JP2020015934A - 画像判定学習装置、画像判定学習プログラム、及び画像判定学習方法、並びに高炉監視装置 - Google Patents

画像判定学習装置、画像判定学習プログラム、及び画像判定学習方法、並びに高炉監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像の認識を人間が把握するような観点で行う必要がある操業状態の監視に使用可能な学習器を生成する。【解決手段】画像判定学習装置1は、羽口に対向して配置された撮像装置によって撮像された複数の画像を示す複数の画像データに対応する画像を画像群にクラスタリングするクラスタリング部と、画像群のそれぞれを、高炉の操業状態に関連付けるラベリング部と、画像群に関連付けられた高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する学習用データ決定部と、学習用データを用いて複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させる学習処理部と、複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する学習器出力部とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像判定学習装置、画像判定学習プログラム、及び画像判定学習方法、並びに高炉監視装置に関する。
従来、高炉のガスの流れの安定性及び炉況は、シャフト圧力の変化量、及びステーブ温度の絶対値に基づいて監視されていた。また、レースウエイ及び融着帯下部における反応状況及び変動状態は、オペレータが羽口を介して目視で高炉内部の明るさ、コークスの旋回状況、未還元鉱石の滴下等を観察することで、監視されていた。しかしながら、オペレータの目視による監視では、レースウエイ等の反応状況の監視の一貫性、客観性、及びデータ保存性が十分に担保されないおそれがある。例えば、オペレータの目視による監視では、異常状態の発生の有無の判断基準は、オペレータの主観等に依存するため、監視作業を実施するオペレータ毎に異なり、一貫性及び客観性が維持されないおそれがある。
レースウエイ等の反応状況の監視の一貫性等を維持させるために、レースウエイ深度計、CCDカメラ等の撮像装置、及び放射温度計等のセンサにより羽口からよるレースウエイ等を観察する技術が知られている(例えば特許文献1〜7を参照)。例えば、特許文献1に記載される技術は、代表輝度ベクトルから主成分ベクトル方向に下ろした垂線の長さを評価値として算出し、評価値を所定の閾値と比較することによって高炉の異常の有無を判定する。特許文献1〜7に記載される技術を使用することで、レースウエイ及び融着帯下部の反応状況は、一貫性、客観性、及びデータ保存性が担保された監視可能になる。
また、羽口からレースウエイ内燃焼場を異なる二波長で撮像した熱画像を使用してレースウエイ内燃焼場の温度分布を推定する技術が知られている(例えば特許文献8〜9を参照)。特許文献8〜9に記載される技術を使用することで、レースウエイの反応状況の監視は、一貫性、客観性、及びデータ保存性が更に向上する。
特開2015−25188号公報 特許第5999155号公報 特許第5935828号号公報 特許第5867619号公報 特開2015−227478号公報 特開2015−52149号公報 特開2015−52148号公報 特開2001−318002号公報 特開2002−309307号公報
Alex Krizhevsky, Ilya Sutskever, and Geoffrey E Hinton, "ImageNetClassification with Deep Convolutional Neural Networks", Advances InNeural Information Processing Systems, Vol.25, pp.1106 - 1114, 2012.
オペレータが目視により羽口から監視する項目として、コークスの旋回状況、及び完全に溶融していない鉱石が落下する現象である生鉱落ち状態、並びに羽口の破損の有無及び微粉炭供給管の破損の有無等の高炉設備の破損の有無等が更に挙げられる。しかしながら、コークスの旋回状況、生鉱落ち状態、及び高炉設備の破損の有無は、画像の認識を人間が把握するような観点で行う必要があるため、特許文献1〜9に記載される技術で監視することは容易ではない。
一実施形態では、オペレータの目視による監視によらず、画像の認識を人間が把握するような観点で行う必要がある操業状態の監視に使用可能な学習器を生成することを目的とする。
このような課題を解決する本発明は、以下に記載する画像判定学習装置、画像判定学習プログラム及び画像判定学習方法、並びに高炉監視装置を要旨とするものである。
(1)高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングするクラスタリング部と、
少なくとも3つの画像群のそれぞれを、高炉の操業状態に関連付けるラベリング部と、
少なくとも3つの画像群に関連付けられた高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する学習用データ決定部と、
学習用データを用いて複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させる学習処理部と、
複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する学習器出力部と、
を有することを特徴とする画像判定学習装置。
(2)少なくとも3つの画像群に関連付けられた高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の少なくとも1つを含まないと判定したときに、クラスタリング部は、クラスタリングする画像群の数を増加してクラスタリング処理を再度実行する、(1)に記載の画像判定学習装置。
(3)第1異常状態は、完全に溶融していない鉱石が落下する現象であり、第2異常状態は、羽口に微粉炭を供給する微粉炭供給管が破損する現象である、(1)又は(2)に記載の画像判定学習装置。
(4)画像データ取得部は、羽口から高炉の内部に微粉炭が供給されていないランスパージ時間を示すランスパージ時間情報を取得し、ランスパージ時間に撮像された画像を除外して複数の画像データを取得する、(1)〜(3)の何れか一つに記載の画像判定学習装置。
(5)ラベリング部は、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れにも関連付けられなかった画像群があるときに、当該画像群を、高炉の操業に異常が発生するおそれがあることを示す要注意状態に関連付ける、(1)〜(4)の何れか一つに記載の画像判定学習装置。
