以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(高炉内で進行している反応の概略)
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態で着目する高炉について、簡単に説明する。図1は、本発明の実施形態で着目する高炉について説明するための説明図である。
図1に示したように、高炉は、円筒の徳利形状を有する竪型炉の一種であり、炉の頭頂部(炉頂部)から供給される原料と、炉の下方に設けられた羽口から供給される熱風により生成される還元性ガスとが反応する反応装置として機能する。
炉頂部から供給される原料としては、主に、鉄鉱石や焼結鉱等の鉄酸化物、コークス、石灰石等がある。鉄鉱石は、高炉における反応で生成される銑鉄の鉄源となるものであり、コークスは、鉄鉱石の還元剤及び原料を溶解するための熱源として機能するだけでなく、高炉内の通気性を保持する役割を有している。また、石灰石は、鉄鉱石の脈石成分と反応して低溶融点を持ち流動性のよいスラグを生成するために添加される媒溶剤として機能する。
高炉の内部では、図1に示したように、鉄鉱石(及び石灰石)からなる層と、コークスからなる層とが交互に積層されている。これらの原料は、図1に示したような積層状態を維持しつつ、炉の下方へと移動していく。
また、図1に示した羽口からは、熱風及びコークスの補完還元剤として機能する微粉炭が供給される。羽口近傍のレースウェイと呼ばれる領域において、供給された熱風により微粉炭やコークスが燃焼によりガス化して、一酸化炭素や水素等からなる高温の還元性ガスが生成される。この高温の還元性ガスは、炉内を移動する上昇気流となって炉頂部へと吹き昇っていく。この還元性ガスにより炉内の鉄鉱石は還元されていき(間接還元)、更に、還元性ガスが有する熱によって固体から液体へと変化する。液体となった鉄分は、コークス層内を滴下しながらコークスの炭素によって更に還元され(直接還元)、炭素を5%程度含む溶銑となる。
図1に示した融着帯では、半溶融状態にある鉄分の間に固体コークスがスリット状に存在している部分であり、主にこの融着帯において、上述のような鉄分の相変化が生じている。
このように、高炉という反応装置では、固体、液体、気体が共存して反応が進行している。安定的な操業を行うためには、高炉内で進行している還元反応を予測することが重要である。以下で説明する本発明の実施形態では、高炉内の状況を把握する際の指標として、「生鉱落ち」という現象が発生したか否か、及び、「微粉炭膨張」という現象が発生したか否か、という少なくとも2つの指標に着目する。
「生鉱落ち」とは、未溶融の鉱石が落下する現象であり、このような現象が発生するということは、高炉内の熱量が不足していることを意味する。そのため、生鉱落ちが発生した場合には、コークス量を増加するなどといった、炉内の熱量を増加させるための処置が必要となる。
「微粉炭膨張」とは、羽口を撮像した撮像画像において、通常ノズル先端の画像1/3程度を占めている未燃焼微粉炭の像が急拡大する現象である。このような現象の発生は、レースウェイの形状が好ましい形状から変化していることを示唆するものであるため、レースウェイの形状を良好な状態にするための処置が必要となる。
<高炉羽口状態観察装置について>
まず、図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10について、詳細に説明する。
本実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10は、図2に示したように、撮像装置100及び演算処理装置200を備える。
[撮像装置について]
撮像装置100は、羽口の熱放射輝度の分布状況を撮像して、熱放射輝度画像を生成する装置である。撮像装置100は、レンズ等の各種光学素子と、CCD(Charge Coupled Device)、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、を有している。ここで、本実施形態に係る撮像装置100は、静止画像を生成可能なものであってもよく、動画像を生成可能なものであってもよい。また、本実施形態に係る撮像装置100は、モノクロ画像を撮像可能なものであってもよいし、カラー画像を撮像可能なものであってもよい。なお、カラー画像を撮像可能な撮像装置を利用する場合には、1チャンネルの輝度画像を生成すればよい。すなわち、輝度画像の生成手段としては、RGB成分のうちR,G,Bのいずれかの成分だけを利用しても良いし、RGB色空間からYCbCr色空間への変換を行い、Y成分のみを利用しても良い。
撮像装置100は、後述する演算処理装置200により制御されており、所定のフレームレート毎に、演算処理装置200から撮像のためのトリガ信号が出力される。撮像装置100は、演算処理装置200から出力されたトリガ信号に応じて、羽口からの熱放射を撮像し、生成した熱放射輝度画像を演算処理装置200に出力する。
