JP4038903B2 - 車両用自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、特に、そのギヤトレインにおける各変速機構成要素の配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機の一形態として、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車又はリヤエンジン・リヤドライブ(RR)車用の横置式の自動変速機がある。こうした形式の自動変速機では、車両の左右ホイールの間にエンジンと自動変速機を直列に並べて横置き搭載する配置となるため、自動変速機の軸長が著しく制限される。そこで、こうした自動変速機のギヤトレインは、主として軸長を延ばす要素となる多数の変速要素をもつプラネタリギヤセットや変速要素を操作するクラッチやブレーキの数を可能な限り少なくした構成のものとしなければならない。
【0003】
他方、ドライバビリティの確保のみならず、省エネルギに不可欠な燃費の向上のために、自動変速機の多段化の要求があり、こうした要求に応えるには、ギヤトレインの変速段数当たりの変速要素数とクラッチやブレーキ数の一層の削減が必要となる。そこで、最小限の変速要素からなるプラネタリギヤセットを用い、それを操作する3つのクラッチと2つのブレーキとで、前進6速・後進1速を達成するギヤトレインが特開平4−219553号公報において提案されている。この提案に係るギヤトレインは、エンジン出力回転と、それを減速した回転とを3つのクラッチを用いて適宜変速機の4つの変速要素からなるプラネタリギヤセットへ2つの速度の異なる入力として入力させ、2つのブレーキで2つの変速要素を係止制御することで多段の6速を達成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、この提案に係るギヤトレイン構成は、変速段数当たりの変速要素数、必要とするクラッチ及びブレーキの数において非常に合理的なものであるが、実用面での問題がないわけではない。横置式の自動変速機の場合、車両の幅方向の中心に対して外側、すなわち主軸上で後端(本明細書を通じて、動力が入力される側を前として軸上の位置関係を規定する)側に配置される変速機構成部材と車両側のメンバーとの干渉を避けるために、特に小型の車両に搭載するものにあっては、変速機全長の短縮もさることながら、変速機後端部の小径化が重要である。この点に関して上記ギヤトレイン構成では、減速されることで増幅されたトルクが入力されることから、減速入力を行わない従来のものに比べてプラネタリギヤセットのある程度の大型化は避けられない。更に、減速入力のための2つのクラッチも同様の理由で大容量を必要とし、摩擦材の多板化による軸方向長の増加も避けがたい。
【0005】
ところで、上記ギヤトレイン構成において、構成部材としてのギヤ類は、軽量・小型化を図る上から、軸周における径方向内側に配置することを必須とし、各クラッチの油圧サーボ類も、それらへの油圧の供給の容易性と供給油圧の漏れ止めのためのシールリンングの摺動抵抗を小さくする上で、軸周における径方向内側に配置することが望ましい。このように、主軸上に並べる必要のある部材は、必然的に決まってくるので、最小限必要な軸長は自ずと定まっている。したがって、レイアウトによる軸長自体の短縮には自ずと限界があり、それを工夫しても、大幅な搭載性の向上を期待することはできない。
【0006】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、変速機の極端な大径化や伝達効率の悪化を防ぎながら、主として変速機後端部の小径化により車両搭載性を向上させることのできる自動変速機のレイアウトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、入力軸の周りに、4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、2つのブレーキと、3つのクラッチとを備える変速機構が配置された車両用自動変速機であって、プラネタリギヤセットの第1の変速要素が第1のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結され、第2の変速要素が第3のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結されるとともに第1のブレーキによりケースに係止可能とされ、第3の変速要素が第2のクラッチにより入力軸に連結されるとともに第2のブレーキによりケースに係止可能とされ、第4の変速要素が出力要素とされるものにおいて、前記第2のクラッチの油圧サーボは、変速機構の最後部に配置され、第2のクラッチの摩擦部材は、第2のクラッチの油圧サーボより前側に配置された前記プラネタリギヤセット等の他の回転部材の外周側に径方向に重合させて配置されたことを特徴とする。
【0008】
そして、更に変速機機構の全体的な小径化の意味で、前記プラネタリギヤセットは、ラビニヨ型のギヤセットとされ、前記第2のクラッチの油圧サーボの前側に配置され、第2のクラッチの摩擦部材は、プラネタリギヤセットのリングギヤのない部位の外周側に重合させて配置された構成とするのが有効である。
【0009】
更に、上記変速機構を含む変速機全体のコンパクト化の点から、前記変速機構の前側に第1及び第3のクラッチの油圧サーボ並びに減速プラネタリギヤが配置され、第1及び第3のクラッチの摩擦部材は、減速プラネタリギヤの外周部に配置された構成を採るのが有効である。
【0010】
