<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。図1は第1の実施の形態に係る自動変速機11を示す断面図、図2は自動変速機11を示すスケルトン図、図3は自動変速機11の作動表、図4自動変速機11の速度線図である。
なお、以下の説明では、図1中における上,下,左,右を、この順に、実際の車輌用自動変速機(以下、単に「自動変速機」ともいう)11における「上」「下」「前」「後」に対応させて説明する。これに従うと、例えば、図1中における上下方向の下方側には、同一直線上に、左から右にかけて順に自動変速機11の変速機構21の入力軸12、中間軸13、出力軸(出力部材)15が図示されているが、これらは、実際には変速機構21のほぼ中心軸上に前から後にかけてこの順に並べられていることになる。ここで、上述の入力軸12と中間軸13とは、入力軸12の後部と中間軸13の前部とがスプライン結合されていて、広い意味では一体となって入力軸を構成している。また、入力軸の長手方向に沿った方向を「軸方向」、この軸方向に直交する方向を「径方向」とし、更に径方向の位置については、軸に近い側を「内径側(内周側)」、軸から遠い側を「外径側(外周側)」というものとする。また、「係止手段」とは、多板ブレーキ、バンドブレーキ、若しくはワンウェイクラッチを含めた係止手段を意味する。また、「開口する」とは、クラッチドラムの油圧サーボ部を形成していない部分を、クラッチ係合時にピストンが移動する方向へ向けたことを意味し、つまり断面視コの字状であるクラッチドラムの開口部分を意味する。
まず、本発明を適用し得る自動変速機11の概略構成について図2に沿って説明する。図2に示すように、例えばFRタイプ(フロントエンジン、リヤドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機11は、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機11の入力軸11を有しており、該入力軸11の軸方向を中心としてトルクコンバータ7と、変速機構21とを備えている。
上記トルクコンバータ7は、自動変速機11の入力軸11に接続されたポンピインペラ7aと、作動流体を介して該ポンプインペラ7aの回転が伝達されるタービンランナ7bとを有しており、該タービンランナ7bは、上記入力軸11と同軸上に配設された上記変速機構21の入力軸12に接続されている。また、該トルクコンバータ7には、ロックアップクラッチ10が備えられており、該ロックアップクラッチ10が不図示の油圧制御装置の油圧制御によって係合されると、上記自動変速機11の入力軸11の回転が変速機構21の入力軸12に直接伝達される。
上記変速機構21には、入力軸12(及び詳しくは後述する中間軸13)上において、プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPと、プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤセット)PUとが備えられている。上記プラネタリギヤDPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1に噛合するピニオンP1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP2を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2(2つの回転要素の一つ、第1回転要素)、サンギヤS3(2つの回転要素の一つ、第2回転要素)、キャリヤCR2(CR3)(第3回転要素)、及びリングギヤR3(R2)(第4回転要素)を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR3に噛合するロングピニオンP4と、サンギヤS3に噛合するショートピニオンP3とを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPのサンギヤS1は、詳しくは後述するミッションケース3に一体的に固定されているボス部3bに接続されて回転が固定されている。また、上記キャリヤCR1は、上記入力軸12に接続されて、該入力軸12の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4クラッチC−4に接続されている。更に、リングギヤR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第1ブレーキB−1に接続されてミッションケース3に対して固定自在となっていると共に、上記第4クラッチC−4及び上記第3クラッチC−3に接続されて、第4クラッチC−4を介して上記キャリヤCR1の入力回転が、第3クラッチC−3を介して上記リングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、第1クラッチC−1に接続されており、上記リングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、中間軸13を介して入力軸12の回転が入力される第2クラッチC−2に接続されて、該第2クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及び第2ブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース3に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR3は、不図示の駆動車輪に回転を出力する出力軸15に接続されている。
つづいて、上記構成に基づき、変速機構21の作用について図2、図3及び図4に沿って説明する。なお、図4に示す速度線図において、縦軸はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤDPの部分において、横方向最端部(図4中左方側)の縦軸はサンギヤS1に、以降図中右方側へ順に縦軸は、リングギヤR1、キャリヤCR1に対応している。更に、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、横方向最端部(図4中右方側)の縦軸はサンギヤS3に、以降図中左方側へ順に縦軸はリングギヤR3(R2)、キャリヤCR2(CR3)、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図3に示すように、第1クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進1速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切り替えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2nd)では、図3に示すように、第1クラッチC−1が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進2速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進3速段(3rd)では、図3に示すように、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第3クラッチC−3の係合によりリングギヤR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR3に出力され、前進3速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進4速段(4th)では、図3に示すように、第1クラッチC−1及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも高回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進4速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進5速段(5th)では、図3に示すように、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進4速段より高い減速回転となってリングギヤR3に出力され、前進5速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進6速段(6th)では、図3に示すように、第2クラッチC−2及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図2及び図4に示すように、第4クラッチC−4の係合によりサンギヤS2にキャリヤCR1の入力回転が入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。つまり、サンギヤS2及びキャリヤCR2に入力回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが入力回転の直結状態となり、そのまま入力回転がリングギヤR3に出力され、前進6速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進7速段(7th)では、図3に示すように、第2クラッチC−2及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第3クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進7速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進8速段(8th)では、図3に示すように、第2クラッチC−2が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進7速段より高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進8速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
後進1速段(Rev1)では、図3に示すように、第3クラッチC−3が係合され、第2ブレーキB−2が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第3クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、第2ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進1速段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
後進2速段(Rev2)では、図3に示すように、第4クラッチC−4が係合され、第2ブレーキB−2が係止される。すると、図2及び図4に示すように、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。また、第2ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された入力回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進2速段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2との間、リングギヤR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸12(中間軸13)とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸12とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸12と出力軸15との動力伝達が切断状態となる。
以上説明した多段変速を達成するための構成では、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3が係合されて達成される前進7速段(7th)、及び第2クラッチC−2が係合され、第1ブレーキB−1が係止されて達成される前進8速段(8th)の場合、第1クラッチは解放されているため、サンギヤS3はフリー状態となり、図4の速度線図に示すように非常に高回転で回転することになってしまう。
また、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2が係合されて達成される前進5速段(5th)の場合、第3クラッチC−3、第4クラッチC−4、及び第1ブレーキB−1が解放されているため、サンギヤS2はフリー状態となり、図4の速度線図に示すように非常に高回転で回転することになってしまう。
さらに、高速段走行中、すなわちC−2を係合する変速段時(5th〜8th)であって、クラッチC−2以外に係合している係合要素(即ち5thではC−1、6thではC−4、7thではC−3、8thではB−1)において、何らかの原因によりそれら係合要素の油圧サーボへの油圧供給が絶たれてしまった場合には、出力部材は走行中の駆動車輪により回転されて回転数は変化しないが、係合されるべき摩擦係合要素の解放により負荷が減少してエンジン回転数が増大し、入力軸回転数が高くなってしまう虞がある。即ち、出力部材の回転数がその時点での車速に対応する回転数に固定された状態で、入力軸の高速回転がクラッチC−2の係合によってプラネタリギヤユニットPUに入力されることとなり、プラネタリギヤユニットPUの要素の回転が非常に高くなってしまう虞がある。具体的に一例を説明すると、例えばクラッチC−2とクラッチC−3の係合によって達成される7速走行中であって、車速が低い時に何らかの原因によりクラッチC−3の油圧サーボへの油圧の供給が絶たれ、さらにドライバーのアクセルの踏み込みによりエンジン負荷を増大させると、変速段が達成されない無負荷状態のためエンジンが高回転まで吹き上がり、出力部材が低回転となっていることと相俟って、クラッチC−3によって動力伝達されるプラネタリギヤユニットPUの所定の回転要素が高速してしまう虞がある。このようにプラネタリギヤユニットPUの一部の回転要素の回転が非常に高くなってしまうことを考慮すると、上述のプラネタリギヤユニットPUの一部の回転要素に動力伝達する部材を、高速回転による慣性力の増大に耐え得るように、強度を確保しておく必要があるため、特に外周側に配置すると、自動変速機が重くなってしまうという問題もある。そこで、これらの問題を解決するための本願発明に係る構成を以下に詳述する。
ここでまず、図1を参照して、自動変速機11全体の概略構成、特に各構成要素間の相対的な位置関係について、簡単に説明する。
なお、以下の説明においては、クラッチ(第1〜第4クラッチC−1〜C−4)及びブレーキ(第1ブレーキB−1,第2ブレーキB−2)という言葉は、それぞれ摩擦板(外摩擦板及び内摩擦板)と、これらを接断させる油圧サーボとを含めた意味で使用する。
図1に示すように、自動変速機11のケース4は、全体として、概ね前側(図1中の左側)が大径で、後側ほど小径の筒状に形成されている。ケース4全体は、3つの分割ケース、すなわち前側のトルクコンバータ7を内包するハウジングケース(不図示)と中間のミッションケース3と後側のエクステンションケース9とを接合させて構成されている。ミッションケース3の前端、即ちハウジングケース側には、フランジ状の隔壁部材3aが固定されている。なお、この隔壁部材3aの後面内径側には後方に向けてボス部3bが延設されている。一方、ミッションケース3の後端、即ちエクステンションケース9側には、フランジ状の隔壁部3cがミッションケース3と一体に設けられている。
上述のケース4の中心には、前から後にかけて順に、変速機構21の入力軸12、中間軸13、出力軸15が、同一軸心上に配設されている。軸方向の位置については、自動変速機11の入力軸11は、ハウジングケースの前部に位置し、変速機構21の入力軸12は、入力軸11のすぐ後方から隔壁部材3aの中心を貫通して減速プラネタリギヤDP後端の僅かに後方の位置まで延びている。中間軸13は、その前部を入力軸12の後部内側にスプライン結合させるとともに、後端は、ほぼ後側の隔壁部3cまで延設されている。そして、出力軸15は、前部を中間軸13の外周面に被嵌させ、後部をエクステンションケース9の後方に突出させている。なお、前述のように入力軸12と中間軸13とは、一体に構成されて広義の入力軸を構成している。また、ハウジングケースの内側とミッションケース3の内側とを区画する隔壁部材3aにおける内径側には、入力軸11に連結された不図示のオイルポンプが配設されている。
ミッションケース3内には、同一軸上において、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとが配置されており、該プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、外周側に摩擦板51が配置された第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配置されている。また、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50と該プラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50に隣接する形で、環状のサポート壁(センターサポート)120が配置されている。該サポート壁120の内周側は、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50と後述する第3クラッチC−3の油圧サーボ40との内周部分に延設されており、即ち、それら油圧サーボ40,50は、サポート壁120上に配置されていることになる。
また、摩擦板21がプラネタリギヤDPの外周側に配置された第1クラッチC−1の油圧サーボ20と、摩擦板41が該摩擦板21の後方側に配置された第3クラッチの油圧サーボ40とは、前記第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤセットPUとは軸方向反対側である前方側に配置されている。詳しくは、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20はプラネタリギヤDPに対して第3クラッチC−3の油圧サーボ40とは軸方向反対側である前方側において上記ボス部3b上に、それぞれ配置されている。
また、摩擦板31が外周側に配置された第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤセットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側である後方側において、中間軸13上(広義として入力軸12上)に配置されている。更に、摩擦板61が隣接配置された第1ブレーキB−1の油圧サーボ60は、サポート壁120の軸方向後方側において、その後方面上に配置されており、摩擦板71がプラネタリギヤユニットPUの外周側に配置された第2ブレーキB−2の油圧サーボ70は、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の後方側において、隔壁部3c上に配置されている。そして、該プラネタリギヤユニットPUとサポート壁120との軸方向の間には、ワンウェイクラッチF−1が配置されている。