図3は、本実施形態に係る撮像装置100の設置状態を説明するための説明図であり、図4は、本実施形態に係る熱放射輝度画像の例を示した説明図である。高炉は、耐熱レンガによって覆われているが、図3に示したように、羽口近傍には、PCランスによって微粉炭が供給されるとともに、1200℃程度の熱風が供給されている。羽口から約1mの範囲にはレースウェイが形成されており、このレースウェイでは、微粉炭やコークス等の燃焼により、2000℃以上の高温となっている。
本実施形態に係る撮像装置100は、羽口の状態を観察するための観察窓に設置されており、羽口近傍のレースウェイからの熱放射を撮像して熱放射輝度画像とする。羽口は、通常、円形状であるが、撮像装置100は、羽口を斜め上から見下ろすように撮像するため、撮像される熱放射輝度画像の羽口形状は、図4左上に示したように、略楕円形状となる。
撮像装置100は、高炉の操業状態が良好と判断されている際に、予め撮像視野やピント等が調整されており、適切な撮像処理が行われるようになっている。高炉羽口の状態が良好である場合には、図4右上に示したように、視野の中にPCランスの先端部が写りこむとともに、PCランスの先端から供給される微粉炭が、視野の1/3程を占有することとなる。また、PCランス及び微粉炭以外の領域は、レースウェイの温度に起因する熱放射が写りこむこととなる。
生鉱落ちが発生した際には、図4左下に模式的に示したように落下した鉱石が写りこむこととなるため、視野全体が一時的に暗くなって、熱放射輝度が低下する。また、微粉炭膨張が発生した場合には、図4右下に模式的に示したように、微粉炭の占める領域が視野の右下から左上に向かって急激に膨張し、その後図4右上に示したような状態へと回復するという、特徴的なパターンが観測される。
以上、図4を参照しながら、本実施形態に係る熱放射輝度画像の例について、具体的に説明した。
[演算処理装置の全体構成について]
続いて、再び図2に戻って、本実施形態に係る演算処理装置200の全体構成について説明する。
本実施形態に係る演算処理装置200は、撮像装置100により撮像された熱放射輝度画像に対して画像処理を実施して、後述する明部分布情報を生成する。また、演算処理装置200は、生成した明部分布情報に基づいて、羽口の状態(すなわち、生鉱落ちや微粉炭膨張の発生)を判断することも可能である。
この演算処理装置200は、図2に示したように、撮像制御部201と、画像処理部203と、表示制御部205と、記憶部207と、を主に備える。
撮像制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。撮像制御部201は、本実施形態に係る撮像装置100による羽口の撮像制御を実施する。より詳細には、撮像制御部201は、羽口の熱放射輝度画像の撮像を開始する場合に、撮像装置100に対して撮像を開始させるための制御信号を送出する。
画像処理部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。画像処理部203は、撮像装置100から取得した熱放射輝度画像の撮像データに対して、以下で説明するような画像処理を行い、後述する明部分布情報を生成する。また、画像処理部203は、生成した明部分布情報に基づいて、生鉱落ちや微粉炭膨張等が発生したか否かを判断する。画像処理部203は、生成した明部分布情報や、生鉱落ちや微粉炭膨張等の判断結果に関する情報を、表示制御部205に伝送する。
なお、この画像処理部203については、以下で改めて詳細に説明する。
表示制御部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部205は、画像処理部203から伝送された、明部分布情報や、生鉱落ち/微粉炭膨張の判断結果を、演算処理装置200が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理装置200の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、高炉羽口状態観察装置10の利用者は、明部分布情報や高炉羽口の状態に関する情報を、その場で把握することが可能となる。
記憶部207は、演算処理装置200が備える記憶装置の一例である。記憶部207には、本実施形態に係る演算処理装置200が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部207は、撮像制御部201、画像処理部203、表示制御部205等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
[画像処理部について]