(6)(1)〜(5)の何れか一つに記載の画像判定学習装置によって学習させられ入力された、画像に応じた高炉の操業状態を出力する学習器と、
撮像装置により撮像された現在の画像を示す現在画像データを取得する現在画像データ取得部と、
現在画像データを学習器に入力する現在画像入力部と、
学習器から現在画像データの入力に応じた高炉の操業状態を取得する操業状態取得部と、
学習器から出力される高炉の操業状態を示す操業状態信号を出力する操業状態出力部と、
を有することを特徴とする高炉監視装置。
(7)高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得し、
複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングし、
少なくとも3つの画像群のそれぞれを、高炉の操業状態に関連付け、
少なくとも3つの画像群に関連付けられた高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定し、
学習用データを用いて複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させ、
複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する、
ことを含むことを特徴とする画像判定学習方法。
(8)高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得し、
複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングし、
少なくとも3つの画像群のそれぞれを、高炉の操業状態に関連付け、
少なくとも3つの画像群に関連付けられた高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定し、
学習用データを用いて複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させ、
複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする画像判定学習プログラム。
一実施形態では、オペレータの目視による監視を要さずに、画像の認識を人間が把握するような観点で行う必要がある操業状態を監視できる。
実施形態に係る高炉監視装置を含む高炉監視システムの構成例を模式的に示す図である。 図1に示す撮像装置が撮像した画像の一例である。 第1実施形態に係る画像判定学習装置を示す図である。 図3に示す画像判定学習装置により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。 図1に示す高炉の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像の一例を示す図であり、(a)はランスパージ状態に関連付けられる代表画像の一例であり、(b)は正常状態に関連付けられる代表画像の一例であり、(c)は要注意状態に関連付けられる代表画像の一例であり、(d)は生鉱落ち状態に関連付けられる代表画像の一例であり、(e)はランス破損状態に関連付けられる代表画像の一例である。 図1に示す高炉監視装置を示す図である。 図6に示す高炉監視装置により実行される操業状態推定処理のフローチャートである。 図2に示す画像判定学習装置によって学習された学習器を搭載した高炉監視装置による推定結果の一例を示す図である。 第2実施形態に係る画像判定学習装置を示す図である。 図9に示す画像判定学習装置により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。 第3実施形態に係る画像判定学習装置を示す図である。 図11に示す画像判定学習装置により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。
以下図面を参照して、画像判定学習装置、画像判定学習プログラム、及び画像判定学習方法、並びに高炉監視装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されない。
(実施形態に係る画像判定学習装置の概要)
実施形態に係る画像判定学習装置は、羽口から高炉内を撮像した画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングし、クラスタリングされた画像群の何れかが高炉の操業状態が正常状態、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損を示すか否かを判定する。実施形態に係る画像判定学習装置は、画像群の何れかが高炉の操業状態が正常状態、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損を示すと判定したときに、画像群のそれぞれに対応するデータを使用して画像と高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させる。実施形態に係る画像判定学習装置は、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損を示す画像群を使用して学習器を学習させるので、この学習器を搭載した高炉監視装置は、オペレータの目視によらず生鉱落ち状態及び高炉設備の破損の有無を監視できる。
(実施形態に係る高炉監視システム)
図1は、実施形態に係る高炉監視装置を含む高炉監視システムの構成例を模式的に示す図である。
高炉100は、炉体101の周囲に亘って40個程度の羽口102が配置される。羽口102のそれぞれには、熱風供給管103、微粉炭供給管104、観察窓105及び撮像装置106が配置され、高炉100の内部に高圧のガスと共に微粉炭を供給する。
熱風供給管103は、一端が羽口102において炉体101に装入された筒状の部材であり、他端から高温のガスが高炉100の内部に向けて高圧で吹き込まれる。熱風供給管103を介して高炉100の内部に吹き込まれる高温のガスの風圧により、高炉100の内部にレースウエイ107が形成される。
微粉炭供給管104は、一端が熱風供給管103に装入された筒状の部材であり、他端から微粉炭が高炉100の内部に向けて吹き込まれる。一例では、羽口102のそれぞれには、一対の微粉炭供給管104が配置される。レースウエイ107の界面では、高炉100に装入されたコークス及び微粉炭供給管104から吹き込まれる微粉炭が燃焼して一酸化炭素が発生する高温燃焼反応が生じている。微粉炭供給管104は、管内が微粉炭で詰まることを防止するために、所定の時間間隔で、微粉炭の吹き込みが停止され、微粉炭の代わりに窒素等の高圧ガスが吹き込まれる。微粉炭の代わりに高圧ガスが吹き込まれる操業状態は、ランスパージ状態とも称される。また、微粉炭供給管104が詰まったときも、微粉炭供給管104に微粉炭の代わりに窒素等の高圧ガスが吹き込まれて、高炉100の操業状態はランスパージ状態となる。
