JP4542471B2 - 高炉出銑口径の測定方法及び測定装置 - Google Patents

高炉出銑口径の測定方法及び測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、高炉出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ噴流の直径を測定する高炉出銑口径の測定方法及び測定装置に関するものである。
高炉内部では、炉頂部から装入された装入原料が高炉内で降下するのに伴い、高温還元反応によって溶銑と溶融スラグが生成され、炉内を滴下し、炉底に溜まって湯溜まりを形成する。この湯溜まりに向かって炉外から貫通孔を開けると、この貫通孔を通して溶銑・溶融スラグ混合物が炉外に流出する。この貫通孔の炉外開口部分を出銑口とよぶ。炉底部の出銑口形成位置にはマッド材が充填されていて、ドリル等で機械的に開孔して貫通孔を形成する。
開孔直後の出銑口の口径はドリル径に等しいが、出銑の経過とともに孔の壁面が侵食されて出銑口の口径が次第に拡大する。一方、出銑口からの溶銑と溶融スラグ混合液体の単位時間流出量は、平均したときに溶銑・溶融スラグの炉内での生成量にほぼ等しい値となる必要がある。そこで、出銑開始時は溶銑・溶融スラグ流出量が炉内での生成量よりも少なくなるように開口径を選定する。その結果、開口後の前半部分では炉内の溶銑・溶融スラグ量は時間とともに増大する。出銑を続けると出銑口径の拡大に伴い溶銑・溶融スラグの単位時間流出量が増大し、炉内での生成量よりも流出量が多くなり、炉内の量が低下に転じる。出銑口の使用開始から終了までを平均すると、溶銑・溶融スラグ生成量と流出量がほぼ等しい値となる。通常は出銑口使用開始から2〜4時間程度で炉内の湯面レベルが出銑口付近まで低下するので、この時点でマッド材を出銑口に充填してその出銑口を閉塞させる。湯面レベルは、溶銑と溶融スラグそれぞれの流出量を秤量して積算した値と、高炉への装入原料から計算される溶銑・溶融スラグ生成量の差から推定する。このような作業を繰り返すことによって銑鉄が高炉で製造される。
出銑口の侵食速さはマッド材の材質、溶銑・スラグ混合比、溶銑温度、溶銑流速などに複雑に依存し、安定しているわけではない。もし出銑口の口径拡大が進行せずに高炉内の溶銑・溶融スラグ量が増加を続けると、炉内の通気性が悪化して炉内充填物の下降不安定や吹き抜けといった銑鉄品質悪化や生産性低下に結びつくトラブルを引き起こす原因となる。
従って、出銑作業中は出銑口径の状況を常に監視しておくことが安定操業を維持する上で重要である。
現在は、テレビカメラで出銑口をとらえた映像を操作室のオペレータが目視で監視することが広く行われている。しかしこの方法では出銑口の拡大の様子を感覚的に監視しているに過ぎず、定量的な管理は難しい。
より正確で定量的な出銑口監視を実現する方法として、特許文献1に記載の方法がある。出銑口付近をカメラで撮像して画像処理で出銑口径を測定する方法である。カメラは溶銑・溶融スラグの熱放射光を観察する。背景に比べて明るく観察される溶銑・溶融スラグ噴流像を画像輝度に基づいて検出して直径を求める。出銑口近傍での溶銑・溶融スラグ噴流の直径は出銑口径に等しい。
特開平9−209013号公報
図1(a)には出銑口4から溶銑・溶融スラグ噴流8が噴出する様子を示している。溶銑・溶融スラグ噴流8は出銑口径に等しい直径で高速噴出している流れである。これとは別に、ごく一部の溶銑・溶融スラグは出銑口4の直下に垂れ落ちる。出銑口の直下には出銑樋5の始端部が形成されている。垂れ落ちた溶融物は、この出銑樋始端部に滞留し、滞留部9を形成する。垂れ落ちる量は一定ではなく、出銑時期等に無関係に変動する。出銑口の細かい形状が影響すると考えられる。
出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ噴流8を撮像装置1で撮像するに際しては、出銑樋始端部の土手6によって噴流8に視野欠けが起こらないように、図1(b)に示すように、噴流8の斜め上方から撮像を行う必要がある。そのため、溶銑・溶融スラグ噴流8と、上記出銑樋始端部に滞留した滞留部9とは、撮像画面上で分離することができず、両者は重なって撮像される。
噴流8と流れ落ちる滞留部9に大きな温度差はないので、特許文献1のように画像処理で輝度値に基づき噴流8の直径を求めようとすると、両者を自動分別することは極めて困難であり、滞留部9を含めた発光部分を噴流8の直径であると誤認識することとなる。
