JP6795045B2 - 溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法 - Google Patents

溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶鋼流中のスラグ検出方法に関する。
本願は、2017年2月14日に日本に出願された特願2017−025441号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
転炉から取鍋への出鋼の際、転炉を傾動させ転炉から取鍋に向かって溶鋼流を流出させるのが一般的である。この際、スラグを転炉内に残留させ、溶鋼のみを転炉から取鍋に流出させることが理想的である。しかしながら、転炉から取鍋に向かって流出する溶鋼流中には、出鋼初期においては実質的に溶鋼のみが存在するものの、出鋼中期から出鋼末期においては溶鋼とスラグとが存在するのが一般的である。このため、スラグの流出を抑制しようとすると、転炉内の溶鋼の残留量が増大し、歩留まりが低くなるおそれがある。
一方、転炉内の溶鋼の残留量を低減しようとすると、溶鋼と共にスラグが取鍋に向かって流出するため、取鍋内にスラグが多く存在することとなる。その結果、取鍋からのスラグの吹きこぼれが発生したり、後工程である2次精錬工程において溶鋼の成分外れが発生する等の問題が生じるおそれがある。
そこで、転炉から取鍋に向かって流出する溶鋼流中のスラグを検出すると共にスラグの流出量を定量化して、このスラグ流出量を転炉の出鋼操業において要求される範囲に制御することが望まれている。
スラグの放射率は溶鋼の放射率よりも高いため、溶鋼流を撮像すると、スラグが存在する部位では、スラグが存在しない溶鋼のみの部位に比べて明るく撮像される。換言すれば、溶鋼流を撮像して得られた撮像画像におけるスラグに対応する画素領域の濃度(グレイレベル)は、溶鋼に対応する画素領域の濃度に比べて大きくなる。この原理を用いてスラグを検出する技術として、例えば特許文献1及び2に記載の方法がある。
特許文献1は、溶鋼流(タップストリーム)を撮像し、撮像画像の画素領域が予め手動で設定した濃度(グレイレベル)の範囲内にあるか否かで、溶鋼に対応する画素であるかスラグに対応する画素であるかを決定し、スラグに対応する画素の数を、スラグに対応する画素の数と溶鋼に対応する画素の数との和で除算して得られた値が所定のしきい値を超えた場合にタッピングを停止する方法を開示している。
すなわち、特許文献1の上記方法では、撮像画像における、予め手動設定した濃度範囲内にある画素領域がスラグに対応する画素領域であると判定することで、溶鋼流中のスラグを検出している。
しかしながら、溶鋼流の温度は、鋼種または出鋼操業の条件に応じて、例えば100℃以上も変化する。この場合、撮像画像における、溶鋼およびスラグに対応する画素領域の濃度も大きく変化することとなる。したがって、特許文献1の上記方法では、上記所定のしきい値として固定値を用いるため、転炉の出鋼操業の条件等が変化した場合、精度良くスラグを検出することが難しい。
特許文献2は、溶鋼流を撮像して得られた撮像画像について、濃度(輝度)を横軸とし、画素数を縦軸とした濃度(輝度)ヒストグラムを作成し、この濃度ヒストグラムを用いてスラグを検出する方法を開示している。具体的には、特許文献2の上記方法では、濃度ヒストグラムにおける、画素数が最大である最大ピーク点(最大ピーク位置)が溶鋼に対応するとみなし、最大ピーク点の横軸方向のバラツキσを考慮した濃度値(輝度値)N1以上の画素を溶鋼と判定すると共に、濃度値N1にバイアス値Bを加算した濃度値(輝度値)N2以上の画素をスラグと判定している。
特許文献2の上記方法によれば、撮像画像における、溶鋼およびスラグに対応する画素領域の濃度が例えば鋼種に応じて大きく変化した場合、最大ピーク点も変化し、この変化に応じてスラグに対応する画素領域を検出するための濃度値N2が自動的に変更されることになると考えられる。このため、特許文献2の上記方法によれば、特許文献1の上記方法のような固定のしきい値(濃度範囲)を用いる場合に生じ得る前述のような問題をある程度解決可能であると考えられる。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、濃度ヒストグラムにおける最大ピーク点が必ずしも溶鋼に対応するとは限らず、スラグに対応する場合もあることが分かった。したがって、最大ピーク点が常に溶鋼に対応するとみなして、濃度値N2を決定する特許文献2の上記方法では、精度良くスラグを検出することが難しい。
日本国特開2001−107127号公報 日本国特開2006−213965号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、転炉等における出鋼操業の条件等が変化した場合であっても、溶鋼流中のスラグを精度良く検出可能な溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った。
まず、本発明者らは、赤外光域に主感度を有する熱画像カメラ(サーモグラフィ)を撮像手段として用い、出鋼初期、出鋼中期、および出鋼末期に亘る各種の溶鋼流を撮像し、多数の撮像画像を得た。そして、これらの撮像画像の各々について、温度を横軸とし、画素数を縦軸としたヒストグラムを作成したところ、例えば1000〜2000℃の横軸の温度域において、縦軸の画素数が最大値である最大ピーク点が存在する場合があり、当該最大ピーク点が低温側に位置する場合もあれば、当該最大ピーク点が高温側に位置する場合もあることを見出した。
次いで、本発明者らは、溶鋼流中にスラグが存在しない場合または極めて少量しか存在しない場合(例えば、出鋼初期〜出鋼中期)には、ヒストグラムにおいて、最大ピーク点は溶鋼に対応してかつ低温側に位置することを見出すと共に、スラグが多量に存在する場合(例えば、出鋼末期において目視で容易に観察できる程度に溶鋼流中にスラグが存在する場合)には、最大ピーク点はスラグに対応してかつ高温側に位置することを見出した。しかしながら、前述のように、溶鋼流の温度は鋼種または出鋼操業の条件に応じて変化する。そのため、固定のしきい値を用いて、最大ピーク点が当該固定のしきい値の低温側および高温側のどちらに位置するかを判定することで、最大ピーク点が溶鋼およびスラグのどちらに対応するかを判定した場合、精度良くスラグを検出することは難しい。
そこで、本発明者らは更に鋭意検討を行った結果、溶鋼流中にスラグが存在しない場合または溶鋼流中にスラグが極めて少量しか存在しない場合、最大ピーク点の温度変化量が小さい(例えば、0.2秒当たりの温度変化量が100℃未満である)ことを見出した。具体的には、転炉で精錬された溶鋼は、一般に、精錬時に転炉内で上吹き又は上底吹きの吹錬により攪拌されているため、温度バラツキが小さい。そのため、転炉から流出する溶鋼流は温度バラツキが小さく、例えば0.2秒当たりの温度変化量が100℃未満である。