続いて、図5〜図14を参照しながら、本実施形態に係る演算処理装置200が備える画像処理部203について、詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る演算処理装置が有する画像処理部の構成を示したブロック図である。図6は、本実施形態に係る画像変換部について説明するための説明図である。図7は、本実施形態に係る二値化画像について説明するための説明図である。図8〜図10は、本実施形態に係る明部分布情報について説明するための説明図である。図11は、本実施形態に係る特徴量算出部について説明するための説明図である。図12は、本実施形態に係る軌跡情報について説明するための説明図である。図13は、本実施形態に係る軌跡情報の例について説明するための説明図である。図14は、本実施形態に係る高炉羽口状態の判断方法について説明するための説明図である。
本実施形態に係る画像処理部203は、図5に示したように、画像変換部211と、二値化画像生成部213と、明部分布情報生成部215と、特徴量算出部217と、軌跡情報生成部219と、状態判断部221と、を主に備える。
画像変換部211は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。画像変換部211は、撮像装置100が生成した熱放射輝度画像に対して幾何学変換を実施して正規化画像を生成するとともに、当該正規化画像に対して極座標変換を実施する。
また、画像変換部211は、高炉羽口状態観察装置10が観察する羽口の形状について楕円近似を行っていない場合には、熱放射輝度画像に写っている羽口の形状に合わせて楕円近似処理を実施する。なお、この楕円近似処理は、少なくとも一度行われれば良く、熱放射輝度画像が撮像される毎に実施しなくともよい。
以下では、画像変換部211が楕円近似処理を実施した後に、幾何学変換処理及び極座標変換処理を行う場合について説明する。
図4に例示したように、本実施形態に係る熱放射輝度画像に写っている羽口の輪郭形状は、略楕円形状となっている。そこで、画像変換部211は、羽口の輪郭形状を、以下の式101で表されるような楕円で近似し、楕円の中心位置(重心位置)と、長軸及び短軸の長さと、を算出する。ここで、下記式101において、座標(xC,yC)は、楕円の中心座標を表し、パラメータaは、長軸の1/2の長さを表し、パラメータbは、短軸の1/2の長さを表す。
なお、熱放射輝度画像に写っている羽口の楕円形状の輪郭を得るためには、設備の補修等で高炉に送風する熱風を止める、いわゆる休風時の画像を用いればよい。休風時の画像は、図4に示したように、視野内には微粉炭は存在せず、PCランスのみが写り込んだものとなっている。そこで、休風時の画像からPCランスを除いた部分の輪郭を考慮し、この輪郭に当てはまるような楕円を、コンピュータで実行される画像処理アプリケーション等を利用して描いた上で、描いた楕円に関するパラメータ(xC,yC,a,b)を画像上で測定すればよい。
楕円近似処理が終了した場合、又は、既に楕円近似処理が実施されている場合には、画像変換部211は、楕円近似後の熱放射輝度画像に対して幾何学変換処理を実施して、羽口の輪郭である楕円形状を真円に正規化する。より詳細には、画像変換部211は、図6に示したように、長軸に対応するx軸を(b/a)倍に縮小して、半径b、中心((b/a)×xC,yC)の正規化円とし、正規化画像を生成する。
ここで、楕円形状を円に正規化する際の幾何学変換は、公知のものを使用することが可能であり、例えば、アフィン変換を利用すればよい。
続いて、画像変換部211は、図6に示したように、生成した正規化画像に対して極座標変換を実施する。正規化円の中心位置が算出されることで、正規化画像を構成する各画素の位置を極座標(r,θ)で表すことができる。画像変換部211は、算出した中心位置を基準とし、動径rの範囲及び偏角θの範囲を、それぞれ0≦r≦b、0°≦θ<360°として、極座標変換を実施する。極座標変換を行うことによって、正規化画像は、図6に示したような帯状の画像となる。
ここで、図6に示したような帯状画像において、動径方向rに対して平行な辺の長さは、正規化円の半径に対応しており、偏角方向θに対して平行な辺の長さは、正規化円の円周に対応している。また、偏角方向θに対して平行な辺のうち、一方は、正規化円の中心に対応しており、もう一方は、正規化円の外周に対応している。
画像変換部211は、極座標変換により生成した帯状画像に対応するデータを、二値化画像生成部213に出力する。
二値化画像生成部213は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。二値化画像生成部213は、極座標変換後の正規化画像である帯状画像を二値化して、二値化画像を生成する。より詳細には、二値化画像生成部213は、帯状画像を構成する各画素の画素値(輝度値)と、二値化閾値との大小比較を行うことで帯状画像を二値化し、二値化画像を生成する。
