<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図5に沿って説明する。図1は第1の実施の形態に係る自動変速機11を示す断面図、図2は変速機構21の一部を示す拡大断面図、図3は自動変速機11を示すスケルトン図、図4は自動変速機11の作動表、図5自動変速機11の速度線図である。
なお、以下の説明では、図1,図2,図3中における上,下,左,右を、この順に、実際の車輌用自動変速機(以下、単に「自動変速機」ともいう)11における「上」「下」「前」「後」に対応させて説明する。これに従うと、例えば、図1,図3中における上下方向のほぼ中央には、同一直線上に、左から右にかけて順に自動変速機11の入力軸11、変速機構21の入力軸12、中間軸13、出力軸(出力部材)15が図示されているが、これらは、実際には前から後にかけてこの順に並べられていることになる。ここで、上述の入力軸12と中間軸13とは、入力軸12の後部と中間軸13の前部とがスプライン係合されていて、広い意味では一体となって入力軸を構成している。また、入力軸の長手方向に沿った方向を「軸方向」、この軸方向に直交する方向を「径方向」とし、さらに径方向の位置については、軸に近い側を「内径側(内周側)」、軸から遠い側を「外径側(外周側)」というものとする。
まず、本発明を適用し得る自動変速機11の概略構成について図3に沿って説明する。図3に示すように、例えばFRタイプ(フロントエンジン、リヤドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機11は、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機11の入力軸11を有しており、該入力軸11の軸方向を中心としてトルクコンバータ7と、変速機構21とを備えている。
上記トルクコンバータ7は、自動変速機11の入力軸11に接続されたポンピインペラ7aと、作動流体を介して該ポンプインペラ7aの回転が伝達されるタービンランナ7bとを有しており、該タービンランナ7bは、上記入力軸11と同軸上に配設された上記変速機構21の入力軸12に接続されている。また、該トルクコンバータ7には、ロックアップクラッチ10が備えられており、該ロックアップクラッチ10が不図示の油圧制御装置の油圧制御によって係合されると、上記自動変速機11の入力軸11の回転が変速機構21の入力軸12に直接伝達される。
上記変速機構21には、入力軸12(及び詳しくは後述する中間軸13)上において、プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPと、プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤセット)PUとが備えられている。上記プラネタリギヤDPは、サンギヤ(第1のサンギヤ)S1、キャリヤ(第1のキャリヤ)CR1、及びリングギヤ(第1のリングギヤ)R1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1に噛合するピニオン(第1のピニオンギヤ)P1及びリングギヤR1に噛合するピニオン(第2のピニオンギヤ)P2を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2(2つの回転要素の一つ、第1回転要素、第2のサンギヤ)、サンギヤS3(2つの回転要素の一つ、第2回転要素、第3のサンギヤ)、キャリヤCR2(CR3)(第3回転要素、第2のキャリヤ)、及びリングギヤR3(R2)(第4回転要素、第2のリングギヤ)を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR3に噛合するロングピニオンP4と、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPのサンギヤS1は、詳しくは後述するミッションケース3に一体的に固定されているボス部3bに接続されて回転が固定されている。また、上記キャリヤCR1は、上記入力軸12に接続されて、該入力軸12の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4クラッチC−4(入力伝達クラッチ)に接続されている。更に、リングギヤR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1クラッチC−1(減速伝達クラッチ)及び第3クラッチC−3(減速伝達クラッチ)に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、係止手段としての第1ブレーキB−1に接続されてミッションケース3に対して固定自在となっていると共に、上記第4クラッチC−4及び上記第3クラッチC−3に接続されて、第4クラッチC−4を介して上記キャリヤCR1の入力回転が、第3クラッチC−3を介して上記リングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、第1クラッチC−1に接続されており、上記リングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、中間軸13を介して入力軸12の回転が入力される第2クラッチC−2に接続されて、該第2クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、係止手段としてのワンウェイクラッチF−1及び第2ブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース3に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR3は、不図示の駆動車輪に回転を出力する出力軸(出力部材)15に接続されている。
つづいて、上記構成に基づき、変速機構21の作用について図3、図4及び図5に沿って説明する。なお、図5に示す速度線図において、縦軸はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤDPの部分において、横方向最端部(図5中左方側)の縦軸はサンギヤS1に、以降図中右方側へ順に縦軸は、リングギヤR1、キャリヤCR1に対応している。更に、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、横方向最端部(図5中右方側)の縦軸はサンギヤS3に、以降図中左方側へ順に縦軸はリングギヤR3(R2)、キャリヤCR2(CR3)、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図4に示すように、第1クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進1速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2nd)では、図4に示すように、第1クラッチC−1が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進2速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進3速段(3rd)では、図4に示すように、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第3クラッチC−3の係合によりリングギヤR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR3に出力され、前進3速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進4速段(4th)では、図4に示すように、第1クラッチC−1及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも高回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進4速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進5速段(5th)では、図4に示すように、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2が係合される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進4速段より高い減速回転となってリングギヤR3に出力され、前進5速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進6速段(6th)では、図4に示すように、第2クラッチC−2及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図3及び図5に示すように、第4クラッチC−4の係合によりサンギヤS2にキャリヤCR1の入力回転が入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。つまり、サンギヤS2及びキャリヤCR2に入力回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが入力回転の直結状態となり、そのまま入力回転がリングギヤR3に出力され、前進6速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進7速段(7th)では、図4に示すように、第2クラッチC−2及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第3クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進7速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進8速段(8th)では、図4に示すように、第2クラッチC−2が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図3及び図5に示すように、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進7速段より高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進8速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
後進1速段(Rev1)では、図4に示すように、第3クラッチC−3が係合され、第2ブレーキB−2が係止される。すると、図3及び図5に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第3クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、第2ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進1速段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
後進2速段(Rev2)では、図4に示すように、第4クラッチC−4が係合され、第2ブレーキB−2が係止される。すると、図3及び図5に示すように、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。また、第2ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された入力回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進2速段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2との間、リングギヤR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸12(中間軸13)とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸12とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸12と出力軸15との動力伝達が切断状態となる。
ここで図1を参照して、自動変速機1全体の概略構成、特に各構成要間の相対的な位置関係について、簡単に説明する。
なお、以下の説明においては、クラッチ(第1〜第4クラッチC−1〜C−4)及びブレーキ(第1ブレーキB−1,第2ブレーキB−2)という言葉は、それぞれ摩擦板(外摩擦板及び内摩擦板)と、これらを接断させる油圧サーボとを含めた意味で使用する。
図1に示すように、自動変速機1のケース4は、全体として、概ね前側(図1中の左側)が大径で、後側ほど小径の筒状に形成されている。ケース4全体は、3つの分割ケース、すなわち前側のハウジングケース6と中間のミッションケース3と後側のエクステンションケース9とをそれぞれ接合面H1,H2で接合させて構成されている。これら接合面H1,H2のうちの、前側の接合面H1の近傍に位置するミッションケース3の前端には、フランジ状の隔壁部材3aが固定されている。なお、この隔壁部材3aの後面内径側には後方に向けてボス部3bが突設されている。一方、後側の接合面H2の近傍に位置するミッションケース3の後端にはフランジ状の隔壁部3cがミッションケース3と一体に設けられている。
上述のケース4の中心には、前から後にかけて順に、自動変速機1の入力軸11、変速機構2の入力軸12、中間軸13、出力軸15が、同一軸心上に配設されている。軸方向の位置については、自動変速機1の入力軸11は、ハウジングケース6の前部に位置し、変速機構2の入力軸12は、入力軸11のすぐ後方から隔壁部材3aの中心を貫通してミッションケース3のほぼ中央まで延びている。中間軸13は、その前部を入力軸12の後部内側にスプライン係合させるとともに、後端は、ほぼ後側の接合面H2まで延設されている。そして、出力軸15は、前部を中間軸13の外周面に相対回転自在に被嵌させ、後部をエクステンションケース9の後方に突出させている。なお、前述のように入力軸12と中間軸13とは、一体に構成されて広義の入力軸を構成している。
上述のハウジングケース6の内側には、変速機構2の入力軸12上に前述のトルクコンバータ7が収納されている。ハウジングケース6の内側とミッションケース3の内側とを区画する隔壁部材3aにおける内径側にはオイルポンプ8が配設されている。
ミッションケース3内には、上記中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の前方側(一方側)には、第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1とが配置されている。また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとは、詳しくは後述する第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置されている。更に、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42の外周側には、第1ブレーキB−1が配置されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の後方側(他方側)には、第2クラッチC−2が配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2が配置されており、該プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1との間には、ワンウェイクラッチF−1が配置されている。
詳細に説明すると、ミッションケース3の前半部の内側、すなわちワンウェイクラッチF−1よりも前側の内側には、入力軸12上に、前から順に、第1ブレーキB−1の摩擦板61、第4クラッチC−4の摩擦板51、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。そして、摩擦板61の直前には、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60が配設されている。また、摩擦板61の内径側には、摩擦板41まで延びる第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配設されている。さらに、摩擦板51の前側から内径側にかけて、第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配設されており、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤDPが、そして摩擦板21のほぼ内径側には第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配設されている。すなわちミッションケース3の前半部の内側における内径側には、後述するボス部3b上にてほぼ前から順に(ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に)、油圧サーボ40、油圧サーボ50、プラネタリギヤDPが配置されており、入力軸12上に油圧サーボ20がプラネタリギヤDPに隣接する形で配設されている。
一方、ミッションケース3の後半部の内側、すなわちワンウェイクラッチF−1よりも後側の内側には、中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配設されている。このプラネタリギヤユニットPUの前半部における外周側には、第2のブレーキB−2の摩擦板71が配設され、またプラネタリギヤユニットPUの後方における外径側には第2クラッチC−2の摩擦板31が配設されている。摩擦板31の後方から内径側にかけては、第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配設され、この油圧サーボ30の後方にはその一部が後側から摩擦板31の外径側を通って摩擦板71まで延びる第2ブレーキB−2の油圧サーボ70が配設されている。
次に、図2を参照して、ミッションケース3の内側の構成について詳述する。なお、各構成要素の支持構造や油路構造については後にまとめて説明する。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、前述のように、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、スリーブ部材100に固定されている。このスリーブ部材100は、入力軸12の外周面に被嵌されるとともに前方に向けて延設されており、前述のミッションケース3の隔壁部材3aの後面における内径側から後方に延びるボス部3bの内周面に一体的に固定されて、広義としてボス部3bの一部となっている。つまりサンギヤS1はボス部3bに対して回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、後キャリヤプレートCR1aと前キャリヤプレートCR1bとを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。後キャリヤプレートCR1aは、入力軸12の後部外周面から外径側に向かってフランジ状に延びるように形成されている。一方、前キャリヤプレートCR1bは、環状に形成されるとともに外周から前方に延びるハブ部CR1cが形成されている。このハブ部CR1cの外周面には、後述の第4クラッチC−4の内摩擦板51bがスプライン係合されている。リングギヤR1はその外周面に、後述の第3クラッチC−3の内摩擦板41bがスプライン係合されている。またリングギヤR1の後端には、少し外径側から後方に延びるハブ部R1aが連結されている。このハブ部R1aには、後述の第1クラッチC−1の外摩擦板21aがスプライン係合されている。さらに、リングギヤR1は、その後端からほぼ内側に延びる、後述の油圧サーボ20のクラッチドラム22を介して、入力軸12により回転自在に支持されている。
以上説明したプラネタリギヤDPのすぐ前側には、第4クラッチC−4が後述する第3クラッチC−3のクラッチドラム42を介してボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、外摩擦板51a及び内摩擦板51bからなる摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径側から外径側に延びるフランジ部52aとこのフランジ部52aの外周から後方に延びるドラム部52bとを有している。フランジ部52bは、内径側の基端部が、後述の第3クラッチC−3の油圧サーボ40のクラッチドラム42の一部であるハブ部42cに嵌合されたスナップリング58によって前側への移動が阻止されている。ドラム部52bは、上述のプラネタリギヤDPの前キャリヤプレートCR1bのドラム部CR1cの外径側に配置されていて、内周面には外摩擦板51aがスプライン係合されている。ピストン部材53は、クラッチドラム52のフランジ部52aの後方に前後方向移動可能に配置されていて、3本のシールリングa1,a2,a3により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、上述のハブ部42cに嵌合されたスナップリング59によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その前方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともに2本のシールリングa2,a4により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
なお、第4クラッチC−4は、以上のように構成されているため、該第4クラッチC−4が係合した際にクラッチドラム52にキャリヤCR1の入力回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第4クラッチC−4が係合していない際には、クラッチドラム52に回転が入力されず油圧サーボ50が回転することはない。
第3クラッチC−3は、上述の第4クラッチC−4の内周側及び前側及び外周側を囲むように構成されており、上記ボス部3b上に配置されている。第3クラッチC−3は、外摩擦板41a及び内摩擦板41bからなる摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、隔壁部材3aの後方に配置されたフランジ部42aと、このフランジ部42aの内周から後方に延びるハブ部42cと、フランジ部42aの外周から後方に延びるドラム部42bとを有している。上述の隔壁部材3aの後面からは、後方にボス部3bが延設されており、上記ハブ部42cは、該ボス部3bの外周面にスリーブ状に被嵌されるとともに、このボス部3bによって回転自在に支持されている。このハブ部42cは、その外周面における前端側が大径で、後端側が小径となる複数の段状に形成されている。ハブ部42cの後端は、前述のサンギヤS1の前端面の直前に位置している。言い換えるとハブ部42cの後端は、第4クラッチC−4よりも後方に位置している。クラッチドラム42のドラム部42bは、第4クラッチC−4の外径側を通って、第1クラッチC−1の外径側まで延設されている。ドラム部42bは、その前側外周面において後述の第1ブレーキB−1の内摩擦板61bがスプライン係合され、また中間の内周面、つまり前述のリングギヤR1に対応する部分において外摩擦板41aがスプライン係合され、さらに後部において連結部材101が連結されている。この連結部材101は、第1クラッチC−1の外径側、後側を通って内径側に延び、図1に示すサンギヤS2に連結されている。
第3クラッチC−3のピストン部材43は、フランジ部43aとその外周から後方に延びるドラム部43bとを有している。このうち、フランジ部43aは、上述のクラッチドラム42のフランジ部42aの後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa5,a6により、クラッチドラム42との間に油蜜状の油室46を構成している。また、ドラム部43bは、前述の第4クラッチC−4のクラッチドラム52のドラム部52bの外周側で、かつ第3クラッチC−3のクラッチドラム42のドラム部42bの内周側を通って後方に延び、その後端を、摩擦板41に対面させている。なお、上述のドラム部52bの外周面の一部と、ドラム部42bの内周面の一部とは、ドラム部43bの一部に設けた切欠部(不図示)を介して相互にスプライン係合されている。キャンセルプレート44は、上述のハブ部42cに嵌合されたスナップリング49によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その前方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともに2本のシールリングa5,a7により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
なお、第3クラッチC−3は、以上のように構成されているため、該第3クラッチC−3が係合した際にクラッチドラム42にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第3クラッチC−3が係合していない際には、クラッチドラム42に回転が入力されず油圧サーボ40が回転することはない。
第1クラッチC−1は、プラネタリギヤDP及び第3クラッチC−3の摩擦板41の後方にあって、入力軸12上に配置されており、外摩擦板21a及び内摩擦板21bからなる摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。外摩擦板21aは、上述のリングギヤR1のドラム部R1aの内周面にスプライン係合されている。また内摩擦板21bは、連結部材102のドラム部102bに連結されている。この連結部材102は、ドラム部102bの後端から内径側に延びるフランジ部102aと、このフランジ部102aの内周から後方に延びるスリーブ状のハブ部102cを介して、前述のサンギヤS3(図1参照)に連結されている。油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、内径側から外径側に延びるフランジ部22aとこのフランジ部22aの外周から前方に延びてリングギヤR1の後端に連結されるドラム部22bと、フランジ部22aの内周から後方に延びるハブ部22cとを有している。ハブ部22cは、入力軸12の後部外周面に相対回転自在に取り付けられている。ピストン部材23は、クラッチドラム22の後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa8,a9により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の油室26を構成している。ピストン部材23は、外周側の部分を、前方から摩擦板21の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート24は、上述のハブ部22cに嵌合されたスナップリング29によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24は、その前方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともに2本のシールリングa8,a10により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
第1ブレーキB−1は、隔壁部材3aの外径側近傍に配置されている。第1ブレーキB−1は、外摩擦板61a及び内摩擦板61bからなる摩擦板61と、この摩擦板61を接断する油圧サーボ60とを備えている。外摩擦板61aは、ミッションケース3の前端側内周面にスプライン係合されている。また内摩擦板61bは、前述の第3クラッチC−3のドラム部42bの前部外周面にスプライン係合されている。油圧サーボ60は、クラッチドラム62、ピストン部材63、キャンセルプレート64、リターンスプリング65を有しており、これらにより、油室66を構成している。クラッチドラム62は、隔壁部材3aの後面外周側に凹部を設けることによって形成している。ピストン部材63をこのクラッチドラム62に対して前後方向移動可能に係合されている。ピストン部材63は、後端部の一部がキャンセルプレート64を貫通して摩擦板61の前端に対面している。ピストン部材63とクラッチドラム62との間には、2本のシールリングa11,a12によって、油蜜状の油室66が形成されている。さらにキャンセルプレート64は、板状かつ環状に形成されていて、その内周側がボルトによって隔壁部材3aの後面に固定されている。キャンセルプレート64とピストン部材63との間には、リターンスプリング65が縮設されている。
つづいて、各構成要素の支持構造、つまりベアリングについて説明する。
隔壁部材3のボス部3bと一体のスリーブ部材100の後端内周面と入力軸12の外周面との間に、ベアリングb1が介装されている。入力軸と一体の後キャリヤプレートCR1aの内径側の前面と後面とには、それぞれサンギヤS1の後端面との間、クラッチドラム22との間にベアリングb2,b3が介装されている。これにより、入力軸12は、ミッションケース3に対して回転自在に支持される。隔壁部材3aのボス部3bの外周面とクラッチドラム42のハブ部42cの内周面の間には、ベアリングb4,b5が介装されている。これによりクラッチドラム42は、ボス部3bに対して回転自在に支持されている。第1クラッチC−1のクラッチドラム22のハブ部22cの後端と連結部材102のハブ部102cとの間にはベアリングb6が介装されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
入力軸12には、軸方向に3本の油路、すなわち前端から後方に向けた油路c1、後端から前方に向けた油路c2,c3が穿設されている。また、油路c1は、径方向の油路c4,c5により、油路c2は、径方向の油路c6,c7により、そして油路c3は、径方向の油路c8〜c11により、それぞれ入力軸12の外周面に連通されている。隔壁部材3aのボス部3bには、前側から順に、7本の油路c12〜c18が径方向に穿設されている。このボス部3bの外周側に位置する第3クラッチC−3のクラッチドラム42のハブ部42cには、前側から順に、油路c19〜c22が径方向に貫通するように穿設されている。また、入力軸12の後方外周側に位置する第1クラッチC−1のクラッチドラム22のハブ部22cには、油路c23が径方向に貫通するように穿設されている。更に、スリーブ部材100の外周側には、図示を省略した油溝が形成されており、ボス部3bとの間に油路を構成しており、即ち、広義としてのボス部3b内に油路が形成されている(以下、「ボス部3b内の油路」という)。そして、入力軸12の外周側には、ボス部3b(スリーブ部材100)と油路c4,c5,c8,c6とをシールするためのシールリングd1〜d4が設けられており、また、入力軸12の後方外周側には、油路c7と油路c23とをシールするためのシールリングd5,d6が設けられている。更に、ボス部3bの外周側には、該ボス部3bの油路c13,c16とクラッチドラム42のハブ部42cの油路c19,c21とをシールするためのシールリングd7〜d10が設けられている。
なお、図1に示すように、第2クラッチC−2の油圧サーボ30には、ミッションケース3の隔壁部3cに設けられた油路c24、出力軸15に設けられた油路c25、中間軸(入力軸)13に設けられた油路c26を介して油圧制御装置より作動油が供給される。
ついで、潤滑油の供給について説明する。
上述したオイルポンプ8により発生した油圧に基づき潤滑油がボス部3b内の油路に供給されると、該潤滑油はボス部3bの油路c12,c14,c15,c17,c18に供給されて、該ボス部3bの外周側に向けて飛散される。また、オイルポンプ8よりボス部3b内の油路に供給された潤滑油は、シールリングd2,d3にシールされる形で入力軸12の油路c8に供給され、油路c3内を介して後方側に供給されると共に、油路c9,c10,c11より入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材、第3クラッチC−3の各部材、第4クラッチC−4の各部材、第1ブレーキB−1の各部材、特に摩擦板21,41,51,61やベアリングb1〜b6などが潤滑される。なお、例えば第3クラッチC−3、第4クラッチC−4のキャンセル油室47,57内の油も、油路c20、c22を介して潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
次に、作動油の供給について説明する。
例えばオイルポンプ8により発生した油圧に基づき、不図示の油圧制御装置において、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、第4クラッチC−4、第1ブレーキB−1、第2ブレーキB−2、及びロックアップクラッチ10の係合油圧が油圧制御されて発生する。そのうち、ロックアップクラッチ10、第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4の係合油圧に基づき各作動油が、ボス部3b内(スリーブ部材100内)に別々に設けられた各油路に、前方側のボス部3bの付根付近より供給される。
ロックアップクラッチ10の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の油路からシールリングd1,d2にシールされる形で油路c4,c5に供給される。該油路c4,c5に供給された作動油は、油路c1を介してロックアップクラッチ10の摩擦板まで供給されて該摩擦板に作用し、入力軸11に設けられたフランジ状部材に該摩擦板が押圧されて、つまりロックアップクラッチ10が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づきロックアップクラッチを解放する際は、作動油が反対に油路c1、c4、c5を介して排出される。
また、第3クラッチC−3の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路から油路c13に供給される。該油路c13に供給された作動油は、シールリングd7,d8にシールされる形で油路c19に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路c13からクラッチドラム42の油路c19に供給される。そして、作動油は、油路c19を介して第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に供給され、ピストン部材43が後方側に押圧されると共にドラム部43bにより摩擦板41が押圧され、つまり第3クラッチC−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第3クラッチC−3を解放する際は、上記リターンスプリング45の付勢によってピストン部材43が前方側に押圧され、それによって油室46の作動油が、反対に油路c19、c13、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第4クラッチC−4の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路から油路c16に供給される。該油路c16に供給された作動油は、シールリングd9,d10にシールされる形で油路c21に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路c16からクラッチドラム42の油路c21に供給される。そして、作動油は、油路c21を介して第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56に供給され、ピストン部材53が後方側に押圧されると共に摩擦板51が押圧され、つまり第4クラッチC−4が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第4クラッチC−4を解放する際は、上記リターンスプリング55の付勢によってピストン部材53が前方側に押圧され、それによって油室56の作動油が、反対に油路c21、c16、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第1クラッチC−1の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路からシールリングd3,d4にシールされる形で油路c6に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路から入力軸12の油路c6に供給される。更に該油路c6に供給された作動油は、入力軸12内の油路c2を介して後方側に供給され、油路c7に供給される。該油路c7に供給された作動油は、シールリングd5,d6にシールされる形で油路c23に、つまり互いに相対回転し得る入力軸12の油路c7からクラッチドラム22の油路c23に供給される。そして、作動油は、油路c23を介して第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26に供給され、ピストン部材23が後方側に押圧されると共に摩擦板21が押圧され、つまり第1クラッチC−1が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第1クラッチC−1を解放する際は、上記リターンスプリング25の付勢によってピストン部材23が前方側に押圧され、それによって油室26の作動油が、反対に油路c23、c7、c2,c6,ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機11によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材102)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機11をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機11の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
ところで、特に上述した減速回転を伝達自在にするクラッチは、入力軸に入力される入力回転を伝達自在にするクラッチに比して、回転が減速されているため、比較的大きなトルクを伝達する必要が生じるという問題がある。
しかしながら、本発明に係る車輌用自動変速機11によると、プラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、かつプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置したので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の容量(なお、「容量」とは、伝達可能なトルク容量や熱容量などを含む意味であるが、以下省略し、単に「容量」とする。)を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置することができ、例えば前進8速段、及び後進2速段のような多段変速が可能な車輌用自動変速機11をコンパクト化することができる。
更に、入力軸12上にかつプラネタリギヤDPに隣接して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えば油圧制御装置から作動油を供給する油路、即ちボス部3b内の油路と入力軸12との間、及び第1クラッチC−1の油圧サーボ20と入力軸12との間にそれぞれ1対のシールリングd3,d4,d5,d6を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば他の部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機11の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第4クラッチC−4により入力回転が伝達自在であり、かつ第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在であり、かつ第1ブレーキB−1により回転が固定自在であり、サンギヤS3は、第1クラッチC−1により減速回転が伝達自在であり、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2により入力回転が伝達自在であり、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在であり、リングギヤR3は出力軸15に連結されているので、例えば前進8速段、及び後進2速段の多段変速が可能になる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、車輌用自動変速機11を径方向にコンパクト化することができる。
また、第1ブレーキB−1を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に配置するので、第1ブレーキB−1の摩擦板61の容量を確保しつつ小径化しながら、第3クラッチC−3と径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機11を径方向にコンパクト化と軸方向の短縮化を両立することができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1クラッチC−1とサンギヤS3とを連結する部材、及び第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量を確保しつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機11を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