そして、本発明者らは、溶鋼に比べてスラグは白色度合い(輝度)が高い(溶鋼の放射率に比べてスラグの放射率が概ね1.5倍程度である)ために、溶鋼の放射率で温度を測定した際、スラグの温度は実温度よりも見かけ上は少なくとも100℃以上、多くの場合は数百℃程度(例えば300〜600℃)高い温度で検出される現象に着目した。当該現象を利用すれば、実際の温度が同程度である溶鋼とスラグ(すなわち、転炉から流出する、溶鋼とスラグを含む溶鋼流)について、溶鋼とスラグの見かけの相対温度差を顕著とすることができ、この見かけの相対温度差を用いれば、溶鋼流中のスラグを精度良く検出できることを見出した。
上記の知見に基づき、本発明は、上記課題を解決するために以下を採用する。
(1)本発明の一態様に係る溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法は、転炉から取鍋に向かって流出する、溶鋼及びスラグを含む溶鋼流を逐次撮像して複数の撮像画像を取得するものであって、溶鋼のみが流出されているときから撮像を開始する撮像工程と;前記各撮像画像を構成する各画素の濃度に対応する濃度パラメータを横軸とし、前記濃度パラメータを持つ前記画素の合計数である画素数を縦軸とするヒストグラムを前記各撮像画像について作成するヒストグラム作成工程と;前記各ヒストグラムについて、前記画素数が最大値である最大ピーク点を検出する最大ピーク点検出工程と;前記各ヒストグラムの最大ピーク点が、前記スラグまたは前記溶鋼のいずれに対応するかを判定する最大ピーク点種別判定工程と;を有し、前記最大ピーク点種別判定工程でn枚目(n≧2)の撮像画像のヒストグラムの最大ピーク点Pnを判定する際:n−1枚目の撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pn−1の濃度パラメータTn−1に対する、前記最大ピーク点Pnの濃度パラメータTnの変化量ΔTが所定値以上である場合、前記最大ピーク点Pnが前記スラグに対応すると判定し;一方、前記変化量ΔTが前記所定値未満の場合、最大ピーク点が前記溶鋼と判定されたj枚目(j≦n−1)の撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pjの濃度パラメータTjに対する前記濃度パラメータTnの変化量ΔT’が前記所定値以上であれば、前記最大ピーク点Pnが前記スラグに対応すると判定し、前記変化量ΔT’が前記所定値未満であれば、前記最大ピーク点Pnが前記溶鋼に対応すると判定する。
(2)上記(1)に記載の態様において、前記最大ピーク点種別判定工程で、前記最大ピーク点Pjとして、前記n枚目の撮像画像よりも前に取得され且つ前記n枚目の撮像画像に最も取得順序が近いと共に最大ピーク点が前記溶鋼と判定された撮像画像でのヒストグラムにおける最大ピーク点を用いてもよい
本発明の上記各態様によれば、転炉等における出鋼操業の条件等が変化した場合であっても、溶鋼流中のスラグを精度良く検出することができる。
本発明の一実施形態に係るスラグ検出方法に用いられるスラグ検出装置の概略構成を示す模式図である。 上記スラグ検出方法の概略手順を示すフロー図である。 図2に示す最大ピーク点種別判定工程ST4の概略手順を示すフロー図である。 図2に示す撮像工程ST1において取得される撮像画像の一例を示す図である。 図2に示すヒストグラム作成工程ST2において、図4Aの撮像画像に基づいて作成されたヒストグラムを示す図である。 図2に示す撮像工程ST1において取得される撮像画像の一例であって、図4Aと異なる例を示す図である。 図2に示すヒストグラム作成工程ST2において、図5Aの撮像画像に基づいて作成されたヒストグラムを示す図である。 所定値Th1の決定方法の一例を説明するための図である。 図2に示す最大ピーク点種別判定工程ST4を説明するための図である。 図2に示す第1判定工程ST5において決定される第1しきい値を説明するための図である。 図2に示す撮像工程ST1において取得される撮像画像の一例であって、図4A及び図5Aと異なる例を示す図である。 図2に示すヒストグラム作成工程ST2において、図9Aの撮像画像に基づいて作成されたヒストグラムを示す図であって、第2判定工程ST6において決定される第2しきい値を説明するための図である。 特許文献2に記載のスラグ検出方法を説明するための図である。 図10Aのヒストグラムの作成に用いられた撮像画像を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る溶鋼流中のスラグ検出方法(以下、単に「スラグ検出方法」とも言う)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一符号を付すことにより、それらの重複説明を省略する。
まず、本実施形態に係るスラグ検出方法に用いられるスラグ検出装置100の構成について説明する。
<本実施形態に係るスラグ検出装置100の構成>
図1は、スラグ検出装置100の概略構成を示す模式図である。なお、図1において、溶鋼M及びスラグSを収容する転炉3は断面で示している。
図1に示すように、スラグ検出装置100は、転炉3から取鍋4への出鋼の際、傾動させた転炉3の出鋼口31から取鍋4に向かって流出する溶鋼流F中のスラグSを検出するために用いられる。
ここで、転炉3から取鍋4へ出鋼する前の状態(すなわち、転炉3を傾ける前の状態)では、転炉3内において、溶鋼MとスラグSとがある程度分離している(転炉3内の溶鋼Mの表面上にスラグSが位置している)。そのため、転炉3を傾けると、転炉3の側面に設けられた出鋼口31から溶鋼Mが最初に流出し、その後のある時点からスラグSが流出し始める。すなわち、出鋼初期における溶鋼流Fは主として溶鋼Mからなるが、例えば出鋼中期〜出鋼末期における溶鋼流FはスラグS及び溶鋼Mを含む。
スラグ検出装置100は、転炉3の出鋼口31から取鍋4に向かって略鉛直に流出する溶鋼流Fを略水平方向から撮像する撮像手段1と、この撮像手段1に接続された画像処理手段2とを備えている。
撮像手段1としては、例えば、赤外光域に主感度を有する熱画像カメラ(サーモグラフィ)、または可視光域に主感度を有するCCDカメラなどを用いることができる。これら熱画像カメラ(サーモグラフィ)および上記CCDカメラとしては、例えば市販のものを用いることができる。
本実施形態では、撮像手段1として、赤外光域に主感度を有する熱画像カメラを用いている。なお、本実施形態のように熱画像カメラ(サーモグラフィ)を用いる場合、撮像画像における画素領域の温度又は濃度(温度に換算する前の濃度)の値を算出可能である。一方、CCDカメラを用いる場合、当該画素領域の濃度の値を算出可能である。
画像処理手段2は、例えば、後述のヒストグラム作成工程ST2等を実行するための所定のプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータから構成される。なお、画像処理手段2は、撮像手段1で得られた撮像画像を表示するためのモニターを有している。
本実施形態に係るスラグ検出方法はスラグ検出装置100を用いて実行される。以下、本実施形態に係るスラグ検出方法について説明する。
<本実施形態に係るスラグ検出方法>
図2は、本実施形態に係るスラグ検出方法の概略手順を示すフロー図である。また、図3は、図2に示す最大ピーク点種別判定工程ST4の概略手順を示すフロー図である。
