JP3906576B2 - 車両用自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される横置式の自動変速機に関し、特に、そのギヤトレインにおける各変速機構成要素の配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機の一形態として、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車又はリヤエンジン・リヤドライブ(RR)車用の横置式の自動変速機がある。こうした形式の自動変速機では、エンジンの出力軸と同軸の主軸と、これと並行する車軸と同軸のデフ軸との間に、カウンタ軸を配した3軸構成が採られる。横置式の自動変速機では、車両の左右ホイールの間にエンジンと自動変速機を直列に並べて搭載する配置となるため、自動変速機の軸長が著しく制限されるばかりでなく、配設スペースの制約や最低地上高の確保のために、上記3軸の軸間距離も制約される。そこで、こうした自動変速機のギヤトレインは、主として軸長を延ばす要素となる多数の変速要素をもつプラネタリギヤセットの使用を避け、また、主として軸間距離を広げる要素となるクラッチやブレーキの数を可能な限り少なくした構成のものとしなければならない。
【0003】
他方、ドライバビリティの確保のみならず、省エネルギに不可欠な燃費の向上のために、自動変速機の多段化の要求があり、こうした要求に応えるには、ギヤトレインの変速段数当たりの変速要素数とクラッチやブレーキ数の一層の削減が必要となる。そこで、最小限の変速要素からなるプラネタリギヤセットを用い、それを操作する3つのクラッチと2つのブレーキとで、前進6速・後進1速を達成するギヤトレインが特開平4−219553号公報において提案されている。この提案に係るギヤトレインは、エンジン出力回転と、それを減速した回転とを3つのクラッチを用いて適宜変速機の4つの変速要素からなるプラネタリギヤセットへ2つの速度の異なる入力として入力させ、2つのブレーキで2つの変速要素を係止制御することで多段の6速を達成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、この提案に係るギヤトレイン構成は、変速段数当たりの変速要素数、必要とするクラッチ及びブレーキの数において非常に合理的なものであるが、実用面での問題がないわけではない。横置式の自動変速機の場合、車両の幅方向の中心に対して外側、すなわち主軸上で後端(本明細書を通じて、動力が入力される側を前として軸上の位置関係を規定する)側に配置される変速機構成部材と車両側のメンバーとの干渉を避けるために、変速機全長の短縮と併せて、特に変速機後端部の小径化必要である。この点に関して上記構成では、プラネタリギヤセットの軸方向前側にまとめてクラッチ及びブレーキを配置し、後端部に主軸からの変速出力をカウンタ軸に伝達するカウンタギヤ列を配したレイアウトを採っているが、こうした配置では、変速機後端部の小径化は困難である。
【0005】
また、横置式の自動変速機では、車種等によって異なる主軸とデフ軸との軸間距離に適宜対応可能なように、できるだけ大きなギヤ径のデフリングギヤの配設を可能としておき、車両に応じて軸間距離を詰める方向で、異なる車種への対応を取ることが通常行われる。したがって、この面で、可能な限り大きなデフリングギヤを配設可能とし、カウンタ軸とデフ軸との間で大きな減速比を得られるようにしておき、変速機全体としてのギヤ比の選択の自由度を増加させることが望ましいが、上記のように制限された軸間距離の中では、デフリングギヤのギヤ径を大きくすることは、デフリングギヤと主軸側の要素との干渉が問題となってくる。こうした点からみると、上記提案の構成では、デフリングギヤをトルクコンバータと変速機構の間の主軸側の要素のない軸方向位置に配置しており、主軸側の要素との干渉を避けることができるが、反面、こうした構成では、デフリングギヤを主軸側に入り込ませる分だけ主軸側の軸長が長くなり、しかもそれに関連してカウンタ軸長も長くなるため、変速機の質量増加を招くことになる。
【0006】
そこで、こうした問題点を解決するために、カウンタドライブギヤを変速機の後端部より前方に配置し、後端部以外の部位で構成部材をできるだけ径方向に重ねる等の配置が想起される。しかしながら、単に構成部材を径方向に重ねた配置にすると、径方向寸法が増大してしまう。特に、変速機前端部は、デフリングギヤとの干渉が問題となる部位であり、この部位で主軸側の構成部材の径方向寸法が増大すると、主軸とデフ軸との制限された軸間距離の中で、デフリングギヤが小径化してしまい、十分なデフ比が得られず、変速機全体としてのギヤ比の選択の自由度が低下してしまう。
【0007】
このように、制約された軸間距離の中でデフリングギヤの相対的大径化を維持しつつ、多段自動変速機の軽量・コンパクト化を図り、車両への搭載性を向上させることは、変速機を構成するギヤ、摩擦要素等の緻密なレイアウトの工夫なくしては、簡単に解決できない問題である。
【0008】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、軸長の短縮と所要部位の小径化により車両搭載性を向上させながら、変速機全体としてのギヤ比の選択の自由度を確保することを可能とする自動変速機のレイアウトを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、主軸と、カウンタ軸と、デフ軸とを備え、主軸上に、少なくとも4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、カウンタドライブギヤと、少なくとも2つのブレーキと、3つのクラッチとが配置され、デフ軸上にデフリングギヤが配置された車両用自動変速機であって、第1〜第3のクラッチの選択的係合と、第1及び第2のブレーキの必要に応じた択一的係合とにより、主軸上の入力軸の回転が、一方で減速プラネタリギヤを介する減速回転としてプラネタリギヤセットの第1の変速要素及び第2の変速要素に入力され、他方で非減速回転を第3の変速要素に入力され、必要に応じて1つの変速要素が係止されることで、第4の変速要素の変速回転となってカウンタドライブギヤに出力されるものにおいて、
少なくとも第2のブレーキがバンドブレーキで構成され、
主軸上の前端側に第3の変速要素に非減速回転を入力する第2のクラッチが、またその外周側に前記バンドブレーキが、互いに軸方向位置が重なるように配置され、
前記第2のクラッチの軸方向後方側に前記カウンタドライブギヤが配置され、
該カウンタドライブギヤの軸方向後方側に、前記第1の変速要素に減速回転を入力する第1のクラッチ及び前記第2の変速要素に減速回転を入力する第3のクラッチが配置され、
前記デフ軸上のデフリングギヤが、前記第2のクラッチとバンドブレーキの軸方向位置と重なる軸方向位置を含むそれより前方に配置されたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成において、カウンタ軸の短縮との関連で、前記デフリングギヤは、第2のクラッチとバンドブレーキの軸方向位置と重なる軸方向位置に配置された構成とするのが有効である。
【0011】
そして、カウンタ軸を更に短縮する意味で、前記カウンタドライブギヤは、主軸上で第2のクラッチとバンドブレーキに隣接する軸方向位置に配置された構成とするのが有効である。
【0012】
更に、自動変速機後端部の小径化を図るうえでは、前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ、第1の変速要素に入力する第1のクラッチの油圧サーボ及び第2の変速要素に入力する第3のクラッチの油圧サーボが配置され、プラネタリギヤセットの外周側に、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材が軸方向に並べて配置された構成を採るのが有効である。