つづいて、変速機構21について詳細に説明する。ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、上述のようにサンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このプラネタリギヤDPの前方側においては、上述したボス部3bが入力軸12の外周面に被覆されて設けられており、上記サンギヤS1が回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、ピニオンP1,P2を回転自在に支持しており、これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。このキャリヤCR1の後側のキャリヤプレートは入力軸12に連結されていると共に、前側のキャリヤプレートがドラム状の(第1)連結部材140に連結されている。そして、リングギヤR1は、上記第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されている。
この第1クラッチC−1は、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。この油圧サーボ20は、後方に向けて開口したクラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有している。ピストン部材23は、クラッチドラム22の後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa1,a2により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の作動油室26を構成している。更にキャンセルプレート24は、クラッチドラム22に嵌合されたスナップリング29によって後側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24は、その前方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されると共に2本のシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
また、クラッチドラム22の先端部内周側には摩擦版21の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材151にスプライン係合している。つまり、該第1クラッチC−1が係合すると、上記プラネタリギヤDPのリングギヤR1の減速回転がハブ部材151に出力される。該ハブ部材151は、中間軸13の外周側に回転自在に支持された(第3)連結部材102に連結されており、該連結部材102は、上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。また、上記第1クラッチC−1のクラッチドラム22には、詳しくは後述する第3クラッチC−3のハブ部材153が連結されている。
一方、上記キャリヤCR1に連結された連結部材140は、第4クラッチC−4のクラッチドラム52に連結されている。この第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、前方(プラネタリギヤDP側)に向けて開口したクラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有している。また、ピストン部材53は、クラッチドラム52の前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa7,a8により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の作動油室56を構成している。更にキャンセルプレート54は、クラッチドラム52に嵌合されたスナップリング59によって前側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その後方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されると共に2本のシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
そして、クラッチドラム52の先端部内周側には摩擦板51の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材154にスプライン係合している。つまり、該第4クラッチC−4が係合すると、上記プラネタリギヤDPのキャリヤCR1の入力回転がハブ部材154に出力される。該ハブ部材154は、第3クラッチC−3のクラッチドラム42に連結されていると共に、該クラッチドラム42が前記連結部材102の更に外周側に回転自在に支持された(第2)連結部材101に連結されており、該連結部材101は、上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。
その第3クラッチC−3は、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、前方に向けて開口したクラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有している。また、ピストン部材43は、クラッチドラム42の前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa4,a5により、クラッチドラム42との間に、油蜜状の作動油室46を構成している。更にキャンセルプレート44は、クラッチドラム42に嵌合されたスナップリング49によって前側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その後方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されると共に2本のシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
そして、クラッチドラム42の先端部内周側には摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材153にスプライン係合している。上記プラネタリギヤDPのリングギヤR1の減速回転が第1クラッチC−1のクラッチドラム22を介してハブ部材153に入力されており、つまり該第3クラッチC−3が係合すると、その減速回転がクラッチドラム42に入力される。該クラッチドラム42は、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている連結部材101に連結されている。
この連結部材101には、サポート壁120とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間、詳しくは、サポート壁120とワンウェイクラッチF−1との間を通るハブ部材156が連結されており、該ハブ部材156が第1ブレーキB−1の摩擦板61の内摩擦板にスプライン係合している。この第1ブレーキB−1は、該サポート壁120の後方外周側の側面をシリンダ部とした油圧サーボ60を有しており、この油圧サーボ60は、ピストン部材63、キャンセルプレート64、リターンスプリング65を有している。ピストン部材63は、サポート壁120のシリンダ部の後方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa10,a11により、該シリンダ部との間に、油蜜状の作動油室66を構成している。更にキャンセルプレート64は、サポート壁120に嵌合されたスナップリング69によって後側への移動が阻止されている。そして、キャンセルプレート64と、その前方に配置されたピストン部材63との間に、リターンスプリング65が縮設されている。
該第1ブレーキB−1の摩擦板61の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合しており、つまり該第1ブレーキB−1が係止すると、ハブ部材156が回転不能に固定され、上述の連結部材101及びサンギヤS2の回転が固定される。
一方、プラネタリギヤユニットPUの後方側であって、中間軸13の後端外周側には、第2クラッチC−2が配置されている。この第2クラッチC−2は、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。この油圧サーボ30は、前方に向けて開口し、上記中間軸13に連結されたクラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有している。また、ピストン部材33は、クラッチドラム32の前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa12,a13により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の作動油室36を構成している。更にキャンセルプレート34は、中間軸13に嵌合されたスナップリング39によって前側への移動が阻止されている。キャンセルプレート34は、その後方に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されると共に2本のシールリングa12,a14により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、クラッチドラム32の先端部内周側には摩擦板31の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材152にスプライン係合している。つまり、該第2クラッチC−2が係合すると、上記中間軸13の入力回転がハブ部材152に出力される。該ハブ部材152は、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の後側のキャリヤプレートに連結されている。
また一方、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の前側のキャリヤプレートには、ハブ部材157が連結されていると共にワンウェイクラッチF−1のインナーレース112が連結されている。該ワンウェイクラッチF−1は、上記インナーレース112と、スプラグ機構113と、アウターレース114とを備えており、該アウターレース114が連結部材115によりミッションケース3に連結されて、その回転が固定されている。即ち、アウターレース114に対してインナーレース112が回転する場合、スプラグ機構113によって一方の回転だけが規制されて固定される。
上記ハブ部材157は、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合している。この第2ブレーキB−2は、ミッションケース3の後方の隔壁部3cの側面をシリンダ部とした油圧サーボ70を有しており、この油圧サーボ70は、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有している。ピストン部材73は、隔壁部3cのシリンダ部の前方に前後方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa15,a16により、該シリンダ部との間に、油蜜状の作動油室76を構成している。更にキャンセルプレート74は、ミッションケース3に嵌合されたスナップリング79によって前側への移動が阻止されている。そして、キャンセルプレート74と、その前方に配置されたピストン部材73との間に、リターンスプリング75が縮設されている。
該第2ブレーキB−2の摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合しており、つまり該第2ブレーキB−2が係止すると、ハブ部材157が回転不能に固定され、上記プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の回転が固定される。
このプラネタリギヤユニットPUは、上述のようにサンギヤS2と、サンギヤS3と、キャリヤCR2と、リングギヤR2とを備えている。このうちサンギヤS3は、中間軸13に回転自在に支持されていると共に、上述したように連結部材102に連結されており、第1クラッチC−1からの減速回転が入力自在となっている。また、サンギヤS2は、連結部材102に回転自在に支持されていると共に、上述したように連結部材101に連結されており、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4からの減速回転又は入力回転を入力自在となっていると共に、第1ブレーキB−1により係止自在となっている。更に、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2からの入力回転を入力自在となっていると共に、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制され、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在となっている。
このキャリヤCR2は、ショートピニオンP3とロングピニオンP4を回転自在に支持しており、これらピニオンP3,P4は相互に噛合されるとともに、ショートピニオンP3はサンギヤS3に、またロングピニオンP4はサンギヤS2及びリングギヤR3にそれぞれ噛合している。そして、このリングギヤR3は、出力軸15に連結されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c21が穿設されており、該油路c21は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd3,d4により、更に該連結部材140と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd5,d6によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41,c51が穿設されている。該油路c41は、サポート壁120と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室46に連通している。また、該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に、第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に、それぞれ供給されると、それぞれ第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46及び第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
また、上記ミッションケース3の隔壁部3cには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、隔壁部3cと出力軸15との間をシールリングd11,d12によりシールされて、油路c31に連通している。また、該油路c31は、中間軸13と出力軸15との間をシールリングd13によりシールされて、中間軸13内に軸方向に穿設された油路c32に連通しており、更に油路c32は、中間軸13に径方向に穿設された油路c33に連通して、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機11によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機11の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機11の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機11の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されるので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とを近接して配置することができ、第4クラッチC−4と第3クラッチC−3とを連結する比較的大きなトルクを伝達する部材(特に第3クラッチC−3から連結部材101まで連結するための部材)を短くすることができる。それにより、自動変速機11の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、サポート壁120に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、例えばケース3から延設されたボス部3bや入力軸12に設けられた油路から連結部材140などの相対回転する部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。それにより、自動変速機11の効率の向上、制御性の向上を図ることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPに対して第3クラッチC−3の油圧サーボ40とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、ボス部3b内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、入力軸12を介して作動油を供給する場合に比して、作動油室26までの油路長を短くすることができ、油圧制御のレスポンスを向上することができる。特に第1クラッチC−1がニュートラルレンジから走行レンジに切り替えられる際に係合するクラッチであるので、走行状態への切り替えに対するレスポンスを向上することができる。また、第1クラッチC−1がプラネタリギヤDPに対して第3及び第4クラッチC−3,C−4とは軸方向反対側であって、つまりボス部3b上に配置されるクラッチが第1クラッチC−1だけなので、ボス部3b内に多数の油路を集中して設けることを防止することができ、ボス部3b内の各油路の面積を充分確保できるので、作動油の管路抵抗を低減できる。それにより、第1クラッチC−1に供給する作動油のレスポンスを向上することができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されるので、ボス部3b内、またはサポート壁120に多数の油路を集中して設けることを防止することができる。
