以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における出銑滓流幅測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、前記出銑滓流幅測定装置によって判定される出銑滓流が流出する様子を説明するための図である。図3は、一例として、湯だまりおよび出銑滓流の画像を示す図である。図4は、一例として、図3に示す画像のエッジ画像を示す図である。図5は、幅演算対象画像の生成方法およびその輝度プロファイルを説明するための図である。図5Aは、複数のエッジ画像およびその平均エッジ画像の幅演算対象画像を示し、図5Bは、図5Aに示す幅演算対象画像の輝度プロファイルを示す。図5Bの縦軸は、幅演算対象画像での垂直方向(縦方向)の各位置であり、その横軸は、輝度(合計輝度)である。
実施形態における出銑滓流幅測定装置Dは、例えば、図1に示すように、画像取得部1と、制御処理部2と、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5と、記憶部6とを備える。
画像取得部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、出銑口から流れ出る、溶銑と溶滓とが混在した出銑滓流を撮像することによって生成された時系列に並ぶ複数の画像を取得する装置である。前記時系列に並ぶ複数の画像の生成間隔(画像のサンプリング間隔、動画のフレーム間隔)は、任意であってよく、例えば、出銑滓流の流速等を勘案して適宜に設定される。画像取得部1は、これら取得した複数の画像を制御処理部2へ出力する。
このような画像取得部1は、例えば、被写体の画像を生成する撮像装置である。前記撮像装置は、例えば、被写体における光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記被写体における光学像を電気的な信号に変換するエリアイメージセンサ、および、エリアイメージセンサの出力を画像処理することで前記被写体における画像を表すデータである画像データを生成する画像処理回路等を備えるデジタルカメラ等である。前記撮像装置は、静止画を生成するスチルカメラであってよく、また、動画像を生成するビデオカメラ(ムービーカメラ)であってよい。
前記撮像装置は、例えば、図2に示すように、高炉SFに形成された出銑口PHから、出銑樋カバーを備える出銑樋SGへ、流出する出銑滓流PSを撮像できるように適宜に配設される。例えば、前記撮像装置は、出銑滓流PSの斜め上方から撮像できるように配設される。出銑滓流PSは、比較的高速に出銑口PHから流出するので、前記撮像装置は、この出銑滓流PSの流速に応じた速度で撮像可能に構成される。このような撮像装置によって、例えば、図3に示す出銑滓流の画像が生成され取得される。図3に示す画像において、枠WK1内の紙面上方には出銑滓流が写り込まれ、枠WK1内の紙面下方には湯だまりが写り込まれている。出銑滓流は、溶銑と溶滓とが混在しているので、出銑滓流が写り込んだ画像には、いわゆるマーブル模様が現れる。前記撮像装置は、出銑滓流幅測定装置Dにおける他の各部2~6とともに図略の筐体に収容され、前記他の各部2~6と一体に構成されてよいが、本実施形態では、前記撮像装置は、前記他の各部2~6とは、別体に構成され、前記撮像装置は、前記出銑滓流PSを撮像できるように、前記他の各部2~6から遠隔に配置され、有線または無線によって制御処理部2と通信可能に接続される。画像取得部1が撮像装置である場合、出銑口PHから流出する出銑滓流PSの幅を略リアルタイムで求めることができる。
あるいは、画像取得部1は、例えば、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路である。前記外部の機器は、前記出銑滓流を撮像することによって生成された時系列に並ぶ複数の画像を記憶した、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカード(登録商標)等の記憶媒体である。あるいは、前記外部の機器は、前記出銑滓流を撮像することによって生成された時系列に並ぶ複数の画像を記録した、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)およびDVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)等の記録媒体からデータを読み込むドライブ装置である。