【0013】
一方、主軸の軸長を短縮するには、前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ及び第1の変速要素に入力する第1のクラッチの油圧サーボが配置され、プラネタリギヤセットの外周側に、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材が軸方向に並べて配置され、第1のクラッチの油圧サーボの外周側に第3のクラッチの油圧サーボが配置された構成とするのが有効である。
【0014】
また、油圧サーボのコンパクト化を図るうえでは、前記第1のクラッチの油圧サーボと第3のクラッチの油圧サーボは、共通のシリンダの内側と外側に嵌挿されたピストンを備える構成を採るのが有効である。
【0015】
そして、更なる軸長の短縮を図るには、前記第1のブレーキはバンドブレーキで構成され、軸方向に並んで配置された第1のクラッチ及び第3のクラッチの摩擦部材の外周側に配置された構成とするのが有効である。
【0016】
また、カウンタドライブギヤの支持に関しては、前記カウンタドライブギヤは、自動変速機ケースに設けられたサポートの軸方向延長部の外周にベアリングを介して支持された構成とするのが有利である。
【0017】
また、前記第2のブレーキにより係止される変速要素の一方向の回転を阻止するワンウェイクラッチを備える場合、カウンタドライブギヤは、その内周部に、軸方向前方に延びる筒状部を有し、該筒状部は、自動変速機ケースに設けられたサポートの軸方向延長部の内周側に支持され、ワンウェイクラッチは、サポートの軸方向延長部の外周側に配置された構成とするのが有効である。
【0018】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、必要とされる3つのクラッチのうち、他の2つのクラッチに比べて、減速プラネタリギヤを介する減速による増幅されたトルクが入力されないだけ軸方向寸法を増大させることなく径方向にコンパクトに構成できる第2のクラッチの外周に径方向寸法の増大を最小限に抑えうるバンドブレーキを配置することにより、この部位がデフリングギヤと軸方向位置同士でオーバラップする位置関係とした場合でも、オーバラップによる干渉が問題となる部位の径方向寸法の増大を抑えることができ、限られた軸間距離でのデフリングギヤ径の大径化への支障を防ぐことができる。したがって、この構成によれば、自動変速機構成要素の重合配置により軸方向寸法の短縮を可能にしながら、デフ比設定の自由度も確保できる。
【0019】
特に、請求項2記載の構成では、上記オーバラップによる干渉を避けながらデフリングギヤをギヤトレインの中央寄りに配置することになるので、カウンタドライブギヤとデフリングギヤ双方の軸方向位置の接近によりカウンタ軸の軸長が短縮される。
【0020】
そして、請求項3記載の構成では、カウンタドライブギヤとデフリングギヤの軸方向位置が最も接近した配置となるため、それに噛合する歯車を支持するカウンタ軸の軸長が最短に短縮され、カウンタ軸の質量の低減により自動変速機の軽量化が可能となる。
【0021】
また、請求項4記載の構成では、変速機の前端部及び後端部は、デフリングギヤ及び車両メンバとの干渉の関係から、径方向寸法の制約があるのに対して、それらの間の部位では、こうした制約が比較的制約が小さいことを利用して、この径方向寸法の制約が小さい部位に位置するプラネタリギヤセットの外周側に、減速トルクが入力されることで大容量が必要とされる第1のクラッチ及び第2のクラッチの摩擦部材を配置することにより、それらの大径化によりクラッチ容量を確保することができる。しかも、それにより、両クラッチを作動させる油圧サーボの受圧面積を小さくすることができるため、油圧サーボの径方向寸法を小さくすることができ、結果的に後端部の干渉に対して有利な構造となる。また、大容量となるクラッチの摩擦部材を、プラネタリギヤセットと重合配置することにより、軸方向寸法の短縮を図ることができる。
【0022】
一方、請求項5記載の構成では、上記と同様の理由で、第1のクラッチ及び第2のクラッチの摩擦部材の大径化によりクラッチ容量を確保することができ、それにより、両クラッチを作動させる油圧サーボの受圧面積を小さくすることができるため、油圧サーボを重合構造としても、径方向寸法の増大を抑えることができ、軸長の一層の短縮が可能となる。
【0023】
そして、請求項6記載の構成では、第1及び第3のクラッチの油圧サーボ自体のコンパクト化が可能となるため、変速機全体の一層のコンパクト化が可能となり、車両への搭載性に対して更に有利となる。
【0024】
また、請求項7記載の構成では、主軸以外の他の軸上の部材との干渉の少ない部位に、ブレーキを更に重合配置することになるため、一層の軸方向寸法の短縮が可能となり、車両への搭載性の面で更に有利となる。
【0025】
更に、請求項8記載の構成では、カウンタドライブギヤの噛合部がギヤを支持するベアリングの外周に、すなわち、ベアリングに対してカウンタドライブギヤの噛合部が軸方向にオフセットなしに設けられているので、ベアリングに対して大きなモーメント力が作用せず、ベアリングをコンパクトな構成にすることができる結果、カウンタドライブギヤの小径化が可能となり、デフリングギヤ部での減速に加え、カウンタギヤ部での減速が可能となり、ギヤ比の選択の自由度が更に向上する。
【0026】
そして、請求項9記載の構成では、カウンタドライブギヤの支持構造の外周側に、ワンウェイクラッチを重合配置することにより、その分の軸方向寸法の短縮が可能となり、車両への搭載性が更に向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明を具体化した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを、軸間を共通平面内に展開してスケルトンで示す。また、図2は上記自動変速機を端面からみて実際の軸位置関係を示す。この自動変速機は、互いに並行する主軸Xと、カウンタ軸Yと、デフ軸Zとを備える3軸構成とされている。主軸X上には、4つの変速要素S2,S3,C2(C3),R2(R3)を有するプラネタリギヤセットGと、減速プラネタリギヤG1と、カウンタドライブギヤ19と、2つのブレーキB−1,B−2と、3つのクラッチC−1,C−2,C−3とが配置され、デフ軸Z上には、デフリングギヤ31が配置されている。
【0028】
この自動変速機では、第1〜第3のクラッチC−1,C−2,C−3の選択的係合と、必要に応じた第1及び第2のブレーキB−1,B−2の択一的係合とにより、主軸X上の入力軸11の回転が、一方で減速プラネタリギヤG1を介する減速回転として第1の変速要素S3及び第2の変速要素S2に入力され、他方で非減速回転が第3の変速要素C2(C3)に入力され、必要に応じて1つの変速要素S2又は変速要素C2(C3)が係止されることで、第4の変速要素R2(R3)の変速回転となってカウンタドライブギヤ19に出力される動力伝達経路が各変速段に応じて形成される。なお、図に示すギヤトレインでは、ブレーキB−2に並列させてワンウェイクラッチF−1を配しているが、これは、後に詳記する1→2変速時のブレーキB−2とブレーキB−1の掴み替えのための複雑な油圧制御を避け、ブレーキB−2の解放制御を単純化すべく、ブレーキB−2の係合に伴って自ずと係合力を解放するワンウェイクラッチF−1を用いたものであり、ブレーキB−2と同等のものである。
【0029】
