JP4544144B2 - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
無機記録膜を有する光記録媒体の製造方法であって、
Tiからなる隣接膜を成膜する工程と、
Geの酸化物からなる酸化物膜を成膜する工程と
を備え、
酸化物膜および隣接膜の成膜工程では、酸化物膜と隣接膜とは隣接するように成膜され、
酸化物膜の成膜工程では、GeおよびGe酸化物の混合物ターゲットをスパッタリングすることにより酸化物膜を成膜し、
酸化物膜の吸収係数kが、0.15≦k≦0.90であることを特徴とする光記録媒体の製造方法である。
第2の発明は、
無機記録膜を有する光記録媒体であって、
Tiからなる隣接膜と、
Geの酸化物からなる酸化物膜と
を備え、
酸化物膜と隣接膜とは隣接するように成膜され、
酸化物膜の吸収係数kが、0.15≦k≦0.90であることを特徴とする光記録媒体である。
少なくともGe粉末およびGe酸化物粉末とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とするスパッタリングターゲットであることが好ましい。
隣接膜を成膜するためのターゲットは、Tiの非飽和窒化物からなるスパッタリングターゲットであって、
少なくともTi金属粉末とTi窒化物粉末とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とするスパッタリングターゲットであることが好ましい。
隣接膜を成膜するためのターゲットは、Tiの非飽和窒化物からなるスパッタターゲットであて、
少なくともTi粉末と、Si粉末と、Ti窒化物粉末およびSi窒化物粉末のうち少なくとも一方とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とするスパッタターゲットであることが好ましい。
隣接膜を成膜するためのターゲットは、少なくともSiおよびTiを含有するターゲットであって、
Siの含有量が、8原子%以上32原子%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットであることが好ましい。
光記録媒体の構成
図1は、この発明の第1の実施形態による光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。この光記録媒体10は、基板1上に、無機記録膜6、第1の誘電体膜4a、第2の誘電体膜4b、光透過層5が順次積層された構成を有する。
以下、光記録媒体10を構成する基板1、無機記録膜6、第1の誘電体膜4a、第2の誘電体膜4bおよび光透過層5について順次説明する。
基板1は、中央に開口(以下、センターホールと称する)が形成された円環形状を有する。この基板1の一主面は、凹凸面11となっており、この凹凸面11上に無機記録膜6が成膜される。以下では、基板1の一主面に対して窪んだ凹部をイングルーブ11G、基板1の一主面に対して突出した凸部をオングルーブ11Lと称する。
無機記録膜6は、基板1の凹凸面11上に順次積層された金属膜2および酸化物膜3からなる。金属膜2は、例えばTiまたはTiおよび添加物から構成される。Tiを主たる材料とすれば基本的に良好な記録特性を得ることができる。添加物は、光学特性、耐久性または記録感度などを向上させるためのものであり、このような添加物としては、例えばAl,Ag,Cu,Pd,Ge,Si,Sn,Ni,Fe,Mg,V,C,Ca,B,Cr,Nb,Zr,S,Se,Mn,Ga,Mo,W,Tb,Dy,Gd,Nd,Zn,Ta,Srからなる群より選ばれた1種以上を用いることができ、具体的には例えばTi,Al,TiSi,TiSiNを用いることができる。具体的には例えば、反射率を高めるための添加物としては、Alが好ましい。
第1の誘電体膜4aおよび第2の誘電体膜4bは、無機記録膜6上に積層されて、無機記録膜6の光学的、機械的保護、すなわち耐久性の向上や、記録時の無機記録膜6の変形、すなわちふくらみの抑制等を行うためのものである。
また、膜厚を23nm以上にすることで、より良好なジッターを得ることができる。一方、膜厚を53nm以下にすることで、より良好な反射率を得ることができる。
光透過層5は、例えば、円環形状を有する光透過性シート(フィルム)と、この光透過性シートを基板1に対して貼り合わせるための接着層とから構成される。接着層は、例えば紫外線硬化樹脂または感圧性粘着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)からなる。光透過層5の厚さは、好ましくは10μm以上177μm以下の範囲内から選ばれ、例えば100μmに選ばれる。このような薄い光透過層5と、例えば0.85程度の高NA(numerical aperture)化された対物レンズとを組み合わせることによって、高密度記録を実現することができる。
