JP3909622B2 - 車両用自動変速機 - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H2200/00Transmissions for multiple ratios
    • F16H2200/20Transmissions using gears with orbital motion
    • F16H2200/2097Transmissions using gears with orbital motion comprising an orbital gear set member permanently connected to the housing, e.g. a sun wheel permanently connected to the housing

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、特に、そのギヤトレインにおける各変速機構成要素の配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機の一形態として、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車又はリヤエンジン・リヤドライブ(RR)車用の横置式の自動変速機がある。こうした形式の自動変速機では、エンジンの出力軸と同軸の主軸と、これと並行する車軸と同軸のデフ軸との間に、カウンタ軸を配した3軸構成が採られる。横置式の自動変速機では、車両の左右ホイールの間にエンジンと自動変速機を直列に並べて搭載する配置となるため、自動変速機の軸長が著しく制限されるばかりでなく、配設スペースの制約や最低地上高の確保のために、上記3軸の軸間距離も制約される。そこで、こうした自動変速機のギヤトレインは、主として軸長を延ばす要素となる多数の変速要素をもつプラネタリギヤセットの使用を避け、また、主として軸間距離を広げる要素となるクラッチやブレーキの数を可能な限り少なくした構成のものとしなければならない。
【0003】
他方、ドライバビリティの確保のみならず、省エネルギに不可欠な燃費の向上のために、自動変速機には多段化の要求があり、こうした多段化を上記のような制約のもとに実現するには、ギヤトレインの一層の小要素化、機構の簡素化が必要となる。そこで、最小限の変速要素からなるプラネタリギヤセットを用い、それを操作する3つのクラッチと2つのブレーキとで、前進6速・後進1速を達成するギヤトレインが特開平4−219553号公報において提案されている。この提案に係るギヤトレインは、エンジン出力回転、厳密にはトルクコンバータのタービン出力回転と、それを減速した回転とを3つのクラッチを用いて適宜変速機構の4つの変速要素からなるプラネタリギヤセットへ2つの速度の異なる入力として入力させ、2つのブレーキで2つの変速要素を係止制御することで多段の6速を達成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、この提案に係るギヤトレイン構成は、変速段当たりの変速要素数、必要とするクラッチ及びブレーキの数において非常に合理的なものであるが、実用面での問題がないわけではない。一般に横置式の自動変速機では、車種等によって異なる主軸とデフ軸との軸間距離に適宜対応可能なように、できるだけ大きなギヤ径のデフリングギヤの配設を可能としておき、車両に応じて軸間距離を詰める方向で、異なる車種への対応を取ることが通常行われる。したがって、この面で、可能な限り大きなデフリングギヤを配設可能とし、カウンタ軸とデフ軸との間で大きな減速比を得られるようにしておき、変速機全体としてのギヤ比の選択の自由度を増加させることが望ましいが、上記のように制限された軸間距離の中では、デフリングギヤのギヤ径を大きくすることは、デフリングギヤと主軸側の要素との干渉が問題となってくる。こうした点からみると、上記提案の構成では、デフリングギヤをトルクコンバータと変速機構の間の主軸側の要素のない軸方向位置に配置しており、主軸側の要素との干渉を避けることができるが、反面、こうした構成では、デフリングギヤを主軸側に入り込ませる分だけ主軸側の軸長が長くなり、車両搭載性が良好でなく、しかもカウンタ軸長も長くなるため、重量軽減が困難な点で、合理的な配置とはいい難い。
【0005】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、デフ比設定の自由度を確保する上で重要なデフリングギヤ径方向スペースを、限られた軸間距離の間で確保しながら、軸長の短縮を可能とする車両用自動変速機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、主軸と、カウンタ軸と、デフ軸とを備え、主軸上に、少なくとも4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、カウンタドライブギヤと、少なくとも2つのブレーキと、3つのクラッチとを有する変速機構が配置され、デフ軸上にデフリングギヤが配置された車両用自動変速機であって、3つのクラッチの選択的係合と、2つのブレーキの必要に応じた択一的係合とにより、主軸上の入力軸の回転が、一方で減速プラネタリギヤを介する減速回転としてプラネタリギヤセットの第1の変速要素及び第2の変速要素に入力され、他方で非減速回転として第3の変速要素に入力され、必要に応じて1つの変速要素が係止されることで、第4の変速要素の変速回転となってカウンタドライブギヤに出力されるものにおいて、変速機構の前端側に、第3の変速要素に非減速回転を入力する第2のクラッチが配置され、前記第2のクラッチの軸方向後方側に前記カウンタドライブギヤが配置され、該カウンタドライブギヤの軸方向後方側に、前記第1の変速要素に減速回転を入力する第1のクラッチ及び前記第2の変速要素に減速回転を入力する第3のクラッチが配置され、前記デフ軸上のデフリングギヤが、前記第2のクラッチと重なる軸方向位置に配置されたことを特徴とする。
【0007】
そして、上記の構成において、前記第2のクラッチは、摩擦部材と油圧サーボとで構成されるのが有効である。
【0008】
また、更なるカウンタ軸の軸長の短縮を図る意味では、前記カウンタドライブギヤは、第2のクラッチに隣接して配置された構成とするのが有効である。
【0009】
一方、第2のクラッチの更なる小径化を図るには、前記第2のクラッチは、前進低速段及び後進段達成時に係合されないクラッチとするのが有効である。
【0010】
そして、クラッチのコンパクトを図る上では、前記第2のクラッチを操作する第2の油圧サーボは、変速機ケースにシリンダとピストンとを内蔵させた静止シリンダ型の油圧サーボとするのが有効である。
【0011】
上記の構成に関連して、前記減速プラネタリギヤは、その反力要素が変速機ケースに固定され、その入力要素がフランジを介して入力軸に連結されており、フランジと反力要素との間にベアリングが配設されており、静止シリンダ型油圧サーボのサーボ力が、入力軸、フランジ及びベアリングを介して反力要素に伝達されて、変速機ケースに支持される構成とするのが有効である。
【0012】
また、ギヤトレインに関して、前記減速プラネタリギヤは、その入力要素を入力軸に連結され、出力要素を第1のクラッチを介してプラネタリギヤセットの第1の変速要素に連結され、プラネタリギヤセットの第2の変速要素は、第3のクラッチを介して減速プラネタリギヤの出力要素に連結され、かつ、第1のブレーキにより変速機ケースに係止可能とされ、第3の変速要素は、第2のクラッチを介して入力軸に連結され、かつ、第2のブレーキにより変速機ケースに係止可能とされ、カウンタドライブギヤは、プラネタリギヤセットの第4の変速要素に連結された構成を採るのが有効である。
【0013】
