JP4543052B2 - 建物の免震装置 - Google Patents

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本発明は、地震に対する建物の免震装置に関するものである。
建物の免震装置は、地震が発生したときに、建物と地盤の共振を防ぐことを目的に設置されるものであり、例えば、建物と地盤との間にコイルバネや球体を介在するものが知られている。
特開平11−315885号 特開平9−228684号
しかしながら、建物と地盤の間にバネや球体を介した態様の免震装置では、建物の基礎の一部を利用して免震装置を組み込むものが主であったため、建物も含めた施工が大変複雑なものとなり、工期の延長や施工コストが増大することから、このような免震装置が地震に対して効果的なものであると認知されているにも関わらず、普及しない原因となっている。
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、建物と地盤の共振を防ぐとともに、導入に際して建物もしくは施工に影響を与えることなく容易に設置することができる免震装置を提供することにある。
上記の課題を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、地盤に埋設する外覆部と、この外覆部の内部に配置する免震部とから構成し、前記外覆部は、免震部を収容できる中空部を有する筒型または有底筒型をなしており、前記免震部は、建物を支持する上側支持体と、地盤に配設する下側支持体と、上側支持体と下側支持体とを揺動自在に連結する吊下部とを備え、前記上側支持体は、上枠と下枠と縦枠により、三方または四方を囲んで空間部を形成しており、また前記上枠の上部には、外覆部の上方を覆って建物の基礎に対して取り付けする蓋部を有しており、前記下側支持体は、地震から前記上側支持体の空間部の高さ位置まで起立する起立部と、この起立部の上部から水平方向に延びて、前記空間部内に突入する水平部とを有しており、前記吊下部は、上部が水平部に貫通し且つ下部が下枠に貫通しており、また上部と下部との間には、緩衝部材を有しており、さらに吊下部の水平部からの上方突出部には、水平部に係止する上係止部を備える一方、下枠からの下方突出部には、下枠に係止する下係止部を備え、上係止部と下係止部をそれぞれ支点に上側支持体と下側支持体が吊下部を介して揺動自在に形成してあり、前記上係止部および下係止部は、水平部もしくは下枠に対する当接箇所がそれぞれ球状に形成してあり、前記外覆部には、上位置にあるときに前記蓋部の下面に対して先端が当接する上下動自在なストッパーを複数箇所に取り付けてあることを特徴とする特徴とする。
上側支持体および下側支持体のそれぞれの態様は、少なくとも前述の請求項に記載した要件を含むものであれば、特に限定するものではないが、望ましくは、上側支持体と下側支持体の双方が四方枠で形成してあれば、製品の耐久性や製造上優位なものとなる。吊下部は、上側支持体と下側支持体の間に介在したときに、吊下部自体が撓むことなく円滑に各支持体を揺動できるものであればよく、さらに上係止部と下係止部は、上側支持体と下側支持体の揺動を妨げることなく、吊下部が上側支持体もしくは下側支持体から抜け出さないものであればよく、棒材の長手方向の両端部に球体をそれぞれ取り付けたものなどが挙げられる。緩衝部材は、地盤と建物との間が緩衝されるものであればよく、例えば、コイルスプリングやクッションなどが挙げられる。建物の基礎部に上枠を保持する具体的な手段としては、上枠から上方にアンカーボルトを突出して、このアンカーボルトの先端を基礎部に打ち込み、上枠の上端面に上向きに溝を有する凹状の受部材を取り付け、そこに基礎部を保持するといったものが選択される。
本発明のうち請求項記載の発明は、上係止部および下係止部は、吊下部の上部と下部の適宜な位置に取付可能であり、上側支持体は、上係止部と下係止部との取付位置の間隔により、下側支持体から上下動自在となるように形成してあることを特徴とする。
本発明のうち請求項記載の発明では、前記外覆部には、上位置にあるときに前記蓋部の下面に対して先端が当接する上下動自在なストッパーを複数箇所に取り付けてあることを特徴とする特徴とする。
ここでストッパーは、蓋部に当接して揺動を止めるものであれば特に限定するものではなく、少なくとも免震装置の上に置かれる建物の施工が完了するまでの間、蓋部をロックしていればよいから、必ずしも長期に亘って解除とロックを繰り返して行なえるものでなくてもよい。
本発明のうち請求項記載の発明は、上側支持体と下側支持体との間には、揺動制止部を備えており、前記揺動制止部は、上側支持体の上枠の下面に当接する上押さえ部と、下側支持体の水平部の上面に当接する下押さえ部と、上押さえ部と下押さえ部との間に架設する架設部とからなり、前記架設部は、上押さえ部と下押さえ部との間の複数の箇所に架設してあり、上押さえ部および下押さえ部は、弾性素材で形成してあることを特徴とする。
本発明のうち請求項記載の発明は、上側支持体の上枠と、下側支持体の水平部と、地盤とを一続きに貫通する棒状弾性体を備えていることを特徴とする。
本発明のうち請求項記載の発明は、前記免震部では、外覆部の周壁に設けたガイド部により中空部内を上下動自在に取り付けてあると共に、外覆部の底部又は地盤との間に緩衝体を備えていることを特徴とする。
ここで緩衝体は、上下動する免震部と外覆部の底部とを緩衝できる手段であればよく、例えばクッションやコイルスプリングなどが挙げられる。
本発明のうち請求項記載の発明は、前記下側支持体は、上係止部に設けた被磁性部に対して磁力により吸着し且つ位置決めする磁性部を備えているので、強い揺れが発生しない限りは、磁性部の磁力よって磁性部と係止部との吸着状態が解除されないので、係止部が上枠に対して係止する位置を保持し続け、吊下部を介した下側支持体および上側支持体の揺動を抑えることができる。そして一旦、係止部と上枠との吸着状態が解除されれば、揺れが弱まるまでは吊下部を介して上側支持体と下側支持体とが揺動し続け、揺れの力よりも磁性部の磁力が強くなれば再び係止部を吸着して、本装置が揺動する以前の元の位置に各支持体を位置決めすることになる。