次に、この発明の第1の実施形態による光記録媒体の製造方法について説明する。
(基板の成形工程)
まず、一主面に凹凸面11が形成された基板1を成形する。基板1の成形の方法としては、例えば射出成形(インジェクション)法、フォトポリマー法(2P法:Photo Polymerization)などを用いることができる。
次に、基板1を、例えばTi窒化物からなるターゲットが備えられた真空チャンバ内に搬送し、真空チャンバ内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバ内にプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、基板1上に金属膜2を成膜する。
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜0.6Pa
投入電力:1〜3kW
ガス種:Arガス
ガス流量:10〜40sccm
次に、基板1を、例えばGe酸化物からなるターゲットが備えられた真空チャンバ内に搬送し、真空チャンバ内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバ内にプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、基板1上に酸化物膜3を成膜する。
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜0.6Pa
投入電力:1〜3kW
ガス種:Arガス
Arガス流量:10〜80sccm
次に、基板1を、例えばZnS−SiO2からなるターゲットが備えられた真空チャンバ内に搬送し、真空チャンバ内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバ内にプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、基板1上に第1の誘電体膜4aを成膜する。
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜0.6Pa
投入電力:1〜5kW
ガス種:Arガス
Arガス流量:6sccm
次に、基板1を、例えばSiからなるターゲットが備えられた真空チャンバ内に搬送し、真空チャンバ内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバ内にプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、基板1上に第2の誘電体膜4bを成膜する。
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜0.6Pa
投入電力:1〜4kW
ガス種:Arガスおよび窒素ガス
Arガス流量:50sccm
窒素ガス流量:37sccm
次に、円環形状の光透過性シートを、例えば、このシート一主面に予め均一に塗布された感圧性粘着剤(PSA)を用いて、基板1上の凹凸面11側に貼り合わせる。これにより、基板1上に積層された積層膜を覆うように、光透過層5が形成される。
以上の工程により、図1に示す光記録媒体10が得られる。
以下に、この発明の第1の実施形態によるターゲットの構成について説明する。まず、酸化物膜3を成膜するためのターゲットの構成について説明する。酸化物膜3を成膜するためのターゲットは、半導体粉末であるGe粉末と半導体酸化物粉末であるGe酸化物粉末との混合物を加圧焼成することによりなるものである。このターゲットは、例えば円盤形状を有し、その直径は、例えば200mmに選ばれ、厚さは、例えば6mmに選ばれる。
以下、この発明の第1の実施形態によるターゲットの製造方法について説明する。まず、酸化物膜3を成膜するためのターゲットの製造方法について説明する。
半導体粉末であるGe粉末と半導体酸化物粉末であるGe酸化物粉末とをそれぞれ所定量秤量した後、例えば混合乾式を行う。ここで、Ge粉末とGe酸化物粉末との混合比は、加圧焼成後の酸素の含有量が45原子%以上60原子%以下となるように調整することが好ましい。
次に、上述のようにして得られた混合粉末をカーボン製の型に投入し、例えばホットプレス装置によって加圧焼成を行って、焼成体を得る。ここでは、ホットプレス装置は一般的に使用されているものでよく、この装置を用いて、一定圧力および一定の焼成温度で、非酸素雰囲気中にて所定時間焼成が行われる。
上述のようにして得られた焼成体に対して、所定サイズの円盤形状になるように機械加工を施す。以上により、目的とするターゲットを得ることができる。
(秤量・混合)