出銑樋始端部に垂れ落ちて滞留する量は一定ではなく、それゆえ樋滞留部9として観察されるサイズは時々刻々変化するので、正確な出銑口径を知ることができない。
本発明は、上記問題を解決し、撮像した画像から樋滞留部を分離し、正確に溶銑・溶融スラグ噴流の直径を測定することのできる高炉出銑口径の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明者が高炉出銑口から流出する噴流の熱放射輝度2次元分布を図1に示す要領で高速シャッター付き固体撮像装置を用いて静止画像として撮像したところ、図2に示すように、噴流表面の放射輝度は一様ではなく、放射輝度の低い部分と放射輝度の高い部分とに明確に分離されることがわかった。放射輝度の低い部分と高い部分とは噴流8の表面でまだら模様を形成している。出銑口4から流出する噴流8は溶銑と溶融スラグとの混合物であり、両者はほぼ同温度であることから、放射輝度の低い部分は放射率の低い溶銑であり、放射輝度の高い部分は放射率の高い溶融スラグであるものと推定することができる。即ち、高炉出銑口4から流出する噴流8は溶銑とスラグが渾然一体として存在するのではなく、溶銑部分とスラグ部分とが明確に分離してまだら状に混在することが明らかとなった。ただし、噴流の流速は高速であるから、噴流表面のまだら模様を必要な解像度で撮像するためには、露光時間が短い高速シャッターで撮像する必要がある。
噴流表面のまだら模様は、噴流8の流速と等しい速度である毎秒5〜10mの速度で模様が移動していく。従って、撮像画像中で空間に固定した任意の微小画像範囲においては、ある瞬間には輝度の低い溶銑が撮像されていても、短い時間間隔で撮像された別の瞬間には輝度の高い溶融スラグが撮像されている確率が高い。
これに対し、樋に垂れ落ちた滞留部9の溶銑・溶融スラグは、流れが遅いゆえに表層は比重の軽い溶融スラグになるので、表面には顕著な模様はなく、なおかつ移動(形の変化)も噴流に比較すると極めて低速である。従って、短い時間間隔で撮像された2枚の画像における同一箇所の任意の画素を比較すると、両者に輝度の違いが発生することは少ない。
以上のとおり、高速シャッター付き固体撮像装置を用いて短い時間間隔で撮像した2枚の画像に関し、同一の空間位置における輝度変化を観察すると、噴流8については輝度が大きく変化している確率が高いのに対し、滞留部9については輝度がほとんど変化しないこととなる。このような輝度時間変化の性質の相違を利用することにより、画像から噴流部のみを抽出することが可能となる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)高炉出銑口4から流出する溶銑・溶融スラグ噴流8の熱放射輝度2次元分布を、露光時間が1m秒以下である高速シャッター付き固体撮像装置で複数枚撮像し、複数の画像間で輝度の差分を計算して差分絶対値画像を生成し、この差分絶対値画像に基づいて、高炉出銑口径に等しい溶銑・溶融スラグ噴流8の直径を測定することを特徴とする高炉出銑口径の測定方法。
(2)前記差分絶対値画像は、予め定めた閾値に基づき、差分を2値化することを特徴とする上記(1)に記載の高炉出銑口径の測定方法。
(3)前記差分絶対値画像を異なった時間組み合わせで2以上生成し、生成した複数の差分絶対値画像を加算することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の高炉出銑口径の測定方法。
)高炉出銑口4から流出する溶銑・溶融スラグ噴流8の熱放射輝度2次元分布画像を撮像する固体撮像装置1と、得られた複数の画像間で輝度の差分を計算して差分絶対値画像を生成し、この差分絶対値画像に基づいて、高炉出銑口径に等しい溶銑・溶融スラグ噴流の直径を算出する画像処理装置2とを有し、固体撮像装置1は露光時間が1m秒以下である高速シャッターで撮像することを特徴とする高炉出銑口径の測定装置。
本発明により、高炉出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ混合噴流が、樋に滞留する溶銑・溶融スラグ部分と重なって撮像された画像から、滞留部を取り除き、純粋に噴流部分のみを取り出すことができるので、噴流の直径を正確に把握することが可能となる。計算機での画像処理の特徴として、リアルタイムで連続的な測定が可能である。出銑口径の変化、推移を迅速かつ正確に把握できるようになり、高炉操業をより安定させることができる。
