JP2021165414A - 炉況評価装置、炉況評価方法、及び炉況評価プログラム、並びに、学習済みモデルの生成方法 - Google Patents

炉況評価装置、炉況評価方法、及び炉況評価プログラム、並びに、学習済みモデルの生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高炉の操業状況を容易に判断することを可能とする。【解決手段】炉況評価装置1は、ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング部152と、異なる操業変数のそれぞれについて、操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定部153と、個別代表値に基づいて、複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定部154と、新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数とパターン評価値との相関関係に基づいて対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定部156とを備える。【選択図】図8

Description

本発明は、高炉操業についての炉況評価装置、炉況評価方法、及び炉況評価プログラム、並びに、学習済みモデルの生成方法に関する。
高炉における連続操業においては、固体、液体、気体が共存して反応がダイナミックに進行している。また、高炉内で進行している反応には、吸熱反応と発熱反応とが存在しており、この相反する2種類の反応間での熱バランス、並びに、原材料の供給と還元反応による消費及び空間的な移動とのバランスであるマスバランスを調節しながら、高炉内の温度分布や原材料の量を所定の範囲に保つことが、安定して連続的に出銑するために必要である。したがって、高炉の操業を行う上で、炉況を正しく把握することは重要である。
古典的な品質管理手法として、
|x−μ|>3σ ・・・(式1)
を異常状態として管理する手法が普及している。ここで、xは炉況を示す各変数、μはその平均値、σはその分散値である。しかしながら、炉況の判断では、対象となる多数の変数について総合的な判断が要求されるため、このような手法を各変数に単純に適用するだけでは、異常を見逃す可能性がある。
したがって、従来は、熟練者の経験や主観により炉況について総合的な判断を下さざるを得なかった。近年、多変量解析手法、AI(Artificial Intelligence)等を用いて、熟練者の経験や主観を数値化して評価を行うことが試みられている。
(1)多変量解析手法
多変量解析とは、複数の変数(項目、属性、次元数)を持つデータ(多変量データ)を利用し、その変数間の相互の関係性を捉えるために用いられる統計的手法の総称であり、重回帰分析や判別分析、正準相関分析、主成分・因子分析、クラスタ分析、多次元尺度法、フェース分析、数量化分析、コンジョイント分析等の手法がある。複雑なデータが持つ傾向や特徴を要約したり、結果に影響する相関関係を明らかにして原因発見や推定・予測を行ったり、因果関係のモデル化等に有効とされている。
多変量解析の大きな問題点は、変数間の関係に線形性を仮定していることである。従来から知られているように、高炉の現象に関わる伝熱や反応は、温度や量に対して非線形の関係にある。ただし、操業が安定しており、微分的な操業、即ち操業変化が少ないときには、近似的に線形性を仮定して解析することが可能である。しかしながら、操業を大きく変えたときや、特に操業異常の際においては、線形性からの乖離が著しく、多変量解析を適用することは不可能である。
(2)AI(例えば、特許文献1〜4並びに非特許文献1及び2)
1980年代に、AIを活用したエキスパートシステムが多くの高炉で構築され、適用された。エキスパートシステムとは、熟練者のノウハウをもとに操業を診断するシステムであり、ルールベースシステムが基本となる。即ち、高炉の操業に関するノウハウを専門家が整理し、IF−THENルールとして定式化して知識ベースに格納しておき、操業上の問題が与えられると、推論エンジンにより知識ベースから適当なルールを実行して問題を解く。
しかしながら、現在、実際の高炉で利用されているエキスパートシステムの例は少ない。これには、二つの主な理由がある。一つは、ルール抽出の際に、専門家の持つ知識が用いられるが、当然に抜けや誤りがあること、もう一つは、ルール抽出時と操業の前提が変わったときに、ルールを改定する必要があることである。いずれにしても、ルールをメンテナンスする必要があるが、その保守と維持に非常にコストがかかる。さらには、高炉の自動化がある程度進んだため、ルールを抽出する専門家が存在しなくなったことも大きな要因である。
(3)過去事例検索システム(例えば、非特許文献3)
エキスパートシステムのこのような課題を改善するために、事例ベース推論(Case-based Reasoning、CBR)が提案された。事例ベース推論とは、過去の事例を用いて問題を解くという推論モデルである。過去の事例を用いるという点ではエキスパートシステムと似ているが、IF−THENルールとして定式化することなく、過去の事例をそのまま格納する点で異なっている。
過去事例検索システム(例えば、LOM(Large Scale Database-based Online Modeling))もこの考え方に立脚しており、過去の類似事例を事例ベースに則って検索するものである。
(4)可視化技術(例えば、非特許文献4)
炉況の判断を完全にコンピュータに行わせるには、現状では限界もある。したがって、コンピュータ処理は、多種多様なデータを適切に表現するに留めて、最終的な炉況の判断を人が行う際の補助として用いるという考え方もある。
特許第5810981号公報 特許第6119515号公報 特許第6350159号公報 特許第2982714号公報
中島、外6名、"人工知能を応用した高炉操業管理エキスパートシステムの開発と適用"、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、1987年、第73巻、第15号、pp.298−305 八木、外1名、"人工知能の高炉操業への適用"、日本鉄鋼協会講演論文集、一般社団法人日本鉄鋼協会、1989年、第2巻、pp.2−5 伊藤、外6名、"高炉操業における大規模データベースオンラインモデリング"、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、2004年、第90巻、第11号、pp.59−66 松崎、外7名、"高炉操業の可視化方法の開発"、新日鉄技報、新日鐵住金株式会社、2006年、第384号、pp.89−94
過去の事例を検索することは、事例ベース推論を用いることにより可能となる。しかしながら、過去の事例をいつ検索すべきか、また、その結果をいつ注視すべきか、つまり、現在が良い状況なのか、悪い状況なのかを判断することは、依然として困難である。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、高炉の操業状況を容易に判断することを可能とする炉況評価装置、その制御方法、及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
このような課題を解決する本発明は、以下に示す炉況評価装置、炉況評価方法、及び炉況評価プログラム、並びに、学習済みモデルの生成方法を要旨とするものである。
(1)ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング部と、
異なる操業変数のそれぞれについて、操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定部と、
個別代表値に基づいて、複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定部と、
新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数とパターン評価値との相関関係に基づいて対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定部と、
を備えることを特徴とする炉況評価装置。
(2)評価値決定部は、パターン評価値として個別評価値の平均値である評価平均値を操業パターン毎に算出する、(1)に記載の炉況評価装置。
(3)クラスタリング部は、対象データセットを複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
炉況値決定部は、対象データセットが分類された操業パターンのパターン評価値である評価平均値を炉況値に決定する、(2)に記載の炉況評価装置。
(4)炉況値決定部は、各操業パターンのパターン評価値である各評価平均値、及び、各操業パターンのクラスタ重心位置と対象データセットとのユークリッド距離を用いて、炉況値を決定する、(2)に記載の炉況評価装置。
(5)炉況値決定部は、対象データセットに含まれる複数の操業変数のそれぞれと、各操業パターンの対応する個別代表値との間の相関関係に応じて、対象データセットに含まれる操業変数のそれぞれに対応する変数評価値を算出し、変数評価値の平均値を炉況値に決定する、(1)に記載の炉況評価装置。
(6)炉況値に基づいて高炉の炉況を判定し、判定された高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定部と、