なお、以上説明した第1の実施の形態においては、第4クラッチC−4及びプラネタリギヤDPを第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置しているが、これに限らず、第1クラッチC−1のクラッチドラム22の内周側に配置してもよく、また、例えば第4クラッチC−4は第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側、かつプラネタリギヤDPは第1クラッチC−1のクラッチドラム22の内周側となるように配置してもよく、つまり第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとが、第1クラッチC−1のクラッチドラム22と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との少なくとも一方の内周側に配置されるものであれば、どのような配置であってもよい。
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図6乃至図9に沿って説明する。図6は第2の実施の形態に係る自動変速機12を示す断面図、図7は自動変速機12を示すスケルトン図、図8は自動変速機12の作動表、図9は自動変速機12の速度線図である。
本第2の実施の形態に係る自動変速機12は、変速機構22を備えており、その変速機構22は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21から第4クラッチC−4(その油圧サーボ50、摩擦板51など)を取り外し自在にしたものである。ここでは、第4クラッチC−4を取り外したものについて以下に説明する。なお、第4クラッチ以外の部材は、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成であるので、同符号を付して、その説明を省略する。
ついで、変速機構21の作用について図7、図8及び図9に沿って説明する。なお、図9に示す速度線図において、縦軸はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤDPの部分において、横方向最端部(図5中左方側)の縦軸はサンギヤS1に、以降図中右方側へ順に縦軸は、リングギヤR1、キャリヤCR1に対応している。更に、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、横方向最端部(図5中右方側)の縦軸はサンギヤS3に、以降図中左方側へ順に縦軸はリングギヤR3(R2)、キャリヤCR2(CR3)、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図8に示すように、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進1速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2nd)では、図8に示すように、クラッチC−1が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進2速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進3速段(3rd)では、図8に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−3の係合によりリングギヤR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR3に出力され、前進3速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進4速段(4th)では、図8に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進3速段より高い減速回転となってリングギヤR3に出力され、前進4速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進5速段(5th)では、図8に示すように、クラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進5速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進6速段(6th)では、図8に示すように、クラッチC−2が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図7及び図9に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進5速段より高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進6速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
後進1速段(Rev)では、図8に示すように、クラッチC−3が係合され、ブレーキB−2が係止される。すると、図7及び図9に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進1速段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、クラッチC−1、クラッチC−2、及びクラッチC−3、が解放される。すると、リングギヤR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸12(中間軸13)とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸12とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸12と出力軸15との動力伝達が切断状態となる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によると、車輌用自動変速機11の第4クラッチC−4を取り外し自在にし、即ち第4クラッチC−4を取り外すことで、車輌用自動変速機の第4クラッチC−4以外の部品をそのまま用いることができ、つまり部品の共通化、生産ラインの共通化を図ることができ、コストダウンを図ることができるものでありながら、例えば前進6速段、及び後進1速段を達成する車輌用自動変速機12を提供することができる。したがって、第4クラッチC−4を有する例えば前進8速段及び後進2速段の車輌用自動変速機11と、第4クラッチC−4の不要な例えば前進6速段及び後進1速段の車輌用自動変速機12とを、コストアップすることなくラインアップすることが可能となる。
<第3の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第3の実施の形態について、図10乃至図11に沿って説明する。図10は第3の実施の形態に係る自動変速機13を示す断面図、図11は変速機構23の一部を示す拡大断面図である。
本第3の実施の形態に係る自動変速機13は、変速機構23を備えており、その変速機構23は、第1の実施の形態に係る自動変速機11に比して、第3クラッチC−3を第4クラッチC−4の外周側に配置し、第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置し、第1ブレーキB−1を第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置したものである。なお、その他の部分は、第1の実施の形態に係る自動変速機11と略同様の構成であるので、同符号を付して、その説明を省略する。また、前進1速段乃至前進8速段、後進1速段及び後進2速段において、その作用は同様のものとなるので、その説明も省略する(図3乃至図5参照)。
図10及び図11に示すように、ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、第1の実施の形態と同様に、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、図11に詳示するように、スリーブ部材100に固定されている。このスリーブ部材100は、入力軸12の外周面に被嵌されるとともに前方に向けて延設されており、前述のミッションケース3の隔壁部材3aの後面における内径側から後方に延びるボス部3bの内周面に一体的に固定されて、広義としてボス部3bの一部となっている。つまりサンギヤS1はボス部3bに対して回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、後キャリヤプレートCR1aと前キャリヤプレートCR1bとを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。後キャリヤプレートCR1aは、入力軸12の後部外周面から外径側に向かってフランジ状に延設されたフランジ部12aに例えば溶接などにより一体的に連結されている。一方、前キャリヤプレートCR1bは、環状に形成されており、前方側にはハブ部材112が連結されている。このハブ部材112の外周面には、後述の第4クラッチC−4の内摩擦板51bがスプライン係合されている。リングギヤR1はその外周面に、後述の第1クラッチC−1の内摩擦板21bがスプライン係合されている。またリングギヤR1の前端外周側には、ハブ部材113がスプライン係合されており、該ハブ部材113の外周面には、後述する第3クラッチC−3の内摩擦板41bがスプライン係合されている。さらにリングギヤR1の後端内周側には、フランジ状の位置決め部材106が配設されており、該リングギヤR1は、この位置決め部材106を介して、入力軸12に回転自在に支持されている。
上記プラネタリギヤDPのすぐ前側には、第4クラッチC−4が、ボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、外摩擦板51a及び内摩擦板51bからなる摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、該クラッチドラム52に連結されたスリーブ部材111、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径側から外径側に延びるフランジ部52aと、該フランジ部52aの外周から後方に延びるドラム部52bと、該フランジ部52aの内周側であって、ボス部3bに回転自在に設けられたスリーブ部材111に連結される連結部52cとを有しており、該スリーブ部材111の後方部分とクラッチドラム52とで広義としてのクラッチドラムを構成している。またドラム部52bは、上述の前キャリヤプレートCR1bに連結されたハブ部材112の外径側に配置されており、内周面には外摩擦板51aがスプライン係合されている。ピストン部材53は、クラッチドラム52のフランジ部52a及びスリーブ部材111のフランジ部部111aの後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa1,a2により、クラッチドラム52及びスリーブ部材111との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、該スリーブ部材111の後端外周側に嵌合されたスナップリング59によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その前方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa3により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
なお、第4クラッチC−4は、以上のように構成されているため、該第4クラッチC−4が係合した際にクラッチドラム52にキャリヤCR1の入力回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第4クラッチC−4が係合していない際には、クラッチドラム52に回転が入力されず油圧サーボ50が回転することはない。
第3クラッチC−3は、概ね上述の第4クラッチC−4の前側及び外周側を覆うように構成されており、上記スリーブ部材111を介してボス部3b上に配置されている。第3クラッチC−3は、外摩擦板41a及び内摩擦板41bからなる摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、クラッチドラム42と別体に形成されたシリンダ部材44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46と、詳しくは後述するようにキャンセル油室47とを有して構成されている。クラッチドラム42は、フランジ部42aと、このフランジ部42aの内周から後方に延びるハブ部42cと、フランジ部42aの外周から後方に延びるドラム部42bとを有しており、該ハブ部42cが、上記第4クラッチC−4のクラッチドラム52のフランジ部52aの側面に例えば溶接などにより連結されている。また、フランジ部42aには、周方向に複数の孔42dが穿設されている。一方、ドラム部42bは、第4クラッチC−4の外径側に配置された第3クラッチC−3の摩擦板41の外周側に延設されており、上記ハブ部材113に対応する部分において外摩擦板41aがスプライン係合されている。またドラム部42bの後端には、後述する第1クラッチC−1を内包する形のドラム状部材101が連結されており、該ドラム状部材101は、スリーブ部材104を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2(図10参照)に連結されている。つまり、これにより第4クラッチC−4のクラッチドラム52と第3クラッチC−3のクラッチドラム42とがプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。
第3クラッチC−3のピストン部材43は、内周側がシリンダ部材44に対向しているフランジ部43aと、その外周から後方に延設され、櫛歯状に形成されているドラム部43bとを有している。このうち、フランジ部43aは、上述のスリーブ部材111上を前後方向移動可能に配置されていて、スナップリング48により位置決めされているシリンダ部材44との間に、3本のシールリングa5,a6,a8により油蜜状の油室46を構成している。また、ドラム部43bは、上述のクラッチドラム42のフランジ部42aに穿設された孔42dに貫通交差する形となっており、その先端が摩擦板41に対向している。リターンスプリング45は、ピストン部材43のフランジ部43aの後方側と第4クラッチC−4のクラッチドラム52の前方側との間に配設されており、つまりリターンスプリング45がクラッチドラム52に対して配設されていることで、該クラッチドラム52がキャンセルプレートとして共用された形となっている。即ち、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、第4クラッチC−4のクラッチドラム52に連結されて配置されていることになる。またクラッチドラム52とピストン部材43との間は、2本のシールリングa6,a7によりシールされて油蜜状のキャンセル油室47を構成している。なお、シリンダ部材44には、油室46の作動油圧及び遠心油圧、キャンセル油室47の遠心油圧、リターンスプリング45の付勢力に基づき、常時前方側への付勢力が作用しており、つまり1本のスナップリング48によりスリーブ部材111に対して固定された形となっている。
なお、第3クラッチC−3は、以上のように構成されているため、該第3クラッチC−3が係合した際にクラッチドラム42にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第3クラッチC−3が係合していない際には、クラッチドラム42に回転が入力されず油圧サーボ40が回転することはない。
第1クラッチC−1は、プラネタリギヤDPの後方にあって、入力軸12上に配置されており、外摩擦板21a及び内摩擦板21bからなる摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。油圧サーボ20は、クラッチドラム22、該クラッチドラム22に連結されたスリーブ部材105、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、内径側から外径側に延びるフランジ部22aと、該フランジ部22aの外周からリングギヤR1の外周側に延設されたドラム部22bと、フランジ部22aの内周側であって、入力軸12に回転自在に設けられたスリーブ部材105に連結される連結部22cとを有しており、該スリーブ部材105の前方部分とクラッチドラム22とで広義としてのクラッチドラムを構成している。またドラム部22bは、上述のようにリングギヤR1の外径側に配置されており、内周面には外摩擦板21aがスプライン係合されている(上述のように内摩擦板21bはリングギヤR1の外周面にスプライン係合されている)。ピストン部材23は、クラッチドラム22のフランジ部22a及びスリーブ部材105のフランジ部105aの前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa9,a10により、クラッチドラム22及びスリーブ部材105との間に、油蜜状の油室26を構成している。さらにキャンセルプレート24は、該スリーブ部材105の前端外周側に嵌合されたスナップリング29によって前側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24には、その後方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともに、2本のシールリングa9,a11により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。そして、スリーブ部材105の後方側は、スリーブ部材107を介してサンギヤS3(図10参照)に連結されている。
なお、第1クラッチC−1は、以上のように構成されているため、該第1クラッチC−1が係合した際にクラッチドラム22にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第1クラッチC−1が係合していない際には、クラッチドラム22に回転が入力されず油圧サーボ20が回転することはない。
第1ブレーキB−1は、上記第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置されており、詳細には、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の後方外周側で、かつワンウェイクラッチF−1の前方側にあって、ミッションケースケース3の略中央(図10参照)の内周面に近接して配置されている。第1ブレーキB−1は、外摩擦板61a及び内摩擦板61bからなる摩擦板61と、この摩擦板61を接断する油圧サーボ60とを備えており、油圧サーボ60は、ドラム部材62、ピストン部材63、キャンセルプレート64、リターンスプリング65を有している。ドラム部材62は、内径側から外径側に延びるフランジ部62aと、該フランジ部62aの外周からミッションケース3の内周面に沿って延設されたドラム部62bと、フランジ部62aの内周側に延設されたハブ部62cとを有している。ドラム部62bは、上述のようにミッションケース3の内周面に沿って配置されており、その外周側がミッションケース3の内周面にスプライン係合されている。また、該ドラム部62bの前端がスナップリング68に当接して前側への移動が阻止されていると共に、フランジ部62aの外周側がミッションケース3の段差部3dに当接して後側への移動が阻止されており、つまりドラム部材62がミッションケース3に対して位置決め固定されている。一方、ピストン部材63は、ドラム部材62のフランジ部62aの前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa12,a13により、ドラム部材62との間に、油蜜状の油室66を構成している。さらにキャンセルプレート64は、該ドラム部材62のハブ部62cの前端外周側に嵌合されたスナップリング69によって前側への移動が阻止されている。キャンセルプレート64には、その後方に配置されたピストン部材63との間に、リターンスプリング65が縮設されている。そして、ドラム部材62のドラム部62bの内周側には、上記外摩擦板61aがスプライン係合しており、内摩擦板61bは、ハブ部材103にスプライン係合している。該ハブ部材103は、上記ドラム状部材101に例えば溶接などにより連結されており、つまりハブ部材103は、スリーブ部材104を介してサンギヤS2(図10参照)に連結されている。
つづいて、各構成要素の支持構造、つまりベアリングについて説明する。
隔壁部材3のボス部3と一体のスリーブ部材100の後端内周面と入力軸12の外周面との間に、ベアリングb5が介装されている。これにより、入力軸12は、ミッションケース3に対して回転自在に支持される。また、入力軸12のフランジ部12aとスリーブ部材100(サンギヤS1)の後面との間にはベアリングb1が、位置決め部材106の前方側と後キャリヤプレートCR1aの後方側との間にはベアリングb2が、位置決め部材106の内周後方側とスリーブ部材105の前端との間にはベアリングb3が、それぞれ介装されている。これにより、位置決め部材106を介してキャリヤCR1、リングギヤR1、スリーブ部材105が入力軸12に対して回転自在に支持される。また、上記ボス部3bの外周側とスリーブ部材111の内周側との間にはベアリングb4,b6が介装されている。これにより、スリーブ部材111は、ボス部3bに対して回転自在に支持される。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
入力軸12には、軸方向に3本の油路、すなわち前端から後方に向けた油路c1、後端から前方に向けた油路c2,c3が穿設されている。また、油路c1は、径方向の油路c4,c5により、油路c2は、径方向の油路c6,c7により、そして油路c3は、径方向の油路c8〜c11により、それぞれ入力軸12の外周面に連通されている。隔壁部材3aのボス部3bには、前側から順に、4本の油路c13、c14、c16、c17が径方向に穿設されている。このボス部3bの外周側に位置するスリーブ部材111には、油路c19、c20、c21、c22が径方向に貫通するように穿設されている。なお、油路c19、c20はスリーブ部材111内において立体的に交差する形で穿設されている。また、入力軸12の後方外周側に位置するスリーブ部材105には、油路c23、c30が径方向に貫通するように穿設されている。更に、スリーブ部材100の外周側には、図示を省略した油溝が形成されており、ボス部3bとの間に油路を構成しており、即ち、広義としてのボス部3b内に油路が形成されている(以下、「ボス部3b内の油路」という)。そして、入力軸12の外周側には、ボス部3b(スリーブ部材100)と油路c4,c5,c8,c6とをシールするためのシールリングd2〜d4が設けられており、また、入力軸12の後方外周側には、油路c7と油路c23とをシールするためのシールリングd5,d6が設けられている。更に、ボス部3bの外周側には、該ボス部3bの油路c13,c16とスリーブ部材111の油路c19,c21とをシールするためのシールリングd7〜d9が設けられている。なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60には、自動変速機13の下方側に位置する油圧制御装置(図中一点差線で省略して示す)に連通する不図示の油路がドラム部材62に設けられている。
ついで、潤滑油の供給について説明する。
上述したオイルポンプ8により発生した油圧に基づき潤滑油がボス部3b内の油路に供給されると、該潤滑油はボス部3bの油路c14,c17に供給されて、該ボス部3bの外周側に向けて飛散される。また、オイルポンプ8よりボス部3b内の油路に供給された潤滑油は、シールリングd2,d3にシールされる形で入力軸12の油路c8に供給され、油路c3内を介して後方側に供給されると共に、油路c9,c10,c11より入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材、第3クラッチC−3の各部材、第4クラッチC−4の各部材、特に摩擦板21,41,51やベアリングb1〜b6などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、第4クラッチC−4のキャンセル油室27,47,57内の油も、油路c20、c22、及び油路c11、c30を介して潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
次に、作動油の供給について説明する。
例えばオイルポンプ8により発生した油圧に基づき、不図示の油圧制御装置において、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、第4クラッチC−4、第1ブレーキB−1、第2ブレーキB−2、及びロックアップクラッチ10の係合油圧が油圧制御されて発生する。そのうち、ロックアップクラッチ10、第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4の係合油圧に基づき各作動油が、ボス部3b内(スリーブ部材100内)に別々に設けられた各油路に、前方側のボス部3bの付根付近より供給される。
ロックアップクラッチ10の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の油路から油路c4,c5に供給される。該油路c4,c5に供給された作動油は、油路c1を介してロックアップクラッチ10の摩擦板まで供給されて該摩擦板に作用し、入力軸11に設けられたフランジ状部材に該摩擦板が押圧されて、つまりロックアップクラッチ10が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づきロックアップクラッチを解放する際は、作動油が反対に油路c1、c4、c5を介して排出される。
また、第3クラッチC−3の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路から油路c13に供給される。該油路c13に供給された作動油は、シールリングd7,d8にシールされる形で油路c19に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路c13からスリーブ部材111の油路c19に供給される。そして、作動油は、油路c19を介して第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に供給され、ピストン部材43が後方側に押圧されると共にドラム部43bにより摩擦板41が押圧され、つまり第3クラッチC−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第3クラッチC−3を解放する際は、上記リターンスプリング45の付勢によってピストン部材43が前方側に押圧され、それによって油室46の作動油が、反対に油路c19、c13、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第4クラッチC−4の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路から油路c16に供給される。該油路c16に供給された作動油は、シールリングd8,d9にシールされる形で油路c21に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路c16からスリーブ部材111の油路c21に供給される。そして、作動油は、油路c21を介して第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56に供給され、ピストン部材53が後方側に押圧されると共に摩擦板51が押圧され、つまり第4クラッチC−4が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第4クラッチC−4を解放する際は、上記リターンスプリング55の付勢によってピストン部材53が前方側に押圧され、それによって油室56の作動油が、反対に油路c21、c16、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第1クラッチC−1の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路からシールリングd3,d4にシールされる形で油路c6に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路から入力軸12の油路c6に供給される。更に該油路c6に供給された作動油は、入力軸12内の油路c2を介して後方側に供給され、油路c7に供給される。該油路c7に供給された作動油は、シールリングd5,d6にシールされる形で油路c23に、つまり互いに相対回転し得る入力軸12の油路c7からスリーブ部材105の油路c23に供給される。そして、作動油は、油路c23を介して第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26に供給され、ピストン部材23が後方側に押圧されると共に摩擦板21が押圧され、つまり第1クラッチC−1が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第1クラッチC−1を解放する際は、上記リターンスプリング25の付勢によってピストン部材23が前方側に押圧され、それによって油室26の作動油が、反対に油路c23、c7、c2,c6,ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
なお、第1ブレーキB−1の係止用の作動油は、上述した自動変速機13の油圧制御装置に連通する不図示のドラム部材62の油路を介して直接的に油室66に供給され、また、該油路を介して排出されるようになっている。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機13によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材となるドラム状部材101及びスリーブ部材104)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機13をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、減速回転又は回転しない部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機13の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
ところで、特に上述した減速回転を伝達自在にするクラッチは、入力軸に入力される入力回転を伝達自在にするクラッチに比して、回転が減速されているため、比較的大きなトルクを伝達する必要が生じるという問題がある。
しかしながら、本発明に係る車輌用自動変速機13によると、プラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、かつプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置したので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置することができ、例えば前進8速段、及び後進2速段のような多段変速が可能な車輌用自動変速機13をコンパクト化することができる。
また、ケース4から延設されたボス部3b上に、該ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとを配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とにボス部3b内に設けられた油路からそれぞれ作動油を供給するので、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50とボス部3bとの間にそれぞれ1対のシールリングd7、d8、d9を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50に入力軸12の油路からボス部3bを介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機13の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
更に、入力軸12上にかつプラネタリギヤDPに隣接して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えば油圧制御装置から作動油を供給する油路、即ちボス部3b内の油路と入力軸12との間、及び第1クラッチC−1の油圧サーボ20と入力軸12との間にそれぞれ1対のシールリングd3,d4,d5,d6を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば他の部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第4クラッチC−4により入力回転が伝達自在であり、かつ第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在であり、かつ第1ブレーキB−1により回転が固定自在であり、サンギヤS3は、第1クラッチC−1により減速回転が伝達自在であり、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2により入力回転が伝達自在であり、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在であり、リングギヤR3は出力軸15に連結されているので、例えば前進8速段、及び後進2速段の多段変速が可能になる。
また、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置し、第1クラッチC−1の摩擦板21をリングギヤR1の外周側に配置するので、即ち走行時に比較的掴み換えの回数が多い(図4参照)第3クラッチC−3の摩擦板41を、プラネタリギヤDPの外周側に配置する場合に比して潤滑し易い第4クラッチC−4の外周側に配置することで、該第3クラッチC−3の摩擦板41を放熱し易くすることができ、該第3クラッチC−3の耐久性の向上を図ることができるものでありながら、前進1速段から前進5速段まで係合されたままであって、比較的掴み換えの回数が少ない(図4参照)第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPの外周側に配置することで、車輌用自動変速13を軸方向に短縮化することができる。
更に、第3クラッチC−3のクラッチドラムを第4クラッチC−4のクラッチドラム52の外周側に連結配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を第4クラッチC−4のクラッチドラム52に連結配置すると共に、第3クラッチC−3のクラッチドラム42とは別体のシリンダ部材44と、ピストン部材43と、該シリンダ部材44及び該ピストン部材43の間に形成される油室46とを有するように構成し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40のピストン部材43を第3クラッチC−3のクラッチドラム42を貫通交差して該第3クラッチC−3の摩擦板41に対向するように配置するので、第3クラッチC−3を係脱自在にできるものでありながら、第4クラッチC−4のクラッチドラム52の回転を伝達するための第3クラッチC−3のクラッチドラム42を比較的短くすることができ、軽量化を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40のリターンスプリング45を、第4クラッチC−4のクラッチドラム52に配設するので、つまり第4クラッチC−4のクラッチドラム52を第3クラッチC−3の油圧サーボ40のキャンセルプレートとして共用することができ、部品点数の削減や、車輌用自動変速機13のコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1を、第1クラッチC−1とプラネタリギヤセットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置することを可能とすることができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を形成した該第1クラッチC−1のクラッチドラム22に、該第1クラッチC−1が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にいわゆる空吹かしされて入力軸12が回転した際であっても、該第1クラッチC−1が係合していない際は、該第1クラッチC−1のクラッチドラム22に減速回転が入力されず、第1クラッチC−1の油圧サーボ20全体が回転することを防ぐことができ、作動油室26に遠心油圧が発生することによる該第1クラッチC−1の引き摺りを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1クラッチC−1とサンギヤS3とを連結する部材、及び第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量の確保しつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機13を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
<第4の実施の形態>
ついで、上記第1、及び第3の実施の形態を一部変更した第4の実施の形態について、図12乃至図14に沿って説明する。図12は第4の実施の形態に係る自動変速機14の一部を示す拡大断面図、図13はリングギヤR1及びピストン部材43を示す図で、(a)は軸方向より視た拡大断面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、図14は入力軸を示す断面図で、(a)は一部拡大断面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
本第4の実施の形態の車輌用自動変速機14は、変速機構24を備えており、その変速機構24は、第1及び第3の実施の形態に係る自動変速機11,13の変速機構21,23に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とをプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、軸方向において第3クラッチCー3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDP側、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPU側に配置したものである。
詳細には、図12に示すように、ミッションケース3内には、上記中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、ミッションケース3の前半部の内側、即ち、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の前方側(一方側)には、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3とが配置されている。また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50は、プラネタリギヤDPの前方側(即ち該プラネタリギヤDPに対して軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUの反対側)に配置され、第1クラッチC−1の油圧サーボ20及び第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、該プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置されている。
また、入力軸12上において、前から順に、第1ブレーキB−1の摩擦板61及び第4クラッチC−4の摩擦板51、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。摩擦板(摩擦材)61の内径側には、第4クラッチC−4の摩擦板51が配置されていると共に、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配設されており、即ち摩擦板61は、第4クラッチC−4の径方向外側に重なるように配置されている。また、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤDPが配置されており、該摩擦板41の後方に摩擦板21が配置されている。プラネタリギヤDPの後方から摩擦板21の内周側にかけてには、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第1クラッチC−1の油圧サーボ20とが配置されている。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、前述のように、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、第1スリーブ部材100に固定されている。この第1スリーブ部材100は、入力軸12の外周面に被嵌されるとともに前方に向けて延設されており、前述のミッションケース3の隔壁部材3aの後面における内径側から後方に延びるボス部3bの内周面に一体的に固定されて、広義としてボス部3bの一部となっている。つまりサンギヤS1はボス部3bに対して回転不能に固定されている。
また、キャリヤCR1は、後キャリヤプレートCR1aと前キャリヤプレートCR1bとを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。後キャリヤプレートCR1aは、入力軸12の後部外周面から外径側に向かってフランジ状に延びるように形成されている。一方、前キャリヤプレートCR1bは、環状に形成されるとともに外周から前方に延びるハブ部CR1cが形成されている。このハブ部CR1cの外周面には、後述の第4クラッチC−4の内摩擦板51bがスプライン係合されている。