従来、高炉の出銑口から流出する噴流については、溶銑と溶融スラグとが微細に懸濁した噴流であると考えられていた。また、出銑流を肉眼で観察し、あるいは通常のシャッター速度で出銑流を撮影した画像においても、出銑流の表面は一様であると観察され、その表面において溶銑と溶融スラグとが分離して存在するまだら構造であることを認識することができなかった。
ところが、本発明者らが図1に示すように、高炉出銑口6から流出する噴流5の熱放射輝度分布を露光時間が極めて短い高速シャッターを用いて静止画像として撮像したところ、前述のとおり、噴流表面の放射輝度は一様ではなく、図2に示すように、放射輝度の低い部分と放射輝度の高い部分とに明確に分離されることがわかった。図2において、A部分が噴流8の領域であり、B部分が滞留部9の領域である。出銑口4から流出する噴流8は溶銑と溶融スラグとの混合物であり、両者はほぼ同温度であることから、放射輝度の低い部分は放射率の低い溶銑であり、放射輝度の高い部分は放射率の高い溶融スラグであるものと推定することができる。即ち、高炉出銑口4から流出する噴流8(図2のA部分)は溶銑とスラグが渾然一体として存在するのではなく、溶銑部分とスラグ部分とが明確に分離して存在し、噴流の表面はまだら模様を呈していることが明らかになった。
図2の画像は、図1に示すように、固体撮像装置の一種であるモノクロCCDカメラを用いて噴流8を短い露光時間(1/10000秒)で露光して静止画像として撮像したものである。噴流8を分解能約0.4mmで観察している。噴流8の直径は高炉ごとに異なるが、例えば70〜120mmの範囲で変化する。
図2の画像のように極めて短い露光時間で撮像した溶融物像を調査したところ、溶融物表面の不規則なまだら模様は、マクロな形状を形成する明部と暗部の間隔が凡そ10mm程度であり、明部をミクロに見たときの細部には2〜3mm程度の線や点もあることが分かった。一方、流出する溶融物は5〜10m/秒程度で移動している。従って、まだら模様を観察するためには露光時間を1m秒以下にする必要がある。露光時間が1m秒より長くなると像流れによりまだら模様が不明瞭になる。露光時間を0.2m秒以下にすると模様細部も像流れなく捉えられるのでより好ましい。なお、露光時間が短すぎると固体撮像素子への入射光量不足で画像が不鮮明になる。最短露光時間は撮像素子の感度によって決められる。当然ながら、溶融物表面のまだら模様の細部を捉えるためには2mm以下の分解能で撮像すると好ましい。
上述のとおり、出銑口から流出する噴流は5〜10m/秒程度の速度で移動しているので、噴流表面のまだら模様も同じ速度で移動している。従って、撮像画像中で空間に固定した任意の微小画像範囲においては、ある瞬間には輝度の低い溶銑が撮像されていても、短い時間間隔で撮像された別の瞬間には輝度の高い溶融スラグが撮像されている確率が高い。異なった時刻に撮像した2枚の噴流画像について、各画素毎に、輝度の差分を計算して差分絶対値画像を生成すると、画像内の噴流8の部分については、一定の割合で溶銑と溶融スラグの輝度差を有する部分が存在することとなる。
これに対し、樋に垂れ落ちた滞留部9の溶銑・溶融スラグ(図2のB部分)は、流れが遅いゆえに表層は比重の軽い溶融スラグになるので、表面には顕著な模様はなく、なおかつ移動(形の変化)も噴流に比較すると極めて低速である。従って、短い時間間隔で撮像された2枚の画像における同一箇所の任意の画素を比較すると、両者に大きな輝度の差分が発生することは少ない。
図3(a)は、任意の時間に撮像した噴流8と滞留部9とが重なって撮像された出銑口熱画像(画像1)である。図3(b)は、図3(a)とは異なった時刻に撮像された出銑口熱画像(画像2)である。
図3(c)は、画像1と画像2との輝度の差分絶対値画像を生成したものである。ここでは、差分絶対値画像は、予め定めた閾値に基づき、差分を2値化している。差分が閾値を超えた場合には白、閾値を超えない場合には黒に2値化した。ある画素において、画像1と画像2の一方が溶銑、他方が溶融スラグであった場合、輝度の差分絶対値が閾値を超えており、両方とも溶銑、あるいは両方とも溶融スラグの場合には差分が閾値を超えないよう、閾値が定められている。