また、同様の意味から、前記第1及び第3のクラッチの油圧サーボは、共通のシリンダの内側に嵌挿された第1のピストンと、外側に嵌挿された第2のピストンを備え、共通のシリンダは、第1のクラッチのドラムを構成し、第2のピストンは、第3のクラッチのドラムを構成するようにするのが有効である。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、入力回転をそのまま伝達するため相対的にトルク容量が小さくてよい第2のクラッチについて、その摩擦部材をプラネタリギヤセットの外周側に重合配置することによって、大径化により摩擦部材の側でトルク伝達容量を稼ぎ、それにより一層小容量化した油圧サーボを変速機構の最後端に配置したので、所望のクラッチ容量を確保しながら、油圧サーボの大幅な小径化が可能となる。したがって、この構成によれば、変速機後端部を小径化することで、多段化された変速機の車両搭載性を向上させることができる。
【0012】
次に、請求項2記載の構成では、上記他の回転部材をラビニヨ型プラネタリギヤセットとし、その特有の形状により生じる空きスペースを第2のクラッチの摩擦部材の配設スペースに利用した配置となるので、本来空きスペースとなるべき空間の有効利用により部材配設密度を上げることができ、それにより変速機後端部の小径化と併せて、変速機構の小径化が可能となる。
【0013】
そして、請求項3記載の構成では、変速機をディファレンシャル装置を組み込んだ3軸のトランスアクスルとする場合に、車両との位置関係から変速機構の前側に位置するデフリングギヤと変速機構の大径部とが干渉しない配置となるため、変速機の主軸としての入力軸と、それと並行するデフ軸との軸間距離の設定に自由度を与えることができ、車両の要求に合わせた良好なデフギヤ比の設定が可能となる。また、変速機構については、減速プラネタリギヤと第1及び第3のクラッチの摩擦部材の重合配置による軸長の短縮効果が得られる。
【0014】
更に、請求項4記載の構成では、減速回転を伝達するトルク容量を確保するために大径となる第1及び第3のクラッチの摩擦部材を軸方向にまとめて配置することができるため、デフリングギヤを変速機構側に径方向に重ねるための空間の確保が容易となり、前記両クラッチの油圧サーボの軸長も短縮され、更に、該油圧サーボの外周部を利用したデフリングギヤ重合空間の確保も変速機構との干渉なく可能となる。
請求項5記載の構成でも、第2のクラッチ及び第1のクラッチの摩擦部材の大径化によりトルク伝達容量を稼ぎ、請求項1と同様な効果を奏する。
請求項6記載の構成でも、請求項2と同様な効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明を具体化した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを、軸間を共通平面内に展開してスケルトンで示す。また、図2は上記自動変速機を端面からみて実際の軸位置関係を示す。この自動変速機は、互いに並行する主軸X、カウンタ軸Y、デフ軸Zの各軸上に各要素が配設された3軸構成とされている。そして、主軸X上の入力軸11の周りには、4つの変速要素S2,S3,C2(C3),R2(R3)を有するプラネタリギヤセットGと、減速プラネタリギヤG1と、2つのブレーキB−1,B−2と、3つのクラッチC−1,C−2,C−3とを備える変速機構が配置されている。
【0016】
この自動変速機では、プラネタリギヤセットGの第1の変速要素S3が第1のクラッチC−1により減速プラネタリギヤG1を介して入力軸11に連結され、第2の変速要素S2が第3のクラッチC−3により減速プラネタリギヤG1を介して入力軸11に連結されるとともに第1のブレーキB−1によりケース10に係止可能とされ、第3の変速要素C2(C3)が第2のクラッチC−2により入力軸11に連結されるとともに第2のブレーキB−2によりケース10に係止可能とされ、第4の変速要素R2(R3)が出力要素としてカウンタドライブギヤ19に連結されている。なお、図に示すギヤトレインでは、ブレーキB−2に並列させてワンウェイクラッチF−1を配しているが、これは、後に詳記する1→2変速時のブレーキB−2とブレーキB−1の掴み替えのための複雑な油圧制御を避け、ブレーキB−2の解放制御を単純化すべく、ブレーキB−1の係合に伴って自ずと係合力を解放するワンウェイクラッチF−1を用いたものであり、ブレーキB−2と同等のものである。
【0017】
以下、この実施形態のギヤトレインを更に詳細に説明する。主軸X上には、図示しないエンジンの回転を入力軸11に伝達するロックアップクラッチ付のトルクコンバータ4が配置されている。カウンタ軸Y上には、カウンタギヤ2が配置されている。カウンタギヤ2は、カウンタ軸20に固定され、カウンタドライブギヤ19に噛合する大径のカウンタドリブンギヤ21と、同じくカウンタ軸20に固定され、デフリングギヤ31に噛合する小径のデフドライブピニオンギヤ22とが配設されており、これらにより主軸X側からの出力を減速するとともに、反転させてディファレンシャル装置3に伝達する機能を果たす。デフ軸Z上には、ディファレンシャル装置3が配設されている。ディファレンシャル装置3は、デフリングギヤ31に固定してデフケース32が設けられ、その中に配置された差動歯車の差動回転が左右軸30に出力され、最終的なホイール駆動力とされる。
【0018】
プラネタリギヤセットGは、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方が大径のサンギヤS2に噛合するとともにリングギヤR2(R3)に噛合し、他方が小径のサンギヤS3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2(C3)からなるラビニヨ式のギヤセットで構成されている。そして、この形態では、小径のサンギヤS3が第1の変速要素、大径のサンギヤS2が第2の変速要素、キャリアC2(C3)が第3の変速要素とされ、リングギヤR2(R3)が第4の変速要素とされている。