リングギヤR1はその外周面に、後述の第3クラッチC−3の内摩擦板41bがスプライン係合されている。またリングギヤR1の後端には、詳しくは後述するように、後方に延びるハブ部R1aが連結されており、このハブ部R1aには、リングギヤR1を支持する略々円板形状の支持板106が接続されている。該支持板106の内周側は、入力軸12に対して回転自在となっている第2スリーブ部材105に接続されており、該支持板106の外周側は、後述のドラム部材108に接続され、更に、該ドラム部材108の内周側には第1クラッチC−1の外摩擦板21aがスプライン係合されている。
以上説明したプラネタリギヤDPのすぐ前側には、第4クラッチC−4がクラッチドラム52を介してボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、外摩擦板51a及び内摩擦板51bからなる摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径側から外径側に延びるフランジ部52aとこのフランジ部52aの外周から第3クラッチC−3の略全体の後方まで延びるドラム部52bと、内径側がボス部3bに回転自在に支持されているハブ部52cとを有している。
ドラム部52bの前側の内周側は、上述のプラネタリギヤDPの前キャリヤプレートCR1bのドラム部CR1cの外径側に配置されていて、内周面には摩擦板51の外摩擦部材51aがスプライン係合されている。また、摩擦板51の内摩擦板51bは、上述したようにキャリヤCR1のハブ部CR1cにスプライン係合している。また、ドラム部52bの前側の外周側は、第1ブレーキB−1の内摩擦板61bがスプライン係合されている。更に、ドラム部52bの後側は、第3クラッチC−3の外周側まで延設されて、摩擦板41の外摩擦部材41aがスプライン係合しており、更にドラム部52bの後端には、ドラム部材(出力側部材、連結部材)101がスプライン係合している。該ドラム部材101は、中間軸13上に回転自在に支持されている第3スリーブ部材110に対して、更に回転自在に支持されている第4スリーブ部材111に連結されており、該第4スリーブ部材111にサンギヤS2が形成されて、つまり該ドラム部材101は、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。即ち、第4クラッチC−4の回転が出力されるクラッチドラム52は、第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在となっているドラム部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されていることとなる。
一方、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のピストン部材53は、クラッチドラム52のフランジ部52aの後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングd1,d2により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、上述のハブ部52cに嵌合されたスナップリング59によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その前方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa3により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
第3クラッチC−3は、外摩擦板41a及び内摩擦板41bからなる摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、上記リングギヤR1の支持板106の前方側及び第2スリーブ部材105の前方内周側により構成されたシリンダ部42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。
上記リングギヤR1のドラム部R1aは、図13(a)及び(b)に示すように、櫛歯状に形成されており、ピストン部材43に形成された複数の貫通孔43cを貫通・交差する形で構成されている。また、図12及び図13(b)に示すように、支持板106の外周側端部106aは、同じく櫛歯上に形成されており、該リングギヤR1のドラム部R1aが互いに噛み合う形で嵌合していると共に、テーパードスナップリング109により該リングギヤR1が支持板106に対して前後方向である軸方向に固定されて、つまりリングギヤR1と支持板106と第2スリーブ部材105とにより第3クラッチC−3の油圧サーボ40のクラッチドラムを構成している。
また、上述のようにピストン部材43は、図12及び図23(a)に示すように、貫通孔43cによってリングギヤR1に対して摺動自在に貫通・交差しており、即ちピストン部材43は、連結部43aを介して摩擦板41に当接・押圧する当接部43bが軸方向に移動自在となって、該摩擦板43を押圧可能となっている。
このように第3クラッチC−3のピストン部材43は、図12に示すように、位置決め部材106及び第2スリーブ部材105に対して前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa5,a6により、支持板106及び第2スリーブ部材105との間、つまりシリンダ部42との間に油蜜状の油室46を構成している。また、キャンセルプレート44は、上述の第2スリーブ部材105に嵌合されたスナップリング49によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その後方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともにシールリングa4により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
第1クラッチC−1は、第3クラッチC−3の後方にあって、上記支持板106を挟んで反対側の後方側に配置されており、外摩擦板21a及び内摩擦板21bからなる摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。外摩擦板21aは、支持板106の外周側端部106aに例えば溶接などで接続されたドラム部材108に、スプライン係合されており、つまりドラム部材108と支持板106と第2スリーブ部材105とにより第1クラッチC−1の油圧サーボ20のクラッチドラムを構成している。また、ドラム部材108は、支持板106の外周側端部106aに接続されているので、該支持板106を介してリングギヤR1に接続されている。一方、内摩擦板21bは、連結部材102のドラム部102bにスプライン係合されている。この連結部材102の内周側は、後方に延びるスリーブ状のハブ部102aを有しており、中間軸13上に回転自在に支持された第3スリーブ部材110に接続されている。該第3スリーブ部材110には、上記サンギヤS3が形成されており、つまり連結部材102は、第3スリーブ部材110を介してサンギヤS3に連結されている。
油圧サーボ20は、上記リングギヤR1の支持板106の後方側及び第2スリーブ部材105の後方内周側により構成されたシリンダ部22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。ピストン部材23は、位置決め部材106及び第2スリーブ部材105に対して前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa7,a8により、支持板106及び第2スリーブ部材105との間、つまりシリンダ部22との間に油蜜状の油室26を構成している。また、キャンセルプレート24は、上述の第2スリーブ部材105に嵌合されたスナップリング29によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24は、その後方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともにシールリングa9により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
一方、上記第4スリーブ部材111の外周側には、ハブ部CR2aを介して支持されているプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2が配置されており、該ハブ部CR2aの更に外周側には、ワンウェイクラッチF−1が配設されている。該ワンウェイクラッチF−1は、内周側から外周側へ順に、上記ハブ部CR2aに支持されているインナーレース112、スプラグ機構113、ミッションケース3の内周側にスプライン係合しているアウターレース114が備えられている。また、該アウターレース114の後方側には、外摩擦板31a及び内摩擦板31bからなる摩擦板31を備えた第2ブレーキB−2が、該外摩擦板31aがミッションケース3の内周側に、また、該内摩擦板31bがキャリヤCR2のハブ部CR2bにそれぞれスプライン係合する形で、配置されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。入力軸12には、図12に示すように、軸方向に4本の油路c2,c4,c6,c8が穿設されている。詳細には、図14(a)及び(b)に示すように、入力軸12の後方略半分の部分には、軸方向に平行な油路c4、油路c6、油路c8が周方向に略均等な(油路の中心軸が正三角形をなす形の)位置に穿設されている。そして、図12に示すように、油路c2は径方向の油路c1により、油路c6は径方向の油路c5,c14により、油路c8は径方向の油路c7,c13により、油路c4は径方向の油路c3、c9〜c12により、それぞれ入力軸12の外周面に連通されている。
隔壁部材3aのボス部3bには、前側から順に、油路c15,c17が径方向に穿設されている。このボス部3bの外周側に位置する第4クラッチC−4のクラッチドラム52のハブ部52cには、前側から順に、油路c16,c18が径方向に貫通するように穿設されている。また、入力軸12の後方外周側に位置する第2スリーブ部材105には、前側から順に、油路c19,c20,c21,c22が穿設されている。更に、入力軸12の後側には、第2スリーブ部材105の油路c22に対応する位置に油路c23が穿設されており、該油路c23は、中間軸13に穿設されている油路c30に連通している。
一方、スリーブ部材100の外周側には、図示を省略した油溝が形成されており、ボス部3bとの間に油路を構成しており、即ち、広義としてのボス部3b内に油路が形成されている(以下、「ボス部3b内の油路」という)。そして、入力軸12の外周側には、ボス部3b(スリーブ部材100)と油路c1,c3,c5,c7とをシールするためのシールリングd1〜d4が設けられており、また、入力軸12の後方外周側には、第2スリーブ部材105の油路c13と油路c20と、及び油路c14と油路c21とをシールするためのシールリングd7,d8,d9が設けられている。更に、ボス部3bの外周側には、該ボス部3bの油路c15と、クラッチドラム52のハブ部52cの油路c16とをシールするためのシールリングd5,d6が設けられている。
なお、中間軸13、第3スリーブ部材110、第4スリーブ部材111にも、潤滑油を供給するための複数の油路が穿設されているが、一般的な油路構成であるので、その説明を省略する。また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30には、ミッションケース3の隔壁部3cに設けられた油路c24、出力軸15に設けられた油路c25、中間軸(入力軸)13に設けられた油路c26を介して油圧制御装置より作動油が供給される(例えば図15又は図16参照)。
ついで、潤滑油の供給について説明する。上述したオイルポンプ8により発生した油圧に基づき潤滑油がボス部3b内の油路に供給されると、油路c17を介してボス部3bの外周側に飛散される。また同様にオイルポンプ8からの潤滑油がボス部3b内の油路に供給されると、シールリングd1,d2にシールされる形で入力軸12の油路c3,c4にも供給され、油路c4内を介して後方側に供給されると共に、油路c9,c10,c11,c12より入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材、第3クラッチC−3の各部材、第4クラッチC−4の各部材、第1ブレーキB−1の各部材、特に摩擦板21,51,41,61などが潤滑される。なお、例えば第3クラッチC−3、第4クラッチC−4のキャンセル油室47,57内の油も、油路c18、c19を介して潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。また、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油は、中間軸13の油路c30に供給された潤滑油により油路c23、c22を介して供給され、排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
次に、作動油の供給について説明する。例えばオイルポンプ8により発生した油圧に基づき、不図示の油圧制御装置において、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、第4クラッチC−4、第1ブレーキB−1、第2ブレーキB−2、及びロックアップクラッチ10の係合油圧が油圧制御されて発生する。そのうち、ロックアップクラッチ10、第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4の係合油圧に基づき各作動油が、ボス部3b内(第1スリーブ部材100内)に別々に設けられた各油路に、前方側のボス部3bの付根付近より供給される。
ロックアップクラッチ10の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の油路からシールリングd1及び不図示のシールリングにシールされる形で油路c1に供給される。該油路c1に供給された作動油は、油路c2を介してロックアップクラッチ10の摩擦板まで供給されて該摩擦板に作用し、入力軸11に設けられたフランジ状部材に該摩擦板が押圧されて、つまりロックアップクラッチ10が係合する(例えば図15又は図16参照)。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づきロックアップクラッチを解放する際は、作動油が反対に油路c2、c1を介して排出される。
また、第4クラッチC−4の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路から油路c15に供給される。該油路c15に供給された作動油は、シールリングd5,d6にシールされる形で油路c16に、つまり互いに相対回転し得るボス部3bの油路c15からクラッチドラム52の油路c16に供給される。そして、作動油は、油路c16を介して第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56に供給され、ピストン部材53が後方側に押圧されると共に摩擦板51が押圧され、つまり第4クラッチC−4が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第4クラッチC−4を解放する際は、上記リターンスプリング55の付勢によってピストン部材53が前方側に押圧され、それによって油室56の作動油が、反対に油路c16、c15、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第3クラッチC−3の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路からシールリングd3,d4にシールされる形で入力軸12の油路c7に供給される。該油路c7に供給された作動油は、油路c8,c13を介して入力軸12の後側外周部分に供給される。該油路c13に供給された作動油は、シールリングd7,d8にシールされる形で第2スリーブ部材105の油路c20に、つまり互いに相対回転し得る入力軸12の油路c13から第2スリーブ部材105の油路c20に供給される。そして、作動油は、油路c20を介して第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に供給され、ピストン部材43が前方側に押圧されると共にドラム部43bにより摩擦板41が押圧され、つまり第3クラッチC−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第3クラッチC−3を解放する際は、上記リターンスプリング45の付勢によってピストン部材43が前方側に押圧され、それによって油室46の作動油が、反対に油路c20、c13、c8、c7、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
また、第1クラッチC−1の係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、第3クラッチC−3の作動油と略同様に、該ボス部3b内の図示を省略した軸方向の油路からシールリングd2,d3にシールされる形で入力軸12の油路c5に供給される。該油路c5に供給された作動油は、油路c6,c14を介して入力軸12の後側外周部分に供給される。該油路c14に供給された作動油は、シールリングd8,d9にシールされる形で第2スリーブ部材105の油路c21に、つまり互いに相対回転し得る入力軸12の油路c14から第2スリーブ部材105の油路c21に供給される。そして、作動油は、油路c21を介して第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26に供給され、ピストン部材23が後方側に押圧されると共にドラム部23bにより摩擦板21が押圧され、つまり第1クラッチC−1が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第1クラッチC−1を解放する際は、上記リターンスプリング25の付勢によってピストン部材23が前方側に押圧され、それによって油室26の作動油が、反対に油路c21、c14、c6、c5、ボス部3b内の軸方向の油路を介して排出される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機14によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材となるドラム状部材101及びスリーブ部材104)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機14をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機14の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
ところで、上述のような多段変速を可能にする自動変速機を構成するには、例えば多数のクラッチを設ける必要があるが、一方では、自動変速機を車輌に搭載する際の搭載性などの観点から、自動変速機のコンパクト化が望まれるという問題がある。一般に、自動変速機の変速機構の前方側には、オイルポンプの潤滑油や油圧制御装置からの作動油を入力軸に受け渡すため、入力軸の外周側にケースより延設されたボス部が配置されているが、このように入力軸より外周側のボス部上に、更に複数のクラッチを外周側に配置することは、特に径方向のコンパクト化を妨げてしまうという問題がある。
しかしながら、本発明に係る車輌用自動変速機14によると、プラネタリギヤDPと第1及び第3クラッチC−1,C−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤDPに対して軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとは反対側に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの間に配置したので、例えば前進8速段、及び後進2速段を達成することができるものでありながら、例えばケース4より延設されたボス部3b上に複数のクラッチの油圧サーボを配置する場合に比して、車輌用自動変速機14を径方向にコンパクト化することができる。
更に、第1ブレーキB−1の摩擦材61を第4クラッチC−4の径方向外側に重なるように配置し、つまり、第1ブレーキB−1の摩擦材61を、減速回転を伝達するクラッチに比して比較的容量の小さい第4クラッチC−4の外周側に配置するので、車輌用自動変速機11の径方向寸法を大きくすることなく、第1ブレーキB−1の摩擦材61と第4クラッチC−4の重合配置により軸方向寸法を小さくすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPの反対側に配置したので、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2が介在することなく、第1及び第3クラッチC−1,C−3をプラネタリギヤDPと隣接して配置することができると共に、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとを比較的近づけて配置することができ、減速回転を伝達する(即ち大きいトルクを伝達する)伝達部材(例えばR1,101,102,108など)を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機11の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、ケース4の一方側の壁3aから延びるボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50には、ボス部3b内に設けられた油路c15から油を供給し、第2クラッチC−2の油圧サーボ20には、ケース4の他方側の壁3cに設けられた油路c50から油を供給するので、第4クラッチC−4と第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対して分けて配置できるため、ケース4内油路の集中を防止でき、設計自由度を向上することができる。また、第2及び第4クラッチC−2,C−4の油圧サーボ30,50へは、1対の(最少の)シールリングを設けるだけで油の供給を可能とすることができ、シールリングの摺動抵抗を減少させて車輌用自動変速機11の動力伝達効率を向上させることができる。
更に、第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する連結部材101を、第1クラッチC−1の外周側を通して配置するので、プラネタリギヤDPに対して反対側に配置される第4クラッチC−4と第3クラッチC−3の出力側部材52,101とを、部材が錯綜することなく、連結することができ、車輌用自動変速機14をコンパクトにすることができる。
更に、第3クラッチC−3の摩擦板41をプラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置し、プラネタリギヤDPのリングギヤR1を支持する支持板106及び第2スリーブ部材105を入力軸12上に配置し、支持板106の軸方向両側に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20のシリンダ部22、及び第3クラッチC−3の油圧サーボ40のシリンダ部42を配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40のピストン部材43とプラネタリギヤDPのリングギヤR1とを互いに貫通・交差させ、該ピストン部材43が該リングギヤR1、支持板106及び第2スリーブ部材105に対して摺動自在となるように構成したので、支持板106及び第2スリーブ部材105を第1及び第3クラッチC−1,C−3のシリンダ部22,42として共用することができ、軸方向にコンパクト化することができるものでありながら、第3クラッチC−3を係脱自在にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40とが別々に配置されており、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40が支持板106及び第2スリーブ部材105上に配置されているので、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40のクラッチドラムやピストン(例えば23,43,105,106,108,R1)が、入力軸12の入力回転で回転することを防ぐことができ、その第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40に対して設けるシールリングd7、d8、d9に不必要な摺動抵抗を生じさせないようにすることができる。それにより、車輌用自動変速機14としての動力伝達効率が低下することを防ぐことができる。
また、第2スリーブ部材105上が第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40のシリンダ部22,42となっており、即ちそれら油圧サーボ20,40の作動油室26,46が第2スリーブ部材105上に設けられているので、それら作動油室26,46に作動油を供給するために入力軸12と第2スリーブ部材105との間にシールリングd7,d8,d9を設ければよく、例えばボス部3b上にシールリングを設ける場合に比して、シールリングd7,d8,d9の径を小径化することができ、それらシールリングd7,d8,d9の摺動抵抗を減少させることができる。それによって、車輌用自動変速機14としての動力伝達効率を向上を図ることができる。
更に、ボス部3b上にクラッチの油圧サーボを配置する場合に比して、入力軸12上に油圧サーボ20,40を構成する第2スリーブ部材105を配置するので(即ち、例えばクラッチドラムとなる第2スリーブ部材105と入力軸12との間にボス部3bのような部材を介さず、第2スリーブ部材105を入力軸12上に直接配置するので)、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40の作動油室26,46の受圧面積を大きくすることができ、つまり入力軸12の回転に比して高いトルク伝達を行うこととなる、減速回転を伝達する第1及び第3クラッチC−1,C−3の容量を大きくすることができる。
また、プラネタリギヤDPのリングギヤR1の端部R1aを櫛歯状に形成し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40のピストン部材43に、プラネタリギヤDPのリングギヤR1の櫛歯状の端部R1aが貫通・交差する複数の貫通孔43cを形成したので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40のピストン部材43をリングギヤR1、支持板106及び第2スリーブ部材105に対して摺動自在にすることができ、第3クラッチC−3を係脱自在にすることができる。
更に、支持板106の外周側端部106aを櫛歯状に形成し、プラネタリギヤDPのリングギヤR1の櫛歯状の端部R1aを支持板106の櫛歯状の外周側端部106aに嵌合させ、テーパードスナップリング109によりプラネタリギヤDPのリングギヤR1を支持板106に対して軸方向に固定したので、支持板106及び第2スリーブ部材105に対してリングギヤR1を固定支持することができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを入力軸12上に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とに入力軸12内に設けられた油路c5、c6,c14及び油路c7,c8,c13を介して作動油を供給するので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の油圧サーボ20,40には、ボス部3bと入力軸12との間及び該油圧サーボ20,40と入力軸12との間に、それぞれ2対のシールリングd1、d2,d3,d4,d7,d8,d9を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3とをボス部3b上に配置した場合と比較して、シールリング径を小さくすることができることにより、シールリングによる摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機14としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
更に、入力軸12内に第1クラッチC−1の油圧サーボ20に作動油を軸方向に供給する第1油路c6と、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に作動油を軸方向に供給する第2油路c8と、潤滑油を軸方向に供給する第3油路c4と、を軸方向に平行に形成したので、入力軸12を介して第1クラッチC−1の油圧サーボ20及び第3クラッチC−3の油圧サーボ40に作動油を供給することができるものでありながら、入力軸12から潤滑油を供給することができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
<第5の実施の形態>
ついで、上記第4の実施の形態を一部変更した第5の実施の形態について、図15に沿って説明する。図15は第5の実施の形態に係る自動変速機15を示す断面図である。なお、以下に説明する第5の実施の形態において、第4の実施の形態に係る自動変速機14と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第5の実施の形態に係る自動変速機15は、変速機構25を備えており、その変速機構25は、第4の実施の形態に係る自動変速機14の変速機構24に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との配置を反対にしたもの、即ち軸方向において第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDP側、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU側に配置したものである。また、プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との間に環状のサポート壁120を配置したものである。
即ち、第3クラッチC−3の摩擦板41は、プラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置されており、該摩擦板41の更に外周側は、第4クラッチC−4のクラッチドラム52とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2とを第4スリーブ部材111を介して連結するドラム部材101にスプライン係合され、つまり該ドラム部材101は第3クラッチC−3のクラッチドラムとなっている。そして、該ドラム部材101の後方内周側には、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配置されている。
また、リングギヤR1は、例えば溶接などによって支持板106に接続されて固定支持されている。該支持板106の外周側には、第1クラッチC−1の摩擦板21の外摩擦板にスプライン係合しているドラム部材108が、同様に例えば溶接などによって接続されており、つまり支持板106及びドラム部材108は第1クラッチC−1のクラッチドラムを構成している。そして、該支持板106の後方内周側には、第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配置されている。
一方、上記第4スリーブ部材111の外周側には、内周側にスリーブ部120aを有しているサポート壁120が配置されており、該サポート壁120は、外周側がミッションケース3の内周側にスプライン係合して回転不能となっている。該サポート壁120の内側には、油圧制御装置に連通している油路c40が放射方向に穿設されている。また、第4スリーブ部材111には、該サポート壁120の油路c40の内周側に対応する位置に、油路c41が穿設されており、シールリングd10,d11によりシールされる形で、該油路c40と該油路c41とが連通している。そして、第4スリーブ部材111には、該油路c41に連通する軸方向の油路c42、及び該油路c42に連通する油路c43が穿設されており、該油路c43が第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に連通して、つまりサポート壁120の油路c40が第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に連通している。
即ち、第3クラッチC−3の係合用の作動油がサポート壁120の油路c40に供給されると、該油路c40からシールリングd10,d11にシールされる形で第4スリーブ部材111の油路c41に供給され、つまり互いに相対回転し得るサポート壁120の油路c40から第4スリーブ部材111の油路c41に供給される。該油路c41に供給された作動油は、油路c42,c43を介して第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室に供給され、ピストン部材が前方側に押圧されることより摩擦板41が押圧され、つまり第3クラッチC−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第3クラッチC−3を解放する際は、リターンスプリングの付勢によってピストン部材が前方側に押圧され、それによって作動油室の作動油が、反対に油路c43、c42、c41、c40を介して排出される。
なお、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に供給される作動油は、上述したように入力軸12の油路ではなく、サポート壁120及び第4スリーブ部材111の油路を介して供給されるので、入力軸12に第3クラッチC−3の油圧サーボ40用の油路を穿設する必要はない。そのため、第2の実施の形態に係る自動変速機12における入力軸12には、上述した第1クラッチC−1の油圧サーボ20に作動油を供給する油路c5、c6、c14と、潤滑油を供給するための油路c3、c4、c9〜c12とだけが穿設されており、つまり軸方向の油路c4、c6は、平行に2本だけが穿設されている。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機15によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材となるドラム状部材101及びスリーブ部材104)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機15をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機15の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
ところで、上述のような多段変速を可能にする自動変速機を構成するには、例えば多数のクラッチを設ける必要があるが、一方では、自動変速機を車輌に搭載する際の搭載性などの観点から、自動変速機のコンパクト化が望まれるという問題がある。一般に、自動変速機の変速機構の前方側には、オイルポンプの潤滑油や油圧制御装置からの作動油を入力軸に受け渡すため、入力軸の外周側にケースより延設されたボス部が配置されているが、このように入力軸より外周側のボス部上に、更に複数のクラッチを外周側に配置することは、特に径方向のコンパクト化を妨げてしまうという問題がある。
しかしながら、本発明に係る車輌用自動変速機15によると、プラネタリギヤDPと第1及び第3クラッチC−1,C−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤDPに対して軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとは反対側に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を軸方向におけるプラネタリギヤユニットとプラネタリギヤDPとの間に配置したので、例えば前進8速段、及び後進2速段を達成することができるものでありながら、例えばケース4より延設されたボス部3b上に複数のクラッチの油圧サーボを配置する場合に比して、車輌用自動変速機15を径方向にコンパクト化することができる。
更に、第1ブレーキB−1の摩擦材61を第4クラッチC−4の径方向外側に重なるように配置し、つまり、第1ブレーキB−1の摩擦材61を、減速回転を伝達するクラッチに比して比較的容量の小さい第4クラッチC−4の外周側に配置するので、車輌用自動変速機15の径方向寸法を大きくすることなく、第1ブレーキB−1の摩擦材61と第4クラッチC−4の重合配置により軸方向寸法を小さくすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPの反対側に配置したので、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2が介在することなく、第1及び第3クラッチC−1,C−3をプラネタリギヤDPと隣接して配置することができると共に、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとを比較的近づけて配置することができ、減速回転を伝達する(即ち大きいトルクを伝達する)伝達部材(例えばR1,101,102,108など)を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機15の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、ケース4の一方側の壁3aから延びるボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50には、ボス部3b内に設けられた油路c15から油を供給し、第2クラッチC−2の油圧サーボ20には、ケース4の他方側の壁3cに設けられた油路c50から油を供給するので、第4クラッチC−4と第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対して分けて配置できるため、ケース4内油路の集中を防止でき、設計自由度を向上することができる。また、第2及び第4クラッチC−2,C−4の油圧サーボ30,50へは、1対の(最少の)シールリングを設けるだけで油の供給を可能とすることができ、シールリングの摺動抵抗を減少させて車輌用自動変速機15の動力伝達効率を向上させることができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDP側に配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU側に配置したので、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を、軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの間に配置することを可能としている。
更に、第3クラッチC−3の摩擦板41をプラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置し、第3クラッチC−3のクラッチドラム(ドラム部材)101の内周側に第1クラッチC−1を配置したので、車輌用自動変速機12を径方向にコンパクト化することができるものでありながら、第3クラッチC−3の摩擦板41を第1クラッチC−1の外周側に配置する場合に比して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20、又は/及び摩擦板21を比較的径方向に大きくすることができ、それにより第1クラッチC−1の容量を大きくすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを入力軸12上に配置し、プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3との軸方向の間にケース4に固定されたサポート壁120を配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内に設けられた油路c15を介して作動油を供給し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路c5,c6,c14を介して作動油を供給し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40にサポート壁120に設けられた油路c40を介して作動油を供給するので、第4クラッチC−4の油圧サーボ50には、該油圧サーボ50とボス部3bとの間に1対のシールリングd5,d6、また、第1クラッチの油圧サーボ20には、ボス部3bと入力軸12との間及び該油圧サーボ20と入力軸12との間に2対のシールリングd2,d3,d8,d9、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、該油圧サーボ40とサポート壁120との間に1対のシールリングd10,d11を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40の両方に入力軸12から作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を減らすことができ、シールリングの摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機15としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