図3(c)から明らかなように、噴流8の領域においては、白と黒とのまだら模様となっている。それに対し、滞留部9の領域においては、すべての部分が黒となっている。滞留部9では流れが非常にわずかであるため、いずれの画素においても画像1と画像2との差分絶対値は小さな値であり、閾値を超えなかったためである。即ち、白と黒のまだら模様の存在する範囲が、噴流8の領域であるということができる。
図3(c)の段階では、噴流8の領域の中で白色の領域が占める面積率はまだ十分ではなく、これでは正確に噴流8の外縁を把握することは難しい。ところで、画像1と画像2の一方又は両方を別の時刻に撮像した画像に置き換えれば、差分絶対値画像の白色領域はまったく異なった位置に描かれる。従って、異なった時刻に撮像した画像の差分絶対値画像を加算し、加算に際して白色が1回でも登場した領域は白色として登録していけば、噴流8の領域は白色領域が増加していき、ついには図4に示すように、噴流8の領域については白色領域が黒色領域を取り囲むようになる。図4は、10枚の差分絶対値画像を加算した結果である。白色領域に取り囲まれた黒色領域を白色で穴埋めすることにより、図5に示すように噴流8の領域がすべて白色となった画像が得られる。
最終的に溶銑・溶融スラグ噴流の直径を測定するため、図5の破線のように噴流8の移動方向に直交するように予め測定位置を指定しておき、破線上で白色部の長さを画素数としてカウントする。画像上での画素数と実際の距離(長さ)との関係は撮像装置観察距離とレンズ画角で決まるので、この関係を予め求めておけばよい。
上記穴埋め処理に際しては、通常の画像演算手法のうち、膨張・収縮の組み合わせを用いることができる。2値化画像の膨張処理は、0と1に2値化した画像において値1を有する画素の周囲を1画素分太くする処理であり、収縮処理は値1を有する画素の塊の外縁を1画素分細める処理である。膨張と収縮を組み合わせることにより、図形の細かい凹凸や溝の除去が可能となる。なお、膨張をN回適用し、その後収縮をN回適用することもできる。図4の図形に対して膨張を5回適用し、その後収縮を5回適用したのが図5である。膨張・収縮処理に関しては、例えば「画像解析ハンドブック」(財団法人東京大学出版会発行)を参照することができる。
上記実施の形態においては、差分絶対値画像は、予め定めた閾値に基づき、差分を2値化した。これに対し、2値化を行わず、差分絶対値画像をそのまま用いることとしてもよい。また、生成した複数の差分絶対値画像を加算することなく、1枚の差分絶対値画像から噴流8の直径を直接読み取ることも可能である。
噴流8の表層は平坦ではなく、噴流8を撮像した画像において噴流8の外縁がさざ波状の凹凸を呈していることがある。この凹凸は噴流8の移動とともに移動する。従って、ある瞬間の撮像画像においてさざ波の凸部が撮像されていた画素において、次の撮像タイミングには噴流8の領域から外れ、暗い背景が映っていることがある。背景部の輝度と噴流部の輝度との差分は、差分絶対値画像を生成する際の閾値よりも大きいことが多いので、この画素では差分が閾値を超え、2値化した際には白色の領域となる。このため、噴流8の外縁付近では、さざ波の凸部が噴流領域として認識されるので、測定された噴流8の直径は噴流8の平均直径よりも若干大きな値となる傾向にある。ただし、測定直径と実平均直径との間の相違は常に一定に保たれるので、出銑口口径の時間的な変化推移を観察する上では弊害とはならない。
高炉出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ噴流の直径を測定する目的で、本発明を適用した。
溶銑・溶融スラグ噴流の熱放射輝度2次元分布画像を撮像する固体撮像装置1として、モノクロCCDカメラを使用した。得られる画像の画素数は600×500画素である。図1に示すように、出銑口4から流出する溶銑・溶融スラグ噴流8を斜め上方から観察した。出銑樋5の土手6によって噴流8の視野が欠けないように撮像した。溶銑・溶融スラグ噴流の熱画像が画像視野3の中央に位置するようにカメラの観察方向を調整して設置した。画像の1画素が溶銑・溶融スラグ流の実際のサイズで0.4mmに相当することを予め確認した。
固体撮像装置1から出力される熱画像信号は操作室の画像処理装置2に伝送される。画像処理装置2は、具体的には画像入力ボードを備えたパソコンである。