本発明のうち請求項記載の発明では、前記上側支持体は、上枠から垂下する垂直軸方向の筒部を設けており、この筒部は、筒穴内を上下に移動自在な磁性部を有しており、前記磁性部は、上部側を筒部の筒穴に突入する一方、下部側を下側支持体の水平部に設ける被磁性部に対して磁力により吸着していることを特徴とする。
このように形成すると、磁性部の上部側が筒部の筒穴に突入していることで、上側支持体と下側支持体が横方向に移動したときには、筒部の周壁の内周側のいずれかに対して磁性部の上部側が係止し、磁性部の磁力よりも弱い力(揺れ)であれば、磁性部および下側支持体のそれ以上の移動が規制され、一方、磁力よりも強い力(揺れ)が加われば、磁性部と被磁性部との吸着状態が解除され、吊下部を介して上側支持体と下側支持体が揺動し続け、揺れの力よりも磁性部の磁力が強くなれば、再び磁性部が被磁性部と吸着する。さらに磁性部の上部側は、筒部の筒穴を上下移動自在に突入していることにより、筒部が磁性部の移動方向に案内しつつ、筒穴の奥(上側支持体の上枠の下端面)側に磁性部の上部側の突入した分を吸収し、これにより、上側支持体の上枠と下側支持体の上枠との間隔の変化に対応するように形成してある。
筒部が上枠の下端面から垂下する長さは、上側支持体の上枠と下側支持体の上枠とが最も近づく間隔よりも短く設定してある。磁性部は、磁石のように全体が磁性を帯びるものであってもよいし、一部のみが磁性を帯びるものであってもよい。被吸着部は、磁性を有するものが吸着する性状のものであればよく、具体的には鉄板やマグネット板などが挙げられ、さらに上側支持体の一部または全体を磁性部が吸着する素材で形成してもよい。
また請求項記載の発明のように、請求項記載の磁性部は、被磁性部との吸着側に下向きの凹部を有しており、水平部は、球状をなす先端部が前記凹部内に突入する凸部を有していることで、例えば、磁性部と被磁性部との吸着状態を解除するほどの強い横揺れが発生したときに、被磁性部の凸部から磁性部の凹部が外れ、凸部の突出先端部が磁性部の吸着側における凹部以外の箇所に当接していれば、磁性部と被磁性部との間の吸着する面積が少なくなって互いの吸着力が弱まり、磁性部が上側支持体と下側支持体との吊下部を介した揺動を妨げることがなくなる。しかも、突出先端側が球状をなしていることにより、磁性部の吸着側に対して滑らかに当接することになる。
凸部の突出先端部は、単に球状に形成してあってもよし、あるいはボールペンの先のように筒部の一方の開口側に球体を取り付けたものであってもよい。凹部は、凸部の突出先端側を受け入れられる穴径と深さを有していれば特に態様を限定するものではない。
また請求項10記載の発明のように、吊下部の下端部と、この下端部の下方に位置する下側支持体または地盤の箇所には、磁性部の磁力のおよぶ間隔にて磁性部および被磁性部が配設してあることを特徴とする。
ここで下端部は、磁性部からの磁力がおよぶ箇所にあればよい。
本発明のうち請求項11記載の発明のように、請求項10記載の磁性部または被磁性部は、吊下部から下向きで且つ垂直に突出したガイド体に沿って摺動自在に取り付けてあると共に、吊下部と磁性部または被磁性部との間には、磁性部または被磁性部に対して、常に吊下部側に引き寄せる方向に付勢するバネ材を備えてあることを特徴とする。
本発明のうち請求項記載の発明によれば、免震部の周囲に外覆部を配置して地盤からの土砂の流入を防ぐことができるとともに、横揺れ型の地震が発生したときには、吊下部の上係止部と下係止部の球面が上側支持体の下枠および下側支持体の上枠に対して接触することにより、上側支持体と下側支持体とが滑らかに前後左右方向の円運動を行なって建物への揺れによる衝撃の伝達を緩和している。一方縦揺れ型の地震が発生したときには、上側支持体の下枠と下側支持体の上枠との間に付勢部材を介在していることにより緩衝できるので、このことから縦横いずれの揺れに伴う、建物に対するあらゆる方向からの衝撃を緩和できる。
免震装置の全体が上側支持体と下側支持体の二つにより構成するものであって、建物の一部を共有せずに独立して免震装置が機能するものであるから、建物が新設・既設を問わずに本免震装置を容易に設置することができ、このことから従来有用な効果は認めつつも、その特殊性から導入を見送られてきたこの種の製品の一般的な認識が払拭され、市場性の高い免震装置を提供できる。
本発明のうち請求項記載の発明によれば、免震装置を建物に取り付けるときに、建物と地盤との間隔に対応して上側支持体と下側支持体の上下位置を調節できるので、既設の建造物への取り付けが容易に行なえるようになる。
本発明のうち請求項記載の発明によれば、ストッパーにより建物(基礎部)を支える蓋部の揺動を止めることができる。また請求項記載の発明によれば、上側支持体と下側支持体との間に介在することにより、地震時には、上押さえ部と下押さえ部が弾性変形して強い揺れに対応する。さらに請求項記載の発明によれば、上側支持体と下側支持体と地盤とを一続きに貫いて動きを拘束できるので、これにより、免震装置の導入に際しても建物の施工を安定して行なえるようになる。
本発明のうち請求項記載の発明によれば、免震部が外覆部内を上下動することで、地震に対する免震効果が一層高まると共に、外覆部内の上方に移動した免震部が元位置(底位置)に戻るときに緩衝体が作用し、免震部から建物に強い衝撃を伝えることがない。
本発明のうち請求項7、9、10及び11記載の発明によれば、建物に吹き込む風や居住者の生活に伴う振動など、地震発生時以外の平時において本免震装置が意図せずに働くのを防ぐことができる。また請求項11記載の発明のように、平時には磁性部と被磁性部とが吸着しておき、地震発生時には、磁性部あるいは被磁性部をバネにより引き離して吸着力を弱めることができるので、平時における建物の安定性と地震発生時における免震装置の円滑な作動の両立を図ることができる。
