を行う製造方法を確立し、既に特許出願した(特開平4−320657号公報)。
【0003】
レトルト食品は一般的に常温未開封で数か月以上のシェルフライフを有するように意図されているが、保存中にその食味は低下することはしられており、レトルト食品米飯類も同様である。このことは、前掲特開平4−320657号公報によるレトルト食品米飯類の製造方法で得られた製品の場合も同様で、この製品の常温(24℃)における保存中の経時的食味評価の結果、製造直後は手作り品と同様の食味を有していても経時的に手作り品とは異なる風味(異風味)の発現や炊飯臭が弱くなり、ムレ臭様のレトルト臭が強くなることが認められる。
【0004】
レトルト食品をはじめ加工食品の食味低下、即ち劣化の主原因は光、温度および酸素と言われている。レトルト食品においては多くのものが容器に遮光性を有しており、従来の、例えば、レトルト食品米飯類も容器には遮光性を有している。よって、光による経時的な食味低下は考えにくい。レトルト処理後の保管温度においては、低い方が食味低下を抑制できるが、レトルト食品米飯類のようなレトルト食品は常温流通が可能であるところにメリットがあり、そのような製品を冷蔵輸送や冷蔵保管するのは常温流通品としての利点を失うことになる。また、夏場や冬場の自然環境の温度を調整するのは不可能であり、常温流通品の温度依存による経時的な食味変化を抑制することは困難である。
【0005】
酸素による食味低下を抑制するためには、従来より容器の酸素透過を防いだり、容器内の不活性ガス置換などの方法が一般的である。前掲特開平4−320657号公報においては、レトルト食品米飯類は、容器内の酸素量を生米100gあたり2〜10mgとなるようにヘッドスペース中の酸素量と水中の酸素量を調整してレトルトによる加熱調理と殺菌を行うことで手作り製品(粥など)と同様の食味を有することが確認できた。これはレトルトによる加熱調理と殺菌過程で米粒中の含硫アミノ酸と酸素が反応し、米飯の香気主成分である硫化水素、アンモニア、カルボニル化合物などを生成して適当な割合で混在することで、手作り製品(粥など)と同様の食味を有すると考えられた。因みに、このレトルト食品米飯類の容器(レトルトパウチ)の材料は、本発明におけると異なり、酸素吸収剤層を有していない。
【0006】
先に言及したように、製造直後に手作り製品(粥など)と同様の食味を有し、更に数か月間常温保存しても食味低下の抑制された、手作り製品と同様の食味を有するレトルト食品米飯類を提供することは、前掲特開平4−320657号公報記載の方法、より詳しくは、そこに開示の実質的に酸素透過性のない容器(レトルトパウチ)を使用することによってはなお容易なことではない。
【0007】
因みに、特開平10−53281号公報は、「発明を解決しようとする課題」を、“従来、成形食品包装体において不可避と考えられていた食品の品質低下は、成形食品包装体の商品価値の向上や保存期間の延長を図る上で是非とも解決されるべき課題と捉え、本発明はこれを解決して、微量残存酸素による風味、色調等の品質低下がなく、しかも長期保存性に優れた成形食品包装体を提供するものである。”とし、そして、「課題を解決するための手段」として、“前記の解決課題に鑑み、従来の脱酸素剤が使用できない成形食品包装体に脱酸素剤配合の酸素吸収樹脂を適用し、包装体内の微量残存酸素を除去するべく種々検討した結果、成形食品を収納するガスバリア性包装容器の少なくとも一部を脱酸素剤配合の酸素吸収樹脂で構成し、食品を充填した容器内の酸素を吸収するようにすることにより、前記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。”とする。“すなわち、本発明は、課題解決のための手段として、容器の少なくとも一部が熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を配合した樹脂層を備えた脱酸素性多層材からなり容器内の酸素を吸収するようにしてなるガスバリア性包装容器に食品を液状または半液状の流動状態で充填し容器を密封した後食品が固化してなることを特徴とする成形食品包装体を提供する。上記成形食品包装体における成形食品は、容器への充填時に液状または半液状にあり充填後に容器の形状に即して固化した食品である。”という。以上、同公報段落4〜6参照。