炉況情報を出力する炉況情報出力部と、
をさらに備えることを特徴とする(1)〜(5)の何れか一つに記載の炉況評価装置。
(7)炉況判定部は、
炉況値と、対象データセットより前の時刻に取得された過去データセットに対応する炉況値である過去炉況値とを比較し、
過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値以下であると判定したときに、高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶し、
過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値超であると判定したときに、高炉の炉況が正常ではないことを示す炉況情報を記憶する、(6)に記載の炉況評価装置。
(8)炉況判定部は、
過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値超であり、且つ、炉況値が炉況しきい値以上であると判定したときに、高炉の炉況が異常になる可能性があることを示す炉況情報を記憶し、
過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値超であり、且つ、炉況値が炉況しきい値未満であると判定したときに、高炉の炉況が異常であることを示す炉況情報を記憶する、(7)に記載の炉況評価装置。
(9)炉況判定部は、
炉況値が炉況しきい値以上であるか否かを判定し、
炉況値が炉況しきい値以上であると判定したときに、高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶し、
炉況値が炉況しきい値未満であると判定したときに、高炉の炉況が異常であることを示す炉況情報を記憶する、(6)に記載の炉況評価装置。
(10)評価値決定部は、操業変数毎に規定された点数化規則に基づいて、個別評価値を決定する、(1)〜(9)の何れか一つに記載の炉況評価装置。
(11)複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定するクラスタリング判定部を更に有する、(1)〜(10)の何れか一つに記載の炉況評価装置。
(12)クラスタリング部は、それぞれが複数の操業パターンの何れかに関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
クラスタリング判定部は、複数のテストデータセットが分類された操業パターンと、テストデータセットが関連付けられた操業パターンと、の一致度に応じて、複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、(11)に記載の炉況評価装置。
(13)クラスタリング判定部は、複数の操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータセットの数と、複数の操業パターンのそれぞれに関連付けられたテストデータセットの数の一致度に応じて、複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、(12)に記載の炉況評価装置。
(14)クラスタリング部は、それぞれが高炉の炉況の良否を示す順位に関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
炉況値決定部は、複数のテストデータセットのそれぞれの炉況値を決定し、
クラスタリング判定部は、複数のテストデータセットのそれぞれに関連づけられた順位と、複数のテストデータセットの炉況値の順番の一致度に応じて、複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、(11)に記載の炉況評価装置。
(15)複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされていないと判定されたときに、クラスタリング部がクラスタリングを実行するときの設定であるクラスタリング設定を変更するクラスタリング修正部を更に有し、
クラスタリング部は、変更されたクラスタリング設定により複数のデータセットを再度クラスタリングする、(11)〜(14)の何れか一つに記載の炉況評価装置。
(16)クラスタリング設定は、クラスタリング部がクラスタリングするときの手法であるクラスタリング手法及びクラスタリング部がクラスタリングするときの条件であるクラスタリング条件の少なくとも一方を含む、(15)に記載の炉況評価装置。
(17)クラスタリング設定は、複数のデータセットに含まれる操業変数の種類及び数の少なくとも一方を含む、(15)又は(16)に記載の炉況評価装置。
(18)クラスタリング設定は、クラスタリング部によってクラスタリングされる操業パターンの数を含む、(15)〜(17)の何れか一つに記載の炉況評価装置。
(19)ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
異なる操業変数のそれぞれについて、操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
個別代表値に基づいて、複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数とパターン評価値との相関関係に基づいて対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定工程と、
を備えることを特徴とする炉況評価方法。
(20)炉況値に基づいて、高炉の炉況を判定し、判定された高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定工程と、
炉況情報を出力する炉況情報出力工程と、
をさらに備えることを特徴とする(19)に記載の炉況評価方法。
(21)ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
異なる操業変数のそれぞれについて、操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
個別代表値に基づいて、複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数とパターン評価値との相関関係に基づいて対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする炉況評価プログラム。
(22)炉況値に基づいて高炉の炉況を判定し、判定された高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定工程と、
炉況情報を出力する炉況情報出力工程と、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする(21)に記載の炉況評価プログラム。
(23)新たに取得されたデータセットである対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を、対象データセットに含まれる複数の操業変数と、予め用意された複数の操業パターンのパターン評価値と、の相関関係に基づいて決定するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルの生成方法であって、
ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
異なる操業変数のそれぞれについて、操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
個別代表値に基づいて、複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
を備えることを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
本発明に係る炉況評価装置、その制御方法、及びその制御プログラム、並びに、学習済みモデルの生成方法は、上述のような課題を解決しつつ高炉の操業管理に適用可能な手法として、複数の操業変数を総括して単一の指標に定量化して評価することを可能とする。また、当該単一の指標に基づいて高炉の操業状況を判定し、その結果を表示することにより、高炉の操業状況を容易に判断することを可能とする。