遷移金属粉末であるTiと遷移金属窒化物粉末であるTi窒化物粉末とをそれぞれ所定量秤量した後、例えば混合乾式を行う。ここで、Ti粉末とTi窒化物粉末との混合比は、加圧焼成後の窒素の含有量が1原子%以上20原子%以下の範囲となるように調整することが好ましく、5原子%以上15原子%以下の範囲となるように調整することがより好ましい。
次に、上述のようにして得られた混合粉末をカーボン製の型に投入し、例えばホットプレス装置によって加圧焼成を行う。ここでは、ホットプレス装置は一般的に使用されているものでよく、この装置を用いて、一定圧力および一定の焼成温度で、非酸素雰囲気中にて所定時間焼成が行われる。
上述のようにして得られた焼成体に対して、所定サイズの円盤形状になるように機械加工を施す。以上により、目的とするターゲットを得ることができる。
金属膜2、酸化物膜3、第1の誘電体膜4a、第2の誘電体膜2b、光透過層5を基板1上に順次積層するだけで光記録媒体10を製造できるので、単純な膜構成を有する高記録密度の光記録媒体10を提供することができる。すなわち、低廉な高記録密度の光記録媒体10を提供することができる。
光記録媒体の構成
この第2の実施形態による光記録媒体10は、上述の第1の実施形態と同様に、基板1上に、無機記録膜6、誘電体膜4、光透過層5が順次積層された構成を有する。基板1およびその上に積層された各層を構成する材料および厚さなどは、上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
基板の成形工程から光透過層の形成工程までは、上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略し、以下では光透過層の形成工程の次工程である識別情報の記録工程について説明する。
まず、光記録媒体10を、その光透過層5の側が光ピックアップ22に対向するようにして、図示を省略したターンテーブルに載置する。次に、モータ21を駆動して光記録媒体10を所定速度で回転させる。
光記録媒体の構成
この第3の実施形態による光記録媒体10はBCA14を有し、このBCA14には識別情報が記録されている。この識別情報は、レーザ光を基板1側から照射することにより、基板1上に積層された積層膜を溶融除去することにより形成される。これ以外の光記録媒体10の構成に関しては上述の第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
基板の成形工程から光透過層の形成工程までは、上述の第2の実施形態と同様であるので説明を省略し、以下では光透過層の形成工程の次工程である識別情報の記録工程について説明する。また、識別情報の記録に用いられる記録装置は、光路長補償素子を光ピックアップ22に備える以外のことは上述の第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、光ピックアップ22に備えられる光路長補償素子は、上述の第2の実施形態とは異なる基板1側からレーザ光を照射することを考慮して設けたものである。
(1−1)無機記録膜の構成の検討
(1−2)酸化物膜の成膜方法の検討
(1−3)Ge酸化物ターゲットの製造方法の検討
(1−4)金属膜に対する窒素混入の検討
(1−5)金属膜に対する窒素の混入量の検討
実施例1
図5は、この実施例1による光記録媒体の記録膜構成を示す模式的断面図である。なお、図5においては、基板1に設けられたイングルーブ11Gおよびオングルーブ11Lの図示を省略している。この実施例1の光記録媒体10は、TiSi膜2、GeO膜3、SiN膜4、光透過層5を順次基板1上に積層した構成を有する。
この際、記録再生速度は5.28m/sとした。再生パワーは0.35mWとした。チャンネルビット長は80.0nm(直径12cmの光ディスクに23.3GBの記録密度)で行った。 変調方式は17PPであり、最短マークである2Tマークのマーク長は0.16μm、8Tマークのマーク長は0.64μmである。
C/N評価には、スペクトルアナライザ(Takeda Riken製、商品名:TR4171)を用いた。
まず、上述の各光記録媒体10のGeO膜3の成膜工程と同様の条件において、2cm×2cmのSiウェーハ上にGeO膜3を100nm程度成膜した。その後、保護膜としてSiN膜を10nm成膜した。以上により、分析用の複数のサンプルを得た。
次に、上述のようにして得られた複数のサンプルの酸素組成をRBS(Rutherford Backscattering)分析法により測定した。なお、測定装置としては、ソニー株式会社内製の装置を用いた。
すなわち、上述の各光記録媒体10のGeO膜3の成膜工程と同様の条件において、2cm×2cmのSiウェーハ上にGeO膜を100nm程度成膜して、分析用の複数のサンプルを得た。次に、上述のようにして得られた分析用サンプルの410nmの波長における吸収係数を、エリプソメータにより測定した。なお、エリプソメータとしては、ルドルフ社製のAuto EL-462P17を用いた。