【0008】
しかしながら、特開平10−53281号公報に記載の発明は、そこにいうところの食品包装体は成形食品包装体であって、成形を必要としないレトルト食品類とは全く異なる。加えて、この発明の容器は、その材質については、前記のように、容器の少なくとも一部が熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を配合した樹脂層を備えた脱酸素性多層材からなり容器内の酸素を吸収するようにしてなるガスバリア性包装容器とされているが、形状は成形食品包装体用であるので成型用の本体とこれに対する蓋(材)からなるのに対し、レトルト食品類の場合はレトルトパウチ(枕状パウチ、平パウチ、スタンディングパウチなど)である。
【0009】
さて、ここでレトルトパウチの現状を瞥見してみると、“れとるとぱうち[レトルトパウチ]Retortable pouch レトルトパウチは金属箔とプラスチックフィルムを接着剤により積層し、これを袋状に製袋した耐熱性のある容器である。柔軟であり、缶やびんのような剛性容器に対比してフレキシブル容器の代表例となっている。形状は枕状とこれを立体化したスタンディングパウチがある。内容食品の保存性能から大きく分けるとアルミ箔を含むものとアルミ箔を含まない透明なものがある。アルミ箔を含むレトルトパウチは3層構成のものと4層構成のものに分類される。3層構成のパウチは通常、最外層に2軸延伸ポリエステル(12μm)、中間層にアルミ箔(7〜9μm)、最内層にポリプロピレン(40〜70μm)が使用される。業務用の大型パウチの場合、3層構成のパウチでは落下衝撃強度が不足するため、4層構成のものが使用される。衝撃吸収層としてもう1層のフィルムをアルミ箔の内側または外側に設けるのが一般的で、ナイロンやポリエステルが使用される。(中略)スタンディングパウチのラミネート構成は2軸延伸ポリエステル/2軸延伸ナイロン/アルミ箔/未延伸ポリプロピレンの4層構成が代表的なものである。(後略)”と解説されている(日本食品工業学会編「新版食品工業総合事典」(平成5年(株)光琳発行)1350頁参照)。
【0010】
しかして、ここには、レトルトパウチの材料である積層構造に酸素吸収剤層を含むことについての、ましてや酸素吸収剤層を含む場合におけるナイロン層についての言及はもちろん、示唆さえも行われていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、製造直後に手作り製品(粥など)と同様の食味を有し、更に数か月間常温保存しても食味低下の抑制された、手作り製品と同様の食味を有するレトルト処理または非レトルト処理の袋体入り食品を与えることのできるレトルトパウチやその他の包装容器の材料として使用され得る優れた酸素吸収性積層材、延いてはこのような積層材を使用して作成したレトルトパウチやその他の用途に使用できる酸素吸収性包装容器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前々項記載の技術的背景下に、特に前掲特開平4−320657号公報に記載の技術の背景下に、なお前項記載の課題が認められたことは、レトルト処理後の保管温度以外にレトルトによる加熱調理と殺菌過程での反応で消費されず残存する酸素が原因と考えられた。そこで、本発明者らは前述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐熱性及び遮光性を有すると共に酸素透過性のない酸素吸収剤含有容器を使用することで、製造直後の手作り製品と同様の食味を有し、更に数か月間常温保存しても食味の低下が抑制され、手作り製品と同様の食味を有するレトルト調味用食品、レトルト食品米飯類などが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、外側より外層を有、かつ(1)アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜を含む層の酸素バリア層/(2)ナイロン層/(3)鉄粉を主成分とする酸素吸収剤を含有し、基材がポリオレフィンである酸素吸収層/(4)基材がポリオレフィンであるシーラント層で構成されていることを特徴とする酸素吸収性積層包装材料、および、特にこのような包装材料であって該ナイロン層と該酸素吸収層との間に材質がポリオレフィンである中間層を有することを特徴とする酸素吸収性積層包装材料、ならびに全面が酸素バリア層を含む多層材料であり、少なくともその一部の面がこれらの酸素吸収性積層包装材料よりなることを特徴とする酸素吸収性包装容器に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