本発明の特徴に従い、少なくとも第2のブレーキB−2がバンドブレーキで構成され、変速機構の前端側に第3の変速要素C2(C3)に入力軸11の回転を非減速のまま直接入力する第2のクラッチC−2が、そしてその外周側にバンドブレーキB−2が、互いに軸方向位置が重なるように配置され、デフリングギヤ31が第2のクラッチC−2とバンドブレーキB−2の軸方向位置と重なる軸方向位置を含むそれより前方に配置されている。
【0030】
以下、この実施形態のギヤトレインを更に詳細に説明する。主軸X上には、図示しないエンジンの回転を入力軸11に伝達するロックアップクラッチ付のトルクコンバータ4が配置されている。カウンタ軸Y上には、カンタギヤ2が配置されている。カンタギヤ2は、カウンタ軸20に固定され、カウンタドライブギヤ19に噛合する大径のカンタドリブンギヤ21と、同じくカウンタ軸20に固定され、デフリングギヤ31に噛合する小径のデフドライブピニオンギヤ22とが配設されており、これらにより主軸X側からの出力を減速するとともに、反転させてディファレンシャル装置3に伝達する機能を果たす。デフ軸Z上には、ディファレンシャル装置3が配設されている。ディファレンシャル装置3は、デフリングギヤ31に固定してデフケース32が設けられ、その中に配置された差動歯車の差動回転が左右軸30に出力され、最終的なホイール駆動力とされる。
【0031】
プラネタリギヤセットGは、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方が大径のサンギヤS2に噛合するとともにリングギヤR2(R3)に噛合し、他方が小径のサンギヤS3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2(C3)からなるラビニヨ式のギヤセットで構成されている。そして、この形態では、小径のサンギヤS3が第1の変速要素、大径のサンギヤS2が第2の変速要素、キャリアC2(C3)が第3の変速要素とされ、リングギヤR2(R3)が第4の変速要素とされている。
【0032】
減速プラネタリギヤG1は、そのサンギヤS1を変速機ケース10に固定され、リングギヤR1を入力軸11に連結され、キャリアC1を第1のクラッチC−1及び第3のクラッチC−3を介してプラネタリギヤセットGに連結されている。プラネタリギヤセットGの第1の変速要素すなわち小径のサンギヤS3は、第1のクラッチC−1に連結され、第2の変速要素すなわち大径のサンギヤS2は、第3のクラッチC−3に連結されるとともに、バンドブレーキで構成される第1のブレーキB−1により自動変速機ケース10に係止可能とされている。また、第3の変速要素であるキャリアC2(C3)は、第2のクラッチC−2を介して入力軸11に連結され、かつ、バンドブレーキで構成される第2のブレーキB−2により変速機ケース10に係止可能とされるとともに、ワンウェイクラッチF−1により変速機ケース10に一方向回転係止可能とされている。そして、第4の変速要素すなわちリングギヤR2(R3)がカウンタドライブギヤ19に連結されている。
【0033】
こうした構成からなる自動変速機は、図示しない電子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷と車速に基づき、変速を行う。図3は各クラッチ及びブレーキの係合及び解放(○印で係合、無印で解放を表す)で達成される変速段を図表化して示す。また、図4は各クラッチ及びブレーキの係合(●印でそれらの係合を表す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の回転数比との関係を速度線図で示す。
【0034】
両図を併せ参照してわかるように、第1速(1ST)は、クラッチC−1 とブレーキB−2の係合(本形態において、作動表を参照してわかるように、このブレーキB−2の係合に代えてワンウェイクラッチF−1の自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がブレーキB−2の係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF−1の係合により係止されたキャリアC3に反力を取って、リングギヤR3の最大減速比の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0035】
次に、第2速(2ND)は、クラッチC−1 とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ブレーキB−1の係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。このときの減速比は、図4にみるように、第1速(1ST)より小さくなる。
【0036】
また、第3速(3RD)は、クラッチC−1とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1とクラッチC−3経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2(R3)の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、カウンタドライブギヤ19に出力される。
【0037】
更に、第4速(4TH)は、クラッチC−1とクラッチC−2の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由でサンギヤS3に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC3に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR3の回転としてカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0038】
次に、第5速(5TH)は、クラッチC−2とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2の入力軸11の回転より僅かに増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0039】
そして、第6速(6TH)は、クラッチC−2とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、ブレーキB−1の係合により係止されたサンギヤS2に反力を取るリングギヤR2の更に増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0040】
なお、後進(REV)は、クラッチC−3とブレーキB−2の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、ブレーキB−2の係合により係止されたキャリアC2に反力を取るリングギヤR2の逆転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0041】
ここで、先に触れたワンウェイクラッチF−1とブレーキB−2との関係について説明する。上記の第1速と第2速時の両ブレーキB−1,B−2の係合・解放関係にみるように、これら両ブレーキは、両変速段間でのアップダウンシフト時に、一方の解放と同時に他方の係合が行われる、いわゆる掴み替えされる摩擦要素となる。こうした摩擦要素の掴み替えは、それらを操作する油圧サーボの係合圧と解放圧の精密な同時制御を必要とし、こうした制御を行うには、そのためのコントロールバルブの付加や油圧回路の複雑化等を招くこととなる。そこで、本形態では、第1速と第2速とで、キャリアC2(C3)にかかる反力トルクが逆転するのを利用して、ワンウェイクラッチF−1の係合方向を第1速時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、ワンウェイクラッチF−1に実質上ブレーキB−2の係合と同等の機能を発揮させて、第1速時のブレーキB−2の係合に代えて(ただし、ホイール駆動の車両コースト状態ではキャリアC2(C3)にかかる反力トルクの方向がエンジン駆動の状態に対して逆転するので、エンジンブレーキ効果を得るためには、図3に括弧付きの○印で示すようにブレーキB−2の係合を必要とする)、キャリアC2(C3)の係止を行っているわけである。したがって、変速段を達成する上では、ワンウェイクラッチを設けることなく、ブレーキB−2の係合により第1速を達成する構成を採ることもできる。