更に、具体的には、前記プラネタリギヤセットは、大小径の異なる一対のサンギヤと、互いに噛合する一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、リングギヤとからなり、一方のピニオンギヤが大径のサンギヤに噛合するとともにリングギヤに噛合し、他方のピニオンギヤが小径のサンギヤに噛合するラビニヨ式のギヤセットで構成され、小径のサンギヤが第1の変速要素、大径のサンギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、リングギヤが第4の変速要素とされた構成とすることができる。
【0014】
また、前記プラネタリギヤセットは、大小径の異なる一対のサンギヤと、互いに噛合する一方が段付の一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、大小径の異なる一対のリングギヤとからなり、一方の段付のピニオンギヤの小径ギヤ部が大径のサンギヤに噛合するとともに小径のリングギヤに噛合し、更に大径ギヤ部が大径のリングギヤにも噛合し、他方のピニオンギヤが小径のサンギヤに噛合するギヤセットで構成され、小径のサンギヤが第1の変速要素、大径のサンギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、大径のリングギヤが第4の変速要素、小径のリングギヤが第5の変速要素とされた構成とすることもできる。
【0015】
また、前記プラネタリギヤセットは、サンギヤ、リングギヤ、キャリアの3つの変速要素からなる一対のプラネタリギヤで構成され、相互のキャリア同士が連結され、一方のサンギヤと他方のリングギヤが連結され、残りのサンギヤが第1の変速要素、連結されたサンギヤとリングギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、残りのリングギヤが第4の変速要素とされた構成としてもよい。
【0016】
あるいは、前記プラネタリギヤセットは、サンギヤと、互いに噛合する一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、大小径の異なる2つのリングギヤとからなり、一方のピニオンギヤがサンギヤに噛合するとともに小径のリングギヤに噛合し、他方のピニオンギヤが大径のリングギヤに噛合するギヤセットで構成され、サンギヤが第1の変速要素、小径のリングギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、大径のリングギヤが第4の変速要素とされた構成としてもよい。
【0017】
そして、特に良好な前進6速を得るには、前記プラネタリギヤセットは、第1のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素とし、第2のブレーキを係合させて第3の変速要素を係止状態の反力要素とする第4の変速要素からの出力で第1速、第1のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素とし、第1のブレーキを係合させて第2の変速要素を係止状態の反力要素とする第4の変速要素からの出力で第2速、第1及び第3のクラッチを係合させて第1及び第2の変速要素を共に減速回転の入力要素とするプラネタリギヤセットの直結状態での第4の変速要素からの出力で第3速、第1及び第2のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素、第3の変速要素を非減速回転の入力要素とする第4の変速要素からの出力で第4速、第2及び第3のクラッチを係合させて第2の変速要素を減速回転の入力要素、第3の変速要素を非減速回転の入力要素とする第4の変速要素からの出力で第5速、第2のクラッチを係合させて第3の変速要素を非減速回転の入力要素とし、第1のブレーキを係合させて第2の変速要素を反力要素とする第4の変速要素からの出力で第6速を達成する構成とするのが有効である。
【0018】
また、変速機全体の配置については、前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ、第1のクラッチの油圧サーボ及び第3のクラッチの油圧サーボが配置され、第1のクラッチの摩擦部材と第3のクラッチの摩擦部材は、それらの少なくとも一方をプラネタリギヤセットの外周側に重合させ、軸方向に並べて配置された構成とするのが有効である。
【0019】
また、変速機の後端側については、変速機ケースの後端部から前方に延在し、内周部で入力軸を支持するボス部が設けられ、該ボス部の先端部外周側に減速プラネタリギヤが配置され、該減速プラネタリギヤの反力要素は、ボス部の先端部に固定され、減速プラネタリギヤと変速機ケース後端部との間のボス部外周側に、該ボス部からの油圧供給が可能に第1及び第3の油圧サーボが軸方向に並べて配置された構成とするのが有効である。
【0020】
また、ブレーキ配置については、前記第1のブレーキは、バンドブレーキとされ、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材の外周側に配置された構成とするのが有効である。
【0021】
更に、油圧サーボのコンパクト化の点では、前記第1及び第3の油圧サーボは、それらの個々のピストンを一方のドラムの内側及び外側に嵌合させて個々に作動可能に配置された構成とするのが有効である。
【0022】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、第1及び第3のクラッチに比べて、減速プラネタリギヤからの減速トルクが入力されないだけ軸方向寸法を増大させることなく径方向にコンパクトに構成できる第2のクラッチを変速機構の前端側に配置し、それと重なる軸方向位置のデフ軸上に配置されたデフリングギヤの径方向のスペースを確保することできる。その結果、デフリングギヤの外径側と重なる主軸側に部材の配置を避けた構成に比して、軸長の短縮が可能となる。
【0023】
次に、請求項3記載の構成では、デフリングギヤとカウンタドライブギヤの軸方向位置関係を最も接近させることができるため、カウンタドライブギヤとデフリングギヤとの間隔で決まるカウンタ軸の軸長を最短のものとすることができ、一層の重量軽減を図ることができる。また、カウンタドライブギヤは、変速機の後端部から離れた位置に配置されることになるので、ギヤノイズを低減することができる。
【0024】
そして、請求項4記載の構成では、変速機構の前端側に配置される第2のクラッチを前進低速段と後進段での動力伝達に関与しないクラッチとしているので、このクラッチを、通常、自動変速機に設けられるトルクコンバータのストールトルクが作用しないクラッチとすることができ、その分だけトルク容量を小さく、よりコンパクトに構成できるので、このクラッチと変速機構の前端部に配置されたデフリングギヤが軸方向位置上で重なる場合でも、デフリングギヤの大径化の面でより有利となる。
【0025】
また、請求項5記載の構成では、油圧サーボを静止シリンダ型とすることで、通常のドラム型シリンダのように遠心油圧が発生しないので、該油圧をキャンセルするためのキャンセルプレートを設ける必要がなくなり、その分だけ油圧サーボを軸方向にコンパクトに構成できる。
【0026】
更に、請求項6記載の構成では、入力軸と、減速プラネタリギヤの固定部材となる反力要素と、入力要素と入力軸とを連結するに不可欠なフランジを利用してサーボ力を伝達することにより、サーボ力支持のための格別の部材を設ける構成を避けることができるため、サーボ力伝達経路の簡素化が可能となる。
【0027】