高炉の概略構成を説明する図である。 高炉の操業状況を評価する実施形態に係る炉況評価システムの概略構成の一例を示す図である。 図2に示す炉況評価装置の概略構成の一例を示す図である。 データセット管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。 図3に示す炉況評価装置により実行される評価値決定処理のフローチャートである。 炉況評価に利用可能な操業変数の一例を示す図である。 k−means法によるクラスタリングを説明する図である。 操業パターンの評価平均値(パターン評価値)の一算出例を示す図である。 操業パターンの数が5である操業パターン管理テーブルの一例を示す図である。 図3に示す炉況評価装置により実行される炉況判定処理のフローチャートである。 実施形態において、炉況情報が入力された表示部に表示される画像の一例を示す図である。 変形例2に係る炉況判定処理のフローチャートである。 2つの操業パターンの個別代表値を使用して変数評価値を算出する方法を説明するための図である。 (a)は変数評価値の決定方法の第1変形例を説明するための図であり、(b)は変数評価値の決定方法の第2変形例を説明するための図である。 変形例3に係る炉況判定処理のフローチャートである。 変形例3において、炉況情報が入力された表示部に表示される画像の一例を示す図である。 変形例4に係る炉況評価装置の概略構成の一例を示す図である。 変形例4に係る評価値決定処理のフローチャートである。 変形例4に係る炉況評価装置による分類結果の評価の一例を示す図である。 変形例5に係る評価値決定処理のフローチャートである。 変形例6に係る炉況評価システムの概略構成の一例を示す図である。 変形例6に係る評価値決定装置の概略構成の一例を示す図である。 変形例6に係る評価値決定処理のフローチャートである。 変形例6に係る炉況判定装置の概略構成の一例を示す図である。 変形例7に係る炉況判定処理のフローチャートである。 変形例7に係る炉況判定処理において、炉況情報が入力された表示部に表示される画像の一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
実施形態に係る炉況評価装置は、過去に高炉から取得された複数のデータセットに基づいて、複数の操業パターンを作成し、その操業状況の良否を示すパターン評価値を予め算出しておく。実施形態に係る炉況評価装置は、高炉から新たにデータセットが取得された場合に、複数の操業変数とパターン評価値の相関関係に基づいてデータセットに対応する炉況を示す炉況値を決定する。
図1は、高炉の概略構成を説明する図である。
高炉は、円筒の徳利形状を有する竪型炉の一種であり、炉頂部から供給される原料と、高炉の下方に設けられた羽口から供給される熱風により生成される還元性ガスとが反応する反応装置として機能する。
炉頂部から供給される原料としては、主に、鉄鉱石や焼結鉱(以下、これらをまとめて「鉄鉱石」と称する。)等の鉄酸化物、コークス、石灰石等がある。鉄鉱石は、高炉における反応で生成される銑鉄の鉄源となるものであり、コークスは、鉄鉱石の還元剤及び原料を溶解するための熱源として機能するだけでなく、高炉内の通気性を保持する役割を有している。また、石灰石は、鉄鉱石の脈石成分と反応して低溶融点を持ち流動性のよいスラグを生成するために添加される媒溶剤として機能する。
高炉の内部では、鉄鉱石(及び、石灰石)からなる層と、コークスからなる層とが交互に積層されている。これらの原料は、積層状態を維持しつつ、高炉の下方へと移動していく。
また、羽口からは、熱風と、コークスの補完還元剤として機能する微粉炭とが供給され、この熱風により微粉炭やコークスがガス化して、一酸化炭素や水素等からなる高温の還元性ガスが生成される。この高温の還元性ガスは、炉内を移動する上昇気流となって炉頂部へと吹き昇っていく。この還元性ガスにより炉内の鉄鉱石は還元されていき(間接還元)、さらに、還元性ガスが有する熱により固体から液体へと変化する。液体となった鉄分は、コークス層内を滴下しながらコークスの炭素によりさらに還元され(直接還元)、炭素を5%程度含む溶銑となる。
融着帯は、半溶融状態にある鉄分の間に固体コークスがスリット状に存在している部分であり、主にこの融着帯において、上述のような鉄分の相変化が生じている。
このように、高炉という反応装置では、固体、液体、及び気体が共存して反応がダイナミックに進行している。また、高炉内で進行している反応には、吸熱反応と発熱反応とが存在しているため、この相反する2種類の反応間での熱バランス及びマスバランスを調節しながら、銑鉄を製造する操業が行われている。
図2は、高炉の操業状況を評価する実施形態に係る炉況評価システム100の概略構成の一例を示す図である。
炉況評価システム100は、高炉101と、高炉101及び高炉101の近傍に設置され、高炉101の操業状況を示す操業変数をそれぞれが検出する各種のセンサ102と、炉況評価装置1とを含む。
各種のセンサ102は、高炉101の操業状況を示す操業変数を含む高炉101に関する各種のデータを測定する。各種のセンサ102として、例えば、高炉(羽口)に供給される熱風の送風量、送風温度、送風湿分、送風圧力等を測定すると共に、その時間変動を算出する各種のセンサ、炉頂部の気体の圧力を測定すると共に、送風圧力との差から通気抵抗指数(K値)を算出する圧力センサ、出銑口から排出された溶銑の温度を測定すると共に、その時間変動を算出する温度計、直接還元に要した炭素の量(kg)を測定して溶銑1tあたりの量(ソリューションロスカーボン量)を算出すると共に、その時間変動を算出する測定装置、冷却水の給水圧力、給排水流量、給水温度、排水温度等を測定すると共に、給水温度及び排水温度に基づいて炉内から抜熱した熱量(炉体総合熱負荷)を算出する各種のセンサ等を挙げることができる。
なお、通気抵抗指数(K値)は、次式で与えられる。
Figure 2021165414
ここで、Pbは送風圧力(g/cm2)、Ptは炉頂圧力(g/cm2)、Vbはボッシュガス量(Nm3/min)である。また、各種のデータの時間変動等は、各種のセンサ102ではなく、炉況評価装置1において算出されてもよい。
なお、各種のセンサ102は、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、例えば、高炉に装入される各種の原料を秤量する秤量センサ、装入された原料の高さを測定する測定装置、高炉の炉壁や炉床等の各部位の温度の分布を測定する温度計、銑鉄中Si量、銑鉄中S量、スラグ組成、炉頂ガス成分等を特定する各種の分析装置等を挙げることができる。
各種のセンサ102により測定された各種のデータは、操業変数として炉況評価装置1に出力され、炉況評価装置1において、操業変数のそれぞれの個別評価値の決定処理、及び高炉の炉況の判定処理等に利用される。
(実施形態に係る炉況評価装置の構成及び機能)
図3は、炉況評価装置1の概略構成の一例を示す図である。
炉況評価装置1は、記憶部12に予め記憶されているプログラムに基づいて、同じく記憶部12に記憶されているデータ及び/又は不図示の他の装置に記憶されているデータを参照し、各種の処理を実行する。また、炉況評価装置1は、オペレータにより操作部13を介して入力された指示に応じて各種の処理を実行し、その結果を表示部14に出力する。そのために、炉況評価装置1は、通信部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、処理部15とを備える。
通信部11は、炉況評価装置1を不図示のネットワークに接続するための通信インターフェース回路を備える。そして、通信部11は、不図示の他の装置からネットワークを介して受信したデータを、処理部15に供給する。また、通信部11は、処理部15から供給されたデータを、ネットワークを介して他の装置に送信する。
記憶部12は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部12は、処理部15での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部12は、ドライバプログラムとして、操作部13を制御する入力デバイスドライバプログラム、表示部14を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部12は、アプリケーションプログラムとして、操業パターンに含まれる操業変数の個別評価値を決定するアプリケーションプログラム、高炉の炉況を判定するアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部12は、データとして、各時刻において各種のセンサ102から取得した各種のデータ(操業変数)をまとめてデータセットとして管理するデータセット管理テーブル(図4)、過去の複数時刻におけるデータセットを分類して作成される操業パターンを管理する操業パターン管理テーブル(図9)等を記憶する。さらに、記憶部12は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
図4は、データセット管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
データセット管理テーブルは、例えば1〜10分毎にセンサ102から入力される複数の操作変数をそれぞれが含む各データセットについて、当該データセットの識別番号(ID)、データセットが取得された時刻、データセットに含まれる複数の操業変数を含む。また、後述する炉況判定処理が実行されたデータセットは、操業状況の良否を示す炉況値及び炉況値に応じた評価(炉況判定結果)等を更に含む。
操作部13は、炉況評価装置1の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、キーボード、タッチパッド等である。オペレータは、操作部13を介して文字、数字等を入力することができる。操作部13は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、オペレータの指示として、処理部15に供給される。
表示部14は、映像、画像、文字等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。表示部14は、処理部15から供給された映像データに応じた映像、画像データに応じた画像、文字データに応じた文字等を表示する。