【0042】
このようにして達成される各変速段は、図4の速度線図上で、リングギヤR2,R3の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。この関係を具体的に数値を設定して、定量的に表すと、図3に示すギヤ比となる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=44/78、プラネタリギヤセットGの大径サンギヤ側のサンギヤS2とリングギヤR2(R3)の歯数比λ2=36/78、小径サンギヤ側のサンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=30/78に設定すると、入出力ギヤ比は、
第1速(1ST):(1+λ1)/λ3=4.067
第2速(2ND):(1+λ1)(λ2+λ3)/λ3(1+λ2)=2.354
第3速(3RD):1+λ1=1.564
第4速(4TH):(1+λ1)/(1+λ1−λ1・λ3)=1.161
第5速(5TH):(1+λ1)/(1+λ1+λ1・λ2)=0.857
第6速(6TH):1/(1+λ2)=0.684
後進(REV):−(1+λ1)/λ2=3.389
となる。そして、これらギヤ比間のステップは、
第1・2速間:1.73
第2・3速間:1.51
第3・4速間:1.35
第4・5速間:1.35
第5・6速間:1.25
となる。
【0043】
次に、図5は自動変速機の構成を更に具体化した模式的断面で示す。先にスケルトンを参照して説明した各構成要素については、同じ参照符号を付して説明に代えるが、スケルトンから参照し得ない細部について、ここで説明する。なお、本明細書を通じて、各クラッチ及びブレーキという用語は、摩擦部材と油圧サーボを総称するものとする。したがって、第1のクラッチC−1は摩擦部材63と油圧サーボ6で、同様に第2のクラッチC−2は摩擦部材55と油圧サーボ5で、第3のクラッチC−3は摩擦部材73と油圧サーボ7で構成されている。また、バンドブレーキB−1,B−2は、それぞれバンド80,90と図示しない油圧サーボで構成されている。
【0044】
まず、第3の変速要素C2(C3)に入力軸11の回転を直接入力するクラッチC−2は、前記の説明から明らかなように、前進1速(1ST)〜3速(3RD)及び後進(REV)時に係合されないクラッチである。そのため、このクラッチC−2は、車両停止時のようなトルクコンバータ4からのエンジントルクを増幅したストールトルクを受けることはなく、また、図4の速度線図を参照して、他の2つのクラッチC−1,C−3との対比でわかるように、減速による増幅トルクを負担することはない。したがって、このクラッチC−2は、他のクラッチに比してトルク容量(この容量は、クラッチ径と摩擦部材の摩擦材の枚数により決まる)の小さなクラッチで足りる。そこで、このクラッチ径が小さいことを利用して、同様に径方向厚みを取らないバンドブレーキ構成のブレーキB−2を外周側に重合させることで、ブレーキB−2配設分の軸方向寸法を削減しているのである。
【0045】
更に、図6は自動変速機前端部分の構成を実際の断面で示すもので、図に示すように、カウンタドライブギヤ19は、主軸X上で第2のクラッチC−2とバンドブレーキB−2の軸方向後側に隣接する軸方向位置に配置されている。この配置関係から、デフリングギヤ31とカウンタドライブギヤ19は軸方向位置上で極めて接近した外接位置に置かれることになり、両ギヤ31,19に噛合するカウンタドリブンギヤ21とデフドライブピニオンギヤ22もカウンタ軸Y上で極めて接近した位置関係となるため、それらを支持するカウンタ軸20は極めて軸長の短いものとなり、その質量の削減により変速機重量の軽量化がなされている。
【0046】
また、本実施形態のクラッチC−2は、上記理由から他の2つのクラッチC−1,C−3に比べてコンパクトにすることができる関係を利用して、前記のようにカウンタドライブギヤ19の一方側に配置されることで、結果的にギヤトレインの端部に位置させ、その摩擦部材と油圧サーボの間に障害物のない配置とすることができる。そこで、本形態では、図5に示すようにクラッチC−2を操作する油圧サーボ5を、変速機ケース10にシリンダとピストンとを内蔵させた静止シリンダ型の油圧サーボとされている。詳しくは、シリンダ50は、変速機ケース10のトルクコンバータハウジング側の隔壁(オイルポンプボディを兼ねる)10cのカバー10d側に環状溝として形成されており、その内部に、同じく環板状のピストン51が軸方向摺動自在に嵌合された構成とされている。そして、このピストン51は、スラストベアリング52を介してプレッシャプレート53を押圧する構成とされ、入力軸11に一体化されたフランジ54との間でクラッチ摩擦部材(ディスクとセパレータプレート)55を挟持して、フランジ54側のハブからの入力回転をドラム56を介してキャリアC2,C3に入力することになる。
【0047】
他方、図5に示すように、カウンタドライブギヤ19の一方側には、順次、プラネタリギヤセットG、減速プラネタリギヤG1及び第1の変速要素S3に入力する第1のクラッチC−1の油圧サーボ6が配置されている。そして、プラネタリギヤセットGの外周側に、第1のクラッチC−1と第3のクラッチC−3の摩擦部材63,73が軸方向に並べて配置されている。このように、これら摩擦部材をプラネタリギヤセットGに対して外径側にオーバラップさせているのは、これらのクラッチが、エンジントルクを減速して増幅されたトルクを伝達することと、前記ストールトルク負荷の関係で、前記クラッチC−2より大容量のものであることから、プラネタリギヤセットGに対して軸方向に並べた場合の小径化に伴う摩擦部材の摩擦材の枚数の増加による軸方向寸法の増加を避ける意味合いを持っている。また、この形態では、第1のクラッチC−1の油圧サーボ6の外周側に第3のクラッチC−3の油圧サーボ7が配置されている。
【0048】
これら第1及び第3のクラッチの油圧サーボ6,7は、減速プラネタリギヤG1のキャリアC1に連結された共通のシリンダ60の内側と外側に嵌挿されたピストン61,71を備える構成とされている。詳しくは、シリンダ60から延長されてクラッチC−1の摩擦部材63の外周を支持するドラム62の内側がピストン61のシリンダとされ、このドラム62の外側に被さるクラッチC−3のピストン71が、クラッチC−1のドラム62とのスプライン係合により共回りするクラッチC−3のドラム72とされ、このドラム72に摩擦部材73の外周が支持されている。この配置により、シリンダ60に入る減速回転は、常時クラッチC−1のドラム62とクラッチC−3のドラム72に伝達される。したがって、油圧サーボ6の作動でピストン61がシリンダ60から押し出されたときに、ドラム62とピストン60との間で摩擦部材63が挟持されて、減速回転がハブ64を経てサンギヤS3へ伝達される。一方、油圧サーボ7の作動でピストン71がシリンダ60に対して押し戻されたときに、ドラム72とドラム62との間で摩擦部材73が挟持されて、減速回転がハブ74を経てサンギヤS2へ伝達される。なお、図5において、符号65は油圧サーボ6の遠心油圧を相殺するキャンセルプレート、同じく符号75は油圧サーボ7の遠心油圧を相殺するキャンセルプレートを示す。そして、特にこの形態では、両油圧サーボ6,7は同じ軸方向位置で径方向にオーバラップした配置とされ、軸方向寸法の短縮がなされている。