この画像取得部1としてのインターフェース回路は、有線または無線によって前記外部の機器に接続されてよい。あるいは、画像取得部1は、例えば、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であって、前記外部の機器は、ネットワーク(WAN(Wide Area Network、公衆通信網を含む))あるいはLAN(Local Area Network)を介して前記通信インターフェース回路に接続され、前記出銑滓流を撮像することによって生成された時系列に並ぶ複数の画像を管理するサーバ装置である。画像取得部1がインターフェース回路や通信インターフェース回路である場合、過去の事例における、出銑口PHから流出する出銑滓流PSの幅を解析できる。なお、画像取得部1がインターフェース回路や通信インターフェース回路である場合では、画像取得部1は、IF部5と兼用されてもよい(すなわち、IF部5が画像取得部1として用いられても良い)。
入力部3は、制御処理部2に接続され、例えば、測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、出銑滓流の幅を測定する上で必要な各種データを出銑滓流幅測定装置Dに入力する装置であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。出力部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータ、および、出銑滓流幅測定装置Dによって求められた出銑滓流の幅等を出力する装置であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示部(表示装置)や、プリンタ等の印刷装置等である。
IF5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であっても良い。
記憶部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、出銑滓流幅測定装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、画像取得部1で取得した複数の画像それぞれからエッジを抽出することによって複数のエッジ画像を生成するエッジ画像生成プログラムや、前記エッジ画像生成プログラムで生成した複数のエッジ画像に基づいて出銑滓流の第1像における第1明るさと湯だまりの第2像における第2明るさとの間に差を生成するように幅演算対象画像を生成する対象画像生成プログラムや、前記対象画像生成プログラムで生成した幅演算対象画像に基づいて前記出銑滓流の幅を求める幅演算プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば出銑滓流の幅を求めるための閾値(第1幅判定閾値)等の、各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。記憶部6は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。記憶部6は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部6は、比較的大きな記憶容量を持つハードディスク装置を備えても良い。
制御処理部2は、出銑滓流幅測定装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、時系列に連続的に並ぶ複数の画像に基づき出銑滓流の幅を求めるための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、エッジ画像生成部22、対象画像生成部23および幅演算部24を機能的に備える。
制御部21は、出銑滓流幅測定装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、出銑滓流幅測定装置D全体の制御を司るものである。
エッジ画像生成部22は、画像取得部1で取得した複数の画像それぞれから、いわゆるエッジフィルタを用いてエッジを抽出することによって複数のエッジ画像を生成するものである。前記エッジフィルタは、例えばラプラシアンフィルタやソーベルフィルタ等である。例えば、図3に示す画像をラプラシアンフィルタでエッジを抽出すると、図4に示すエッジ画像が生成される。これにより図3に示す画像における出銑滓流のマーブル模様をエッジ情報として取り出すことができる。これに対し、湯だまりでは、マーブル模様がほとんど無いため、エッジ情報もほとんど現れない。
