JP6302228B2 - 溶融スラグ流量測定方法、溶融スラグ流量測定システム、及びコンピュータプログラム - Google Patents

溶融スラグ流量測定方法、溶融スラグ流量測定システム、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、溶融スラグ流量測定方法、溶融スラグ流量測定システム、及びコンピュータプログラムに関し、特に、高炉の出銑口から流出する溶融スラグの流量を測定するために用いて好適なものである。
高炉では、炉頂部から、原料である鉄鉱石とコークスを層状に装入すると共に、炉下部の羽口から約1200[℃]の高温の熱風を吹き込み、高温還元反応によって溶銑を製造する。溶銑と副生成物である溶融スラグは炉内を滴下し、炉底に溜まって湯溜まりを形成する。この湯溜まりに向かって炉外から貫通孔を開けると、溶銑と溶融スラグとの混合液体(以下の説明ではこれを必要に応じて「出銑流」と称する)が炉外に流出する。貫通孔の炉外開口部分を出銑口という。炉底部の出銑口形成位置にはマッド材が充填されており、ドリル等で機械的にマッド材の部分を開孔して貫通孔を形成する。
開孔された直後の出銑口の口径はドリル径に略等しいが、出銑の経過と共に孔の壁面が侵食されて出銑口の口径が次第に拡大する。一方、出銑流の流量は、平均したときに溶銑・溶融スラグの炉内での生成量に略等しい値となる必要がある。そこで、出銑開始時は、出銑流(溶銑と溶融スラグとの混合液体)の流量が、炉内での溶銑・溶融スラグの生成量よりも小さくなるように開口径を選定する。その結果、開口後しばらくは炉内の溶銑・溶融スラグの蓄積量は時間の経過とともに増大する。出銑を続けると出銑口径の拡大に伴い溶銑・溶融スラグの単位時間当たりの流量が増大し、炉内での溶銑・溶融スラグの生成量よりも、溶銑・溶融スラグの流量の方が大きくなり、炉内の溶銑・溶融スラグの蓄積量が減少に転じる。
出銑口の侵食の速さ(出銑口の口径の拡大の速さ)は、マッド材の材質、溶銑・溶融スラグの混合比、溶銑温度、溶銑流速等に複雑に依存し、安定しているわけではない。通常は、出銑口の使用開始から2〜4時間程度で炉内の湯面レベルが出銑口付近まで低下するので、この時点でマッド材を出銑口に充填してその出銑口を閉塞させる。このような1回の出銑作業を「タップ」と呼び、高炉の炉体の円周方向に数か所ある出銑口で順にタップを行うことで銑鉄と溶融スラグが取り出される。
出銑中に炉内湯溜まりの通液性が悪かったり、コークス塊が出銑口に詰まったりして出銑流の流出が阻害されることがある。このように出銑流(溶銑・溶融スラグ)の排出が滞ると、炉内の溶銑・溶融スラグの蓄積量が増加を続ける。このような炉内の溶銑・溶融スラグの蓄積量の増加は、炉内の通気性を悪化させて炉内の充填物の下降の不安定化や吹き抜けといった銑鉄の品質の悪化や生産性の低下に関係したトラブルを引き起こす原因となる。
高炉の安定操業を維持するためには、以上のような出銑口からの溶銑・溶融スラグの流出の滞りを的確に察知する必要がある。すなわち、タップ中に溶銑や溶融スラグの流出状況を常に監視しておくことが望ましい。
出銑口から流出する溶銑と溶融スラグは、スキンマー(比重分離ます)で分離される。比重の大きな溶銑は出銑樋の先に停車したトーピードカー(溶銑運搬を行う貨車)に注ぎ込まれる。今日の一般的な高炉操業では、トーピードカーの質量変化を秤量器で測定することで溶銑の流量をタップ単位で把握する。一方、溶融スラグについては水冷後に粉砕され、固化したスラグの質量が測定される。
このような測定方法に類似した測定方法として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、溶銑なべの溶銑レベルを測定するマイクロ波レベル計の一定時間ごとの測定値から溶銑の流量を演算し、水砕設備で水砕されたスラグの質量を測定するコンベヤスケールの計測値から溶融スラグの流量を演算する方法が記載されている。
特開平5−156331号公報 特開2007−2307号公報
しかしながら前述した方法では、水砕後の固化したスラグの質量を測定するので、水砕に要する時間遅れが大きく、溶融スラグの生成量を時々刻々と(リアルタイムで)知ることはできない。また、水を含んだスラグの質量を測定するため、溶融スラグの質量を正確に測定することができず、信頼できる測定方法とは言い難い。また、特許文献1に記載の技術では、大掛かりな測定装置が必要となる。
このように従来の技術では、水砕後の固化したスラグの質量を測定するため、タップ中の溶融スラグの流量を当該タップ中に正確に測定することが容易ではないという問題点があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、タップ中の溶融スラグの流量を当該タップ中に正確に測定できるようにすることを目的とする。
本発明の溶融スラグ流量測定方法は、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像工程と、前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出工程と、前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出工程と、前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出工程と、前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出工程と、を有し、前記出銑流実効直径導出工程は、前記撮像工程により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする。
本発明の溶融スラグ流量測定システムは、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像手段と、前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出手段と、前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出手段と、前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出手段と、前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出手段と、を有し、前記出銑流実効直径導出手段は、前記撮像手段により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像手段により撮像された前記熱画像を取得する取得手段と、前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出手段と、前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出手段と、前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出手段と、前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出手段と、してコンピュータに機能させ、前記出銑流実効直径導出手段は、前記撮像手段により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする。
本発明によれば、3枚以上の熱画像を用いて、出銑流の内層部と表面波部とを特定し、内層部の直径である出銑流の内径と、表面波部の厚みと出銑流の内径とを加算した値である出銑流の外径と、を導出する。そして、出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、導出した出銑流の熱画像上の実効直径から、出銑流の実空間における実効直径を導出する。このように、熱画像を用いて出銑流の実効直径を導出することができる。したがって、タップ中の溶融スラグの流量を当該タップ中に正確に測定することができるようになる。
溶融スラグ流量測定システムの構成の一例を示す図である。 画像処理装置の機能的な構成の一例を示す図である。 時間的に連続して撮像された3枚の熱画像の一例を示す図である。 出銑流速度導出部の機能的な構成の一例を示す図である。 溶融スラグ比率導出部の機能的な構成の一例を示す図である。 濃度ヒストグラムの一例を示す図である。 濃度ヒストグラムにガウス関数をフィッティングして得られた結果の一例を示す図である。 顕著な表面波が生じていない出銑流の熱画像の一例を示す図である。 激しい表面波を伴う出銑流の熱画像の例を示す図である。 出銑流径導出部の機能的な構成の一例を示す図である。 出銑流径導出部における処理の内容の一例を概念的に示す図である。 濃度ヒストグラムの他の例を示す図である。 合成差分2値化画像における出銑流の内径を導出する方法の概念の一例を説明する図である。 合成差分2値化画像における出銑流の外径を導出する方法の概念の一例を説明する図である。 表面波寄与率導出部の機能的な構成の一例を示す図である。 溶銑の質量の実測値と計算値との関係の一例を示す図である。 残差平方和と表面波寄与率との関係の一例を示す図である。 溶融スラグの流量を導出する際の画像処理装置の処理の概要の一例を説明するフローチャートである。 銑流速度導出処理の詳細を説明するフローチャートである。 溶融スラグ比率導出処理の詳細を説明するフローチャートである。 出銑流実効直径導出処理の詳細を説明するフローチャートである。 表面波寄与率を決定する際の画像処理装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 実施例の結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
<溶融スラグ流量測定システム>
図1は、溶融スラグ流量測定システムの構成の一例を示す図である。尚、図1では、高炉10全体のうち、出銑口10a付近の一部分のみを示している。
図1において、本実施形態の溶融スラグ流量測定システムは、出銑口10aから流出した出銑流20の熱画像(熱放射輝度の2次元分布)を撮像するCCDカメラ60と、CCDカメラ60で撮像された熱画像を処理する画像処理装置70とを有する。
図1に示すように、高炉10の炉底横の側壁部分に形成された出銑口10aから、溶銑と溶融スラグとの混合物(溶融物)の噴流が出銑流20として流出する。出銑流20の直径は高炉毎に異なるが、例えば、70[mm]〜120[mm]の範囲で変化する。この出銑流20とは別に、ごく一部の溶銑と溶融スラグとの混合物(溶融物)が、出銑口10aの直下に垂れ落ちることがある。出銑口10aの直下には出銑樋30の始端部があり、垂れ落ちた溶融物は、この出銑樋30の始端部に滞留し、滞留スラグ40を形成する。一方、出銑口10aから流出した出銑流20は、空中を移動してから出銑樋30に到達し、出銑樋30に到達した後は出銑樋30に沿って流れる。出銑流20が空中を移動する速度は5[m/sec]〜10[m/sec]程度である。また、出銑口10aと間隔を有して、樋カバー50が出銑樋30を囲むようにして形成されている。
図1に示すように、出銑口10aから流出した直後の出銑流20は、樋カバー50によって遮蔽されていない。本実施形態では、この出銑口10aから流出して出銑樋30に落下する前(例えば出銑口10aから流出した直後)の出銑流20の熱放射輝度分布を、その斜め上方からモノクロのCCDカメラ60を用いて撮像する。
本実施形態では、露光時間(シャッタースピード)を極めて短くして、出銑口10aから流出した出銑流20の熱画像(熱放射輝度の2次元分布)を撮像することにより、熱画像において、出銑流20の像流れが生じないようにした(まだら模様や輪郭が不明瞭にならないようにした)。ここで、露光時間を1[msec]以下にすれば、出銑流20における「まだら模様や輪郭」を捉えることができるので好ましく、0.2[msec]以下にすれば、出銑流20における「まだら模様や輪郭」をより鮮明に捉えることができるのでより好ましい。尚、露光時間が短すぎると固体撮像素子への入光量が不足するので画像が却って不鮮明になる。露光時間の最低値は、固体撮像素子の感度によって決められる。
また、出銑流20を鮮明に捉えるために、撮像された画像の分解能を2[mm]以下にするのが好ましい。
本実施形態では、CCDカメラ60の露光時間を1/10000[sec]として、出銑口10aから流出した出銑流20の熱画像(熱放射輝度分布)を、2次元の濃度分布を示す静止画像として撮像する。CCDカメラ60は、約0.4[mm]の分解能で出銑流20の画像を撮像する。
ところで、CCDカメラでは、0.4[μm]〜0.8[μm]程度の波長帯域の光についてのみ受光感度があり、しかもこの波長帯域内での受光感度は一定ではなく、特有の分光感度特性を有している。そこで、一定の狭い波長を有する光のみを透過する波長選択フィルタをCCDカメラ60に取り付けるようにするのが好ましい。具体的に本実施形態では、中心透過波長が0.65[μm]の光学バンドパスフィルタを波長選択フィルタとして、CCDカメラ60に取り付けた。