【0019】
減速プラネタリギヤG1は、そのサンギヤS1を変速機ケース10に固定され、リングギヤR1を入力要素として入力軸11に連結され、キャリアC1を出力要素として第1のクラッチC−1及び第3のクラッチC−3を介してプラネタリギヤセットGに連結されている。プラネタリギヤセットGの第1の変速要素すなわち小径のサンギヤS3は、第1のクラッチC−1に連結され、第2の変速要素すなわち大径のサンギヤS2は、第3のクラッチC−3に連結されるとともに、バンドブレーキで構成される第1のブレーキB−1により自動変速機ケース10に係止可能とされている。また、第3の変速要素であるキャリアC2(C3)は、第2のクラッチC−2を介して入力軸11に連結され、かつ、第2のブレーキB−2により変速機ケース10に係止可能とされるとともに、ワンウェイクラッチF−1により変速機ケース10に一方向回転係止可能とされている。そして、第4の変速要素すなわちリングギヤR2(R3)がカウンタドライブギヤ19に連結されている。
【0020】
こうした構成からなる自動変速機は、図示しない電子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷と車速に基づき、変速を行う。図3は各クラッチ及びブレーキの係合及び解放(○印で係合、無印で解放を表す)で達成される変速段を図表化して示す。また、図4は各クラッチ及びブレーキの係合(●印でそれらの係合を表す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の回転数比との関係を速度線図で示す。
【0021】
両図を併せ参照してわかるように、第1速(1ST)は、クラッチC−1 とブレーキB−2の係合(本形態において、作動表を参照してわかるように、このブレーキB−2の係合に代えてワンウェイクラッチF−1の自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がブレーキB−2の係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF−1の係合により係止されたキャリアC3に反力を取って、リングギヤR3の最大減速比の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0022】
次に、第2速(2ND)は、クラッチC−1 とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ブレーキB−1の係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。このときの減速比は、図4にみるように、第1速(1ST)より小さくなる。
【0023】
また、第3速(3RD)は、クラッチC−1とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1とクラッチC−3経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2(R3)の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、カウンタドライブギヤ19に出力される。
【0024】
更に、第4速(4TH)は、クラッチC−1とクラッチC−2の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由でサンギヤS3に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC3に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR3の回転としてカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0025】
次に、第5速(5TH)は、クラッチC−2とクラッチC−3の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2の入力軸11の回転より僅かに増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0026】
そして、第6速(6TH)は、クラッチC−2とブレーキB−1の係合により達成される。この場合、入力軸11からクラッチクラッチC−2経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、ブレーキB−1の係合により係止されたサンギヤS2に反力を取るリングギヤR2の更に増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0027】
なお、後進(REV)は、クラッチC−3とブレーキB−2の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−3経由でサンギヤS2に入力され、ブレーキB−2の係合により係止されたキャリアC2に反力を取るリングギヤR2の逆転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0028】