対象画像生成部23は、エッジ画像生成部22で生成した複数のエッジ画像に基づいて出銑滓流の第1像における第1明るさと湯だまりの第2像における第2明るさとの間に差を生成するように幅演算対象画像を生成するものである。これにより出銑滓流の第1像における第1明るさと湯だまりの第2像における第2明るさとの間に差を生成するように幅演算対象画像を生成するので、湯だまりと出銑滓流とを弁別できるようになる。より具体的には、対象画像生成部23は、エッジ画像生成部22で生成した複数のエッジ画像に対し、画素ごとに画素値の平均値を求めることによって1個の平均エッジ画像を、幅演算対象画像として生成するものである。例えば、図5Aに示すように、60枚の画像から生成された60枚のエッジ画像から、幅演算対象画像として平均エッジ画像が生成される。これによりエッジ情報が累積加算され、エッジ情報が強調できる。あるいは、対象画像生成部23は、エッジ画像生成部22で生成した複数のエッジ画像に対し、画素ごとに画素値を総和することによって1個の総和エッジ画像を、幅演算対象画像として生成してもよい。
幅演算部24は、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像に基づいて出銑滓流の幅を求めるものである。より具体的には、幅演算部24は、例えば、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像に対し、出銑滓流の流れる方向に応じた所定の一方向に沿った各画素の各画素値を合計することによって前記一方向に直交する直交方向に沿う各位置の各合計画素値を求め、これら求めた各位置の各合計画素値に基づいて前記出銑滓流の幅を求める。より詳しくは、幅演算部24は、所定の閾値(第1幅判定閾値)以上の合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求める。前記第1幅判定閾値は、適宜に設定され、例えば、輝度プロファイルの最大値の60%に設定される。例えば、前記撮像装置が視野の左から右へ水平方向に出銑滓流が流れるように配設される場合、図5Aに示す幅演算対象画像において、前記一方向は、紙面水平方向(横方向)であり、前記直交方向は、紙面垂直方向(縦方向)であり、このような各方向が予め設定され記憶され、幅演算部24は、図5Aに示す幅演算対象画像に対し、水平方向に沿う各画素の各画素値(図5Aでは各輝度値)を合計することによって、図5Bに示すように、垂直方向に沿う各位置の合計画素値を輝度プロファイルとして求め、第1幅判定閾値Th1以上の合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求める。ここで、図5Bに示すように、合計画素値が一旦第1幅判定閾値Th1未満となって再び第1幅判定閾値Th1以上となる場合があるが(前記出銑滓流の幅として抽出された位置範囲の紙面右寄りの部分)、このような場合では、図5Bに示すように、合計画素値が第1幅判定閾値Th1以上になって現れる最大の長さが前記出銑滓流の幅として求めれてよい。
なお、上述では、幅演算対象画像から輝度プロファイルが求められ、出銑滓流の幅が求められたが、幅演算対象画像から直接的に出銑滓流の幅が求められてもよい。すなわち、幅演算部24は、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像から、出銑滓流の流れる方向に応じた所定の一方向に直交する直交方向において、所定の閾値(第3幅判定閾値)以上の画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求めてもよい。前記第3幅判定閾値は、複数のサンプルから、予め適宜に設定される。
これら制御処理部2、入力部3、出力部4、IF部5および記憶部6は、例えば、デスクトップ型やノード型等のコンピュータによって構成可能である。
次に、本実施形態の動作について説明する。図6は、実施形態における出銑滓流幅測定装置の動作を示すフローチャートである。