CCDカメラ60は、一定の時間間隔(撮像間隔)で、出銑流20の熱画像を撮像する。例えば、10[msec]以下の時間に撮像間隔を設定する。10[msec]より長い撮像間隔で撮像すると、時間的に連続する2枚の熱画像において、出銑流20の表面の波打っている部分の形状が変形してしまい、移動する様子を捉えることができなくなる虞がある。これは、出銑流20が出銑口10aから乱流として噴出されるからである。尚、以下の説明では、この「出銑流20の表面の波打っている部分」を必要に応じて「表面波」と称する(図8の表面波810を参照)。
尚、撮像間隔が極端に短すぎると、熱画像における出銑流の移動距離が小さくなる。この移動距離がCCDカメラ60の分解能と同程度になると、後述する出銑流の速度の測定が困難になる。
また、後述するように本実施形態では、時間的に連続する2枚の熱画像の画素値を2値化した2値化画像の絶対値差分をとった差分2値化画像を重ね合わせて表面波の領域を抽出する(図11を参照)。したがって、時間的に連続する熱画像を3枚以上撮像する。本発明者らは、このような表面波の領域を確実に抽出するために撮像枚数を10枚程度にするのが望ましいという知見を得た。
以上のことから、本実施形態では、CCDカメラ60は、出銑口10aから流出した出銑流20の熱画像を5[msec]の撮像間隔で10枚撮像することを、10[sec]の周期で周期的に行うこととした。
画像処理装置70は、CCDカメラ60で撮像された熱画像を用いて、溶融スラグの質量流量を測定するためのものである。
本実施形態では、出銑流20の形状を円筒形状に近似して、出銑流20の直径と移動速度とから定まる出銑流20の体積流量と、出銑流20における溶融スラグの混合比率と、溶融スラグの密度と、から、溶融スラグの質量流量を算出する。そのために本実施形態の画像処理装置70では、出銑流20の直径と、出銑流20の速度と、出銑流20における溶融スラグの混合比率と、を算出する。以下に、本実施形態の画像処理装置70の構成の一例を詳細に説明する。尚、以下の説明では、「質量流量」を必要に応じて「流量」と略称し、「出銑流20における溶融スラグの混合比率」、「出銑流20における溶銑の混合比率」を、それぞれ「溶融スラグ比率」、「溶銑比率」と称する。
<画像処理装置>
図2は、画像処理装置70の機能的な構成の一例を示す図である。画像処理装置70のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータを用いることにより実現することができる。
(熱画像入力部201)
熱画像入力部201は、前述したようにしてCCDカメラ60で撮像された出銑流20の熱画像のデータを入力して記憶する。
本実施形態では、CCDカメラ60により出銑流20の熱画像が得られる度に、CCDカメラ60から画像処理装置70(熱画像入力部201)に当該出銑流20の熱画像のデータが送信されるものとする。ただし、熱画像入力部201は、必ずしもこのようにして出銑流20の熱画像のデータを入力する必要はない。例えば、熱画像入力部201は、CCDカメラ60に、出銑流20の熱画像のデータの取得を要求し、この要求に応じて、CCDカメラ60が、出銑流20の熱画像のデータを、画像処理装置70(熱画像入力部201)に送信してもよい。
このようにして熱画像入力部201は、3枚以上の出銑流20の熱画像のデータを入力する。前述したように本実施形態では、CCDカメラ60は、出銑流20の熱画像を5[msec]の撮像間隔で10枚撮像することを、10[sec]の周期で周期的に行う。したがって、熱画像入力部201は、5[msec]の撮像間隔で撮像された10枚の出銑流20の熱画像のデータを、10[sec]の周期で繰り返し入力する。撮像間隔及び撮像枚数は、CCDカメラ60や画像処理装置70に対するオペレータの設定に基づいて設定することができる。
熱画像入力部201は、例えば、CPUが、CCDカメラ60から通信インターフェースを介して熱画像のデータを入力してHDD等に格納することにより実現される。
(出銑流速度導出部202)
出銑流速度導出部202は、熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータを用いて、出銑流20の速度V[m/sec]を導出する。出銑流速度導出部202の詳細な機能については、図3、図4を参照しながら後述する。
出銑流速度導出部202は、例えば、CPUが、HDD等から、熱画像のデータを読み出して出銑流20の速度Vを算出し、そのデータをRAM等に記憶することによって実現される。
(溶融スラグ比率導出部203)
溶融スラグ比率導出部203は、熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータのうち、1枚の熱画像のデータを用いて、溶融スラグ比率R[−]を導出する。本実施形態では、熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータのうち、最も早い時間に得られた熱画像のデータを用いて、溶融スラグ比率Rを導出する。溶融スラグ比率導出部203の詳細な機能については、図5〜図7を参照しながら後述する。
溶融スラグ比率導出部203は、例えば、CPUが、HDD等から、熱画像のデータを読み出して溶融スラグ比率Rを算出し、そのデータをRAM等に記憶することによって実現される。
(出銑流径導出部204)
出銑流径導出部204は、熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータと、後述する表面波寄与率記憶部206に記憶された表面波寄与率k[−]とを用いて、出銑流20の実効直径(出銑流20の直径の想定値)Deffを導出する。出銑流径導出部204の詳細な機能については、図8〜図14等を参照しながら後述する。
出銑流径導出部204は、例えば、CPUが、HDD等から、熱画像のデータと表面波寄与率kのデータとを読み出して出銑流20の実効直径Deffを算出し、そのデータをRAM等に記憶することによって実現される。
(表面波寄与率導出部205、表面波寄与率記憶部206)
表面波寄与率導出部205は、溶融スラグの流量の測定の対象となるタップよりも前のタップを対象としてCCDカメラ60で撮像されて熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータを用いて、表面波寄与率kを導出し、表面波寄与率記憶部206に記憶する。表面波寄与率kは、0以上1以下の範囲で実験的に定められるパラメータである。表面波寄与率kの詳細及び表面波寄与率導出部205の詳細な機能については、図15〜図17等を参照しながら後述する。
表面波寄与率導出部205は、例えば、CPUが、HDD等から、熱画像のデータを読み出して表面波寄与率kを算出することによって実現され、表面波寄与率記憶部206は、例えば、HDD等を用いることにより実現される。
(溶融スラグ流量導出部207)
溶融スラグ流量導出部207は、出銑流速度導出部202により導出された出銑流20の速度Vと、溶融スラグ比率導出部203により導出された溶融スラグ比率Rと、出銑流径導出部204により導出された出銑流20の実効直径Deffと、予め設定されている溶融スラグの密度ρs[ton/m3]とを用いて、溶融スラグの流量Qs[ton/sec]を導出する。前述したように本実施形態では、出銑流20の形状を円筒形状に近似しているので、溶融スラグ流量導出部207は、以下の(1)式により、溶融スラグの流量Qsを導出する。
s=(Deff÷2)2×π×V×R×ρs ・・・(1)
溶融スラグ流量導出部207は、例えば、CPUが、HDD等から、出銑流20の速度Vのデータと、溶融スラグ比率Rのデータと、溶融スラグの密度ρsのデータとを読み出して溶融スラグの流量Qsを算出することによって実現される。
(溶融スラグ流量出力部208)
溶融スラグ流量出力部208は、溶融スラグ流量導出部207により導出された溶融スラグの流量Qsを出力する。溶融スラグの流量Qsの出力の形態としては、例えば、表示装置に対する表示、可搬型の記憶媒体への記憶、及び外部装置への送信の少なくとも何れか1つが挙げられる。
溶融スラグ流量出力部208は、例えば、CPUが、HDD等から、溶融スラグの流量Qsのデータを読み出して、表示データを作成する等の出力処理を行うことにより実現される。
[出銑流速度導出部202の詳細]
図3は、時間的に連続して撮像された3枚の熱画像の一例を示す図である。図3において、熱画像310が撮像されてから5[msec]後に熱画像320が撮像され、熱画像320が撮像されてから5[msec]後に熱画像330が撮像されている。
また、図3において、熱画像の黒の領域は、出銑流20の背景を表し、濃いグレーの領域は、(溶融スラグよりも放射率が低い)溶銑の領域を表し、薄いグレーの領域は、(溶銑よりも放射率が高い)溶融スラグの領域を表す。このように、熱画像に含まれる出銑流20の熱画像は、まだら模様を有する。
前述したように出銑流20は、5[m/sec]〜10[m/sec]程度の速度で移動しているので、このまだら模様も同じ速度で移動する。したがって、本実施形態では、前述した撮像間隔で連続的に熱画像を撮像し、この撮像間隔の間に移動したまだら模様の移動距離から、まだら模様の移動速度、即ち出銑流20の速度Vを導出する。具体的に本実施形態では、特開2007−2306号公報に記載の技術を用いて出銑流20の速度Vを導出する場合を例に挙げて説明する。以下に、出銑流速度導出部202の機能として、特開2007−2306号公報に記載の技術の概要を説明するが、詳細については、特開2007−2306号公報を参照することにより、出銑流速度導出部202の機能を実現することができる。
図4は、出銑流速度導出部202の機能的な構成の一例を示す図である。
[[画像選択部401]]
画像選択部401は、熱画像入力部201で得られた10枚単位の熱画像のうち、時間的に連続する2枚の熱画像を順次選択する。例えば、図3において、画像選択部401は、熱画像310、320を選択した後、熱画像320、330を選択する。ここでは、熱画像入力部201で10枚単位の熱画像が得られるので、画像選択部401は、このような熱画像の選択を、熱画像入力部201で得られた10枚の熱画像について行い、2枚の熱画像の組を9つ選択することになる。
[[テンプレート切り出し部402]]
テンプレート切り出し部402は、画像選択部401で選択された時間的に連続する2枚の熱画像のうち、先に得られた熱画像からパターンマッチングのテンプレートを切り出す。例えば、図3において、熱画像310、320が選択された場合、テンプレート切り出し部402は、熱画像310のうちの、予め位置、サイズを決めておいた一部領域をテンプレート311として切り出す。同様に、熱画像320、330が選択された場合、テンプレート切り出し部402は、熱画像320からテンプレート321を切り出す。尚、熱画像330のテンプレート331は、熱画像330と当該熱画像330の次に得られた熱画像が選択された際に用いられる。
[[探索部403]]
探索部403は、画像選択部401で選択された時間的に連続する2枚の熱画像のうち、先に得られた熱画像から切り出したパターンマッチングのテンプレートが、後に得られた熱画像のどこに存在するのかをパターンマッチング処理で検出する。パターンマッチング処理は、画像上でテンプレートと類似する箇所を画素毎の相関演算で探査する処理である。パターンマッチング処理は、例えば、画像処理ハンドブック(財団法人東京大学出版会発行)等に記載されている公知の技術で実現できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。例えば、図3において、熱画像310、320が選択された場合、探索部403は、熱画像310のテンプレート311が熱画像320のどこに存在するのかを探索する。
[[移動距離算出部404]]
移動距離算出部404は、画像選択部401で選択された時間的に連続する2枚の熱画像に対するパターンマッチング処理において、当該2枚の熱画像でマッチングするテンプレート(パターン)が検出されると、それら2枚の熱画像でテンプレートが移動した距離から、実空間における出銑流20の移動距離dを算出する。
ここで、熱画像上での移動量(画素数)と実際の移動距離との関係は、CCDカメラ60の被写体距離とレンズ画角とで決まるので、予め求めておけばよい。テンプレートが熱画像上で水平方向、垂直方向にそれぞれpx[画素]、py[画素]移動したとすると、出銑流20の移動距離d[m]は、以下の(2)式で表される。
d=U×(px 2+py 21/2 ・・・(2)
(2)式において、U[m/画素]は、熱画像上の画素数と実際の距離とを対応づける係数である。
[[出銑流速度算出部405]]
出銑流速度算出部405は、移動距離算出部404で算出された出銑流20の移動距離dと撮像間隔Δt[sec]とに基づいて、出銑流20の速度D´[m/sec]を導出する。出銑流20の速度D´は、以下の(3)式で表される。
D´=d÷Δt ・・・(3)
本実施形態では、出銑流速度算出部405は、このような出銑流20の速度D´の計算を、画像選択部401で選択された時間的に連続する2枚の熱画像のそれぞれについて行う。そして、出銑流速度算出部405は、出銑流20の速度D´の算術平均値を出銑流20の速度Dとして導出する。
[[出銑流速度導出部202の変形例]]