本実施形態に係るスラグ検出方法は、転炉3から取鍋4に向かって流出する、溶鋼M及びスラグSを含む溶鋼流Fを撮像手段1によって逐次撮像して得られる複数の撮像画像に基づき、溶鋼流F中のスラグSを検出する方法であって、図2に示すように、撮像工程ST1と、ヒストグラム作成工程ST2と、最大ピーク点検出工程ST3と、最大ピーク点種別判定工程ST4と、第1判定工程ST5と、第2判定工程ST6とを有している。
以下、各工程の内容について、順次説明する。
(撮像工程ST1)
撮像工程ST1では、撮像手段1によって、転炉3から取鍋4に向かって流出する溶鋼流Fを逐次撮像して複数の撮像画像を取得する(図1参照)。
本実施形態では、撮像手段1として熱画像カメラを用いているため、撮像工程ST1で取得される撮像画像は、撮像画像を構成する各画素の濃度を所定の換算式で温度に換算したものになる。すなわち、撮像工程ST1で取得される撮像画像は、画素毎に検出した温度の値を有する。
撮像手段1の視野は、溶鋼流Fの流出位置および広がりの変動の影響を受けないように、溶鋼流Fのみならず背景も含む広い視野に設定されている。背景が含まれるように撮像手段1の視野が設定されていても、背景の温度は溶鋼流Fの温度よりも低いため、後述の最大ピーク点検出工程ST3において、溶鋼流Fに対応する画素領域と背景に対応する画素領域とを識別可能である。なお、撮像手段1の視野は、溶鋼流Fのみが撮像されるように予め狭く調整してもよい。しかしながら、溶鋼流Fの流出位置および広がりは、転炉3の傾動角度等に応じて(出鋼口31の位置等に応じて)、ある程度変動するのが一般的である。このため、出鋼初期、出鋼中期、および出鋼末期のいずれにおいても溶鋼流Fのみが撮像されるように撮像手段1の視野を調整することは作業の手間を要する。したがって、撮像手段1の視野は、背景も含む広い視野に設定することが好ましい。
撮像手段1の撮像タイミングについては、取得した複数の撮像画像のうちの少なくとも1枚が、溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像して得られたものである必要がある。すなわち、少なくとも1枚は出鋼初期において撮像する必要がある。この理由については後述する。その他の撮像タイミングは、特に限定されるものではないが、スラグSを検出する時間分解能を高める上では、撮像手段1に設定されている走査周期(フレームレートの逆数)毎に連続的に撮像することが好ましい。
なお、上述の撮像タイミングに関し、転炉3内のスラグ量及び溶鋼量は推定可能であり、さらに、転炉3をどの程度傾動させれば溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fが流出するかを幾何学的に推定可能である。また、目視で溶鋼流Fが溶鋼Mを主体としたものであるか否かを確認可能である。これらに基づいて、出鋼口31から排出されている、溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像することが可能である。
撮像手段1によって得られた複数の撮像画像は、画像処理手段2に記憶される。
(ヒストグラム作成工程ST2)
ヒストグラム作成工程ST2では、画像処理手段2が、撮像工程ST1で取得した複数の撮像画像の各々に画像処理を施し、各撮像画像を構成する各画素の濃度に対応する濃度パラメータを横軸とし、この濃度パラメータを持つ画素の合計数である画素数を縦軸とするヒストグラムを作成する。ヒストグラムは1枚の撮像画像毎に作成しても良いし、連続する複数枚の撮像画像を平均化した平均画像について作成しても良い。なお、当該平均画像を用いる場合、撮像手段1の視野内の溶鋼流Fに対応する画素領域の長さLを溶鋼流Fの速度Vで除算して得られた時間(=L/V)内で連続する複数枚の撮像画像を平均化することが望ましい。
上記の濃度パラメータとしては、濃度そのものの他、温度を例示できる。本実施形態のように撮像手段1が熱画像カメラである場合、横軸が温度又は濃度(温度に換算する前の濃度)であるヒストグラムを作成可能である。一方、撮像手段1がCCDカメラである場合、横軸が濃度であるヒストグラムを作成可能である。
ここで、本明細書における「濃度」とは、例えば256階調の画像の明暗(すなわち、画像上の輝度)のことを指す。そして、この濃度と、溶鋼流における熱放射輝度との関係は、リニアな関係にある。
上述のように本実施形態では撮像手段1として熱画像カメラを用いているため、上記の濃度パラメータとして温度を用いる(すなわち、本実施形態では、ヒストグラムの横軸は温度である)。
本実施形態では、前述のように、撮像手段1の視野が、溶鋼流Fのみならず背景も含むように設定されている。このため、ヒストグラムの作成に際して、画像処理手段2は、撮像画像における、所定のしきい値(例えば、1000℃)以上の温度を有する画素領域が溶鋼流Fに対応する画素領域であると判定し、この画素領域を対象としてヒストグラムを作成する(すなわち、横軸である温度が前記所定のしきい値未満の画素領域についてはヒストグラム作成の対象としない)。これにより、ヒストグラムに及ぼす背景の影響を回避することが可能である(背景に対応する画素数が最大値にならない)。
なお、画像処理手段2は、背景に対応する画素領域も含んだ撮像画像全体についてヒストグラムを作成し、後述の最大ピーク点検出工程ST3における最大ピーク点の検出範囲から、所定のしきい値(例えば、1000℃)未満の温度を除外することで、背景の影響を回避しても良い。
図4A〜図5Bは、撮像工程ST1において取得される撮像画像の例、及びヒストグラム作成工程ST2において作成されるヒストグラムの例を示す図である。
具体的には、図4Aは、例えば出鋼初期に撮像工程ST1において取得される、溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fの撮像画像の一例を示す図である。なお、図4Aは、撮像手段1の走査周期毎に連続的に取得した5枚の撮像画像を平均化した平均画像である(撮像画像の分解能は、約3cm/画素である)。
また、図5Aは、例えば出鋼中期に撮像工程ST1において取得される、スラグSを主体とした溶鋼流Fの撮像画像の一例を示す図である。なお、図5Aは、撮像手段1の走査周期毎に連続的に取得した5枚の撮像画像(図4Aの元になった5枚の撮像画像の次に連続的に取得した5枚の撮像画像)を平均化した平均画像である(撮像画像の分解能は、約3cm/画素である)。また、図5Aにおいて太破線で囲まれた画素領域は、後述の第1判定工程ST5においてスラグSに対応すると判定された画素の領域であり、スラグSが存在すると考えられる画素領域である。
図4A及び図5Aでは、撮像画像(平均画像)における溶鋼流Fに対応する画素領域とその近傍に位置する背景に対応する画素領域についてのみ部分的に切り出して表示している。すなわち、実際に取得される撮像画像は、図4A及び図5Aに示す撮像画像よりも、紙面左右方向の画素領域が広くなっている。
また、図4A及び図5Aに示す撮像画像は図示の都合上、モノクロ表示となっているが、実際には、画像処理手段2が具備するモニターにおいて、各画素の温度に応じて異なる色が付されて表示される。すなわち、溶鋼流Fに対応する画素領域の温度は、背景に対応する画素領域の温度よりも高いため、撮像工程ST1で得られる実際の撮像画像では、その高い温度に対応する色が色付けされている。