そして、請求項13記載の構成では、デフリングギヤ及び車両側メンバとの干渉を避けるために径方向寸法の制約がある変速機の前端部及び後端部の間の比較的径方向寸法の制約が小さい部位に位置するプラネタリギヤセットの外周側に、減速トルクが入力されるために大容量が必要とされる第1及び第3のクラッチの摩擦部材を配置することで、それらのクラッチ容量を確保することができるので、それらの操作のための油圧サーボについては受圧面積を小さく、すなわち、径方向寸法を小さくでき、小径化されたこれら油圧サーボが配置される後端部を車両メンバとの干渉に対して有利な小径の構造とすることができる。また、大容量となるクラッチをプラネタリギヤセットと重合配置することにより、軸方向寸法の短縮を図ることができる。
【0028】
そして、請求項14記載の構成では、入力軸を支持するボス部の先端部に減速プラネタリギヤの反力要素を固定し、それより後方のボス部から油圧サーボへの油圧の供給を可能としたので、減速プラネタリギヤの反力要素固定のための壁等の固定手段を変速機構の間に介在させる必要がなくなるため、変速機構の軸長を短縮することができる。
【0029】
次に、請求項15記載の構成では、車両側メンバとの干渉の問題のない変速機構の軸方向中間部位にブレーキを更に重合配置することにより、変速機の後端部の外径を小さくすることができるため、車両搭載性の面で有利となる。
【0030】
更に、請求項16記載の構成では、一方のクラッチのドラムの内側と外側をシリンダとして、それぞれのピストンを内外位置関係に置いて、個々に作動可能とすることで、2つのクラッチの掴み替え操作を可能としながら、両クラッチの油圧サーボのシリンダの共通化により、両油圧サーボの専有スペースをコンパクト化することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明を適用した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを、軸間を共通平面内に展開してスケルトンで示す。また、図2は上記自動変速機を端面からみて実際の軸位置関係を示す。この自動変速機は、互いに並行する主軸Xと、カウンタ軸Yと、デフ軸Zとを備える3軸構成とされている。主軸X上には、変速機構として、4つの変速要素S2,S3,C2(C3),R2(R3)を有するプラネタリギヤセットGと、減速プラネタリギヤG0と、カウンタドライブギヤ19と、2つのブレーキB−1,B−2と、3つのクラッチC−1,C−2,C−3とが配置され、デフ軸Z上には、デフリングギヤ31が配置されている。
【0032】
この自動変速機では、3つのクラッチC−1,C−2,C−3の選択的係合と、必要に応じた2つのブレーキB−1,B−2の択一的係合とにより、主軸X上の入力軸11の回転が、一方で減速プラネタリギヤG0を介する減速回転として第1の変速要素S3及び第2の変速要素S2に入力され、他方で非減速回転として第3の変速要素C2(C3)に入力され、必要に応じて1つの変速要素S2又は変速要素C2(C3)が係止されることで、第4の変速要素R2(R3)の変速回転となってカウンタドライブギヤ19に出力される動力伝達経路が各変速段に応じて形成される。なお、図に示すギヤトレインでは、ブレーキB−2に並列させてワンウェイクラッチF−1を配しているが、これは、後に詳記する1→2変速時のブレーキB−2とブレーキB−1の掴み替えのための複雑な油圧制御を避け、ブレーキB−2の解放制御を単純化すべく、ブレーキB−2の係合に伴って自ずと係合力を解放するワンウェイクラッチF−1を用いたものであり、ブレーキB−2と同等のものである。
【0033】
本発明の特徴に従い、変速機構の前(本明細書を通じて、動力が入力される側を前として位置関係を説明する)端側に、第3の変速要素C2(C3)に非減速回転を入力する第2のクラッチC−2が配置されている。そして、デフ軸Z上のデフリングギヤ19が、第2のクラッチC−2と重なる軸方向位置に配置されている。
【0034】
以下、この実施形態のギヤトレインを更に詳細に説明する。主軸X上には、図示しないエンジンの回転を入力軸11に伝達するロックアップクラッチ付のトルクコンバータ4が配置されている。カウンタ軸Y上には、カンタギヤ2が配置されている。カンタギヤ2は、カウンタ軸20に固定され、カウンタドライブギヤ19に噛合する大径のカンタドリブンギヤ21と、同じくカウンタ軸20に固定され、デフリングギヤ31に噛合する小径のデフドライブピニオンギヤ22とが配設されており、これらにより主軸X側からの出力を減速するとともに、反転させてディファレンシャル装置3に伝達する機能を果たす。デフ軸Z上には、ディファレンシャル装置3が配設されている。ディファレンシャル装置3には、デフリングギヤ31に固定してデフケース32が設けられ、その中に配置された差動歯車の差動回転が左右軸30に出力され、最終的なホイール駆動力とされる。
【0035】
プラネタリギヤセットGは、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方が大径のサンギヤS2に噛合するとともにリングギヤR2(R3)に噛合し、他方が小径のサンギヤS3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2(C3)からなるラビニヨ式のギヤセットで構成されている。そして、この形態では、小径のサンギヤS3を第1の変速要素、大径のサンギヤS2を第2の変速要素、キャリアC2(C3)を第3の変速要素とし、リングギヤR2(R3)を第4の変速要素とされている。
【0036】
減速プラネタリギヤG0は、その入力要素としてのリングギヤR1を入力軸11に連結され、出力要素としてのキャリアC1を第1のクラッチC−1を介して第1の変速要素すなわち小径サンギヤS3に連結されている。プラネタリギヤセットGの第2の変速要素すなわち大径サンギヤS2は、第3のクラッチC−3を介して減速プラネタリギヤG0の出力要素すなわちリングギヤR1に連結されている。第3の変速要素C2(C3)は、第2のクラッチC−2を介して入力軸11に連結され、かつ、第2のブレーキB−2により変速機ケース10に係止可能とされている。第2の変速要素すなわち大径サンギヤS2は、第3のクラッチC−3を介して減速プラネタリギヤG0の出力要素C1に連結され、かつ、第1のブレーキB−1により変速機ケース10に係止可能とされている。そして、カウンタドライブギヤ19は、第4の変速要素すなわちリングギヤR2(R3)に連結されている。
【0037】
こうした構成からなる自動変速機は、図示しない電子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷と車速に基づき、変速を行う。図3は各クラッチ及びブレーキの係合及び解放(○印で係合、無印で解放を表す)で達成される変速段を図表化して示す。また、図4は各クラッチ及びブレーキの係合(●印でそれらの係合を表す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の回転数比との関係を速度線図で示す。
【0038】
両図を併せ参照してわかるように、第1速(1ST)は、クラッチC−1 とブレーキB−2の係合(本形態において、作動表を参照してわかるように、このブレーキB−2の係合に代えてワンウェイクラッチF−1の自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がブレーキB−2の係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF−1の係合により係止されたキャリアC3に反力を取って、リングギヤR3の最大減速比の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0039】
次に、第2速(2ND)は、クラッチC−1 とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ブレーキB−1の係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。このときの減速比は、図4にみるように、第1速(1ST)より小さくなる。