<第6の実施の形態>
ついで、上記第4及び第5の実施の形態を一部変更した第6の実施の形態について、図16に沿って説明する。図16は第6の実施の形態に係る自動変速機16を示す断面図である。なお、以下に説明する第6の実施の形態において、第4及び第5の実施の形態に係る自動変速機14,15と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第6の実施の形態に係る自動変速機16は、変速機構26を備えており、その変速機構26は、第4の実施の形態に係る自動変速機14の変速機構24に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との配置を反対にしたもの、即ち第2の実施の形態に係る自動変速機15の変速機構25と同様に、軸方向において第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDP側、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU側に配置したものである。
また、第5の実施の形態に係る自動変速機15の変速機構25と同様に、プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との間にサポート壁120を配置したものである。更に、第4クラッチC−4の摩擦板51をプラネタリギヤDPの外周側に配置し、第3クラッチC−3の摩擦板41を第1クラッチC−1の外周側に配置したものである。
即ち、プラネタリギヤDPのキャリヤCR1に接続されているドラム部CR1aは、該プラネタリギヤDPの前方側から外周側に折り返す形で形成されており、該ドラム部CR1aの外周側に第4クラッチC−4の摩擦板51がスプライン係合している。また、第4クラッチC−4のクラッチドラム52は、該摩擦板51の更に外周側を通って該摩擦板51の外摩擦板にスプライン係合していると共に、第3クラッチC−3のクラッチドラムとなるドラム部材101に接続されている。
第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側は、第1クラッチC−1の外周側、詳細には、第1クラッチC−1のクラッチドラムを構成しているドラム部材108の外周側にスプライン係合しており、該摩擦板41の更に外周側は、上記第4クラッチC−4のクラッチドラム52とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2とを第4スリーブ部材111を介して連結するドラム部材101にスプライン係合されている。そして、該ドラム部材101の後方内周側には、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配置されている。
また、リングギヤR1は、例えば溶接などによって支持板106に接続されて固定支持されており、該支持板106の外周側には、ドラム部材108が、同様に例えば溶接などによって接続されている。該ドラム部材108の内周側には、第1クラッチC−1の摩擦板21の外摩擦板がスプライン係合していると共に、上記第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合している。そして、該支持板106の後方内周側には、第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配置されている。
一方、第5の実施の形態に係る自動変速機15と同様に、上記第4スリーブ部材111の外周側には、スリーブ部120aを有しているサポート壁120が配置されており、該サポート壁120の外周側がミッションケース3の内周側にスプライン係合して回転不能となっている。
なお、第4クラッチC−4の油圧サーボ50、第1クラッチC−1の油圧サーボ20、及び第3クラッチC−3の油圧サーボ40へ供給するための油路構造、及びその作動油の供給は、第5の実施の形態と略同様であるので、その説明を省略する。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機16によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材となるドラム状部材101及びスリーブ部材104)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機16をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機16の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
ところで、上述のような多段変速を可能にする自動変速機を構成するには、例えば多数のクラッチを設ける必要があるが、一方では、自動変速機を車輌に搭載する際の搭載性などの観点から、自動変速機のコンパクト化が望まれるという問題がある。一般に、自動変速機の変速機構の前方側には、オイルポンプの潤滑油や油圧制御装置からの作動油を入力軸に受け渡すため、入力軸の外周側にケースより延設されたボス部が配置されているが、このように入力軸より外周側のボス部上に、更に複数のクラッチを外周側に配置することは、特に径方向のコンパクト化を妨げてしまうという問題がある。
しかしながら、本発明に係る車輌用自動変速機16によると、プラネタリギヤDPと第1及び第3クラッチC−1,C−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤDPに対して軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとは反対側に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を軸方向におけるプラネタリギヤユニットとプラネタリギヤDPとの間に配置したので、例えば前進8速段、及び後進2速段を達成することができるものでありながら、例えばケース4より延設されたボス部3b上に複数のクラッチの油圧サーボを配置する場合に比して、車輌用自動変速機16を径方向にコンパクト化することができる。
更に、第1ブレーキB−1の摩擦材61を(少なくとも一部が)第4クラッチC−4の径方向外側に重なるように配置し、つまり、第1ブレーキB−1の摩擦材61を、減速回転を伝達するクラッチに比して比較的容量の小さい第4クラッチC−4の外周側に配置するので、車輌用自動変速機16の径方向寸法を大きくすることなく、第1ブレーキB−1の摩擦材61と第4クラッチC−4の重合配置により軸方向寸法を小さくすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPの反対側に配置したので、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2が介在することなく、第1及び第3クラッチC−1,C−3をプラネタリギヤDPと隣接して配置することができると共に、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとを比較的近づけて配置することができ、減速回転を伝達する(即ち大きいトルクを伝達する)伝達部材(例えばR1,101,102,108など)を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機16の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、ケース4の一方側の壁3aから延びるボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50には、ボス部3b内に設けられた油路c15から油を供給し、第2クラッチC−2の油圧サーボ20には、ケース4の他方側の壁3cに設けられた油路c50から油を供給するので、第4クラッチC−4と第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対して分けて配置できるため、ケース4内油路の集中を防止でき、設計自由度を向上することができる。また、第2及び第4クラッチC−2,C−4の油圧サーボ30,50へは、1対の(最少の)シールリングを設けるだけで油の供給を可能とすることができ、シールリングの摺動抵抗を減少させて車輌用自動変速機16の動力伝達効率を向上させることができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDP側に配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU側に配置したので、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を、軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの間に配置することを可能としている。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51をプラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置し、第3クラッチC−3の摩擦板41を第1クラッチC−1のクラッチドラム(ドラム部材)101の外周側に配置したので、車輌用自動変速機16を軸方向にコンパクト化することができるものでありながら、第3クラッチC−3の摩擦板41をプラネタリギヤDPの外周側に配置する場合に比して、第4クラッチC−4の油圧サーボ50及び摩擦板51を比較的径方向に大きくすることができ、それにより第4クラッチC−4の容量を大きくすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを入力軸12上に配置し、プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3との軸方向の間にケース4に固定されたサポート壁120を配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内に設けられた油路c15を介して作動油を供給し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路c5,c6,c14を介して作動油を供給し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40にサポート壁120に設けられた油路c40を介して作動油を供給するので、第4クラッチC−4の油圧サーボ50には、該油圧サーボ50とボス部3bとの間に1対のシールリングd5,d6、また、第1クラッチの油圧サーボ20には、ボス部3bと入力軸12との間及び該油圧サーボ20と入力軸12との間に2対のシールリングd2,d3,d8,d9、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、該油圧サーボ40とサポート壁120との間に1対のシールリングd10,d11を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40の両方に入力軸12から作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を減らすことができ、シールリングの摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機16としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
<第7の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第7の実施の形態について、図17に沿って説明する。図17は第7の実施の形態に係る自動変速機17を示す断面図である。なお、以下に説明する第7の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
本第7の実施の形態に係る自動変速機17は、変速機構27を備えており、その変速機構27は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20とを配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第3クラッチCー3の油圧サーボ40を配置したものである。
また、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との間にサポート壁120を配置したものである。また、第1ブレーキB−1をワンウェイクラッチF−1の外周側に配置し、該第1ブレーキB−1の油圧サーボ60をサポート壁120の後方外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51を該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPの外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41を該第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61をワンウェイクラッチF−1の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構27の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第1クラッチC−1の内周側を通って第4クラッチC−4のクラッチドラム52に連結されており、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材154は、第1クラッチC−1の外周側を通って第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されており、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されており、該クラッチドラム22には、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材153が連結されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、更に、後方側において、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd3,d4にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bとクラッチドラム52との間をシールリングd5,d6に、クラッチドラム22とクラッチドラム52との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室46には、サポート壁120とクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10にシールされてサポート壁120内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa12,a14よりシールされて構成されている油室36には、入力(中間軸13)内の油路c52,c80が連通しており、該油路c52,c80より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa12,a13によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちサポート壁120とピストン部材63との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したサポート壁120内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機17によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機17をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機17の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
更に、第1ブレーキB−1を、第3クラッチC−3とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4の油圧サーボ50及び摩擦板51を比較的径方向に大きくすることができ、それにより第4クラッチC−4の容量を大きくすることができる。
また、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との軸方向の間にケース4に固定されたサポート壁120を配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40にサポート壁120に設けられた油路c53を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、該油圧サーボ40とサポート壁120との間に1対のシールリングd9,d10を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に入力軸12から作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を減らすことができ、シールリングの摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機17としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60を、サポート壁120の外周側に配置するので、サポート壁120を第1ブレーキB−1の油圧サーボ60のシリンダ部材として共用することができ、部品点数を低減することができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1及び第3クラッチC−1,C−3よりプラネタリギヤユニットのサンギヤS2とサンギヤS3とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。また、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとを比較的近づけて配置することができ、減速回転を伝達する(即ち大きいトルクを伝達する)伝達部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機17の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
<第8の実施の形態>
ついで、上記第7の実施の形態を一部変更した第8の実施の形態について、図18に沿って説明する。図18は第8の実施の形態に係る自動変速機18を示す断面図である。なお、以下に説明する第8の実施の形態において、第7の実施の形態に係る自動変速機17と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を省略する。
本第8の実施の形態に係る自動変速機18は、変速機構28を備えており、その変速機構28は、第7の実施の形態に係る自動変速機17の変速機構27に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20とを配置したものである。また、第1ブレーキB−1をワンウェイクラッチF−1の外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51を該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPの外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41を第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の摩擦板51との外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61をワンウェイクラッチF−1の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構28の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第4クラッチC−4のハブ部材154に連結されている。また、第4クラッチC−4の摩擦板51の外摩擦板にスプライン係合しているクラッチドラム52は、第1クラッチC−1の内周側を通って第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、第1クラッチC−1の外周側を通って連結部材101に連結され、該連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。また、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第4クラッチC−4の外周側を通って第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されており、該クラッチドラム22の外周側には、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、更に、後方側において、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、クラッチドラム42とボス部3bとの間をシールリングd3,d4にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bとクラッチドラム42との間をシールリングd5,d6に、クラッチドラム22とクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd9,d10にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa12,a13よりシールされて構成されている油室36には、入力(中間軸13)内の油路c52,c80が連通しており、該油路c52,c80より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa12,a14によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちシリンダ部材62とピストン部材63との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したミッションケース3内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機18によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機18をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度をもった部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機18の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、ケースから延設されたボス部3b上に、該ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と、プラネタリギヤDPとを配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とに、ボス部3b内に設けられた油路c53,c51,c54からそれぞれ作動油を供給するので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とには、該油圧サーボ40,50とボス部3bとの間に1対のシールリングd3,d4,d9,d10を設けることで、第1クラッチC−1の油圧サーボ20には、該油圧サーボ20とボス部3bとの間に2対のシールリングd5,d6,d7,d8を設けることで、作動油を供給することができる。
また、第1ブレーキB−1を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置することを可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1及び第3クラッチC−1,C−3よりプラネタリギヤユニットのサンギヤS2とサンギヤS3とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。また、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとを比較的近づけて配置することができ、減速回転を伝達する(即ち大きいトルクを伝達する)伝達部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機17の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
<第9の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第9の実施の形態について、図19に沿って説明する。図19は第9の実施の形態に係る自動変速機19を示す断面図である。なお、以下に説明する第9の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を省略する。
本第9の実施の形態に係る自動変速機19は、変速機構29を備えており、その変速機構29は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とを配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第2クラッチC−2の油圧サーボ30とを配置したものである。
また、第1ブレーキB−1を第2クラッチC−2の外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51を該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41をプラネタリギヤDPの外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21を該第1クラッチC−1の油圧サーボ20の外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61を第2クラッチC−2の摩擦板31の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の前方側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構29の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第4クラッチC−4のハブ部材154に連結されている。また、第4クラッチC−4の摩擦板51の外摩擦板にスプライン係合しているクラッチドラム52は、第3クラッチC−3の内周側にてクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、第4クラッチC−4及び第1クラッチC−1の外周側を通って連結部材101に連結され、該連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。また、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合していると共に、第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。更に、入力軸12に第2クラッチC−2のクラッチドラム32が連結されており、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152は中間軸13に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、後方側において、中間軸13に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。なお、本第9の実施の形態における自動変速機19においては、中間軸13は、入力軸12と常に同回転とならず、第2クラッチC−2が係合した場合だけ入力回転で回転する。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、ボス部3bとクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd9,d10にシールされてボス部3b内の油路c54が連通して、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd3,d4によりシールされて入力軸12内の油路c61,c71,c51に連通しており、更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室26には、入力軸12とクラッチドラム22との間をシールリングd11,d12にシールされて該油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd5,d6によりシールされて入力軸12内の油路c62、図示を省略した油路c71と平行に穿設された油路、及び油路c52に連通しており、更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室36には、該油路c52が連通して、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちシリンダ部材62とピストン部材63との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したミッションケース3内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機19によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機19をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、減速回転又は回転しない部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機19の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPに対しプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に第4クラッチC−4を配置することでき、第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、車輌用自動変速機19をコンパクト化することができる。
更に、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、クラッチドラム42の内周側に配置することができ、多段変速が可能な車輌用自動変速機19をコンパクト化することができる。
また、ケース4から延設されたボス部3b上に、該ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとを配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とにボス部3b内に設けられた油路からそれぞれ作動油を供給するので、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50とボス部3bとの間にそれぞれ1対のシールリングd7、d8、d9、d10を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50に入力軸12の油路からボス部3bを介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機19の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、車輌用自動変速機19を径方向にコンパクト化することができる。
更に、第1ブレーキB−1を、第1クラッチC−1とプラネタリギヤセットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置することを可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第1乃至第4クラッチをプラネタリギヤユニットPUの一方側にまとめて配置することができる。また、特にFR車輌に搭載する場合には、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを近づけて配置することができ、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを連結する(即ち大きいトルクを伝達する)部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機19の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量の確保をしつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機19を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
<第10の実施の形態>
ついで、上記第9の実施の形態を一部変更した第10の実施の形態について、図20に沿って説明する。図20は第10の実施の形態に係る自動変速機110を示す断面図である。なお、以下に説明する第10の実施の形態において、第9の実施の形態に係る自動変速機19と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を省略する。
本第10の実施の形態に係る自動変速機110は、変速機構210を備えており、その変速機構210は、第9の実施の形態に係る自動変速機19の変速機構29に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ40と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とを配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2の油圧サーボ30と第1クラッチC−1の油圧サーボ20とを配置したものである。
また、プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との間にサポート壁120を配置したものである。また、第1ブレーキB−1を第1クラッチC−1の油圧サーボ20の外周側に配置し、該第1ブレーキB−1の油圧サーボ60をサポート壁120の前方外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51を該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41をプラネタリギヤDPの外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21を第2クラッチC−2の摩擦板31の外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61を第1クラッチC−1の油圧サーボ20の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の前方側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構210の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第4クラッチC−4のハブ部材154に連結されている。また、第4クラッチC−4の摩擦板51の外摩擦板にスプライン係合しているクラッチドラム52は、第3クラッチC−3の内周側にてクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、第4クラッチC−4及び第1クラッチC−1の外周側を通って連結部材101に連結され、該連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。また、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合していると共に、第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。更に、キャリヤCR1(即ち入力軸12)に第2クラッチC−2のクラッチドラム32が連結されており、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152は中間軸13に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、後方側において、中間軸13に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。なお、本第10の実施の形態における自動変速機110においては、中間軸13は、入力軸12と常に同回転とならず、第2クラッチC−2が係合した場合だけ入力回転で回転する。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、ボス部3bとクラッチドラム42との間をシールリングd5,d6にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd7,d8にシールされてボス部3b内の油路c54が連通して、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd3,d4によりシールされて入力軸12内の油路c61,c71,c52に連通しており、更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室36には、入力軸12の油路c52が連通しており、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa10,a12によりシールされて構成されている油室26には、サポート壁120と連結部材101との間をシールリングd9,d10にシールされ、更に該連結部材101とクラッチドラム22との間をシールリングd11,d12にシールされてサポート壁120内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa10,a11によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちサポート壁120とピストン部材63との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したサポート壁120内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機110によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機110をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度をもった部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機110の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPに対しプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に第4クラッチC−4を配置することでき、第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、車輌用自動変速機110をコンパクト化することができる。
更に、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、クラッチドラム42の内周側に配置することができ、多段変速が可能な車輌用自動変速機110をコンパクト化することができる。
また、ケース4から延設されたボス部3b上に、該ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとを配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とにボス部3b内に設けられた油路からそれぞれ作動油を供給するので、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50とボス部3bとの間にそれぞれ1対のシールリングd7、d8、d9、d10を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4の油圧サーボ40,50に入力軸12の油路からボス部3bを介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機110の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、車輌用自動変速機110を径方向にコンパクト化することができる。
更に、第1ブレーキB−1を、第1クラッチC−1とプラネタリギヤセットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置することを可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第1乃至第4クラッチをプラネタリギヤユニットPUの一方側にまとめて配置することができる。また、特にFR車輌に搭載する場合には、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを近づけて配置することができ、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを連結する(即ち大きいトルクを伝達する)部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機110の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量の確保をしつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機110を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