出銑流20の速度D´の代表値を求めるようにしていれば、必ずしも出銑流20の速度D´の算術平均値を出銑流20の速度Dとする必要はない。例えば、出銑流20の速度D´の中央値を出銑流20の速度Dとしてもよい。また、画像選択部401で選択された時間的に連続する2枚の熱画像の1つについてのみ、熱画像の選択とテンプレートの切り出しと、出銑流20の移動距離dの導出と、出銑流20の速度D´の導出とを行い、当該出銑流20の速度D´を出銑流20の速度Dとしてもよい。
また、必ずしも熱画像を用いて出銑流20の速度Dを求めなくてもよい。例えば、レーザドップラー速度計等の測定装置を用いて、出銑流20の速度を測定してもよい。
[溶融スラグ比率導出部203の詳細]
図5は、溶融スラグ比率導出部203の機能的な構成の一例を示す図である。本実施形態では、特許第4714607号公報に記載の技術を用いて溶融スラグ比率Rを導出する場合を例に挙げて説明する。そこで、以下に、溶融スラグ比率導出部203の機能として、特許第4714607号公報に記載の技術の概要を説明するが、詳細については、特許第4714607号公報を参照することにより、特許第4714607号公報の機能を実現することができる。
[[濃度ヒストグラム算出部501]]
濃度ヒストグラム算出部501は、熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のうち、時間的に最初に得られた熱画像のデータから、濃度ヒストグラムを算出する。
図6は、濃度ヒストグラムの一例を示す図である。ここで、濃度とは、256階調の画像の明暗(すなわち、画像上の輝度)のことを指す。この濃度と、出銑流における熱放射輝度との関係は、リニアな関係にある。この濃度の値が熱画像の各画素の画素値となる。図6に示す濃度ヒストグラム600では、熱画像の背景に相当する部分(濃度が小さい領域)の図示を省略している
図6に示すように、濃度ヒストグラム600は、画素毎の濃度を濃度階調に分解したものを横軸にし、その濃度階調ごとの画素数を縦軸にしたものである。
図6において、濃度階調が80以上のところに、溶銑に起因する濃度分布610と、溶融スラグに起因する濃度分布620とが存在している。
[[溶銑ピーク濃度導出部502]]
溶銑ピーク濃度導出部502は、濃度ヒストグラム算出部501により算出された濃度ヒストグラム600に含まれる溶銑に起因するピークでの濃度値PMを自動検出する。背景は、常温近傍で温度変化がないため、濃度ヒストグラムにおける背景に起因する濃度分布は、常にほぼ同一形状である。そこで、本実施形態では、溶銑ピーク濃度導出部502は、以下のようにして溶銑に起因するピークでの濃度値PMを求める。
まず、溶銑ピーク濃度導出部502は、溶銑に起因する濃度分布610における低濃度側(低輝度側)の裾野部分(背景に起因する濃度分布における高濃度側(高輝度側)の裾野部分)の所定の濃度レベルに、予め始点Kを指定する。図6に示した例では、濃度階調が80の点を始点としている。そして、溶銑ピーク濃度導出部502は、始点Kから高濃度側(高輝度側)の方向にピーク検出処理を実行する。このピーク検出処理では、例えば、隣り合う濃度レベルで画素数(度数)の多寡を比較する処理を逐次進めることにより最初に得られた画素数の変曲点を、溶銑に起因するピークとし、そのピークでの濃度値を、溶銑に起因するピークでの濃度値PMとする処理が行われる。図6に示した例では、溶銑に起因するピークでの濃度値PMは、93である。
[[スラグピーク濃度導出部503]]
スラグピーク濃度導出部503は、溶銑に起因するピークでの濃度値PMの値を用いて、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSを求める。
図6から分かるように濃度ヒストグラム600では、溶融スラグに起因するピークが明確に出現していないので、溶銑に起因するピークでの濃度値PMを算出したようにして溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSを演算することは困難である。
そこで、スラグピーク濃度導出部503は、溶銑と溶融スラグとが乱流状態で混在した出銑流に於いては溶銑と溶融スラグとの温度がほぼ等しいと見なせることから、溶銑に起因するピークでの濃度値PMに、溶銑及び溶融スラグの分光放射率により定められる定数を乗じることにより、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSを求める。
具体的にスラグピーク濃度導出部503は、溶銑の分光放射率と出銑流20上の溶融スラグの平均的な分光放射率との関係を用いるようにしている。例えば、溶銑の分光放射率εMとして0.42、溶融スラグの分光放射率εSとして0.61が得られたとすると、スラグピーク濃度導出部503は、これら分光放射率εM、εSの比である1.45(=0.61/0.42)を用いて、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSを、以下の(4)式により求めることができる。
S=1.45×PM ・・・(4)
図6に示した例では、熱画像に濃度値が27のバイアス(光の入射が無い時のCCDカメラ60の画像輝度)があったので、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSは、123(=(93−27)×1.45+27)となる。
[[分別部504]]
分別部504は、溶銑に起因する濃度分布610と、溶融スラグに起因する濃度分布620とにガウス関数をフィッティングする。
本実施形態では、以下の3種類のガウス関数を使用した。具体的に、溶銑に起因する濃度分布610のうちの濃度値PMよりも低濃度側(左側)を表現するためのガウス関数GM1と、溶銑に起因する濃度分布610のうちの濃度値PMよりも高濃度側(右側)を表現するためのガウス関数GM2と、溶融スラグに起因する濃度分布620の全体を表現するためのガウス関数GSとを用いた。溶銑に起因する濃度分布610に於いて、濃度値PMよりも低濃度側(左側)を表現するためのガウス関数GM1と、溶銑に起因する濃度分布610の濃度値PMよりも高濃度側(右側)を表現するためのガウス関数GM2と、を異ならせているのは、低濃度側と高濃度側とで、溶銑の濃度分布を生じさせている物理現象が異なると考えられるためである。
分別部504は、前述したようにして求めた、溶銑に起因するピークでの濃度値PMと、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSとを用いて、以上の3つのガウス関数GM1、GM2、GSが、図6に示した濃度ヒストグラム600に合うように、3つのガウス関数GM1、GM2、GSのパラメータを定める最適化計算を実行する。このとき、ガウス関数GM1、GM2の平均値はPMとして与え、ガウス関数GSの平均値はPSとして与える。
図7は、このようにして分別部504が濃度ヒストグラム600にガウス関数をフィッティングして得られた結果の一例を示す図である。
図7に示す例では、溶銑に起因する濃度分布610に対してフィッティングして得られたガウス関数GM(=GM1+GM2)におけるピークでの高さ(画素数)は、1740である。また、ガウス関数GMにおける低濃度側での標準偏差σは46であり、高濃度側での標準偏差σは93である。さらに、溶融スラグに起因する濃度分布620に対してフィッティングして得られたガウス関数GSにおけるピークでの高さ(画素数)は、512であり、このガウス関数GSにおける標準偏差σは552である。尚、図7中のGA("○"のプロット)は、ガウス関数GMとガウス関数GSの画素数の加算値であり、GAが観測値にほぼ一致することが確認できる。
[[スラグ比率算出部505]]
スラグ比率算出部505は、分別部504によりガウス関数GM、GSが得られると、ガウス関数GM、GSの面積SM、SSを求める。
ガウス関数GM、GSは、画像濃度Pの関数であるので、以下の(5)式及び(6)式を用いることにより、ガウス関数GM、GSの面積SM、SSを求めることができる。
このように、ガウス関数GM、GSの面積SM、SSは、ガウス関数GM、GSの積分値である。図6に示した例では、ガウス関数GMの面積SMは、2.5×104であり、ガウス関数GSの面積SSは、2.1×104である。
以上のようにして得られたガウス関数GMの面積SMは、溶銑の表面積を表し、ガウス関数GSの面積SSは溶融スラグの表面積を表す。ここで、出銑口10aから流出した出銑流20は乱流であるので、溶銑と溶融スラグとの混合比率は、出銑流20の表面と内部とで均一であると仮定することができる。そうすると、熱画像として観察して得られる溶銑の表面積と溶融スラグの表面積との比率が、溶銑の体積と溶融スラグの体積との比率に等しいとすることができる。即ち、ガウス関数GM、GSの面積SM、SSの比率が、溶銑の体積と溶融スラグの体積との比率に相当する。従って、ガウス関数GM、GSの面積SM、SSの比率を求めれば、出銑口10aから流出した溶銑と溶融スラグとの混合比率を求めることができる。
スラグ比率算出部505は、溶銑に対する溶融スラグの体積比率を溶融スラグ比率Rとして求める。具体的に説明すると、溶融スラグ比率Rは、以下の(7)式を用いることにより求めることができる。
R=SS/(SM+SS) ・・・(7)
図6に示した例では、ガウス関数GMの面積SMは、2.5×104であり、ガウス関数GSの面積SSは、2.1×104であるので、溶融スラグ比率Rは0.46となる。
[[溶融スラグ比率導出部203の変形例]]
必ずしも、濃度ヒストグラム600に対するフィッティングにガウス関数を用いる必要はなく、χ2乗分布関数、F分布関数、又はt分布関数等の分布関数を用いることもできる。
本実施形態では、前述したように、溶融スラグに起因する濃度分布620については、濃度値PSよりも高濃度側の分布と、濃度値PSよりも低濃度側の分布とが対称であるとして、1つのガウス関数GSを用いるようにしたが、溶融スラグに起因する濃度分布620についても、溶銑に起因する濃度分布610と同様に、濃度値PSよりも低濃度側の分布と濃度値PSよりも高濃度側の分布とが非対称であるとして2つのガウス関数を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、濃度ヒストグラムにフィッティングして得られたガウス関数GM、GSを用いて、溶融スラグ比率Rを求めるようにした。しかしながら、CCDカメラ60により撮像された熱画像から、溶融スラグ比率Rを求めることができれば、必ずしも濃度ヒストグラム600にフィッティングして得られたガウス関数GM、GSを用いる必要はない。
例えば、CCDカメラ60により撮像された熱画像から、濃度が第1の閾値以下の画素(背景の画素)を除外して溶銑及び溶融スラグの熱画像を取り出した後、取り出した熱画像を第2の閾値で二値化し、二値化した一方の値を有する画素数と他方の値を有する画素数との比から、溶融スラグ比率Rを求めるようにしてもよい。ここで、第2の閾値は、例えば、溶銑に起因する濃度分布610のピークでの濃度値PMに一定の定数を乗じた濃度とする方法が考えられる。
[出銑流径導出部204の詳細]
まず、以下に説明するようにして、出銑流20の実効直径Deffを導出する方法を見出した背景について説明する。
図8は、顕著な表面波が生じていない出銑流20の熱画像の一例を示す図である。
図8に示す熱画像800において、出銑流の表面に表面波810(波打っている部分)が写し出されており、また、出銑流20の下方には、滞留スラグ820が写し出されている。
図9は、激しい表面波を伴う出銑流20の熱画像の例を示す図である。尚、図9(a)、図9(b)、図9(c)に示す熱画像910、920、930は、ある出銑において、激しい表面波が生じている時間帯の出銑流20の熱画像である。また、図9に示す熱画像910、920、930は、出銑口10aの近くで出銑流20を撮像することにより得られたものであるが、熱画像910、920、930には、出銑口10aは写し出されていない(熱画像910、920、930の「出銑口近傍」と示されている暗い領域は、構造物によるものであり、この構造物の後ろ側に出銑口10aがある)。
図8に示した熱画像800では、表面波810はそれほど大きくないが、長時間の出銑中には、図9に示すように激しい表面波を伴うこともある。図9(a)、図9(b)に示す熱画像910、920を用いた場合、出銑口近傍において出銑流の直径を測定すれば、当該出銑流の直径は出銑口径に近くなると推定されるが、図9において噴出方向と示されている矢印線のすぐ先において出銑流の直径を測定すると、表面波の影響で、当該出銑流の直径は出銑口径よりも大きくなったり小さくなったりする。図9(c)に示す熱画像930では、出銑口近傍で既に出銑流の直径が膨張し、その先では出銑流の直径が減少している。このような状況では、出銑流の直径の測定値のバラツキが大きくなる。表面波の大きさは、2[hour]〜3[hour]の出銑中に様々な態様となり、時々刻々と変化する。
したがって、このような表面波の影響を考慮して出銑流の直径を求める必要がある。本実施形態では、CCDカメラ60により撮像された出銑流20の熱画像を、以下のようにして処理することにより、出銑流20の熱画像から、出銑流20の実効直径Deffを導出できるようにした。以下に、かかる処理を行う出銑流径導出部204の機能の一例について説明する。