本発明のうち請求項記載の発明によれば、地震発生時の強い揺れによって一旦は解除された磁性部と被磁性部とが再び引き合ったときに、凹部と凸部との係止状態が解除されたままの状態にあれば、凸部の突出先端部が磁性部の吸着側のいずれかに当接し、磁性部と被磁性部との間に距離をとって磁力の効力を弱めるので、揺れに対応して上側支持体と下側支持体とが吊下部を介してスムーズに揺動することになる。
本発明の建物の免震装置の具体的な実施形態を以下に説明する。
図1に示すものは、本発明による第一実施形態の建物の免震装置の斜視図であり、図2は、図1のA−A線の縦断面図であり、図3(a)(b)(c)(d)は、本免震装置の作動状態を示す説明図であり、図4は、図2中Bを拡大して示す説明図である。
本実施による建物の免震装置は、建物Tを支える上側支持体1と、地盤Gに設置する下側支持体2と、この下側支持体2から上側支持体1を吊り下げる吊下部3とからなり、吊下部3は、下側支持体2の上枠体(水平部)7に球状をなす上係止部12を係止する一方、上側支持体1の下枠5に球状をなす下係止部14を係止しており、上枠体(水平部)7と下枠5との間には、コイルスプリング(緩衝部材)10を介在しており、図3(a)(b)(c)(d)のように、地震のときには地盤Gの揺れとともに動く下側支持体2に対して、吊下部3が例えるならブランコのように作用し、これにより上側支持体1および建物Tに直接地震に伴う揺れを伝達しない構造となっている。
尚、本免震装置は、地面を掘り下げて形成した掘り込み穴Hの中に設置したものである。
上側支持体1および下側支持体2は、図1と図2のように、上方、下方、両側部(前後あるいは左右方向)の四方を枠4,5,6a,6b,7,8,9a,9bで囲んだ方形をなすものであり、その中央に空間部Sa,Sbを有するものである。また、上側支持体1および下側支持体2の一部には切欠部21a,21bを有しており、この切欠部21a,21bから上側・下側のうちの一方の支持体1,2のいずれかの枠4,5,6a,6b,7,8,9a,9bを通して上側支持体1と下側支持体2を繋げており、上側支持体1と下側支持体2の配置状態については、上側支持体1の下枠5が下側支持体2の空間部Sbに挿通しており、一方、下側支持体2の上枠体(水平部)7は、縦枠(起立部)9a,9bの上端部から水平方向に延びて上側支持体1の空間部Saに挿通していることで、下側支持体2の上枠体(水平部)7の下端面側と、下側支持体2の下枠5の上端面側とが上下に対向し、この後に詳しく説明するが、この対向する上枠体(水平部)7の下端面と下枠5の下端面との間に吊下部3が介在することになる。さらに上側支持体1の上枠4には、アンカーボルトや取付金具にて建物Tの基礎部Dを固定するための挿通孔22を設けており、この挿通孔22は、本免震装置の組み立てるときの吊下部3の挿入用の孔も兼用している。一方、下側支持体2の下枠体(地盤当接部)8には、本免震装置を地盤Gに固定するためのアンカーボルトおよびボルト取り付け用の貫通孔を設けている。
尚、本実施形態では、上側支持体1と下側支持体2に共通した態様のものを適用しており、従って、各々の切欠部21a,21bや挿通孔22も同一のものであるから、構成部材の種類を増やすことがなく製造コストの抑制に寄与している。また符号30は、本免震装置の外部から吊下部3を点検するための点検孔である。
吊下部3は、棒状体23と、この棒状体23の長手方向の両端部に取り付けた球状をなす上係止部12および下係止部14と、この上係止部12と下係止部14の間に介在し、且つ前記棒状体23の長手方向に沿って配置してあるコイルスプリング(緩衝部材)10とからなっている。そして上係止部12および下係止部14は、球体の上部を水平にカットして平面部を有する形状をなしており、この平面部には、棒状体23からの上係止部12および下係止部14の抜け出しを防ぐ吊下ナット29a,29bを取り付けている(図4(a)(b)参照)。また、吊下部3の上側支持体1および上側支持体1との取付状態については、前記棒状体23の上部が下側支持体2の上枠体(水平部)7を貫通し、この棒状体23の前記上枠体(水平部)7からの上方突出部11に上係止部12を取り付けており、一方、棒状体23の下部が上側支持体1の下枠5に貫通し、この棒状体23の下枠5からの下方突出部13には、下係止部14が取り付けてある。また棒状体23の上枠体(水平部)7と下枠5の貫通する孔はテーパ孔28となっており、上枠体(水平部)7のテーパ孔28は、下方にいくに従って次第に孔径が広がるようになっており、一方下枠5のテーパ孔28は、下方にいくに従って次第に孔径が狭まるようになっており、これにより吊下部3が揺動しても棒状体23と上枠体(水平部)7および下枠5がガタつかない構造となっている。
また上係止部12と下側支持体2の上枠体(水平部)7の上端面との係止状態、および下係止部14と上側支持体1の下枠5の下端面との係止状態は、それぞれが半球状もしくは椀型の窪み25を有する被係止部24に収容された状態で係止しており、上係止部12および下係止部14は、それぞれの被係止部24の窪み25の底から上方への浮き上がりのみが可能に収容されている。また被係止部24の窪み25は、上係止部12および下係止部14の球状の径の一番大きくなる箇所よりも周壁が上位置となるように底を深く掘り下げてあり、これにより地盤Gが縦揺れしたときは、上係止部12および下係止部14が浮き上がった場合であっても、窪み25の周壁の内周側で上係止部12および下係止部14もしくは棒状体23を上下方向に案内し、被係止部24から離脱しないものとなっている。さらにコイルスプリング(緩衝部材)10は前述したように、下側支持体2の上枠体(水平部)7の下端面と上側支持体1の下枠5の上端面との間に介在し、しかも棒状体23が常に上枠体(水平部)7と下枠5にそれぞれ挿通した状態にあるから、前記コイルスプリング(緩衝部材)10によって上側支持体1と下側支持体2との間を常に緩衝できる位置にあり、これにより地盤Gの縦揺れに対して衝撃を緩和できるものとなっている。しかも、被係止部24と上枠体(水平部)7との間には、クッションシート(緩衝部材)16を介在しており、一旦被係止部24の窪み25の底から浮き上がった上係止部12が元に戻ったときの衝撃を緩和できるようになっている。