ここで、二値化画像生成部213が二値化処理の際に利用する二値化閾値は、固定の閾値ではなく、熱放射輝度画像(ひいては、二値化画像)に含まれる最高輝度に応じて変動する閾値とする。熱放射輝度画像において、ある程度以上の輝度値を有しており、かつ、輝度の分布が一様である場合には、羽口近傍の温度(レースウェイ温度)の高低によらず、高炉羽口の状態は良好であると判断できるからである。具体的には、二値化画像生成部213は、二値化閾値として、(a)予め設定された輝度閾値と、(b)最高輝度値に予め設定された係数を乗じたもの、のうち、何れか大きい値となるものを、二値化閾値として使用する。輝度閾値や係数は、高炉に固有の特性や操業状況等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、明らかに通常操業では燃焼部分としてあり得ない低い温度に対応する低い輝度値を輝度閾値として設定する。このように二値化閾値を設定することで、通常操業時では最高輝度、すなわちレースウェイ温度の変動について正規化した二値画像が得られるとともに、生鉱落ちによる視野閉塞等といった異常状態を、二値画像がすべて0という条件で検知することができる。
二値化画像生成部213は、このような二値化閾値を利用して帯状画像を二値化することで、例えば図7に示したような二値化画像を生成する。二値化画像において、二値化閾値以上の輝度値を有していた画素は、画素値が1である部分(以降、明部とも称する。)となり、二値化閾値未満の輝度値を有していた画素は、画素値が0である部分(以降、暗部とも称する。)となる。
二値化画像生成部213は、生成した二値化画像に対応するデータを、後述する明部分布情報生成部215に出力する。
明部分布情報生成部215は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。明部分布情報生成部215は、生成された二値化画像を利用して、当該二値化画像に存在する明部の正規化円の径方向での分布を示す明部分布情報を生成する。
より詳細には、明部分布情報生成部215は、二値化画像におけるそれぞれの径方向位置rについて、同一の径方向位置を有し、かつ、相異なる偏角位置を有する複数の画素に対応する画素値を積算して、得られた積算値を該当する径方向位置における明部分布情報の要素とする。このような画素値の積算処理は、二値化画像を図7に示した破線矢印の方向に投影することに対応している。また、明部分布情報生成部215が利用する画像は二値化された画像であるため、画素値の積算結果は、着目している径方向位置において明部に対応する画素の個数を表していることとなる。このような処理を、動径方向rの各位置(0≦r≦b)に対して実施することで、明部分布情報生成部215は、図8に示したような明部分布情報を生成することができる。なお、明部分布情報としては投影値(Σθ)に限定されず、動径方向rの関数である重みW(r)を乗じたW(r)Σθを、明部分布情報としても良い。重みW(r)としては、例えばW(r)=rとすれば、径方向位置に比例した重みを掛けた分布情報となる。
図4に示したように、微粉炭膨張時には画像の外周部のみに明部が残るが、生鉱落ちの場合には画像の外周部及び内周部が暗くなるという特徴があり、各動径位置rにおける投影値(Σθ)に違いがみられる。
明部分布情報を構成する各要素を動径位置毎にプロットすると、図8に示したようなグラフ図を生成することができるが、このようなグラフ図は、それぞれの動径位置において、明部に対応する画素が何個存在したかを表すグラフとなる。従って、偏角方向θについて例えば1°刻みで極座標変換が行われている場合には、生成される明部分布情報は、半径rの位置において二値化閾値以上の輝度値を有する明部が何度分存在したかを表す情報となる。
明部分布情報生成部215は、このような明部分布情報の生成処理を、撮像された熱放射輝度画像毎に実施する。また、明部分布情報生成部215は、生成した各時刻tにおける明部分布情報を時刻順に配列させることで、明部分布情報の時系列推移を示した時系列推移情報を生成することができる。具体的には、明部分布情報生成部215は、ある時刻tにおける熱放射輝度画像に対応する二値化画像を取得すると、取得した二値化画像に基づいて明部分布情報を生成し、生成した明部分布情報を記憶部207等に設けられたメモリ領域に順次格納していくことで、上記のような時系列推移情報を生成することができる。
本実施形態に係る演算処理装置200は、このようにして生成された時系列推移情報を、図9に示したような3次元グラフとして表してもよいし、図10に示したように、投影値の大きさに応じて色の濃淡が変化するような2次元グラフ(濃淡図)として表してもよい。
ここで、図10に示した濃淡図では、投影値の大きさが大きいほど白く表示される。また、図10には、高炉羽口の状態が、(a)良好、(b)やや良好、(c)生鉱落ち、(d)微粉炭膨張、の各状態における濃淡図をあわせて示している。
図10(a)に示した良好状態では、羽口の外周に近づくほど明部の割合が多くなっており、かつ、時間が経過した場合であっても帯状画像に占める明部の割合が一様になっている。また、図10(b)に示したやや良好の状態では、明部の割合は少ないものの、時間が経過した場合であっても帯状画像に占める明部の割合は一様になっている。