図10は、出銑流径導出部204の機能的な構成の一例を示す図である。図11は、出銑流径導出部204における処理の内容の一例を概念的に示す図である。尚、前述したように本実施形態では、熱画像入力部201は、10枚単位の熱画像を入力するが、図11では、表記の都合上、6枚の熱画像についてのみ示す。図11に示す熱画像は、熱画像1、熱画像2、熱画像3、熱画像4、熱画像5、熱画像6の順で時間的に連続して撮像されたものである。尚、図11の熱画像及び2値化画像内に示されている矩形状の枠は、出銑流径導出部204で使用されるものではない。
[[2値化画像生成部1001]]
2値化画像生成部1001は、熱画像入力部201により、10枚単位の熱画像のデータが入力されると、それらの熱画像のデータの夫々に対して、2値化処理を行う。ここでは、2値化処理により、熱画像において、撮像対象となる出銑流20の背景となっている暗い領域と、温度が高温であることにより発光している出銑流20の領域とを分離する。したがって、これらの領域が分離されるように(すなわち、出銑流20の領域の画素値が「1」、背景となっている領域の画素値が「0」となるように)、2値化処理における閾値を定める必要がある。
図12は、出銑流20の熱画像から得られた濃度ヒストグラムの一例を示す図である。前述したように、濃度ヒストグラムにおける画像濃度の値は、熱画像の各画素の画素値となる。
図12において、出銑流20の背景となっている領域に対応する濃度分布(背景濃度分布1201)と、出銑流20の領域に対応する濃度分布(溶銑の領域に対応する濃度分布(溶銑濃度分布1202)及び溶融スラグの領域に対応する濃度分布(スラグ濃度分布1203))と、を分離するためには、背景濃度分布1201と、溶銑濃度分布1202との間に生じている谷間(画素数が0(ゼロ)に近い値を示す領域)の画素濃度の範囲内で閾値を設定すればよい。
図12に示す例では、出銑流20の熱画像の最高濃度(画素値の最大値)の0.21倍以上、0.40倍以下(出銑流20の熱画像の最高濃度×0.21〜出銑流20の熱画像の最高濃度×0.40)の範囲(図12に示す2値化閾値範囲)であれば、熱画像において、出銑流20の背景となっている領域と、出銑流20の領域とを分離することができる。
本発明者らは、このような出銑流20の熱画像の濃度ヒストグラムを、出銑流20の状態が様々な状態であるときの複数枚の出銑流20の熱画像について作成し、作成した濃度ヒストグラムから、適切な2値化閾値範囲がどの範囲になるのかを調査した。その結果、出銑流20の熱画像の最高濃度の0.27倍以上、0.38倍以下(出銑流20の熱画像の最高濃度×0.27〜出銑流20の熱画像の最高濃度×0.38)の範囲で2値化処理の閾値を設定すれば、熱画像において、出銑流20の背景となっている領域と、出銑流20の領域とを常に安定して分離する2値化処理を行えることを見出した。特に、出銑流20の熱画像の最高濃度の0.35倍の値を2値化処理の閾値にすると、輝度差のある溶銑と溶融スラグを含む出銑流20の領域を出銑流20の背景となっている領域と良好に分離することができることを確認している。
本実施形態では、このような範囲の中からオペレータにより選択された閾値が、例えば、オペレータによる画像処理装置70の操作に基づいて、予め画像処理装置70に設定されているものとする。
2値化画像生成部1001は、画素値が閾値以上の画素の画素値を「1」とし、画素値が閾値未満の画素の画素値を「0」とすることを、熱画像入力部201により入力された10枚単位の熱画像のデータのそれぞれについて行うことにより2値化画像を生成する。例えば、図11に示す熱画像1〜6からは2値化画像1〜6が生成される。
[[差分2値化画像生成部1002]]
差分2値化画像生成部1002は、2値化画像生成部1001により生成された2値化画像であって、時間的に連続する2枚の2値化画像の相互に対応する画素の画素値の絶対値差分をとることを、それら2値化画像の全ての画素について行って、差分2値化画像を生成する。すなわち、差分2値化画像生成部1002は、時間的に連続する2枚の2値化画像の相互に対応する画素の画素値が異なれば、当該画素の画素値が「1」となり、時間的に連続する2枚の2値化画像の相互に対応する画素の画素値が同じであれば、当該画素値の画素値が「0」となる画像である差分2値化画像を生成する。
差分2値化画像生成部1002は、このような差分2値化画像の生成を、2値化画像生成部1001により生成された2値化画像の全てについて行う。例えば、図11に示す2値化画像1〜6からは差分2値化画像1〜5が生成される。より具体的に説明すると、例えば、図11に示す2値化画像1、2から差分2値化画像1が生成される。このようにすることによって、形状及び大きさが高速で変化する表面波の部分が抽出される(図11に示す差分2値化画像1〜5の白い領域を参照)。
[[合成差分2値化画像生成部1003]]
合成差分2値化画像生成部1003は、差分2値化画像生成部1002により生成された複数枚の差分2値化画像の相互に対応する画素の画素値の論理和をとることを、それら複数枚の差分2値化画像の全ての画素について行って、合成差分2値化画像を生成する。すなわち、合成差分2値化画像生成部1003は、差分2値化画像生成部1002により生成された複数枚の差分2値化画像の相互に対応する画素の画素値の少なくとも1つが「1」であるならば当該画素の画素値を「1」とし、そうでなければ当該画素の画素値を「0」として合成差分2値化画像を生成する。
例えば、図11に示す差分2値化画像1〜6から合成差分2値化画像が生成される。図11に示すように差分2値化画像1〜5において、表面波の変化がたまたま無い箇所では、白い領域(画素値が「1」の領域)が出現しない。そこで、差分2値化画像1〜6の相互に対応する画素の画素値の論理和をとることで、出銑流20の定常的な領域の上下の表面波の領域(非定常的な領域)を抽出することができる。このように、合成差分2値化画像は、出銑流20に対応する領域を、画素値が「1」の部分である表面波部と画素値が「0」である内層部とで表す2値化画像である。このように、合成差分2値化画像は、表面波を抽出した表面波抽出画像となる。尚、内層部は、差分2値化画像の生成に用いた全ての熱画像の対応する位置の画素に出銑流20が撮像されている熱画像上の部分である。一方、表面波部は、当該熱画像の対応する位置に、出銑流20が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である。
[[出銑流内径算出部1004]]
出銑流内径算出部1004は、合成差分2値化画像生成部1003により生成された合成差分2値化画像から、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´を導出する。合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´は、合成差分2値化画像における出銑流20の定常的な領域の直径であり、合成差分2値化画像の上下の白い領域(画素値が「1」の領域)の間の、出銑流20の噴出方向に垂直な方向における長さである。
図13は、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´を導出する方法の概念の一例を説明する図である。図13を参照しながら、出銑流内径算出部1004の処理の一例の詳細を説明する。
まず、出銑流内径算出部1004は、合成差分2値化画像生成部1003により生成された合成差分2値化画像に対して始点1301を設定する。合成差分2値化画像の大きさは予め定まっており、且つ、CCDカメラ60の視野となる領域と、出銑流20が空中を移動する経路は大きく変動しない。したがって、合成差分2値化画像において、出銑流20が確実に含まれる領域を予め想定することができる。このような出銑流20が確実に含まれる合成差分2値化画像の領域のうち、各熱画像に対して前述したようにして出銑流速度導出部202により設定及び探索されたテンプレートの位置に近い領域の中から始点1301が定められる。
本実施形態では、始点1301の位置は、例えば、オペレータによる画像処理装置70の操作に基づいて、予め画像処理装置70に設定されるものとする。
また、本実施形態では、始点1301の位置は、図13に示すように、合成差分2値化画像の左下の位置を原点としたときのx軸の座標とy軸の座標で表されるものとする。ここで、x軸の座標は、合成差分2値化画像の横方向の座標であり、y軸の座標は、合成差分2値化画像の縦方向の座標である。
次に、出銑流内径算出部1004は、始点1301となる画素から、y軸の正の方向に、1画素ずつ画素値を読み出し、画素値が初めて「1」となる画素の位置(座標)を読み出す。そして、出銑流内径算出部1004は、始点1301となる画素から、読み出した画素の1つ前の画素までの距離(画素数)を求める。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「始点表面波間上方向距離Lup1」と称する。始点表面波間上方向距離Lup1は、始点1301から表面波を示す領域までの、合成差分2値化画像の鉛直上方向における距離を示す。
次に、出銑流内径算出部1004は、始点1301となる画素から、y軸の負の方向に、1画素ずつ画素値を読み出し、画素値が初めて「1」となる画素の位置(座標)を読み出す。そして、出銑流内径算出部1004は、始点1301となる画素から、読み出した画素の1つ前の画素までの距離(画素数)を求める。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「始点表面波間下方向距離Ldown1」と称する。始点表面波間下方向距離Ldown1は、始点1301から表面波を示す領域までの、合成差分2値化画像の鉛直下方向における距離を示す。
次に、出銑流内径算出部1004は、始点表面波間上方向距離Lup1と始点表面波間下方向距離Ldown1とを加算する。これにより、始点1301を通り、且つ、合成差分2値化画像の縦方向(上下方向)に延びる直線に沿った方向おける、表面波を示す領域の間の距離(画素数)を求めることができる。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「表面波間縦方向距離L1」と称する。表面波間縦方向距離L1は、以下の(8)式で表される。
L1=Lup1+Ldown1 ・・・(8)
次に、出銑流内径算出部1004は、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)とx軸とのなす角度をθとして、以下の(9)式により、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´を導出する。
in´=L1×cosθ ・・・(9)
図13に示すように、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)は、x軸に平行(水平方向)ではない。したがって、(9)式の計算を行うことにより、始点1301を通り、且つ、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)に対して直交する直線に沿う方向における、表面波を示す領域の間の距離(画素サイズを単位とする長さ)を、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´として得ることができる。
前述したように、出銑流20が空中を移動する経路は大きく変動しないので、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)も大きく変動しない。そこで、本実施形態では、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)とx軸とのなす角度θは、例えば、オペレータによる画像処理装置70の操作に基づいて、予め画像処理装置70に設定されているものとする。
[[出銑流外径算出部1005]]
出銑流外径算出部1005は、合成差分2値化画像生成部1003により生成された合成差分2値化画像から、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´を導出する。合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´は、合成差分2値化画像における表面波の領域を含む出銑流20の直径である。具体的に出銑流20の外径Doutは、合成差分2値化画像の白い領域(画素値が「1」の領域)のうち、上にある方の領域の上端と、下にある方の領域の下端との間の、出銑流20の空中での移動方向に垂直な方向における長さを実空間における長さに変換したものである。
図14は、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´を導出する方法の概念の一例を説明する図である。図14を参照しながら、出銑流外径算出部1005の処理の一例の詳細を説明する。
まず、出銑流外径算出部1005は、出銑流内径算出部1004により設定された始点1301となる画素から、y軸の正の方向に、1画素ずつ画素値を読み出し、画素値が「1」となった後、初めて画素値が「0」となる画素の位置(座標)を読み出す。そして、出銑流外径算出部1005は、始点1301となる画素から、読み出した画素の1つ前の画素までの距離(画素数)を求める。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「始点表面波上端間上方向距離Lup2」と称する。始点表面波上端間上方向距離Lup2は、始点1301から表面波の上端の領域までの、合成差分2値化画像の鉛直上方向における距離を示す。