尚、前記クッションシート(緩衝部材)16は、下係止部14に対応する被係止部24と下枠5の間においても介在すれば、縦揺れに対する衝撃の緩和を一層図ることができる。
図4(a)(b)は、本発明による第2実施形態建物の免震装置を示すものであり、前述した上側支持体1の被係止部24の窪み25を形成している周壁の周りの90°ずつ間隔をあけた4箇所に対し、窪み25の中まで水平方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔のそれぞれに対して棒状をなす棒状永久磁石15aを挿通したものである。さらに上係止部12は、前記棒状永久磁石15aが吸着する鋼材で形成してあると共に、上係止部12の径の最も大きくなる箇所には、球面の一部をカットしてできたフラット面(被磁性部)17を複数箇所に設けてあり、フラット面(被磁性部)17の各々に対して貫通孔を挿通した棒状永久磁石15aが吸着することにより、地震発生時以外の平時において上係止部12の揺動を静止している。そして地震が発生したときには、すべての棒状永久磁石15aと上係止部12のフラット面(被磁性部)17との吸着状態が解除され、上側支持体1と下側支持体2が吊下部3を介して揺動することになる。そして地震が収束し始めて揺れが弱まりつつあるときには、棒状体23が元の垂直な状態に戻ろうとし、これにより棒状永久磁石15aが上係止部12のフラット面(被磁性部)17に再び吸着して、上側支持体1と下側支持体2とが元の位置で静止する。
図5および図6(a)(b)も同様に、本発明による第3実施形態建物の免震装置を示すものであり、この免震装置は、上側支持体1全体を磁石の吸着する鋼材で形成し、上側支持体1の上枠4の下端面から垂下する垂直軸方向の筒部18を取り付け、この筒部18の断面が方形をなす筒穴26の中に、本実施形態の磁性部である外形が立方形状のマグネットチャック(商品名:MB−PH、製造および販売元:カネテック株式会社)15bを上下移動自在に収め、さらにマグネットチャック(磁性部)15bの下端側により、下側支持体2の上枠体(水平部)7の上端面(被磁性部)に対して吸着したものである。そして前記マグネットチャック(磁性部)15bは、このマグネットチャック(磁性部)15bの本体側面に具備したダイアル型のスイッチ27を回して入り切りすることにより、磁性を制御するものであるが、ここで本実施形態の磁性部として前述のようなマグネットチャック15bを採用しているのは、本免震装置を組み立てるとき、もしくは本免震装置を構成する各部の点検のとき等に前記スイッチ27を切った状態にして、上枠体(水平部)7の上端面(被磁性部)7aに対する吸着力をなくした状態とし、マグネットチャック(磁性部)15bの取り付け・取り外しを容易にするためである。
また図6(a)のように、マグネットチャック(磁性部)15bの下端側の吸着面には下向きの凹部19を設けてあり、一方、下側支持体2の上枠体(水平部)7には、この上枠体(水平部)7の上端面から上方に突出した凸部20を設けている。そして、この凸部20の突出する先端部20aには、例えるならボールペンの先のような球体を回転可能な状態で取り付けてある。これにより、マグネットチャック(磁性部)15bと下側支持体2の上枠体(水平部)7との吸着状態を解除するほどの強い揺れが発生したときには、凹部19に嵌りこんだ状態にある凸部20の突出する先端部20aも抜け出すので、凸部20の突出する先端部20aがマグネットチャック(磁性部)15bの前記上枠体(水平部)7に対する吸着側における凹部19以外の箇所と当接しているときには、図6(b)のように、マグネットチャック(磁性部)15bを下側支持体2から浮き上げらせるような状態となるから、マグネットチャック(磁性部)15bと被磁性部7a間にて互いが吸着しようとする力が極端に小さくなる。従って、地震の揺れに対応して揺動する上側支持体1と下側支持体2のそれぞれの動きに対し、マグネットチャック(磁性部)15bの磁力による規制力が弱まり、地震による強大な衝撃を建物Tにほとんど伝えない構造となる。
図7と図8は、本発明による第四実施形態建物の免震装置を示すものであり、この免震装置について、前述の第一〜第三実施形態の免震装置(以下、免震部Fと記す)と同一の部分の説明を省略して、異なる構成のみを以下に説明する。
本実施による免震装置は、免震部Fの側部の全周と底部31bを囲む外覆部31を設けており、免震部Fの上側支持体1の上端部には、外覆部31の上方開口部の全体を塞ぐ円盤状をなす蓋部32を取り付けてある(図8参照)。また外覆部31の周壁31aの外周面の上部位置の4箇所には、ストッパー34を取り付けあり、このストッパー34は、周壁31aに固定する支持部材36と、支持部材36に上下動自在に取り付けてある棒体37と、棒体37の下方への移動を規制する受部38とからなっており、棒体37が受部38に係止しているときに、棒体37の先端33が蓋部32の下面に当接して免震部Fの作動を止めることとなる(図9(a)(b)(c)参照)。
