JP3565340B2 - スラグ検知方法、スラグ検知装置及び除滓装置 - Google Patents

スラグ検知方法、スラグ検知装置及び除滓装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高炉又は、転炉等から溶融金属容器に取り出された溶融金属の表面に浮遊するスラグを検出するスラグ検知方法、スラグ検知装置、及び検出されたスラグを除去する除滓装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉や転炉から溶融金属容器に取り出された溶融金属の表面には、スラグが浮遊している。このようなスラグは、後工程で有害な作用を有するので、後工程に送る前に、スラグ除去装置により除去することが行われている。すなわち、図6に示すように、台車1に搭載された溶融金属容器2を、傾動クレーン3によって傾動させ、溶融金属容器2中の溶融金属の表面に浮遊するスラグ4を、除滓装置5により掻き出して除去する。除滓装置5は、掻き出しアーム5aを有しており、その先端には掻き出し板5bが取り付けられている。そして、操作盤8から、手動でシリンダ5cを駆動して、掻き出しアーム5aと掻き出し板5bを上下左右し、除滓装置5を前後させながら、スラグ4を溶融金属容器2中より掻き出す。
【0003】
掻き出すべきスラグは、目視によりその位置を認識する場合もあるが、テレビ6により、溶融金属容器内2内の表面を撮像してモニタ装置7に映し出し、それを見ながら、除滓装置5を操作する場合が多い。
【0004】
このような除滓装置を自動化し、省力化を図る試みもいくつかなされている。例えば特開平4−262856号公報には3台のテレビカメラによって溶融金属容器の姿勢と湯面状態を認識し、監視者の判断を要さずに除滓作業を行う方法が提案されている。この技術は、テレビカメラにより撮像された溶融金属湯面画像から、画像処理によってスラグの重心位置を計算し、計算された重心位置に基づいてスラグ位置認識を行うものである。
【0005】
また特開平7−1059053号公報には、カメラによって溶融金属容器内の湯面を撮像してその画像デ−タから湯面のスラグ占有面積を算出し、スラグ占有面積に基づいてスラグの有無を判定する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術では、「画像処理によりスラグの重心位置を計算する」、「画像デ−タからスラグ占有面積を算出する」と記述があるが、いずれも具体的にどのような画像処理を行ってスラグと溶融金属を判断するかの記述がなく、具体的なスラグと溶融金属の判断方式がなかった。スラグと溶融金属の判別を行う方法としては、撮像される画像の輝度の閾値を設け、輝度が当該閾値を超えた部分を溶融金属、閾値以下の部分をスラグと判別するのが普通である。
【0007】
しかしながら、スラグの輝度は、スラグの粘性等の性状によって、また溶融金属容器内に残っているスラグ量によって時々刻々見え方が変化する。そのため、前記閾値を固定しておくとスラグと溶融金属を正しく判断できないという問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、スラグ性状による明るさ変動、スラグ掻き出し量による明るさ変動に対応して、スラグと溶融金属とを正しく区別して判断することができるスラグ検知方法、スラグ検知装置、及びこのスラグ検知装置を使用した除滓装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前期課題を解決するための第1の手段は、溶融金属容器近傍に設置された撮像装置によって、溶融金属容器内の湯面を撮像し、撮像された画像デ−タから輝度ヒストグラムを求め、輝度ヒストグラムのパターンからスラグ掻き出しの前期・中期・後期の判断を行い、前期・中期・後期毎の輝度ヒストグラムピーク位置よりスラグ判断閾値を求め、設定された閾値で輝度を2値化し、スラグと溶融金属とを識別することを特徴とするスラグ検知方法(請求項1)である。
【0010】
本手段においては、撮像装置で溶融金属容器内の湯面を撮像する。撮像された画面は、例えば図1のようなものであり、溶融金属容器2中の溶融金属9の上にスラグ4が浮遊している。溶融金属は明るく、スラグは暗く見える。なお、2aはスラグ掻き出し口である。
【0011】
撮像された画像デ−タから求められた輝度ヒストグラムは、スラグ掻き出しの前期・中期・後期によってそのパターンが大きく異なるので、このヒストグラムのパターンより、前期・中期・後期のいずれかを判断することができる。
【0012】
これらの各時期に応じた輝度ヒストグラムのピーク位置よりスラグと溶融金属の閾値を決定すると、正確にスラグと溶融金属の識別をすることができる。よって、この閾値に基づいて輝度を2値化することにより、スラグを検知することができる。