先ず、本発明の酸素吸収性積層包装材料について説明する。
【0016】
本発明の酸素吸収性積層包装材料は、前記のように、外側より外層を有することもでき、かつ酸素バリア層/ナイロン層/酸素吸収層/シーラント層で構成されていることを特徴とする酸素吸収性積層包装材料である。
【0017】
このような積層包装材料において、外側に有することもできる外層には、特別の制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート[PET]などの材質を挙げることができる。
【0018】
ナイロン層の厚みは、後述のように、本発明の包装材料全体の厚みを200μm前後以下と考えると、3〜40μmとすることができる。
【0019】
酸素バリア層にも、特別の制限はないが、少なくともアルミニウムなどの金属箔または金属蒸着膜を含む層であることが好ましい。
【0020】
酸素吸収剤としては、従来知られているもの全てが使用可能であるが、特に鉄粉を主剤とし、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等のハロゲン化アルカリ金属又はハロゲン化アルカリ土類金属を酸化促進剤とするものが、衛生上及び酸素吸収能力の観点で好適である。酸素吸収層は、酸素吸収剤をポリオレフィンなどと混練して作成することができる。
【0021】
シーラント層(ヒートシール層)の材質もポリオレフィンとすることができ、そしてヒートシール層は白色に着色されていることが好ましい。
【0022】
そして、上記の各層において、ポリオレフィンが材質とされる場合、このようなポリオレフィンはポリプロピレンまたはプロピレン含量が70%以上のポリプロピレン共重合体であることが好ましい。
【0023】
従来、3層構成のパウチでは落下衝撃強度が不足する場合に4層構成のものが使用され、すなわち、衝撃吸収層としてもう1層のフィルムをアルミ箔の内側または外側に設けるのが一般的で、ナイロンやポリエステルが使用されているが(前掲「新版食品工業総合事典」)、ここにナイロンは酸素吸収剤層と併設されてはいないことに加えて、その作用効果も本発明におけるのとは異なる。
【0024】
詳述すると、ナイロンは通常アルミ箔等のバリア層の外側に貼ることが多く、内側に貼る構成は脱酸素包材関連では先行事例が見当たらない。(a)鉄系の脱酸素剤成分は、酸素吸収に伴い、錆の発生で粒径が大きくなる。すなわち、脱酸素剤層から鉄粉(錆)が突き出てくるが、ナイロンは適度な柔軟性(「腰がある」との表現が用いられる)があり、特に突き刺し強度に優れるので、錆の突き出しを防げる。また、(b)鉄系の脱酸素剤の酸化促進剤の塩分が加熱処理中や経時変化で次第に材料中を移行して金属箔を腐食するが、ナイロンは塩分の移行を防止する効果が大きく、延いては、腐食を防止する。このような理由により、ナイロンを内貼りすることによって、包材ラミネートの経時剥離を防止する効果が大きく、そして、この効果はレトルト包材で特に顕著であるが、通常の乾物系(調味料顆粒等)にも適用できる。酸素吸収性積層包装材料におけるナイロンのこのような作用効果を発現せしめることは、本発明の最大の特徴の一つである。
【0025】
本発明の積層包装材料の1つの例は、ナイロン層をガスバリアー層と酸素吸収層との間に設けた、層構成が、例えば、PET/AL(アルミニウム)箔/NY(ナイロン)/酸素吸収層/シーラント層である積層材料である。これにより、酸素吸収層中の添加物(塩化カルシウム、塩化ナトリウムなど)の移行によるアルミ箔(AL箔)の腐食を防止することができ(ナイロンの塩に対するバリアー性を利用)、また鉄粉が酸化して膨張した際にアルミ箔に接触してアルミ箔が腐食したり、アルミ箔を突き破ることを防止することができる(ナイロンの高突き刺し強度を利用)のである。