<第11の実施の形態>
ついで、上記第8の実施の形態を一部変更した第11の実施の形態について、図21に沿って説明する。図21は第11の実施の形態に係る自動変速機111を示す断面図である。なお、以下に説明する第11の実施の形態において、第8の実施の形態に係る自動変速機18と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を省略する。
本第11の実施の形態に係る自動変速機111は、変速機構211を備えており、その変速機構211は、第8の実施の形態に係る自動変速機18の変速機構28に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とを配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2の油圧サーボ30を配置したものである。
また、第1ブレーキB−1を第2クラッチC−2の外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第3クラッチC−3の摩擦板41を第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の摩擦板51との外周側に、第4クラッチC−4の摩擦板51を該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPの外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61を第2クラッチC−2の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の前方側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構28の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第4クラッチC−4のハブ部材154に連結されている。また、第4クラッチC−4の摩擦板51の外摩擦板にスプライン係合しているクラッチドラム52は、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の内周側を通って第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、第1クラッチC−1の外周側を通って連結部材101に連結され、該連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。また、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第4クラッチC−4の外周側を通って第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されており、該クラッチドラム22の外周側には、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。更に、キャリヤCR1(即ち入力軸12)に第2クラッチC−2のクラッチドラム32が連結されており、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152は中間軸13に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、後方側において、中間軸13に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。なお、本第11の実施の形態における自動変速機111においては、中間軸13は、入力軸12と常に同回転とならず、第2クラッチC−2が係合した場合だけ入力回転で回転する。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、クラッチドラム42とボス部3bとの間をシールリングd5,d6にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bとクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8に、クラッチドラム22とクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd11,d12にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd3,d4によりシールされて入力軸12内の油路c61,c71,c52に連通しており、更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室36には、入力軸12の油路c52が連通しており、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちシリンダ部材62とピストン部材63との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したミッションケース3内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機111によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機111をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度をもつ部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機111の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、ケースから延設されたボス部3b上に、該ボス部3bのケース4に対する付け根側から軸方向へ順に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と、プラネタリギヤDPとを配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とに、ボス部3b内に設けられた油路c53,c51,c54からそれぞれ作動油を供給するので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とには、該油圧サーボ40,50とボス部3bとの間に1対のシールリングd5,d6,d11,d12を設けることで、第1クラッチC−1の油圧サーボ20には、該油圧サーボ20とボス部3bとの間に2対のシールリングd7,d8,d9,d10を設けることで、作動油を供給することができる。
また、第1ブレーキB−1を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第3クラッチC−3の摩擦板41を第4クラッチC−4の外周側に配置することを可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第1乃至第4クラッチをプラネタリギヤユニットPUの一方側にまとめて配置することができる。また、特にFR車輌に搭載する場合には、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを近づけて配置することができ、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを連結する(即ち大きいトルクを伝達する)部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機111の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量の確保をしつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機111を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
<第12の実施の形態>
ついで、上記第7の実施の形態を一部変更した第12の実施の形態について、図22に沿って説明する。図22は第12の実施の形態に係る自動変速機112を示す断面図である。なお、以下に説明する第12の実施の形態において、第7の実施の形態に係る自動変速機17と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
本第12の実施の形態に係る自動変速機112は、変速機構212を備えており、その変速機構212は、第7の実施の形態に係る自動変速機17の変速機構27に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20とを配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第2クラッチC−2の油圧サーボ30と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを配置したものである。
また、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との間にサポート壁120を配置したものである。また、第1ブレーキB−1を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に配置し、該第1ブレーキB−1の油圧サーボ60をサポート壁120の前方外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51を第1クラッチC−1の油圧サーボ20の外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21をプラネタリギヤDPの外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41を第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の前方側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構212の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第1クラッチC−1の内周側を通って第4クラッチC−4のクラッチドラム52に連結されており、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材154は、第1クラッチC−1の外周側を通って第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板がスプライン係合していると共に、連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されており、該クラッチドラム22には、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材153が連結されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。更に、キャリヤCR1(即ち入力軸12)に第2クラッチC−2のクラッチドラム32が連結されており、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152は中間軸13に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、後方側において、中間軸13に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。なお、本第12の実施の形態における自動変速機112においては、中間軸13は、入力軸12と常に同回転とならず、第2クラッチC−2が係合した場合だけ入力回転で回転する。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd5,d6にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bとクラッチドラム52との間をシールリングd7,d8に、クラッチドラム22とクラッチドラム52との間をシールリングd9,d10に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd3,d4によりシールされて入力軸12内の油路c61,c71,c52に連通しており、更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室36には、入力軸12の油路c52が連通しており、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa10,a12によりシールされて構成されている油室46には、サポート壁120とクラッチドラム42との間をシールリングd11,d12にシールされてサポート壁120内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa10,a11によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちサポート壁120とピストン部材63との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したサポート壁120内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機112によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機112をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度をもつ部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機112の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
更に、第1ブレーキB−1を、第3クラッチC−3とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4の油圧サーボ50及び摩擦板51を比較的径方向に大きくすることができ、それにより第4クラッチC−4の容量を大きくすることができる。
また、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との軸方向の間にケース4に固定されたサポート壁120を配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40にサポート壁120に設けられた油路c53を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、該油圧サーボ40とサポート壁120との間に1対のシールリングd11,d12を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に入力軸12から作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を減らすことができ、シールリングの摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機112としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60を、サポート壁120の外周側に配置するので、サポート壁120を第1ブレーキB−1の油圧サーボ60のシリンダ部材として共用することができ、部品点数を低減することができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第1乃至第4クラッチをプラネタリギヤユニットPUの一方側にまとめて配置することができる。また、特にFR車輌に搭載する場合には、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを近づけて配置することができ、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを連結する(即ち大きいトルクを伝達する)部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機112の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
また、プラネタリギヤユニットPUはリングギヤR3が外周側の一方側に配置されたラビニヨ型のプラネタリギヤであり、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側の他方側に配置するので、第2ブレーキB−2の摩擦板71を容量の確保をしつつ小径化しながら、プラネタリギヤユニットPUと径方向に重なる位置に配置できるため、車輌用自動変速機112を径方向にコンパクト化することと軸方向に短縮化することとを両立することができる。
<第13の実施の形態>
ついで、上記第5及び第6の実施の形態を一部変更した第13の実施の形態について、図23に沿って説明する。図23は第13の実施の形態に係る自動変速機113を示す断面図である。なお、以下に説明する第13の実施の形態において、第5及び第6の実施の形態に係る自動変速機15,16と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
本第13の実施の形態に係る自動変速機113は、変速機構213を備えており、その変速機構213は、第5及び第6の実施の形態に係る自動変速機15,16の変速機構25,26に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の配置を変更したものである。即ち軸方向において、プラネタリギヤDPに対し、プラネタリギヤユニットPUとは反対側に第4クラッチC−4の油圧サーボ50を配置し、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間に第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第2クラッチC−2の油圧サーボ30と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを配置したものである。
また、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との間、詳細にはワンウェイクラッチF−1と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との間にサポート壁120を配置したものである。また、第1ブレーキB−1をワンウェイクラッチF−1の外周側に配置し、該第1ブレーキB−1の油圧サーボ60をサポート壁120の後方外周側に配置し、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70をプラネタリギヤユニットPUと隔壁部3cとの間に配置したものである。
更に、第4クラッチC−4の摩擦板51をプラネタリギヤDPの外周側に、第1クラッチC−1の摩擦板21を該第1クラッチC−1の油圧サーボ20及び第2クラッチC−2の外周側に、第2クラッチC−2の摩擦板31を該第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側に、第3クラッチC−3の摩擦板41を該第3クラッチC−3の油圧サーボ40及び第2クラッチC−2の摩擦板31の外周側に、第1ブレーキB−1の摩擦板61をワンウェイクラッチF−1の外周側に、第2ブレーキB−2の摩擦板71をプラネタリギヤユニットPUの外周側に、それぞれ配置したものである。
ついで、変速機構213の伝達経路について簡単に説明する。プラネタリギヤDPのキャリヤCR1は、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材154に連結されている。第4クラッチC−4のクラッチドラム52は、第1クラッチC−1の外周側を通って第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されている。また、該クラッチドラム42は、連結部材101を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されており、該連結部材101には、第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材157が連結されている。
一方、プラネタリギヤDPのリングギヤR1は、第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されており、該クラッチドラム22には、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材153が連結されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材151は、連結部材102を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。更に、入力軸12に第2クラッチC−2のクラッチドラム32が連結されており、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材152は中間軸13に連結されている。
また、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2は、前方側において、ワンウェイクラッチF−1のインナーレース112に連結されていると共に、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材158に連結されており、後方側において、中間軸13に連結されている。なお、ワンウェイクラッチF−1のアウターレース114は、フランジ状部材115を介してミッションケース3の内周側に接続されている。そして、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。なお、本第13の実施の形態における自動変速機113においては、中間軸13は、入力軸12と常に同回転とならず、第2クラッチC−2が係合した場合だけ入力回転で回転する。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd7,d8にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd3,d4によりシールされて入力軸12内の油路c61,c71,c51に連通しており、更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、入力軸12とクラッチドラム22との間をシールリングd9,d10にシールされて該油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路が、該ボス部3bと入力軸12とをシールリングd5,d6によりシールされて入力軸12内の油路c62、図示を省略した油路c71と平行に穿設された油路、及び油路c52に連通しており、更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室36には、該油路c52が連通して、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室46には、サポート壁120とクラッチドラム42との間をシールリングd11,d12にシールされてサポート壁120内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の油室66、即ちサポート壁120とピストン部材63との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室66には、図示を省略したサポート壁120内の油路から作動油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の隔壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa15,a16によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
また、図示を省略したボス部3b内の油路からは、シールリングd1,d2にシールされて入力軸12内の油路c60,c70が連通しており、該油路c70から入力軸12の外周側に向けて図示を省略した油路を介して潤滑油が飛散される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機113によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機113をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度をもつ部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機113の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
更に、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60を、サポート壁120の外周側に配置するので、サポート壁120を第1ブレーキB−1の油圧サーボ60のシリンダ部材として共用することができ、部品点数を低減することができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを軸方向におけるプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの間に配置したので、多段変速を達成することができるものでありながら、例えばケース4より延設されたボス部3b上に複数のクラッチの油圧サーボを配置する場合に比して、車輌用自動変速機113を、特に径方向寸法に対して、コンパクト化することができる。
更に、第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3とを連結する連結部材102を、第3クラッチC−3の内周側を通して配置するので、第3クラッチC−3の出力側部材(即ちクラッチドラム42、連結部材101)を第1クラッチC−1の連結部材102の外周側に設けることができ、プラネタリギヤDPに対して反対側に配置される第4クラッチC−4と第3クラッチC−3の出力側部材(即ちクラッチドラム42、連結部材101)とを、部材が錯綜することなく、連結することができて、車輌用自動変速機113をコンパクトにすることができる。
また、第4クラッチC−4の摩擦板51をプラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側に配置するので、第4クラッチC−4の油圧サーボ50及び摩擦板51を比較的径方向に大きくすることができ、それにより第4クラッチC−4の容量を大きくすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を入力軸12上に配置し、プラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3との軸方向の間にケース4に固定されたサポート壁120を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路c52を介して作動油を供給し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40にサポート壁120に設けられた油路c53を介して作動油を供給するので、第1クラッチC−1の油圧サーボ20には、ボス部3bと入力軸の間、及び該油圧サーボ20と入力軸12との間に、それぞれ1対のシールリングd5、d6、d9、d10を設けることで、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、該油圧サーボ40とサポート壁120との間に、1対のシールリングd11、d12を設けることで作動油を供給することができる。それにより、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40の両方に入力軸12から作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を減らすことができ、シールリングの摺動抵抗を減少させることができて、車輌用自動変速機113としての動力伝達効率の向上を図ることができる。
また、第2クラッチC−2を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置するので、第1乃至第4クラッチをプラネタリギヤユニットPUの一方側にまとめて配置することができる。また、特にFR車輌に搭載する場合には、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを近づけて配置することができ、プラネタリギヤユニットPUと出力軸15とを連結する(即ち大きいトルクを伝達する)部材を短くすることができる。それにより、車輌用自動変速機113の軽量化やイナーシャの低減による制御性の向上を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
<第14の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第13の実施の形態を一部変更した第14の実施の形態について、図24に沿って説明する。図24は第14の実施の形態に係る自動変速機114を示す断面図である。なお、以下に説明する第14の実施の形態において、第1乃至第13の実施の形態に係る自動変速機1と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
図24に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機114は、ミッションケース3、不図示のトルクコンバータを内包するハウジングケース等が接続されて構成されたケース4を有しており、該ミッションケース3内には、変速機構214、図示を省略したカウンタシャフト及びディファレンシャル装置が配置されている。変速機構214は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されており、また、不図示のカウンタシャフトは、それら入力軸12及び中間軸13と平行な軸上に配置されて、更に、不図示のディファレンシャルギヤ装置は、該カウンタシャフトと平行な軸上に左右車軸を有する形で配置されている。なお、上記入力軸12及び中間軸13と、カウンタシャフトと、左右車軸とは、側面視くの字状の位置関係である。
なお、上述した第1乃至第13の実施の形態におけるFRタイプの車輌に搭載して好適な自動変速機においては、図中における左右方向が実際には前後方向であったが、以下に説明するFFタイプの車輌に搭載して好適な自動変速機においては、図中における左右方向が実際にも車輌における左右方向である。しかしながら、搭載する方向によっては、図中の右側が実際の車輌の左側、図中の左側が実際の車輌の右側になるが、以下の説明において、単に「右方側」又は「左方側」という場合は、図中における「右方側」又は「左方側」をいう。
図24に示すように、ミッションケース3内には、上記中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の右方側(入力側)には、右方側より順に第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1とカウンタギヤ(出力部材)150とが配置されている。また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとは、詳しくは後述する第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置されている。更に、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42の外周側には、バンドブレーキからなる第1ブレーキB−1が配置されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の左方側には、第2クラッチC−2が配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1とが配置されている。
詳細に説明すると、ミッションケース3の右方内側、すなわちカウンタギヤ150よりも右方側には、入力軸12上に、右方側から順に、第4クラッチC−4の摩擦板51、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。また、第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が、第3クラッチC−3の摩擦板41及び第1クラッチC−1の摩擦板21の一部の外径側にオーバーラップする形で配置されている。なお、本明細書中においては、ブレーキバンド161はバンド状のものであるが、摩擦板の一種として説明し、つまり「ブレーキの摩擦板」とは、多板式ブレーキの摩擦板とバンドブレーキのブレーキバンドとを含むものとする。
また、ミッションケース3には、該ミッションケース3と不図示のハウジングケースとの間を隔離する隔壁部材3aがケース4の一部として固着されており、該隔壁部材3aより延設されたボス部3b上には、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配設されている。さらに、該油圧サーボ40の左方側において、第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配設されており、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤDPが、そして摩擦板21のほぼ内径側には第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配設されている。すなわちミッションケース3の右方側には、ボス部3b上にて順に(ボス部3bの付け根側から軸方向へ順に)、油圧サーボ40、油圧サーボ50、プラネタリギヤDPが配置されており、入力軸12上に油圧サーボ20がプラネタリギヤDPに隣接する形で配設されている。
更に、上記第1クラッチC−1の油圧サーボ20の左方側には、フランジ状のサポート壁130がミッションケース3の内周面に固着されて配置されており、該サポート壁130の内径側には、ボールベアリング131を介して、後述するプラネタリギヤユニットPUのリングギヤR2に接続されたカウンタギヤ150が該サポート壁130に回転自在に支持されて配置されている。
一方、ミッションケース3の図中左方側、すなわちカウンタギヤ150の左方側には、中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配設されている。このプラネタリギヤユニットPUの外周側の右方部分には、第2のブレーキB−2の摩擦板71とワンウェイクラッチF−1とが配設され、またプラネタリギヤユニットPUの外径側の左方部分には第2クラッチC−2の摩擦板31が配設されている。摩擦板31の左方側から内径側にかけては、第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配設され、この油圧サーボ30の外周側には第2ブレーキB−2の油圧サーボ70が配設されている。
以上のように、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置され、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とカウンタギヤ150とは、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置され、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されていることになる。
次に、図24を参照して、ミッションケース3の内側の構成について詳述する。なお、各油路構造については後にまとめて説明する。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、上述の隔壁部材3aから左方に延びるボス部3bに回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、左右方向に2つのキャリヤプレートを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。左方側のキャリヤプレートは、入力軸12に接続されており、右方側のキャリヤプレートは、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板をスプライン係合するハブ部材154に接続されている。リングギヤR1はその外周面に、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合されている。またリングギヤR1の左方側には、ハブ部材151が連結されており、このハブ部材151には、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板がスプライン係合されている。
以上説明したプラネタリギヤDPの右方側には、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3のクラッチドラム42を介してボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径部が第3クラッチC−3のクラッチドラム42のハブ部42cに固定されており、また外径部の内周面には摩擦板51の外摩擦板51aがスプライン係合されている。ピストン部材53は、クラッチドラム52の左方側に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa4,a5により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、上述のクラッチドラム42に嵌合されたスナップリング59によって左方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その右方側に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
なお、第4クラッチC−4は、以上のように構成されているため、該第4クラッチC−4が係合した際にクラッチドラム52にキャリヤCR1の入力回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第4クラッチC−4が係合していない際には、クラッチドラム52に回転が入力されず油圧サーボ50が回転することはない。
第3クラッチC−3は、上述の第4クラッチC−4の内周側及び右方側及び外周側を囲むように構成されており、上記ボス部3b上に配置されている。第3クラッチC−3は、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、クラッチドラム42は、隔壁部材3aの左方に配置されたフランジ部42aと、このフランジ部42aの内周から左方に延びるハブ部42cと、フランジ部42aの外周から左方に延びるドラム部42bとを有している。このうちハブ部42は、上述の隔壁部材3aから左方側に延設されたボス部3bの外周面に回転自在に支持されている。クラッチドラム42のハブ部42cの端部は、第4クラッチC−4よりも左方側に位置しており、上述のように第4クラッチC−4の油圧サーボ50が外周側に配置された形となっている。クラッチドラム42のドラム部42bは、第4クラッチC−4の外径側を通って、第1クラッチC−1の外径側まで延設されている。またそのクラッチドラム42のドラム部42bは、その外周面においてバンドブレーキからなる第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が配置され、また前述のリングギヤR1に対応する部分において摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合され、さらに左方部分において連結部材101が連結されている。この連結部材101は、第1クラッチC−1の外径側、左方側を通って内径側に延び、サンギヤS2に連結されている。
第3クラッチC−3のピストン部材43は、クラッチドラム42に対して軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa1,a2により、クラッチドラム42との間に油蜜状の油室46を構成している。また、ピストン部材43の外径部分は、前述の第4クラッチC−4のクラッチドラム52の外周側で、かつ第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側を通って左方側に延び、その端部を、摩擦板41に対面させている。キャンセルプレート44は、クラッチドラム42のハブ部42cの外周面に嵌合されたスナップリング49によって左方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その右方側に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともにシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