また、溶鋼流Fに対応する画素領域のうち、図5Aに示すスラグSが存在する画素領域(図5Aで太破線で囲まれた領域)の温度(見かけの温度)は、図4Aに示す実質的に溶鋼Mのみが存在する画素領域の温度(見かけの温度)よりも高くなっており、その高い温度に対応する色が色付けされている。なお、転炉3から排出される溶鋼流Fにおいて、スラグSが存在する画素領域に対応する部位の実際の温度(実温度)と、実質的に溶鋼Mのみが存在する画素領域に対応する部位の実際の温度(実温度)とは、同等の値であると考えられる。この理由は、上述のように、精錬時に上吹き又は上底吹きの吹錬で攪拌されることで温度バラツキが抑制された、転炉3内の溶鋼M及びスラグSが溶鋼流Fとして転炉3外へ排出されるためである。
一方、上述のように、スラグSの放射率が溶鋼Mの放射率よりも高いため、撮像手段1における放射率の設定を何れの画素についても同じ値に設定する場合、取得された撮像画像においては、スラグSが存在する画素領域の温度は、実質的に溶鋼Mのみが存在する画素領域の温度よりも高く測定される。後述の図9Aについても同様である。
図4Bは、図4Aに示す撮像画像(平均画像)について作成したヒストグラムを示す図である。図4Bのヒストグラムの作成に際しては、背景の影響を回避するため、横軸の温度範囲を所定のしきい値(1000℃)以上とし(ただし、画素数の分布に特徴が見られなかった1400℃未満については図示省略)、横軸を10℃ピッチで区分し、縦軸を各区分の温度を有する画素の数としている。
図5Bは、図5Aに示す撮像画像(平均画像)について、図4Bと同様に作成したヒストグラムを示す図である。
(最大ピーク点検出工程ST3)
最大ピーク点検出工程ST3では、画像処理手段2が、ヒストグラム作成工程ST2で作成した各ヒストグラムについて、画素数が最大値である最大ピーク点を検出する。図4B及び図5Bに示すヒストグラムでは、符号Pで示す点が最大ピーク点となる。
以下、図5Aに示す撮像画像を、撮像工程ST1において溶鋼流Fを逐次撮像して取得された複数の撮像画像のうちのn枚目(n≧2:nは2以上の自然数)の撮像画像とし、図5Aに示す撮像画像について作成した図5Bに示すヒストグラムにおける最大ピーク点をPとし、このPの温度をTとする。また、図4Aに示す撮像画像(平均画像)をn−1枚目の撮像画像(すなわち、図5Aの撮像画像の一枚前の(直前の)撮像画像)とし、図4Aに示す撮像画像について作成した図4Bに示すヒストグラムにおける最大ピーク点をPn-1とし、このPn-1の温度をTn−1とする。
(最大ピーク点種別判定工程ST4)
最大ピーク点種別判定工程ST4では、画像処理手段2が、最大ピーク点検出工程ST3で検出した、各ヒストグラムにおける最大ピーク点Pが、溶鋼流Fとして排出されるスラグS及び溶鋼Mのどちらに対応するのかを逐次判定する。
例として図5Bに示すヒストグラムにおける最大ピーク点P(P)がスラグS及び溶鋼Mの何れに対応するかを判定する方法について図3を用いて説明する(すなわち、図5Aの撮像画像について判定する場合を説明する)。図3に示すように、図5Bのヒストグラムの最大ピーク点P(P)の温度Tから、図4Bのヒストグラムにおける最大ピーク点P(Pn−1)の温度Tn−1を減算して得られた変化量ΔT(図4Aのヒストグラムにおける温度Tn−1に対する、図5Bのヒストグラムにおける温度Tの変化量T−Tn−1)が所定値Th1(例えば、100℃)以上であるか否かを判定する(図3のステップST41)。そして、この変化量ΔTが所定値Th1以上である場合、図5Bのヒストグラムにおける最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する(図3のステップST42)。
なお、図5Bに示すように、図4Bのヒストグラムにおける温度Tn−1に対する、図5Bのヒストグラムにおける温度Tの変化量ΔT(T−Tn−1)が所定値Th1以上であるため、図5Aに示す撮像画像のヒストグラム(図5Bのヒストグラム)における最大ピーク点Pは溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定されることになる。
一方、仮に上記変化量ΔTが所定値Th1未満であった場合(図5Aの撮像画像に代えて、例えば溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fの撮像画像を判定対象とし、変化量ΔTが所定値Th1未満である場合を想定)、最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在するスラグSに対応するか否かを直ちに判定せずに、図5Aの撮像画像よりも前に取得された撮像画像のうち、最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定された撮像画像を特定する(図3のステップST43)。すなわち、かかる場合、n枚目の撮像画像よりも前に取得された撮像画像(j枚目(j≦n−1:jはn−1以下の自然数)の撮像画像)であって、最大ピーク点Pが溶鋼Mに対応すると判定された撮像画像のうちの一枚を基準画像として特定する(すなわち、n枚目の撮像画像よりも前に取得されたj枚目(j≦n−1:jはn−1以下の自然数)の撮像画像であって、最大ピーク点Pが溶鋼Mに対応すると判定された撮像画像を基準画像として特定する)。
続いて、前記基準画像のヒストグラムにおける最大ピーク点P(P)の温度Tに対する最大ピーク点P(P)の温度Tの変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1以上であるか否かを判定する(図3のステップST44)。そして、この変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1以上であれば、最大ピーク点P(P)が溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する(図3のステップST42)。一方、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1未満であれば、最大ピーク点P(P)が溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定する(図3のステップST45)。
図3のステップST43についてさらに詳述すると、図4Aのように、溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fの撮像画像の場合、そのヒストグラムにおける最大ピーク点Pは溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定される。そのため、ステップST43では、例えば図4Aの撮像画像を基準画像として特定し、後続のステップST44を実行する。なお、基準画像として、図4Aの撮像画像を特定する必要はなく、図4Aよりも前に取得された撮像画像であって、最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定された撮像画像がある場合には、当該撮像画像を基準画像として特定し、後続のステップST44を実行してもよい。