外覆部31は、上下に連通し且つ肉厚の厚いコンクリート製の円形筒型の周壁31aと、周壁31aの下側開口部を塞ぐ底部31bとからなる有底筒型をなすものであり、底部31bは、周壁31aの筒の径よりも幅・奥行きとも大きく形成してあると共に、底部31bの周壁31aよりも張り出した端縁部35をアンカーボルト40で地盤Gに固定している。また免震部Fの下側支持体2は、外覆部31内において免震部Fを上下動自在に取り付けてある。具体的には、外覆部31の周壁31aの内周側の対向する二箇所に上下に伸びる断面凹状のガイド溝(ガイド部)39を設け、このガイド溝(ガイド部)39に免震部Fの下側支持体2の縦枠(起立部)9a,9b側を差し込んで、免震部Fをガイド溝(ガイド部)39に沿って上下方向に摺動自在に取り付けている。これにより、地震のときに免震部Fが外覆部31の中空部Uで一旦浮き上がっても、着地のときにクッション(緩衝体)41が免震部Fと底部31bとを緩衝し、建物Tにおよぼす衝撃を軽減することができる。
尚、外覆部31は、本実施形態のように現場施工するもの以外に、工場から完成品を持ち出すものことも可能であり、周壁31aと底部31bが一体のものでもよいし、もしくは別体のものでもよく、また周壁31aを上下に分割して形成し、コンパクトに形成して搬送しやすい態様とすることも可能である。
蓋部32は、円盤型に切り出した鉄板により形成したものであり、免震部Fの上側支持体1の上枠4の上端面に取り付けてあると共に、外覆部31の上方を覆うように配置してある。また、蓋部32と上側支持体1との取り付けは、例えばボルトとナットによる締結もしくは溶接により一体的に固定してある。
ストッパー34は、図9(a)(b)(c)に示すように、前述したような支持部材36と棒体37と受部38,38とからなり、支持部材36は、外覆部31の周壁31aの外周面側に取り付ける縦片36aと、この縦片36aの上端部と下端部からそれぞれ水平方向に突出する横片36b,36bとからなる側面視してコ字形をなすであり、上下の各横片36b,36bには垂直軸方向の貫通孔を各々設けてある。棒体37は、上下の各横片36b,36bの貫通孔を上下動自在に挿通しており、棒体37の先端33は他部よりも径を大きく形成してある一方、中間部には、垂直方向に突出した持手部42を有している。受部38は、周壁31aの外周面側から水平方向に突出する板状をなしており、本実施では、この二つの受部38,38が周壁31aの水平方向に間隔をあけて左右対称にそれぞれ傾けてV字状に配置するものであり、いずれか一方の受部38の傾斜した上端面に対して持手部42を係止すると、持手部42が受部38の上端面の傾斜に沿って摺動することにより、棒体37の先端33が少しずつ上方に移動しながら蓋部32の下面に当接し、これにより免震部Fの上側支持体1の揺れ動きを止めることができる。
本実施のものでは、外覆部31の態様を例えるならマンホールのような円形筒型に形成するものについて示したが、その他平面視して矩形や多角形の筒型もしくは前記形状をなす有底筒体としてもよい。また免震部Fは、外覆部31内に固定してもよく、この場合に下側支持体2は外覆部31とともに地盤Gに追従して動くことになるが、上側支持体1は、吊下部3により独立して作動する。また外覆部31内にて免震部Fを上下動可能に取り付けたものには、図10(a)(b)のように、下側支持体2の下端部(下側支持体2と外覆部31の底部31bとの当接箇所)に、コイルばね43などの他の緩衝体を取り付けることもできる。
次に図11は、本発明による第五実施形態建物の免震装置を示すものであり、それぞれが板状をなす上押さえ部46と、下押さえ部47a,47bと、上押さえ部46と下押さえ部47a,47bとの間に配設する架設部48とから構成する揺動制止部49を、上側支持体1の上枠4の下面と、下側支持体2の水平部7の上面との間に配置するものである。この揺動制止部49について更に具体的に説明すると、図12のように、上押さえ部46と下押さえ部47a,47bは、硬質の合成ゴムにより形成してあり、まず上押さえ部46は、平面視して略正方形状をなす板体である。一方、下押さえ部47a,47bは、前述した上押さえ部46と同様に全体が略正方形状をなす板体であるが、その中央には、被係止部24の外周縁の形状と略一致した丸孔50a,50bを有しており、さらに下押さえ部47a,47bの一部のピース47bが、下押さえ部本体47aから取り付け・取り外し自在に分割している。このピース47bは、下押さえ部本体47aから取り外したときに丸孔50a,50bの一部を開口し、この開口した丸孔形成箇所(丸孔)50aを被係合部24に対して差し込み、最後に外してあるピース47bを下押さえ部本体47aに再び嵌め込むことにより、ピース47bの丸孔形成箇所(丸孔)50bの一部が被係止部24の外周縁を囲んで離脱不能となり、揺動制止部49を取り付けできる。
架設部48は、複数のボルトとナットを組み合わせた棒状物であり、具体的には、上押さえ部46に固定する上側固定部53と、下押さえ部本体47aに固定する下側固定部54と、上側固定部53と下側固定部54に両端部を螺合するボルト部55とから構成しており、上側固定部53および下側固定部54は、略同一の構成をなすために上側固定部53のみを説明するが、上押さえ部46に対して上方から下方に突入する固定ボルト57と、固定ボルト57に螺合する4つのナット部とからなり、ナット部同士が回転を規制し合って上押さえ部46、もしくは下押さえ部本体47aから抜けない構造となっている。ボルト部55は、ボルト長手方向の中間部に調整用ナット56を螺合しており、この調整用ナット56は、調整用ナット56側面を指で摘んで回すことにより、上側固定部53と下側固定部54との距離が伸縮する。以上のようにすると、調整用ナット56を回して架設部48を縮めたときには、揺動制止部49を上側支持体1と下側支持体2との間に納め、揺動制止部49を納めた後に、調整用ナット56を逆方向に回して架設部48を伸ばせば、上押さえ部46が上側支持体1の上枠4下面を、下押さえ部47a,47bが下側支持体2の水平部7上面をそれぞれ押圧し、平時における本揺動装置の不要な動きを止めることができる(図12参照)。