【0049】
また、この形態では、第1のブレーキB−1は、第2のブレーキB−2と同様に径方向厚みを取らないバンドブレーキで構成され、軸方向に並んで配置された第1のクラッチC−1及び第3のクラッチC−3の摩擦部材63,73の外周側に配置され、ブレーキ配置分の軸方向寸法の短縮が図られている。
【0050】
そして、カウンタドライブギヤ19の支持に関しては、カウンタドライブギヤ19は、自動変速機ケース10に設けられたサポート10aの軸方向延長部10bの外周にベアリング12を介して支持されている。こうした配置と採ることにより、カウンタドライブギヤ19の噛合部をギヤを支持するベアリング12の外周に、ベアリング12に対してオフセットなしに位置させることができる。その結果、ベアリング12に対して大きなモーメント力が作用せず、ベアリング12をコンパクトな構成にすることができるため、カウンタドライブギヤ19の小径化が可能となり、カウンタギヤ部での減速比を大きく取ることができる。
【0051】
かくして、この実施形態では、小径のクラッチC−2の摩擦部材と油圧サーボに対して薄厚のバンドブレーキB−2を径方向に重ねてデフリングギヤ31と同じ軸方向位置に配置することで、主軸Xの軸長を短縮しながら、軸間距離の広げることなくデフリングギヤ31のギヤ径の確保を可能とし、これらの軸方向位置に隣接させてカウンタドライブギヤ19を配置することで、カウンタ軸の軸長を短縮し、両クラッチC−1,C−3の摩擦部材63,73をプラネタリギヤGの外周側に並べて配置し、しかもそれらの油圧サーボ6,7を一部共通化することでコンパクト化しながら、径方向に重ねて配置することで、主軸Xの軸長を短縮して、総合的に自動変速機の軸方向寸法のコンパクト化と軽量化を達成している。
【0052】
なお、この形態では、上記のようにカウンタ軸の軸長を短縮すべくカウンタドライブギヤ19側に寄せる意味から、クラッチC−2とバンドブレーキB−2と同じ軸方向位置にデフリングギヤ31を位置させているが、クラッチC−2をギヤトレインの前端側に配置したこの実施形態の構成において、クラッチC−2より前方には、該クラッチより小径のオイルポンプが位置するだけなので、パーキング機構の配置等、他の条件を優先させる場合には、デフリングギヤ31を更に前方にずらした配置を採ることもできる。
【0053】
ところで、前記第1実施形態では、第1の油圧サーボ6に対して第2の油圧サーボ7が外周側に重なる配置としたが、上記の共通のシリンダ60に対する両ピストン61,71の関係を維持したまま、両油圧サーボを軸方向に並べた配置とすることもできる。図7はこうした配置を採る第2実施形態を示す。この場合、減速プラネタリギヤG1の軸方向後方に第1の油圧サーボ6を配置し、その後方に第2の油圧サーボ7を配している。こうした配置は、前記第1実施形態の配置に比して軸方向寸法は長くなるが、変速機後端部の小径化には有効であり、図に細線で示すように、車両の構成メンバーBが変速機の後端部と干渉する可能性のある場合に有利な形態となる。なお、この形態におけるその余の部分については、前記第1実施形態のものと同様であるので、説明の冗長と、図面の錯綜を避ける意味で、それらの説明と図面の符号の付与を省略する(後続の各実施形態についても同様である)。
【0054】
次に、前記第1及び第2実施形態では、プラネタリギヤセットGをラビニヨ式としたが、比較的良好なギヤ比とステップを取りうるギヤセットGは、これに限るものではない。そこで、プラネタリギヤセットGを他の形式のものに変更した実施形態について、次に説明する。
【0055】
図8は第2実施形態に対してプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第3実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、相互に噛合する一対のピニオンギヤP2,P2’の一方をサンギヤS2に噛合させ、他方をリングギヤR2に噛合させたダブルピニオン式のプラネタリギヤG2と、サンギヤS3とピニオンギヤP3を支持するキャリアC3とリングギヤR3とからなるシンプルプラネタリギヤG3を組み合わせた構成とされている。こうしたプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1経由の減速入力がサンギヤS2に入力され、第3のクラッチC−3経由の減速入力がキャリアC2とサンギヤS3に入力され、第2のクラッチC−2経由の入力がキャリアC3とリングギヤR2に入力され、リングギヤR3の変速出力がカンタドライブギヤ19に伝達される連結関係とされる。そして、この場合の第1のブレーキB−1はキャリアC2とサンギヤS3を係止するものとされ、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はキャリアC3とリングギヤR2を係止するものとされる。こうしたギヤトレインの場合、例えば下記の表1に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表1】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、ダブルプラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.447、シンプルプラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.444であり、ギヤ比幅は6.245となる。
【0056】
更に、図9はプラネタリギヤセットGを2つのダブルピニオン式のプラネタリギヤG2,G3の組み合わせで構成した第4実施形態を示す。こうしたプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1経由の減速入力が互いに連結したサンギヤS2,S3に入力され、第3のクラッチC−3経由の減速入力がダブルピニオンのキャリアC2に入力され、第2のクラッチC−2経由の入力が互いに連結されたキャリアC3とリングギヤR2に入力され、リングギヤR3が変速出力となる連結関係とされる。そして、第1のブレーキB−1はキャリアC2を係止し、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はキャリアC3とリングギヤR2を係止するものとされる。このギヤトレインの場合、例えば下記の表2に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表2】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.444、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.361であり、ギヤ比幅は6.252となる。
【0057】
上記2つの実施形態は第1及び第2実施形態に対してプラネタリギヤセットの形態を変更したものであるが、ワンウェイクラッチの配設を前提とする場合、その配設位置の工夫によっても軸方向寸法の短縮が可能である。以下にこの関連の実施形態を説明する。
【0058】
図10及び図11は、上記各実施形態に対してワンウェイクラッチの配設位置を変更した第5実施形態をスケルトンで全体構成を、また模式化した断面図で主軸部分の構成を示す。この形態では、第2のブレーキB−2により係止される変速要素の一方向の回転を阻止するワンウェイクラッチF−1が設けられることを前提とし、カウンタドライブギヤ19は、その内周部に、図11に示すように軸方向前方に延びる筒状部19aを有するものとされる。そして、筒状部19aは、自動変速機ケース10に設けられたサポート10aの軸方向延長部10bの内周側に支持され、ワンウェイクラッチF−1は、サポート10aの軸方向延長部10bの外周側に配置されている。