【0040】
また、第3速(3RD)は、クラッチC−1とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−1とクラッチC−3経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2(R3)の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、カウンタドライブギヤ19に出力される。
【0041】
更に、第4速(4TH)は、クラッチC−1とクラッチC−2の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−1経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC3に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR3の回転としてカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0042】
次に、第5速(5TH)は、クラッチC−2とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2の入力軸11の回転より僅かに増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0043】
そして、第6速(6TH)は、クラッチC−2とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、ブレーキB−1の係合により係止されたサンギヤS2に反力を取るリングギヤR2の更に増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0044】
なお、後進(REV)は、クラッチC−3とブレーキB−2の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG0を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、ブレーキB−2の係合により係止されたキャリアC2に反力を取るリングギヤR2の逆転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0045】
ここで、先に触れたワンウェイクラッチF−1とブレーキB−2との関係について説明する。上記の第1速と第2速時の両ブレーキB−1,B−2の係合・解放関係にみるように、これら両ブレーキは、両変速段間でのアップダウンシフト時に、一方の解放と同時に他方の係合が行われる、いわゆる掴み替えされる摩擦要素となる。こうした摩擦要素の掴み替えは、それらを操作する油圧サーボの係合圧と解放圧の精密な同時制御を必要とし、こうした制御を行うには、そのためのコントロールバルブの付加や油圧回路の複雑化等を招くこととなる。そこで、本形態では、第1速と第2速とで、キャリアC2(C3)にかかる反力トルクが逆転するのを利用して、ワンウェイクラッチF−1の係合方向を第1速時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、ワンウェイクラッチF−1に実質上ブレーキB−2の係合と同等の機能を発揮させて、第1速時のブレーキB−2の係合に代えて(ただし、ホイール駆動の車両コースト状態ではキャリアC2(C3)にかかる反力トルクの方向がエンジン駆動の状態に対して逆転するので、エンジンブレーキ効果を得るためには、図3に括弧付きの○印で示すようにブレーキB−2の係合を必要とする)、キャリアC2(C3)の係止を行っているわけである。したがって、変速段を達成する上では、ワンウェイクラッチを設けることなく、ブレーキB−2の係合により第1速を達成する構成を採ることもできる。
【0046】
このようにして達成される各変速段は、図4の速度線図上で、リングギヤR2,R3の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。この関係を具体的に数値を設定して、定量的に表すと、図3に示すギヤ比となる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=44/78、プラネタリギヤセットGの大径サンギヤ側のサンギヤS2とリングギヤR2(R3)の歯数比λ2=36/78、小径サンギヤ側のサンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=30/78に設定すると、入出力ギヤ比は、
Figure 0003909622
となる。そして、これらギヤ比間のステップは、
第1・2速間:1.73
第2・3速間:1.51
第3・4速間:1.35
第4・5速間:1.35
第5・6速間:1.25
となる。
【0047】
次に、図5及び図6は自動変速機の構成を更に詳細に断面で示す。先にスケルトンを参照して説明した各構成要素については、同じ参照符号を付して説明に代えるが、スケルトンから参照し得ない細部、主として各クラッチ及びブレーキを構成する摩擦部材と油圧サーボの配置関係について、次に説明する。なお、本明細書を通じて、各クラッチ及びブレーキという用語は、摩擦部材と油圧サーボを総称するものとする。したがって、第1のクラッチC−1は摩擦部材63と油圧サーボ6で、同様に第2のクラッチC−2は摩擦部材55と油圧サーボ5で、第3のクラッチC−3は摩擦部材73と油圧サーボ7で構成されている。また、バンドブレーキB−1はバンド80と図示しない油圧サーボで構成され、多板ブレーキB−2は、クラッチと同様の摩擦部材と油圧サーボで構成されている。
【0048】
まず、第3の変速要素C2(C3)に入力軸11の回転を直接入力するクラッチC−2は、前記の説明から明らかなように、前進1速(1ST)〜3速(3RD)及び後進(REV)時に係合されないクラッチである。そのため、このクラッチC−2は、車両停止時のようなトルクコンバータ4からのエンジントルクを増幅したストールトルクを受けることはなく、また、図4の速度線図を参照して、他の2つのクラッチC−1,C−3との対比でわかるように、減速による増幅トルクを負担することはない。したがって、このクラッチC−2は、他のクラッチに比してトルク容量(この容量は、クラッチ径と摩擦部材の摩擦材の枚数により決まる)の小さなクラッチとすることができる。したがって、このクラッチ径を小さくすることで、図2に示す軸位置関係から、主軸Xとデフ軸Zの軸間距離に対して、クラッチ径を小さくした分だけデフリングギヤ31のギヤ径を大きくすることができる。
【0049】
更にこの関係について、同様のプラネタリギヤセットを用い、3つのクラッチと2つのブレーキで前進4速、後進1速を達成する4速自動変速機の場合と比較してみる。図15はこうした自動変速機の変速機構部のみを示す。このギヤトレインの場合、減速歯車機構はないため、3つの非減速回転が、各クラッチC−1,C−2,C−3を介して各変速要素に入力されることになる。図16に作動図表、図17に速度線図を示すように、この変速機構の場合、3つのクラッチC−1,C−2,C−3は、いずれもトルクコンバータを経たエンジントルクをそのまま負担する容量を必要とすることになる。ただ、この場合もクラッチC−2は、図16の作動図表にみるように、直結の第3速及びオーバドライブの第4速達成のために係合する摩擦要素となるため、トルクコンバータによるトルク増幅が殆どない状態でのトルク容量を持てばよいため、低速段達成用のクラッチC−1や後進達成用のクラッチC−3に比べればトルク容量は小さくてすむが、本実施形態のクラッチC−2のように、他のクラッチに比べて減速比の面からも小容量のものとなることはない。
【0050】