ここで、先に触れたワンウェイクラッチF−1とブレーキB−2との関係について説明する。上記の第1速と第2速時の両ブレーキB−1,B−2の係合・解放関係にみるように、これら両ブレーキは、両変速段間でのアップダウンシフト時に、一方の解放と同時に他方の係合が行われる、いわゆる掴み替えされる摩擦要素となる。こうした摩擦要素の掴み替えは、それらを操作する油圧サーボの係合圧と解放圧の精密な同時制御を必要とし、こうした制御を行うには、そのためのコントロールバルブの付加や油圧回路の複雑化等を招くこととなる。そこで、本形態では、第1速と第2速とで、キャリアC2(C3)にかかる反力トルクが逆転するのを利用して、ワンウェイクラッチF−1の係合方向を第1速時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、ワンウェイクラッチF−1に実質上ブレーキB−2の係合と同等の機能を発揮させて、第1速時のブレーキB−2の係合に代えて(ただし、ホイール駆動の車両コースト状態ではキャリアC2(C3)にかかる反力トルクの方向がエンジン駆動の状態に対して逆転するので、エンジンブレーキ効果を得るためには、図3に括弧付きの○印で示すようにブレーキB−2の係合を必要とする)、キャリアC2(C3)の係止を行っているわけである。したがって、変速段を達成する上では、ワンウェイクラッチを設けることなく、ブレーキB−2の係合により第1速を達成する構成を採ることもできる。
【0029】
このようにして達成される各変速段は、図4の速度線図上で、リングギヤR2,R3の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。この関係を具体的に数値を設定して、定量的に表すと、図3に示すギヤ比となる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=44/78、プラネタリギヤセットGの大径サンギヤ側のサンギヤS2とリングギヤR2(R3)の歯数比λ2=36/78、小径サンギヤ側のサンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=30/78に設定すると、入出力ギヤ比は、
第1速(1ST):(1+λ1)/λ3=4.067
第2速(2ND):(1+λ1)(λ2+λ3)/λ3(1+λ2)=2.354
第3速(3RD):1+λ1=1.564
第4速(4TH):(1+λ1)/(1+λ1−λ1・λ3)=1.161
第5速(5TH):(1+λ1)/(1+λ1+λ1・λ2)=0.857
第6速(6TH):1/(1+λ2)=0.684
後進(REV):−(1+λ1)/λ2=3.389
となる。そして、これらギヤ比間のステップは、
第1・2速間:1.73
第2・3速間:1.51
第3・4速間:1.35
第4・5速間:1.35
第5・6速間:1.25
となる。
【0030】
次に、図5は自動変速機の構成を更に具体化した模式的断面で示す。先にスケルトンを参照して説明した各構成要素については、同じ参照符号を付して説明に代えるが、スケルトンから参照し得ない細部について、ここで説明する。なお、本明細書を通じて、各クラッチ及びブレーキという用語は、摩擦部材と油圧サーボを総称するものとする。したがって、第1のクラッチC−1は摩擦部材63と油圧サーボ6で、同様に第2のクラッチC−2は摩擦部材53と油圧サーボ5で、第3のクラッチC−3は摩擦部材73と油圧サーボ7で構成されている。また、ブレーキB−1,B−2については、それがバンドブレーキ構成の場合は、それぞれバンドと図示しない油圧サーボで構成され、多板ブレーキの場合は、摩擦部材と油圧サーボで構成されている。
【0031】
入力軸11は、その内部に潤滑油路を形成され、前端側と後端側とを変速機ケース10から延びる前側ボス部10aと後側ボス部10bにベアリングを介して回転自在に支持され、支持部に隣接させて形成されたそれぞれのフランジ11a,11bと両ボス部先端との間に介装されたスラストベアリングにより軸方向支持されている。
【0032】
次に、プラネタリギヤセットGは、入力軸11の後部に両サンギヤS2,S3を、ベアリングを介して入力軸11に支持された減速回転伝達部材13の外周にベアリングを介して支持された形態で位置決め支持されている。プラネタリギヤセットGの第1の変速要素としてのサンギヤS2は、連結部材14により第3のクラッチC−3のハブ74に連結されている。また、第2の変速要素としてのサンギヤS3は、第1のクラッチC−1のハブ64に連結されている。そして、第3の変速要素としてのキャリアC2(C3)は、第2のクラッチのハブ54に連結され、ハブ54はワンウェイクラッチF−1のインナレースを介して第2のブレーキB−2のハブに連結されている。更に、第4の変速要素としてのリングギヤR2(R3)は、連結部材を介してカウンタドライブギヤ19にスプライン結合されている。
【0033】
減速プラネタリギヤG1は、前側ボス部10aの先端外周に反力要素としてのサンギヤS1を固定し、入力要素としてのリングギヤR1を入力軸11のフランジ11aに連結させて、変速機構の前側に配置されている。出力要素としてのキャリアC1は、第1及び第3のクラッチの油圧サーボ6,7に共通のシリンダ60に連結されている。
【0034】
本発明の特徴に従い、第2のクラッチの油圧サーボ5は、変速機構の最後部に配置され、第2のクラッチの摩擦部材53は、第2のクラッチの油圧サーボ5より前側に配置された他の回転部材としてのプラネタリギヤセットGの外周側で、かつ、リングギヤのない部位に径方向に重合させて配置されている。第2のクラッチC−2の油圧サーボ5は、内周側を入力軸11のフランジ部11bに連結され、外周側を拡径延長してドラム52とされたシリンダ50と、シリンダ50に内包されたピストン51と、遠心油圧のキャンセルプレート55と、リンターンスプリングとで構成されている。この油圧サーボ6の油圧の給排は、変速機ケースの後側ボス部10bに形成された油路10zを介して行われる。
【0035】