【0059】
こうした配置はプラネタリギヤセットGと各クラッチ及びブレーキ並びにワンウェイクラッチF−1の連結関係を第1及び第2実施形態の場合と同様としても実現可能であるが、本形態では、この連結関係についても若干変更している。すなわち、キャリアC2(C3)を出力要素としてカウンタドライブギヤ19に連結し、リングギヤR3(R2)を変速要素として第2のクラッチC−2に連結するとともに、並列するブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1で係止可能としている。こうした形態を採った場合、例えば下記の表3に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表3】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤGの小径サンギヤS2側の歯数比λ2=0.306、大径サンギヤS3側の歯数比λ3=0.579であり、ギヤ比幅は6.109となる。
【0060】
こうしたワンウェイクラッチ配置を採るものについても、比較的良好なギヤ比とステップを取りうるギヤセットGは、これに限るものではない。そこで、プラネタリギヤセットGを他の形式のものに変更した実施形態について、次に説明する。
【0061】
図12はプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第6実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、ダブルピニオン式のプラネタリギヤG2と、シンプルプラネタリギヤG3を組み合わせた構成とされている。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1が2つのサンギヤS2,S3に連結され、第3のクラッチC−3がダブルピニオンのキャリアC2に連結され、第2のクラッチC−2がリングギヤR3に連結され、リングギヤR2とキャリアC3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はダブルピニオンのキャリアC2を係止するものとされ、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR3を係止するものとされる。こうした場合、例えば下記の表4に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表4】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、ダブルプラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.636、シンプルプラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.568であり、ギヤ比幅は6.357となる。
【0062】
次に、図13はプラネタリギヤセットGを2つのダブルピニオン式のプラネタリギヤG2,G3の組み合わせで構成した第7実施形態を示す。こうしたプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1はサンギヤS2とキャリアC3に連結され、第3のクラッチC−3はキャリアC2に連結され、第2のクラッチC−2はサンギヤS3に連結され、双方のリングギヤR2,R3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はキャリアC2を係止し、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はサンギヤS3を係止するものとされる。この連結関係の場合、例えば下記の表5に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表5】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.636、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.636であり、ギヤ比幅は6.352となる。
【0063】
次に、図14はプラネタリギヤセットGを2つのラビリヨ式プラネタリギヤを1つのピニオンギヤを共通として相互に組み合わせた構成とした第8実施形態を示す。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1はサンギヤS2とサンギヤS3に連結され、第3のクラッチC−3は共通のキャリアC2(C3)に連結され、第2のクラッチC−2は小径のリングギヤR3に連結され、大径のリングギヤR2がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はキャリアC2(C3)を、また第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1は小径のリングギヤR3を係止するものとされる。この連結関係の場合、例えば下記の表6に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表6】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、大径サンギヤ側の歯数比λ2=0.636、小径サンギヤ側の歯数比λ3=0.432であり、ギヤ比幅は6.368となる。
【0064】
次に、図15はプラネタリギヤセットGを2つのダブルピニオン式のプラネタリギヤG2,G3の組み合わせで構成した第9実施形態を示す。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1はサンギヤS3に連結され、第3のクラッチC−3はサンギヤS2に連結され、第2のクラッチC−2はキャリアC3とリングギヤR2に連結され、キャリアC2とリングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はサンギヤS2を、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はキャリアC3とリングギヤR2を係止するものとされる。この連結関係では、例えば下記の表7に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表7】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.306、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.361であり、ギヤ比幅は6.203となる。
【0065】
次に、図16は同様にプラネタリギヤセットGを2つのダブルピニオン式のプラネタリギヤG2,G3の組み合わせで構成し、連結関係を変更した第10実施形態を示す。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1は双方のサンギヤS2,S3に連結され、第3のクラッチC−3はキャリアC2に連結され、第2のクラッチC−2はキャリアC3に連結され、双方のリングギヤR2,R3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はキャリアC2を、また第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はキャリアC3を係止するものとされる。この連結関係の場合、例えば下記の表8に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表8】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.636、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.361であり、ギヤ比幅は6.363となる。