次に、出銑流外径算出部1005は、始点1301となる画素から、y軸の負の方向に、1画素ずつ画素値を読み出し、画素値が「1」となった後、初めて画素値が「0」となる画素の位置(座標)を読み出す。そして、出銑流外径算出部1005は、始点1301となる画素から、読み出した画素の1つ前の画素までの距離(画素数)を求める。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「始点表面波下端間下方向距離Ldown2」と称する。始点表面波下端間下方向距離Ldown2は、始点1301から表面波の下端の領域までの、合成差分2値化画像の鉛直下方向における距離を示す。
次に、出銑流外径算出部1005は、始点表面波上端間上方向距離Lup2と始点表面波下端間下方向距離Ldown2とを加算する。これにより、始点1301を通り、且つ、合成差分2値化画像の縦方向(上下方向)に延びる直線に沿った方向おける、出銑流2の上側の表面波の上端から下側の表面波の下端までの距離(画素数)を求めることができる。以下の説明では、このようにして求めた距離(画素数)を必要に応じて「表面波上下端間縦方向距離L2」と称する。表面波上下端間縦方向距離L2は、以下の(10)式で表される。
L2=Lup2+Ldown2 ・・・(10)
次に、出銑流外径算出部1005は、出銑流20の空中での移動方向(図14の噴出方向)とx軸とのなす角度をθとして、以下の(11)式により、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´を導出する。
out´=L2×cosθ ・・・(11)
(11)式の計算を行うことにより、始点1301を通り、且つ、出銑流20の空中での移動方向(図14の噴出方向)に対して直交する直線に沿う方向における、出銑流20の上側の表面波の上端と下側の表面波の下端との間の距離(画素サイズを単位とする長さ)を、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´として得ることができる。
尚、本実施形態では、出銑流20の空中での移動方向とx軸とのなす角度θとして、出銑流内径算出部1004で用いたものと同じものが用いられるものとする。
[[出銑流実効直径算出部1006]]
出銑流実効直径算出部1006は、出銑流内径算出部1004により算出された合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´と、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´と、後述する表面波寄与率記憶部206に記憶された表面波寄与率kとを用いて、以下の(12)式の計算を行って、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を算出する。
eff´=Din´+(Dout´−Din´)×k ・・・(12)
前述したように、表面波寄与率kは、0〜1の範囲で実験的に定められるパラメータである。表面波の形状は、場所によっても時間によっても異なる。そこで、本実施形態では、出銑流20の表面波の領域のうち、出銑流20の直径の算出に影響を与える領域を、表面波寄与率kにより調整する。表面波寄与率kが0(k=0)の場合は、表面波を除外した合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´が、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´となる。一方、表面波寄与率kが1(k=1)の場合は、表面波の最大振幅を含めた合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´が、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´となる。
次に、出銑流実効直径算出部1006は、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を実空間における長さに換算することで、実空間における出銑流20の実効直径Deffを導出する。CCDカメラ60の被写体距離とレンズ画角とに基づいて、合成差分2値化画像の1画素の実空間における長さを予め求めておき、その長さを、熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象(出銑流20)の寸法との関係の一例として、例えば、オペレータによる画像処理装置70の操作に基づいて、画像処理装置70に予め設定しておくことで、前述した換算を行うことができる。
[[出銑流径導出部204の変形例]]
ここでは、時間的に連続する2枚の2値化画像の絶対値差分をとって差分2値化画像を生成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしも時間的に連続する2枚の2値化画像で差分2値化画像を生成する必要はない。連続的に撮像された、すなわち、表面波の様子が大きく変化しない時間内で撮像された複数枚の熱画像を用いて生成された複数枚の2値化画像を用いる組み合わせであれば、差分2値化画像を生成するための2枚の2値化画像の組み合わせは限定されない。このとき、連続的に撮像された複数枚の熱画像を用いて生成された複数枚の2値化画像の全てを少なくとも一度は用いる組み合わせとしてもよいし、当該複数枚の2値化画像の一部を用いる組み合わせとしてもよい。例えば、図11において、2値化画像1と2値化画像3、2値化画像2と2値化画像3、2値化画像2と2値化画像4といった、異なる時間に撮像された2枚の2値化画像の異なる組み合わせで差分2値化画像を求めてもよい。
また、複数の始点1301を設定し、設定した始点1301のそれぞれに対して表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2を導出することを試みて、表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2が導出されなくなることを防止してもよい。このようにする場合、複数の表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2が導出される場合がある。そこで、例えば、複数の始点1301に対して優先順位を予め付けておき、優先順位が高い始点1301に対して導出された表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2を導出したり、複数の表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2の算術平均値を表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2として採用したりすることができる。
合成差分2値化画像を生成する場合には、出銑流上下の表面波像に途切れが生じないように、一定の撮像間隔で連続的に得られる出銑流20の熱画像の数が多い程好ましいが、熱画像の数が3以上であれば殆どの場合は表面波像に途切れが生じない。ただし、一定の撮像間隔で連続的に得られる出銑流20の熱画像の数が多くなると、画像処理装置70における処理の負担が増加するので、当該処理の負担が増加しない範囲で、一定の撮像間隔で連続的に得られる出銑流20の熱画像の数の上限値を決めるのが好ましい。
また、本実施形態では、(8)式、(10)式により表面波間縦方向距離L1、表面波上下端間縦方向距離L2を求めた後に、(9)式、(11)式により合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´、外径Dout´を求めるようにしたが、必ずしもこのようにして合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´、外径Dout´を求める必要はない。例えば、次のようにしてもよい。
まず、合成差分2値化画像に対し、始点1301を通り、且つ、出銑流20の空中での移動方向(図13、図14の噴出方向)に直交する方向に延びる直線を設定する。次に、設定した直線を構成する画素の画素値を読み出す。次に、読み出した画素の画素値に基づいて、設定した直線から、連続して画素値が「0」となる複数の画素からなる領域であって、当該領域の両端の隣の画素が、画素値が「1」の画素となる領域を抽出する。
次に、抽出した領域の画素サイズを単位とする長さを求め、当該長さを合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´とする。同様に、設定した直線から、連続して画素値が「0」となる複数の画素からなる領域と、その上下の連続して画素値が「1」の画素となる領域であって、当該領域の両端の隣の画素が、画素値が「0」の画素となる領域と、を抽出する。次に、抽出した領域の長さを求め、当該長さを合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´とする。
また、本実施形態では、出銑流20の空中での移動方向(図13、図14の噴出方向)とx軸とのなす角度θを、オペレータによる画像処理装置70の操作に基づいて、予め画像処理装置70に設定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、合成差分2値化画像から、出銑流20の空中での移動方向(図13の噴出方向)とx軸とのなす角度θを求めるようにしてもよい。このようにする場合には、例えば、次のようにすることができる。
まず、合成差分2値化画像の一列の画素(縦方向の全画素)の画素値を読み出す。次に、読み出した画素の画素値に基づいて、当該列から、連続して画素値が「0」となる複数の画素からなる領域であって、当該領域の両端の隣の画素が、画素値が「1」の画素となる領域を識別し、当該領域の両端の隣の画素のうち、予め設定された一端側の画素の位置(座標)を読み出す。このような画素の位置(座標)の読み出しを、合成差分2値化画像の(予め設定された領域内の)各列について行う。そして、読み出した各列の画素の位置(座標)を示す関数を1次関数で表し(近似し)、当該1次関数の傾きに基づいて、出銑流20の空中での移動方向(図13、図14の噴出方向)とx軸とのなす角度θを導出する。
また、本実施形態では、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´の導出と、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´の導出とを行って、(12)式により、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を導出し、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を、実空間における出銑流20の実効直径Deffに換算した。しかしながら、実空間への換算は、どのタイミングで行っても等価なものである。例えば、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´を、実空間における出銑流20の内径Dinへ換算すると共に、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´を、実空間における出銑流20の外径Doutへ換算し、以下の(13)式の計算を行って、実空間における出銑流20の実効直径Deffを算出しても本実施形態で説明した処理と等価な処理となる。
eff=Din+(Dout−Din)×k ・・・(13)
[表面波寄与率導出部205の詳細]
前述したように、溶銑の生成量(質量)は、タップ毎にトーピードカーの質量変化を秤量器で測定することにより得られる。これに対し、溶融スラグの質量については、水砕後でしか測定することができない。そこで、本実施形態では、以下に説明するようにして算出される溶銑の質量がタップ毎に測定された溶銑の生成量(質量)に一致する(最も近くなる)ように表面波寄与率kを合わせ込むようにした。以下に、かかる処理を行う表面波寄与率導出部205の機能の一例について説明する。
図15は、表面波寄与率導出部205の機能的な構成の一例を示す図である。
[[溶銑流量算出部1501]]
溶銑流量算出部1501は、溶融スラグの流量の測定の対象となるタップよりも前のタップを対象としてCCDカメラ60で撮像されて熱画像入力部201に入力された10枚単位の熱画像のデータを入力する。本実施形態では、溶銑流量算出部1501は、複数のタップからなるタップ群で連続的に得られた10枚単位の熱画像のデータを全て入力するものとする。尚、前述の様に、本実施形態では、CCDカメラ60は、出銑口10aから流出した出銑流20の熱画像を5[msec]の撮像間隔で10枚撮像することを、10[sec]の周期で周期的に行う。ここでは、この様な撮像を複数のタップについて行う。