なお、第3クラッチC−3は、以上のように構成されているため、該第3クラッチC−3が係合した際にクラッチドラム42にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第3クラッチC−3が係合していない際には、クラッチドラム42に回転が入力されず油圧サーボ40が回転することはない。
第1クラッチC−1は、プラネタリギヤDP及び第3クラッチC−3の摩擦板41の左方側にあって、入力軸12上に配置されており、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。摩擦板21の内摩擦板は、上述のリングギヤR1に連結されたハブ部材151の外周面にスプライン係合されている。また摩擦板21の外摩擦板は、後述のクラッチドラム22の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム22は連結部材102に連結されている。そして、この連結部材102は、サンギヤS3に連結されている。
油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、入力軸12の左方側外周面に相対回転自在に取り付けられている。ピストン部材23は、クラッチドラム22に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa7,a8により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の油室26を構成している。ピストン部材23は、外周側の部分を摩擦板21の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート24は、上述のクラッチドラム22の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング29によって右方側への移動が阻止されており、その左方側に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともにシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
第1ブレーキB−1は、クラッチドラム42の外径側に配置されており、ミッションケース3に対して回転不能に配設された不図示の油圧サーボと、該油圧サーボによりクラッチドラム42の外周部を締付け・解放するブレーキバンド161とを備えている。
第2ブレーキB−2は、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR2の外径側から左方側の後述する第2クラッチC−2の外径側までに亘って配置されている。第2ブレーキB−2は、摩擦板71と、この摩擦板71を接断する油圧サーボ70とを備えている。摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合されていると共に、内摩擦板はプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に後述のハブ部材152を介して連結されたハブ部材158にスプライン係合されている。
油圧サーボ70は、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有しており、ピストン部材73とミッションケース3との間に油室76を構成している。ピストン部材73は、軸方向に移動可能に配置されており、右方側端部が摩擦板71に対面している。ピストン部材73とミッションケース3との間には、2本のシールリングa13,a14によって、油蜜状の油室76が形成されている。さらにキャンセルプレート74は、ミッションケース3の内周面に嵌合されたスナップリング79によって右方側への移動が阻止されている。
ワンウェイクラッチF−1は、プラネタリギヤユニットPUの外径側で、かつ前述の第2ブレーキB−2の右方側に配置されており、内周側から外周側へ順に、上記ハブ部材158に連結されたインナーレース112、スプラグ機構113、ミッションケース3の内周側にスプライン係合しているアウターレース114が備えられている。
第2クラッチC−2は、プラネタリギヤユニットPUの外径側から左方側にあって、かつ第2ブレーキB−2の内径側に配置されており、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。摩擦板31の内摩擦板は、上述のインナーレース112及びハブ部材158に連結されると共にキャリヤCR2に連結されたハブ部材152にスプライン係合されている。また摩擦板31の外摩擦板は、後述のクラッチドラム32の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム32は中間軸13に連結されている。この中間軸13は、前述の入力軸12にスプライン係合されており、つまりクラッチドラム32は、中間軸13を介して入力軸12に連結されている。
油圧サーボ30は、クラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有しており、これらにより、油室36、キャンセル油室37を構成している。クラッチドラム32は、内周側の右方側端部が中間軸13に取り付けられていると共に、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3d上に回転自在に支持されている。ピストン部材33は、クラッチドラム32に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa10,a11により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の油室36を構成している。ピストン部材33は、外周側の部分を摩擦板31の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート34は、上述のクラッチドラム32の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング39によって右方側への移動が阻止されており、その左方側に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されるとともにシールリングa10,a12により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、ミッションケース3の内周側の略中央においては、サポート壁130が該ミッションケース3に外周側が連結されて配置されており、該サポート壁130の内径側にて延設されたボス部130a上には、ボールベアリング131を介してカウンタギヤ150が配置されている。なお、該カウンタギヤ150の外周側には、不図示のカウンタシャフトに連結されたギヤが噛合しており、更に該カウンタシャフトは、不図示のギヤ機構やディファレンシャルギヤなどを介して駆動車輪に連結されている。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd3,d4にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、クラッチドラム42とボス部3bとの間をシールリングd1,d2にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd5,d6に、入力軸12とクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c60が入力軸12内の油路c61,c70,c62、及び油路c51を介して連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11よりシールされて構成されている油室36には、クラッチドラム32とボス部3dとの間をシールリングd9,d10にシールされてボス部3d内の油路c52が連通しており、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の側壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機114によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機114をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機114の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、プラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、かつプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置したので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置することができ、例えば前進8速段、及び後進2速段のような多段変速が可能な車輌用自動変速機114をコンパクト化することができる。
更に、入力軸12上にかつプラネタリギヤDPに隣接して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えば油圧制御装置から作動油を供給する油路、即ちボス部3b内の油路と入力軸12との間、及び第1クラッチC−1の油圧サーボ20と入力軸12との間にそれぞれ1対のシールリングd5,d6,d7,d8を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば他の部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機114の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第4クラッチC−4により入力回転が伝達自在であり、かつ第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在であり、かつ第1ブレーキB−1により回転が固定自在であり、サンギヤS3は、第1クラッチC−1により減速回転が伝達自在であり、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2により入力回転が伝達自在であり、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在であり、リングギヤR2はカウンタギヤ150に連結されているので、例えば前進8速段、及び後進2速段の多段変速が可能になる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、第4クラッチC4の容量を確保することができ、結果として車輌用自動変速機114を軸方向にコンパクト化することができる。
また、本実施例では、第1ブレーキB−1は、第3クラッチC3の摩擦板41の外周側に配置しているが、第1ブレーキB−1を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に配置することも可能であり、第1ブレーキB−1と第3クラッチC−3とを径方向に重ねた配置にすることにより、第1ブレーキB−1の容量を確保しつつ小径化しながら、、車輌用自動変速機114を径方向にコンパクト化することができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1クラッチC−1とサンギヤS3とを連結する部材、及び第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。
なお、本第14の実施の形態に係る車輌用自動変速機114は、変速機構214を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第59の実施の形態に係る車輌用自動変速機159を構成することを可能とすることができる。
<第15の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第15の実施の形態について、図25に沿って説明する。図25は第15の実施の形態に係る自動変速機115を示す断面図である。なお、以下に説明する第15の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第15の実施の形態に係る自動変速機115は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とカウンタギヤ150との左右方向(軸方向)の配置を入れ替えて構成したものである。
なお、本第15の実施の形態に係る車輌用自動変速機115は、変速機構215を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第60の実施の形態に係る車輌用自動変速機160を構成することを可能とすることができる。
<第16の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第16の実施の形態について、図26に沿って説明する。図26は第16の実施の形態に係る自動変速機116を示す断面図である。なお、以下に説明する第16の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第16の実施の形態に係る自動変速機116は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤDPとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間であって、詳しくはプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。
また、この構成により、第2クラッチC−2を入力軸12上に配置することが可能となるので、中間軸13に常に入力回転を伝達させる必要をなくすことができると共に、該中間軸13を第2クラッチC−2からの出力(回転)を伝達する動力伝達部材として利用することを可能とすることができる。
なお、本第16の実施の形態に係る車輌用自動変速機116は、変速機構216を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させ、C−2クラッチからプラネタリギヤユニットへの伝達部材を追加することで後述する第61の実施の形態に係る車輌用自動変速機161を構成することを可能とすることができる。
<第17の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第17の実施の形態について、図27に沿って説明する。図27は第17の実施の形態に係る自動変速機117を示す断面図である。なお、以下に説明する第17の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第17の実施の形態に係る自動変速機117は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。
また、本実施例では、サポート壁の一部を第1ブレーキB−1のシリンダ部材としており、部品点数の低減を可能としている。
なお、本第17の実施の形態に係る車輌用自動変速機117は、変速機構217を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させ、C−2クラッチからプラネタリギヤユニットのキャリヤへの伝達部材を追加することで後述する第62の実施の形態に係る車輌用自動変速機162を構成することを可能とすることができる。
<第18の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第18の実施の形態について、図28に沿って説明する。図28は第18の実施の形態に係る自動変速機118を示す断面図である。なお、以下に説明する第18の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第18の実施の形態に係る自動変速機118は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3との配置は入れ替えたものであってもよく、つまり第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPU(カウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成してもよい。
また、本第18の実施の形態に係る車輌用自動変速機118は、変速機構218を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第63の実施の形態に係る車輌用自動変速機163を構成することを可能とすることができる。
<第19の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第19の実施の形態について、図29に沿って説明する。図29は第19の実施の形態に係る自動変速機119を示す断面図である。なお、以下に説明する第19の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第19の実施の形態に係る自動変速機119は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。また、本実施の形態においては、サポート壁と連結部材101との間をシールリングd11,d12によりシールし、連結部材101と連結部材102との間をブッシュb1,b2によりシールして油路c90を形成し、それによって、サポート壁内の油路c53より油路c90を介して、クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に作動油を供給する構成となっている。
なお、本第19の実施の形態に係る車輌用自動変速機119は、変速機構219を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第64の実施の形態に係る車輌用自動変速機164を構成することを可能とすることができる。
<第20の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第20の実施の形態について、図30に沿って説明する。図30は第20の実施の形態に係る自動変速機120を示す断面図である。なお、以下に説明する第20の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第20の実施の形態に係る自動変速機120は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第20の実施の形態に係る車輌用自動変速機120は、変速機構220を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第65の実施の形態に係る車輌用自動変速機165を構成することを可能とすることができる。
<第21の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第21の実施の形態について、図31に沿って説明する。図31は第21の実施の形態に係る自動変速機121を示す断面図である。なお、以下に説明する第21の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第21の実施の形態に係る自動変速機121は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、詳しくはカウンタギヤ150とプラネタリギヤDP(更に詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20)との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第21の実施の形態に係る車輌用自動変速機121は、変速機構221を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第66の実施の形態に係る車輌用自動変速機166を構成することを可能とすることができる。
<第22の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第22の実施の形態について、図32に沿って説明する。図32は第22の実施の形態に係る自動変速機122を示す断面図である。なお、以下に説明する第22の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第22の実施の形態に係る自動変速機122は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に、詳しくは第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第22の実施の形態に係る車輌用自動変速機122は、変速機構222を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第67の実施の形態に係る車輌用自動変速機167を構成することを可能とすることができる。
<第23の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第23の実施の形態について、図33に沿って説明する。図33は第23の実施の形態に係る自動変速機123を示す断面図である。なお、以下に説明する第23の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第23の実施の形態に係る自動変速機123は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向における間に配置し、また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。
なお、本第23の実施の形態に係る車輌用自動変速機123は、変速機構223を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させ、C2クラッチからプラネタリギヤユニットのキャリヤへの連結部材を追加することで、後述する第68の実施の形態に係る車輌用自動変速機168を構成することを可能とすることができる。
<第24の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第24の実施の形態について、図34に沿って説明する。図34は第24の実施の形態に係る自動変速機124を示す断面図である。なお、以下に説明する第24の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第24の実施の形態に係る自動変速機124は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第24の実施の形態に係る車輌用自動変速機124は、変速機構224を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第69の実施の形態に係る車輌用自動変速機169を構成することを可能とすることができる。
<第25の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第25の実施の形態について、図35に沿って説明する。図35は第25の実施の形態に係る自動変速機125を示す断面図である。なお、以下に説明する第25の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第25の実施の形態に係る自動変速機125は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第25の実施の形態に係る車輌用自動変速機125は、変速機構225を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第70の実施の形態に係る車輌用自動変速機170を構成することを可能とすることができる。
<第26の実施の形態>
ついで、上記第14の実施の形態を一部変更した第26の実施の形態について、図36に沿って説明する。図36は第26の実施の形態に係る自動変速機126を示す断面図である。なお、以下に説明する第26の実施の形態においては、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第26の実施の形態に係る自動変速機126は、第14の実施の形態に係る自動変速機114に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第26の実施の形態に係る車輌用自動変速機126は、変速機構226を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第71の実施の形態に係る車輌用自動変速機171を構成することを可能とすることができる。
<第27の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第26の実施の形態を一部変更した第27の実施の形態について、図37に沿って説明する。図37は第27の実施の形態に係る自動変速機127を示す断面図である。なお、以下に説明する第27の実施の形態において、第1乃至第26の実施の形態に係る自動変速機1と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
図37に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機127は、ミッションケース3、不図示のトルクコンバータを内包するハウジングケース等が接続されて構成されたケース4を有しており、該ミッションケース3内には、変速機構227、図示を省略したカウンタシャフト及びディファレンシャル装置が配置されている。変速機構227は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されている。また、中間軸13は、右方側である、入力軸12に連結された第1中間軸13aと、左方側である、該第1中間軸13aに連結された第2中間軸13bとにより構成されており、つまり2本の軸に分割されて構成されている。
図37に示すように、ミッションケース3内には、上記中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の右方側(入力側)には、右方側より順に第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1とが配置されている。また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとは、詳しくは後述する第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置されている。更に、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42の外周側には、バンドブレーキからなる第1ブレーキB−1が配置されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の左方側には、右方側より順に第2クラッチC−2とカウンタギヤ150とが配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1とが配置されている。
詳細に説明すると、ミッションケース3の右方内側、すなわちプラネタリギヤユニットPUよりも右方側には、入力軸12上に、右方側から順に、第4クラッチC−4の摩擦板51、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。また、第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が、第3クラッチC−3の摩擦板41及び第1クラッチC−1の摩擦板21の一部の外径側にオーバーラップする形で配置されている。
また、ミッションケース3には、該ミッションケース3と不図示のハウジングケースとの間を隔離する隔壁部材3aがケース4の一部として固着されており、該隔壁部材3aより延設されたボス部3b上には、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配設されている。さらに、該油圧サーボ40の左方側において、第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配設されており、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤDPが、そして摩擦板21のほぼ内径側には第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配設されている。すなわちミッションケース3の右方側には、ボス部3b上にて順に(ボス部3bの付け根側から軸方向へ順に)、油圧サーボ40、油圧サーボ50、プラネタリギヤDPが配置されており、入力軸12上に油圧サーボ20がプラネタリギヤDPに隣接する形で配設されている。
一方、ミッションケース3の図中左方側、すなわち第1クラッチC−1の油圧サーボ20よりも左方側には、中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配設されている。このプラネタリギヤユニットPUの外周側の左方部分には、第2のブレーキB−2の摩擦板71が配設され、またプラネタリギヤユニットPUの外径側の右方部分には該第2ブレーキB−2の油圧サーボ70が配設されている。更に、プラネタリギヤユニットPUの左方側には、外径側に第2クラッチC−2の摩擦板31が配置されると共に、内径側に第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配置されている。そして、ワンウェイクラッチF−1が、第2クラッチC−2の摩擦板31の外径側の一部からプラネタリギヤユニットPUの外径側の一部にオーバーラップする形で配置されている。
また、上記第2クラッチC−2の油圧サーボ30の左方側には、ミッションケース3の側壁部3cよりボス部3dが延設されており、該ボス部3d上には、ボールベアリング131を介して、プラネタリギヤユニットPUのリングギヤR3に接続されたカウンタギヤ150が該ボス部3dに回転自在に支持されて配置されている。
以上のように、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置され、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とは、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置され、第2クラッチC−2の油圧サーボ30とカウンタギヤ150とは、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されていることになる。
次に、図37を参照して、ミッションケース3の内側の構成について詳述する。なお、各油路構造については後にまとめて説明する。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、上述の隔壁部材3aから左方に延びるボス部3bに回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、左右方向に2つのキャリヤプレートを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。左方側のキャリヤプレートは、入力軸12に接続されており、右方側のキャリヤプレートは、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材154に接続されている。リングギヤR1はその外周面に、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合されている。またリングギヤR1の左方側には、ハブ部材151が連結されており、このハブ部材151には、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板がスプライン係合されている。
以上説明したプラネタリギヤDPの右方側には、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3のクラッチドラム42を介してボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径部が第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されており、また外径部の内周面には摩擦板51の外摩擦板がスプライン係合されている。ピストン部材53は、クラッチドラム52の左方側に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa4,a5により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、上述のクラッチドラム42に嵌合されたスナップリング59によって左方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その右方側に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
なお、第4クラッチC−4は、以上のように構成されているため、該第4クラッチC−4が係合した際にクラッチドラム52にキャリヤCR1の入力回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第4クラッチC−4が係合していない際には、クラッチドラム52に回転が入力されず油圧サーボ50が回転することはない。
第3クラッチC−3は、上述の第4クラッチC−4の右方側及び外周側を囲むように構成されており、上記ボス部3b上に配置されている。第3クラッチC−3は、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、隔壁部材3aの左方に配置されたフランジ部42aと、このフランジ部42aの内周から左方に延びるハブ部42cと、フランジ部42aの外周から左方に延びるドラム部42bとを有している。このうちのハブ部42cは、上述の隔壁部材3aから左方側に延設されたボス部3bの外周面に回転自在に支持されている。クラッチドラム42のハブ部42cの端部は、第4クラッチC−4よりも左方側に位置しており、上述のように第4クラッチC−4の油圧サーボ50が外周側に配置された形となっている。クラッチドラム42のドラム部42bは、第4クラッチC−4の外径側を通って、第1クラッチC−1の外径側まで延設されている。またそのクラッチドラム42のドラム部42bは、その外周面においてバンドブレーキからなる第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が配置され、また前述のリングギヤR1に対応する部分において摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合され、さらに左方部分において連結部材101が連結されている。この連結部材101は、第1クラッチC−1の外径側、左方側を通って内径側に延び、サンギヤS2に連結されている。
第3クラッチC−3のピストン部材43は、クラッチドラム42に対して軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa1,a2により、クラッチドラム42との間に油蜜状の油室46を構成している。また、ピストン部材43の外径部分は、前述の第4クラッチC−4のクラッチドラム52の外周側で、かつ第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側を通って左方側に延び、その端部を、摩擦板41に対面させている。キャンセルプレート44は、クラッチドラム42の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング49によって左方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その右方側に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともにシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
なお、第3クラッチC−3は、以上のように構成されているため、該第3クラッチC−3が係合した際にクラッチドラム42にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第3クラッチC−3が係合していない際には、クラッチドラム42に回転が入力されず油圧サーボ40が回転することはない。
第1クラッチC−1は、プラネタリギヤDP及び第3クラッチC−3の摩擦板41の左方側にあって、入力軸12上に配置されており、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。摩擦板21の内摩擦板は、上述のリングギヤR1に連結されたハブ部材151の外周面にスプライン係合されている。また摩擦板21の外摩擦板は、後述のクラッチドラム22の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム22は連結部材102に連結されている。そして、この連結部材102は、サンギヤS3に連結されている。
油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、入力軸12の左方側外周面に相対回転自在に取り付けられている。ピストン部材23は、クラッチドラム22に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa7,a8により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の油室26を構成している。ピストン部材23は、外周側の部分を摩擦板21の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート24は、上述のクラッチドラム22の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング29によって右方側への移動が阻止されており、その左方側に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともにシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
第1ブレーキB−1は、クラッチドラム42の外径側に配置されており、ミッションケース3に対して回転不能に配設された不図示の油圧サーボと、該油圧サーボによりクラッチドラム42の外周部を締付け・解放するブレーキバンド161とを備えている。
第2ブレーキB−2は、プラネタリギヤユニットPUの外径側に配置されている。第2ブレーキB−2は、摩擦板71と、この摩擦板71を接断する油圧サーボ70とを備えている。摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合されていると共に、内摩擦板はプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に連結されたハブ部材158にスプライン係合されている。
油圧サーボ70は、ドラム状のシリンダ部材72、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有しており、ピストン部材73とシリンダ部材72との間に油室76a,76bを構成している。ピストン部材73は、軸方向に移動可能に配置されており、左方向端部が摩擦板71に対面している。ピストン部材73とシリンダ部材72との間には、3本のシールリングa13,a14,a15によって、油蜜状の油室76a,76bが形成されている。さらにキャンセルプレート74は、シリンダ部材72の内周面に嵌合されたスナップリング79によって左方向への移動が阻止されている。
ワンウェイクラッチF−1は、プラネタリギヤユニットPUの外径側から第2クラッチC−2の外径側までにオーバーラップして、かつ前述の第2ブレーキB−2の左方側に配置されており、内周側から外周側へ順に、上記ハブ部材158に連結されたインナーレース112、スプラグ機構113、ミッションケース3の内周側にスプライン係合しているアウターレース114が備えられている。
第2クラッチC−2は、プラネタリギヤユニットPUの左方側にあって、かつワンウェイクラッチF−1の一部の内径側に配置されており、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。摩擦板31の内摩擦材31bは、キャリヤCR2に連結されたハブ部材152にスプライン係合されている。また摩擦板31の外摩擦板31aは、後述のクラッチドラム32の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム32は第2中間軸13bに連結されている。この第2中間軸13bは、第1中間軸13aを介して入力軸12にスプライン係合されており、つまりクラッチドラム32は、第1中間軸13a及び第2中間軸13bからなる中間軸13を介して入力軸12に連結されている。