【0066】
次に、図17は同様にプラネタリギヤセットGを2つのシンプルプラネタリギヤG2,G3の組み合わせで構成した第11実施形態を示す。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1はリングギヤR2とサンギヤS3に連結され、第3のクラッチC−3はサンギヤS2に連結され、第2のクラッチC−2はリングギヤR3に連結され、双方のキャリアC2,C3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はサンギヤS2を、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR3を係止するものとされる。この連結関係では、例えば下記の表9に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表9】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.636、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.523、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.538であり、ギヤ比幅は6.507となる。
【0067】
次に、図18は同様にプラネタリギヤセットGをサンギヤ側を共通とし、リングギヤ径を異ならせたラビニヨ式ギヤセットの変形形式とした第12実施形態を示す。こうしたプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1は小径のリングギヤR3に連結され、第3のクラッチC−3は共通のサンギヤS2(S3)に連結され、第2のクラッチC−2は大径のリングギヤR2に連結され、キャリアC2(C3)がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はサンギヤS2(S3)を係止し、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1は大径のリングギヤR2を係止するものとされる。この場合、ギヤ比とステップは例えば下記の表10に示すようになる。
【表10】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、大径リングギヤ側の歯数比λ2=0.528、小径リングギヤ側の歯数比λ3=0.306であり、ギヤ比幅は6.109となる。
【0068】
図19は再びプラネタリギヤセットGをダブルピニオン式のプラネタリギヤG2とシンプルプラネタリギヤG3の組み合わで構成した第13実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチがキャリアC2とサンギヤS3に連結され、第3のクラッチがサンギヤS2に連結され、第2のクラッチがリングギヤR3に連結され、リングギヤR2とキャリアC3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はサンギヤS2を係止し、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR3を係止するものとされる。こうした場合、例えば下記の表11に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表11】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、ダブルプラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.417、シンプルプラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.579であり、ギヤ比幅は5.974となる。
【0069】
図20は再びプラネタリギヤセットGを2つのダブルピニオン式のプラネタリギヤG2,G3の組み合わで構成した第14実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチがキャリアC2とサンギヤS3に連結され、第3のクラッチがサンギヤS2に連結され、第2のクラッチがリングギヤR2とキャリアC3に連結され、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1はサンギヤS2を係止し、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR2とキャリアC3を係止するものとされる。こうした場合、例えば下記の表12に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表12】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.556、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.361であり、ギヤ比幅は6.252となる。
【0070】
最後に、図21は上記第14実施形態において、連結関係のみを変更した第15実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチC−1がキャリアC3に連結され、第3のクラッチC−3が両サンギヤS2,S3に連結され、第2のクラッチC−2が両リングギヤR2,R3に連結され、キャリアC2がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、第1のブレーキB−1は両サンギヤS2,S3を係止し、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1は両リングギヤR2,R3を係止するものとされる。こうした場合、例えば次表13に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表13】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.306、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.556であり、ギヤ比幅は6.364となる。
【0071】
以上、本発明を構成要素の形式及び配置並びに連結関係を変更した実施形態を挙げて詳説したが、これらは、比較的良好なギヤ比ステップが得られるものに絞って例示したものであって、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを展開して示すスケルトン図である。
【図2】上記ギヤトレインの実際の3軸位置関係を示す軸方向端面図である。
【図3】上記ギヤトレインの作動及び達成されるギヤ比並びにギヤ比ステップを示す図表である。
【図4】上記ギヤトレインの速度線図である。
【図5】上記自動変速機の実際の断面を展開して示す軸方向部分断面図である。