撮像に際し、露光時間を1/10000秒とする高速シャッター速度を採用した。これにより、図2に示すような熱画像が得られる。また、固体撮像装置1は毎秒30フレーム(33m秒周期)の画像信号を出力しているが、画像処理装置2には3秒間隔で33m秒周期20枚の画像を取り込むようにした。この20枚の熱画像を用い、出銑口径を1回計算する。従って、出銑口径の測定周期は3秒である。
画像処理装置2においては、撮像タイミングが連続する2枚の熱画像間で差分絶対値を演算し、予め設定した固定閾値を用いて2値化する。閾値は、溶銑の輝度と溶融スラグの輝度の差の絶対値よりも小さい値として設定される。差分絶対値画像の各画素において、差分絶対値が閾値よりも大きいときには白色とし、閾値よりも小さいときには黒色とする。各時間タイミング毎に撮像された熱画像間で順次処理をおこない、19枚の差分絶対値画像を生成する。これらすべての差分絶対値画像を加算する。加算において、19枚のうち1枚でも白色が存在する画素は白色となり、それ以外の画素は黒色となる。加算した画像について、膨張・収縮による穴埋め処理を実行する。膨張を5回繰り返し、その後収縮を5回繰り返した。その結果、図5に示すような溶銑・溶融スラグ噴流のみが抽出された2値化画像が得られる。
画像処理装置2において、得られた2値化画像に基づいて溶銑・溶融スラグ噴流8の直径を測定する。2値化画像の白色部が直径となる。予め指定しておいた噴流進行方向に直交するラインで白色部の長さの画素数をカウントし、1画素を0.4mmに変換すればよい。
以上のようにして測定された溶銑・溶融スラグ噴流8の直径が出銑口径とされる。出銑口径算出結果はパソコン画面に瞬時値およびトレンドグラフとして表示されるとともに、パソコン内部の記憶装置に保存される。
本発明方法で出銑中の出銑口径の時間推移を測定した結果の一例を図6に示す。時間の経過とともに出銑口径が拡大していく様子がわかる。なおこのグラフは3秒周期の測定データをスムージングしている。このように出銑口径を自動で連続的に測定できることが本発明の特徴である。画像処理装置2には1分周期で生画像を保存する機能を持たせているので、生画像を人が確認した出銑口径と自動処理したそれとが一致していることが確認できている。
溶銑・溶融スラグ噴流を撮像装置で撮像する様子を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は噴流に直交する断面でみた図である。 高速シャッターで撮像した噴流の撮像画像である。 撮像画像に基づいて噴流部分を抽出する様子を示す図であり、(a)はある瞬間の撮像画像(画像1)、(b)は別の瞬間の撮像画像(画像2)、(c)は画像1と画像2の差分絶対値画像である。 噴流の差分絶対値画像を複数枚加算した画像である。 図4に示す画像に対し、膨張・収縮処理による穴埋めを行った画像である。 出銑口径の測定結果の時間的推移を示す図である。
符号の説明
1 固体撮像装置
2 画像処理装置
3 撮像視野
4 出銑口
5 出銑樋
6 土手
7 樋カバー
8 溶銑・溶融スラグ噴流
9 滞留部

Claims (4)

  1. 高炉出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ噴流の熱放射輝度2次元分布を、露光時間が1m秒以下である高速シャッター付き固体撮像装置で複数枚撮像し、得られた複数の画像間で輝度の差分を計算して差分絶対値画像を生成し、この差分絶対値画像に基づいて、高炉出銑口径に等しい前記溶銑・溶融スラグ噴流の直径を測定することを特徴とする高炉出銑口径の測定方法。
  2. 前記差分絶対値画像は、予め定めた閾値に基づき、差分を2値化することを特徴とする請求項1に記載の高炉出銑口径の測定方法。
  3. 前記差分絶対値画像を異なった時間組み合わせで2以上生成し、生成した複数の差分絶対値画像を加算することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉出銑口径の測定方法。
  4. 高炉出銑口から流出する溶銑・溶融スラグ噴流の熱放射輝度2次元分布画像を撮像する固体撮像装置と、得られた複数の画像間で輝度の差分を計算して差分絶対値画像を生成し、この差分絶対値画像に基づいて、高炉出銑口径に等しい溶銑・溶融スラグ噴流の直径を算出する画像処理装置とを有し、前記固体撮像装置は露光時間が1m秒以下である高速シャッターで撮像することを特徴とする高炉出銑口径の測定装置。
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