ただし、変化量ΔTの算出に用いる基準画像は、判定対象とする撮像画像に撮像順序が近いほど好ましい。撮像順序が近いほど、溶鋼流Fの温度バラツキが小さくなり、より精度良くスラグを検出できるためである。したがって、ステップST43では、図5Aの撮像画像について判定する場合、図5Aの直前に取得された撮像であって、最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定される図4Aの撮像画像を基準画像として特定することが好ましい。
ここで、上述のように、最大ピーク点種別判定工程ST4は、ステップST41において、判定対象とする撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pの温度Tと、当該撮像画像の直前に撮像された撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pn−1の温度Tn−1との差分を用いる。そのため、1枚目の撮像画像(最初に取得した撮像画像)については、上記のような方法で最大ピーク点を判定することができない。
上述のように、転炉3内のスラグ量及び溶鋼量、出鋼時の転炉3の傾動角度、および目視確認等により、出鋼初期においては、溶鋼流Fが溶鋼Mを主体としたものであるか否かを確認可能である。そのため、これらに基づいて、主として溶鋼Mのみが出鋼口31から排出されているときの溶鋼流Fを少なくとも1枚撮像し、この撮像画像の最大ピーク点は溶鋼Mに対応すると判定する。なお、溶鋼流Fが溶鋼Mを主体としたものであるかを確認できれば、出鋼初期において複数の撮像画像を取得し、これら撮像画像について最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定してもよい。
上述のように、最大ピーク点種別判定工程ST4では、判定対象とする撮像画像の最大ピーク点の温度のみを用いて判定を行わず、判定対象とする撮像画像の最大ピーク点の温度の、当該撮像画像よりも前に取得された撮像画像の最大ピーク点の温度に対する変化量を用いて判定を行う。そのため、出鋼操業の条件等が変化した場合であっても、精度よくスラグを検出することができる。
ここで、所定値Th1の決定方法の一例について説明する。溶鋼M及びスラグSの放射率は、成分によって多少の差が生じる。そのため、転炉内の溶鋼及びスラグの成分が変化した場合であっても、より精度良くスラグを検出することが好ましい。このような観点から、例えば、溶鋼及びスラグの成分が異なる種々の溶鋼流を撮像し、各溶鋼流ごとにヒストグラムを作成し、各ヒストグラムについて溶鋼ピークとスラグピークとの変化量ΔTを算出した後、横軸にΔT、縦軸に頻度Nをとった図6に示すようなグラフを作成する。そして、図6に示すグラフにおいて、例えば変化量ΔTの最小値近傍の値を所定値Th1として決定する。
続いて、図7を用いて、最大ピーク点種別判定工程ST4をより詳細に説明する。図7は、最大ピーク点種別判定工程ST4を説明するための図であって、撮像工程ST1で得られる複数の撮像画像の一例を示す模式図である。
図7に示すように、撮像工程ST1で溶鋼流Fの撮像画像を10枚取得したとする。これら撮像画像のうち、1〜4枚目の撮像画像は溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像したものとし、5〜7枚目の撮像画像はスラグSを主体とした溶鋼流Fを撮像したものとし、8〜10枚目の撮像画像は溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像したものとする。そして、これら撮像画像の最大ピーク点の判定方法について以下に説明する。
上述のように、1枚目の撮像画像については、最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定する。
続いて、2枚目の撮像画像については、最大ピーク点種別判定工程ST4のステップST41(図3参照)により、今回判定対象とする2枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された1枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する(図3のステップST41)。この変化量ΔTは、2枚目の撮像画像が溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1未満となり、最大ピーク点が溶鋼Mと判定された1枚目の撮像画像を基準画像として特定する(図3のステップST43)。そして、図3のステップST44において、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1未満となるため、2枚目の撮像画像の最大ピーク点は溶鋼Mに対応すると判定する。
3枚目の撮像画像については、上記の2枚目の撮像画像の場合と同様に、今回判定対象とする3枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された2枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する。この変化量ΔTは、3枚目の撮像画像が溶鋼Mを主体とする溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1未満となり、最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定された1枚目の撮像画像または2枚目の撮像画像を基準画像として特定する。そして、図3のステップST44において、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1未満となるため、3枚目の撮像画像の最大ピーク点は溶鋼Mに対応すると判定する。なお、当該基準画像として、1枚目の撮像画像を用いてもよいが、3枚目の撮像画像に最も撮像順序(取得順序)が近い2枚目の撮像画像を用いることが好ましい。撮像順序が近いほど、温度バラツキが小さくなり、より精度良くスラグを検出できるためである。
4枚目の撮像画像については、3枚目の撮像画像の場合と同様に判定する。
5枚目の撮像画像については、今回判定対象とする5枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された4枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する。この変化量ΔTは、5枚目の撮像画像がスラグSを主体とした溶鋼流Fを撮像したものでありかつ、4枚目の撮像画像が溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1以上となり、5枚目の撮像画像の最大ピーク点はスラグSに対応すると判定する。