処理部15は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部15は、炉況評価装置1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部15は、炉況評価装置1の各種の処理が記憶部12に記憶されているプログラム、操作部13の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部11、表示部14等の動作を制御する。処理部15は、記憶部12に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部15は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
処理部15は、データセット取得部151と、クラスタリング部152と、代表値決定部153と、評価値決定部154と、対象データセット取得部155と、炉況値決定部156と、炉況判定部157と、炉況情報出力部158とを備える。これらの各部は、処理部15が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして炉況評価装置1に実装されてもよい。
(実施形態に係る炉況評価装置による評価値決定処理)
図5は、炉況評価装置1により実行される評価値決定処理のフローチャートである。図5に示す評価値決定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部15により炉況評価装置1の各要素と協働して実行される。図5に示す評価値決定処理を実行することにより、新たに取得されたデータセットである対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルが生成される。生成された学習済みモデルによって、コンピュータは、対象データセットに含まれる複数の操業変数と、予め用意された複数の操業パターンのパターン評価値との相関関係に基づいて炉況値を決定するように機能する。
オペレータにより操作部13を介して、評価値決定処理を行うアプリケーションプログラムの実行が指示された場合に、炉況評価装置1は、このプログラムに基づいて処理を開始する。即ち、データセット取得部151は、種々のセンサにより検出された異なる操業変数の組であるデータセットを、複数の時刻について複数のデータセットとして取得する(S101)。即ち、データセット取得部151は、記憶部12に記憶されているデータセット管理テーブルを参照し、過去の複数時刻(例えば、過去1年間)におけるデータセットを抽出する。
図6は、炉況評価に利用可能な操業変数の一例を示す図である。
図6に示されるように、操業変数には、主に、通気状況を表現するもの、還元状況を表現するもの、及び炉熱状況を表現するものがある。また、それぞれについて、主に、炉全体について平均的に表現するもの、時間変動を表現するもの、及び空間変動を表現するものがある。ここで、通気抵抗指数(K値)、送風圧力変動、ソリューションロスカーボン量、溶銑温度、及び炉体総合熱負荷については、上述のとおりである。また、各羽口送風量は各羽口の送風量、シャフト圧力は高炉のシャフト部の炉壁に設置された孔での圧力、排ガスηCOは炉頂ガスの(CO%+CO2%)に対するCO2%の比率、ηCO分布は炉内ガスの(CO%+CO2%)に対するCO2%の比率の炉径方向の分布、溶銑中Si含有量は溶銑に含有されるSiの濃度である。
なお、図6に示される各操業変数には、その特性に応じて、記号△、▽、又は∧が付与されている。記号△は、数値が大きいほうが好ましいもの、記号▽は、数値が小さいほうが好ましいもの、記号∧は、最適値が存在するものを示す。このような特性に応じて、点数化規則が規定されることになる。なお、具体的な点数化規則については後述する。
これらの操業変数から、通気状況、還元状況、及び炉熱状況を平均的に表現するものを選択し、さらに、それぞれの時間変動及び/又は空間変動を表現するものを選択してもよい。
データセット取得部151は、取得した複数のデータセットのうち、外れ値を含むものを除去してもよい。例えば、データセット取得部151は、取得した複数のデータセットについて、操業変数毎に、数値範囲
median(x)±cMAD(x) ・・・(式3)
に属さない数値を特定し、特定した数値を含むデータセットを除去してもよい。ここで、xは操業変数、cは2〜3程度の定数、median(x)はxの中央値、MAD(x)は
median(|x−median(x)|) ・・・(式4)
である。
なお、数値範囲は、これに限定されるものではなく、これ以外のものでもよい。例えば、数値範囲は、操業変数の平均値及び分散値に基づくものでもよい。
次いで、クラスタリング部152は、S101の処理で取得した複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングする(S102)。即ち、クラスタリング部152は、異なる時刻において複数のセンサから取得された複数の操業変数の組である複数のデータセットを、複数の操業パターンにクラスタリングする。クラスタリング部152は、取得した複数のデータセットを分類対象の集合とし、この集合をk−means法を用いて内的結合及び外的分離が達成されるような部分集合(クラスタ)に分割する。
なお、クラスタリング手法は、これに限定されるものではなく、これ以外のものでもよい。例えば、クラスタリング手法は、k−means法以外の非階層型クラスタリング手法でもよく、凝集法等の階層型クラスタリング手法でもよい。
非階層型クラスタリング手法とは、一般に、分割の良否の評価関数を定め、この評価関数を最適化する分割を探索する手法である。非階層型クラスタリング手法の一つであるk−means法は、評価関数
Figure 2021165414
を最小化するように、k個のクラスタを分割する。ここで、xは分類対象、Ciはクラスタ、ciはクラスタCiの重心、d(x, ci)はユークリッド距離である。
図7は、k−means法によるクラスタリングを説明する図である。
最適解の探索は、分類対象のクラスタへの割り当てと、クラスタの重心の再計算とを交互に繰り返すことにより行う。具体的には、図7における白丸を分類対象として、
(1)分類対象の中からk個の分類対象を無作為に選択し、クラスタの重心c0とする(図7(a)、(b))。
(2)各分類対象について、k個の重心c0とのユークリッド距離をそれぞれ算出し、最も近い重心c0に係るクラスタに割り当てる(図7(c))。
(3)各クラスタについて、重心cを再計算する。
(4)各分類対象について、k個の重心cとのユークリッド距離をそれぞれ算出し、最も近い重心cに係るクラスタに割り当てる(図7(d))。
(5)各クラスタの重心cの位置がほぼ定まり、収束判定条件を満たすまで、(3)、(4)を繰り返す。
代表値決定部153は、複数のデータセットをクラスタリングした操業パターン毎に、複数の操業変数のそれぞれについて個別代表値を決定する(S103)。代表値決定部153は、操業パターンのそれぞれにクラスタリングされたデータセットに含まれる操業変数毎に、操業変数の平均値を算出し、算出した操業変数の平均値を操業変数の個別代表値に決定する。なお、個別代表値は、操業変数を代表する値であればよく、例えば操業変数の中央値、又は最頻値でもよい。
次いで、評価値決定部154は、複数の操業パターンのそれぞれについて、操業変数毎に、対応する点数化規則に従って、算出した個別代表値を点数化して、個別評価値を決定する(S104)。個別評価値を決定するときに使用される点数化規則は、例えば、操業パターンの数がkである場合に、数値の大きなものからk点、(k−1)点、・・・、1点とする規則であってもよく、数値の小さなものからk点、(k−1)点、・・・、1点とする規則であってもよい。
なお、点数化規則は、これらに限定されるものではなく、これら以外のものでもよい。例えば、点数化規則は、数値の平均的なものからk点、(k−1)点、・・・、1点とするものでもよい。
そして、評価値決定部154は、複数の操業パターンのそれぞれについて、操業変数毎に算出した個別評価値または個別評価値を用いて算出される値をパターン評価値として決定する。具体的には、個別評価値の平均値を算出し、対応する操業パターンのパターン評価平均値とする(S105)。そして、評価値決定部154は、記憶部12に記憶されている操業パターン管理テーブルを参照し、算出した操業変数ごとの複数の個別代表値及び複数の個別評価値を格納し、一の評価平均値(パターン評価値)を格納して、評価値決定処理は終了する。なお、パターン評価値は評価平均値に限定されず、例えば操業変数の種類に応じて個別評価値に重みづけした、重み付き評価平均値であってもよい。なおまた、高炉101の炉況を示す炉況値を決定するときに、評価平均値を使用しない場合には、S105の処理は省略されてもよい。すなわち、複数の個別評価値そのものをパターン評価値として決定しておいてもよい。
図8は、操業パターンの評価平均値の一算出例を示す図である。図8には、操業変数v1〜v3を含むデータセットDS1〜DS6が操業パターンC1〜C3に分類された例が示されている。
まず、各操業パターンCiについて、操業変数vj毎に、平均値が個別代表値として算出される。例えば、操業パターンC1について、操業変数v3は、データセットDS1では「1」、データセットDS4では「1」であるため、操業変数v3の平均値である個別代表値は「1」と算出される(図8(a))。同様に、操業パターンC1について、操業変数v2の個別代表値は「1.5」、操業変数v1の個別代表値は「1」と算出される。