油圧サーボ30は、クラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有しており、これらにより、油室36、キャンセル油室37を構成している。クラッチドラム32は、内周側が第2中間軸13bに取り付けられて支持されている。ピストン部材33は、クラッチドラム32に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa10,a11により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の油室36を構成している。ピストン部材33は、外周側の部分を摩擦板31の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート34は、上述のクラッチドラム32の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング39によって右方側への移動が阻止されており、その左方側に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されるとともにシールリングa10,a12により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3d上には、ボールベアリング131を介してカウンタギヤ150が配置されている。なお、該カウンタギヤ150の外周側には、不図示のカウンタシャフトに連結されたギヤが噛合しており、更に該カウンタシャフトは、不図示のギヤ機構やディファレンシャルギヤなどを介して駆動車輪に連結されている。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd3,d4にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、クラッチドラム42とボス部3bとの間をシールリングd1,d2にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd5,d6に、入力軸12とクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c60が入力軸12内の油路c61,c70,c62、及び油路51を介して連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11よりシールされて構成されている油室36には、ボス部3dと第2中間軸13bとの間をシールリングd9,d10によりシールされてボス部3d内の油路c80が第2中間軸13b内の油路c81,c71,c52を介して連通しており、該油路c80より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の2つの油室76a,76b、即ちシリンダ部材72とピストン部材73との間をシールリングa13,a14,a15によりシールされて構成されている油室76a,76bには、図示を省略したケース3に形成された2つの油路からそれぞれ作動油が供給される。なお、この第2ブレーキB−2は、2つの油室76a,76bに供給される作動油の油圧に基づき、ピストン部材73を段階的に押圧制御することが可能となっているので、該第2ブレーキB−2のトルク容量をより細やかに精度良く制御することができる。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機114によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機127をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、入力軸12上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機127の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、プラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、かつプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置したので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置することができ、例えば前進8速段、及び後進2速段のような多段変速が可能な車輌用自動変速機127をコンパクト化することができる。
更に、入力軸12上にかつプラネタリギヤDPに隣接して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えば油圧制御装置から作動油を供給する油路、即ちボス部3b内の油路と入力軸12との間、及び第1クラッチC−1の油圧サーボ20と入力軸12との間にそれぞれ1対のシールリングd5,d6,d7,d8を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば他の部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機127の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は入力軸12上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第4クラッチC−4により入力回転が伝達自在であり、かつ第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在であり、かつ第1ブレーキB−1により回転が固定自在であり、サンギヤS3は、第1クラッチC−1により減速回転が伝達自在であり、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2により入力回転が伝達自在であり、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在であり、リングギヤR2はカウンタギヤ150に連結されているので、例えば前進8速段、及び後進2速段の多段変速が可能になる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、第4クラッチC−4の容量を確保することができ、結果として車輌用自動変速機127を軸方向にコンパクト化することができる。
また、本実施例では、第1ブレーキB−1は、第3クラッチC3の摩擦板41の外周側に配置しているが、第1ブレーキB−1を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に配置することも可能であり、第1ブレーキB−1と第3クラッチC−3とを径方向に重ねた配置にすることにより、第1ブレーキB−1の容量を確保しつつ小径化しながら、車輌用自動変速機127を径方向にコンパクト化とすることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1クラッチC−1とサンギヤS3とを連結する部材、及び第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。
また、カウンタギヤ150を、プラネタリギヤセットPUに対して減速プラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、特にカウンタギヤ150を、ケース4内において、入力軸12とは反対側の軸方向(図中左側方向)最端位置に配置したので、FFタイプの車輌に用いて好適な車輌用自動変速機127を容易にFRタイプの車輌に転用することを可能とすることができる。
なお、本第27の実施の形態に係る車輌用自動変速機127は、第1の実施の形態に係る車輌用自動変速機11の出力軸15の部分をカウンタギヤ150に変更することで、略同様なものを構成することができる。
また、本第27の実施の形態に係る車輌用自動変速機127は、変速機構227を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第44の実施の形態に係る車輌用自動変速機144を構成することを可能とすることができる。
<第28の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第28の実施の形態について、図38に沿って説明する。図38は第28の実施の形態に係る自動変速機128を示す断面図である。なお、以下に説明する第28の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第28の実施の形態に係る自動変速機128は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替えて構成したものである。
第28の実施の形態に係る自動変速機128は、第27の実施の形態と比して、FRタイプの車輌に用いる車輌用自動変速機に容易に転用することが不可能となったが、第2クラッチC−2の油圧サーボをボス部3d上に配設されているため、ボス部からの作動油の供給が1組のシールリングで可能となり、シールリング数を減らすことができる。
なお、本第28の実施の形態に係る車輌用自動変速機128は、変速機構228を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第43の実施の形態に係る車輌用自動変速機143を構成することを可能とすることができる。
<第29の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第29の実施の形態について、図39に沿って説明する。図39は第29の実施の形態に係る自動変速機129を示す断面図である。なお、以下に説明する第29の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第29の実施の形態に係る自動変速機129は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第29の実施の形態に係る車輌用自動変速機129は、変速機構229を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第45の実施の形態に係る車輌用自動変速機145を構成することを可能とすることができる。
<第30の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第30の実施の形態について、図40に沿って説明する。図40は第30の実施の形態に係る自動変速機130を示す断面図である。なお、以下に説明する第30の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第30の実施の形態に係る自動変速機130は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、つまり第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、かつ第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第30の実施の形態に係る車輌用自動変速機130は、変速機構230を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第46の実施の形態に係る車輌用自動変速機146を構成することを可能とすることができる。
<第31の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第31の実施の形態について、図41に沿って説明する。図41は第31の実施の形態に係る自動変速機131を示す断面図である。なお、以下に説明する第31の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第31の実施の形態に係る自動変速機131は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、つまり第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、かつ第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第31の実施の形態に係る車輌用自動変速機131は、変速機構231を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第47の実施の形態に係る車輌用自動変速機147を構成することを可能とすることができる。
<第32の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第32の実施の形態について、図42に沿って説明する。図42は第32の実施の形態に係る自動変速機132を示す断面図である。なお、以下に説明する第32の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第32の実施の形態に係る自動変速機132は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第32の実施の形態に係る車輌用自動変速機132は、変速機構232を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第48の実施の形態に係る車輌用自動変速機148を構成することを可能とすることができる。
<第33の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第33の実施の形態について、図43に沿って説明する。図43は第33の実施の形態に係る自動変速機133を示す断面図である。なお、以下に説明する第33の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第33の実施の形態に係る自動変速機133は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第33の実施の形態に係る車輌用自動変速機133は、変速機構233を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第49の実施の形態に係る車輌用自動変速機149を構成することを可能とすることができる。
<第34の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第34の実施の形態について、図44に沿って説明する。図44は第34の実施の形態に係る自動変速機134を示す断面図である。なお、以下に説明する第34の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第34の実施の形態に係る自動変速機134は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第34の実施の形態に係る車輌用自動変速機134は、変速機構234を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第50の実施の形態に係る車輌用自動変速機150を構成することを可能とすることができる。
<第35の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第35の実施の形態について、図45に沿って説明する。図45は第35の実施の形態に係る自動変速機135を示す断面図である。なお、以下に説明する第35の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第35の実施の形態に係る自動変速機135は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第35の実施の形態に係る車輌用自動変速機135は、変速機構235を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第51の実施の形態に係る車輌用自動変速機151を構成することを可能とすることができる。
<第36の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第36の実施の形態について、図46に沿って説明する。図46は第36の実施の形態に係る自動変速機136を示す断面図である。なお、以下に説明する第36の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第36の実施の形態に係る自動変速機136は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。また図46に示すように、第1ブレーキB1を多板式のブレーキとした場合、第1ブレーキB−1と第2ブレーキB−2を隣接させることにより、各ブレーキのシリンダ部材を共通化することで、部材点数を減少させ、軽量化することができる。
なお、本第36の実施の形態に係る車輌用自動変速機136は、変速機構236を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第52の実施の形態に係る車輌用自動変速機152を構成することを可能とすることができる。
<第37の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第37の実施の形態について、図47に沿って説明する。図47は第37の実施の形態に係る自動変速機137を示す断面図である。なお、以下に説明する第37の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第37の実施の形態に係る自動変速機137は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替えて構成したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第37の実施の形態に係る車輌用自動変速機137は、変速機構237を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第53の実施の形態に係る車輌用自動変速機153を構成することを可能とすることができる。
<第38の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第38の実施の形態について、図48に沿って説明する。図48は第38の実施の形態に係る自動変速機138を示す断面図である。なお、以下に説明する第38の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第38の実施の形態に係る自動変速機138は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第38の実施の形態に係る車輌用自動変速機138は、変速機構38を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第54の実施の形態に係る車輌用自動変速機154を構成することを可能とすることができる。
<第39の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第39の実施の形態について、図49に沿って説明する。図49は第39の実施の形態に係る自動変速機139を示す断面図である。なお、以下に説明する第39の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第39の実施の形態に係る自動変速機139は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第39の実施の形態に係る車輌用自動変速機139は、左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第55の実施の形態に係る車輌用自動変速機155を構成することを可能とすることができる。
<第40の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第40の実施の形態について、図50に沿って説明する。図50は第40の実施の形態に係る自動変速機140を示す断面図である。なお、以下に説明する第40の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第40の実施の形態に係る自動変速機140は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第40の実施の形態に係る車輌用自動変速機140は、変速機構240を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第56の実施の形態に係る車輌用自動変速機156を構成することを可能とすることができる。
<第41の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第41の実施の形態について、図51に沿って説明する。図51は第41の実施の形態に係る自動変速機141を示す断面図である。なお、以下に説明する第41の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第41の実施の形態に係る自動変速機141は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第41の実施の形態に係る車輌用自動変速機141は、変速機構241を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第57の実施の形態に係る車輌用自動変速機157を構成することを可能とすることができる。
<第42の実施の形態>
ついで、上記第27の実施の形態を一部変更した第42の実施の形態について、図52に沿って説明する。図52は第42の実施の形態に係る自動変速機142を示す断面図である。なお、以下に説明する第42の実施の形態においては、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第42の実施の形態に係る自動変速機142は、第27の実施の形態に係る自動変速機127に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第2クラッチC−2の油圧サーボ30とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第42の実施の形態に係る車輌用自動変速機142は、変速機構242を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第58の実施の形態に係る車輌用自動変速機158を構成することを可能とすることができる。
<第43の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第42の実施の形態を一部変更した第43の実施の形態について、図53に沿って説明する。図53は第43の実施の形態に係る自動変速機143を示す断面図である。なお、以下に説明する第43の実施の形態において、第1乃至第42の実施の形態に係る自動変速機1と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
図53に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機143は、前述の第28の実施の形態に係る自動変速機28に対し、入力軸12及び中間軸13をそのままに(つまりエンジンが配置される方向はそのままに)、第1乃至第4クラッチC−1〜C−4、第1及び第2ブレーキB−1〜B−2、ワンウェイクラッチF−1、プラネタリギヤDP、プラネタリギヤユニットPU、カウンタギヤ150などの配置を左右方向(軸方向)に略反転させて構成したものであって、即ち、変速機構228を左右方向(軸方向)に略反転させて変速機構243を構成したものである。
詳述すると、自動変速機143は、ミッションケース3、不図示のトルクコンバータを内包するハウジングケース等が接続されて構成されたケース4を有しており、該ミッションケース3内には、変速機構243、図示を省略したカウンタシャフト及びディファレンシャル装置が配置されている。変速機構243は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されている。
図53に示すように、ミッションケース3内には、上記入力軸12上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の左方側には、左方側より順に第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1とが配置されている。また、第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとは、詳しくは後述する第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置されている。更に、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42の外周側には、バンドブレーキからなる第1ブレーキB−1が配置されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の右方側(入力側)には、右方側より順に第2クラッチC−2とカウンタギヤ150とが配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1とが配置されている。
更に詳細に説明すると、ミッションケース3の左方内側、すなわちプラネタリギヤユニットPUよりも左方側には、中間軸13上に、左方側から順に、第4クラッチC−4の摩擦板51、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。また、第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が、第3クラッチC−3の摩擦板41及び第1クラッチC−1の摩擦板21の一部の外径側にオーバーラップする形で配置されている。
また、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3b上には、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配設されている。さらに、該油圧サーボ40の右方側において、第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配設されており、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤDPが、そして摩擦板21のほぼ内径側には第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配設されている。すなわちミッションケース3の左方側には、ボス部3b上にて順に(ボス部3bの付け根側から軸方向右方側へ順に)、油圧サーボ40、油圧サーボ50、プラネタリギヤDPが配置されており、中間軸13上に油圧サーボ20がプラネタリギヤDPに隣接する形で配設されている。
一方、ミッションケース3の図中右方側、すなわち第1クラッチC−1の油圧サーボ20よりも右方側には、入力軸12上にプラネタリギヤユニットPUが配設されている。このプラネタリギヤユニットPUの外周側の右方部分には、第2のブレーキB−2の摩擦板71が配設され、またプラネタリギヤユニットPUの外径側の左方部分には該第2ブレーキB−2の油圧サーボ70が配設されている。そして、ワンウェイクラッチF−1が、第2クラッチC−2の摩擦板31の外径側の一部からプラネタリギヤユニットPUの外径側の一部にオーバーラップする形で配置されている。
また、上記プラネタリギヤユニットPUの右方側には、フランジ状のサポート壁130がミッションケース3の内周面に固着されて配置されており、該サポート壁130の内径側には、ボールベアリング131を介して、後述するプラネタリギヤユニットPUのリングギヤR2に接続されたカウンタギヤ150が該サポート壁130に回転自在に支持されて配置されている。更に、カウンタギヤ150の右方側には、外径側に第2クラッチC−2の摩擦板31が配置されると共に、内径側に第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配置されている。
以上のように、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置され、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置され、第2クラッチC−2の油圧サーボ30とカウンタギヤ150とは、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されていることになる。
次に、図53を参照して、ミッションケース3の内側の構成について詳述する。なお、各油路構造については後にまとめて説明する。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このうちサンギヤS1は、ミッションケース3の側壁部3cより右方に延びるボス部3bに回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、左右方向に2つのキャリヤプレートを有していて、ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。右方側のキャリヤプレートは、中間軸13に接続されており、左方側のキャリヤプレートは、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材154に接続されている。リングギヤR1はその外周面に、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板がスプライン係合されている。またリングギヤR1の右方側には、ハブ部材151が連結されており、このハブ部材151には、第1クラッチC−1の摩擦板21の内摩擦板がスプライン係合されている。
以上説明したプラネタリギヤDPの左方側には、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3のクラッチドラム42を介してボス部3b上に配置されている。第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、クラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、油室56、キャンセル油室57を構成している。クラッチドラム52は、内径部が第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されており、また外径部の内周面には摩擦板51の外摩擦板がスプライン係合されている。ピストン部材53は、クラッチドラム52の右方側に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa4,a5により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の油室56を構成している。さらにキャンセルプレート54は、上述のクラッチドラム42に嵌合されたスナップリング59によって右方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その左方側に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
なお、第4クラッチC−4は、以上のように構成されているため、該第4クラッチC−4が係合した際にクラッチドラム52にキャリヤCR1の入力回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第4クラッチC−4が係合していない際には、クラッチドラム52に回転が入力されず油圧サーボ50が回転することはない。
第3クラッチC−3は、上述の第4クラッチC−4の軸方向左方側及び外周側を囲むように構成されており、上記ボス部3b上に配置されている。第3クラッチC−3は、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、側壁部3cの右方に配置されたフランジ部42aと、このフランジ部42aの内周から右方に延びるハブ部42cと、フランジ部42aの外周から右方に延びるドラム部42bとを有している。このうちのハブ部42cは、上述の側壁部3cから右方側に延設されたボス部3bの外周面に回転自在に支持されている。クラッチドラム42のハブ部42cの端部は、第4クラッチC−4よりも右方側に位置しており、上述のように第4クラッチC−4の油圧サーボ50が外周側に配置された形となっている。クラッチドラム42のドラム部42bは、第4クラッチC−4の外径側を通って、第1クラッチC−1の外径側まで延設されている。またそのクラッチドラム42のドラム部42bは、その外周面においてバンドブレーキからなる第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が配置され、また前述のリングギヤR1に対応する部分において摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合され、さらに右方部分において連結部材101が連結されている。この連結部材101は、第1クラッチC−1の外径側、右方側を通って内径側に延び、サンギヤS2に連結されている。
第3クラッチC−3のピストン部材43は、クラッチドラム42に対して軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa1,a2により、クラッチドラム42との間に油蜜状の油室46を構成している。また、ピストン部材43の外径部分は、前述の第4クラッチC−4のクラッチドラム52の外周側で、かつ第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側を通って右方側に延び、その端部を、摩擦板41に対面させている。キャンセルプレート44は、クラッチドラム42の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング49によって右方側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その左方側に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともにシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
なお、第3クラッチC−3は、以上のように構成されているため、該第3クラッチC−3が係合した際にクラッチドラム42にリングギヤR1の減速回転が入力されるようになっており、特にニュートラルレンジやパーキングレンジにおいて、該第3クラッチC−3が係合していない際には、クラッチドラム42に回転が入力されず油圧サーボ40が回転することはない。
第1クラッチC−1は、プラネタリギヤDP及び第3クラッチC−3の摩擦板41の右方側にあって、入力軸12に連結された中間軸13上に配置されており、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。摩擦板21の内摩擦板は、上述のリングギヤR1に連結されたハブ部材151の外周面にスプライン係合されている。また摩擦板21の外摩擦板は、後述のクラッチドラム22の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム22は連結部材102に連結されている。そして、この連結部材102は、サンギヤS3に連結されている。
油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、中間軸13の右方側外周面に相対回転自在に取り付けられている。ピストン部材23は、クラッチドラム22に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa7,a8により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の油室26を構成している。ピストン部材23は、外周側の部分を摩擦板21の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート24は、上述のクラッチドラム22の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング29によって左方側への移動が阻止されており、その右方側に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されるとともにシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
第1ブレーキB−1は、クラッチドラム42の外径側に配置されており、ミッションケース3に対して回転不能に配設された不図示の油圧サーボと、該油圧サーボによりクラッチドラム42の外周部を締付け・解放するブレーキバンド161とを備えている。
第2ブレーキB−2は、プラネタリギヤユニットPUの外径側に配置されている。第2ブレーキB−2は、摩擦板71と、この摩擦板71を接断する油圧サーボ70とを備えている。摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合されていると共に、内摩擦板はプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に連結されたハブ部材158にスプライン係合されている。
油圧サーボ70は、ドラム状のシリンダ部材72、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有しており、ピストン部材73とシリンダ部材72との間に油室76a,76bを構成している。ピストン部材73は、軸方向に移動可能に配置されており、右方側端部が摩擦板71に対面している。ピストン部材73とシリンダ部材72との間には、3本のシールリングa13,a14,a15によって、油蜜状の油室76a,76bが形成されている。さらにキャンセルプレート74は、シリンダ部材72に嵌合されたスナップリング79によって右方側への移動が阻止されている。
ワンウェイクラッチF−1は、プラネタリギヤユニットPUの外径側にオーバーラップして、かつ前述の第2ブレーキB−2の右方側に配置されており、内周側から外周側へ順に、上記ハブ部材158に連結されたインナーレース112、スプラグ機構113、ミッションケース3の内周側にスプライン係合しているアウターレース114が備えられている。
第2クラッチC−2は、後述のカウンタギヤ150の右方側にあって、ミッションケース3と不図示のハウジングケースとの間を隔離する隔壁部材3aより延設されたボス部3b上に配置されており、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。摩擦板31の内摩擦板は、キャリヤCR2に連結されたハブ部材152にスプライン係合されている。また摩擦板31の外摩擦板は、後述のクラッチドラム32の内周側にスプライン係合しており、該クラッチドラム32は入力軸12に連結されている。
油圧サーボ30は、クラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有しており、これらにより、油室36、キャンセル油室37を構成している。クラッチドラム32は、内周側が入力軸12に取り付けられて支持されている。ピストン部材33は、クラッチドラム32に軸方向に移動可能に配置されていて、シールリングa10,a11により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の油室36を構成している。ピストン部材33は、外周側の部分を摩擦板31の前面に対向させている。さらにキャンセルプレート34は、上述のクラッチドラム32の内径側の外周面に嵌合されたスナップリング39によって左方側への移動が阻止されており、その右方側に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されるとともにシールリングa10,a12により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、ミッションケース3の内周側であって、プラネタリギヤユニットPUの右方側においては、サポート壁130が該ミッションケース3に外周側が連結されて配置されており、該サポート壁130の内径側にて延設されたボス部130a上には、ボールベアリング131を介してカウンタギヤ150が配置されている。なお、該カウンタギヤ150の外周側には、不図示のカウンタシャフトに連結されたギヤが噛合しており、更に該カウンタシャフトは、不図示のギヤ機構やディファレンシャルギヤなどを介して駆動車輪に連結されている。
つづいて、各油路構成、及び作動油の供給について簡単に説明する。第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とボス部3bとの間をシールリングd3,d4にシールされてボス部3b内の油路c54が連通しており、該油路c54より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、クラッチドラム42とボス部3bとの間をシールリングd1,d2にシールされてボス部3b内の油路c53が連通しており、該油路c53より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa7,a8によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bと中間軸13との間をシールリングd5,d6に、中間軸13とクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c60が中間軸13内の油路c61,c70,c62、及び油路51を介して連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11よりシールされて構成されている油室36には、ボス部3dとクラッチドラム32との間をシールリングd9,d10によりシールされてボス部3d内の油路c52が連通しており、該油路c52より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の2つの油室76a,76b、即ちシリンダ部材72とピストン部材73との間をシールリングa13,a14,a15によりシールされて構成されている油室76a,76bには、図示を省略したミッションケース3内の2つの油路からそれぞれ作動油が供給される。なお、この第2ブレーキB−2は、2つの油室76a,76bに供給される作動油の油圧に基づき、ピストン部材73を段階的に押圧制御することが可能となっているので、該第2ブレーキB−2が担持するトルク容量をより細やかに精度良く制御することができる。