観察窓105は、熱風供給管103の他端に形成される孔に嵌め込まれた光透過性部材であり、レースウエイ107を視認可能な位置に配置される。
撮像装置106は、羽口102の近傍に固定されて配置される。撮像装置106は、羽口102に対向して配置された撮像部108を有し、羽口102に配置された熱風供給管103及び微粉炭供給管104を介して撮像した複数の画像を、LAN109を介して画像判定学習装置1及び高炉監視装置110に送信する。撮像装置106は、例えば10ms毎等の高速での撮像動作が可能であり、撮像した画像を示す画像データを画像判定学習装置1及び高炉監視装置110に順次送信する。
図2は、撮像装置106が撮像した画像の一例である。図2において、左右両側に一対の微粉炭供給管104が撮像され、中央部には微粉炭供給管104を介してレースウエイ107に供給される微粉炭が撮像されている。右下部には、レースウエイ107内で旋回運動するコークスも撮像されている。
(第1実施形態に係る画像判定学習装置)
図3は、画像判定学習装置1を示す図である。
画像判定学習装置1は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、処理部20と、学習器30とを有する。通信部11、記憶部12、入力部13、出力部14、処理部20及び学習器30は、バス200を介して互いに接続される。画像判定学習装置1は、40個程度の羽口102のそれぞれに配置される撮像装置106から送信された画像データを使用して、送信された画像と高炉100の操業状態との関係性を学習器30に学習させる。一例では、画像判定学習装置1は高炉100の操業状態を監視する高炉監視装置110と一体化されてもよく、他の例では、画像判定学習装置1はパーソナルコンピュータであってもよい。
通信部11は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有する。通信部11は、LAN109を介して撮像装置106、高炉監視装置110及び不図示の上位制御装置と通信を行う。
記憶部12は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶部12は、処理部20での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部12は、撮像装置106から送信された画像を使用して、画像と高炉100の操業状態との関係性を学習器30に学習させる画像判定学習処理を処理部20に実行させるための画像判定学習プログラム等を記憶する。画像判定学習プログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部12にインストールされてもよい。また、記憶部12は、画像判定学習処理で使用される種々のデータを記憶する。例えば、記憶部12は、撮像装置106から順次送信される複数の画像データを撮像時刻と関連付けて記憶する。
入力部13は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。オペレータは、入力部13を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。入力部13は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、オペレータの指示として、処理部20に供給される。
出力部14は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。出力部14は、処理部20から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、出力部14は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。
処理部20は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。処理部20は、画像判定学習装置1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。処理部20は、記憶部12に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部20は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
処理部20は、画像データ取得部21と、クラスタリング部22と、ラベリング部23と、学習用データ決定部24と、学習処理部25と、学習器出力部26とを有する。これらの各部は、処理部20が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして画像判定学習装置1に実装されてもよい。
学習器30は、教師あり学習により抽象化された画像の特徴を学習する学習器であり、例えば、ディープラーニング等の公知の機械学習技術を用いて、撮像装置106が撮像した複数の画像と高炉の操業状態との関係性を学習する。ディープラーニングは、入力層、中間層及び出力層から構成される多層構造のニューラルネットワークを用いた機械学習である。入力層の各ノードには、撮像装置106が撮像した複数の画像のそれぞれの特徴ベクトルが入力される。特徴ベクトルは、例えば、画像の一部の領域を切り出した部分画像であってもよい。また、特徴ベクトルとして使用される部分画像のそれぞれは、一部が他の部分画像と重畳するように切り出されてもよい。中間層の各ノードは、入力層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力し、さらに、出力層は、中間層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力する。学習器30は、各重みを調整しながら、出力層からの出力値と撮像装置106が撮像した複数の画像のそれぞれとの差分が小さくなるように学習する。学習器30は、例えば、非特許文献1に記載される技術により実現される。
(画像判定学習装置1による画像判定学習処理)
図4は、画像判定学習装置1により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。図4に示す画像判定学習処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部20により画像判定学習装置1の各要素と協働して実行される。また、画像判定学習処理は、40個程度の羽口102から視認されるレースウエイ107の状態は互いに相違するため、羽口102のそれぞれに配置される撮像装置106から送信された画像データを使用して、羽口102のそれぞれについて実行される。