第2のクラッチC−2の摩擦部材53は、内周側をハブ54にスプライン係合させ、外周側をドラム52にスプライン係合させた多板の摩擦材とセパレータプレートから構成され、ドラム52の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ5内への油圧の供給によりシリンダ50から押し出されるピストン51とで挟持されるクラッチ係合作動により、ドラム52からハブ54にトルクを伝達する構成とされている。
【0036】
このように、入力回転をそのまま伝達するため相対的にトルク容量が小さくてよい第2のクラッチC−2について、その摩擦部材53を他の回転部材としてのプラネタリギヤセットGの外周側に重合配置することによって、大径化により摩擦部材53の側でトルク伝達容量を稼ぎ、それにより一層小容量化した油圧サーボ5を変速機構の最後端に配置したので、所望のクラッチ容量を確保しながら、油圧サーボ5の大幅な小径化がなされている。こうして変速機後端部を小径化することで、多段化されることである程度の大型化を避けられない変速機と車両側部材Bとで干渉の可能性の最も高い変速機後端部での干渉を防いで、車両搭載性を向上させることができる。また、上記他の回転部材をラビニヨ型プラネタリギヤセットとし、その特有の形状により生じる空きスペースを第2のクラッチC−2の摩擦部材53の配設スペースに利用した配置としたので、本来空きスペースとなるべき空間の有効利用により部材配設密度を上げることができ、それにより変速機後端部の小径化と併せて、変速機構の小径化がなされている。
【0037】
次に、第1及び第3のクラッチC−1,C−3の油圧サーボ6,7は、減速プラネタリギヤG1の前側に配置され、変速機ケースの前側ボス部10aの外周に回転自在に支持された共通のシリンダ60と、シリンダ60の内側に嵌挿された第1のピストン61と、外側に嵌挿された第2のピストン71を備え、共通のシリンダ60は、拡径延長されて第1のクラッチのドラム62を構成し、第2のピストン71も同様に拡径延長されて、他方の第3のクラッチのドラム72を構成している。そして、これら両ドラム62,72は、スプライン係合で相互にトルク伝達可能に連結されている。これらの油圧サーボ6,7の油圧の給排は、前側ボス部10aに形成された油路10x,10yを介して行われる。なお、図において符号65,75は、ピストン61,71の背面にかかる遠心油圧を相殺するキャンセルプレート、66,76はリターンスプリングを示す。
【0038】
第1のクラッチC−1の摩擦部材63は、内周側をハブ64にスプライン係合させ、外周側をドラム62にスプライン係合させた多板の摩擦材とセパレータプレートから構成され、ドラム62の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ6内への油圧の供給によりシリンダ60から押し出されるピストン61とで挟持されるクラッチ係合作動により、ドラム62からハブ64にトルクを伝達する構成とされている。
【0039】
第3のクラッチC−3の摩擦部材73は、内周側をハブ74にスプライン係合させ、外周側をドラム72にスプライン係合させた多板の摩擦材とセパレータプレートから構成され、ドラム72の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ7内への油圧の供給によりシリンダ60から押し出されるピストン71とで挟持されるクラッチ係合作動により、ドラム72からハブ74にトルクを伝達する構成とされている。
【0040】
このように、減速回転を伝達するトルク容量を確保するために大径となる第1及び第3のクラッチC−1,C−3の摩擦部材63,73を軸方向にまとめて配置し、上記のような油圧サーボの組み合わせ構造により、両ピストンの押し引き操作でクラッチの係合を行う構造は、変速機をディファレンシャル装置を組み込んだ3軸のトランスアクスルとする場合に、デフリングギヤ31を変速機構側に径方向に重ねるための空間の確保が容易となり、変速機の主軸Xとしての入力軸11と、それと並行するデフ軸Zとの軸間距離の設定に自由度を与えることができ、車両の要求に合わせた良好なデフギヤ比の設定が可能となる効果をもたらす。また、変速機構については、クラッチの油圧サーボ6,7の軸長も短縮され、減速プラネタリギヤG1と第1及び第3のクラッチの摩擦部材63,73の重合配置による軸長の短縮効果が得られる。
【0041】
また、第1のブレーキB−1はバンドブレーキとされ、そのブレーキバンド81は、第3のクラッチC−3のハブ74に連結されたブレーキドラム82を締めつける構成とされている。これにより、第1のブレーキB−1は、軸方向スペースを要せず、しかも径方向寸法をほとんど増加させずに配置されていることになる。なお、このバンドブレーキの油圧サーボは、ブレーキバンド81と同じ軸方向位置で、ブレーキドラム82に対して接線方向に延びるものであるため、図示を省略している。
【0042】
第2のブレーキB−2は、各クラッチと同様に多板構成とされ、その摩擦部材93は、プラネタリセットGの外周側に、ワンウェイクラッチF−1と並べて配置されている。第2のブレーキB−2の油圧サーボ9は、変速機ケース10のほぼ中央に設けられたサポート10eに、ピストン91を内包するシリンダを内蔵させた形態で設けられている。
【0043】
そして、カウンタドライブギヤ19の支持に関しては、該ギヤ19は、上記サポート10eの内周にベアリング12を介して支持されており、詳しくは、カウンタドライブギヤ19の内周を軸方向に延びるボス部の外周がベアリング12を介して、第2のブレーキB−2の油圧サーボシリンダを兼ねる変速機ケース10のサポート10eの内周に支持されている。
【0044】