以上説明した本発明に係る車輌用自動変速機143によると、第4クラッチC−4が、第3クラッチC−3の出力側部材(クラッチドラム42、連結部材101)を介してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されているので、該出力側部材が異なる回転を伝達する2つのクラッチの出力側部材となって、つまり同一の回転部材として共通化することができる。それにより、車輌用自動変速機143をコンパクト化することができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置すると共に、ケース4から延設されたボス部3b上に配置し、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にボス部3b内の油路から作動油を供給するので、例えば第4クラッチC−4の油圧サーボ50を、中間軸13上に、他の回転速度を持った部材を介して配置する場合に比して(つまり他の部材を介して作動油を供給する場合に比して)、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機143の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、プラネタリギヤDPと第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と第4クラッチC−4とをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、かつプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3のクラッチドラム42より内周側に配置したので、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能であって、減速回転を伝達するための第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の容量を大きくすることができるものでありながら、入力回転を伝達するために比較的伝達可能なトルク容量が小さくて足りる第4クラッチC−4とプラネタリギヤDPとを、第3クラッチC−3のクラッチドラム42の内周側に配置することができ、例えば前進8速段、及び後進2速段のような多段変速が可能な車輌用自動変速機143をコンパクト化することができる。
更に、中間軸13上にかつプラネタリギヤDPに隣接して、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を配置し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に中間軸13内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えば油圧制御装置から作動油を供給する油路、即ちボス部3b内の油路と中間軸13との間、及び第1クラッチC−1の油圧サーボ20と中間軸13との間に計2対のシールリングd5,d6,d7,d8を設けるだけで作動油を供給することができ、例えば他の部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、車輌用自動変速機143の効率の悪化、制御性の低下を防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4は第1クラッチC−1の外周側を通してプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結するので、第1クラッチC−1の外周側が第3クラッチC−3及び第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2を連結する連結部材101などが通るため、第1クラッチC−1の外周側への大径化は制限されるが、第1クラッチC−1は中間軸13(広義としての入力軸12)上に配置されているため、ボス部3bに配置するのと比較して、内径方向に大きくすることによって第1クラッチC−1の容量を確保することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第4クラッチC−4により入力回転が伝達自在であり、かつ第3クラッチC−3により減速回転が伝達自在であり、かつ第1ブレーキB−1により回転が固定自在であり、サンギヤS3は、第1クラッチC−1により減速回転が伝達自在であり、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2により入力回転が伝達自在であり、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在であり、リングギヤR2はカウンタギヤ150に連結されているので、例えば前進8速段、及び後進2速段の多段変速が可能になる。
また、第3クラッチの摩擦板41をリングギヤR1の外周側に配置し、第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第3クラッチC−3の摩擦材41との軸方向の間に配置するので、第4クラッチC−4が第3クラッチC−3の油圧サーボ40又は摩擦板41と径方向においてオーバーラップすることを防ぐことができるため、例えば第4クラッチC−4を第3クラッチC−3の内周側に配置するのと比較して大径化することができるので、第4クラッチC−4の容量を確保でき、結果として車輌用自動変速機143を軸方向にコンパクト化することができる。
また、本実施例では、第1ブレーキB−1は、第3クラッチC3の摩擦板41の外周側に配置しているが、第1ブレーキB−1を第3クラッチC−3の油圧サーボ40の外周側に配置することも可能であり、第1ブレーキB−1と第3クラッチC−3とを径方向に重ねた配置にすることにより、第1ブレーキB−1の容量を確保しつつ小径化しながら、車輌用自動変速機143を径方向にコンパクト化とすることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を形成した該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に、該第3クラッチC−3が係合した際にリングギヤR1の減速回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第3クラッチC−3が係合していない際は、該第3クラッチC−3のクラッチドラム42に減速回転が入力されず、第3クラッチC−3の油圧サーボ40全体が回転することを防ぐことができ、作動油室46に遠心油圧が発生することによる該第3クラッチC−3の引き摺りを防ぐことができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50を形成した該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に、該第4クラッチC−4が係合した際にキャリヤCR1を介した入力回転が入力されるように構成したので、例えばニュートラルレンジ(又はパーキングレンジ)の際にドライバなどによって、いわゆる空吹かしされて、入力軸が回転した際であっても、該第4クラッチC−4が係合していない際は、該第4クラッチC−4のクラッチドラム52に入力回転が入力されず、第4クラッチC−4の油圧サーボ50全体が回転することを防ぐことができ、作動油室56に遠心油圧が発生することによる該第4クラッチC−4の引き摺りを防ぐことができる。
また、第2クラッチC−2をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配置するので、例えば第1クラッチC−1とサンギヤS3とを連結する部材、及び第3クラッチC−3とサンギヤS2とを連結する部材に交錯することなく、第2クラッチC−2とキャリヤCR2とを連結することができる。
また、サポート壁130をプラネタリギヤユニットPUに対しプラネタリギヤDPの軸方向反対側に配設することにより、サポート壁130に支持されるカウンタギヤ150が入力軸の入力側(軸方向右方側)に配設可能となる。よって、不図示のカウンタシャフトに配設されカウンタギヤ150に噛合するギヤを入力軸の入力側に配設可能となり、結果としてカウンタシャフトの軸長を短縮可能となり、自動変速機全体として軽量化が可能である。
<第44の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第44の実施の形態について、図54に沿って説明する。図54は第44の実施の形態に係る自動変速機144を示す断面図である。なお、以下に説明する第44の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第44の実施の形態に係る自動変速機144は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替えて構成したものである。
以上の第44の実施の形態においては、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替えることにより、カウンタギヤ150を隔壁部材3aより延びるボス上に配設可能となるので、カウンタギヤの支持に用いられるサポート壁を減らすことができ、部品点数の減少、及び自動変速機の軽量化が可能となる。
なお、本第44の実施の形態に係る車輌用自動変速機144は、変速機構244を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第27の実施の形態に係る車輌用自動変速機127を構成することを可能とすることができる。
<第45の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第45の実施の形態について、図55に沿って説明する。図55は第45の実施の形態に係る自動変速機145を示す断面図である。なお、以下に説明する第45の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第45の実施の形態に係る自動変速機145は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第45の実施の形態に係る車輌用自動変速機145は、変速機構245を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第29の実施の形態に係る車輌用自動変速機129を構成することを可能とすることができる。
<第46の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第46の実施の形態について、図56に沿って説明する。図56は第46の実施の形態に係る自動変速機146を示す断面図である。なお、以下に説明する第46の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第46の実施の形態に係る自動変速機146は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、つまり第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、かつ第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第46の実施の形態に係る車輌用自動変速機146は、変速機構246を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第30の実施の形態に係る車輌用自動変速機130を構成することを可能とすることができる。
<第47の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第47の実施の形態について、図57に沿って説明する。図57は第47の実施の形態に係る自動変速機147を示す断面図である。なお、以下に説明する第47の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第47の実施の形態に係る自動変速機147は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、つまり第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、かつ第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第47の実施の形態に係る車輌用自動変速機147は、変速機構247を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第31の実施の形態に係る車輌用自動変速機131を構成することを可能とすることができる。
<第48の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第48の実施の形態について、図58に沿って説明する。図58は第48の実施の形態に係る自動変速機148を示す断面図である。なお、以下に説明する第48の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第48の実施の形態に係る自動変速機148は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第48の実施の形態に係る車輌用自動変速機148は、変速機構248を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第32の実施の形態に係る車輌用自動変速機132を構成することを可能とすることができる。
<第49の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第49の実施の形態について、図59に沿って説明する。図59は第49の実施の形態に係る自動変速機149を示す断面図である。なお、以下に説明する第49の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第49の実施の形態に係る自動変速機149は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第49の実施の形態に係る車輌用自動変速機149は、変速機構249を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第33の実施の形態に係る車輌用自動変速機133を構成することを可能とすることができる。
<第50の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第50の実施の形態について、図60に沿って説明する。図60は第50の実施の形態に係る自動変速機150を示す断面図である。なお、以下に説明する第50の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第50の実施の形態に係る自動変速機150は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第50の実施の形態に係る車輌用自動変速機150は、変速機構250を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第34の実施の形態に係る車輌用自動変速機134を構成することを可能とすることができる。
<第51の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第51の実施の形態について、図61に沿って説明する。図61は第51の実施の形態に係る自動変速機151を示す断面図である。なお、以下に説明する第51の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第51の実施の形態に係る自動変速機151は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第51の実施の形態に係る車輌用自動変速機151は、変速機構251を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第35の実施の形態に係る車輌用自動変速機135を構成することを可能とすることができる。
<第52の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第52の実施の形態について、図62に沿って説明する。図62は第52の実施の形態に係る自動変速機152を示す断面図である。なお、以下に説明する第52の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第52の実施の形態に係る自動変速機152は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。
なお、本第52の実施の形態に係る車輌用自動変速機152は、変速機構252を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第36の実施の形態に係る車輌用自動変速機136を構成することを可能とすることができる。
<第53の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第53の実施の形態について、図63に沿って説明する。図63は第53の実施の形態に係る自動変速機153を示す断面図である。なお、以下に説明する第53の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第53の実施の形態に係る自動変速機153は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第53の実施の形態に係る車輌用自動変速機153は、変速機構253を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第37の実施の形態に係る車輌用自動変速機137を構成することを可能とすることができる。
<第54の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第54の実施の形態について、図64に沿って説明する。図64は第54の実施の形態に係る自動変速機154を示す断面図である。なお、以下に説明する第54の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第54の実施の形態に係る自動変速機154は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第54の実施の形態に係る車輌用自動変速機154は、変速機構254を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第38の実施の形態に係る車輌用自動変速機138を構成することを可能とすることができる。
<第55の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第55の実施の形態について、図65に沿って説明する。図65は第55の実施の形態に係る自動変速機155を示す断面図である。なお、以下に説明する第55の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第55の実施の形態に係る自動変速機155は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替えて構成したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第55の実施の形態に係る車輌用自動変速機155は、変速機構255を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第39の実施の形態に係る車輌用自動変速機139を構成することを可能とすることができる。
<第56の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第56の実施の形態について、図66に沿って説明する。図66は第56の実施の形態に係る自動変速機156を示す断面図である。なお、以下に説明する第56の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第56の実施の形態に係る自動変速機156は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第56の実施の形態に係る車輌用自動変速機156は、変速機構256を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第40の実施の形態に係る車輌用自動変速機140を構成することを可能とすることができる。
<第57の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第57の実施の形態について、図67に沿って説明する。図67は第57の実施の形態に係る自動変速機157を示す断面図である。なお、以下に説明する第57の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第57の実施の形態に係る自動変速機157は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をカウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第57の実施の形態に係る車輌用自動変速機157は、変速機構257を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第41の実施の形態に係る車輌用自動変速機141を構成することを可能とすることができる。
<第58の実施の形態>
ついで、上記第43の実施の形態を一部変更した第58の実施の形態について、図68に沿って説明する。図68は第58の実施の形態に係る自動変速機158を示す断面図である。なお、以下に説明する第58の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第58の実施の形態に係る自動変速機158は、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対し、カウンタギヤ150と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との左右方向(軸方向)の位置を入れ替え、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20を第2クラッチC−2の油圧サーボ30とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第58の実施の形態に係る車輌用自動変速機158は、変速機構258を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第42の実施の形態に係る車輌用自動変速機142を構成することを可能とすることができる。
<第59の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第58の実施の形態を一部変更した第59の実施の形態について、図69に沿って説明する。図69は第59の実施の形態に係る自動変速機159を示す断面図である。なお、以下に説明する第59の実施の形態においては、第43の実施の形態に係る自動変速機143に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
図69に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機159は、前述の第14の実施の形態に係る自動変速機14に対し、入力軸12及び中間軸13をそのままに(つまりエンジンが配置される方向はそのままに)、第1乃至第4クラッチC−1〜C−4、第1及び第2ブレーキB−1〜B−2、ワンウェイクラッチF−1、プラネタリギヤDP、プラネタリギヤユニットPU、カウンタギヤ150などの配置を左右方向(軸方向)に略反転させて構成したものであって、即ち、変速機構214を左右方向(軸方向)に略反転させて変速機構259を構成したものである。
詳述すると、自動変速機159は、変速機構259が、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されており、ミッションケース3内には、上記入力軸12上にプラネタリギヤユニットPUが配置されている。該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の左方側には、左方側より順に第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1の油圧サーボ20とカウンタギヤ150とが配置されている。また、該第3クラッチC−3のクラッチドラムの外周側には、バンドブレーキからなる第1ブレーキB−1が配置されている。
なお、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとは、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3b上に配置されており、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、中間軸13上に配設されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の右方側(入力側)には、第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1とが配置されている。
以上のように、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置され、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とカウンタギヤ150とは、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置され、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されていることになる。
<第60の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第60の実施の形態について、図70に沿って説明する。図70は第60の実施の形態に係る自動変速機160を示す断面図である。なお、以下に説明する第60の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第60の実施の形態に係る自動変速機160は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20とカウンタギヤ150との左右方向(軸方向)の配置を入れ替えて構成したものである。
なお、本第60の実施の形態に係る車輌用自動変速機160は、変速機構260を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第15の実施の形態に係る車輌用自動変速機115を構成することを可能とすることができる。
<第61の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第61の実施の形態について、図71に沿って説明する。図71は第61の実施の形態に係る自動変速機161を示す断面図である。なお、以下に説明する第61の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第61の実施の形態に係る自動変速機161は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤDPとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間であって、詳しくはプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第61の実施の形態に係る車輌用自動変速機161は、変速機構261を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第16の実施の形態に係る車輌用自動変速機116を構成することを可能とすることができる。
<第62の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第62の実施の形態について、図72に沿って説明する。図72は第62の実施の形態に係る自動変速機162を示す断面図である。なお、以下に説明する第62の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第62の実施の形態に係る自動変速機162は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を、プラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。
なお、本第62の実施の形態に係る車輌用自動変速機162は、変速機構262を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第17の実施の形態に係る車輌用自動変速機117を構成することを可能とすることができる。
<第63の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第63の実施の形態について、図73に沿って説明する。図73は第63の実施の形態に係る自動変速機163を示す断面図である。なお、以下に説明する第63の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第63の実施の形態に係る自動変速機163は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第63の実施の形態に係る車輌用自動変速機163は、変速機構263を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第18の実施の形態に係る車輌用自動変速機118を構成することを可能とすることができる。
<第64の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第64の実施の形態について、図74に沿って説明する。図74は第64の実施の形態に係る自動変速機164を示す断面図である。なお、以下に説明する第64の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第64の実施の形態に係る自動変速機164は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置して構成したものである。また、本実施の形態においては、サポート壁と連結部材101との間をシールリングd11,d12によりシールし、連結部材101と連結部材102との間をブッシュb1,b2によりシールして油路c91を形成し、それによって、サポート壁内の油路c53より油路c90を介して、クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に作動油を供給する構成となっている。
なお、本第64の実施の形態に係る車輌用自動変速機164は、変速機構264を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第19の実施の形態に係る車輌用自動変速機119を構成することを可能とすることができる。
<第65の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第65の実施の形態について、図75に沿って説明する。図75は第65の実施の形態に係る自動変速機165を示す断面図である。なお、以下に説明する第65の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第65の実施の形態に係る自動変速機165は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40とを、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第65の実施の形態に係る車輌用自動変速機165は、変速機構265を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第20の実施の形態に係る車輌用自動変速機120を構成することを可能とすることができる。
<第66の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第66の実施の形態について、図76に沿って説明する。図76は第66の実施の形態に係る自動変速機166を示す断面図である。なお、以下に説明する第66の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第66の実施の形態に係る自動変速機166は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、詳しくはカウンタギヤ150とプラネタリギヤDP(更に詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20)との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第66の実施の形態に係る車輌用自動変速機166は、クラッチC−1の摩擦板21にスプライン係合するクラッチドラムとハブ部材との配置関係、及び左右方向の位置関係が反対になっていること以外、変速機構266を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第21の実施の形態に係る車輌用自動変速機121を構成することを可能とすることができる。
また、図76に示すように、第1クラッチC−1の油圧サーボの油室は、プラネタリギヤDPのリングギヤR1を位置決め支持する部材にクラッチドラムを共用する形で形成することも可能である。
<第67の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第67の実施の形態について、図77に沿って説明する。図77は第67の実施の形態に係る自動変速機167を示す断面図である。なお、以下に説明する第67の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第67の実施の形態に係る自動変速機167は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ40を、プラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に、詳しくは第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第67の実施の形態に係る車輌用自動変速機167は、変速機構267を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第22の実施の形態に係る車輌用自動変速機122を構成することを可能とすることができる。
<第68の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第68の実施の形態について、図78に沿って説明する。図78は第68の実施の形態に係る自動変速機168を示す断面図である。なお、以下に説明する第68の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第68の実施の形態に係る自動変速機168は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向における間に配置し、また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置して構成したものである。また、第1ブレーキB−1は、バンドブレーキでなく、第1の実施の形態と同様の多板式ブレーキを用いたものである。
なお、本第68の実施の形態に係る車輌用自動変速機168は、変速機構268を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第23の実施の形態に係る車輌用自動変速機123を構成することを可能とすることができる。
<第69の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第69の実施の形態について、図79に沿って説明する。図79は第69の実施の形態に係る自動変速機169を示す断面図である。なお、以下に説明する第69の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第69の実施の形態に係る自動変速機169は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第69の実施の形態に係る車輌用自動変速機169は、変速機構269を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第24の実施の形態に係る車輌用自動変速機124を構成することを可能とすることができる。
<第70の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第70の実施の形態について、図80に沿って説明する。図80は第70の実施の形態に係る自動変速機170を示す断面図である。なお、以下に説明する第70の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第70の実施の形態に係る自動変速機170は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第3クラッチC−3の油圧サーボ40をカウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第70の実施の形態に係る車輌用自動変速機170は、変速機構270を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第25の実施の形態に係る車輌用自動変速機125を構成することを可能とすることができる。
<第71の実施の形態>
ついで、上記第59の実施の形態を一部変更した第71の実施の形態について、図81に沿って説明する。図81は第71の実施の形態に係る自動変速機171を示す断面図である。なお、以下に説明する第71の実施の形態においては、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第71の実施の形態に係る自動変速機171は、第59の実施の形態に係る自動変速機159に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置して構成したものであって、詳しくは第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置して構成したものである。
なお、本第71の実施の形態に係る車輌用自動変速機171は、変速機構271を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第26の実施の形態に係る車輌用自動変速機126を構成することを可能とすることができる。
なお、以上説明した第1乃至第71の実施の形態において、プラネタリギヤユニットPUとしてロングピニオンP4を有してキャリヤCR2がサンギヤS2及びサンギヤS3に噛合する、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤを用いた場合について説明したが、例えばロングピニオンを有してロングピニオンに共通サンギヤが噛合し、第1リングギヤがロングピニオンに噛合し、第2リングギヤがロングピニオンに噛合したショートピニオンに噛合することによって4つの回転要素を有するプラネタリギヤであってもよく、これらに限らず、少なくとも2つの回転要素、好ましくは4つの回転要素を有するプラネタリギヤユニットであればどのようなものを用いてもよい。
また、第1乃至第71の実施の形態において、車輌用自動変速機1がトルクコンバータ7を備えているものについて説明したが、例えば発進用クラッチを備えているものなどであってもよい。
更に、第1乃至第71の実施の形態において、例えばFRタイプやFFタイプの車輌に用いて好適な車輌用自動変速機1を一例に説明しているが、これに限らず、例えば四輪駆動タイプの車輌に用いる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよく、更に、例えばエンジン直結型のモータを備えているもの等、つまりハイブリッド車輌に用いる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよい。
また、第1乃至第71の実施の形態においては、ワンウェイクラッチF−1を備えて、比較的滑らかに前進1速段を達成し得る車輌用自動変速機1を一例について説明したが、特にワンウェイクラッチF−1を備えていないものであってもよく、この際は、第2ブレーキB−2を係合させることで前進1速段を達成することが可能となる。
更に、第1乃至第71の実施の形態における減速回転を出力するプラネタリギヤDPにおいては、サンギヤS1の回転が固定され、キャリヤCR1に入力軸12の回転が入力され、リングギヤR1が減速回転するようなダブルピニオンプラネタリギヤであるものについて説明したが、例えばリングギヤR1を固定し、キャリヤCR1に入力軸12の回転を入力し、サンギヤS1より減速回転を出力するようなダブルピニオンプラネタリギヤものであってもよく、これらに限らず、減速回転を出力可能なプラネタリギヤの構成であれば、どのようなものであってもよい。
また、第2の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21より第4クラッチC−4を取り外すことで、前進6速段及び後進1速段を達成し得るものについて説明したが、これに限らず、第3乃至第13の実施の形態に係る自動変速機1の変速機構2より第4クラッチC−4を取り外すことで、同様に前進6速段及び後進1速段を達成し得る自動変速機を構成することができる。