また上述のように、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図5に沿って説明する。図5は第2の実施の形態に係る自動変速機12を示す断面図である。なお、以下に説明する第2の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第2の実施の形態に係る自動変速機12は、変速機構22を備えており、その変速機構22は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21に対し、第2クラッチC−2及びその油圧サーボ30をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、入力軸12の後端外周側に、かつ第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置されている。また、そのクラッチドラム32が入力軸12に連結されている。更に、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材152は、中間軸13に連結されている。本実施の形態の中間軸13は、入力軸12に対して回転自在に設けられており、つまりハブ部材152の回転をプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に伝達するための連結部材となっている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27及び第2クラッチC−2のキャンセル油室37内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c31に連通している。該油路c31は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c32に連通しており、該油路c32は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c33に連通している。そして、該油路c33は、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c21が穿設されており、該油路c21は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd5,d6により、更に該連結部材140と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41,c51が穿設されている。該油路c41は、サポート壁120と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室46に連通している。また、該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に、第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に、それぞれ供給されると、それぞれ第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46及び第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機12によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機12の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機12の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機12の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されるので、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とを近接して配置することができ、第4クラッチC−4と第3クラッチC−3とを連結する比較的大きなトルクを伝達する部材(特に第3クラッチC−3から連結部材101まで連結するための部材)を短くすることができる。それにより、自動変速機11の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、サポート壁120に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、例えばケース3から延設されたボス部3bや入力軸12に設けられた油路から連結部材140などの相対回転する部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。それにより、自動変速機12の効率の向上、制御性の向上を図ることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPに対して第3クラッチC−3の油圧サーボ40とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、ボス部3b内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、入力軸12を介して作動油を供給する場合に比して、作動油室26までの油路長を短くすることができ、油圧制御のレスポンスを向上することができる。特に第1クラッチC−1がニュートラルレンジから走行レンジに切り替えられる際に係合するクラッチであるので、走行状態への切り替えに対するレスポンスを向上することができる。また、第1クラッチC−1がプラネタリギヤDPに対して第3及び第4クラッチC−3,C−4とは軸方向反対側であって、つまりボス部3b上に配置されるクラッチが第1クラッチC−1だけなので、ボス部3b内に多数の油路を集中して設けることを防止することができ、ボス部3b内の各油路の面積を充分確保できるので、作動油の管路抵抗を低減できる。それにより、第1クラッチC−1に供給する作動油のレスポンスを向上することができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUと自動変速機12の出力軸15とを近づけることができ、比較的低速段では大きなトルクを伝達し、かつ比較的後速段では高回転となるリングギヤR3と出力軸15とを連結する部材を短くすることができる。それにより、自動変速機12の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、プラネタリギヤギヤユニットPUが配置される軸(即ち中間軸13)の支持部(即ち出力軸15に支持されている部分)に該プラネタリギヤユニットPUを近づけることができ、ギヤの姿勢を安定させることができる。
更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、第3クラッチC−3とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤセットと減速プラネタリギヤとの軸方向の間に配置することが可能となる。それにより、比較的容量が小さい第2クラッチC−2を第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置することができるため、自動変速機12の軸長を短縮することができる。更に、プラネタリギヤDPへ入力回転を入力する部材と第2クラッチC−2のクラッチドラム32を共通化することができるため、自動変速機12の軸長を減少させることができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第3の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第3の実施の形態について、図6に沿って説明する。図6は第3の実施の形態に係る自動変速機13を示す断面図である。なお、以下に説明する第3の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第3の実施の形態に係る自動変速機13は、変速機構23を備えており、その変速機構23は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21に対し、第1クラッチC−1及びその油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第1クラッチC−2の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、入力軸12の後端外周側に配置されており、そのクラッチドラム22が入力軸12上に回転自在に支持されている。また、第1クラッチC−1のクラッチドラム22の先端部外周側は、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合している。即ちハブ部材153としての役割も果たした形となって、第1クラッチC−1の摩擦板21の外周側に第3クラッチC−3の摩擦板41が径方向にオーバーラップして配置されている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c21に連通している。該油路c21は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c22に連通しており、該油路c22は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c23に連通している。そして、該油路c23は、入力軸12と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd5,d6によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41,c51が穿設されている。該油路c41は、サポート壁120と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室46に連通している。また、該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に、第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に、それぞれ供給されると、それぞれ第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46及び第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
また、上記ミッションケース3の隔壁部3cには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、隔壁部3cと出力軸15との間をシールリングd11,d12によりシールされて、油路c31に連通している。また、該油路c31は、中間軸13と出力軸15との間をシールリングd13によりシールされて、中間軸13内に軸方向に穿設された油路c32に連通しており、更に油路c32は、中間軸13に径方向に穿設された油路c33に連通して、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機13によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機13の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機13の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機13の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えばケース3から延設されたボス部3bに設けられた油路から第1連結部材140などの相対回転する部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。それにより、自動変速機13の効率の向上、制御性の向上を図ることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されるので、ボス部3b内、またはサポート壁120に多数の油路を集中して設けることを防止することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第4の実施の形態>
ついで、上記第3の実施の形態を一部変更した第4の実施の形態について、図7に沿って説明する。図7は第4の実施の形態に係る自動変速機14を示す断面図である。なお、以下に説明する第4の実施の形態において、第3の実施の形態に係る自動変速機13と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第4の実施の形態に係る自動変速機14は、変速機構24を備えており、その変速機構24は、第3の実施の形態に係る自動変速機13の変速機構23に対し、第2クラッチC−2及びその油圧サーボ30をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、入力軸12の後端外周側に、かつ第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置されている。また、そのクラッチドラム32が入力軸12に連結されている。更に、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材152は、中間軸13に連結されている。本実施の形態の中間軸13は、入力軸12に対して回転自在に設けられており、つまりハブ部材152の回転をプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に伝達するための連結部材となっている。なお、第1クラッチC−1のクラッチドラム22は、上記第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様に、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材153に連結されている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27及び第2クラッチC−2のキャンセル油室37内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c31に連通している。該油路c31は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c32に連通しており、該油路c32は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c33に連通している。そして、該油路c33は、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
更に、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd5,d6によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c21に連通している。該油路c21は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12及び油路c32と平行に穿設された図示を省略した油路に連通しており、該油路は、入力軸12の中程において径方向に穿設された油路c23に連通している。そして、該油路c23は、入力軸12と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41,c51が穿設されている。該油路c41は、サポート壁120と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室46に連通している。また、該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に、第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に、それぞれ供給されると、それぞれ第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46及び第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機14によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機14の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機14の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機14の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、入力軸12内に設けられた油路から作動油を供給するので、例えばケース3から延設されたボス部3bに設けられた油路から第1連結部材140などの相対回転する部材を介して作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。それにより、自動変速機14の効率の向上、制御性の向上を図ることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUと自動変速機14の出力軸15とを近づけることができ、比較的低速段では大きなトルクを伝達し、かつ比較的後速段では高回転となるリングギヤR3と出力軸15とを連結する部材を短くすることができる。それにより、自動変速機14の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、プラネタリギヤギヤユニットPUが配置される軸(即ち中間軸13)の支持部(即ち出力軸15に支持されている部分)に該プラネタリギヤユニットPUを近づけることができ、ギヤの姿勢を安定させることができる。
更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、第3クラッチC−3の油圧サーボ40と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置することが可能となる。それにより、比較的容量が小さい第2クラッチC−2を第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置することができるため、自動変速機14の軸長を短縮することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第5の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第5の実施の形態について、図8に沿って説明する。図8は第5の実施の形態に係る自動変速機15を示す断面図である。なお、以下に説明する第5の実施の形態において、第1の実施の形態に係る自動変速機11と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第5の実施の形態に係る自動変速機15は、変速機構25を備えており、その変速機構25は、第1の実施の形態に係る自動変速機11の変速機構21に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側、即ちプラネタリギヤDPの前方側に配置したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置したものである。