次に、操業パターンC1〜C3について、操業変数vj毎に、対応する点数化規則に従って、算出した個別代表値が点数化されて個別評価値が決定される。例えば、操業変数v3について、対応する点数化規則が数値の小さなものから3点、2点、1点とするものとすると、操業変数v3の個別代表値は、操業パターンC1では「1」、操業パターンC2では「2」、操業パターンC3では「3」であるため、操業パターンC1では、操業変数v3の個別評価値は「3」に決定される(図8(b))。同様に、操業変数v2、v1について、対応する点数化規則が操業変数v3と同様のものとすると、操業パターンC1では、操業変数v2の個別評価値は「2」、操業変数v1の個別評価値は「2」と算出される。
そして、各操業パターンCiについて、算出された個別評価値の平均値が算出され、対応する操業パターンの評価平均値(パターン評価値)とされる。例えば、操業パターンC1について、各操業変数viの個別評価値は、操業変数v3が「3」、操業変数v2が「2」、操業変数v1が「2」であるため、対応する操業パターンC1の評価平均値(パターン評価値)は「2.3」と算出される(図8(c))。同様に、操業パターンC2の評価平均値(パターン評価値)は「2」、操業パターンC3の評価平均値(パターン評価値)は「1.7」と算出される。
図9は、操業パターンの数が5である操業パターン管理テーブルの一例を示す図である。
図9に示す操業パターン管理テーブルは、3年分の1分データを使用し、操業変数は、通気抵抗指数(K値)、送風圧力変動、ソリューションロスカーボン量、溶銑温度、及び炉体総合熱負荷を選択した。なお、本発明の実施に際して選択されるデータは、これらに限定されるものではなく、これら以外のものでもよい。
図9には、各操業パターンCiにおける各操業変数の個別代表値及び個別評価値、並びに各操業パターンCiの評価平均値が示されている。評価値決定部154は、操業変数毎に規定された点数化規則に基づいて、個別評価値を決定する。なお、各操業変数の個別評価値を決定するときの点数化規則は、以下のものとした。
通気抵抗指数(K値) :数値の小さなものから5点、4点、・・・、1点
送風圧力変動 :数値の小さなものから5点、4点、・・・、1点
ソリューションロスカーボン:数値の小さなものから5点、4点、・・・、1点
溶銑温度 :数値の大きなものから5点、4点、・・・、1点
炉体総合熱負荷 :数値の小さなものから5点、4点、・・・、1点
図9に示す操業パターン管理テーブルは、操業パターンC1に属する操業状況が最も好ましいことを示す。
(実施形態に係る炉況評価装置による炉況判定処理)
図10は、炉況評価装置1により実行される炉況判定処理のフローチャートである。図10に示す炉況判定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部15により炉況評価装置1の各要素と協働して実行される。
まず、対象データセット取得部155は、各種のセンサ102から通信部11を介して、各種のデータ(操業変数)を取得し、取得した各種のデータをまとめて対象データセットとして取得し(S201)、取得した時刻と共に記憶部12に格納する。即ち、対象データセット取得部155は、取得した各種のデータから所定のものを選択する。そして、対象データセット取得部155は、記憶部12に記憶されているデータセット管理テーブルを参照し、選択した各種のデータをデータセットとして、取得した時刻と共に格納する。
クラスタリング部152は、S102の処理と類似の処理を実行して、S201の処理で取得した対象データセットを複数の操業パターンの何れか1つに分類する(S202)。
次いで、炉況値決定部156は、対象データセットが分類された操業パターンに応じて炉況値を決定する。具体的には、操業パターンに関連付けて記憶された評価平均値(パターン評価値)を炉況値に決定することができる(S203)。炉況値決定部156は、S202の処理で分類された操業パターンの評価平均値に基づいて、取得した対象データセットの炉況値を決定する。即ち、炉況値決定部156は、S202の処理で分類された操業パターンのIDをキーとして、記憶部12に記憶されている操業パターン管理テーブルを参照し、対応する操業パターンの評価平均値を抽出し、抽出した評価平均値を炉況値に決定する。
なお、炉況値の決定方法は上記に限定されず、炉況値決定部156は、例えば各操業パターンのパターン評価値である各評価平均値、及び、各操業パターンのクラスタ重心位置と対象データセットとのユークリッド距離を用いて、炉況値を決定することができる。このとき、対象データセットを複数の操業パターンの何れか1つに分類すること(S202)は必須ではない。
炉況値決定部156は、各操業パターンのクラスタ重心位置と対象データセットとのユークリッド距離を算出する。次いで、例えば炉況値決定部156は、算出したユークリッド距離の中で、最も短いユークリッド距離に対応する操業パターンを抽出し、操業パターン管理テーブルを参照して、抽出された操業パターンに関連付けられた評価平均値を、対象データセットの炉況値に決定することができる。また例えば炉況値決定部156は、各操業パターンのクラスタ重心位置に対して算出したユークリッド距離に応じ、各操業パターンに関連付けられた評価平均値を要素内補間することによって対象データセットの炉況値を決定することができる。具体的には、2つのクラスタ重心位置の間に対象データセットが位置する場合は2つのクラスタ重心からなる線分間で線形補間し、3つのクラスタ重心位置の間に対象データセットが位置する場合は3つのクラスタ重心からなる三角形間で線形補間し、4つのクラスタ重心位置の間に対象データセットが位置する場合は4つのクラスタ重心からなる四面体間で線形補間することができる。
炉況判定部157は、炉況値に基づいて、高炉101の炉況を判定し、判定された高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する。本実施形態では、炉況判定部157は、炉況値と、対象データセットより前の時刻に取得された過去データセットに対応する炉況値である過去炉況値とを比較する(S204)。
具体的には、炉況判定部157は、過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値以下であるか否かを判定する。S201の処理で取得された対象データセットのデータセットIDをキーとして、記憶部12に記憶されているデータセット管理テーブルを参照し、例えば対応するデータセットの直前時刻におけるデータセットの炉況値を過去炉況値として抽出する。
炉況判定部157は、過去炉況値からの炉況値の減少量に基づいて炉況値の良否を判定するが、減少量は単純に差分のみではなく、減少率などを含む概念である。
炉況判定部157は、過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値以下であると判定した(S204−YES)ときに、高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶する(S205)。一方、炉況判定部157は、過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値超であると判定した(S204−NO)とき、高炉の炉況が正常ではない、すなわち異常であることを示す炉況情報を記憶する(S206)。
そして、炉況情報出力部158は、炉況情報を表示部14に出力する(S207)。即ち、炉況情報出力部158は、記憶部12に記憶されているデータセット管理テーブルを参照し、過去の複数時刻(例えば、過去3日間)におけるデータセットを特定し、特定したデータセットの炉況値及び評価の内容を抽出することができる。そして、炉況情報出力部158は、抽出した炉況値、評価の内容等を表示部14に出力することができる。
図11は、炉況情報が入力された表示部14に表示される画像の一例を示す図である。図11に示す例では、炉況値の良否は、過去炉況値からの炉況値の減少率に基づいて判定されており、減少しきい値は20%である。
図11に示す画像は、対象データセットを取得した時刻、過去炉況値に対応する「直前時刻の炉況値」、炉況値に対応する「現在時刻の炉況値」、炉況値から過去炉況値を減算した「差分」及び「差分」の「直前時刻の炉況値」に対する「比率(%)」を含む。また、図11に示す画像は、対象データセットが正常であるか又は異常であるかを示す「炉況判定結果」を更に含む。
図11に示す画像では、炉況値の減少率が20%を上回る時刻t2〜t4に取得した対象データセットに対応する炉況が異常であると判定され、時刻t2〜t4以外に取得した対象データセットに対応する炉況は正常であると判定される。
なお、炉況情報出力部158は、抽出した評価の内容に応じて出力の態様を変更してもよい。例えば、操業状況が「正常」であれば青色、「異常」であれば赤色で出力してもよい。また、操業状況が「異常」であれば、不図示の音声出力部を介して警告音を出力してもよい。
また、表示部14においては、炉況値などが時間推移のグラフで表示されてもよい。
(実施形態に係る炉況評価装置の作用効果)
炉況評価装置1は、複数の操業変数を総括して単一の指標に定量化し、単一の指標に基づいて高炉の操業状況を評価し、その結果を出力することにより、高炉の操業状況を容易に判断することが可能となる。