このような構成の出銑滓流幅測定装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部2には、制御部21、エッジ画像生成部22、対象画像生成部23および幅演算部24が機能的に構成される。
そして、出銑滓流の幅を求めるにあたって、図6において、出銑滓流幅測定装置Dは、制御処理部2の制御部21によって、画像取得部1から、出銑滓流を撮像することによって生成された時系列に並ぶ複数の画像を取得する(S1)。なお、画像取得部1が撮像装置である場合には、所定の時間間隔で前記撮像装置から時系列に連続的に各画像が制御処理部2に取り込まれ、記憶部6に記憶される。
次に、出銑滓流幅測定装置Dは、制御処理部2のエッジ画像生成部22によって、画像取得部1で取得した複数の画像それぞれからエッジを抽出することによって複数のエッジ画像を生成する(S2)。
次に、出銑滓流幅測定装置Dは、制御処理部2の対象画像生成部23によって、エッジ画像生成部22で生成した複数のエッジ画像に基づいて幅演算対象画像を生成する(S3)。例えば、対象画像生成部23は、エッジ画像生成部22で生成した複数のエッジ画像に対し、画素ごとに画素値の平均値を求めることによって1個の平均エッジ画像を、幅演算対象画像として生成する。
次に、出銑滓流幅測定装置Dは、制御処理部2の幅演算部24によって、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像に基づいて出銑滓流の幅を求める(S4)。例えば、幅演算部24は、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像から輝度プロファイルを求め、所定の第1幅判定閾値以上の合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求める。
そして、出銑滓流幅測定装置Dは、制御処理部2の制御部21によって、幅演算部24で求めた出銑滓流の幅を出力部4に出力し、本処理を終了する(S5)。なお、必要に応じて、制御部21は、この出銑滓流の幅をIF部5から外部の機器へ出力しても良い。
以上説明したように、実施形態における出銑滓流幅測定装置Dおよびこれに実装された出銑滓流幅測定方法は、出銑滓流を撮像した画像からエッジを抽出するので、前記マーブル模様をエッジ情報として取り出すことができる。そして、上記出銑滓流幅測定装置Dおよび出銑滓流幅測定方法は、出銑滓流の第1像における第1明るさと湯だまりの第2像における第2明るさとの間に差を生成するように幅演算対象画像を生成するので、湯だまりと出銑滓流とを弁別して出銑滓流の幅をより精度よく求めることができる。
上記出銑滓流幅測定装置Dおよび出銑滓流幅測定方法は、前記幅演算対象画像として総和エッジ画像または平均エッジ画像を生成するので、エッジ情報を累積加算(積算)してエッジ情報を強調でき、このエッジ情報を強調した幅演算対象画像に基づいて出銑滓流の幅を求めるので、出銑滓流の幅をより精度よく求めることができる。
特に、湯だまりが写り込んだ画像でも、上記出銑滓流幅測定装置Dおよび出銑滓流幅測定方法は、湯だまりと出銑滓流とを弁別して出銑滓流の幅を求めることができる。
図7は、一例として、図3に示す画像の輝度プロファイルを示す図である。図8は、比較例として、特許文献3に開示された手法による処理結果を説明するための図である。図8Aおよび図8Bは、それぞれ、一例を示し、その紙面左側は、湯だまりが写り込んだ画像であり、紙面右側は、紙面左側の画像に対する、特許文献3に開示された手法による処理結果である。
例えば、図3に示す画像は、出銑滓流および湯だまりが写り込んだ画像であり、この画像の枠WK1内において、縦方向の各画素位置における横方向の平均画素値を求めることによって生成される輝度プロファイルは、図7に示すようになる。出銑滓流の輝度と湯だまりの輝度との差が小さいため、この図7に示す輝度プロファイルでは、出銑滓流に対応する輝度プロファイルの部分と湯だまりに対応する輝度プロファイルの部分とがなだらかに連続するから、出銑滓流の幅を求めるための閾値が設定し難く、出銑滓流と湯だまりとを弁別して、図7に示す輝度プロファイルから出銑滓流の幅を求め難い。一方、特許文献3に開示された手法でも、出銑滓流の輝度と湯だまりの輝度との差が小さいため、出銑滓流の幅を求めるための閾値が小さく設定されると、図8Aに示すように、出銑滓流の幅が実際よりも大きく求められてしまい、出銑滓流の幅を求めるための前記閾値が大きく設定されると、図8Bに示すように、出銑滓流の幅が実際よりも小さく求められてしまい、出銑滓流と湯だまりとを弁別して、出銑滓流の幅を求め難い。