以上のように揺動制止部49を形成することにより、この揺動制止部49を上側支持体1の上枠4と下側支持体2の水平部7との間に配置しておくことで、図13(a)〜(c)のように、横揺れ形の地震発生時には、上押さえ部46と下押さえ部47a,47bの弾性により、架設部48との固定箇所の周縁部分が弾性変形し、上側支持体1と下側支持体2の動きに追従することになる。そして縦揺れ型の地震発生時には、図13(d)のように、上側支持体1の上枠4から上押さえ部46が離れるが、下押さえ部47a,47bが被係止部24の周縁部を全周に亘って囲んでいるため、不意に抜け出ることなく下側支持体2の動きに追従する。
次に図14と図15は、本発明による第六実施形態建物の免震装置を示すものであり、複数本のピアノ線(棒状弾性体)64により、上側支持体1と下側支持体2の不必要な動きを止めるものである。すべてのピアノ線(棒状弾性体)63の長手側の一端部には、ピアノ線63の本免震装置の下方への抜け出しを防ぐ係止部材65を有するものであり、係止部材65にて上側支持体1の上枠4の上面に引っ掛けてピアノ線(棒状弾性体)63を吊り下げておくものである。このように形成すると、地震が発生したときに、上側支持体1の動きに追従してピアノ線(棒状弾性体)63が弾性で撓む一方で、上側支持体1が元位置に復帰すれば、これに伴って撓んだ状態にあるピアノ線(棒状弾性体)63も垂直な状態に弾性復帰する。
尚、係止部材65は、ピアノ線(棒状弾性体)63が上側支持体1の上枠4に抜け出し不能に取り付けることができれば省くこともでき、図15中の符号64のもののように、ピアノ線(棒状弾性体)64を通す孔径を若干小さく形成することによっても抜け出しを防ぐことできる。またピアノ線(棒状弾性体)63,64は、棒状をなす部材がバネのように作用するものであればよく、例えば、短冊状に細長い板バネのようなものであってもよい。さらにピアノ線(棒状弾性体)63,64を取り付ける数についても特に限定するものではなく、図18(a)(b)のように四本取り付けたものであっても、本実施によるものと同様に作用する。
また図16(a)(b)は、本発明による第七実施形態建物の免震装置を示すものであり、建物Tの基礎部Dの中に取り付けることもできる。
ここでは具体的に、吊下部3が一本のものと二本のものを例に挙げて以下に説明する。
まず吊下部3が一本のものは、図16(a)(b)のように、上側支持体1の上枠4の二箇所をなす通し孔62,62が設けてあり、各通し孔62,62には、上側支持体1の下枠5と繋がる支柱59がそれぞれ挿通している。支柱59の上端は、建物Tの土台73の刳貫孔Nの上辺に取り付けた当接板に繋がっており、本実施による免震装置を平面視すると、本免震装置が建物Tの基礎部Dおよび土台73の幅内に納まるように形成してある。
さらに本実施による免震装置には、図16(b)中のJに示すように、吊下部3の下端部からボルト型をなすガイド体60が下方へ垂直に突出する一方、下側支持体2の下枠5の上面には、扁平で且つ周縁が丸みを帯びた平型永久磁石(磁性部)61を取り付けている。またガイド体60の上側には吊下ナット29bが羅合し、吊下ナット29bの側面には略120°間隔の三箇所にピン69aが略水平方向に突出しており、この三本の各ピン69aには弦巻バネ68がそれぞれ吊り下げてあると共に、弦巻バネ68の下端部には、ガイド体60に沿って自在に摺動する鉄製のリング部材(被磁性部)70が取り付けてある。また弦巻バネ68の下端部は、リング部材(被磁性部)70の側周面の略120°間隔の三箇所から水平方向に突出した各ピン69bに取り付けてあり、平時では弦巻バネ68は縮まった状態にあって吊下ナット29bとリング部材(被磁性部)70が近接した状態にある。
以上のように形成すると図17(a)のように、吊下部3が垂直な状態にあるときに、平型永久磁石(磁性部)61の磁力がリング部材(被磁性部)70におよび、この磁力が勝れば、リング部材(被磁性部)70が弦巻バネ68の縮まろうとする力に逆らって、下方に引き寄せられることになる。そしてリング部材(被磁性部)70は、ガイド体60に沿って下方に摺動して平型永久磁石(磁性部)61と吸い着き、平時における本免震装置の不意な作動を制止できる。一方、地震が発生したときには、地盤Gとともに下側支持体2が動くことで、平型永久磁石(磁性部)61と吊下部3の下端部とが離れる。これにより弦巻バネ68が伸びるので、この弦巻バネ68の縮まろうとする力が平型永久磁石(磁性部)61の磁力に勝り、リング部材(被磁性部)70が平型永久磁石(磁性部)61から離れて吊下部3の吊下ナット29bと略当接する位置に戻ることで、上側支持体1と下側支持体2を拘束する力が解除されて免震装置が作動する。
また図18(a)(b)のように、蓋62aの上面に対してコイルバネ体67の付勢力を付与し、蓋62aが常に通し孔62を塞ぐようになっている。これにより、上側支持体1の略水平方向に移動しようとする動きが規制されるので、平時において免震装置が作動しにくくなり、また、蓋62aが通し孔62を常に塞ぐことになるので、通し孔62を通って係止部14や被係止部24に付着しようとするホコリや雨水、あるいは地盤G側から建物Tへのネズミなどの進入が防がれる。一方、地震が発生したときには、蓋62に付与されるコイルバネ体67の付勢力よりも地震の揺れの力が上回ることが推測されるために、地震の揺れに対応して本免震装置が作動する(図18(b)参照)。
尚、図示は省略するが、蓋62aの下面側にシート状のクッション材を備えてよく、このクッション材による水平部7の上面に対する摩擦抵抗を利用して、本免震装置の平時の安定性をより高めることもできる(第八実施形態とする)。
また図19(a)(b)のように、建物Tの基礎部D内に取り付ける態様の免震装置は、吊下部3を二箇所に有するものも適用できる。本実施による免震装置では、上側支持体1の上枠4に取り付けた2本の吊下部3,3の略中間位置に、支柱59を挿通する略円形をなす通し孔66を設けてあり、この通し孔66の範囲内にて支柱59が下側支持体2と共に自在に移動できることから、前述した第8実施形態と同様に、地震時の揺れに対応して免震部Fが作動する(第九実施形態とする)。