また、炉況評価装置1は、複数の操業変数のそれぞれを代表する個別代表値に基づいて決定された個別評価値と対象データセットに含まれる複数の操業変数との相関関係に基づいて炉況値を決定し、高炉の炉況を判定する。炉況評価装置1は、いわゆる生データではなく炉況値に応じて高炉の炉況を判定するので、操業変数が瞬時に大幅に変位する等して生データと炉況との間の相関関係が複雑で難解である場合でも、高精度で高炉の炉況を判定できる。
また、炉況評価装置1は、高炉の炉況を示す炉況値の減少量に基づいて、高炉の炉況を判定するので、高炉の炉況が異常な状態に至る前に急激に炉況が変化した場合でも異常を発見することができる。
(変形例1)
なお、本発明は、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。
例えば、炉況評価装置1は、個別評価値の平均値である評価平均値をパターン評価値、ひいては炉況値として使用するが、実施形態に係る炉況評価装置は、個別評価値等に関連する他の数値を炉況値として使用してもよい。例えば、実施形態に係る炉況評価装置は、評価平均値ではなく評価平均値の順位を炉況値として使用してもよい。例えば図8に示す例では、操業パターンC1、C2、C3の順に、算出された評価平均値は小さくなるから、評価平均値の順位である「3」、「2」及び「1」を操業パターンC1、C2、C3のそれぞれの炉況値として使用してもよい。
(変形例2に係る炉況判定処理)
また、実施形態に係る炉況評価装置は、対象データセットに含まれる操業変数と、操業パターンのそれぞれの個別代表値との間の相関関係から算出される変数評価値を用いて炉況値を算出してもよい。
図12は、変形例2に係る炉況判定処理のフローチャートである。図12に示す炉況判定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部15により炉況評価装置1の各要素と協働して実行される。
まず、対象データセット取得部155は、S201と同様に、複数の操業変数を含む対象データセットを取得し(S301)、取得した時刻と共に記憶部12に格納する。
次いで、炉況値決定部156は、対象データセットに含まれる操業変数と操業パターンのそれぞれの個別代表値との間の相関関係から、対象データセットに含まれる操業変数のそれぞれに対応する変数評価値を算出する(S302)。炉況値決定部156は、ある操業変数について、例えば、当該操業変数VCよりも大きい個別代表値と操業変数VCとの差、及び当該操業変数VCよりも小さい個別代表値と操業変数VCとの差から、変数評価値を算出してもよい。
図13は、ある操業変数について、2つの異なる操業パターンの個別代表値を使用して変数評価値を算出する方法を説明するための図である。
まず、図13(a)に示すように、ある操業変数についての5つの操業パターンのそれぞれの代表値である第1個別代表値R1、第2個別代表値R2、第3個別代表値R3、第4個別代表値R4及び第5個別代表値R5が抽出される。
次いで、図13(b)に示すように、炉況値決定部156は、対象データセットに含まれる操業変数VCよりも大きく且つ操業変数VCに近い第3個別代表値R3及び操業変数VCよりも小さく且つ操業変数Vcに近い第4個別代表値R4を選択する。
次いで、図13(c)に示すように、炉況値決定部156は、操業変数VCと第3個別代表値R3との間の差D1及び操業変数VCと第4個別代表値R4との間の差D2を算出する。
次いで、図13(d)に示すように、炉況値決定部156は、第3個別代表値R3及び第4個別代表値R4のそれぞれに対応する第3評価値E3及び第4評価値E4を抽出する。
そして、図13(e)に示すように、炉況値決定部156は、第3個別代表値R3及び第4個別代表値R4と操業変数VCとの間の位置関係に応じて、第3評価値E3及び第4評価値E4との位置関係から変数評価値VECを算出する。変数評価値VECと第3評価値E3との間の差D´1は、操業変数VCと第3個別代表値R3との間の差D1に比例した値である。また、変数評価値VECと第4評価値E4との間の差D´2は、操業変数VCと第4個別代表値R4との間の差D2に比例した値である。
S302の処理が終了すると、炉況値決定部156は、S302の処理で算出された変数評価値の平均値を算出し、算出した平均値を炉況値に決定する(S303)。S304〜S307の処理は、S204〜S207の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。変形例2に係る炉況判定処理では、対象データセットを複数の操業パターンのいずれかに分類することは必要ではない。
また、変形例2に係る炉況判定処理では評価平均値は使用されないので、図5等を参照して説明された評価値決定処理において、評価平均値を算出する処理は省略されてもよい。
なお、実施形態に係る炉況判定処理では、炉況値決定部156は、図13を参照して説明した方法以外の方法で、変数評価値を決定してもよい。
図14(a)は変数評価値の決定方法の第1変形例を説明するための図であり、図14(b)は変数評価値の決定方法の第2変形例を説明するための図である。図14(a)及び14(b)において、横軸はある操業変数についての操業パターンのそれぞれの個別代表値を示し、縦軸は変数評価値を示す。図14(a)及び14(b)では、3つの操業パターンにおける第1個別代表値R1、第2個別代表値R2及び第3個別代表値R3と、対象データセットに含まれる操業変数との関係が説明される。
図14(a)に示す第1変形例では、操業変数が第1個別代表値R1と第2個別代表値R2の中間値(R1+R2)/2未満であるとき、変数評価値は「1」である。また、操業変数が第1個別代表値R1と第2個別代表値R2の中間値(R1+R2)/2以上であり、且つ、第2個別代表値R2と第3個別代表値R3の中間値(R2+R3)/2未満であるとき、変数評価値は「2」である。また、操業変数が第2個別代表値R2と第3個別代表値R3の中間値(R2+R3)/2以上であるとき、変数評価値は「3」である。図14(a)に示す第1変形例では、変数評価値は、「1」、「2」又は「3」の何れかの離散値となる。
図14(b)に示す第2変形例では、変数評価値は、横軸方向(操業変数、個別代表値)の境界である(R1+R2)/2、(R2+R3)/2、および所定の上下限値により規定される領域内において平均値がクラスタの順位を示す三つの整数となるような折れ線グラフ状の関数を使用して算出される。第2変形で使用される関数は、中間値(R1+R2)/2と中間値(R2+R3)/2とを結ぶ直線を含む。図14(b)に示す第2変形例では、変数評価値は、「1」、「2」又は「3」を含む連続値となる。
図14(a)及び図14(b)に示される対応によって操業変数毎の個別評価値を特定することにより、操業変数vを個別評価値に合理的にノルマライズできる。その結果、これらの操業変数毎の個別評価値を対象とする全ての操業変数にわたって平均化した値は、取得した操業パターンのパターン評価値として信頼性が増すことが期待できる。
(変形例3に係る炉況判定処理)
また、炉況評価装置1は、炉況値の減少量を減少しきい値と比較して高炉の炉況を判定するが、実施形態に係る炉況評価装置は、炉況値を炉況しきい値と比較して高炉の炉況を判定してもよい。
図15は、変形例3に係る炉況判定処理のフローチャートである。図15に示す炉況判定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部15により炉況評価装置1の各要素と協働して実行される。
S401〜S403の処理は、S201〜S203の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
S403の処理が終了すると、炉況判定部157は、S403の処理で決定された炉況値が炉況しきい値以上であるか否かを判定する(S404)。炉況判定部157は、炉況値が炉況しきい値以上であると判定した(S404−YES)ときに、高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶する(S405)。一方、炉況判定部157は、炉況値が炉況しきい値未満であると判定した(S404−NO)とき、高炉の炉況が正常ではない、すなわち異常であることを示す炉況情報を記憶する(S406)。そして、炉況情報出力部158は、炉況情報を出力する(S407)。
図16は、変形例3において、炉況情報が入力された表示部14に表示される画像の一例を示す図である。炉況値の良否は、炉況値の大きさに基づいて判定されており、炉況しきい値は2.00である。
図16に示す画像は、対象データセットを取得した時刻、過去炉況値に対応する「直前時刻の炉況値」、炉況値に対応する「現在時刻の炉況値」、及び炉況値から過去炉況値を減算した「差分」を含む。また、図16に示す画像は、対象データセットが正常であるか又は異常であるかを示す「炉況判定結果」を更に含む。
図16に示す画像では、炉況値が2.00を下回る時刻t4に取得した対象データセットに対応する炉況のみが異常であると判定され、時刻t4以外に取得した対象データセットに対応する炉況は正常であると判定される。
(変形例4に係る炉況評価装置の構成及び機能)
また、実施形態に係る炉況評価装置は、所望の操業パターンに複数のデータセットがクラスタリングされたか否かを判定する処理を実行した上で、評価値決定処理を実行してもよい。所望の操業パターンとは、例えば熟練工の経験に基づく総合的な炉況判断との乖離が少ない分類方法をいう。
図17は、炉況評価装置2の概略構成の一例を示す図である。