ところで、本発明の基本的特徴とする、第2のクラッチC−2の油圧サーボ5を変速機構の最後部に配置した構成を採りながら、他の部材の配置については、種々の形態を採り得る。そこで、次にそうした実施形態について説明する。図6は第1及び第3のクラッチを分散配置した第2実施形態の変速機構を模式的断面で示す。この場合の相違点のみ説明すると、第1実施形態において減速プラネタリギヤG1に隣接配置されていた第1のクラッチC−1は、この形態では、プラネタリギヤセットGの直前に移されている。
【0045】
こうした配置の変更に伴い、第3のクラッチC−3の油圧サーボ7は、そのシリンダ70を単独でケース10の前側ボス部10aに回転自在に支持され、シリンダ70の拡径延長部がドラム72とされている。そして、ドラム72と協働して摩擦部材73を支持するハブ74は、減速プラネタリギヤG1のキャリアC1に連結され、更に連結部材13aにより第1のクラッチC−1の油圧サーボ6のシリンダ60に連結されている。また、ドラム72は減速回転伝達部材14に連結されている。なお、摩擦部材73と減速プラネタリギヤG1の位置関係については、第1実施形態のものとほぼ同様であるが、この場合、ドラム72が減速回転伝達部材14を介してサンギヤS2に連結されているため、ドラム72の外周をそのまま第1のブレーキB−1のブレーキドラムとしている。
【0046】
一方、第1のクラッチC−1の油圧サーボ6は、そのシリンダ60を単独で入力軸11に回転自在に支持され、シリンダ60の拡径延長部がドラム62とされている。そして、ドラム62と協働して摩擦部材63を支持するハブ64は、連結部材13bによりサンギヤS3に連結されている。シリンダ60の支持手段の変更に伴い、油圧サーボ6のサーボ圧の給排は、前側ボス部10aの油路に連なる入力軸11の軸内油路により成される。
【0047】
次に、図7は第1実施形態と同様の第1及び第3のクラッチC−1,C−3の摩擦部材配置において、それらの油圧サーボ6,7の配置のみを変更した第3実施形態を示す。この場合、両クラッチのハブ64,74は相互に連結させて、減速プラネタリギヤG1のキャリアC1に連結されている。そして、クラッチC−1のドラム62は、減速回転伝達部材13に連結され、クラッチC−3のドラム72は、連結部材14に連結されている。また、第3のクラッチC−3の油圧サーボ7のシリンダ70は、単独で前側ボス部10aに回転自在に支持して、キャリアC1に連結されている。一方、第1のクラッチC−1の油圧サーボ6のシリンダ60は、入力軸11に回転自在に支持して、減速回転伝達部材13に連結されている。したがって、油圧サーボ6の油圧の給排は、前記第2実施形態の場合と同様に、前側ボス部10aの油路に連なる入力軸11の軸内油路により成される。
【0048】
次に、図8は第2実施形態に対して更に第1のクラッチC−1を後方に移動させて、プラネタリギヤセットGの後側に配置した第4実施形態を示す。この場合、第1のクラッチC−1の摩擦部材63がプラネタリギヤセットGの外周側のリングギヤを欠く部位に重合され、これに伴って、第2のクラッチC−2の摩擦部材53は、回転部材を第1のクラッチC−1の油圧サーボ6として、その外周側に重合配置されている。油圧サーボ6と他の部材との連結関係については、該サーボが減速回転伝達部材の端部に位置するところから、該部材14が第2実施形態の場合のように分割されていない点のみが異なる。
【0049】
以上の各実施形態は、第1及び第3のクラッチC−1,C−3の配置を変更したものであるが、第1実施形態に対する連結関係を変更した例を次に挙げる。まず、プラネタリギヤセットGは、入出力の連結関係を逆にした構成を採ることもできる。図9はこうした形態を採る第5実施形態をスケルトンで示す。この場合、小径のサンギヤS3が第1のクラッチC−1に連結され、大径のサンギヤS2が第3のクラッチC−3に連結される点は同様であるが、リングギヤR3が第2のクラッチC−2に連結され、キャリアC2(C3)がカウンタドライブギヤ19に連結されている点が異なる。また、第1のブレーキB−1はサンギヤS2を係止するものとされ、第2のブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR3を係止するものとされている。したがって、この形態では、サンギヤS3が第1の変速要素、サンギヤS2が第2の変速要素となる点は、先の実施形態と同様であるが、リングギヤR3が第3の変速要素となり、キャリアC2(C3)が第4の変速要素となる点が、先の実施形態とは異なる。こうした形態を採った場合、例えば下記の表1に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表1】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤGの小径サンギヤS2側の歯数比λ2=0.306、大径サンギヤS3側の歯数比λ3=0.579であり、ギヤ比幅は6.109となる。
【0050】
ところで、前記第1〜5実施形態では、プラネタリギヤセットGをラビニヨ式としたが、比較的良好なギヤ比とステップが得られるギヤセットGは、これに限るものではない。そこで、プラネタリギヤセットGを他の形式のものに変更した実施形態について、次に説明する。
【0051】