尚、本実施形態では吊下部3を二箇所に取り付けたものを示したが、建物Tの基礎部Dの長手方向に沿って吊下部3を取り付ければ、二箇所以上に取り付けることもできる。また、建物Tの基礎部Dの刳貫孔Nを覆う室内側と室外側のそれぞれに、着脱自在な外装パネルなどを取り付ければ、本免震装置を室外から見えなくできるために、建物の外観の体裁を保つことができ、また室内側に取り付ければ、室内側の湿気が本免震装置に直接触れないので、本免震装置の保守の面で優位性を発揮する。
図20は、本発明による第十実施形態として、地盤Gの一箇所に免震部Fを備え、この免震部Fを中心に十字型をなすを補強部80を取り付け、補強部80の外側端部に補助輪81,81,81,81を取り付けたものである。具体的に補強部80は、本発明による第六実施形態の免震装置と略同じ構成をなす免震部Fの上側支持体1の上端部に、垂直に起立した軸体83を取り付け、軸体83を中心とし、平面視して十字型に交差した金属板82,82を取り付けることで構成するものであり、この補強部80の上端縁の全体は、基礎部Dの下端面に固定している。一方、基礎部Dの下端面のほぼ中心位置には、下向きに開口した筒型をなす軸受84を設けており、この軸受84に軸体83の上端部を挿入し、免震部Fから建物Tを軸支している。さらに補助輪81,81,81,81は、地盤Gに向けて垂下し且つ弾性を有する素材にて成形した脚部85と、脚部85の下端部に取り付てある筒状部に回転可能に保持してある球体86とからなり、この補助輪81は、補強部80を構成する金属板82,82の外側端部の4箇所に設けてある。
以上のように本実施による免震装置を形成すると、免震部Fは、建物Tおよび基礎部Dのほぼ中心位置の一箇所に設けてあるのみであり、図21に示すように、免震部Fの側から離れた建物Tの外側端部は、各補助輪81,81,81,81によって水平方向のバランスをとりながら、建物Tを地盤Gから支持している。従って、地盤Gの揺れに対しては、補助輪81,81,81,81の球体86,86,86,86が地盤Gの地表面の動きに左右されることなく自在に走行する。しかも建物Tは、軸体83で軸支してあることで、免震部Fのある位置から不意に移動することがなく、各補助輪81,81,81,81に伝達する地盤Gからの衝撃は、弾性を有する脚部85にて吸収するので、建物Tを安定的に支持しながら、免震部Fによって地震が発生したときの建物Tに対する振動伝達を緩和できるようになる。
尚、本実施形態は、軸体83は軸受84に回転可能に軸支してあるが、回転不能に固定してもよい。また補助輪81は、例えば台車のキャスターのようなものや戸車など、地盤Gの地表面を転がるものであれば特に限定するものではない。
本発明による第一実施形態の建物の免震装置の斜視図である。 図1のА−A線縦断面図である。 (a)(b)(c)(d)は、それぞれ本免震装置の作動状態を示す説明図である。 (a)(b)は、それぞれ図2中Bを拡大して上係止部と棒状永久磁石との吸着および解除の状態を示す説明図である。 本発明による第二実施形態の作動状態を示す説明図である。 (a)(b)は、それぞれ図5中Cを拡大して上枠(被磁性部)とマグネットチャックとの吸着および解除の状態を示す説明図である。 本発明による第三実施形態の建物の免震装置を示す平面図である。 図7の縦断面図である。 (a)(b)(c)は、本発明による第四実施形態であるストッパーの作動手順を説明する斜視図である。 (a)は、本発明による第五実施形態である下側支持体の弾性体を示す要部を拡大した縦断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。 本発明による第六実施形態の揺動規制部を示す縦断面図である。 (a)(b)は、揺動規制部の斜視図である。 (a)(b)(c)(d)は、本実施形態によるストッパーの作動状態を説明する。 本発明による第七実施形態のピアノ線(棒状弾性体)を適用した免震装置を示す縦断面図である。 (a)(b)は、本実施形態による免震装置の作動状態を示す側面視した説明図である。 (a)は、本発明による第八実施形態である建物の基礎部に取り付けるタイプの免震装置を示す平面図であり、(b)は、側面図である。 (a)(b)は、図16(b)中のJを拡大して磁性部と被磁性部の詳細を示す側面視した作動状態図である。 (a)(b)は、図16(a)(b)の免震装置の作動状態を示す側面視した説明図である。 (a)は、本発明による第九実施形態である2つの吊下部により作動する免震装置を示す平面図であり、(b)は、側面図である。 本発明による第十実施形態である各免震部をレールにて直線的に繋ぎ、建物をレールの軌道に沿って往復動する免震装置を示す平面図である。 図20のK−K線縦断面図である。
1 上側支持体
2 下側支持体
3 吊下部
4 上枠
5 下枠
6a,6b 縦枠
7 上枠体(水平部)
7a 上端面(被磁性部)
9a,9b 起立部(縦枠)
10 コイルスプリング(緩衝部材)
11 上方突出部
12 上係止部
13 下方突出部
14 下係止部
15a 棒状永久磁石(磁性部)
15b マグネットチャック(磁性部)
16 クッションシート(緩衝部材)
17 フラット面(被磁性部)
18 筒部
19 凹部
20 凸部
20a 先端部
26 筒穴
31 外覆部
31a 周壁
31b 底部
32 蓋部
33 先端
34 ストッパー
39 ガイド溝(ガイド部)
41 クッション(緩衝体)
43 コイルばね(緩衝体)
46 上押さえ部
47a 下押さえ部本体(下押さえ部)
47b ピース(下押さえ部)
48 架設部
49 揺動制止部
60 ガイド体
61 平型永久磁石(磁性部)
63,64 ピアノ線(棒状弾性体)
68 弦巻バネ(バネ材)