【0013】
前記課題を解決するための第2の手段は、溶融金属容器近傍に設置された撮像装置によって、溶融金属容器内の湯面を撮像し、その画像から容器内のスラグと溶融金属を弁別してスラグを検知するスラグ検知装置であって、溶融金属容器内の湯面を撮像する撮像装置と、撮像された画像デ−タから輝度ヒストグラムを求め、輝度ヒストグラムのパターンからスラグ掻き出しの前期・中期・後期の判断を行うスラグ掻き出し時期判定手段と、前期・中期・後期毎の輝度ヒストグラムピーク位置よりスラグ判断閾値を求める閾値判断手段と、設定された閾値で輝度を2値化し、スラグと溶融金属とを識別するスラグ識別手段を備えたことを特徴とするスラグ検知装置(請求項2)である。
【0014】
本手段においては、撮像装置で溶融金属容器内の湯面を撮像する。そして、スラグ掻き出し時期判断手段が、撮像された画像データから輝度のヒストグラムを求め、輝度ヒストグラムのパターンからスラグ掻き出しの前期・中期・後期の判断を行う。その後、閾値判断手段が、前期・中期・後期毎の輝度ヒストグラムピーク位置よりスラグ判断閾値を求める。さらに、スラグ識別手段が求められたスラグ判断閾値を用いて、スラグを溶融金属から識別して検知する。
【0015】
本手段においては、以上のような段階を経てスラグの識別を行っているので、スラグ性状による明るさ変動、スラグ掻き出し量による明るさ変動がある場合でも、正しくスラグを検出することができる。
【0016】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段により求めたスラグ位置の信号を受けてスラグを掻き出す経路を求め、その経路に従ってスラグを掻き出す機能を有することを特徴とする除滓装置(請求項3)である。
【0017】
本手段においては、スラグの位置に応じてスラグを掻き出す経路を求めて、それに従ってスラグを欠き出しているので、効率的にスラグを掻き出すことができ、除滓に要する時間を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図2に、スラグ掻き出しの前期(a)、中期(b)、後期(c)における湯面画像とそれらの画像と、画素の輝度のヒストグラムを示す。ヒストグラムにおいて、横軸は輝度を示す値、縦軸は画素数である。このヒストグラムにおいては、スラグ掻き出しの前期には、ヒストグラムのピークが輝度の低い位置に一つあり、スラグ掻き出しの中期には、ヒストグラムのピークが2つに別れ、一方がスラグを、他方が溶融金属を示す。そして、スラグ掻き出しの後期には、ヒストグラムのピークは再び一つになるが、その位置は輝度の高い位置となる。
【0019】
よって、輝度のヒストグラムにおいて、ピーク値が2つあるときは、スラグ掻き出しの中期であると判断する。そして、図2に示すように、前期、後期判断閾値となる輝度を予め定めておき、輝度のヒストグラムのピーク値が一つの場合、ピーク値の輝度が前期、後期判断閾値となる輝度より低い場合は前期、高い場合は後期と判断する。ヒストグラムに細かい凹凸が多数ある場合には、移動平均等によりスムーシングを行って細かい凹凸を消してから以上のような処理を行えばよい。
【0020】
次に、前期、中期、後期ごとに、スラグと判断する閾値を決定する。この方法を図3により説明する。(a)に示す前期、(c)に示す後期においては、ピークが一つしかないので、このピークに正規分布を当てはめる。例えば、ピーク値の画素数の3/4以上の画素数を有する部分を抽出し、その部分について、正規分布を最小二乗法等を使用して当てはめる。
【0021】
このようにして正規分布が求まった場合、前期においては、ピーク値よりそのσだけ輝度の高い位置をスラグ判断閾値とする。後期においては、ピーク値よりそのσだけ輝度の低い位置をスラグ判断閾値とする。(b)に示す中期においては、ピーク値が2つあるので、輝度の低い方のピークに正規分布を当てはめ、当該ピーク値よりそのσだけ輝度の高い位置をスラグ判断閾値とする。
【0022】
ここでは、ピーク位置+正規分布のσに対応する位置、及びピーク位置−正規分布のσに対応する位置を閾値としたが、ヒストグラム全数(全面積)に「対するピーク面積(正規分布面積)の面積率で、ピーク位置での面積を求め、面積閾値より低い場合には、次のピークとの間で閾値面積になる位置を求めて閾値としてもよい。
【0023】
図4に、検出されたスラグを自動的に適当な経路を通って掻き出す方法の例を示す。図4(a)は、前記方法によって識別されたスラグ4と溶融金属9を2値化して示した図で、黒い部分がスラグ4を白い部分が溶融金属9を示している。画像処理においては、溶融金属容器2の表面を図に示すように9個の部分に分け、各部分におけるスラグの面積率を算出する。その結果、図4(b)に示すように、各部分のスラグ面積率が算出されたとする。