図6は、酸素組成および吸収係数と、C/Nとの関係を示すグラフである。横軸が酸素組成および吸収係数を示し、縦軸がC/Nを示す。一般に、吸収係数kと酸素組成xの関係は材料や層が同一であれば一意に決定されるものである。酸素組成の定量分析は測定方法によって誤差が大きくでることがあるが、吸収係数は光学パラメータであり比較的安定に測定することができる。
また、ここでは詳細な説明は省略するが、吸収係数が0.15未満になると、急激に記録感度が悪化し、情報信号の記録を行うことができなくなった。これは、吸収が十分でなかったことと、酸素が多く安定な組成であるためと考えられる。
以上の点を考慮すると、GeO膜3の吸収係数kの範囲は、好ましくは0.15以上0.90以下、より好ましくは0.20以上0.70以下、更により好ましくは0.25以上0.60以下の範囲である。
図7は、この実施例2による光記録媒体の記録膜構成を示す模式的断面図である。
成膜装置(Unaxis社製、商品名:Sprinter)を用いて、膜厚25nmのTiSiO膜2、膜厚22nmのGeO膜3、膜厚45nmのZnS−SiO24a、膜厚10nmのSiN膜4bを基板1上に順次成膜した。その後、感圧性粘着材(PSA)によりポリカーボネートシートを基板1の凹凸面11側に貼り合せて、SiN膜4b上に光透過層5を形成した。この光透過層5の厚さは、PSAおよびポリカーボネートシートを含めて100μmとした。以上により、目的とする光記録媒体10を得た。
まず、真空チャンバ内を真空引きした後、真空チャンバ内にArガスおよび酸素ガスを導入しながら、TiSiターゲットをスパッタリングして、膜厚25nmのTiSi膜2を基板1上に成膜した。このTiSiターゲット中のSiの組成比を20原子%とし、このTiSiO膜2における酸素組成を21原子%とした。
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.2Pa
投入電力:3kW
Arガス流量:30sccm
酸素ガス流量:5sccm
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.2Pa
投入電力:2kW
Arガス流量:30sccm
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1Pa
投入電力:1kW
Arガス流量:6sccm
この成膜工程における成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.3Pa
投入電力:4kW
Arガス流量:50sccm
N2ガス流量:37sccm
記録再生条件は、BDの25GB密度とし、2倍速(9.83m/s)で記録、1倍速(4.92m/s)で再生した。再生パワーは0.35mWとし、再生信号はリミットイコライザー(プリイコライザーゲイン7.1dB)を通し、タイムインターバルアナライザー(横河電機株式会社製、TA720)によりジッターを測定した。
記録の線速度は9.83m/s(2倍速記録)、再生時の線速度は4.92m/s(1倍速)、チャンネルビット長は74.50nm(直径12cmの光ディスクに25GBの記録密度)で行った。
変調方式は17PPであり、最短マークである2Tマークのマーク長は0.149μm、8Tマークのマーク長は0.596μmである。
その結果を図8に示す。
次に、GeO膜3とTiSi膜2との間に膜厚3nmのSiN膜を成膜する以外のことは、上述の実施例2とすべて同様にして光記録媒体10を得た。
まず、比較例として、プロセスガスとしてArガスおよび酸素ガスを導入しながら、リアクティブスパッタリング法によりGeターゲットをスパッタリングして、GeO膜3を成膜した場合について説明する。
GeO膜の成膜前のプリスパッタ条件を変える以外のことは、上述の比較例2と同様にして、GeO膜3の酸素組成が互いに異なる複数の光記録媒体10を得た。
比較例2の光記録媒体10の作製から数週間程度経過後に、比較例2と同一のGeターゲットを用いてGeO膜3を成膜する以外のことは、上述の比較例2と同様にして、GeO膜3の酸素組成が互いに異なる複数の光記録媒体10を得た。
その結果、酸素組成がGe55O45の場合、上述の場合と同様に4kWh以上使用後に吸収係数を測定したところ、安定状態での吸収係数は0.9であった。また、酸素組成がGe40O60の場合は、上述の場合と同様に4kWh以上使用後に吸収係数を測定したところ、安定状態での吸収係数は0.15であった。上述の実施例2で示したように、良好な記録特性の得られる吸収係数kの範囲は0.15≦k≦0.90であるため、この吸収係数を有するGeO膜3を安定に成膜できるGe酸化物ターゲットの酸素の組成比は45原子%以上60原子%以下となる。
次に、実施例として、Ge酸化物ターゲットの製造方法について説明する。
実施例4