これに対し、図3ないし図5を用いて上述したように、本実施形態における出銑滓流幅測定装置Dおよび出銑滓流幅測定方法は、湯だまりと出銑滓流とを弁別して出銑滓流の幅を求めることができる。
なお、上述の実施形態では、前記幅演算対象画像として総和エッジ画像または平均エッジ画像が生成されたが、前記幅演算対象画像として中央値エッジ画像が生成されてもよい。前記中央値エッジ画像は、前記エッジ画像生成部で生成した複数のエッジ画像に対し、画素ごとに中央値を抽出することによって生成される。
また、上述の実施形態では、幅演算対象画像から出銑滓流の幅が求められたが、幅演算対象画像を2値化してから出銑滓流の幅が求められてもよい。
図9は、一例として、変形形態による、図5に示す幅演算対象画像に基づく2値化画像およびその輝度プロファイルを示す図である。図9Aは、図5に示す幅演算対象画像の2値化画像を示し、図9Bは、図9Aに示す2値化画像の輝度プロファイルを示す。図9Bの縦軸は、2値化画像での垂直方向(縦方向)の各位置であり、その横軸は、輝度(2値化された輝度の合計輝度)である。
この場合では、幅演算部24は、対象画像生成部23で生成した幅演算対象画像から2値化画像を生成し、前記2値化画像に対し、出銑滓流の流れる方向に応じた所定の一方向に沿った各画素の各画素値を合計することによって前記一方向に直交する直交方向に沿う各位置の各合計画素値を輝度プロファイルとして求め、前記求めた各位置の各合計画素値に基づいて前記出銑滓流の幅を求める。より詳しくは、幅演算部24は、所定の閾値(第2幅判定閾値)以上の合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求める。2値化するための所定の閾値(2値化閾値)および前記第2幅判定閾値は、適宜に設定され、例えば、輝度プロファイルの最大値の60%に設定される。この2値化画像の生成処理S11は、図6に破線で示すように、上述の幅演算対象画像の生成処理S3の後に実行される。例えば、幅演算部24は、図5Aに示す幅演算対象画像から、図9Aに示す2値化画像を生成し、この図9Aに示す2値化画像に対し、水平方向に沿う各画素の各画素値(図9Aでは0または1の輝度値)を合計することによって、図9Bに示すように、垂直方向に沿う各位置の合計画素値を輝度プロファイルとして求め、第2幅判定閾値Th2以上の合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求める。このような変形形態の出銑滓流幅測定装置Dは、幅演算対象画像から2値化画像を生成し、2値化画像から求めた前記直交方向に沿う各位置の各合計画素値に基づいて出銑滓流の幅を求めるので、ノロが写り込んだ画像でも、ノロと出銑滓流とを弁別して出銑滓流の幅を求めることができる。
図10は、一例として、湯だまり、ノロおよび出銑滓流の画像を示す図である。図11は、比較例として、ノロを含む場合における、特許文献3に開示された手法による処理結果を説明するための図である。図11の紙面左側は、湯だまりおよびノロが写り込んだ画像であり、その紙面右側は、紙面左側の画像に対する、特許文献3に開示された手法による処理結果である。図12は、一例として、ノロを含む場合における、複数のエッジ画像、幅演算対象画像およびその輝度プロファイルを示す図である。図12Aは、複数のエッジ画像およびその平均エッジ画像の幅演算対象画像を示し、図12Bは、図12Aに示す幅演算対象画像の輝度プロファイルを示す。図12Bの縦軸は、幅演算対象画像での垂直方向(縦方向)の各位置であり、その横軸は、輝度(合計輝度)である。図13は、一例として、変形形態による、図12に示す幅演算対象画像に基づく2値化画像およびその輝度プロファイルを示す図である。図13Aは、図12に示す幅演算対象画像の2値化画像を示し、図13Bは、図13Aに示す2値化画像の輝度プロファイルを示す。図13Bの縦軸は、2値化画像での垂直方向(縦方向)の各位置であり、その横軸は、輝度(2値化された輝度の合計輝度)である。