そして、溶銑流量算出部1501は、熱画像入力部201から入力した10枚単位の熱画像のデータを用いて、出銑流速度導出部202及び溶融スラグ比率導出部203で説明した手順と同じ手順を踏んで、出銑流20の移動速度Vと溶融スラグ比率Rとを算出する。出銑流20の速度Vと溶融スラグ比率Rの算出方法は、前述した通りであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
次に、溶銑流量算出部1501は、予め設定されている表面波寄与率kの複数の候補のうち、1つを選択して、選択した表面波寄与率kの候補と、熱画像入力部201から入力した10枚単位の熱画像のデータとを用いて、出銑流径導出部204と同じ手順を踏んで、出銑流20の実効直径Deffを算出する。出銑流20の実効直径Deffの算出方法は、前述した通りであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
次に、溶銑流量算出部1501は、以上のようにして算出した出銑流20の速度V、溶融スラグ比率R、出銑流20の実効直径Deffと、予め設定されている溶銑の密度ρi[ton/m3]とを用いて、溶銑の流量Qi[ton/sec]を導出する。前述したように本実施形態では、出銑流20の形状を円筒形状に近似しているので、溶銑流量算出部1501は、以下の(14)式により、溶銑の流量Qiを算出する。
i=(Deff÷2)2×π×V×R×ρi ・・・(14)
溶銑流量算出部1501は、以上のような溶銑の流量Qiの算出を、表面波寄与率kの複数の候補のそれぞれについて行う。すなわち、溶銑流量算出部1501は、出銑流20の実効直径Deffを算出する際の表面波寄与率kの値のみを異ならせて、溶銑の流量Qiを算出する。さらに、溶銑流量算出部1501は、表面波寄与率kの複数の候補のそれぞれについての溶銑の流量Qiの算出を、複数のタップのそれぞれで行う。
[[溶銑質量算出部1502]]
溶銑質量算出部1502は、同一の表面波寄与率kの値から溶銑流量算出部1501で10[sec]周期で算出された各タップにおける溶銑の流量Qiの値を各タップの全体について積算した値を、溶銑の質量として算出することを、表面波寄与率kの複数の候補のそれぞれについて行う。以下の説明では、このようにして算出された溶銑の質量を、必要に応じて「溶銑の質量の計算値」と称する。
[[溶銑質量取得部1503]]
溶銑質量取得部1503は、前記複数のタップのそれぞれにおいて前述した秤量器の測定の結果から得られる溶銑の質量のデータを取得する。溶銑の質量のデータの取得の形態としては、例えば、オペレータによる入力操作、可搬型記憶媒体からの読み出し、外部装置からの送信の少なくとも1つが挙げられる。そして、溶銑質量取得部1503は、各タップにおける溶銑の質量を積算し、各タップにおける溶銑の質量を算出する。以下の説明では、このようにして算出された溶銑の質量を、必要に応じて「溶銑の質量の実測値」と称する。
[[表面波寄与率決定部1504]]
表面波寄与率決定部1504は、溶銑質量算出部1502により算出された溶銑の質量の計算値と、溶銑質量取得部1503により得られた溶銑の質量の実測値とを用いて、表面波寄与率kを決定する。
図16は、溶銑の質量の実測値と計算値との関係の一例を示す図である。具体的に、図16(a)、図16(b)、図16(c)は、それぞれ、表面波寄与率kの値が「0」、「0.3」、「0.6」の場合の溶銑の質量の実測値と計算値との関係を示す図である。尚、前述したように、溶銑の質量の実測値と計算値のうち、表面波寄与率kによって値が変わるのは、計算値のみである。
図16(a)に示すように、表面波寄与率kを0(k=0)とすると、計算値が実測値よりも小さくなり、図16(c)に示すように、表面波寄与率kを0.6(k=0.6)とすると、逆に計算値が実測値よりも大きくなる。これに対し、図16(b)に示すように、表面波寄与率kを0.3(k=0.3)とすると、計算値が実測値に一致(近く)なることが分かる。
このように、溶銑の質量の計算値と、溶銑の質量の実測値との関係から、実測値に最も近い計算値が得られたときに採用した表面波寄与率kを導出すれば、出銑流径導出部204により出銑流20の実効直径Deffを正確に導出することができる(すなわち、(12)式におけるkの値を実測値に合わせることができる)。
そこで、本実施形態では、表面波寄与率決定部1504は、溶銑質量算出部1502により算出された溶銑の質量の計算値のうち、同一の表面波寄与率k及び同一のタップにおいて得られた溶銑の質量の計算値と、溶銑の質量の実測値との残差平方和を算出することを、前記表面波寄与率kの複数の候補の全てについて行い、残差平方和と表面波寄与率kとの関係を表す関数を作成する。図17は、残差平方和と表面波寄与率kとの関係の一例を示す図である。図17に示す結果から、本実施形態では、溶融スラグの流量Qsの導出のために使用する表面波寄与率kとして、0.3を採用した。
そして、表面波寄与率決定部1504は、残差平方和と表面波寄与率kとの関係を表す関数から、残差平方和が最小になるときの表面波寄与率kを導出し、表面波寄与率記憶部206に記憶する。
[[表面波寄与率導出部205の変形例]]
表面波寄与率導出部205の機能は、画像処理装置70の内部になくてもよい。このようにする場合、画像処理装置70とは別の情報処理装置に表面波寄与率導出部205の機能を持たせ、当該情報処理装置で得られた表面波寄与率kを表面波寄与率記憶部206に記憶させてもよい。
また、溶銑の質量の計算値と測定値との差を評価する手法を用いていれば、必ずしも残差平方和を、溶銑の質量の計算値と測定値との差を評価する手法として用いる必要はない。
また、溶銑の質量の計算値を、1つのタップの単位で求めなくてもよい。例えば、複数のタップ毎に、溶銑の質量の計算値を求めるようにしてもよい。
<動作フローチャート>
次に、図18のフローチャートを参照しながら、溶融スラグの流量Qsを導出する際の画像処理装置70の処理の概要の一例を説明する。
まず、ステップS1801において、熱画像入力部201は、5[msec]の撮像間隔で撮像された10枚の出銑流20の熱画像のデータを、10[sec]の周期で繰り返し入力する。
次に、ステップS1802において、出銑流速度導出部202は、出銑流20の速度Vを導出する出銑流速度導出処理を実行する。出銑流速度導出処理の詳細は、図19を参照しながら後述する。
次に、ステップS1803において、溶融スラグ比率導出部203は、溶融スラグ比率Rを導出する溶融スラグ比率導出処理を実行する。溶融スラグ比率導出処理の詳細は、図20を参照しながら後述する。
次に、ステップS1804において、出銑流径導出部204は、出銑流20の実効直径Deffを導出する出銑流実効直径導出処理を実行する。出銑流実効直径導出処理の詳細は、図21を参照しながら後述する。
次に、ステップS1805において、溶融スラグ流量導出部207は、ステップS1802で導出された出銑流20の速度Vと、ステップS1803で導出された溶融スラグ比率Rと、ステップS1804で導出された出銑流20の実効直径Deffと、予め設定されている溶融スラグの密度ρs[ton/m3]とを用いて、(1)式の計算を行って、溶融スラグの流量Qsを導出する。
次に、ステップS1806において、溶融スラグ流量出力部208は、ステップS1805で導出された溶融スラグの流量Qsを出力する。
次に、ステップS1806において、画像処理装置70は、溶融スラグの流量Qsの測定を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば、オペレータによる画像処理装置70の操作の内容に基づいて行われる。この判定の結果、溶融スラグの流量Qsの測定を終了しない場合には、ステップS1801に戻る。そして、熱画像入力部201は、出銑流20の熱画像のデータの前回の入力時刻から、10[sec]が経過すると、次の出銑流20の熱画像のデータを入力し、入力した熱画像のデータを使って、ステップS1802〜S1806の処理が行われる。
そして、ステップS1807において、溶融スラグの流量Qsの測定を終了すると判定されると、図18のフローチャートによる処理を終了する。
次に、図19のフローチャートを参照しながら、図18のステップS1802の出銑流速度導出処理の詳細を説明する。
まず、ステップS1901において、画像選択部401は、図18のステップS1801で得られた10枚単位の熱画像のうち、時間的に連続する2枚の熱画像の組を全て選択する。
次に、ステップS1902において、テンプレート切り出し部402は、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像のうち、先に得られた熱画像からパターンマッチングのテンプレートを切り出す。
次に、ステップS1903において、探索部403は、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像のうち、先に得られた熱画像から切り出したパターンマッチングのテンプレートに対応する領域が、後に得られた熱画像のどこに存在するのかをパターンマッチング処理で検出する。探索部403は、このようなテンプレートの探索を、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像の組の全てについて行う。
次に、ステップS1904において、移動距離算出部404は、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像について、ステップS1902、S1803で得られたテンプレートが移動した距離から、出銑流20の移動距離dを算出する。具体的には、(2)式の計算を行う。移動距離算出部404は、このような出銑流20の移動距離dの算出を、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像の組の全てについて行う。
次に、ステップS1905において、出銑流速度算出部405は、ステップS1904で算出された出銑流20の移動距離dと撮像間隔Δt[sec]とに基づいて、(3)式の計算を行って、出銑流20の速度D´を算出する。出銑流速度算出部405は、このような出銑流20の速度D´の算出を、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像の組の全てについて行う。そして、出銑流速度算出部405は、ステップS1901で選択された時間的に連続する2枚の熱画像の組の全てについての出銑流20の速度D´の算術平均値を出銑流20の速度Dとして導出する。
そして、図19のフローチャートによる処理を終了する。
次に、図20のフローチャートを参照しながら、図18のステップS1803の溶融スラグ比率導出処理の詳細を説明する。
まず、ステップS2001において、濃度ヒストグラム算出部501は、ステップS1801で入力された10枚単位の熱画像のうち、時間的に最初に得られた熱画像のデータから、濃度ヒストグラムを算出する(図6を参照)。
次に、ステップS2002において、溶銑ピーク濃度導出部502は、ステップS2001で算出した濃度ヒストグラムにおける溶銑に起因するピークでの濃度値PMを、前述したピーク検出処理を行って演算する。
次に、ステップS2003において、スラグピーク濃度導出部503は、ステップS2002で演算した、溶銑に起因するピークでの濃度値PMに1.45を乗じて、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSを求める((4)式を参照)。
次に、ステップS2004において、分別部504は、ステップS2002で演算した、溶銑に起因するピークでの濃度値PMと、ステップS2003で求めた、溶融スラグに起因するピークでの濃度値PSとを用いて、濃度ヒストグラム600(溶銑に起因する濃度分布610と、溶融スラグに起因する濃度分布620)に合うガウス関数GM1、GM2、GSのパラメータを定める最適化計算を行う。即ち、濃度ヒストグラム600にガウス関数GM1、GM2、GSをフィッティングする処理を行う。
次に、ステップS2005において、スラグ比率算出部505は、ステップS2004で得られたガウス関数GM(=GM1+GM2)の面積SMを算出する((5)式を参照)。
次に、ステップS2006において、スラグ比率算出部505は、ステップS2004で得られたガウス関数GSの面積SSを算出する((6)式を参照)。
次に、ステップS2007において、スラグ比率算出部505は、ステップS2005、S2006で算出されたガウス関数GM、GSの面積SM、SSを用いて(7)式の計算を行って、溶融スラグ比率Rを算出する。
そして、図20のフローチャートによる処理を終了する。
次に、図21のフローチャートを参照しながら、図18のステップS1804の出銑流実効直径導出処理の詳細を説明する。
まず、ステップS2101において、2値化画像生成部1001は、ステップS1801で入力された10枚の熱画像のデータの夫々に対して、2値化処理を行い、2値化画像を生成する(図11に示す2値化画像1〜6を参照)。
次に、ステップS2102において、差分2値化画像生成部1002は、ステップS2101で生成された2値化画像であって、時間的に連続する2枚の2値化画像から、差分2値化画像を生成する(図11に示す差分2値化画像1〜5を参照)。
次に、ステップS2103において、合成差分2値化画像生成部1003は、ステップS2102で生成された差分2値化画像から、合成差分2値化画像を生成する(図11〜13に示す合成差分2値化画像を参照)。