Geが飽和な酸化物となった場合には、GeO2の組成を有する。従って、Geの場合にも飽和酸化物の場合は、Ge(100-X)OX(X:原子%)という形で記述した場合には、GeO2ではx=66.7となる。
なお、実施例1、2、3、5では、同様の方法で得られた焼成体を直径200mm、厚さ6mmのターゲットに加工したものを用いた。
次に、実施例5として、TiSi膜2に窒素を混入した場合について説明する。
上述の実施例2ではジッター値としては良好な特性が得られた。しかし、記録再生をする際にはドライブのばらつきや使用環境により、媒体にとって常に最適な記録パワーで記録されるとは限らない。したがって、市場で広範に問題なく記録再生が行われるためには、記録媒体の記録パワーマージンが広いことが望まれる。
そして、この光記録媒体10のパワーマージンを測定した。記録再生条件は実施例2と同一である。
なお、パワーマージンの測定では、PwとPs(それぞれピークパワーとスペースパワーを示す。BD規格の定義による。)の比を保ったままパワーを変えてゆき、その他のパワーは固定とした。その測定結果を図12に示す。
窒素の組成は、X線光電子分析装置(ESCA,ULVAC-PHI ESCA5400MC)により測定した。測定条件は、X線はMgKα、出力は14kV(400W)、分析径は1.1mmφ、真空度1.2×10-5Pa、光電子脱出角度45度である。試料はグルーブの無い鏡面ポリカーボネート基板上にTiSi(N)を30nm成膜し、保護膜としてAgを5nm程度成膜した。測定時はイオンエッチングにて表面を15nm程度けずり、TiSi表面を露出させてから測定を行った。定量分析は、Ti,Si,O,Nを合計したものを100%とし、窒素の組成を原子比で示す。その結果、上記Ar30sccmに対して窒素を3sccm流したものは、窒素組成が7原子%となった。
実施例6
次に、実施例6として、窒素混入量依存性について、窒素ガス流量を0sccmから9sccmまで変えて光記録媒体10を作製し、記録再生を行って各種評価を行った場合について説明する。図14に、窒素ガス流量、最適記録パワー、そのパワーにおけるジッター値が得られるパワーマージン(peak to peak)、およびTi合金膜中の窒素組成を示す。なお、記録再生条件は、記録を1倍速(4.92m/s)とした以外は実施例5と同様である。
図14に示すように、作製する光記録媒体10毎にTi合金膜の成膜工程における窒素ガス流量を変える以外のことは上述の実施例5とすべて同様にして、Ti合金膜の窒素組成が互いに異なる複数の光記録媒体10を得た。
ここでは、Tiと添加物SiとからなるTiSi膜に窒素を混入する場合について説明したが、Si以外の他の添加物を含有するTiSn膜などに窒素を混入するようにしてもよい。この場合にも、TiSi膜に窒素を混入する場合とほぼ同様の効果を得ることができる。また、Ti膜に窒素を添加した場合にも、ほぼ同様の効果を得ることができる。
(2)青色レーザによるBCAの形成方法の検討
次に、青色レーザによるBCAの形成方法について検討を行った。以下に、この検討内容について説明する。
この実施例7の光記録媒体10は、TiSi膜2、GeO膜3、ZnS−SiO2膜4a、SiN膜4b、光透過層5を基板1上に順次積層した構成を有する。
この成膜工程における成膜条件を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.2Pa
投入電力:3kW
Arガス流量:30sccm
この成膜工程における成膜条件を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.2Pa
投入電力:2kW
Arガス流量:30sccm
この成膜工程における成膜条件を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.1Pa
投入電力:1kW
Arガス流量:6sccm
この成膜工程における成膜条件を以下に示す。
真空到達度:5.0×10-5Pa
雰囲気:0.3Pa
投入電力:4kW
Arガス流量:50sccm
N2ガス流量:37sccm
次に、波長800nm帯のレーザ光を照射して記録マークを形成する以外のことは上述の実施例7とすべて同様にして、BCAにバーコードが形成された光記録媒体10を得た。
(3)赤外レーザによるBCAの形成方法の検討
次に、赤外レーザによるBCAの形成方法について検討を行った。以下に、この検討内容について説明する。
まず、上述の実施例7とすべて同様にして複数の光記録媒体10を得た。次に、上述のようにして得られた複数の光記録媒体10ごとに光学ヘッドスキャンスピードを3m/s〜11m/sの範囲で変えて、出力パワー4000mW、波長810nmのレーザ光をパルス状に変調して、基板1側からBCAに照射した。これにより、TiSi膜2、GeO膜3、ZnS−SiO2膜4aおよびSiN膜4bを溶融除去され、BCAにバーコード状の記録マークが形成された複数の光記録媒体10を得た。なお、ビーム幅を約30μm、レーザ照射パワーを4000mW、1回転あたりのビーム送り量を2μmとした。