即ち、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、ミッションケース3から延設されたボス部3b上に配置されており、その第3クラッチC−3の摩擦板41は、プラネタリギヤDPのリングギヤR1の外周側にスプライン係合して配置されている。該第3クラッチC−3のクラッチドラム42は、連結部材101に連結されている。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、入力軸12の後端外周側に配置されており、そのクラッチドラム22が入力軸12上に回転自在に支持されている。該第1クラッチC−1のクラッチドラム22は、プラネタリギヤDPのリングギヤR1に外周部分において連結されている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c21に連通している。該油路c21は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c22に連通しており、該油路c22は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c23に連通している。そして、該油路c23は、入力軸12と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41が穿設されており、該油路c41は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd5,d6により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室46に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に供給されると、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c51が穿設されている。該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に供給されると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
また、上記ミッションケース3の隔壁部3cには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、隔壁部3cと出力軸15との間をシールリングd14,d15によりシールされて、油路c31に連通している。また、該油路c31は、中間軸13と出力軸15との間をシールリングd13によりシールされて、中間軸13内に軸方向に穿設された油路c32に連通しており、更に油路c32は、中間軸13に径方向に穿設された油路c33に連通して、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機15によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機15の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機15の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機15の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、入力軸12内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、第1クラッチC−1に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第1クラッチC−1をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に配置した場合に比して、第1クラッチC−1の出力回転を伝達する伝達部材をプラネタリギヤDPの外周側を通して配置する必要をなくし、つまりプラネタリギヤDPの外周側を通る部材を少なくすることができる。それにより、自動変速機15の径方向におけるコンパクト化を図ることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されるので、ボス部3b内、またはサポート壁120に多数の油路を集中して設けることを防止することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第6の実施の形態>
ついで、上記第5の実施の形態を一部変更した第6の実施の形態について、図9に沿って説明する。図9は第6の実施の形態に係る自動変速機16を示す断面図である。なお、以下に説明する第6の実施の形態において、第5の実施の形態に係る自動変速機15と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第6の実施の形態に係る自動変速機16は、変速機構26を備えており、その変速機構26は、第5の実施の形態に係る自動変速機15の変速機構25に対し、第2クラッチC−2及びその油圧サーボ30をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、入力軸12の後端外周側に配置されており、そのクラッチドラム32が入力軸12に連結されている。更に、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材152は、中間軸13に連結されている。本実施の形態の中間軸13は、入力軸12に対して回転自在に設けられており、つまりハブ部材152の回転をプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に伝達するための連結部材となっている。また、第1クラッチC−1のクラッチドラム22は、プラネタリギヤDP側(前方側)に向けて開口して配置されており、摩擦板21の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材151が、プラネタリギヤDPのリングギヤR1に連結されている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27及び第2クラッチC−2のキャンセル油室37内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c31に連通している。該油路c31は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c32に連通しており、該油路c32は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c33に連通している。そして、該油路c33は、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
更に、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd5,d6によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c21に連通している。該油路c21は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12及び油路c32と平行に穿設された図示を省略した油路に連通しており、該油路は、入力軸12の中程よりやや後方側において径方向に穿設された油路c23に連通している。そして、該油路c23は、入力軸12と第1クラッチC−1のクラッチドラム22との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41が穿設されており、該油路c41は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd7,d8により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室46に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に供給されると、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c51が穿設されている。該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd13,d14によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に供給されると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機16によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機16の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機16の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機16の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、入力軸12内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、第1クラッチC−1に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第1クラッチC−1をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に配置した場合に比して、第1クラッチC−1の出力回転を伝達する伝達部材をプラネタリギヤDPの外周側を通して配置する必要をなくし、つまりプラネタリギヤDPの外周側を通る部材を少なくすることができる。それにより、自動変速機16の径方向におけるコンパクト化を図ることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUと自動変速機14の出力軸15とを近づけることができ、比較的低速段では大きなトルクを伝達し、かつ比較的後速段では高回転となるリングギヤR3と出力軸15とを連結する部材を短くすることができる。それにより、自動変速機14の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、プラネタリギヤギヤユニットPUが配置される軸(即ち中間軸13)の支持部(即ち出力軸15に支持されている部分)に該プラネタリギヤユニットPUを近づけることができ、ギヤの姿勢を安定させることができる。
更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置することが可能となる。それにより、比較的容量が小さい第2クラッチC−2を第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置することができるため、自動変速機16の軸長を短縮することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第7の実施の形態>
ついで、上記第5の実施の形態を一部変更した第7の実施の形態について、図10に沿って説明する。図10は第7の実施の形態に係る自動変速機17を示す断面図である。なお、以下に説明する第7の実施の形態において、第5の実施の形態に係る自動変速機15と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第7の実施の形態に係る自動変速機17は、変速機構27を備えており、その変速機構27は、第5の実施の形態に係る自動変速機15の変速機構25に対し、第1クラッチC−1及びその油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側(前方側)に配置し、詳しくは、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、ボス部3b上に配置されており、そのクラッチドラム22がボス部3b及び連結部材140に回転自在に支持されている。また、第1クラッチC−1のクラッチドラム22は、第3クラッチC−3の摩擦板41の内摩擦板にスプライン係合しているハブ部材153と連結されており、クラッチドラム22とハブ部材153のそれぞれの一部は重ねられて配置されている。また、第1クラッチC−1の摩擦板21は、プラネタリギヤDPにオーバーラップして配置されている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41が穿設されており、該油路c41は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd3,d4により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd5,d6によりシールされて、作動油室46に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に供給されると、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に供給される。
更に、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c21が穿設されており、該油路c21は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd7,d8により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd9,d10によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c51が穿設されている。該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に供給されると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
また、上記ミッションケース3の隔壁部3cには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、隔壁部3cと出力軸15との間をシールリングd13,d14によりシールされて、油路c31に連通している。また、該油路c31は、中間軸13と出力軸15との間をシールリングd15によりシールされて、中間軸13内に軸方向に穿設された油路c32に連通しており、更に油路c32は、中間軸13に径方向に穿設された油路c33に連通して、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機17によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機17の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機17の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機17の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、ボス部3b内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、第1クラッチC−1に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第1クラッチC−1と連結部材102との連結を可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されるので、ボス部3b内、またはサポート壁120に多数の油路を集中して設けることを防止することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第8の実施の形態>
ついで、上記第7の実施の形態を一部変更した第8の実施の形態について、図11に沿って説明する。図11は第8の実施の形態に係る自動変速機18を示す断面図である。なお、以下に説明する第8の実施の形態において、第7の実施の形態に係る自動変速機17と同様の構成である部分には、同符号を付して、その説明を省略する。
本第8の実施の形態に係る自動変速機18は、変速機構28を備えており、その変速機構28は、第7の実施の形態に係る自動変速機17の変速機構27に対し、第2クラッチC−2及びその油圧サーボ30をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間に配置し、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置したものである。即ち、該第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、入力軸12の後端外周側に配置されており、そのクラッチドラム32が入力軸12に連結されている。更に、第2クラッチC−2の摩擦板31の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材152は、中間軸13に連結されている。本実施の形態の中間軸13は、入力軸12に対して回転自在に設けられており、つまりハブ部材152の回転をプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に伝達するための連結部材となっている。
つづいて、本実施の形態における各構成要素の油路構造について説明する。
上記ミッションケース3より延設されたボス部3b内には、不図示のオイルポンプに連通する油路が設けられており、該油路はシールリングd1,d2にシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c11に連通している。入力軸12には、軸方向に油路c12が穿設されており、上記径方向の油路c11に連通している。また、入力軸12の後方側においては、油路c12から径方向に入力軸12の外周側まで貫通した不図示の複数の油路が穿設されており、供給された油が潤滑油として、それら複数の油路から入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤDPの各ギヤ、第1クラッチC−1の各部材などが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する不図示の油路が穿設されており、該油路は、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd3,d4によりシールされて、入力軸12に径方向に穿設された油路c31に連通している。該油路c31は、入力軸12に軸方向に穿設された、即ち上記油路c12と平行に穿設された油路c32に連通しており、該油路c32は、入力軸12の後端側において径方向に穿設された油路c33に連通している。そして、該油路c33は、作動油室36に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第2クラッチC−2の作動油圧が油路c31に供給されると、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の作動油室36に供給される。
また、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c41が穿設されており、該油路c41は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd5,d6により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd7,d8によりシールされて、作動油室46に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第3クラッチC−3の作動油圧が油路c41に供給されると、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46に供給される。