【0024】
スラグ掻き出し経路算出手段は、このうち最もスラグの多い経路を通ってスラグを掻き出すように、除滓装置に指示を出す。あるいは、スラグ掻き出し経路算出手段が除滓装置の中に組み込まれていてもよいし、上記のような溶融金属容器表面の各部分におけるスラグ占有率を計算する部分自体を除滓装置に組み込んでもよい。
【0025】
図4(b)の場合、スラグ面積率が40%、50%と最も多い2つの経路を、掻き出し板が通るように除滓装置を駆動する。これによって、その部分のスラグが掻き出され、その他の部分の状態が変わらなければ、次は、スラグ面積率が10%、10%、25%の部分を掻き出し板が通るように除滓装置を駆動する。
【0026】
図5に、本発明の実施の形態である除滓装置の例を示す。台車1に搭載された溶融金属容器2を、傾動クレーン3によって傾動させ、溶融金属容器2中の溶融金属の表面に浮遊するスラグ4を、除滓装置5により掻き出して除去する。除滓装置5は、掻き出しアーム5aを有しており、その先端には掻き出し板5bが取り付けられている。溶融金属容器2の表面はテレビカメラ6により撮像され、その信号が画像処理部10に入って、前述のような方法により、スラグ4と溶融金属9が識別される。その信号は2値化され、モニタ装置7に表示されると共に、除滓装置5の制御装置11に送られる。
【0027】
制御装置11は、前述のような方法により、適当なスラグ掻き出し経路を定め、掻き出し板5bがその経路を通るように、シリンダ5cを駆動して、掻き出しアーム5aと掻き出し板5bを上下左右し、除滓装置5を前後させながら、スラグ4を溶融金属容器2中より掻き出す。このようにして、自動で、スラグの位置を的確に認識しながら除滓作業を行うことができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1及び請求項2に係る発明においては、スラグ性状による明るさ変動、スラグ掻き出し量による明るさ変動がある場合でも、正しくスラグを検出することができる。
【0029】
請求項3に係る発明においては、効率的にスラグを掻き出すことができ、除滓に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撮像された溶融金属容器の湯面の例を示す図である。
【図2】スラグ掻き出しの前期、中期、後期における湯面画像とそれらの画像と、画素の輝度のヒストグラムを示す図である。
【図3】前期、中期、後期ごとに、スラグと判断する閾値を決定する方法を示す図である。
【図4】検出されたスラグを自動的に適当な経路を通って掻き出す方法の例を示す図である
【図5】本発明の実施の形態である除滓装置の例を示す図である。
【図6】従来の除滓装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1…台車、2…溶融金属容器、3…傾動クレーン、4…スラグ、5…除滓装置、5a…掻き出しアーム、5b…掻き出し板、6…テレビカメラ、7…モニタ装置、8…操作盤、9…溶融金属、10…画像処理部、11…制御装置

Claims (3)

  1. 溶融金属容器近傍に設置された撮像装置によって、溶融金属容器内の湯面を撮像し、撮像された画像デ−タから輝度ヒストグラムを求め、輝度ヒストグラムのパターンからスラグ掻き出しの前期・中期・後期の判断を行い、前期・中期・後期毎の輝度ヒストグラムピーク位置よりスラグ判断閾値を求め、設定された閾値で輝度を2値化し、スラグと溶融金属とを識別することを特徴とするスラグ検知方法。
  2. 溶融金属容器近傍に設置された撮像装置によって、溶融金属容器内の湯面を撮像し、その画像から容器内のスラグと溶融金属を弁別してスラグを検知するスラグ検知装置であって、溶融金属容器内の湯面を撮像する撮像装置と、撮像された画像デ−タから輝度ヒストグラムを求め、輝度ヒストグラムのパターンからスラグ掻き出しの前期・中期・後期の判断を行うスラグ掻き出し時期判定手段と、前期・中期・後期毎の輝度ヒストグラムピーク位置よりスラグ判断閾値を求める閾値判断手段と、設定された閾値で輝度を2値化し、スラグと溶融金属とを識別するスラグ識別手段を備えたことを特徴とするスラグ検知装置。
  3. 請求項1に記載のスラグ検知方法又は請求項2に記載のスラグ検知装置により求めたスラグ位置の信号を受けてスラグを掻き出す経路を求め、その経路に従ってスラグを掻き出す機能を有することを特徴とする除滓装置。
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