【図6】上記ギヤトレインの主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図7】上記ギヤトレインの油圧サーボ配置を一部変更した第2実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図8】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を変更した第3実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図9】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を他の形態に変更した第4実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図10】上記ギヤトレインのワンウェイクラッチの配置を変更した第5実施形態のギヤトレインを展開して示すスケルトン図である。
【図11】上記第5実施形態のギヤトレインの主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図12】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を変更した第6実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図13】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第7実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図14】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第8実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図15】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第9実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図16】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第10実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図17】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第11実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図18】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第12実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図19】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第13実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図20】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第14実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図21】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセット部分の構成を更に変更した第15実施形態の主軸部分のみを模式化した断面図である。
【符号の説明】
X 主軸
Y カウンタ軸
Z デフ軸
G プラネタリギヤセット
G1 減速プラネタリギヤ
B−1 バンドブレーキ(第1のブレーキ)
B−2 バンドブレーキ(第2のブレーキ)
C−1 第1のクラッチ
C−2 第2のクラッチ
C−3 第3のクラッチ
F−1 ワンウェイクラッチ
6 油圧サーボ
7 油圧サーボ
10 自動変速機ケース
10a サポート
10b 軸方向延長部
11 入力軸
12 ベアリング
19 カウンタドライブギヤ
19a 筒状部
31 デフリングギヤ
60 シリンダ
61,71 ピストン
63,73 摩擦部材
Claims (9)
- 主軸と、カウンタ軸と、デフ軸とを備え、
主軸上に、少なくとも4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、カウンタドライブギヤと、少なくとも2つのブレーキと、3つのクラッチとが配置され、デフ軸上にデフリングギヤが配置された車両用自動変速機であって、
第1〜第3のクラッチの選択的係合と、第1及び第2のブレーキの必要に応じた択一的係合とにより、主軸上の入力軸の回転が、一方で減速プラネタリギヤを介する減速回転としてプラネタリギヤセットの第1の変速要素及び第2の変速要素に入力され、他方で非減速回転を第3の変速要素に入力され、必要に応じて1つの変速要素が係止されることで、第4の変速要素の変速回転となってカウンタドライブギヤに出力されるものにおいて、
少なくとも第2のブレーキがバンドブレーキで構成され、
主軸上の前端側に第3の変速要素に非減速回転を入力する第2のクラッチが、またその外周側に前記バンドブレーキが、互いに軸方向位置が重なるように配置され、
前記第2のクラッチの軸方向後方側に前記カウンタドライブギヤが配置され、
該カウンタドライブギヤの軸方向後方側に、前記第1の変速要素に減速回転を入力する第1のクラッチ及び前記第2の変速要素に減速回転を入力する第3のクラッチが配置され、
前記デフ軸上のデフリングギヤが、前記第2のクラッチとバンドブレーキの軸方向位置と重なる軸方向位置を含むそれより前方に配置されたことを特徴とする車両用自動変速機。 - 前記デフリングギヤは、第2のクラッチとバンドブレーキの軸方向位置と重なる軸方向位置に配置された、請求項1記載の車両用自動変速機。
- 前記カウンタドライブギヤは、主軸上で第2のクラッチとバンドブレーキに隣接する軸方向位置に配置された、請求項1記載の車両用自動変速機。
- 前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ、第1の変速要素に入力する第1のクラッチの油圧サーボ及び第2の変速要素に入力する第3のクラッチの油圧サーボが配置され、
プラネタリギヤセットの外周側に、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材が軸方向に並べて配置された、請求項3記載の車両用自動変速機。 - 前記カウンタドライブギヤの一方側に、順次、プラネタリギヤセット、減速プラネタリギヤ及び第1の変速要素に入力する第1のクラッチの油圧サーボが配置され、
プラネタリギヤセットの外周側に、第1のクラッチと第3のクラッチの摩擦部材が軸方向に並べて配置され、第1のクラッチの油圧サーボの外周側に第3のクラッチの油圧サーボが配置された、請求項3記載の車両用自動変速機。 - 前記第1のクラッチの油圧サーボと第3のクラッチの油圧サーボは、共通のシリンダの内側と外側に嵌挿されたピストンを備える、請求項4又は5記載の車両用自動変速機。
- 前記第1のブレーキはバンドブレーキで構成され、軸方向に並んで配置された第1のクラッチ及び第3のクラッチの摩擦部材の外周側に配置された、請求項4又は5記載の車両用自動変速機。
- 前記カウンタドライブギヤは、自動変速機ケースに設けられたサポートの軸方向延長部の外周にベアリングを介して支持された、請求項3記載の車両用自動変速機。
- 前記第2のブレーキにより係止される変速要素の一方向の回転を阻止するワンウェイクラッチを備え、
カウンタドライブギヤは、その内周部に、軸方向前方に延びる筒状部を有し、該筒状部は、自動変速機ケースに設けられたサポートの軸方向延長部の内周側に支持され、
ワンウェイクラッチは、サポートの軸方向延長部の外周側に配置された、請求項3記載の車両用自動変速機。
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