6枚目の撮像画像については、今回判定対象とする6枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された5枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する。この変化量ΔTは、6枚目の撮像画像がスラグSを主体とした溶鋼流Fを撮像したものでありかつ、5枚目の撮像画像がスラグSを主体とした溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1未満となる。そのため、後続のステップST43(図3参照)により、最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定された1枚目〜4枚目の撮像画像のいずれかを基準画像として特定する。そして、図3のSステップT44において、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1以上となるため、6枚目の撮像画像の最大ピーク点はスラグSに対応すると判定する。
7枚目の撮像画像については、6枚目の撮像画像の場合と同様に判定する。
8枚目の撮像画像については、今回判定対象とする8枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された7枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する。この変化量ΔTは、8枚目の撮像画像が溶鋼Mを主体とした溶鋼流Fを撮像したものでありかつ、7枚目の撮像画像がスラグSを主体とした溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1未満となる。そのため、後続のステップST43(図3参照)により、最大ピーク点が溶鋼Mと判定された1枚目〜4枚目の撮像画像のいずれかを基準画像として特定する。そして、図3のステップST44において、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1未満となるため、8枚目の撮像画像の最大ピーク点が溶鋼Mに対応すると判定する。
9枚目の撮像画像については、今回判定対象とする9枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tから、直前に取得された8枚目の撮像画像の最大ピーク点Pの温度Tを減算して、変化量ΔTを算出する。この変化量ΔTは、9枚目の撮像画像が溶鋼Mの溶鋼流Fを撮像したものでありかつ、8枚目の撮像画像が溶鋼Mの溶鋼流Fを撮像したものであるから、所定値Th1未満となる。そのため、後続のステップST43(図3参照)により、最大ピーク点が溶鋼と判定された1枚目〜4枚目、及び8枚目の撮像画像のいずれかを基準画像として特定する。そして、図3のステップST44において、変化量ΔT’(T−T)が所定値Th1未満となるため、9枚目の撮像画像の最大ピーク点は溶鋼Mに対応すると判定する。
10枚目の撮像画像については、9枚目の撮像画像の場合と同様に判定する。
以上のようにして、最大ピーク点種別判定工程ST4では、撮像工程ST1で取得した複数の撮像画像について、上述の判定が逐次実行される。
なお、図7に示す例では、2枚目の撮像画像から図3のステップST41を実行したが、上述のように例えば出鋼初期において目視等で溶鋼流Fが溶鋼Mによるものであることを確認できるのであれば、例えば、1枚目の撮像画像と同様に2枚目の撮像画像についても図3のステップST41を実行せずに、最大ピーク点Pが溶鋼Mに対応すると判定してもよい。
(第1判定工程ST5)
第1判定工程ST5は、最大ピーク点種別判定工程ST4の判定結果に基づいて実行される。具体的には、判定対象とした撮像画像の最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定した場合、画像処理手段2により第1判定工程ST5が実行される。図5B(スラグSを主体とした溶鋼流Fの撮像画像)を例に挙げて説明すると、第1判定工程ST5では、画像処理手段2が、撮像画像を構成する各画素のうち、最大ピーク点Pを基準にして決定した第1しきい値未満の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応し、第1しきい値以上の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する。以下、図8を適宜参照しつつ、より具体的に説明する。
図8は、第1判定工程ST5において決定される第1しきい値を説明するための図である。なお、図8に示すヒストグラムは、図5Bに示すヒストグラムと同一である。
図8に示すように、第1しきい値は、ヒストグラム作成工程ST2で作成したヒストグラムにおいて、最大ピーク点Pを通り且つ正の傾きを有する第1直線L1で表わされる。具体的には、第1直線L1は、図8に示す点Qと最大ピーク点Pとを通る直線である。点Qは、所定の画素数しきい値Th2(例えば、最大ピーク点Pの画素数の50%)未満の画素数を有し且つ最大ピーク点Pの温度よりも所定値TD(例えば、50℃)以上低い温度を有する点のうち、最も高い温度を有するピーク点である(すなわち、点Qは、所定の画素数しきい値Th2未満の画素数を有し且つ最大ピーク点Pの温度よりも所定値TD以上低い温度を有する点であって極大値となる点のうち、最も高い温度を有する点である)。
ここで、所定値TD以上低い温度を有する点のうち、最も高い温度を有する点を判断対象としてピーク点か否かを判断する場合は、当該点と当該点の低温側に隣接する点とを結ぶ線の勾配に注目し、当該線が正の傾き(当該線が右上がりの線)であれば当該判断対象の点を点Qとみなす。
なお、本実施形態に係るスラグ検出方法は、ヒストグラムにおいて所定の画素数しきい値Th2を超えるピークが少ない溶鋼流に対して特に好適に適用される。また、所定の画素数しきい値Th2の設定有無に関わらず、最大ピーク点Pの画素数の50%以上のピークが例えば2点以下となる溶鋼流に対しても特に好適に適用される。このようなピークの特徴は、精練における溶鋼とスラグの混合状況によって決定される。
上記の第1しきい値(第1直線L1)は、横軸の温度をXとし、縦軸の画素数をYとすると、以下の式(1)で表わされることになる。
Y=aX+b ・・・(1)
ただし、aは正の定数であり、bは定数である。これらの定数は第1直線L1が点Qと最大ピーク点Pとを通ることから決定される。
所定値TDは、特に限定されるものではないが、例えば50℃である。経験上、最大ピーク温度の±50℃以内の範囲は、裾野にならない場合が多い。そのため、例えば所定値TDを50℃に設定することにより、裾野を除いたピークで第1しきい値を決定することができ好ましい。
また、所定の画素数しきい値Th2は、特に限定されるものではないが、1200℃〜1300℃といった背景と思われる温度領域のピークをとらえないように、例えば最大ピーク点Pの画素数の50%をTh2とすることが好ましい。
前述のように、画像処理手段2は、第1しきい値未満の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定する。すなわち、Y>aX+bを満足する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定することになる。