更に、上記ボス部3bには、不図示の油圧制御装置に連通する油路c21が穿設されており、該油路c21は、ボス部3bと連結部材140との間をシールリングd9,d10により、更に該連結部材140と第3クラッチC−3のクラッチドラム42との間をシールリングd11,d12によりシールされて、作動油室26に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC−1の作動油圧が油路c21に供給されると、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の作動油室26に供給される。
一方、サポート壁120内には、不図示の油圧制御装置に連通する油路c51が穿設されている。該油路c51は、サポート壁120と第4クラッチC−4のクラッチドラム52との間をシールリングd13,d14によりシールされて、作動油室56に連通している。即ち、不図示の油圧制御装置から第4クラッチC−4の作動油圧が油路c51に供給されると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56に供給される。
なお、第1ブレーキB−1の油圧サーボ60の作動油室66には、ミッションケース3からサポート壁120を介した不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給され、また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の作動油室76には、ミッションケース3から不図示の油路によって、油圧制御装置から作動油圧が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機18によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機18の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機18の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機18の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
更に、第1ブレーキB−1は、第4クラッチC−4とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間を通るハブ部材156を介して連結部材101に連結されるので、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2の回転を固定自在にすることができつつ、連結部材140とハブ部材156とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第3クラッチC−3の油圧サーボ40との軸方向の間に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、ボス部3b内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、第1クラッチC−1に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第1クラッチC−1と連結部材102との連結を可能とすることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUと自動変速機18の出力軸15とを近づけることができ、比較的低速段では大きなトルクを伝達し、かつ比較的後速段では高回転となるリングギヤR3と出力軸15とを連結する部材を短くすることができる。それにより、自動変速機18の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、プラネタリギヤギヤユニットPUが配置される軸(即ち中間軸13)の支持部(即ち出力軸15に支持されている部分)に該プラネタリギヤユニットPUを近づけることができ、ギヤの姿勢を安定させることができる。
更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置することが可能となる。それにより、比較的容量が小さい第2クラッチC−2を第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置することができるため、自動変速機18の軸長を短縮することができる。更に、プラネタリギヤDPへ入力回転を入力する部材と第2クラッチC−2のクラッチドラム32を共通化することができるため、自動変速機18の軸長を減少させることができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第9の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第8の実施の形態を一部変更した第9の実施の形態について、図12に沿って説明する。図12は第9の実施の形態に係る自動変速機19を示す断面図である。なお、以下に説明する第9の実施の形態において、第1乃至第8の実施の形態に係る自動変速機1と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
図12に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機19は、ミッションケース3、不図示のトルクコンバータを内包するハウジングケース等が接続されて構成されたケース4を有しており、該ミッションケース3内には、変速機構29、図示を省略したカウンタシャフト及びディファレンシャル装置が配置されている。変速機構29は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されており、また、不図示のカウンタシャフトは、それら入力軸12及び中間軸13と平行な軸上に配置されて、更に、不図示のディファレンシャルギヤ装置は、該カウンタシャフトと平行な軸上に左右車軸を有する形で配置されている。なお、上記入力軸12及び中間軸13と、カウンタシャフトと、左右車軸とは、側面視くの字状の位置関係である。また、一般にカウンタシャフトやディファレンシャル装置は、トルクコンバータに隣接する位置に配置され、つまり軸方向において入力軸12の入力側にオーバーラップする位置に配置されている。
なお、上述した第1乃至第8の実施の形態におけるFRタイプの車輌に搭載して好適な自動変速機においては、図中における左右方向が実際には前後方向であったが、以下に説明するFFタイプの車輌に搭載して好適な自動変速機においては、図中における左右方向が実際にも車輌における左右方向である。しかしながら、搭載する方向によっては、図中の右側が実際の車輌の左側、図中の左側が実際の車輌の右側になるが、以下の説明において、単に「右方側」又は「左方側」という場合は、図中における「右方側」又は「左方側」をいう。
ミッションケース3内には、同一軸上において、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとが配置されており、該プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、外周側に摩擦板51が配置された第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配置されている。また、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50と該プラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50に隣接する形で、サポート壁(センターサポート)120が配置されている。該サポート壁120の右方内周側のボス部120bは、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の内周部分に延設されており、また、該サポート壁120の左方内周側のボス部120aは、カウンタギヤ(出力部材)150の内周部分に延設されている。即ち、それら油圧サーボ40、カウンタギヤ150は、サポート壁120を介して互いに反対側に、それぞれ隣接する形で配置されて支持されていることになる。
摩擦板21が第4クラッチC−4の摩擦板51の内周側に配置された第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置されている。詳しくは、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間において、入力軸12上に配置されている。
一方、摩擦板41が上記摩擦板51の右方側に配置された第3クラッチの油圧サーボ40は、前記第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤセットPUとは軸方向反対側である前方側に配置されている。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、ミッションケース3と不図示のハウジングケースとの間を隔離する隔壁部材3aより延設されたボス部3b上に配置されている。
また、摩擦板31が外周側に配置された第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤセットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側である左方側において、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3d上に配置されている。
更に、油圧サーボの図示を省略した第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が、第4クラッチC−4の摩擦板51の外径側にオーバーラップする形で配置されている。なお、本明細書中においては、ブレーキバンド161はバンド状のものであるが、摩擦板の一種として説明し、つまり「ブレーキの摩擦板」とは、多板式ブレーキの摩擦板とバンドブレーキのブレーキバンドとを含むものとする。
また、摩擦板71がプラネタリギヤユニットPUの外周側に配置された第2ブレーキB−2の油圧サーボ70は、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側において、側壁部3c上に配置されている。そして、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、ワンウェイクラッチF−1が配置されている。
つづいて、変速機構29について詳細に説明する。ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このプラネタリギヤDPの右方側においては、上述したボス部3bが入力軸12の外周面に被覆されて設けられており、上記サンギヤS1が回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、ピニオンP1,P2を回転自在に支持しており、これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。このキャリヤCR1の左側のキャリヤプレートは入力軸12に連結されていると共に、右側のキャリヤプレートがドラム状の(第1)連結部材140に連結されている。そして、リングギヤR1は、上記第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されている。
この第1クラッチC−1は、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。この油圧サーボ20は、左方に向けて開口したクラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有している。ピストン部材23は、クラッチドラム22の左方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa4,a5により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の作動油室26を構成している。更にキャンセルプレート24は、クラッチドラム22に嵌合されたスナップリング29によって左側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24は、その右方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されると共に2本のシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
また、クラッチドラム22の先端部内周側には摩擦版21の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材151にスプライン係合している。つまり、該第1クラッチC−1が係合すると、上記プラネタリギヤDPのリングギヤR1の減速回転がハブ部材151に出力される。該ハブ部材151は、中間軸13の外周側に回転自在に支持された(第3)連結部材102に連結されており、該連結部材102は、上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されている。
一方、上記キャリヤCR1に連結された連結部材140は、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材154に連結されている。この第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、右方(プラネタリギヤDP側)に向けて開口したクラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有している。また、ピストン部材53は、クラッチドラム52の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa7,a8により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の作動油室56を構成している。更にキャンセルプレート54は、クラッチドラム52に嵌合されたスナップリング59によって右側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その左方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されると共に2本のシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
そして、クラッチドラム52の先端部内周側には摩擦板51の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板が上記ハブ部材154にスプライン係合している。つまり、該第4クラッチC−4が係合すると、上記プラネタリギヤDPのキャリヤCR1の入力回転がクラッチドラム52に出力される。該クラッチドラム52は、前記連結部材102の更に外周側に回転自在に支持された(第2)連結部材101に連結されており、該連結部材101は、上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。
なお、第2連結部材に連結されるクラッチC−4クラッチのクラッチドラム52が第1連結部材140より外周側となっているが、クラッチC−4は伝達されるトルクが比較的小さいため、部材に大きな強度が不要であり、高回転されてもイナーシャトルクの発生は少なく、制御性に大きな影響を及ぼすことはない。
その第3クラッチC−3は、上記連結部材140の内周側に配置されており、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、左方に向けて開口したクラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有している。また、ピストン部材43は、クラッチドラム42の左方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa1,a2により、クラッチドラム42との間に、油蜜状の作動油室46を構成している。更にキャンセルプレート44は、クラッチドラム42に嵌合されたスナップリング49によって左方向への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その右方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されると共に2本のシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
そして、クラッチドラム42の先端部内周側には摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板が上記リングギヤR1の外周側にスプライン係合している。つまり該第3クラッチC−3が係合すると、その減速回転がクラッチドラム42に入力される。該クラッチドラム42は、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている連結部材101に連結されている。
また、第1ブレーキB−1は、クラッチドラム52の外径側に配置されており、ミッションケース3に対して回転不能に配設された不図示の油圧サーボと、該油圧サーボによりクラッチドラム52の外周部を締付け・解放するブレーキバンド161とを備えている。つまり該第1ブレーキB−1が係止すると、クラッチドラム52が回転不能に固定され、上述の連結部材101及びサンギヤS2の回転が固定される。
一方、プラネタリギヤユニットPUの左方側であって、入力軸12に連結されている中間軸13の左端外周側には、第2クラッチC−2が配置されている。この第2クラッチC−2は、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。この油圧サーボ30は、右方に向けて開口し、上記ボス部3dに回転自在に支持されていると共に、上記中間軸13(即ち入力軸12)に連結されたクラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有している。また、ピストン部材33は、クラッチドラム32の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa10,a11により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の作動油室36を構成している。更にキャンセルプレート34は、中間軸13に嵌合されたスナップリング39によって右側への移動が阻止されている。キャンセルプレート34は、その左方に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されると共に2本のシールリングa10,a12により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、クラッチドラム32の先端部内周側には摩擦板31の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がハブ部材152にスプライン係合している。つまり、該第2クラッチC−2が係合すると、上記中間軸13の入力回転がハブ部材152に出力される。該ハブ部材152は、プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の左側のキャリヤプレートに連結されている。