図10は第1実施形態に対してプラネタリギヤセットGの部分だけを一部変更した第6実施形態を示す。この形態では、プラネタリギヤセットGは、シンプルプラネタリギヤG2と、互いに噛合する一対のピニオンギヤP3,P3’の一方がサンギヤS3に噛合し、他方がリングギヤR3に噛合するダブルピニオン式のプラネタリギヤG3とを組み合わせた構成とされている。このプラネタリギヤセットGの場合、第1のクラッチC−1が2つのサンギヤS2,S3に連結され、第3のクラッチC−3がシンプルプラネタリギヤG2のリングギヤR2に連結され、第2のクラッチC−2がキャリアC2とキャリアC3に連結され、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はシンプルプラネタリギヤG2のリングギヤR2を係止するものとされ、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1は双方のキャリアC2とキャリアC3を係止するものとされる。したがって、この形態では、2つのサンギヤS2,S3が第1の変速要素、リングギヤR2が第2の変速要素、キャリアC2(C3)が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。こうした場合、例えば下記の表2に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表2】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、シンプルプラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.636、ダブルプラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.333であり、ギヤ比幅は7.111となる。
【0052】
次に、図11は第6実施形態に対してプラネタリギヤセットGのシンプルプラネタリギヤとダブルプラネタリギヤの位置関係を逆転させた第7実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチC−1がダブルプラネタリギヤG2のサンギヤS2に連結され、第3のクラッチC−3がダブルプラネタリギヤG2のキャリアC2とシンプルプラネタリギヤG3のサンギヤS3に連結され、第2のクラッチC−2がシンプルプラネタリギヤG3のキャリアC3とダブルプラネタリギヤG2のリングギヤR2に連結され、シンプルプラネタリギヤG3のリングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はキャリアC2とサンギヤS3を係止するものとされ、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR2とキャリアC3を係止するものとされる。この形態では、サンギヤS2が第1の変速要素、サンギヤS3とキャリアC2が第2の変速要素、キャリアC3とリングギヤR2が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。こうした場合、例えば下記の表3に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表3】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、ダブルプラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.447、シンプルプラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.444であり、ギヤ比幅は6.245となる。
【0053】
次に、図12はプラネタリギヤセットGを2つのダブルプラネタリギヤG2,G3で構成した第8実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチC−1がサンギヤS3とキャリアC2に連結され、第3のクラッチC−3がサンギヤS2に連結され、第2のクラッチC−2がキャリアC3とリングギヤR2に連結され、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はサンギヤS2を係止するものとされ、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR2とキャリアC3を係止するものとされる。この形態では、サンギヤS3とキャリアC2が第1の変速要素、サンギヤS2が第2の変速要素、キャリアC3とリングギヤR2が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。こうした場合、例えば下記の表4に示すようなギヤ比とステップが得られる。
【表4】
ちなみに、この場合の減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比λ2=0.556、プラネタリギヤG3の歯数比λ3=0.361であり、ギヤ比幅は6.252となる。
【0054】
最後に、図13は第8実施形態に対して連結関係のみを変更した第9実施形態を示す。この形態では、第1のクラッチC−1が両サンギヤS2,S3に連結され、第3のクラッチC−3がキャリアC2に連結され、第2のクラッチC−2がキャリアC3とリングギヤR2に連結され、リングギヤR3がカウンタドライブギヤ19に連結されている。そして、ブレーキB−1はキャリアC2を係止するものとされ、ブレーキB−2とワンウェイクラッチF−1はリングギヤR2とキャリアC3を係止するものとされる。この形態では、両サンギヤS2,S3が第1の変速要素、キャリアC2が第2の変速要素、キャリアC3とリングギヤR2が第3の変速要素、リングギヤR3が第4の変速要素となる。こうした場合は、減速プラネタリギヤG1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤG2の歯数比を変更してλ2=0.444、そしてプラネタリギヤG3の歯数比を同様にλ3=0.556とすることでギヤ比、そのステップ、ギヤ比幅とも第8実施形態と同様となる。
【0055】
以上、本発明を構成要素の形式及び配置並びに連結関係を変更した実施形態を挙げて詳説したが、これらは、比較的良好なギヤ比ステップが得られるものに絞って例示したものであって、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを展開して示すスケルトン図である。