出力パワー3400mWにする以外のことは上述の実施例9〜13とすべて同様にして、BCAにバーコード状の記録マークが形成された複数の光記録媒体10を得た。
光透過層側からBCAにレーザ光を照射する以外のことは実施例9〜13とすべて同様にして、BCAにバーコード状の記録マークが形成された複数の光記録媒体10を得た。
光透過層側からBCAにレーザ光を照射する以外のことは実施例14〜18とすべて同様にして、BCAにバーコード状の記録マークが形成された複数の光記録媒体10を得た。
これに対して、基板1側からレーザ光を照射した場合には、光学ヘッドスキャンスピードを5m/s〜9m/s、レーザパワーを3400mW〜4000mWの範囲とすることにより、BCA部の信号レベルが比較的均一で、且つ、記録マークの境界部分に急激に反射率が高くなる領域がないことが分かる。
2 金属膜
3 酸化物膜
4 誘電体膜
5 光透過層
6 無機記録膜
10 光記録媒体
Claims (13)
- 無機記録膜を有する光記録媒体の製造方法であって、
Tiからなる隣接膜を成膜する工程と、
Geの酸化物からなる酸化物膜を成膜する工程と
を備え、
上記酸化物膜および上記隣接膜の成膜工程では、上記酸化物膜と上記隣接膜とは隣接するように成膜され、
上記酸化物膜の成膜工程では、GeおよびGe酸化物の混合物ターゲットをスパッタリングすることにより上記酸化物膜を成膜し、
上記酸化物膜の吸収係数kが、0.15≦k≦0.90であることを特徴とする光記録媒体の製造方法。 - 上記酸化物膜の隣接膜と反対側の主面に、誘電体膜を成膜する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
- 波長350nm以上450nm以下のレーザ光を上記酸化物膜側から上記光記録媒体に対して照射することにより、識別情報を記録する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
- レーザ光を上記隣接膜側から上記光記録媒体に対して照射することにより、識別情報を記録する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
- 上記酸化物膜を成膜するための混合物ターゲットは、半導体の非飽和酸化物からなるスパッタリングターゲットであって、
少なくともGe粉末およびGe酸化物粉末とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。 - 上記加圧焼成後の酸素の含有量が45原子%以上60原子%以下であることを特徴とする請求項5記載の光記録媒体の製造方法。
- 上記隣接膜が、TiおよびNからなり、
上記隣接膜を成膜するためのターゲットは、Tiの非飽和窒化物からなるスパッタリングターゲットであって、
少なくともTi金属粉末とTi窒化物粉末とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。 - 上記加圧焼成後の窒素の含有量が1原子%以上20原子%以下であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体の製造方法。
- 上記隣接膜が、Ti、Si、およびNからなり、
上記隣接膜を成膜するためのターゲットは、Tiの非飽和窒化物からなるスパッタターゲットであって、
少なくともTi粉末と、Si粉末と、Ti窒化物粉末およびSi窒化物粉末のうち少なくとも一方とを混合し、該混合物を加圧焼成してなることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。 - 上記加圧焼成後の窒素の含有量が1原子%以上20原子%以下であることを特徴とする請求項9記載の光記録媒体の製造方法。
- 上記隣接膜が、N、およびSiからなり、
上記隣接膜を成膜するためのターゲットは、少なくともSiおよびTiを含有するターゲットであって、
上記Siの含有量が、8原子%以上32原子%以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。 - 無機記録膜を有する光記録媒体であって、
Tiからなる隣接膜と、
Geの酸化物からなる酸化物膜と
を備え、
上記酸化物膜と上記隣接膜とは隣接するように成膜され、
上記酸化物膜の吸収係数kが、0.15≦k≦0.90であることを特徴とする光記録媒体。 - 上記隣接膜が、TiおよびSiの少なくとも一方をさらに含有することを特徴とする請求項12記載の光記録媒体。
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