炉況評価装置2は、処理部25を処理部15の代わりに有することが炉況評価装置1と相違する。処理部25以外の炉況評価装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された炉況評価装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。処理部25は、クラスタリング判定部251及びクラスタリング修正部252を有することが処理部15と相違する。クラスタリング判定部251及びクラスタリング修正部252以外の処理部25の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された処理部15の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(変形例4に係る炉況評価装置による評価値決定処理)
図18は、炉況評価装置2により実行される変形例4に係る評価値決定処理のフローチャートである。図18に示す評価値決定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部25により炉況評価装置2の各要素と協働して実行される。
まず、データセット取得部151は、S101の処理と同様に、複数のデータセットを取得する(S501)。次いで、クラスタリング部152は、S102の処理と同様に、S501の処理で取得した複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングする(S502)。
次いで、クラスタリング部152は、それぞれが複数の操業パターンの何れかに関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを複数の操業パターンの何れか1つに分類する(S503)。テスト用のデータセットは、例えば100組〜1000組程度の数を有し、オペレータ(例えば熟練工)により複数の操業パターンの何れか1つに関連付けられている。
次いで、クラスタリング判定部251は、データセットが、所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する(S504)。クラスタリング判定部251は、S503の処理で分類された操業パターンと、オペレータによって関連付けられた操業パターンの一致度に応じて、データセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する。
クラスタリング判定部251は、例えばS503の処理で操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータセットの数と、オペレータによって操業パターンのそれぞれに関連付けられたテストデータセットの数との一致度を判定する。クラスタリング判定部251は、例えば平均二乗誤差平方根(Root mean squared error、RMSE)を使用して炉況評価装置2とオペレータとによる分類の2つの方法で操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータの数の一致度を判定してもよい。クラスタリング判定部251は、2つの方法で操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータの数の間のRMSEが所定の許容しきい値以下であるか否かに応じてテストデータの数の一致度を判定してもよい。クラスタリング判定部251は、2つの方法で操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータの数の間のRMSEが所定の許容しきい値超であると判定したとき、所望の操業パターンにクラスタリングされていないと判定する(S504−NO)。クラスタリング判定部251は、2つの方法で操業パターンのそれぞれに分類されたテストデータの数の間のRMSEが所定の許容しきい値以下であると判定したとき、所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定する(S504−YES)。
所望の操業パターンにクラスタリングされていないと判定される(S504−NO)と、クラスタリング修正部252は、クラスタリング部152がクラスタリングを実行するときの設定であるクラスタリング設定を変更する(S505)。
S505の処理で変更されるクラスタリング設定は、クラスタリング部152がクラスタリングするときの手法であるクラスタリング手法及びクラスタリング部152がクラスタリングするときの条件であるクラスタリング条件の少なくとも一方を含む。
クラスタリング設定に含まれるクラスタリング手法は、k−means法、最近傍法(Nearest Neighbor Algorithm、NN法)、k近傍法(K Nearest Neighbor Algorithm、K−NN法)等の公知のクラスタリングアルゴリズムを含む。また、クラスタリング設定に含まれるクラスタリング条件は、例えばk−means法ではクラスタリングするクラスタの数及び操業変数の数である。
すなわち、S505の処理で変更されるクラスタリング設定は、データセットに含まれる操業変数の種類及び数の少なくとも1つを含んでもよい。さらに、S505の処理で変更されるクラスタリング設定は、クラスタリングされる操業パターンの数を含んでもよい。
次いで、クラスタリング部152は、S505の処理で変更されたクラスタリング設定により複数のデータセットを再度クラスタリングする(S502)。以降、複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定される(S504−YES)まで、S502〜S505の処理が繰り返される。
S502〜S505の処理が繰り返される間、クラスタリング修正部252は、クラスタリング設定を順次変更する。クラスタリング修正部252は、例えばクラスタリング手法及びクラスタリング条件並びに操業変数の種類及び数を順次変更し、クラスタリング手法等の変更回数が所定の回数に達したときに、操業パターンの数を変更してもよい。また、操業パターンの数の変更が所定の上限回数に達したときに、S502〜S505の処理を終了してもよい。なお、S505の処理は、クラスタリング修正部252によって実行されるのではなく、オペレータによって実行されてもよい。
クラスタリング判定部251によって所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定される(S504−YES)と、処理はS506に進む。S506〜S508の処理は、S103〜S105の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(変形例4に係る炉況評価装置の作用効果)
炉況評価装置2は、パターン評価値を決定するときに、所望の操業パターンにデータセットをクラスタリングされたか否かを判定することで、少なくとも意図しないクラスタリングがなされることを防止できる。さらには、熟練工が所望するデータセットにデータセットをクラスタリングすることが可能になる。
図19は、変形例4に係る炉況評価装置2について分類結果の評価の一例を示す図である。図19(a)はクラスタリング部152が5つの操業パターンにデータセットをクラスタリングする場合を示し、図19(b)はクラスタリング部152が7つの操業パターンにデータセットをクラスタリングする場合を示す。図19(a)及び19(b)において、横軸は操業パターンの番号を示し、縦軸は操業パターンのそれぞれにクラスタリングされたテストデータセットの数を示す。なおクラスタリング部152はk−means法によりテストデータセットをクラスタリングした。また、図19(a)及び19(b)において、黒色の棒グラフは炉況評価装置2により当該操業パターンに分類されたテストデータセットの数を示し、白抜きの棒グラフは熟練工により当該操業パターンに関連付けられたテストデータセットの数を示す。
図19(a)に示すが、5つの操業パターンにデータセットをクラスタリングする場合では、炉況評価装置2により分類されたテストデータセット数の熟練工により分類されたデータセット数に対するRMSEは6.0であった。一方、図19(b)に示すが、7つの操業パターンにデータセットをクラスタリングする場合では、炉況評価装置2により分類されたテストデータセット数の熟練工により分類されたデータセット数に対するRMSEは2.3であった。例えば、RMSEの許容しきい値が3.0である場合、クラスタリング判定部251は、RMSEが2.3である7つの操業パターンにデータセットをクラスタリングする場合に、所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定する。
(変形例5に係る炉況評価装置による評価値決定処理)
なお、所望の操業パターンに複数のデータセットがクラスタリングされたか否かを判定する処理は、図18に示す処理に限定されるものではない。
図20は、炉況評価装置2により実行される変形例5に係る評価値決定処理のフローチャートである。図20に示す評価値決定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部25により炉況評価装置2の各要素と協働して実行される。
S601〜S605の処理は、S101〜S105の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略される。