また、そのキャリヤCR2の右側のキャリヤプレートには、上記ハブ部材152を介してハブ部材157が連結されていると共にワンウェイクラッチF−1のインナーレース112が連結されている。該ワンウェイクラッチF−1は、上記インナーレース112と、スプラグ機構113と、アウターレース114とを備えており、該アウターレース114が連結部材115によりミッションケース3に連結されて、その回転が固定されている。即ち、アウターレース114に対してインナーレース112が回転する場合、スプラグ機構113によって一方の回転だけが規制されて固定される。
上記ハブ部材157は、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合している。この第2ブレーキB−2は、ミッションケース3の左方の隔壁部3cの側面をシリンダ部とした油圧サーボ70を有しており、この油圧サーボ70は、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有している。ピストン部材73は、隔壁部3cのシリンダ部の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa13,a14により、該シリンダ部との間に、油蜜状の作動油室76を構成している。更にキャンセルプレート74は、ミッションケース3に嵌合されたスナップリング79によって右側への移動が阻止されている。そして、キャンセルプレート74と、その右方に配置されたピストン部材73との間に、リターンスプリング75が縮設されている。
該第2ブレーキB−2の摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合しており、つまり該第2ブレーキB−2が係止すると、ハブ部材157が回転不能に固定され、上記プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の回転が固定される。
このプラネタリギヤユニットPUは、サンギヤS2と、サンギヤS3と、キャリヤCR2と、リングギヤR2とを備えている。このうちサンギヤS3は、中間軸13に回転自在に支持されていると共に、上述したように連結部材102に連結されており、第1クラッチC−1からの減速回転が入力自在となっている。また、サンギヤS2は、連結部材102に回転自在に支持されていると共に、上述したように連結部材101に連結されており、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4からの減速回転又は入力回転を入力自在となっていると共に、第1ブレーキB−1により係止自在となっている。更に、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2からの入力回転を入力自在となっていると共に、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制され、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在となっている。
このキャリヤCR2は、ショートピニオンP3とロングピニオンP4を回転自在に支持しており、これらピニオンP3,P4は相互に噛合されるとともに、ショートピニオンP3はサンギヤS3に、またロングピニオンP4はサンギヤS2及びリングギヤR3にそれぞれ噛合している。そして、このリングギヤR3は、カウンタギヤ150に連結されている。
カウンタギヤ150は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間にあって、上述のようにサポート壁120の左方側に隣接して配置されている。詳しくは、サポート壁120の内径側にて延設されたボス部120a上に、ボールベアリング121を介してカウンタギヤ150が配置されている。なお、該カウンタギヤ150の外周側には、不図示のカウンタシャフトに連結されたギヤが噛合しており、更に該カウンタシャフトは、不図示のギヤ機構やディファレンシャルギヤなどを介して駆動車輪に連結されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa9,a10によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とサポート壁120との間をシールリングd9,d10にシールされてサポート壁120内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、連結部材140とボス部3bとの間をシールリングd1,d2に、連結部材140とクラッチドラム42との間をシールリングd3,d4に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c41が連通しており、該油路c41より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa4,a5によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3bと入力軸12との間をシールリングd5,d6に、入力軸12とクラッチドラム22との間をシールリングd7,d8に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c21が入力軸12内の油路c22,c23,c24を介して連通しており、該油路c24より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa10,a11よりシールされて構成されている油室36には、クラッチドラム32とボス部3dとの間をシールリングd11,d12にシールされてボス部3d内の油路c31が連通しており、該油路c31より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa10,a12によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の側壁部3cに設けられたシリンダ部とピストン部材73との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機19によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第1及び第3クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第1及び第3クラッチC−1,C−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第1及び第3クラッチC−1,C−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2,S3とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101,102を介してそれぞれ連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きな伝達トルクが入力され、かつ大きく増速回転する可能性のある連結部材101,102とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機19の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機19の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機19の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されてなり、第1クラッチC−1の油圧サーボ20に、入力軸12内に設けられた油路c21から作動油を供給するので、第1クラッチC−1に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第1クラッチC−1をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に配置した場合に比して、第1クラッチC−1の出力回転を伝達する伝達部材をプラネタリギヤDPの外周側を通して配置する必要をなくし、つまりプラネタリギヤDPの外周側を通る部材を少なくすることができる。それにより、自動変速機19の径方向におけるコンパクト化を図ることができる。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置されるので、ボス部3b内、またはサポート壁120に多数の油路を集中して設けることを防止することができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
なお、本第9の実施の形態に係る車輌用自動変速機19は、変速機構29を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第19の実施の形態に係る車輌用自動変速機119を構成することを可能とすることができる。
<第10の実施の形態>
ついで、上記第9の実施の形態を一部変更した第10の実施の形態について、図13に沿って説明する。図13は第10の実施の形態に係る自動変速機110を示す断面図である。なお、以下に説明する第10の実施の形態においては、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第10の実施の形態に係る自動変速機110は、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第10の実施の形態に係る車輌用自動変速機110は、変速機構210を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させ、第2クラッチC−2とプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2とを連結する連結部材を追加し、入力軸と中間軸を一体回転とすることで、後述する第20の実施の形態に係る車輌用自動変速機120を構成することを可能とすることができる。
<第11の参考例>
ついで、上記第9の実施の形態を一部変更した第11の参考例について、図14に沿って説明する。図14は第11の参考例に係る自動変速機111を示す断面図である。なお、以下に説明する第11の参考例においては、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第11の参考例に係る自動変速機111は、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第11の参考例に係る車輌用自動変速機111は、変速機構211を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第21の参考例に係る車輌用自動変速機121を構成することを可能とすることができる。
<第12の参考例>
ついで、上記第9の実施の形態を一部変更した第12の参考例について、図15に沿って説明する。図15は第12の参考例に係る自動変速機112を示す断面図である。なお、以下に説明する第12の参考例においては、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第12の参考例に係る自動変速機112は、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置したものである。
なお、本第12の参考例に係る車輌用自動変速機112は、変速機構212を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第22の参考例に係る車輌用自動変速機122を構成することを可能とすることができる。
<第13の実施の形態>
ついで、上記第1乃至第10の実施の形態を一部変更した第13の実施の形態について、図16に沿って説明する。図16は第13の実施の形態に係る自動変速機113を示す断面図である。なお、以下に説明する第13の実施の形態において、第1乃至第10の実施の形態に係る自動変速機1と同様の構成である部分には、油路、シールリング、ハブ部材などの一部構成を除き、同符号を付して、その説明を簡略にする。
図16に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機113は、ミッションケース3、不図示のトルクコンバータを内包するハウジングケース等が接続されて構成されたケース4を有しており、該ミッションケース3内には、変速機構213、図示を省略したカウンタシャフト及びディファレンシャル装置が配置されている。変速機構213は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されている。
ミッションケース3内には、同一軸上において、プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとが配置されており、該プラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、外周側に摩擦板51が配置された第4クラッチC−4の油圧サーボ50が配置されている。また、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50と該プラネタリギヤユニットPUとの軸方向の間には、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50に隣接する形で、サポート壁(センターサポート)120が配置されている。該サポート壁120の右方内周側のボス部120bは、該第4クラッチC−4の油圧サーボ50の内周部分に延設されており、また、該サポート壁120の左方内周側のボス部120aは、カウンタギヤ150の内周部分に延設されている。即ち、それら油圧サーボ40、カウンタギヤ150は、サポート壁120を介して互いに反対側に、それぞれ隣接する形で配置されて支持されていることになる。
摩擦板31がプラネタリギヤDPの外周側に配置された第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置されている。詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間において、入力軸12上に配置されている。
一方、摩擦板41が上記摩擦板51の右方側に配置された第3クラッチの油圧サーボ40は、前記第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤセットPUとは軸方向反対側である前方側に配置されている。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、ミッションケース3と不図示のハウジングケースとの間を隔離する隔壁部材3aより延設されたボス部3b上に配置されている。
また、摩擦板21が外周側に配置された第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、プラネタリギヤセットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側である左方側において、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3d上に配置されている。
更に、油圧サーボの図示を省略した第1ブレーキB−1のブレーキバンド161が、第4クラッチC−4の摩擦板51の外径側にオーバーラップする形で配置されている。なお、本明細書中においては、ブレーキバンド161はバンド状のものであるが、摩擦板の一種として説明し、つまり「ブレーキの摩擦板」とは、多板式ブレーキの摩擦板とバンドブレーキのブレーキバンドとを含むものとする。
また、摩擦板71がプラネタリギヤユニットPUの外周側に配置された第2ブレーキB−2の油圧サーボ70は、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の外周側において、側壁部3c上に配置されている。そして、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、ワンウェイクラッチF−1が配置されている。
つづいて、変速機構213について詳細に説明する。ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤDPは、サンギヤS1と、キャリヤCR1と、リングギヤR1とを備えている。このプラネタリギヤDPの右方側においては、上述したボス部3bが入力軸12の外周面に被覆されて設けられており、上記サンギヤS1が回転不能に固定されている。また、キャリヤCR1は、ピニオンP1,P2を回転自在に支持しており、これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、前者のピニオンP1はサンギヤS1に、また後者のピニオンP2はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。このキャリヤCR1の左側のキャリヤプレートは入力軸12に連結されていると共に、右側のキャリヤプレートがドラム状の(第1)連結部材140に連結されている。そして、リングギヤR1は、第4クラッチC−4、サポート壁120、カウンタギヤ150、及びプラネタリギヤユニットPUの内周側を通る連結部材102を介して、詳しくは後述する第1クラッチC−1のクラッチドラム22に連結されている。
一方、上記キャリヤCR1に連結された連結部材140は、第4クラッチC−4の摩擦板51の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材154に連結されている。この第4クラッチC−4は、摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、右方(プラネタリギヤDP側)に向けて開口したクラッチドラム52、ピストン部材53、キャンセルプレート54、リターンスプリング55を有している。また、ピストン部材53は、クラッチドラム52の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa7,a8により、クラッチドラム52との間に、油蜜状の作動油室56を構成している。更にキャンセルプレート54は、クラッチドラム52に嵌合されたスナップリング59によって右側への移動が阻止されている。キャンセルプレート54は、その左方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されると共に2本のシールリングa7,a9により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。