【0026】
このような積層材は、NY(ナイロン)層と酸素吸収層の間にポリオレフィンなどの中間層を配置することができる。この場合の層構造は、例えば、PET/AL箔/NY/中間層/酸素吸収層/シーラント層となる。中間層の材質がポリオレフィンである場合、このポリオレフィンも、ポリプロピレンまたはプロピレン含量が70%以上のポリプロピレン共重合体であることが好ましいことは、上に述べたところと同じである。
【0027】
このような積層材は、特にシーラント層の厚みとナイロン層と酸素吸収層の間に配置するポリオレフィン中間層の厚みの比を1:0.3〜1:2.5の間にしたものが好ましい。これにより、酸素吸収層は、酸化する際に内圧が高まり、内側または外側に圧逃げしようとするが、この場合、シーラント層が薄すぎると酸素吸収層の酸化反応によりシーラント層にピンホールが発生し、酸素吸収層の成分が内容物に移行してしまう。また、シーラント層が厚すぎると、シーラント層とは反対のナイロン層とポリオレフィン中間層の間でデラミが発生する、といった問題を効果的に解消することができる。
【0028】
本発明の酸素吸収性包装材料は、先に述べたように、優れた品質のレトルト食品類の作成に用いられるレトルトパウチの作成に使用されるばかりでなく、包装材料に同様の性能の要求される他の非レトルトパウチの用途に使用することももちろんできる。
【0029】
そこで、次に、上に説明した酸素吸収性積層包装材料よりなる包装容器について説明する。
【0030】
本発明の包装容器は、全面が酸素バリア層を含む多層材料であり、少なくともその一部が上に説明した酸素吸収性積層包装材料よりなることを特徴とする酸素吸収性包装容器であり、特にその形状が袋体のものである。この袋体は、レトルトパウチ(平パウチ、枕状パウチ、スタンディングパウチなど)として好ましいが、必ずしもレトルトパウチに限定されるわけではなく、高温、高圧のレトルト処理を経ない酸素や光により品質の劣化の生じる食品や食品以外のものの包装容器として使用することのできることはいうまでもない。本発明の包装容器に収容されるべき食品としては、半固形状のお粥、固形状の米飯、粉末状もしくは顆粒状の調味料等の食品を挙げることができる。
【0031】
本発明の酸素吸収性積層包装材料は、シートのような厚い包装材料に用いられることは少なく、レトルト食品用のレトルトパウチなどに有用であるので、その厚さは通常フィルムの厚さ、即ち、200μm前後以下とすることができる。
【0032】
本発明の酸素吸収性積層包装材料を使用してレトルトパウチなどの包装容器を作成する方法は、それ自体には特別の制限はなく、適宜従来の方法に準ずることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0034】
実施例1
平均粒径10μmの鉄粉に粒状無水塩化カルシウムを重量換算で20%添加し、内部を不活性ガスで置換した振動ミルを用いて無水塩化カルシウムの粉砕と鉄粉へのコーティングを行い、酸素吸収剤を得た。次に、得られた酸素吸収剤を、サイドフィード方式によりペント付き2軸の押出混練機を用いて鉄粉含有量が重量換算で20%になるように低密度ポリエチレンに混練し、次いで得られたストランドをペレタイザーでペレット化することにより、酸素吸収層形成用の樹脂組成物を得た。これを樹脂組成物Aと称する。
【0035】
酸化チタン含有白色低密度ポリエチレン[LDPEw](30μm)上に、押出機を用いて前記酸素吸収剤含有樹脂組成物AをTダイより押出し、酸素吸収層a(30μm)を形成して積層体を得た。この積層体の層構成は、次のようになる。
【0036】
すなわち、酸素吸収層a(30μm)/LDPEw(30μm)。
【0037】
得られた積層体の酸素吸収層表面をコロナ処理した後、通常のドライラミネート法によりウレタン系接着剤にてラミネートされたポリエチレンレフタレート[PET]/アルミ箔/延伸ナイロン(15μm)とウレタン系接着剤にてドライラミネートすることにより酸素吸収積層体を得た。この積層体の層構成は、次のようになる。
【0038】
すなわち、PET/アルミ箔/延伸ナイロン(15μm)/酸素吸収層a(30μm)/LDPEw(30μm)。
【0039】