また、図10(c)は、60秒〜80秒において生鉱落ちが発生した場合の時系列推移情報である。図10(c)から明らかなように、生鉱落ちが発生した時点では、半径方向のほぼ全域が暗くなっている。一方、図10(d)は、10秒〜30秒において微粉炭膨張が発生した場合の時系列推移情報である。図10(d)から明らかなように、微粉炭膨張が発生すると、暗部が羽口の周囲に向かって増加し、その後、明部が羽口の中心すなわち動径方向の小さい位置に向かって増加していくような、特定の挙動を示している。
明部分布情報生成部215は、以上説明したような方法で明部分布情報や、時系列推移情報を生成すると、生成したこれらの情報を、後述する特徴量算出部217に出力する。また、明部分布情報生成部215は、生成したこれらの情報を表示制御部205に出力して、表示画面に表示させてもよい。
なお、以上の説明では、生成される熱放射輝度画像毎に以上説明したような処理が実施される場合について説明したが、熱放射輝度画像、又は、当該熱放射輝度画像に基づいて生成される情報の少なくとも何れかを、所定の時定数で平滑化して用いてもよい。すなわち、熱放射輝度画像や二値化画像や帯状画像等を、予め設定された時定数を持つ指数平滑化や移動平均により平滑化して利用してもよく、平滑化されていない画像を用いて生成される明部分布情報や時系列推移情報を、予め設定された時定数を持つ指数平滑化や移動平均により平滑化してもよい。この平滑化の時定数は、観察すべき現象の継続時間の1/10程度に設定すればよい。例えば、微粉炭膨張は10秒程度継続する現象であるため、時定数を1秒程度とする。
特徴量算出部217は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。特徴量算出部217は、明部分布情報生成部215により生成された明部分布情報を利用して、ある時刻における明部分布情報を特徴づける特徴量を算出する。
より詳細には、特徴量算出部217は、各時間の明部分布情報について、所定の径方向範囲に含まれる要素の個数を特徴づける要素数特徴量と、要素の最大値を与える径方向位置を示した径方向位置特徴量と、を少なくとも算出する。具体的には、特徴量算出部217は、図11に例示したように、要素数特徴量として指定範囲内での明部平均画素数mを算出するとともに、径方向位置特徴量として、投影値が最大となる半径である最高画素半径nを算出する。ここで、図11における指定範囲は、図10の濃淡図において濃淡が変化している範囲を選べばよい。
ここで、明部平均画素数mは、明部分布情報にどれくらい明部が含まれているか(換言すれば、どれくらい暗部が含まれているか)を示す特徴量であり、最高画素半径nは、明部が二値化画像の動径方向のどの部分に多く残っているのかを示す特徴量である。
なお、以下では、要素数特徴量として、指定範囲内での明部平均画素数mを算出する場合を例にとって説明を行うが、明部平均画素数mの代わりに指定範囲内での最大画素数や画素数の中間値や最頻値等を算出しても良いし、明部平均画素数mに加えて最大画素数や画素数の中間値や最頻値等を算出しても良い。
特徴量算出部217は、各時間の明部分布情報について明部平均画素数m及び最高画素半径nを算出すると、算出したこれらの特徴量を、軌跡情報生成部219に出力する。
軌跡情報生成部219は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。軌跡情報生成部219は、特徴量算出部217により算出された特徴量を利用して、当該特徴量を用いて規定される特徴量座標系を設定する。その後、軌跡情報生成部219は、複数の異なる時刻における明部分布情報に対応する特徴量の組み合わせで特定される特徴量座標系での点の、時間推移に伴う軌跡を示した軌跡情報を生成する。
図12には、軌跡情報生成部219によって生成される軌跡情報の一例を示している。特徴量算出部217によって算出される特徴量の組み合わせ(m,n)は、明部が二値化画像のどのあたりに存在しているかを示すものであり、ある時刻における羽口近傍の状態を表す代表点であると言える。従って、点(m,n)の時間推移を軌跡として表すことで、羽口近傍の状態変化を容易に把握することが可能となる。
図13は、高炉羽口の状態が、(a)良好、(b)やや良好、(c)生鉱落ち、(d)微粉炭膨張、の各状態における軌跡情報をあわせて示している。高炉羽口の状態が良好である場合には、図13(a)に示したように、(m,n)で表される点の軌跡は、m−n平面の右上に集中しており、高炉羽口の状態がやや良好である場合には、図13(b)に示したように、(m,n)で表される点の軌跡は、m−n平面の中央部分からやや左下の領域にかけて集中している。一方で、生鉱落ちが発生した場合には、図13(c)に示したように、(m,n)で表される点の軌跡は、m−n平面のほぼ中央部分から原点付近まで推移しており、微粉炭膨張が発生した場合には、図13(d)に示したように、(m,n)で表される点の軌跡は、m−n平面中を水平方向に移動している。
このように、算出された特徴量に基づいて軌跡情報を生成すると、生鉱落ちや微粉炭膨張が発生した場合には、これらの現象に特徴的な軌跡が描かれることがわかる。
軌跡情報生成部219は、以上説明したような軌跡情報を生成すると、生成した軌跡情報を、後述する状態判断部221に出力する。また、軌跡情報生成部219は、生成した軌跡情報を表示制御部205に出力して、表示画面に表示させてもよい。