そして、クラッチドラム52の先端部内周側には摩擦板51の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板が上記ハブ部材154にスプライン係合している。つまり、該第4クラッチC−4が係合すると、上記プラネタリギヤDPのキャリヤCR1の入力回転がクラッチドラム52に出力される。該クラッチドラム52は、前記連結部材102の更に外周側に回転自在に支持された(第2)連結部材101に連結されており、該連結部材101は、上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている。
その第3クラッチC−3は、上記連結部材140の内周側に配置されており、摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。この油圧サーボ40は、左方に向けて開口したクラッチドラム42、ピストン部材43、キャンセルプレート44、リターンスプリング45を有している。また、ピストン部材43は、クラッチドラム42の左方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa1,a2により、クラッチドラム42との間に、油蜜状の作動油室46を構成している。更にキャンセルプレート44は、クラッチドラム42に嵌合されたスナップリング49によって左側への移動が阻止されている。キャンセルプレート44は、その右方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されると共に2本のシールリングa1,a3により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。
そして、クラッチドラム42の先端部内周側には摩擦板41の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板が上記リングギヤR1の外周側にスプライン係合している。つまり該第3クラッチC−3が係合すると、その減速回転がクラッチドラム42に入力される。該クラッチドラム42は、プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2に連結されている連結部材101に連結されている。
また、第1ブレーキB−1は、クラッチドラム52の外径側に配置されており、ミッションケース3に対して回転不能に配設された不図示の油圧サーボと、該油圧サーボによりクラッチドラム52の外周部を締付け・解放するブレーキバンド161とを備えている。つまり該第1ブレーキB−1が係止すると、クラッチドラム52が回転不能に固定され、上述の連結部材101及びサンギヤS2の回転が固定される。
第2クラッチC−2は、第4クラッチC−4の油圧サーボ50の右方側にあって、入力軸12の左端外周側に配置されている。この第2クラッチC−2は、摩擦板31と、この摩擦板31を接断させる油圧サーボ30とを備えている。この油圧サーボ30は、左方に向けて開口し、入力軸12の左端外周側の一部から上記キャリヤCR1の左側のキャリヤプレートの一部を形成する形で、該入力軸12に連結されたクラッチドラム32、ピストン部材33、キャンセルプレート34、リターンスプリング35を有している。また、ピストン部材33は、クラッチドラム32の左方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa4,a5により、クラッチドラム32との間に、油蜜状の作動油室36を構成している。更にキャンセルプレート34は、入力軸に嵌合されたスナップリング39によって左側への移動が阻止されている。キャンセルプレート34は、その右方に配置されたピストン部材33との間に、リターンスプリング35が縮設されると共に2本のシールリングa4,a6により油蜜状のキャンセル油室37を構成している。
そして、クラッチドラム32の先端部内周側には摩擦板31の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板が中間軸13に連結されたハブ部材153にスプライン係合している。該第2クラッチC−2が係合すると、上記入力軸12の入力回転がハブ部材153を介して中間軸13に出力される。その中間軸13の左方側は、後述する第1クラッチC−1の左方側から外周側を通って、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合するハブ部材157に連結されていると共に、該ハブ部材157がプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の左側のキャリヤプレートに連結されている。つまり該第2クラッチC−2が係合すると、入力軸12の入力回転が中間軸13及びハブ部材157を介してプラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2に入力される。
また、上述のキャリヤCR2の左側のキャリヤプレートには、ハブ部材157が連結されていると共にワンウェイクラッチF−1のインナーレース112が連結されている。該ワンウェイクラッチF−1は、上記インナーレース112と、スプラグ機構113と、アウターレース114とを備えており、該アウターレース114が連結部材115によりミッションケース3に連結されて、その回転が固定されている。即ち、アウターレース114に対してインナーレース112が回転する場合、スプラグ機構113によって一方の回転だけが規制されて固定される。
上記ハブ部材157は、第2ブレーキB−2の摩擦板71の内摩擦板にスプライン係合している。この第2ブレーキB−2は、ミッションケース3の左方の隔壁部3cの側面をシリンダ部とした油圧サーボ70を有しており、この油圧サーボ70は、ピストン部材73、キャンセルプレート74、リターンスプリング75を有している。ピストン部材73は、隔壁部3cのシリンダ部の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa13,a14により、該シリンダ部との間に、油蜜状の作動油室76を構成している。更にキャンセルプレート74は、ミッションケース3に嵌合されたスナップリング79によって右側への移動が阻止されている。そして、キャンセルプレート74と、その左方に配置されたピストン部材73との間に、リターンスプリング75が縮設されている。
該第2ブレーキB−2の摩擦板71の外摩擦板は、ミッションケース3の内周面にスプライン係合しており、つまり該第2ブレーキB−2が係止すると、ハブ部材157が回転不能に固定され、上記プラネタリギヤユニットPUのキャリヤCR2の回転が固定される。
一方、プラネタリギヤユニットPUの左方側であって、中間軸13の左端外周側には、第1クラッチC−1が配置されている。この第1クラッチC−1は、摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。この油圧サーボ20は、右方に向けて開口し、かつ上記連結部材102を介してリングギヤR1に連結されているクラッチドラム22、ピストン部材23、キャンセルプレート24、リターンスプリング25を有している。ピストン部材23は、クラッチドラム22の右方に左右方向移動可能に配置されていて、2本のシールリングa10,a11により、クラッチドラム22との間に、油蜜状の作動油室26を構成している。更にキャンセルプレート24は、クラッチドラム22に嵌合されたスナップリング29によって右側への移動が阻止されている。キャンセルプレート24は、その左方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されると共に2本のシールリングa10,a12により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。
また、クラッチドラム22の先端部内周側には摩擦版21の外摩擦板がスプライン係合していると共に、その内摩擦板がプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS3に連結されたハブ部材151にスプライン係合している。つまり、該第1クラッチC−1が係合すると、上記プラネタリギヤDPのリングギヤR1の減速回転がハブ部材151に出力され、サンギヤS3に減速回転が入力される。
プラネタリギヤユニットPUは、サンギヤS2と、サンギヤS3と、キャリヤCR2と、リングギヤR2とを備えている。このうちサンギヤS3は、中間軸13に回転自在に支持されていると共に、上述したようにハブ部材151に連結されており、第1クラッチC−1からの減速回転が入力自在となっている。また、サンギヤS2は、連結部材102に回転自在に支持されていると共に、上述したように連結部材101に連結されており、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4からの減速回転又は入力回転を入力自在となっていると共に、第1ブレーキB−1により係止自在となっている。更に、キャリヤCR2は、第2クラッチC−2からの入力回転を入力自在となっていると共に、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制され、かつ第2ブレーキB−2により回転が固定自在となっている。
このキャリヤCR2は、ショートピニオンP3とロングピニオンP4を回転自在に支持しており、これらピニオンP3,P4は相互に噛合されるとともに、ショートピニオンP3はサンギヤS3に、またロングピニオンP4はサンギヤS2及びリングギヤR3にそれぞれ噛合している。そして、このリングギヤR3は、カウンタギヤ150に連結されている。
カウンタギヤ150は、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間にあって、上述のようにサポート壁120の左方側に隣接して配置されている。詳しくは、サポート壁120の内径側にて延設されたボス部120a上に、ボールベアリング121を介してカウンタギヤ150が配置されている。なお、該カウンタギヤ150の外周側には、不図示のカウンタシャフトに連結されたギヤが噛合しており、更に該カウンタシャフトは、不図示のギヤ機構やディファレンシャルギヤなどを介して駆動車輪に連結されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
第4クラッチC−4の油圧サーボ50の油室56、即ちクラッチドラム52とピストン部材53との間をシールリングa9,a10によりシールされて構成されている油室56には、クラッチドラム52とサポート壁120との間をシールリングd11,d12にシールされてサポート壁120内の油路c51が連通しており、該油路c51より作動油が供給される。なお、ピストン部材53とキャンセルプレート54との間にシールリングa7,a9によりシールされて構成されているキャンセル油室57には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46、即ちクラッチドラム42とピストン部材43との間をシールリングa1,a2によりシールされて構成されている油室46には、連結部材140とボス部3bとの間をシールリングd1,d2に、連結部材140とクラッチドラム42との間をシールリングd3,d4に、それぞれシールされてボス部3b内の油路c41が連通しており、該油路c41より作動油が供給される。なお、ピストン部材43とキャンセルプレート44との間にシールリングa1,a3によりシールされて構成されているキャンセル油室47には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30の油室36、即ちクラッチドラム32とピストン部材33との間をシールリングa4,a5よりシールされて構成されている油室36には、ボス部3dと入力軸12との間をシールリングd5,d6にシールされてボス部3d内の油路c31、入力軸12内の油路c32,c33,c34が連通しており、該油路c34より作動油が供給される。なお、ピストン部材33とキャンセルプレート34との間にシールリングa4,a6によりシールされて構成されているキャンセル油室37には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26、即ちクラッチドラム22とピストン部材23との間をシールリングa10,a11によりシールされて構成されている油室26には、ボス部3dと中間軸よりハブ部材157への連結部材との間をシールリングd7,d8に、中間軸よりハブ部材157への連結部材とクラッチドラム22との間をシールリングd9,d10に、それぞれシールされてボス部3d内の油路c21が連通しており、該油路c21より作動油が供給される。なお、ピストン部材23とキャンセルプレート24との間にシールリングa9,a11によりシールされて構成されているキャンセル油室27には、図示を省略した油路から油が供給される。
また、第2ブレーキB−2の油圧サーボ70の油室76、即ちミッションケース3の側壁部3cとピストン部材73との間をシールリングa13,a14によりシールされて構成されている油室76には、図示を省略した隔壁部3cの油路から作動油が供給される。
以上のように、本発明に係る自動変速機113によると、第4クラッチC−4の油圧サーボ50をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40を第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置し、入力軸12と第4クラッチC−4とを第3クラッチC−3の外周側を通る連結部材140を介して連結し、第3クラッチC−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2とを第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101を介して連結するので、各クラッチとプラネタリギヤPUの各回転要素を連結する部材が錯綜することを防ぐことができるものでありながら、入力回転により回転する(つまり増速回転されたり伝達トルクが大きくなったりしない)連結部材140を外周側に配置することができると共に、大きく増速回転する可能性のある連結部材101とを内周側に配置することができる。それにより、それらクラッチとプラネタリギヤユニットPUの各回転要素とを連結する各連結部材の厚みを比較的薄くして軽量化を図ることができ、自動変速機113の軽量化や制御性の向上を図ることができる。また、入力回転により回転する連結部材140が外周側に配置されるので、入力回転数を検出する入力回転数センサの取り付けを容易にすることができる。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50にサポート壁120に設けられた油路c51から作動油を供給するので、連結部材101及び連結部材102を介して入力軸12(又は中間軸13)より作動油を供給する場合に比して、シールリングの数を低減することができる。これにより、シールリングによる摺動抵抗の減少による自動変速機113の効率向上、シールリングからの作動油の漏れの減少、制御性の低下の防止、を可能とすることができる。
更に、第4クラッチC−4の油圧サーボ50のクラッチドラム52が、プラネタリギヤDP側に向けて開口しているので、第4クラッチC−4の回転を出力する部材と連結部材140とが錯綜することを防ぐことができる。
また、第4クラッチC−4からの入力回転と第3クラッチC−3からの減速回転とを、連結部材101を共用してサンギヤS2に伝達自在にすることができる。それにより、部品点数を減少させることができ、自動変速機113の軽量化やコンパクト化を図ることができる。
また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40は、プラネタリギヤDPに対して第4クラッチC−4の油圧サーボ50とは軸方向反対側に、かつケース3から延設されたボス部3b上に配置されてなり、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に、ボス部3b内に設けられた油路c41を介して作動油を供給するので、第3クラッチC−3に作動油圧を供給して係合自在にできるものでありながら、第3クラッチC−3と連結部材101との連結を可能とすることができる。
更に、第2クラッチC−2の油圧サーボ30は、プラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向の間に配置されるので、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置することが可能となる。よって、比較的容量が小さい第2クラッチC−2を第3クラッチC−3の摩擦板41の内周側に配置することができるため、車輌用自動変速機113の軸長を短縮することができる。更に、プラネタリギヤDPのキャリヤCR1と第2クラッチC−2のクラッチドラム32を共通化することができるため、車輌用自動変速機113の軸長を減少させることができる。
また、第1クラッチC−1を係合すると共にワンウェイクラッチF−1(又は第2ブレーキB−2)を係止することにより前進第1速段を、第1クラッチC−1を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進第2速段を、第1クラッチC−1と第3クラッチC−3と係合することにより前進第3速段を、第1クラッチC−1と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第4速段を、第1クラッチC−1と第2クラッチC−2とを係合することにより前進第5速段を、第2クラッチC−2と第4クラッチC−4とを係合することにより前進第6速段を、第2クラッチC−2と第3クラッチC−3とを係合することにより前進7速段を、第2クラッチC−2を係合すると共に第1ブレーキB−1を係止することにより前進8速段を、第3クラッチC−3又は第4クラッチC−4を係合すると共に第2ブレーキB−2を係止することにより後進段を、それぞれ達成することができる。
<第14の実施の形態>
ついで、上記第13の実施の形態を一部変更した第14の実施の形態について、図17に沿って説明する。図17は第14の実施の形態に係る自動変速機114を示す断面図である。なお、以下に説明する第14の実施の形態においては、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第14の実施の形態に係る自動変速機114は、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置したものであり、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を第1クラッチC−1の油圧サーボ20に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側、つまり第1クラッチC−1の油圧サーボ20よりも左方側に配置したものである。