このようにして得られた積層体を用いて作成した20cm×20cmの平パウチに、空気30mlと一緒に、飽和臭化ナトリウム水溶液及び臭化ナトリウム粉末を封入した通気性の高い不織布の小袋を調湿目的で封入し、24℃環境下にて内部湿度を58%RHに保った状態で1か月保存後のパウチ内の気体の酸素濃度を測定した。また、同条件にて6か月保存後のパウチについてアルミ箔の腐食を確認するため目視観察を行った。結果を下記第1表に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004174633
【0041】
上表に示す通り、酸素吸収能力が良好であると同時に、ナイロン層をガスバリアー層であるアルミ箔と酸素吸収層の間に配したことにより、アルミ箔の腐食が防止された。
【0042】
比較例1
実施例1で得られた2層積層体である酸素吸収層a(30μm)/LDPEw(30μm)の酸素吸収層表面をコロナ処理した後、通常のドライラミネート法によりウレタン系接着剤にてラミネートされたPET/アルミ箔とウレタン系接着剤にてドライラミネートすることにより酸素吸収積層体を得た。この積層体の層構成は、次のようになる。
【0043】
すなわち、PET/アルミ箔/酸素吸収層a(30μm)/LDPEw(30μm)。
【0044】
得られた積層体について、実施例1におけると同様な評価を実施した。この結果も第1表に示した。この表に示す通り、酸素吸収能力は良好であったが、ナイロン層をガスバリアー層であるアルミ箔と酸素吸収層の間に配さなかったため、酸素吸収層の影響によりアルミ箔の経時的な腐食が認められた。
【0045】
実施例2
実施例1に記載の酸素吸収層形成用の樹脂組成物Aの製法において、無水塩化カルシウムを塩化ナトリウムに、そして低密度ポリエチレンをポリプロピレンに変更した以外は全く同様な操作を行い、酸素吸収層形成用の樹脂組成物を得た。これを樹脂組成物Bと称する。
【0046】
通常のドライラミネート法によりウレタン系接着剤にてラミネートされたPET/アルミ箔/延伸ナイロン(15μm)/無延伸ポリプロピレン[CPP](Xμm)と酸化チタン含有白色無延伸ポリプロピレン[CPPw](Yμm)との間に、押出機を用いて前記酸素吸収剤含有樹脂組成物BをTダイより押出し、酸素吸収層b(30μm)を形成して本発明の酸素吸収積層体を得た。この積層体の層構成は、次のようになる。
【0047】
すなわち、PET/アルミ箔/延伸ナイロン(15μm)/CPP(Xμm)/酸素吸収層b(30μm)/CPPw(Yμm)。
【0048】
ここで、(X、Y)=(20、60)、(30、30)および(50、20)の3種類の組み合わせで3種類の積層体を作成した。
【0049】
このようにして得られた積層体を用いて作成した20cm×20cmの平パウチに脱気水200ml及び空気30mlを封入し、125℃、30分間のレトルト処理を行った後、パウチ内の気体の酸素濃度を測定した。また、レトルト処理したパウチを24℃環境下にて6か月保存後のパウチ内の気体の酸素濃度を測定すると同時に、アルミ箔の腐食及びデラミの有無を確認するためパウチ表面について、また、シーラントのピンホールを確認するため内面について目視観察を行った。結果を下記第2表に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004174633
【0051】
この結果より、ナイロン層をガスバリアー層と酸素吸収層の間に配したことにより、アルミ箔の腐食はなく内容物の酸素除去能力及び無酸素状態の維持のいずれもが良好であった。そして、XとYの比率が適切であるため酸素吸収層中に生じた内圧がバランス良く保持されるため、デラミおよびピンホールは、いずれも、確認されなかった。
【0052】
比較例2
実施例2におけるXおよびYの組み合わせを(X、Y)=(20、80)および(60、20)に変更した以外は実施例1におけると全く同様な評価を実施した。この結果も第2表に示す。
【0053】