まず、画像データ取得部21は、対象とする羽口102に対応する撮像装置106によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得する(S101)。画像データ取得部21が取得する画像データに対応する画像は、例えば1か月にわたり10ms毎に撮像された画像であってもよい。
次いで、クラスタリング部22は、画像データ取得部21によって取得された画像データに対応する画像を5つの画像群にクラスタリングする(S102)。具体的には、クラスタリング部22は、例えばk−means法等の公知のクラスタリング方法により、画像データ取得部21によって取得された画像データに対応する画像を5つの画像群にクラスタリングする。
次いで、ラベリング部23は、クラスタリング部22によってクラスタリングされた5つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける(S103)。具体的には、ラベリング部23は、高炉100の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像を使用して、5つの画像群のそれぞれと代表画像との類似度(距離)に基づき、5つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける。すなわち、画像群との類似度が所定値以上(距離が所定値以下)の代表画像の操業状態を、当該画像群と関連付ける。画像群との類似度が所定値以上(距離が所定値以下)の代表画像が複数ある場合には、類似度が最大(距離が最少)となる代表画像の操業状態を当該画像群と関連付けてもよい。なお、画像群と代表画像との類似度は、画像群の中心(重心)に位置する画像と代表画像との類似度とすることができる。
ここで、代表画像とは、高炉100の所定の操業状態が典型的に表れている羽口画像であって、あらかじめ用意されたものである。例えば、不図示の上位制御装置等に記憶される高炉100の操業状態の記録に基づいて、所定の操業状態が記録されている過去のあるタイミングに取得された羽口画像を代表画像として用いても良いし、高炉100の監視に熟練したオペレータによって選択されてもよい。また、学習器30が所定の学習周期毎に複数回に亘って学習を行う場合には、前回の学習周期において用いられた代表画像が記憶されているので、同一の代表画像を用いることができる。
図5は、高炉100の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像の一例を示す図である。
図5(a)は、ランスパージ状態に関連付けられる代表画像の一例である。ランスパージ状態では、微粉炭の代わりに窒素等の高圧ガスが吹き込まれるため、図5(a)に示す代表画像には、微粉炭供給管104を介してレースウエイ107に供給される微粉炭は撮像されていない。
図5(b)は、羽口102から視認される高炉100の内部の状態が良好な正常状態に関連付けられる代表画像の一例である。図5(b)に示す代表画像では、一対の微粉炭供給管104から吹き込まれる微粉炭の進路以外の部分は、輝度が高い領域であり、レースウエイ107において良好な高温燃焼反応が生じていることを示す。
図5(c)は、羽口102から視認される高炉100の内部の状態が注意を要する要注意状態に関連付けられる代表画像の一例である。要注意状態は、例えば、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損等が発生した時刻の直前の状態である。
図5(d)は、生鉱落ち状態に関連付けられる代表画像の一例である。生鉱落ち状態は、第1異常状態とも称される。図5(d)に示す代表画像では、画像の中央から下方にかけた部分は、輝度が低い領域であり、完全に溶融していない鉱石が滴下していることを示す。すなわち、未還元の鉱石はコークスと接触するときに、吸熱する熱量が大きい吸熱反応である直接還元反応をするため、鉱石の周囲の温度が低下し、画面上では暗い領域として示される。
図5(e)は、微粉炭供給管104が破損したランス破損状態に関連付けられる代表画像の一例である。ランス破損状態は、第2異常状態とも称される。ランス破損状態は、微粉炭供給管104が何らかの原因により、曲損又は折損した状態である。図5(e)に示す代表画像では、一対の微粉炭供給管104から吹き込まれる微粉炭の進路の一方が湾曲しており、一対の微粉炭供給管104の一方が破損していることを示す。
ラベリング部23は、クラスタリング部22と同様に、それぞれの状態に関連付けられた図5に示す画像を、画像群との類似度(距離)に基づきクラスタリングすることによって、高炉100の操業状態の何れか1つに関連付ける。
次いで、学習用データ決定部24は、S102の処理でクラスタリングされた5つの画像群に関連付けられた高炉100の操業状態がランスパージ状態、正常状態、要注意状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の全てを含むか否かを判定する(S104)。画像をクラスタリンクするときに、k-means法においてランダムに割り振られた画像のクラスタが不適切である場合等では、ラベリング部23が使用する代表画像のそれぞれに対応する状態に画像がクラスタリングされないことがある。画像が代表画像のそれぞれに対応する状態にクラスタリングされないとき、すなわち、ある画像群について、当該画像群との類似度が所定値以上(距離が所定値以下)の代表画像が存在しない場合、ラベリング部23は、当該画像群を「該当なし」状態とする。ラベリング部23が5つの画像群の何れかを「該当なし」状態とするとき、5つの画像群に関連付けられた操業状態がランスパージ状態、正常状態、要注意状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の何れかを含まない。
学習用データ決定部24は、5つの画像群に関連付けられた操業状態がランスパージ状態等の5つの状態の何れかを含まないと判定される(S104−NO)と、クラスタリング数Nを1つ増加して6とする(S105)。
以降、N個の画像群に関連付けられた操業状態が5つの状態の全てを含むと判定される(S104−YES)まで、クラスタリング数Nを1つずつ増加しながらS102〜S105の処理が繰り返される。
学習用データ決定部24は、N個の画像群に関連付けられた操業状態が5つの状態の全てを含むと判定する(S104−YES)と、S102の処理で画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する(S106)。
次いで、学習処理部25は、S106の処理で決定された学習用データを用いて複数の画像と高炉100の操業状態との関係性を学習器30に学習させる(S107)。例えば、学習処理部25は、複数の画像の一部の領域を切り出した部分画像を特徴ベクトルとして学習器30に入力層に入力してもよい。入力層に入力される部分画像のそれぞれは、一部が他の部分画像と重畳するように切り出されてもよい。また、学習処理部25は、学習器30に入力層に入力に部分画像を入力する前に、複数の画像のそれぞれのコントラストを調整する等の画像処理を実行してもよい。