状態判断部221は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。状態判断部221は、軌跡情報生成部219が生成した軌跡情報に基づいて、高炉羽口の状態を判断する。より詳細には、状態判断部221は、軌跡が存在する領域に着目することで、高炉羽口において、生鉱落ちや微粉炭膨張が発生したか否かを判断する。
図13に例示したように、高炉羽口の状態が良好な場合と、生鉱落ちや微粉炭膨張が発生した場合とでは、軌跡情報の推移に大きな違いが存在する。そこで、状態判断部221は、図14に例示したように、特徴量座標系(m−n平面)を複数の領域に区分し、それぞれの領域に羽口の状態を表すラベルを予め付与しておき、状態を表す点がどの領域に存在するかに基づいて、羽口の状態を判断する。
図14に示した例では、m−n平面が4個の領域に区分されており、時刻tにおいて、右上の領域に点(m,n)が存在していた場合を図示している。この場合には、状態判断部221は、時刻tにおける点(m、n)が、「良好」とラベルづけされた領域にあることから、燃焼状態は良好であると羽口の状態を判断することとなる。
なお、図14のような領域の分類は、図13に示したような過去の操業状態における点(m,n)の軌跡を分類することで行えばよく、点(m,n)の軌跡を分類する方法については、公知のあらゆる方法を用いることが可能である。
状態判断部221は、以上説明したような方法で高炉羽口の状態を判断すると、判断結果を示す情報を、表示制御部205に出力する。これにより、高炉羽口状態観察装置10のユーザは、高炉羽口の状態に関する判断結果を、その場で把握することが可能となる。
なお、図14では、m−n平面を4個の領域に区分する場合について図示しているが、区分する領域の個数は図14に示した例に限定されるわけではなく、4個未満であってもよく、4個以上であってもよい。
また、以上の説明では、m−n平面を人が予め分割しラベルを付与することで高炉羽口の状態を判別する場合について説明したが、高炉羽口の状態を判断する方法は上記例に限定されるわけではない。例えば、過去の特徴量m、n及び当該画像データに基づく検定員による官能検査結果を教師データとした学習処理により、ニューラルネットやサポートベクターマシン(SVM)等の判別器を生成し、かかる判別器を特徴量m−n空間での状態判断に利用してもよい。
以上、本実施形態に係る演算処理装置200が有する画像処理部203の構成について、詳細に説明した。
以上、本実施形態に係る演算処理装置200の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
このように、本実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10では、生鉱落ち及び微粉炭膨張という2つの状態のそれぞれを、互いに独立して定量的に判断することが可能となる。生鉱落ち及び微粉炭膨張が発生した状態では、高炉羽口の状態が良好である場合に比べて、特徴的な明部分布情報や軌跡情報が観測されるため、これらの現象の発生を、官能検査に頼らずに容易に判断することが可能となる。また、本実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10では、処理に利用する特徴量の個数が二つであるため、m−n平面上の軌跡により容易に可視化することが可能である。
<高炉羽口状態観察方法について>
続いて、図15を参照しながら、本実施形態に係る高炉羽口状態観察方法の流れの一例を簡単に説明する。図15は、本実施形態に係る高炉羽口状態観察方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10の撮像装置100は、演算処理装置200における撮像制御部201の制御のもとで羽口を撮像して、熱放射輝度画像を生成し(ステップS101)、生成した熱放射輝度画像を演算処理装置200に出力する。
高炉羽口状態観察装置10の演算処理装置200が備える画像処理部203は、撮像装置100から出力された熱放射輝度画像を取得すると、取得した熱放射輝度画像のデータを画像変換部211に伝送する。画像変換部211は、取得した熱放射輝度画像に対して楕円近似処理を実施したうえで、更に幾何学変換を実施して、正規化画像を生成する(ステップS103)。引き続き、画像変換部211は、生成した正規化画像に対して極座標変換を実施して(ステップS105)、極座標変換後の正規化画像(帯状画像)を二値化画像生成部213に出力する。
二値化画像生成部213は、極座標変換後の正規化画像(すなわち、帯状画像)を二値化閾値に基づいて二値化して二値化画像を生成し(ステップS107)、生成した二値化画像を明部分布情報生成部215に出力する。
明部分布情報生成部215は、二値化画像生成部213から出力された二値化画像に基づいて明部分布情報を生成し(ステップS109)、生成した明部分布情報を特徴量算出部217へと出力する。