一方、画像処理手段2は、第1しきい値以上の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する。すなわち、本実施形態では、Y≦aX+bを満足する画素(図8でハッチングを施した領域にある画素)は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する。
(第2判定工程ST6)
第2判定工程ST6は、最大ピーク点種別判定工程ST4の判定結果に基づいて実行される。具体的には、最大ピーク点種別判定工程ST4において、判定対象とした撮像画像の最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定した場合、画像処理手段2により第2判定工程ST6が実行される。第2判定工程ST6では、画像処理手段2が、撮像画像を構成する各画素のうち、最大ピーク点Pを基準にして決定した第2しきい値以下の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応し、第2しきい値よりも高い温度を有する画素は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する。以下、図9A及び図9Bを適宜参照しつつ、より具体的に説明する。
図9Aは、撮像工程ST1において取得される撮像画像であって、図4A及び図5Aと異なる他の例を示す図である。なお、図9Aは、撮像手段1の走査周期毎に連続的に取得した5枚の撮像画像を平均化した平均画像を示す。撮像条件等は図4A及び図5Aと同様である。
また、図9Bは、図9Aの撮像画像に基づいて作成されたヒストグラムを示す図であって、第2判定工程ST6において決定される第2しきい値を説明するための図である。
図9Bに示す例では、上述した最大ピーク点種別判定工程ST4により、ヒストグラムにおける最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定される。このため、画像処理手段2は第2判定工程ST6を実行する。
図9Bに示すように、第2しきい値は、最大ピーク点Pを通り且つ負の傾きを有する第2直線L2で表わされる。そして、第1直線L1の傾きの絶対値よりも第2直線L2の傾きの絶対値の方が大きくなっている(好ましくは、第2直線L2の傾きの絶対値は、第1直線L1の傾きの絶対値の1.5〜2.5倍である)。第1直線L1は、図9Bに示す点Qと最大ピーク点Pとを通る直線である。なお、点Qは低温側に隣接する点との間の線の勾配が正であるため、図8と同様に、画素数しきい値Th2未満の画素数を有し且つ最大ピーク点Pの温度よりも所定値TD(例えば、50℃)以上低い温度を有する点のうち、最も高い温度を有するピーク点である。
前述のように、第1直線L1は、横軸の温度をXとし、縦軸の画素数をYとすると、以下の式(1)で表わされることになる。
Y=aX+b ・・・(1)
ただし、aは正の定数、bは定数である。これらの定数は第1直線L1が点Qと最大ピーク点Pとを通ることから決定される。
一方、例えば第2直線のL2の傾きの絶対値が第1直線L1の傾きaの絶対値の2倍に設定されるとすると、第2直線L2は、以下の式(2)で表わされることになる。
Y=−2aX+c ・・・(2)
ただし、aは正の定数、cは定数である。そして、aは第1直線L1から決定され、cは第2直線が最大ピーク点Pを通ることから決定される。
前述のように、画像処理手段2は、第2しきい値以下の温度を有する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定する。すなわち、図9Bに示すヒストグラムにおいて、Y≦−2aX+cを満足する画素は溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応すると判定することになる。
一方、画像処理手段2は、第2しきい値よりも高い温度を有する画素は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定する。すなわち、図9Bに示すヒストグラムについて、Y>−2aX+cを満足する画素(図9Bでハッチングを施した領域にある画素)は溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定することになる。
以上に説明した本実施形態に係るスラグ検出方法によれば、判定対象とする撮像画像の最大ピーク点における温度と、この撮像画像よりも前に得られた撮像画像の最大ピーク点における温度との差分に基づいて、判定対象とする撮像画像の最大ピーク点が溶鋼Mに対応するかスラグSに対応するかを判定するため、出鋼操業の条件等の変更により溶鋼流Fの温度が変化した場合であっても、当該判定を精度良く行うことができる。そのため、溶鋼流F中のスラグSを精度良く検出できる。
また、本実施形態に係るスラグ検出方法によれば、第1判定工程ST5又は第2判定工程ST6において、溶鋼流Fに存在するスラグSに対応する画素の数(面積)と、溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応する画素の数(面積)とを算出可能である。このため、例えば、溶鋼流F中のスラグSの面積割合、および溶鋼流F中のスラグSの体積割合を求めることができる。更に溶鋼M及びスラグSの比重を用いれば、溶鋼流F中のスラグSの質量割合を算出可能であり、溶鋼流Fの流量は出鋼の際の転炉3の傾動角度から推定可能である。このため、スラグSの質量割合と溶鋼流Fの流量とを用いて、スラグSの流出量(流量)を推定することが可能であり、このスラグSの流出量を転炉3の出鋼操業において要求される範囲に制御することも可能になる。
具体的には、本実施形態に係るスラグ検出方法によれば、スラグSの流出量等(流出量、画素数、面積、体積など)がゼロより大きくなった場合に出鋼操業を終了したり、スラグSの流出量等が予め定めた所定値より大きくなった場合に出鋼操業を終了したり、溶鋼Mの流出量等に対するスラグSの流出量等の割合が所定値より大きくなった場合に出鋼操業を終了する等の制御を行うことが可能である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
図5Aに示す撮像画像を評価対象として用い、本実施形態に係るスラグ検出方法と、特許文献2に記載のスラグ検出方法とを比較した。
具体的には、本実施形態に係るスラグ検出方法では、前述のように、図5Aに示す撮像画像について作成した図5Bに示すヒストグラムについて、最大ピーク点Pが溶鋼流Fに存在するスラグSに対応すると判定される。そして、図8に示すように、上記の式(1)で表わされる第1直線L1によって、ハッチングを施した領域にある画素がスラグSに対応すると判定されることになる。
図8に示す例では、309個の画素がスラグSに対応すると判定された。