そして、学習器出力部26は、撮像装置106によって撮像された複数の画像と高炉100の操業状態との関係性を学習した学習器30を、高炉監視装置110に出力する(S108)。
(実施形態に係る高炉監視装置)
図6は、高炉監視装置110を示す図である。
高炉監視装置110は、監視通信部111と、監視記憶部112と、監視入力部113と、監視出力部114と、監視処理部120と、画像判定学習装置から入力された学習器30とを有する。監視通信部111、監視記憶部112、監視入力部113、監視出力部114及び監視処理部120は、バス210を介して互いに接続される。高炉監視装置110は、画像判定学習装置1によって学習された学習器30を有し、撮像装置106から送信された画像に応じた高炉100の操業状態を出力する。
監視通信部111は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有する。監視通信部111は、LAN109を介して画像判定学習装置1、撮像装置106及び不図示の上位制御装置と通信を行う。
監視記憶部112は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。監視記憶部112は、監視処理部120での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、監視記憶部112は、撮像装置106から送信された現在画像に基づいて、学習器30を使用して高炉100の操業状態を推定する操業状態推定処理を監視処理部120に実行させるための操業状態推定プログラム等を記憶する。操業状態推定プログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて監視記憶部112にインストールされてもよい。また、監視記憶部112は、操業状態推定処理で使用される種々のデータを記憶する。例えば、監視記憶部112は、画像判定学習装置1によって学習された学習器30を記憶する。
監視入力部113は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。オペレータは、監視入力部113を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。監視入力部113は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、オペレータの指示として、監視処理部120に供給される。
監視出力部114は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。監視出力部114は、監視処理部120から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、監視出力部114は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。
監視処理部120は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。監視処理部120は、高炉監視装置110の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。監視処理部120は、監視記憶部112に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、監視処理部120は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
監視処理部120は、現在画像データ取得部121と、現在画像入力部122と、操業状態取得部123と、操業状態出力部124とを有する。これらの各部は、監視処理部120が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして高炉監視装置110に実装されてもよい。
(高炉監視装置110による操業状態推定処理)
図7は、高炉監視装置110により実行される操業状態推定処理のフローチャートである。図7に示す操業状態推定処理は、予め監視記憶部112に記憶されているプログラムに基づいて、主に監視処理部120により高炉監視装置110の各要素と協働して実行される。また、操業状態推定処理は、40個程度の羽口102から視認されるレースウエイ107の状態は互いに相違するため、羽口102のそれぞれに配置される撮像装置106から送信された画像データを使用して、羽口102のそれぞれについて実行される。
まず、現在画像データ取得部121は、対象とする羽口102に対応する撮像装置106によって撮像された現在の画像を示す現在画像データを取得する(S111)。次いで、現在画像入力部122は、現在画像データ取得部121によって取得された現在画像データを学習器30に入力する(S112)。次いで、操業状態取得部123は、学習器30から現在画像データの入力に応じた高炉100の操業状態を取得する(S113)。そして、操業状態出力部124は、学習器30から出力される高炉100の操業状態を示す操業状態信号を出力する(S114)。
(第1実施形態に係る画像判定学習装置の作用効果)
画像判定学習装置1は、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損を示す画像群を使用して学習器30に学習させるので、学習器30を搭載した高炉監視装置110は、オペレータの目視によらず生鉱落ち状態及び高炉設備の破損の有無を監視できる。
また、画像判定学習装置1が生成した学習器30を使用することで、生鉱落ち状態及び高炉設備の破損の有無の判定処理は、オペレータの主観に依存することないので、一貫性及び客観性が維持される。生鉱落ち状態及び高炉設備の破損の有無の判定処理は、高炉100の40個程度の羽口102のそれぞれについて生成した学習器30を使用して監視されるので、羽口102のそれぞれについて瞬時且つ連続的に高精度で監視可能になる。
また、学習器30は画像群を使用した学習によるものであるので、学習器30を搭載した高炉監視装置110は、オペレータ等により決定される判定用のしきい値を使用する必要がなく、オペレータ等の主観に依存せずに、更に高い一貫性が維持される。
また、学習器30を搭載した高炉監視装置110は、オペレータの目視による監視を要さずに、撮像装置106に撮像された現在の画像に基づいて、高い確率で高炉の操業状態を推定することができる。