70 リング部材(被磁性部)
F 免震部
G 地盤
T 建物
Sa,Sb 空間部
U 中空部

Claims (11)

  1. 地盤(G)に埋設する外覆部(31)と、この外覆部(31)の内部に取り付ける免震部(F)とから構成し、
    前記外覆部(31)は、免震部(F)を収容できる中空部(U)を有する筒型または有底筒型をなしており、
    前記免震部(F)は、建物(T)を支持する上側支持体(1)と、地盤(G)に配設する下側支持体(2)と、上側支持体(1)と下側支持体(2)とを揺動自在に連結する吊下部(3)とを備え、
    前記上側支持体(1)は、上枠(4)と下枠(5)と縦枠(6a,6b)により、三方または四方を囲んで空間部(Sa,Sb)を形成しており、また前記上枠(4)の上部には、外覆部(31)の上方を覆って建物(T)の基礎部(D)に対して取り付けする蓋部(32)を有しており、
    前記下側支持体(2)は、地盤(G)から前記上側支持体(1)の空間部(Sa)の高さ位置まで起立する起立部(9a,9b)と、この起立部(9a,9b)の上部から水平方向に延びて、前記空間部(Sa)内に突入する水平部(7)とを有しており、
    前記吊下部(3)は、上部が水平部(7)に貫通し且つ下部が下枠(5)に貫通しており、また上部と下部との間には、緩衝部材(10,16)を有しており、さらに吊下部(3)の水平部(7)からの上方突出部(11)には、水平部(7)に係止する上係止部(12)を備える一方、下枠(5)からの下方突出部(13)には、下枠(5)に係止する下係止部(14)を備え、上係止部(12)と下係止部(14)をそれぞれ支点に上側支持体(1)と下側支持体(2)が吊下部(3)を介して揺動自在に形成してあり、前記上係止部(12)および下係止部(14)は、水平部(7)もしくは下枠(5)に対する当接箇所がそれぞれ球状に形成してあることを特徴とする建物の免震装置。
  2. 上係止部(12)および下係止部(14)は、吊下部(3)の上部と下部の適宜な位置に取付可能であり、上側支持体(1)は、上係止部(12)と下係止部(14)との取付位置の間隔により、下側支持体(2)から上下動自在となるように形成してあることを特徴とする請求項記載の建物の免震装置。
  3. 前記外覆部(31)には、上位置にあるときに前記蓋部(32)の下面に対して先端(33)が当接する上下動自在なストッパー(34)を複数箇所に取り付けてあることを特徴とする特徴とする請求項記載の建物の免震装置。
  4. 上側支持体(1)と下側支持体(2)との間には、揺動制止部(49)を備えており、
    前記揺動制止部(49)は、上側支持体(1)の上枠(4)の下面に当接する上押さえ部(46)と、下側支持体(2)の水平部(7)の上面に当接する下押さえ部(47a,47b)と、上押さえ部(46)と下押さえ部(47a,47b)との間に架設する架設部(48)とからなり、
    前記架設部(48)は、上押さえ部(46)と下押さえ部(47a,47b)との間の複数の箇所に架設してあり、上押さえ部(46)および下押さえ部(47a,47b)は、弾性素材で形成してあることを特徴とする請求項1又は2記載の建物の免震装置。
  5. 上側支持体(1)の上枠(4)と、下側支持体(2)の水平部(7)と、地盤(G)とを一続きに貫通する棒状弾性体(64)を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の建物の免震装置。
  6. 前記免震部(F)は、外覆部(31)の周壁(31a)に設けたガイド部(39)により中空部(U)内を上下動自在に取り付けてあると共に、外覆部(31)の底部(31b)又は地盤(G)との間に緩衝体(41,43)を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の建物の免震装置。
  7. 前記下側支持体(2)は、上係止部(12)に設けた被磁性部(17)に対して磁力により吸着し且つ位置決めする磁性部(15a)を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の建物の免震装置。
  8. 前記上側支持体(1)は、上枠(4)から垂下する垂直軸方向の筒部(18)を設けており、この筒部(18)は、筒穴(26)内を上下に移動自在な磁性部(15b)を有しており、
    前記磁性部(15b)は、上部側を筒部(18)の筒穴(26)に突入する一方、下部側を下側支持体(2)の水平部(7)に設ける被磁性部(7a)に対して磁力により吸着していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は7記載の建物の免震装置。
  9. 請求項記載の磁性部(15b)は、被磁性部(7a)との吸着側に下向きの凹部(19)を有しており、水平部(7)は、球状をなす先端部(20a)が前記凹部(19)内に突入する凸部(20)を有していることを特徴とする建物の免震装置。
  10. 吊下部(3)の下端部と、この下端部の下方に位置する下側支持体(2)または地盤(G)の箇所には、磁性部(61)の磁力のおよぶ間隔にて磁性部(61)および被磁性部(70)が配設してあることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の建物の免震装置。
  11. 請求項10記載の磁性部(61)または被磁性部(71)は、吊下部(3)から下向きで且つ垂直に突出したガイド体(60)に沿って摺動自在に取り付けてあると共に、吊下部(3)と磁性部(61)または被磁性部(70)との間には、磁性部(61)または被磁性部(70)に対して、常に吊下部(3)側に引き寄せる方向に付勢するバネ材(68)を備えてあることを特徴とする建物の免震装置。
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