特徴量算出部217は、明部分布情報生成部215から出力された明部分布情報を参照して、要素数特徴量及び径方向位置特徴量(例えば、明部平均画素数m及び最高画素半径n)を算出する(ステップS111)。その後、特徴量算出部217は、算出したこれら特徴量を、軌跡情報生成部219に出力する。
軌跡情報生成部219は、特徴量算出部217により算出された特徴量に基づいて、特徴量座標系に算出された特徴量の組み合わせで規定される点を対応づけ、時間推移に応じた特徴量の変化を示した軌跡情報を生成する(ステップS113)。その後、軌跡情報生成部219は、生成した軌跡情報を、状態判断部221に出力する。
状態判断部221は、軌跡情報生成部219により生成された軌跡情報の時間推移に基づいて、高炉羽口の状態を判断する(ステップS115)。
以上、図15を参照しながら、本実施形態に係る高炉羽口状態観察方法の流れについて、簡単に説明した。
(ハードウェア構成について)
次に、図16を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理装置200のハードウェア構成について、詳細に説明する。図16は、本発明の実施形態に係る演算処理装置200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理装置200は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理装置200は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理装置200内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理装置200の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理装置200のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理装置200に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理装置200が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理装置200が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理装置200の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理装置200に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理装置200に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理装置200は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理装置200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以下では、実施例を参照しながら、本発明の実施形態に係る高炉羽口状態観察装置及び高炉羽口状態観察方法について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例はあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係る高炉羽口状態観察装置及び高炉羽口状態観察方法が、以下に示した実施例に限定されるわけではない。
本実施例では、幅480画素×高さ360画素の5種類の異なる熱放射輝度画像(動画像)を準備した。これら5種類の熱放射輝度画像は、生鉱落ちが発生した際のものであり、生鉱落ちの度合いがそれぞれ異なっているものである。本実施例では、これら5種類の熱放射輝度画像を官能検査の熟練者に実際に注視してもらい、良好状態(評価:5)から激しい生鉱落ち(評価:1)まで良好程度を判定してもらった。
同時に、上記5種類の熱放射輝度画像を利用して、上記演算処理装置200による処理を実施し、それぞれの熱放射輝度画像について、生鉱落ちの程度を表す指標として明部平均画素数mを算出した。演算処理装置200における演算処理に際して、正規化円の半径は170画素とし、明部平均画素数mを算出する際の指定範囲は70≦r≦160とした。
熟練者による良好程度の判断結果と、算出された明部平均画素数mとの対応関係を、図17に示した。図17から明らかなように、本発明の実施形態に係る高炉羽口状態観察装置10により算出された明部平均画素数mと、官能検査の熟練者による判断結果とは、1対1に対応している。この結果から、本発明の実施形態に係る高炉羽口状態観察装置により算出される各種の情報や特徴量は、高炉羽口の状態を観察したり判断したりする際に、有用であることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。