図8は、画像判定学習装置1によって学習された学習器30を搭載した高炉監視装置110による推定結果の一例を示す図である。図8において、横軸は第1羽口〜第40羽口のそれぞれの羽口における高炉の操業状態を示し、左から順に第1羽口〜第40羽口のそれぞれのランスパージ状態、正常状態、要注意状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態が示される。図8において、左端は第1羽口のランスパージ状態を示し、右端は第40羽口のランス破損状態を示す。また、図8において、縦軸は、第1羽口〜第40羽口のそれぞれについての高炉監視装置110の操業状態毎の正答率を示す。
図8に示す例では、学習器30は、第1羽口〜第40羽口のそれぞれについて10ms毎に1か月に亘って撮像した画像を使用して学習された。高炉監視装置110の操業状態毎の正答率は、学習器30が学習した期間と異なる期間に撮像された画像に基づいてオペレータによって判断された。
画像判定学習装置1によって学習された学習器30を搭載した高炉監視装置110は、羽口の何れでも高炉100の操業状態にかかわらず80%以上の高い正答率で、高炉100の操業状態を推定している。
(第2実施形態に係る画像判定学習装置)
図9は、第2実施形態に係る画像判定学習装置を示す図である。第2実施形態に係る画像判定学習装置2は、図1に示す高炉監視システムにおいて、第1実施形態に係る画像判定学習装置1の代わりに配置され、学習器30を生成し、生成した学習器30を高炉監視装置110に出力する。
画像判定学習装置2は、処理部40を処理部20の代わりに有することが画像判定学習装置1と相違する。処理部40は、画像データ取得部41、クラスタリング部42、ラベリング部43及び学習用データ決定部44を画像データ取得部21〜学習用データ決定部24の代わりに有することが処理部20と相違する。画像データ取得部41〜学習用データ決定部44以外の画像判定学習装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された画像判定学習装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(画像判定学習装置2による画像判定学習処理)
図10は、画像判定学習装置2により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。図10に示す画像判定学習処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部40により画像判定学習装置2の各要素と協働して実行される。また、画像判定学習処理は、40個程度の羽口102から視認されるレースウエイ107の状態は互いに相違するため、羽口102のそれぞれに配置される撮像装置106から送信された画像データを使用して、羽口102のそれぞれについて実行される。
まず、画像データ取得部41は、羽口102から高炉100の内部に微粉炭が供給されていないランスパージ時間を示すランスパージ時間情報を取得する(S201)。ランスパージ時間情報が記憶部12に予め記憶されている場合は、画像データ取得部41は、ランスパージ時間情報を記憶部12から取得する。ランスパージ時間情報が記憶部12に予め記憶されていない場合は、画像データ取得部41は、ランスパージ時間情報を不図示の上位制御装置からLAN109を介して取得する。
次いで、画像データ取得部41は、対象とする羽口102に対応する撮像装置106によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを、ランスパージ時間に撮像された画像を除外して取得する(S202)。画像データ取得部41は、ランスパージ時間情報を参照してランスパージ時間を特定し、ランスパージ時間に撮像された画像を除外して複数の画像データを取得する。
次いで、クラスタリング部42は、画像データ取得部41によって取得された画像データに対応する画像を4つの画像群にクラスタリングする(S203)。クラスタリング部42は、クラスタリング部22と同様に、k−means法等の公知のクラスタリング方法により、画像データ取得部41によって取得された画像データに対応する画像を4つの画像群にクラスタリングする。
次いで、ラベリング部43は、クラスタリング部42によってクラスタリングされた4つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける(S204)。具体的には、ラベリング部23は、高炉100の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像を使用して、4つの画像群のそれぞれと代表画像との類似度(距離)に基づき、4つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける。ラベリング部43が関連付ける高炉100の操業状態は、正常状態、要注意状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の4つであり、ランスパージ状態は除外される。また、ラベリング部43は、ラベリング部23同様に、ある画像群を「該当なし」状態とすることがある。
次いで、学習用データ決定部44は、S203の処理でクラスタリングされた4つの画像群に関連付けられた高炉100の操業状態が正常状態、要注意状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の全てを含むか否かを判定する(S205)。
学習用データ決定部44は、4つの画像群に関連付けられた操業状態が正常状態等の4つの状態の何れかを含まないと判定される(S205−NO)と、クラスタリング数Nを1つ増加して5とする(S206)。
以降、N個の画像群に関連付けられた操業状態が4つの状態の全てを含むと判定される(S205−YES)まで、クラスタリング数Nを1つずつ増加しながらS203〜S206の処理が繰り返される。
学習用データ決定部44は、N個の画像群に関連付けられた操業状態が4つの状態の全てを含むと判定する(S205−YES)と、S203の処理で画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する(S207)。
S208〜S209の処理は、S107〜S108の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(第2実施形態に係る画像判定学習装置の作用効果)
画像判定学習装置2は、ランスパージ時間に撮像された画像を除外した画像データを使用して学習器30を学習させるので、学習器30の学習時間を画像判定学習装置1よりも短縮することができる。また、画像判定学習装置2は、ランスパージ時間に撮像された画像を除外した画像データを使用して学習器30を学習させるので、クラスタリングの精度を上げ、ひいては学習精度を上げることができる。例えば、ランスパージ状態と他の操業状態が判別しにくい画像が取得される場合であっても、ランスパージ状態の画像が除外されれば、他の操業状態について確実な学習を行えることになる。