また、本実施形態のクラッチC−2は、上記理由から他の2つのクラッチC−1,C−3に比べてコンパクトにすることができる関係を利用して、前記のようにギヤトレインの前端側に位置させ、その摩擦部材と油圧サーボの間に障害物のない配置とすることができる。そこで、本形態では、図5に示すようにクラッチC−2の摩擦部材55を操作する油圧サーボ5は、変速機ケース10にシリンダとピストンとを内蔵させた静止シリンダ型の油圧サーボとされている。詳しくは、図6に拡大して示すように、シリンダ50は、変速機ケース10のトルクコンバータハウジング側の隔壁(オイルポンプボディを兼ねる)10aのカバー10b側に環状溝として形成されており、その内部に、同じく環板状のピストン51が軸方向摺動自在に嵌合された構成とされている。そして、このピストン51は、スラストベアリング52を介してプレッシャプレート53を押圧する構成とされ、入力軸11に一体化されたフランジ54との間でクラッチ摩擦部材(摩擦材とセパレータプレート)55を挟持して、フランジ54側のハブからの入力回転をドラム56を介してキャリアC2,C3に入力することになる。
【0051】
ところで、こうした静止シリンダ型の油圧サーボ構成を採ると、一般的なドラム内配置の油圧サーボのようにサーボドラム内でサーボ力を閉ループさせることで、軸方向の不平衡力を相殺することができなくなるが、本形態では、減速プラネタリギヤG0を、その反力要素としてのサンギヤS1が変速機ケース10に固定され、その入力要素としてのリングギヤR1がフランジ12を介して入力軸11に連結されており、フランジ12とサンギヤS1との間にベアリング13が配設された構成により、静止シリンダ型油圧サーボ5のサーボ力は、入力軸11、フランジ12及びベアリング13を介してサンギヤS1に伝達されて、変速機ケース10のカバー10cに支持されるようにしている。
【0052】
次に、カウンタドライブギヤ19は、第2のクラッチC−2の軸方向後側に隣接して配置されている。この配置により、デフリングギヤ31とカウンタドライブギヤ19の軸方向位置関係を最も接近させることができるため、カウンタ軸20の軸長を最短のものとすることができる。また、カウンタドライブギヤ19は、変速機の後端部から離れた位置に配置されることになるので、ギヤノイズを低減することができる。
【0053】
更に、カウンタドライブギヤ19の一方側、すなわち後方には、順次、プラネタリギヤセットG、減速プラネタリギヤG0、第1のクラッチC−1の油圧サーボ6及び第3のクラッチC−3の油圧サーボ7が配置されている。そして、第1のクラッチC−1の摩擦部材62と第3のクラッチC−3の摩擦部材72は、それらの少なくとも一方をプラネタリギヤセットGの外周側に重合させ、軸方向に並べて配置されている。この配置は、デフリングギヤ31及び車両側メンバBとの干渉を避けるために径方向寸法の制約がある変速機の前端部及び後端部の間の比較的径方向寸法の制約が小さい部位に位置するプラネタリギヤセットGの外周側に、減速トルクが入力されるために大容量が必要とされる第1及び第3のクラッチの摩擦部材66,72を配置することで、それらのクラッチ容量を確保することができるので、それらの操作のための油圧サーボ6,7については受圧面積を小さく、すなわち、径方向寸法を小さくでき、小径化されたこれら油圧サーボが配置される後端部を車両メンバBとの干渉に対して有利な小径の構造とすることができる。また、大容量となるクラッチをプラネタリギヤセットGと重合配置することにより、軸方向寸法の短縮を図ることができる。このように、これらクラッチの摩擦部材をそれぞれ減速プラネタリギヤG0及びプラネタリギヤセットGに対して外径側にオーバラップさせているのは、これらのクラッチが、エンジントルクを減速して増幅されたトルクを伝達することと、ストールトルク負荷の関係で、クラッチC−2より大容量のものであることから、減速プラネタリギヤG0とプラネタリギヤセットGに対して軸方向に並べた場合の小径化に伴う摩擦部材の摩擦材の枚数の増加による軸方向寸法の増加を避ける意味合いを持っている。
【0054】
このように配置した両摩擦部材に対して、第1及び第2の油圧サーボ6,7は、それらの個々のピストン61,71を一方のドラム60の内側及び外側に嵌合させて個々に作動可能に配置されている。更に詳しくは、クラッチC−1を構成する摩擦部材62の外周を支持するドラム60の内周側がピストン61のシリンダとされ、ドラム60の外周側に被さるクラッチC−3のドラムが、ピストン71とされている。
【0055】
この配列の油圧サーボ構成では、ピストン61がクラッチC−1の摩擦部材62をドラム60との間で挟持し、それによりキャリアC1の減速回転をハブ63を介して小径のサンギヤS3に入力する作動を行う。このときのサーボ力は、ピストン61から摩擦部材62を経てドラム60に戻り、ドラム60にかかる油圧反力と相殺する閉ループを構成する。一方、ピストン71は、クラッチC−3の摩擦部材72をドラム60との間で挟持し、それによりキャリアC1の減速回転をハブ73を介して大径のサンギヤS2に入力する作動を行う。このときのサーボ力も、ピストン71から摩擦部材72を経てドラム60に戻り、ドラム60にかかる油圧反力と相殺する閉ループを構成する。
【0056】
このように、両クラッチC−1,C−3の摩擦部材の位置を自動変速機の外端から離れた配置とし、比較的設計自由度が大きなそれらの操作用の油圧サーボ6,7を外端に配置することにより、搭載する車両との干渉が問題となる変速機端部の形状に自由度を与え、車両搭載性を向上させている。しかも、一方のクラッチC−1のドラム60の内側と外側をシリンダとして、それぞれのピストン61,71を内外位置関係に置いて、個々に作動可能とすることで、2つのクラッチC−1,C−3の掴み替え操作(こうした操作は、跳び変速時に必要となる)を可能としながら、両クラッチ油圧サーボ6,7のシリンダの共通化により、両油圧サーボの専有スペースをコンパクト化している。
【0057】
更に本発明の特徴に従い、自動変速機ケース10の後端部から前方に延在し、内周部で入力軸11を支持するボス部10dが、ケース10と一体又は別体の部材として設けられている。そして、ボス部10d先端部に減速プラネタリギヤG0の反力要素を構成するサンギヤS3が連結されている。更に、減速プラネタリギヤG0とケース10後端部との間のボス部10dの外周に、ボス部からの油圧供給が可能に第1のクラッチC−1の油圧サーボ6と第3のクラッチの油圧サーボ7が軸方向に並べて配置されている。
【0058】
そして、図6の詳細な断面からわかるように、両油圧サーボ6,7のシリンダ60とピストン61,71によりそれぞれ画定される油室は、シリンダ60の筒状部60aに穿設された油孔及びケース10のボス部10dに形成された周溝並びに径方向油路を経てケース10に形成された供給油路に接続され、それにより油圧の供給が、ボス部10dを介して可能とされている。
【0059】
また、減速プラネタリギヤG0は、そのサンギヤS1がボス部10dにスプライン係合で固定され、リングギヤR1が減速プラネタリギヤG1の一方側でフランジ11aを介して入力軸11に連結され、キャリアC1がドラム60の筒状部60aに連結されている。
【0060】
更に、本形態では、第1のブレーキB−1は、バンド80と、図示しない油圧サーボからなるバンドブレーキとされ、第1のクラッチC−1と第3のクラッチC−3の摩擦部材62,72の外周側に配置されている。このように車両側メンバBとの干渉の問題のない変速機構の軸方向中間部位にブレーキB−1を更に重合配置することにより、変速機の後端部の外径が小径化されて、車両搭載性の面で有利な形態とされている。
【0061】
ところで、前記第1実施形態では、プラネタリギヤセットGをラビニヨ式としたが、ギヤセットGは、これに限るものではない。そこで、プラネタリギヤセットGを他の形式のものに変更した実施形態について、次に説明する。
【0062】