ナイロン層をガスバリアー層と酸素吸収層の間に配したことにより、アルミ箔の腐食はなく内容物の酸素除去能力及び無酸素状態の維持はいずれも良好であったが、(X、Y)=(20、80)の場合は、Yに比べてXが小さ過ぎるため、酸素吸収層中に高まった圧力を保持するバランスがくずれ、Xに示す層側が圧力に負けてしまったため、デラミが発生した。また、(X、Y)=(60、20)の場合は、反対にXに比べてYが小さすぎるため、Yに示す層側が圧力に負けてしまったため、ピンホールの発生が認められた。
【0054】
比較例3
CPPw(30μm)上に、押出機を用いて実施例3記載の酸素吸収剤含有樹脂組成物BをTダイより押出し、酸素吸収層b(30μm)を形成して次の積層体を得た。
【0055】
すなわち、酸素吸収層b(30μm)/CPPw(30μm)。
【0056】
得られた積層体の酸素吸収層表面をコロナ処理した後、通常のドライラミネート法によりウレタン系接着剤にてラミネートされたPET/延伸ナイロン(15μm)/アルミ箔/CPP(30μm)とウレタン系接着剤にてドライラミネートすることにより酸素吸収積層体を得た。この積層体の層構成は、次のようになる。
【0057】
すなわち、PET/延伸ナイロン(15μm)/アルミ箔/CPP(30μm)/酸素吸収層b(30μm)/CCPw(30μm)。
【0058】
得られた積層体につき、実施例2におけると同様な評価を実施した。この結果も上記第2表に示した。この場合、ナイロン層をガスバリアー層の外側に配したため、酸素吸収層の影響により経時的にアルミ箔の腐食及びデラミが生じてしまい、内部の無酸素状態の維持ができていないことが分かった。
【0059】
参考例1
実施例2におけると同じ材質の包材で作成したスタンディングパウチ(120×180mm)を用いて、この内部に精米(20g)及び水(230g)の合計250gを入れ、ヒートシールし、密封後加圧下熱殺菌(121℃、8分)した。1日冷却後、開封したところ、かゆが出来、このものは異臭をもたず、土鍋で長時間かけて家庭で作る“かゆ”と同じ呈味であった。
【0060】
【発明の効果】
製造直後に手作り製品(粥など)と同様の食味を有し、更に数か月間常温保存しても食味低下の抑制された、手作り製品と同様の食味を有するレトルト処理または非レトルト処理の袋体入り食品を与えることのできるレトルトパウチやその他の包装容器の材料として使用され得る優れた酸素吸収性積層材、延いてはこのような積層材を使用して作成したレトルトパウチやその他の用途に使用できる酸素吸収性包装容器が容易に提供される。

Claims (8)

  1. 外側より外層を有、かつ(1)アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜を含む層の酸素バリア層/(2)ナイロン層/(3)鉄粉を主成分とする酸素吸収剤を含有し、基材がポリオレフィンである酸素吸収層/(4)基材がポリオレフィンであるシーラント層で構成されていることを特徴とする酸素吸収性積層包装材料。
  2. シーラント層および酸素吸収層の基材の材質の該ポリオレフィンがポリプロピレンまたはプロピレン含量が70%以上のポリプロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性積層包装材料。
  3. 該ナイロン層と該酸素吸収層との間に材質がポリオレフィンである中間層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の酸素吸収性積層包装材料。
  4. 中間層の材質の該ポリオレフィンがポリプロピレンまたはプロピレン含量が70%以上のポリプロピレン共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の酸素吸収性積層包装材料。
  5. 該シーラント層と該中間層の厚みの比が1:0.3〜1:2.5であることを特徴とする請求項3又は4記載の酸素吸収性積層包装材料。
  6. 全面が酸素バリア層を含む多層材料であり、少なくともその一部の面が請求項1〜のいずれかに記載の酸素吸収性積層包装材料よりなることを特徴とするレトルト食品製造用酸素吸収性包装容器。
  7. 形状が袋体であることを特徴とする請求項記載の酸素吸収性包装容器。
  8. 請求項記載の酸素吸収性包装容器を使用して製造されたことを特徴とするレトルト食品。
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