(第3実施形態に係る画像判定学習装置)
図11は、第3実施形態に係る画像判定学習装置を示す図である。第3実施形態に係る画像判定学習装置3は、図1に示す高炉監視システムにおいて、第1実施形態に係る画像判定学習装置1の代わりに配置され、学習器30を生成し、生成した学習器30を高炉監視装置110に出力する。
画像判定学習装置3は、処理部50を処理部40の代わりに有することが画像判定学習装置2と相違する。処理部50は、クラスタリング部52、ラベリング部53及び学習用データ決定部54をクラスタリング部42〜学習用データ決定部44の代わりに有することが処理部40と相違する。クラスタリング部52〜学習用データ決定部54以外の画像判定学習装置3の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された画像判定学習装置2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(画像判定学習装置3による画像判定学習処理)
図12は、画像判定学習装置3により実行される画像判定学習処理のフローチャートである。図12に示す画像判定学習処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部50により画像判定学習装置3の各要素と協働して実行される。また、画像判定学習処理は、40個程度の羽口102から視認されるレースウエイ107の状態は互いに相違するため、羽口102のそれぞれに配置される撮像装置106から送信された画像データを使用して、羽口102のそれぞれについて実行される。
S301〜S302の処理は、S201〜S202の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
次いで、クラスタリング部52は、画像データ取得部41によって取得された画像データに対応する画像を3つの画像群にクラスタリングする(S303)。クラスタリング部52は、クラスタリング部42と同様に、k−means法等の公知のクラスタリング方法により、画像データ取得部41によって取得された画像データに対応する画像を3つの画像群にクラスタリングする。
次いで、ラベリング部53は、クラスタリング部52によってクラスタリングされた3つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける(S304)。具体的には、ラベリング部23は、高炉100の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像を使用して、3つの画像群のそれぞれと代表画像との類似度(距離)に基づき、3つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態に関連付ける。ラベリング部43が関連付ける高炉100の操業状態は、正常状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の3つであり、ランスパージ状態及び要注意状態は除外される。
次いで、ラベリング部53は、S304の処理で高炉100の操業状態の何れにも関連付けられなかった画像群があるときに、高炉100の操業状態の何れか1つに関連付けられなかった画像群を要注意状態に関連付ける(S305)。具体的には、ラベリング部53は、S304の処理で高炉100の操業状態の何れか1つに関連付けられなかった画像群があるか否かを判定する。ラベリング部53は、S304の処理で高炉100の操業状態の何れにも関連付けられなかった画像群があると判定したときに、高炉100の操業状態の何れか1つに関連付けられなかった画像群を要注意状態に関連付ける(S305)。
次いで、学習用データ決定部54は、S304の処理でクラスタリングされた3つの画像群に関連付けられた高炉100の操業状態が正常状態、生鉱落ち状態、及びランス破損状態の全てを含むか否かを判定する(S306)。
学習用データ決定部54は、3つの画像群に関連付けられた操業状態が正常状態等の3つの状態の何れかを含まないと判定される(S306−NO)と、クラスタリング数Nを1つ増加して4とする(S307)。
以降、N個の画像群に関連付けられた操業状態が3つの状態の全てを含むと判定される(S306−YES)まで、クラスタリング数Nを1つずつ増加しながらS303〜S307の処理が繰り返される。
学習用データ決定部54は、N個の画像群に関連付けられた操業状態が3つの状態の全てを含むと判定する(S306−YES)と、S303の処理で画像群にクラスタリングされた複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する(S308)。
S309〜S310の処理は、S208〜S209の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(第3実施形態に係る画像判定学習装置の作用効果)
画像判定学習装置3は、高炉100の操業状態の何れにも関連付けられなかった画像群を要注意状態に関連付けることで、熟練したオペレータあっても代表画像を選択するのが難しい要注意状態をラベリング処理から除外することができる。画像判定学習装置3は、熟練したオペレータであっても代表画像を選択するのが難しい要注意状態をラベリング処理から除外することができるので、一貫性及び客観性を画像判定学習装置1及び2よりも更に向上させることができる。
(実施形態に係る画像判定学習装置の変形例)
画像判定学習装置1〜3では、高炉100の操業状態のそれぞれに関連付けられた代表画像を使用して、少なくとも3つの画像群のそれぞれと代表画像との類似度(距離)に基づき、少なくとも3つの画像群のそれぞれを、高炉100の操業状態の何れか1つに関連付けることで画像群がラベリングされる。しかしながら、実施形態に係る画像判定学習装置は、他の方法により少なくとも3つの画像群のそれぞれをラベリングしてもよい。例えば、実施形態に係る画像判定学習装置は、不図示の上位制御装置等に記憶される高炉100の操業状態の記録に基づいて、画像群をラベリングしてもよい。実施形態に係る画像判定学習装置は、高炉100の操業状態の記録に基づいて、画像群のそれぞれに含まれる画像が取得された各時刻における高炉100の操業状態の中で最頻の操業状態を高炉100の操業状態に決定してもよい。
また、画像判定学習装置1〜3は、学習器30に複数回に亘って学習させてもよい。例えば、画像判定学習装置1〜3は、所定の学習周期毎に学習器30に学習させ、学習された学習器30を高炉監視装置110に出力してもよい。その学習周期は、例えば1年間とすることができる。