図7はプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第2実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、互いに噛合する一対のピニオンギヤP2,P2’の一方が大径のサンギヤS2に噛合し、他方が大径のリングギヤR2に噛合するダブルピニオンプラネタリギヤと、シンプルプラネタリギヤとの組み合わせで構成されている。そして、サンギヤS2がクラッチC−1からの減速回転の入力要素、ダブルピニオンを支持するキャリアC2とサンギヤS3が互いに連結されてクラッチC−3からの減速回転の入力要素兼第2速達成時の反力要素、リングギヤR2とキャリアC3が互いに連結されてクラッチC−2からの非減速回転の入力要素兼第3速達成時の反力要素、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結した出力要素とされている。したがって、この形態の場合、それぞれのサンギヤS2が第1の変速要素、キャリアC2とサンギヤS3が第2の変速要素、キャリアC3とリングギヤR2が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。
【0063】
こうしたプラネタリギヤセットGによっても、前記第1実施形態の場合と同様に、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップが得られる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤセットGのサンギヤS2とリングギヤR2の歯数比λ2=0.447、サンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=0.444に設定すると、入出力ギヤ比とステップは、次の表1に示すようになる。ちなみに、この場合のギヤ比幅は6.245である。
【表1】
Figure 0003909622
【0064】
図8はプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第3実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、それぞれが一対ずつのピニオンギヤP2,P2’,P3,P3’を有するダブルピニオンプラネタリギヤG1,G2で構成されている。そして、両サンギヤS2,S3同士を連結してクラッチC−1からの減速回転の入力要素、キャリアC2をクラッチC−3からの減速回転の入力要素兼第2速達成時の反力要素、キャリアC3とリングギヤR2を連結してクラッチC−2からの非減速回転の入力要素兼第3速達成時の反力要素、リングギヤR3をカウンタドライブギヤ19に連結して出力要素としている。したがって、この形態の場合、それぞれのサンギヤS3,S2が第1の変速要素、キャリアC2が第2の変速要素、キャリアC3とリングギヤR2が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。
【0065】
こうしたプラネタリギヤセットGによっても、前記第1実施形態の場合と同様に、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップが得られる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤセットGのサンギヤS2とリングギヤR2の歯数比λ2=0.444、サンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=0.361に設定すると、入出力ギヤ比とステップは、次の表2に示すようになる。ちなみに、この場合のギヤ比幅は6.252である。
【表2】
Figure 0003909622
【0066】
図9はプラネタリギヤセットGの連結関係を上記第3実施形態に対して変更した第4実施形態を示す。この形態では、同様のプラネタリギヤセットGにおいて、キャリアC2とサンギヤS3が相互に連結されて減速回転の入力要素、サンギヤS2が減速回転の入力要素兼第2速達成時の反力要素、リングギヤR2とキャリアC3が相互に連結されて非減速回転の入力要素兼第3速達成時の反力要素、リングギヤR2がカウンタドライブギヤ19に連結されて出力要素となっている。したがって、この形態の場合、サンギヤS3とキャリアC2が第1の変速要素、サンギアS2が第2の変速要素、リングギヤR2とキャリアC3が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。
【0067】
こうしたプラネタリギヤセットGによっても、前記第1実施形態の場合と同様に、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップが得られる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤセットGのサンギヤS2とリングギヤR2の歯数比λ2=0.556、サンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=0.361に設定すると、入出力ギヤ比とステップは、次の表3に示すようになる。ちなみに、この場合のギヤ比幅は6.252である。
【表3】
Figure 0003909622
【0068】
図10はプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第5実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、一方が段付の互いに噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2,C3と、大小径の異なる一対のリングギヤR2,R3とからなり、一方の段付のピニオンギヤP2の小径ギヤ部P2aが大径のサンギヤS2に噛合するとともに小径のリングギヤR2に噛合し、更に大径ギヤ部P2bが大径のリングギヤR3にも噛合し、他方のピニオンギヤP3が小径のサンギヤS3に噛合するギヤセットで構成されている。したがって、この場合、小径のサンギヤS3が第1の変速要素、大径のサンギヤS2が第2の変速要素、キャリアC2,C3が第3の変速要素、大径のリングギヤR3が第4の変速要素とされ、小径のリングギヤR2が専ら反力支持のために係止される第5の変速要素となる。なお、この形態のプラネタリギヤセット構成は、段付ピニオンギヤP2が、大小径部P2a,P2bにおいてモジュールのみ異なる同じ歯数の歯車であることを条件として成立する。
【0069】
次に、図11に示す第6実施形態のものでは、プラネタリギヤセットGは、それぞれサンギヤS2,S3、リングギヤR2,R3、キャリアC2,C3の3要素からなる一対のシンプルプラネタリギヤG1,G2で構成されている。そして、サンギヤS2とリングギヤR3及びキャリアC2,C3同士を連結し、サンギヤS2を減速回転の入力要素兼第2速達成時の反力要素、サンギヤS3を減速回転の入力要素、キャリアC2,C3を非減速回転の入力要素兼第3速達成時の反力要素、リングギヤR2をカウンタドライブギヤ19に連結した出力要素としている。したがって、この形態の場合、それぞれのサンギヤS3,S2が第1及び第2の変速要素、キャリアC2,C3が第3の変速要素、リングギヤR2が第4の変速要素となる。
【0070】
こうしたプラネタリギヤセットGによっても、前記第1実施形態の場合と同様に、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップが得られる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=38/78=0.487、プラネタリギヤセットGのサンギヤS2とリングギヤR2の歯数比λ2=46/88=0.523、サンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=56/88=0.636に設定すると、入出力ギヤ比とステップは、次の表4に示すようになる。ちなみに、この場合のギヤ比幅は6.808である。