なお、本第14の実施の形態に係る車輌用自動変速機114は、変速機構214を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第23の実施の形態に係る車輌用自動変速機123を構成することを可能とすることができる。
<第15の実施の形態>
ついで、上記第13の実施の形態を一部変更した第15の実施の形態について、図18に沿って説明する。図18は第15の実施の形態に係る自動変速機115を示す断面図である。なお、以下に説明する第15の実施の形態においては、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第15の実施の形態に係る自動変速機115は、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間、詳しくはプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第15の実施の形態に係る車輌用自動変速機115は、変速機構215を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第24の実施の形態に係る車輌用自動変速機124を構成することを可能とすることができる。
<第16の実施の形態>
ついで、上記第13の実施の形態を一部変更した第16の実施の形態について、図19に沿って説明する。図19は第16の実施の形態に係る自動変速機116を示す断面図である。なお、以下に説明する第16の実施の形態においては、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第16の実施の形態に係る自動変速機116は、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置したものである。
また、本実施の形態においては、サポート壁と連結部材101との間をシールリングd11,d12によりシールし、連結部材101と連結部材102との間をブッシュb1,b2によりシールして油路c90を形成し、それによって、サポート壁内の油路c53より油路c90を介して、クラッチC−3の油圧サーボ40の油室46に作動油を供給する構成となっている。
<第17の実施の形態>
ついで、上記第13の実施の形態を一部変更した第17の実施の形態について、図20に沿って説明する。図20は第17の実施の形態に係る自動変速機117を示す断面図である。なお、以下に説明する第17の実施の形態においては、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第17の実施の形態に係る自動変速機117は、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置したものであり、詳しくは、第2クラッチC−2の油圧サーボ30を第1クラッチC−1の油圧サーボ20に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側、つまり第1クラッチC−1の油圧サーボ20よりも左方側に配置したものである。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置したものである。
なお、本第17の実施の形態に係る車輌用自動変速機117は、変速機構217を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第25の実施の形態に係る車輌用自動変速機125を構成することを可能とすることができる。
<第18の実施の形態>
ついで、上記第13の実施の形態を一部変更した第18の実施の形態について、図21に沿って説明する。図21は第18の実施の形態に係る自動変速機118を示す断面図である。なお、以下に説明する第18の実施の形態においては、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第18の実施の形態に係る自動変速機118は、第13の実施の形態に係る自動変速機113に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置し、詳しくは、カウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置したものである。また、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置したものである。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置したものである。
なお、本第18の実施の形態に係る車輌用自動変速機118は、変速機構218を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、後述する第26の実施の形態に係る車輌用自動変速機126を構成することを可能とすることができる。
<第19の実施の形態>
ついで、上記第9の実施の形態を一部変更した第19の実施の形態について、図22に沿って説明する。図22は第19の実施の形態に係る自動変速機119を示す断面図である。なお、以下に説明する第19の実施の形態においては、第9の実施の形態に係る自動変速機19に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
図22に示すように、例えばFFタイプ(フロントドライブ、フロントエンジン)の車輌に搭載して好適である自動変速機119は、前述の第9の実施の形態に係る自動変速機19に対し、入力軸12及び中間軸13をそのままに(つまりエンジンが配置される方向はそのままに)、第1乃至第4クラッチC−1〜C−4、第1及び第2ブレーキB−1〜B−2、ワンウェイクラッチF−1、プラネタリギヤDP、プラネタリギヤユニットPU、カウンタギヤ150などの配置を左右方向(軸方向)に略反転させて構成したものであって、即ち、変速機構29を左右方向(軸方向)に略反転させて変速機構219を構成したものである。
詳述すると、自動変速機119は、変速機構219が、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である入力軸12、及び中間軸13を中心とした軸上に配置されており、ミッションケース3内には、上記入力軸12上にプラネタリギヤユニットPUが配置されている。該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の左方側には、左方側より順に第3クラッチC−3の油圧サーボ40とプラネタリギヤDPと第1クラッチC−1の油圧サーボ20と第4クラッチC−4の油圧サーボ50とカウンタギヤ150とが配置されている。また、該第4クラッチC−4のクラッチドラムの外周側には、バンドブレーキからなる第1ブレーキB−1が配置されている。
なお、第3クラッチC−3の油圧サーボ40とプラネタリギヤDPとは、ミッションケース3の側壁部3cより延設されたボス部3b上に配置されており、第1クラッチC−1の油圧サーボ20は、中間軸13上に配設されている。
また、第4クラッチC−4の油圧サーボ50は、サポート壁120に対して左方側に配置されると共に該サポート壁120上に配置されており、カウンタギヤ150は、サポート壁120に対して右方側に配置されると共に該サポート壁120上に配置されている。
一方、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の右方側(入力側)には、第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1とが配置されている。
以上のように、自動変速機119は、第4クラッチC−4の油圧サーボ50がプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向の間に配置され、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が第4クラッチC−4の油圧サーボ50に対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置されており、入力軸12と第4クラッチC−4とは第3クラッチC−3の外周側を通る連結部材140(及び中間軸13)を介して連結され、第3クラッチC−3とプラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2とは第4クラッチC−4の内周側を通る連結部材101を介して連結されている。
<第20の実施の形態>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第20の実施の形態について、図23に沿って説明する。図23は第20の実施の形態に係る自動変速機120を示す断面図である。なお、以下に説明する第20の実施の形態においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第20の実施の形態に係る自動変速機120は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第2クラッチC−2の油圧サーボ30をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第20の実施の形態に係る車輌用自動変速機120は、変速機構220を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第10の実施の形態に係る車輌用自動変速機110を構成することを可能とすることができる。
<第21の参考例>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第21の参考例について、図24に沿って説明する。図24は第21の参考例に係る自動変速機121を示す断面図である。なお、以下に説明する第21の参考例においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第21の参考例に係る自動変速機121は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50と第1クラッチC−1の油圧サーボ20との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第21の参考例に係る車輌用自動変速機121は、変速機構221を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第11の参考例に係る車輌用自動変速機111を構成することを可能とすることができる。
<第22の参考例>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第22の参考例について、図25に沿って説明する。図25は第22の参考例に係る自動変速機122を示す断面図である。なお、以下に説明する第22の参考例においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第22の参考例に係る自動変速機122は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置したものである。また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPに対してプラネタリギヤユニットPUとは軸方向反対側に配置したものである。
なお、本第22の参考例に係る車輌用自動変速機122は、変速機構222を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第12の参考例に係る車輌用自動変速機112を構成することを可能とすることができる。
<第23の実施の形態>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第23の実施の形態について、図26に沿って説明する。図26は第23の実施の形態に係る自動変速機123を示す断面図である。なお、以下に説明する第23の実施の形態においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第23の実施の形態に係る自動変速機123は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第23の実施の形態に係る車輌用自動変速機123は、変速機構223を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第14の実施の形態に係る車輌用自動変速機114を構成することを可能とすることができる。
<第24の実施の形態>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第24の実施の形態について、図27に沿って説明する。図27は第24の実施の形態に係る自動変速機124を示す断面図である。なお、以下に説明する第24の実施の形態においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第24の実施の形態に係る自動変速機124は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤDPとの軸方向における間にあって、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUとカウンタギヤ150との軸方向における間に配置したものである。
なお、本第24の実施の形態に係る車輌用自動変速機124は、変速機構224を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第15の実施の形態に係る車輌用自動変速機115を構成することを可能とすることができる。
<第25の実施の形態>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第25の実施の形態について、図28に沿って説明する。図28は第25の実施の形態に係る自動変速機125を示す断面図である。なお、以下に説明する第25の実施の形態においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第25の実施の形態に係る自動変速機125は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUに対してプラネタリギヤDPとは軸方向反対側に配置し、詳しくは、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤユニットPUと第2クラッチC−2の油圧サーボ30との軸方向における間に配置したものである。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)との軸方向における間に配置し、更に詳しくは、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤDPと第4クラッチC−4の油圧サーボ50との軸方向における間に配置したのものである。
なお、本第25の実施の形態に係る車輌用自動変速機125は、変速機構225を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第17の実施の形態に係る車輌用自動変速機117を構成することを可能とすることができる。
<第26の実施の形態>
ついで、上記第19の実施の形態を一部変更した第26の実施の形態について、図29に沿って説明する。図29は第26の実施の形態に係る自動変速機126を示す断面図である。なお、以下に説明する第26の実施の形態においては、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対して異なる部分だけを説明し、その他の部分は略同様であるので、その説明を省略する。
第26の実施の形態に係る自動変速機126は、第19の実施の形態に係る自動変速機119に対し、第1クラッチC−1の油圧サーボ20をプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間にあって、カウンタギヤ150とプラネタリギヤユニットPUとの軸方向における間に配置したものである。また、第3クラッチC−3の油圧サーボ40をプラネタリギヤユニットPU(詳しくはカウンタギヤ150)とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に、更に詳しくは、第4クラッチC−4の油圧サーボ50とプラネタリギヤDPとの軸方向における間に配置したものである。
なお、本第26の実施の形態に係る車輌用自動変速機126は、変速機構226を左右方向(軸方向)に略そのまま反転させることで、前述した第18の実施の形態に係る車輌用自動変速機118を構成することを可能とすることができる。
なお、以上説明した第1乃至第26の実施の形態又は参考例において、プラネタリギヤユニットPUとしてロングピニオンP4を有してキャリヤCR2がサンギヤS2及びサンギヤS3に噛合する、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤを用いた場合について説明したが、例えばロングピニオンを有してロングピニオンに共通サンギヤが噛合し、第1リングギヤがロングピニオンに噛合し、第2リングギヤがロングピニオンに噛合したショートピニオンに噛合することによって4つの回転要素を有するプラネタリギヤであってもよく、これらに限らず、少なくとも2つの回転要素、好ましくは4つの回転要素を有するプラネタリギヤユニットであればどのようなものを用いてもよい。
また、第1乃至第26の実施の形態又は参考例において、車輌用自動変速機1がトルクコンバータ7を備えているものについて説明したが、例えば発進用クラッチを備えているものなどであってもよい。
更に、第1乃至第26の実施の形態又は参考例において、例えばFRタイプやFFタイプの車輌に用いて好適な車輌用自動変速機1を一例に説明しているが、これに限らず、例えば四輪駆動タイプの車輌に用いる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよく、更に、例えばエンジン直結型のモータを備えているもの等、つまりハイブリッド車輌に用いる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよい。
また、第1乃至第26の実施の形態又は参考例においては、ワンウェイクラッチF−1を備えて、比較的滑らかに前進1速段を達成し得る車輌用自動変速機1を一例について説明したが、特にワンウェイクラッチF−1を備えていないものであってもよく、この際は、第2ブレーキB−2を係合させることで前進1速段を達成することが可能となる。
更に、第1乃至第26の実施の形態又は参考例における減速回転を出力するプラネタリギヤDPにおいては、サンギヤS1の回転が固定され、キャリヤCR1に入力軸12の回転が入力され、リングギヤR1が減速回転するようなダブルピニオンプラネタリギヤであるものについて説明したが、例えばリングギヤR1を固定し、キャリヤCR1に入力軸12の回転を入力し、サンギヤS1より減速回転を出力するようなダブルピニオンプラネタリギヤものであってもよく、これらに限らず、減速回転を出力可能なプラネタリギヤの構成であれば、どのようなものであってもよい。