例えば、図10に示す画像は、出銑滓流、湯だまりおよびノロが写り込んだ画像であり、この画像の枠WK2内の紙面上方には出銑滓流が写り込まれ、枠WK2内の紙面下方には湯だまりが写り込まれ、湯だまりの下端にノロが写り込まれている。特許文献3に開示された手法では、上述の図8の場合と同様に、出銑滓流の輝度と湯だまりの輝度との差が小さいため、図11に示すように、出銑滓流と湯だまりとを弁別して、出銑滓流の幅を求め難い。上述の実施形態における出銑滓流幅測定装置Dでは、出銑滓流、湯だまりおよびノロが写り込んだ時系列な60枚の画像から、図12Aに示す60枚のエッジ画像が生成され、これら60枚のエッジ画像から、図12Aの紙面右側に示す平均エッジ画像の幅演算対象画像が生成され、縦方向の各画素位置における横方向の合計画素値を求めることによって生成される輝度プロファイルは、図12Bに示すようになる。この図12Bに示す輝度プロファイルから、出銑滓流と湯だまりとを弁別して、出銑滓流の幅を求めることが可能であるが、ノロに起因するエッジ情報が大きいため、出銑滓流に対応する輝度プロファイルの部分だけでなく、ノロに対応する輝度プロファイルの部分でも第1幅判定閾値Th1を越える部分が生じて輝度プロファイルがやや不明確となっている。一方、この変形形態における出銑滓流幅測定装置Dでは、図12Aに示す幅演算対象画像から、図13Aに示す2値化画像が生成され、縦方向の各画素位置における横方向の合計画素値を求めることによって生成される輝度プロファイルは、図13Bに示すようになる。この図13Bに示す輝度プロファイルでは、ノロに起因する合計画素値が低減されており、図13Bに示す輝度プロファイルは、図12Bに示す輝度プロファイルに比べて明確になり、出銑滓流の幅が求め易くなっている。これは、ノロに起因する2値化画像の明部は、出銑滓流に起因する2値化画像の明部に比べて空間的に細い連結となるため、2値化および横方向の合計画素値の演算(あるいは、その平均化)によって、ノロに起因するエッジ情報が抑制されるためと推察できる。
また、上述の実施形態において、出銑滓流幅測定装置Dは、図1に破線で示すように、前記複数の画像を取得する取得処理、前記複数のエッジ画像を生成するエッジ画像生成処理、前記幅演算対象画像を生成する対象画像生成処理、および、前記出銑滓流の幅を求める幅演算処理それぞれを、画像取得部1、エッジ画像生成部22、対象画像生成部23、および、幅演算部24それぞれに繰り返し実行させる繰返し実行部25を制御処理部2に機能的にさらに備え、幅演算部24は、前記繰り返しの実行において、所定の閾値(前記第1ないし第3幅判定閾値のうちのいずれか1つの閾値)以上を連続して所定の回数以上となる合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求めてもよい。前記所定の回数は、複数のサンプルから、予め適宜に設定される。
例えば、図5Bに示すような輝度プロファイルが繰り返し求められ、連続した所定の回数の各輝度ファイルから求められた各出銑滓流の各幅における重複する部分(共通して幅とされた部分)が出銑滓流の幅とされる。あるいは、例えば、図9Bに示すような輝度プロファイルが繰り返し求められ、連続した所定の回数の各輝度ファイルから求められた各出銑滓流の各幅における重複する部分(共通して幅とされた部分)が出銑滓流の幅とされる。あるいは、例えば、図13Bに示すような輝度プロファイルが繰り返し求められ、連続した所定の回数の各輝度ファイルから求められた各出銑滓流の各幅における重複する部分(共通して幅とされた部分)が出銑滓流の幅とされる。
このような出銑滓流幅測定装置Dは、前記繰り返しの実行において、所定の閾値以上を連続して所定の回数以上となる合計画素値が存在する領域の長さを前記出銑滓流の幅として求めるので、出銑滓流における幅方向の両端での位置のゆらぎ(ばらつき)を除去した出銑滓流の幅を求めることができる。
また、上述の実施形態において、出銑滓流幅測定装置Dは、さらに、出銑滓流の流量を求めて出力してもよい。この場合では、例えば、出銑滓流が円柱形状と仮定され、上述のように求めた出銑滓流の幅が出銑滓流の直径とされる。そして、出銑滓流幅測定装置Dは、例えば、前記特許文献3に開示された手法によって出銑滓流の流速を求め、前記求めた出銑滓流の直径に基づいて出銑滓流の断面積を求め、これら断面積に流速を乗算することによって単位時間当たりの流量を求める。前記特許文献3では、異なる時点で生成された出銑滓流の2枚の画像において、パターンマッチングを用いた、出銑滓流を写し込んだ画像中での対応点探索によって出銑滓流の流速が求められている。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。