【表4】
Figure 0003909622
【0071】
なお、プラネタリギヤセットGを変更したこととは直接関係ないが、減速プラネタリギヤG0は、図12に変形形態を示すようにリングギヤR1を変速機ケース10に固定して反力要素とし、サンギヤS1を入力軸11に連結して入力要素とし、キャリアC1を減速回転の出力要素として両クラッチC−1,C−3に連結した構成を採ることもできる。
【0072】
次に、図13に示す第7実施形態のものでは、プラネタリギヤセットGは、サンギヤS2とリングギヤR2とそれらに噛合するピニオンギヤをキャリアC2で支持したシンプルプラネタリギヤG1と、相互に噛合する一対のピニオンギヤの一方がサンギヤS3に噛合し、他方がリングギヤR3に噛合する両ピニオンギヤをキャリヤC3で支持したダブルピニオンプラネタリギヤG2とから構成されている。そして、この形態では、両サンギヤS2,S3が減速回転の入力要素、リングギヤR2が減速回転の入力要素兼第2速達成時の反力要素、互いに連結されたキャリアC2,C3が非減速回転の入力要素兼第3速達成時の反力要素、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結した出力要素とされている。
【0073】
こうしたプラネタリギヤセットGによる場合も、前記第1実施形態の場合と同様に、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップが得られる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG0のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤセットGのサンギヤS2とリングギヤR2の歯数比λ2=0.636、サンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=0.333に設定すると、入出力ギヤ比とステップは、次の表5に示すようになる。ちなみに、この場合のギヤ比幅は7.111である。
【表5】
Figure 0003909622
【0074】
最後に図14に示す第8実施形態では、プラネタリギヤセットGは、第1実施形態のものが、リングギヤ径を共通として、サンギヤ径を異ならせたのに対して、逆に、サンギヤ径を共通として、リングギヤ径を異ならせたものである。この形態では、サンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方がサンギヤS2に噛合するとともに小径のリングギヤR2に噛合し、他方が大径のリングギヤR3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3をキャリアC2とキャリアC3とで支持したギヤセットで構成されている。この場合、両サンギヤS2,S3を第1の変速要素、小径のリングギヤR2を第2の変速要素、両キャリアC2,C3を第3の変速要素とし、大径のリングギヤR3を第4の変速要素とすることになる。
【0075】
なお、この場合もプラネタリギヤセットGを変更したこととは直接関係はないが、減速プラネタリギヤG0は、図示のようにダブルピニオン構成とし、サンギヤS1を変速機ケース10に固定の反力要素とし、キャリアC1,C1’を入力軸11に連結して入力要素とし、リングギヤR1を減速回転の出力要素として両クラッチC−1,C−3に連結した構成を採ることもできる。
【0076】
以上、本発明を8つの実施形態に基づき詳説したが、本発明は、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に細部の具体的な構成を変更して実施することができる。例えば、第1のブレーキB−1について、第1実施形態における具体的構造としてバンドブレーキを用いているが、変速機の減速プラネタリギヤG0より軸方向外側の外径に制約がなければ、クラッチC−1,C−3の摩擦部材を端部側に寄せた配置とし、プラネタリギヤセットGの外周にブレーキB−2と同様の多板ブレーキを配置する構成を採ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを展開して示すスケルトン図である。
【図2】上記ギヤトレインの実際の3軸位置関係を示す軸方向端面図である。
【図3】上記ギヤトレインの作動及び達成されるギヤ比並びにギヤ比ステップを示す図表である。
【図4】上記ギヤトレインの速度線図である。
【図5】上記自動変速機の実際の断面を展開して示す軸方向断面図である。
【図6】図4の部分拡大断面図である。
【図7】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセットの構成を一部変更した第2実施形態の主軸部分のみのスケルトン図である。
【図8】上記と同様の第3実施形態の主軸部分のみのスケルトン図である。
【図9】上記と同様の第4実施形態の主軸部分のみのスケルトン図である。
【図10】上記と同様の第5実施形態の主軸部分のみのスケルトン図である。
【図11】上記と同様の第6実施形態の主軸部分のみのスケルトン図である。
【図12】上記第6実施形態の一部を変更した変形形態のギヤトレインの主軸部分のみを示すスケルトン図である。
【図13】上記と同様の第7実施形態のギヤトレインの主軸部分のみを示すスケルトン図である。
【図14】上記と同様の第8実施形態の主軸部分のみを示すスケルトン図である。
【図15】従来のランビニヨ式プラネタリギヤセットに減速入力を行わないギヤトレインのスケルトン図である。
【図16】上記ギヤトレインの作動図表である。
【図17】上記ギヤトレインの速度線図である。
【符号の説明】
X 主軸
Y カウンタ軸
Z デフ軸
G プラネタリギヤセット
S3 第1の変速要素
S2 第2の変速要素
C2,C3 第3の変速要素
R3 第4の変速要素
G0 減速プラネタリギヤ
C1 入力要素
S1 反力要素
R1 出力要素
P1,P2,P3 ピニオンギヤ
C1,C2,C3 キャリア
R1,R2,R3 リングギヤ
S1,S2,S3 サンギヤ
C−1 第1のクラッチ
C−2 第2のクラッチ
C−3 第3のクラッチ
B−1 第1のブレーキ
B−2 第2のブレーキ
5 第2の油圧サーボ
6 第1の油圧サーボ
7 第3の油圧サーボ
10 変速機ケース
10d ボス部
11 入力軸
12 フランジ
13 ベアリング
19 カウンタドライブギヤ
31 デフリングギヤ
51 シリンダ
52 ピストン
60 ドラム
61,71 ピストン
62,72 摩擦部材

Claims (16)

  1. 主軸と、カウンタ軸と、デフ軸とを備え、
    主軸上に、少なくとも4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、カウンタドライブギヤと、少なくとも2つのブレーキと、3つのクラッチとを有する変速機構が配置され、デフ軸上にデフリングギヤが配置された車両用自動変速機であって、
    3つのクラッチの選択的係合と、2つのブレーキの必要に応じた択一的係合とにより、主軸上の入力軸の回転が、一方で減速プラネタリギヤを介する減速回転としてプラネタリギヤセットの第1の変速要素及び第2の変速要素に入力され、他方で非減速回転として第3の変速要素に入力され、必要に応じて1つの変速要素が係止されることで、第4の変速要素の変速回転となってカウンタドライブギヤに出力されるものにおいて、
    変速機構の前端側に、第3の変速要素に非減速回転を入力する第2のクラッチが配置され、
    前記第2のクラッチの軸方向後方側に前記カウンタドライブギヤが配置され、