次に、ステップS2104において、出銑流内径算出部1004は、ステップS2103で生成された合成差分2値化画像から、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´を導出する。図13を参照しながら前述したように、本実施形態では、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´の導出に際して、始点1301の設定と、始点表面波間上方向距離Lup1、始点表面波間下方向距離Ldown1、及び表面波間縦方向距離L1の導出と、合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´の導出とが行われる((8)式、(9)式を参照)。
次に、ステップS2105において、出銑流外径算出部1005は、ステップS2103で生成された合成差分2値化画像から、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´を導出する。図14を参照しながら前述したように、本実施形態では、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´の導出に際して、始点1301の設定と、始点表面波上端間上方向距離Lup2、始点表面波下端間下方向距離Ldown2、及び表面波上下端間縦方向距離L2の導出と、合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´の導出とが行われる((10)式、(11)式を参照)。
次に、ステップS2106において、出銑流実効直径算出部1006は、予め表面波寄与率記憶部206に記憶されている表面波寄与率kを読み出す。
次に、ステップS2107において、出銑流実効直径算出部1006は、ステップS2104で算出された合成差分2値化画像における出銑流20の内径Din´と、ステップS2105で算出された合成差分2値化画像における出銑流20の外径Dout´と、ステップS2106で読み出した表面波寄与率kとを用いて、(12)式の計算を行って、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を算出する。次に、出銑流実効直径算出部1006は、合成差分2値化画像における出銑流20の実効直径Deff´を実空間における長さに換算することで、実空間における出銑流20の実効直径Deffを導出する。
そして、図21のフローチャートによる処理を終了する。
次に、図22のフローチャートを参照しながら、表面波寄与率kを決定する際の画像処理装置70の処理の一例を説明する。図22のフローチャートによる処理は、図18のフローチャートが実行される前に完了する。
まず、ステップS2201において、熱画像入力部201は、5[msec]の撮像間隔で撮像された10枚の出銑流20の熱画像のデータを、10[sec]の周期で繰り返し入力する。
次に、ステップS2202において、溶銑流量算出部1501は、ステップS2201で入力した10枚の熱画像のデータを用いて、出銑流20の速度Vを算出する。ステップS2202の処理の詳細は、図19のフローチャートにより実現される。
次に、ステップS2203において、溶銑流量算出部1501は、ステップS2201で入力した10枚の熱画像のデータのうち最初に得られた熱画像データを用いて、溶融スラグ比率Rを算出する。ステップS2203の処理の詳細は、図20のフローチャートにより実現される。
次に、ステップS2204において、溶銑流量算出部1501は、予め設定されている表面波寄与率kの複数の候補のうち、未選択の候補を1つ選択する。
次に、ステップS2205において、溶銑流量算出部1501は、ステップS2201で入力した10枚の熱画像データと、ステップS2204で選択した表面波寄与率kの候補とを用いて、出銑流20の実効直径Deffを算出する。ステップS2205の処理の詳細は、図21のフローチャートにより実現される。
次に、ステップS2206において、溶銑流量算出部1501は、ステップS2202で算出した出銑流20の速度Vと、ステップS2203で算出した溶融スラグ比率Rと、ステップS2205で算出した出銑流20の実効直径Deffと、予め設定されている溶銑の密度ρiとを用いて、(14)式の計算を行って、溶銑の流量Qiを算出する。
次に、ステップS2207において、溶銑流量算出部1501は、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択したか否かを判定する。この判定の結果、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択していない場合には、ステップS2204の処理に戻り、未選択の表面波寄与率kの候補を1つ選択し、当該表面波寄与率kの候補の場合の溶銑の流量Qiを算出する。
そして、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択すると、ステップS2208に進む。
ステップS2208に進むと、溶銑流量算出部1501は、予め設定されている複数のタップのうちの1つのタップに対するステップS2201〜S2107の処理が終了したか否かを判定する。この判定の結果、1つのタップに対する処理が終了していない場合には、ステップS2201に戻る。そして、表面波寄与率kの全ての候補の溶銑の流量Qiのデータが、10[sec]間隔で、1つのタップにおける全期間において得られるまで、ステップS2201〜S2108の処理を繰り返し行う。
そして、1つのタップに対する処理が終了すると、ステップS2209に進む。
ステップS2209に進むと、溶銑質量算出部1502は、同一の表面波寄与率kの値を使ってステップS2206で算出された溶銑の流量Qiの値を積算した値を、溶銑の質量の計算値として算出する。
次に、ステップS2210において、溶銑質量取得部1503は、予め設定されている複数のタップに対するステップS2201〜S2109の処理が終了したか否かを判定する。この判定の結果、複数のタップに対する処理が終了していない場合には、ステップS2201に戻る。そして、表面波寄与率kの全ての候補の溶銑の質量の計算値が、全てのタップについて得られるまで、ステップS2201〜S2110の処理を繰り返す。
そして、複数のタップに対する処理が終了すると、ステップS2211に進む。
ステップS2211に進むと、溶銑質量取得部1503は、予め設定されている複数のタップごとに、溶銑の質量の実測値を算出する。溶銑の質量の実測値は、各タップにおける秤量器の測定の結果から得られる溶銑の質量の値を取得して積算することにより得られる。
次に、ステップS2212において、表面波寄与率決定部1504は、予め設定されている表面波寄与率kの複数の候補のうち、未選択の候補を1つ選択する。
次に、ステップS2213において、表面波寄与率決定部1504は、ステップS2209で算出された溶銑の質量の計算値のうち、ステップS2212で選択した表面波寄与率kの候補における値と、ステップS2210で算出した溶銑の質量の実測値とを用いて、当該表面波寄与率kの候補における、溶銑の質量の計算値と実測値の残差平方和を算出する。
次に、ステップS2214において、表面波寄与率決定部1504は、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択したか否かを判定する。この判定の結果、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択していない場合には、ステップS2212の処理に戻り、未選択の表面波寄与率kの候補を1つ選択し、当該表面波寄与率kの候補における、溶銑の質量の計算値と実測値の残差平方和を算出する。
そして、表面波寄与率kの複数の候補の全てを選択すると、ステップS2215に進む。
ステップS2215に進むと、表面波寄与率決定部1504は、残差平方和と表面波寄与率kとの関係を表す関数を算出する。
次に、ステップS2216において、表面波寄与率決定部1504は、残差平方和と表面波寄与率kとの関係を表す関数から、残差平方和が最小になるときの表面波寄与率kを導出する。
次に、ステップS2217において、表面波寄与率決定部1504は、ステップS2216で導出した表面波寄与率kを表面波寄与率記憶部206に記憶する。
そして、図22のフローチャートによる処理を終了する。
<実施例>
次に、本発明の実施例を説明する。
ここでは、出銑口10aから噴出する出銑流20(約1550[℃]の溶銑と溶融スラグの混合液体)を、中心透過波長が650[nm]の光学バンドパスフィルタを波長選択フィルタとして備えたモノクロCCDカメラで撮像した。また、モノクロCCDカメラの露光時間を1/10000[sec]とした。このようなモノクロCCDカメラにより、出銑流20の熱画像を5[msec]の撮像間隔で10枚撮像することを、30[sec]を1周期として周期的に繰り返し、約2[hour]続くタップ中に出銑口10aから噴出する出銑流20の熱画像を撮像した。
画像処理装置として、画像入力ボードを備えたパーソナルコンピュータを用いた。画像処理装置内で扱われるデジタル画像を8[bit](256階調)のグレースケールのデジタル画像とした。また、画像の1画素の長さが実空間における0.4[mm]に相当することを予め実験的に求めた。また、表面波寄与率kとして0.3を採用した。
図23に、以上のようにして得られた熱画像のデータから、前述した処理によって得られた、出銑流20の速度V(図23(a))、溶融スラグ比率R(図23(b))、出銑流20の実効直径Deff(図23(c))、溶銑の流量Qi(図23(d))、溶融スラグの流量Qs(図23(e))を示す。
尚、溶銑の流量Qiは、図23(a)〜図23(c)に示す結果を(14)式に代入することにより得られる。このように、溶融スラグの流量Qsと共に溶銑の流量Qiを画像処理装置70においてリアルタイムで算出するようにしてもよい。また、図23(a)〜(e)では、10[sec]毎に離散的に得られる値に対して補間処理を行った結果を示す。
図23(d)に示す溶銑の流量Qiを積算してこのタップにおける溶銑の質量の計算値を求めると614[ton]になる。この値は、トーピードカーで受けた溶銑の質量を測定することにより得られた実測値(=590[ton])と略一致した。
また、図23(b)に示す結果を含む複数のタップ(1日)における溶融スラグ比率Rの測定結果の平均値が、原料装入量のマスバランスから計算される溶銑と溶融スラグの質量比である1対0.3と略一致した。したがって、本実施形態における溶融スラグ比率Rの測定(計算)は、正しく行われていると判断できる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、CCDカメラ60で撮像された熱画像のデータから、出銑流20の速度V、溶融スラグ比率R、実空間における出銑流20の実効直径Deffを導出し、これらと、溶融スラグの密度ρsから、出銑流20の形状を円筒形状と近似して、溶融スラグの流量Qiを算出する。
したがって、出銑口10aから乱流の表面波を伴って流出する溶融スラグの可及的に正確な流量をリアルタイムで(当該タップ中に)連続的に知ることができる。また、画像計測を行うため、遠隔測定が可能であり、測定装置が比較的安価になる。このように従来では正確な測定手段が無かった溶融スラグの流量を時々刻々とモニタリングできれば、タップを終了するタイミングを、より適切に判断できるようになり、高炉の操業をより安定させることができる。また、溶融スラグの流量の変化から炉内の異常や非定常性を迅速に検知することが可能になる。
また、本実施形態では、時間的に連続する2枚の2値化画像の絶対値差分をとることにより得られた複数の差分2値化画像の論理和をとって合成差分2値化画像を生成し、合成差分2値化画像から出銑流20の内径Dinと外径Doutを求め、これら出銑流20の内径Dinと外径Doutと0〜1の値を有する表面波寄与率kとを用いて、実空間における出銑流20の実効直径Deffを導出するようにした。このように、一定の撮像間隔で撮像した2枚の出銑流20の熱画像から、表面波の変化を抽出することを、複数のタイミングで行うので、一定の撮像間隔で撮像した2枚の出銑流20の熱画像だけからでは表面波の変化を抽出できない場合でも(たまたま表面波の変化が顕著でないタイミングで2枚の出銑流20の熱画像が撮像された場合でも)、表面波の変化を確実に抽出することができる。
また、本実施形態では、2値化画像を生成する際に、出銑流20の熱画像の最高濃度の0.27倍以上、出銑流20の熱画像の最高濃度の0.38倍以下の範囲の中から設定された閾値を採用した。したがって、熱画像において、出銑流20の背景となっている領域と、出銑流20の領域とをより確実に分離することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
<請求項との関係>
(請求項1、8、9)
撮像工程(手段)は、例えば、CCDカメラ60により熱画像が撮像されることにより実現される。
出銑流速導出工程(手段)は、例えば、ステップS1901〜S1905(出銑流速度導出部202)により実現される(出銑流速度導出部202の変形例も参照)。