また、画像判定学習装置1〜3は、クラスタリングされた画像群に関連付けられた高炉100の操業状態が所望の操業状態を含まないときに、クラスタリング数を増加させる。しかしながら、実施形態に係る画像判定学習装置は、所定回数に亘ってクラスタリングを実行した後に、クラスタリング数を増加させてもよい。複数回に亘ってクラスタリングを実行することで、ランダムに割り振られる画像のクラスタが異なる状態でクラスタリングすることができるため、クラスタリング数を増加させることなく、所望の操業状態を含むようにクラスタリングできる可能性がある。
また、画像判定学習装置1〜3は、第1異常状態を生鉱落ち状態とし、第2異常状態をランス破損状態として使用するが、実施形態に係る画像判定学習装置は、羽口の破損等の高炉設備の破損を異常状態として使用してもよい。
1〜3 画像判定学習装置
21、41 画像データ取得部
22、42、52 クラスタリング部
23、43、53 ラベリング部
24、44、54 学習用データ決定部
25 学習処理部
26 学習器出力部
30 学習器
100 高炉
101 炉体
102 羽口
103 熱風供給管
104 微粉炭供給管
105 観察窓
106 撮像装置
107 レースウエイ
108 撮像部
109 LAN
110 高炉監視装置

Claims (8)

  1. 高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
    前記複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングするクラスタリング部と、
    前記少なくとも3つの画像群のそれぞれを、前記高炉の操業状態に関連付けるラベリング部と、
    前記少なくとも3つの画像群に関連付けられた前記高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた前記複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定する学習用データ決定部と、
    前記学習用データを用いて前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させる学習処理部と、
    前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する学習器出力部と、
    を有することを特徴とする画像判定学習装置。
  2. 前記少なくとも3つの画像群に関連付けられた前記高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の少なくとも1つを含まないと判定したときに、前記クラスタリング部は、クラスタリングする画像群の数を増加してクラスタリング処理を再度実行する、請求項1に記載の画像判定学習装置。
  3. 前記第1異常状態は、完全に溶融していない鉱石が落下する現象であり、前記第2異常状態は、前記羽口に微粉炭を供給する微粉炭供給管が破損する現象である、請求項1又は2に記載の画像判定学習装置。
  4. 前記画像データ取得部は、前記羽口から高炉の内部に微粉炭が供給されていないランスパージ時間を示すランスパージ時間情報を取得し、前記ランスパージ時間に撮像された画像を除外して前記複数の画像データを取得する、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像判定学習装置。
  5. 前記ラベリング部は、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れにも関連付けられなかった画像群があるときに、当該画像群を、高炉の操業に異常が発生するおそれがあることを示す要注意状態に関連付ける、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像判定学習装置。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の画像判定学習装置によって学習させられ入力された画像に応じた前記高炉の操業状態を出力する学習器と、
    前記撮像装置により撮像された現在の画像を示す現在画像データを取得する現在画像データ取得部と、
    前記現在画像データを前記学習器に入力する現在画像入力部と、
    前記学習器から前記現在画像データの入力に応じた前記高炉の操業状態を取得する操業状態取得部と、
    前記学習器から出力される前記高炉の操業状態を示す操業状態信号を出力する操業状態出力部と、
    を有することを特徴とする高炉監視装置。
  7. 高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得し、
    前記複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングし、
    前記少なくとも3つの画像群のそれぞれを、前記高炉の操業状態に関連付け、
    前記少なくとも3つの画像群に関連付けられた前記高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた前記複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定し、
    前記学習用データを用いて前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させ、
    前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する、
    ことを含むことを特徴とする画像判定学習方法。
  8. 高炉の内部にガスと共に微粉炭を供給する羽口の何れか1つに対向して配置された撮像部を有する撮像装置によって異なる時間に撮像された複数の画像を示す複数の画像データを取得し、
    前記複数の画像データのそれぞれに対応する画像を少なくとも3つの画像群にクラスタリングし、
    前記少なくとも3つの画像群のそれぞれを、前記高炉の操業状態に関連付け、
    前記少なくとも3つの画像群に関連付けられた前記高炉の操業状態が正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態を含むと判定したときに、正常状態、第1異常状態、及び第2異常状態の何れか1つに関連付けられた画像群にクラスタリングされた前記複数の画像に対応する画像データを学習用データに決定し、
    前記学習用データを用いて前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習器に学習させ、
    前記複数の画像と前記高炉の操業状態との関係性を学習した学習器を出力する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする画像判定学習プログラム。
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