    該カウンタドライブギヤの軸方向後方側に、前記第1の変速要素に減速回転を入力する第1のクラッチ及び前記第2の変速要素に減速回転を入力する第3のクラッチが配置され、
    前記デフ軸上のデフリングギヤが、前記第2のクラッチと重なる軸方向位置に配置されたことを特徴とする車両用自動変速機。
  2. 前記第2のクラッチは、摩擦部材と油圧サーボとで構成される、請求項1記載の車両用自動変速機。
  3. 前記カウンタドライブギヤは、第2のクラッチに隣接して配置された、請求項1又は2記載の車両用自動変速機。
  4. 前記第2のクラッチは、前進低速段及び後進段達成時には係合されないクラッチとされた、請求項1,2又は3記載の車両用自動変速機。
  5. 前記第2のクラッチを操作する第2の油圧サーボは、変速機ケースにシリンダとピストンとを内蔵させた静止シリンダ型の油圧サーボとされた、請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  6. 前記減速プラネタリギヤは、その反力要素が変速機ケースに固定され、その入力要素がフランジを介して入力軸に連結されており、フランジと反力要素との間にベアリングが配設されており、静止シリンダ型油圧サーボのサーボ力が、入力軸、フランジ及びベアリングを介して反力要素に伝達されて、変速機ケースに支持される、請求項5記載の車両用自動変速機。
  7. 前記減速プラネタリギヤは、その入力要素を入力軸に連結され、出力要素を第1のクラッチを介してプラネタリギヤセットの第1の変速要素に連結され、
    プラネタリギヤセットの第2の変速要素は、第3のクラッチを介して減速プラネタリギヤの出力要素に連結され、かつ、第1のブレーキにより変速機ケースに係止可能とされ、第3の変速要素は、第2のクラッチを介して入力軸に連結され、かつ、第2のブレーキにより変速機ケースに係止可能とされ、
    カウンタドライブギヤは、プラネタリギヤセットの第4の変速要素に連結された、請求項1〜6のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  8. 前記プラネタリギヤセットは、大小径の異なる一対のサンギヤと、互いに噛合する一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、リングギヤとからなり、一方のピニオンギヤが大径のサンギヤに噛合するとともにリングギヤに噛合し、他方のピニオンギヤが小径のサンギヤに噛合するラビニヨ式のギヤセットで構成され、
    小径のサンギヤが第1の変速要素、大径のサンギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、リングギヤが第4の変速要素とされた、請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  9. 前記プラネタリギヤセットは、大小径の異なる一対のサンギヤと、互いに噛合する一方が段付の一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、大小径の異なる一対のリングギヤとからなり、一方の段付のピニオンギヤの小径ギヤ部が大径のサンギヤに噛合するとともに小径のリングギヤに噛合し、更に大径ギヤ部が大径のリングギヤにも噛合し、他方のピニオンギヤが小径のサンギヤに噛合するギヤセットで構成され、
    小径のサンギヤが第1の変速要素、大径のサンギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、大径のリングギヤが第4の変速要素、小径のリングギヤが第5の変速要素とされた、請求項1〜6のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  10. 前記プラネタリギヤセットは、サンギヤ、リングギヤ、キャリアの3つの変速要素からなる一対のプラネタリギヤで構成され、相互のキャリア同士が連結され、一方のサンギヤと他方のリングギヤが連結され、
    残りのサンギヤが第1の変速要素、連結されたサンギヤとリングギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、残りのリングギヤが第4の変速要素とされた、請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  11. 前記プラネタリギヤセットは、サンギヤと、互いに噛合する一対のピニオンギヤを支持するキャリアと、大小径の異なる2つのリングギヤとからなり、一方のピニオンギヤがサンギヤに噛合するとともに小径のリングギヤに噛合し、他方のピニオンギヤが大径のリングギヤに噛合するギヤセットで構成され、
    サンギヤが第1の変速要素、小径のリングギヤが第2の変速要素、キャリアが第3の変速要素、大径のリングギヤが第4の変速要素とされた、請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用自動変速機。
  12. 前記プラネタリギヤセットは、
    第1のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素とし、第2のブレーキを係合させて第3の変速要素を係止状態の反力要素とする第4の変速要素からの出力で第1速、
    第1のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素とし、第1のブレーキを係合させて第2の変速要素を係止状態の反力要素とする第4の変速要素からの出力で第2速、
    第1及び第3のクラッチを係合させて第1及び第2の変速要素を共に減速回転の入力要素とするプラネタリギヤセットの直結状態での第4の変速要素からの出力で第3速、
    第1及び第2のクラッチを係合させて第1の変速要素を減速回転の入力要素、第3の変速要素を非減速回転の入力要素とする第4の変速要素からの出力で第4速、
    第2及び第3のクラッチを係合させて第2の変速要素を減速回転の入力要素、第3の変速要素を非減速回転の入力要素とする第4の変速要素からの出力で第5速、
    第2のクラッチを係合させて第3の変速要素を非減速回転の入力要素とし、第1のブレーキを係合させて第2の変速要素を反力要素とする第4の変速要素からの出力で第6速を達成する、請求項7又は8記載の車両用自動変速機。
  13. 前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ、第1のクラッチの油圧サーボ及び第3のクラッチの油圧サーボが配置され、
    第1のクラッチの摩擦部材と第3のクラッチの摩擦部材は、それらの少なくとも一方をプラネタリギヤセットの外周側に重合させ、軸方向に並べて配置された、請求項1〜10のいずれ1項記載の車両用自動変速機。
  14. 変速機ケースの後端部から前方に延在し、内周部で入力軸を支持するボス部が設けられ、
    該ボス部の先端部外周側に減速プラネタリギヤが配置され、該減速プラネタリギヤの反力要素は、ボス部の先端部に固定され、
    減速プラネタリギヤと変速機ケース後端部との間のボス部外周側に、該ボス部からの油圧供給が可能に第1及び第3の油圧サーボが軸方向に並べて配置された、請求項11記載の車両用自動変速機。
  15. 前記第1のブレーキは、バンドブレーキとされ、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材の外周側に配置された、請求項11又は12記載の車両用自動変速機。
  16. 前記第1及び第3の油圧サーボは、それらの個々のピストンを一方のドラムの内側及び外側に嵌合させて個々に作動可能に配置された、請求項13記載の車両用自動変速機。
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