混合比率導出工程(手段)は、例えば、ステップS2001〜S2007(溶融スラグ比率導出部203)により実現される(溶融スラグ比率導出部203の変形例も参照)。
出銑流実効直径導出工程(手段)は、例えば、ステップS2101〜S2107(出銑流径導出部204)により実現される。
スラグ流量導出工程(手段)は、例えば、ステップS1805(溶融スラグ流量導出部207)により実現される。
(請求項2)
2値化画像生成工程は、例えば、ステップS2101(2値化画像生成部1001)により実現される。
差分2値化画像生成工程は、例えば、ステップS2102(差分2値化画像生成部1002)により実現される。
合成差分2値化画像生成工程は、例えば、ステップS2103(合成差分2値化画像生成部1003)により実現される。
出銑流内径導出工程は、例えば、ステップS2104(出銑流内径算出部1004)により実現される。
出銑流外径導出工程は、例えば、ステップS2105(出銑流外径算出部1005)により実現される。
出銑流実直径算出工程は、例えば、ステップS2107(出銑流実効直径算出部1006)により実現される(出銑流径導出部204の変形例、表面波寄与率導出部205の変形例も参照)。
(請求項3)
表面波寄与率導出工程は、例えば、ステップS2201〜S2216により実現される。
表面波寄与率記憶工程は、例えば、ステップS2217により実現される。
第1の工程は、例えば、ステップS2202により実現される。
第2の工程は、例えば、ステップS2203により実現される。
第3〜第9の工程は、例えば、ステップS2204、S2205、S2207により実現される。
第10の工程は、例えば、ステップS2204、S2206、S2207により実現される。
第11の工程は、例えば、ステップS2209により実現される。
第12の工程は、例えば、ステップS2211により実現される。
第13の工程は、例えば、ステップS2212〜S2116により実現される。
(請求項5)
移動距離導出工程は、例えば、ステップS1901〜S1904により実現される。
出銑流速度導出工程は、例えば、ステップS1905により実現される。
(請求項6)
濃度分布分別工程は、例えば、ステップS2001〜S2006により実現される。
溶銑スラグ混合比率導出工程は、例えば、ステップS2007により実現される。
10 高炉
10a 出銑口
20 出銑流
30 出銑樋
40 滞留スラグ
50 樋カバー
60 CCDカメラ
70 画像処理装置
201 熱画像入力部
202 出銑流速度導出部
203 溶融スラグ比率導出部
204 出銑流径導出部
205 表面波寄与率導出部
206 表面波寄与率記憶部
207 溶融スラグ流量導出部
208 溶融スラグ流量出力部

Claims (5)

  1. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像工程と、
    前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出工程と、
    前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出工程と、
    前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出工程と、
    前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出工程と、
    を有し、
    前記出銑流実効直径導出工程は、
    前記撮像工程により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、
    前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、
    前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、
    前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする、溶融スラグ流量測定方法。
  2. 前記出銑流実効直径導出工程は、
    前記撮像工程により連続的に撮像された3枚以上の熱画像のそれぞれの画素値を2値化して、当該熱画像にそれぞれ対応する2値化画像を生成する2値化画像生成工程と、
    前記2値化画像生成工程により生成された2値化画像のうち、異なる時間に撮像された2枚の前記熱画像に基づいて生成された2枚の2値化画像に基づいて、当該2枚の2値化画像の相互に対応する画素の画素値の差分の絶対値を画素値として有する差分2値化画像を2枚以上生成する差分2値化画像生成工程と、
    前記差分2値化画像生成工程により導出された2枚以上の差分2値化画像のそれぞれの対応する画素の画素値の論理和を画素値として有する合成差分2値化画像を生成する合成差分2値化画像生成工程と、
    前記合成差分2値化画像における前記出銑流に対応する領域のうち、画素値が「0」の部分である内層部の、前記出銑流の移動方向に垂直な方向に沿う長さを、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径として導出する出銑流内径導出工程と、
    前記合成差分2値化画像における、前記出銑流に対応する画素のうち、画素値が「1」の部分である表面波部と、前記内層部とを合わせた領域の、前記出銑流の移動方向に垂直な方向に沿う長さを、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の外径として導出する出銑流外径導出工程と、
    前記合成差分2値化画像における前記出銑流の外径から前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径を引いた値に、0以上1以下の値を有する表面波寄与率を掛けた値と、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径とを加算した値を、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の熱画像上の実効直径として算出して、当該出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として算出する出銑流実効直径算出工程と、
    を更に有することを特徴とする請求項1に記載の溶融スラグ流量測定方法。
  3. 前記スラグ流量導出工程に先立ち、前記撮像工程により撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて前記表面波寄与率を導出する表面波寄与率導出工程と、
    前記表面波寄与率を記憶する表面波寄与率記憶工程と、
    を更に有し、
    前記表面波寄与率導出工程は、
    前記出銑流の速度を導出する第1の工程と、
    前記溶銑及び前記溶融スラグの混合比率を導出する第2の工程と、
    前記撮像工程により連続的に撮像された3枚以上の熱画像のそれぞれの画素値を2値化して、当該熱画像にそれぞれ対応する2値化画像を生成する第3の工程と、
    前記第3の工程により生成された2値化画像のうち、異なる時間に撮像された2枚の前記熱画像に基づいて生成された2枚の2値化画像に基づいて、当該2枚の2値化画像の相互に対応する画素の画素値の差分の絶対値を画素値として有する差分2値化画像を2枚以上生成する第4の工程と、
    前記第4の工程により導出された2枚以上の差分2値化画像のそれぞれの対応する画素の画素値の論理和を画素値として有する合成差分2値化画像を生成する第5の工程と、
    前記合成差分2値化画像における前記出銑流に対応する領域のうち、画素値が「0」の部分である内層部の、前記出銑流の移動方向に垂直な方向に沿う長さを、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径として導出する第6の工程と、
    前記合成差分2値化画像における、前記出銑流に対応する画素のうち、画素値が「1」の部分である表面波部と、前記内層部とを合わせた領域の、前記出銑流の移動方向に垂直な方向に沿う長さを、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の外径として導出する第7の工程と、
    前記合成差分2値化画像における前記出銑流の外径から前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径を引いた値に、前記表面波寄与率の候補を掛けた値と、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の内径とを加算した値を、前記合成差分2値化画像における前記出銑流の熱画像上の実効直径として導出することを、複数の前記表面波寄与率の候補のそれぞれについて行う第8の工程と、
    前記合成差分2値化画像における前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを、前記複数の表面波寄与率の候補のそれぞれについて行う第9の工程と、
    前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び前記溶融スラグの混合比率と、前記溶銑の密度と、に基づいて、前記溶銑の質量流量を導出することを、前記複数の表面波寄与率の候補のそれぞれについて行う第10の工程と、
    前記溶銑の質量流量を積算して前記溶銑の質量の計算値を導出することを、前記複数の表面波寄与率の候補のそれぞれについて行う第11の工程と、
    前記溶銑の質量の実測値を取得する第12の工程と、
    前記溶銑の質量の計算値が、前記溶銑の質量の実測値と最も近いときの前記表面波寄与率の候補を、前記表面波寄与率として決定する第13の工程と、
    を更に有することを特徴とする請求項2に記載の溶融スラグ流量測定方法。
  4. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像手段と、
    前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出手段と、
    前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出手段と、
    前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出手段と、
    前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出手段と、
    を有し、
    前記出銑流実効直径導出手段は、
    前記撮像手段により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、
    前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、
    前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、
    前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする、溶融スラグ流量測定システム。
  5. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物の噴流である出銑流を含む領域の熱放射輝度の2次元分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の画素値を持つ各画素から構成される熱画像として撮像する撮像手段により撮像された前記熱画像を取得する取得手段と、
    前記出銑流の速度を導出する出銑流速導出手段と、
    前記溶融物に含まれる溶銑及び溶融スラグの混合比率を導出する混合比率導出手段と、
    前記出銑流の実効直径を導出する出銑流実効直径導出手段と、
    前記出銑流の実効直径と、前記出銑流の速度と、前記溶銑及び溶融スラグの混合比率と、前記溶融スラグの密度と、に基づいて、前記溶融スラグの質量流量を導出するスラグ流量導出手段と、
    してコンピュータに機能させ、
    前記出銑流実効直径導出手段は、
    前記撮像手段により連続的に撮像された3枚以上の前記熱画像を用いて、全ての当該熱画像の対応する位置の画素に前記出銑流が撮像されている熱画像上の部分である内層部と、当該熱画像の対応する位置に、前記出銑流が撮像されている画素と撮像されていない画素とが存在する熱画像上の部分である表面波部とを特定し、
    前記内層部の直径である前記出銑流の内径と、前記表面波部の厚みと当該出銑流の内径とを加算した値である前記出銑流の外径とを導出し、
    前記出銑流の内径以上であり、前記出銑流の外径以下である値として、前記出銑流の熱画像上の実効直径を導出し、
    前記出銑流の熱画像上の実効直径と、前記熱画像の画素寸法と当該画素に対応する被撮像対象の寸法との関係とから、前記出銑流の実空間における実効直径を、前記出銑流の実効直径として導出することを特徴とする、コンピュータプログラム。
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