【図2】上記ギヤトレインの実際の3軸位置関係を示す軸方向端面図である。
【図3】上記ギヤトレインの作動及び達成されるギヤ比並びにギヤ比ステップを示す図表である。
【図4】上記ギヤトレインの速度線図である。
【図5】上記ギヤトレインの主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図6】上記ギヤトレインのクラッチ配置を変更した第2実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図7】上記ギヤトレインのクラッチ配置を更に変更した第3実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図8】上記ギヤトレインのクラッチ配置を更に変更した第4実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図9】上記ギヤトレインのプラネタリギヤセットの入出力関係を変更した第5実施形態の主軸部分のスケルトン図である。
【図10】第1実施形態に対してプラネタリギヤセットの構成を変更した第6実施形態の主軸部分のスケルトン図である。
【図11】同様のプラネタリギヤセットについて連結関係を変更した第7実施形態の主軸部分のスケルトン図である。
【図12】同様にプラネタリギヤセットを更に他の形態に変更した第8実施形態の主軸部分のスケルトン図である。
【図13】同様のプラネタリギヤセットについて連結関係を更に変更した第9実施形態の主軸部分のスケルトン図である。
【符号の説明】
G プラネタリギヤセット
G1 減速プラネタリギヤ
S1 サンギヤ(固定変速要素)
S2,S3 サンギヤ(変速要素)
C1 キャリア(出力要素)
C2,C3 キャリア(変速要素)
R1 リングギヤ(入力要素)
R2,R3 リングギヤ(変速要素)
B−1 第1のブレーキ
B−2 第2のブレーキ
C−1 第1のクラッチ
C−2 第2のクラッチ
C−3 第3のクラッチ
5,6,7 油圧サーボ
10 ケース
11 入力軸
31 デフリングギヤ
50,60,70 シリンダ
51,61,71 ピストン
52,62,72 ドラム
53,63,73 摩擦部材
Claims (6)
- 入力軸の周りに、4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、2つのブレーキと、3つのクラッチとを備える変速機構が配置された車両用自動変速機であって、
プラネタリギヤセットの第1の変速要素が第1のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結され、第2の変速要素が第3のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結されるとともに第1のブレーキによりケースに係止可能とされ、第3の変速要素が第2のクラッチにより入力軸に連結されるとともに第2のブレーキによりケースに係止可能とされ、第4の変速要素が出力要素とされるものにおいて、
前記第2のクラッチの油圧サーボは、変速機構の最後部に配置され、第2のクラッチの摩擦部材は、第2のクラッチの油圧サーボより前側に配置された前記プラネタリギヤセットの外周側に径方向に重合させて配置されたことを特徴とする車両用自動変速機。 - 前記プラネタリギヤセットは、ラビニヨ型のギヤセットとされ、前記第2のクラッチの油圧サーボの前側に配置され、
第2のクラッチの摩擦部材は、プラネタリギヤセットのリングギヤのない部位の外周側に重合させて配置された、請求項1記載の車両用自動変速機。 - 前記変速機構の前側に第1及び第3のクラッチの油圧サーボ並びに減速プラネタリギヤが配置され、
第1及び第3のクラッチの摩擦部材は、減速プラネタリギヤの外周部に配置された、請求項1又は2記載の車両用自動変速機。 - 前記第1及び第3のクラッチの油圧サーボは、共通のシリンダの内側に嵌挿された第1のピストンと、外側に嵌挿された第2のピストンを備え、共通のシリンダは、第1のクラッチのドラムを構成し、第2のピストンは、第3のクラッチのドラムを構成する、請求項2又は3記載の車両用自動変速機。
- 入力軸の周りに、4つの変速要素を有するプラネタリギヤセットと、減速プラネタリギヤと、2つのブレーキと、3つのクラッチとを備える変速機構が配置された車両用自動変速機であって、
プラネタリギヤセットの第1の変速要素が第1のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結され、第2の変速要素が第3のクラッチにより減速プラネタリギヤを介して入力軸に連結されるとともに第1のブレーキによりケースに係止可能とされ、第3の変速要素が第2のクラッチにより入力軸に連結されるとともに第2のブレーキによりケースに係止可能とされ、第4の変速要素が出力要素とされるものにおいて、
前記第2のクラッチの油圧サーボは、変速機構の最後部に配置され、第2のクラッチの摩擦部材は、第2のクラッチの油圧サーボより前側に配置された前記第1のクラッチの油圧サーボの外周側の径方向に重合させて配置され、かつ前記第1のクラッチの摩擦部材は、前記プラネタリギヤセットの外周側に径方向に重合させて配置されたことを特徴とする車両用自動変速機。 - 前記プラネタリギヤセットは、ラビニヨ型のギヤセットとされ、前記第1のクラッチの油圧サーボの前側に配置され、
第1のクラッチの摩擦部材は、プラネタリギヤセットのリングギヤのない部位の外周側に重合させて配置された、請求項5記載の車両用自動変速機。
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