一方、特許文献2に記載のスラグ検出方法を用いると、図5Bに示すヒストグラムにおける最大ピーク点Pは溶鋼流Fに存在する溶鋼Mに対応するとみなされる。前述のように、特許文献2に記載のスラグ検出方法では、最大ピーク点Pの横軸方向のバラツキσも考慮した濃度値N1以上の画素を溶鋼Mと判定し、濃度値N1にバイアス値Bを加算した濃度値N2以上の画素をスラグSと判定している。濃度値を温度に置き換えると、特許文献2に記載のスラグ検出方法では、最大ピーク点Pの横軸方向のバラツキσも考慮した温度N1以上の画素を溶鋼Mと判定し、温度N1にバイアス値Bを加算した温度N2以上の画素をスラグSと判定することになる。ここで、特許文献2に記載のスラグ検出方法では、最大ピーク点Pが溶鋼Mに対応するとみなすため、溶鋼Mに対応する画素とスラグSに対応する画素とを区別するためのバイアス値Bを2σ以上に設定する(すなわち、温度N2を最大ピーク点Pの温度+σ以上に設定する)のが妥当である。本評価では、最もスラグSの検出誤差が小さくなる最小値2σをバイアス値Bとして用いた。また、図5Bに示すヒストグラムにおいて、最大ピーク点Pの温度以上の画素数分布が正規分布であると仮定し、最大ピーク点Pの温度から温度N2(最大ピーク点Pの温度+σ)までの画素数の和を、最大ピーク点Pの温度以上の画素数の和で除算した値が約68%となるようにσを設定した。
図10A及び図10Bは、特許文献2に記載のスラグ検出方法を説明するための図である。図10Aはヒストグラムを、図10Bは撮像画像(平均画像)を示す。図10Aに示すヒストグラムは、図5Bまたは図8に示すヒストグラムと同一である。図10Bに示す撮像画像は、図5Aに示す撮像画像と同一である。特許文献2に記載のスラグ検出方法によれば、図10Aにおいてハッチングを施した領域にある画素がスラグSに対応すると判定される。本評価によれば、図10Bにおいて太破線で囲まれた画素領域にある50個の画素がスラグSに対応すると判定された。
図5Aに示す撮像画像における溶鋼流Fに対応する画素の数は465個であった。溶鋼流Fに対応する画素領域全体が操業温度を超える温度であることから、溶鋼流Fに対応する画素領域全体がスラグSに対応すると仮定すると、スラグSに対応する画素数の真値を465個とみなすことができる。したがって、上記の465個をスラグSに対応する画素数の真値とすると、本実施形態に係るスラグ検出方法では、真値の−33.5%((309−465)/465×100=−33.5)の誤差であるのに対し、特許文献2に記載のスラグ検出方法では、真値の−89.2%((50−465)/465×100=−89.2)の誤差であった。よって、本実施形態に係るスラグ検出方法によれば、特許文献2に記載のスラグ検出方法に比べて、溶鋼流F中のスラグSを精度良く検出可能であるといえる。これは、図5Aに示す太破線の方が、図10Bに示す太破線に比べて、スラグSが存在すると考えられる溶鋼流Fの画素領域の輪郭に近い点で、視感的にも明らかである。
なお、スラグSに対応する画素数の真値を面積(実寸)に換算すると、1画素の面積が約9cmであるため、9×465=4185cmとなる。これを単純に体積に換算(スラグSの撮像手段1の視軸方向の寸法が撮像手段1の視野面における寸法と同じであると仮定して換算)すると、(4185)3/2=270734cm=270734×10−6となる。したがって、スラグSの比重を2×10−3/kgとすると、スラグSの質量は、(270734×10−6)/(2×10−3)=135kgとなる。
同様にして、本実施形態に係るスラグ検出方法で検出したスラグSを質量に換算すると73kg(真値の54.1%)となり、特許文献2に記載のスラグ検出方法で検出したスラグSを質量に換算すると5kg(真値の3.7%)となる。すなわち、本実施形態に係るスラグ検出方法によれば、質量で−45.9%の誤差となり、−96.3%の誤差が生じる特許文献2に記載の方法に比べて、溶鋼流F中のスラグSを精度良く検出可能であるといえる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲が上記実施形態のみに限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、第1しきい値が最大ピーク点Pを通り且つ正の傾きを有する第1直線L1で表される場合を示した。しきい値の決め方に関し、より高精度にスラグを検出する観点からは、溶鋼およびスラグのピークについてそれぞれガウス分布などでフィッティングを行って決定することが好ましい。しかしながら、このような方法では、計算時間が長くなり、工業的には好ましくない。そこで、第1しきい値を直線で表すことにより、より簡易に閾値を決定できる。
また、第1しきい値および第2しきい値は、第1直線L1および第2直線L2で表される場合に限定されない。例えば、第1しきい値および第2しきい値が、最大ピーク点の横軸方向のバラツキを考慮した、横軸に直交する直線(傾きが無限大の直線)で表されてもよい。
1: 撮像手段
2: 画像処理手段
3: 転炉
4: 取鍋
100: スラグ検出装置
ST1: 撮像工程
ST2: ヒストグラム作成工程
ST3: 最大ピーク点検出工程
ST4: 最大ピーク点種別判定工程
ST5: 第1判定工程
ST6: 第2判定工程
F: 溶鋼流
M: 溶鋼
S: スラグ

Claims (2)

  1. 転炉から取鍋に向かって流出する、溶鋼及びスラグを含む溶鋼流を逐次撮像して複数の撮像画像を取得するものであって、溶鋼のみが流出されているときから撮像を開始する撮像工程と;
    前記各撮像画像を構成する各画素の濃度に対応する濃度パラメータを横軸とし、前記濃度パラメータを持つ前記画素の合計数である画素数を縦軸とするヒストグラムを前記各撮像画像について作成するヒストグラム作成工程と;
    前記各ヒストグラムについて、前記画素数が最大値である最大ピーク点を検出する最大ピーク点検出工程と;
    前記各ヒストグラムの最大ピーク点が前記スラグまたは前記溶鋼のいずれに対応するかを判定する最大ピーク点種別判定工程と;
    を有し、
    前記最大ピーク点種別判定工程でn枚目(n≧2)の撮像画像のヒストグラムの最大ピーク点Pnを判定する際:
    n−1枚目の撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pn−1の濃度パラメータTn−1に対する、前記最大ピーク点Pnの濃度パラメータTnの変化量ΔTが所定値以上である場合、前記最大ピーク点Pnが前記スラグに対応すると判定し;
    一方、前記変化量ΔTが前記所定値未満の場合、最大ピーク点が前記溶鋼と判定されたj枚目(j≦n−1)の撮像画像のヒストグラムにおける最大ピーク点Pjの濃度パラメータTjに対する前記濃度パラメータTnの変化量ΔT’が前記所定値以上であれば、前記最大ピーク点Pnが前記スラグに対応すると判定し、前記変化量ΔT’が前記所定値未満であれば、前記最大ピーク点Pnが前記溶鋼に対応すると判定する;
    ことを特徴とする溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法。
  2. 前記最大ピーク点種別判定工程で、
    前記最大ピーク点Pjとして、前記n枚目の撮像画像よりも前に取得され且つ前記n枚目の撮像画像に最も取得順序が近いと共に最大ピーク点が前記溶鋼と判定された撮像画像でのヒストグラムにおける最大ピーク点を用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶鋼流中のスラグ検出のためのヒストグラム作成方法。
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