次いで、クラスタリング部152は、それぞれが高炉101の炉況の良否を示す順位に関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを、複数の操業パターンの何れか1つに分類する(S606)。テスト用のデータセットは、例えば10組〜100組程度の数を有し、熟練工により決定された高炉101の炉況の良否を示す順位に関連付けられている。
次いで、炉況値決定部156は、S203の処理と同様な処理を実行して、複数のテストデータセットのそれぞれの炉況値を決定する(S607)。
次いで、クラスタリング判定部251は、データセットが、所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する(S608)。クラスタリング判定部251は、複数のテストデータセットのそれぞれに関連づけられた順位と、複数のテストデータセットの炉況値の順番と、の一致度に応じて、複数のデータセットのそれぞれが、所望の操業パターンに分類されたか否かを判定する。
複数のテストデータセットのそれぞれに関連づけられた順位と、複数のテストデータセットの炉況値の順番と、の一致度の判定基準は、適宜設定可能である。例えば、10個のテストデータセットを使用する場合、クラスタリング判定部251は、炉況値の最上位群2つ(1位と2位)及び最下位群の2つ(9位と10位)の計4つが複数のテストデータセットに関連づけられた最上位群及び最下位群に一致したときに、所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定してもよい。
所望の操業パターンにクラスタリングされていないと判定される(S608−NO)と、クラスタリング修正部252は、クラスタリング部152がクラスタリングを実行するときの設定であるクラスタリング設定を変更する(S609)。S609の処理は、S505の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
クラスタリング判定部251によって所望の操業パターンにクラスタリングされたと判定される(S608−YES)と、処理は終了する。
(変形例5に係る炉況評価処理の作用効果)
一般に、テストデータセットのクラスタリング作業は、テストデータセットの順位付け作業よりも判断が難しく、オペレータの作業負荷が大きい。変形例5に係る炉況評価処理では、オペレータは、テストデータセットをクラスタリングすることなく、テストデータセットを順位付けするだけで所望のクラスタリングを実現し得るので、変形例5に係る炉況評価処理は、オペレータの負荷を低減できる。
また、変形例5に係る炉況評価処理は、変形例4に係る炉況評価処理よりもテストデータセットの数を低減できるので、炉況評価処理の処理効率を変形例4に係る炉況評価処理よりも向上させることができる。
(変形例6)
また、炉況評価装置1は、評価値決定処理及び炉況判定処理の双方を実行するが、実施形態に係る評価値決定装置が評価値決定処理を実行し、実施形態に係る炉況判定装置が炉況判定処理を実行してもよく、評価値決定装置及び炉況判定装置を有する炉況評価装置も、本発明の範囲に含まれる。
図21は、変形例6に係る炉況評価システム200の概略構成の一例を示す図である。
炉況評価システム200は、評価値決定装置3及び炉況判定装置4を炉況評価装置1の代わりに有することが炉況評価システム100と相違する。高炉101及び各種センサ102は、図1及び2を参照して既に説明しているので、ここでは詳細な説明は省略する。
(変形例6に係る評価値決定装置の構成及び機能)
図22は、評価値決定装置3の概略構成の一例を示す図である。
評価値決定装置3は、処理部35を処理部15の代わりに有することが炉況評価装置1と相違する。処理部35以外の評価値決定装置3の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された炉況評価装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。処理部35は、対象データセット取得部155、炉況値決定部156、炉況判定部157及び炉況情報出力部158を有さないことが処理部15と相違する。また、処理部35は、評価値出力部351を有することが処理部15と相違する。評価値出力部351以外の処理部35の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された処理部15の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(変形例6に係る評価値決定装置による評価値決定処理)
図23は、評価値決定装置3により実行される評価値決定処理のフローチャートである。図23に示す評価値決定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部35により評価値決定装置3の各要素と協働して実行される。
S701〜S704の処理は、S101〜S104の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
S704の処理が終了すると、評価値出力部351は、個別評価値を示す評価値情報を評価平均値及び操業パターンと関連付けて出力する(S705)。評価値出力部351により出力された評価値情報は、通信部11によって炉況判定装置4に送信される。
(変形例6に係る炉況判定装置の構成及び機能)
図24は、炉況判定装置4の概略構成の一例を示す図である。
炉況判定装置4は、処理部45を処理部15の代わりに有することが炉況評価装置1と相違する。処理部45以外の炉況判定装置4の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された炉況評価装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。処理部45は、データセット取得部151、代表値決定部153及び評価値決定部154を有さないことが処理部15と相違する。データセット取得部151、代表値決定部153及び評価値決定部154を有さないこと以外の処理部45の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された処理部15の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
クラスタリング部152、対象データセット取得部155、炉況値決定部156、炉況判定部157及び炉況情報出力部158は、図10に示す炉況判定処理と同様の処理を実行する。
なお、変形例に係る評価値決定装置は、図18及び20に示す評価値決定処理と同様の処理を実行してもよい。また、変形例に係る炉況判定装置は、図12及び15に示す炉況判定処理と同様の処理を実行してもよい。
(変形例7に係る炉況判定処理)
また、変形例に係る炉況評価装置、及び炉況判定装置は、2つ以上の判定基準に基づいて炉況判定処理を実行してもよい。
図25は、変形例7に係る炉況判定処理のフローチャートである。図25に示す炉況判定処理は、予め記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部15により炉況評価装置1の各要素と協働して実行される。
S801〜S805の処理は、S201〜S205の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
炉況判定部157は、過去炉況値からの炉況値の減少量が減少しきい値超であると判定した(S804−NO)とき、S803の処理で決定された炉況値が炉況しきい値以上であるか否かを判定する(S806)。炉況判定部157は、炉況値が炉況しきい値以上であると判定した(S806−YES)ときに、高炉の炉況が異常になる可能性がある危険な状態であることを示す炉況情報を記憶する(S807)。一方、炉況判定部157は、炉況値が炉況しきい値未満であると判定した(S806−NO)とき、高炉の炉況が異常であることを示す炉況情報を記憶する(S808)。そして、炉況情報出力部158は、炉況情報を出力する(S809)。
図26は、変形例7に係る炉況判定処理において、炉況情報が入力された表示部14に表示される画像の一例を示す図である。図26に示す例では、炉況値の良否は、過去炉況値からの炉況値の減少率に基づいて判定されており、減少しきい値は20%である。また、図26に示す例では、炉況が危険であるか又は異常であるかの判断は、炉況値の大きさに基づいて判定されており、炉況しきい値は2.00である。
図26に示す画像は、対象データセットを取得した時刻、過去炉況値に対応する「直前時刻の炉況値」、炉況値に対応する「現在時刻の炉況値」、炉況値から過去炉況値を減算した「差分」及び「差分」の「直前時刻の炉況値」に対するの「比率(%)」を含む。また、図26に示す画像は、対象データセットが正常であるか又は異常であるかを示す「炉況判定結果」を更に含む。
図26に示す画像では、炉況値の減少率が20%を上回り且つ炉況値が2.00を上回る時刻t2〜t3に取得した対象データセットに対応する炉況が危険であると判定される。また、炉況値の減少率が20%を上回り且つ炉況値が2.00を下回る時刻t4に取得した対象データセットに対応する炉況が異常であると判定される。なお、時刻t2〜t4以外に取得した対象データセットに対応する炉況は正常であると判定される。
(変形例8)
炉況評価装置1は、現在時刻における高炉の操業状況を評価したが、将来の所定時刻における高炉の操業状況を予測してもよい。高炉の操業状況の予測は、例えば、現在時刻におけるデータセットに類似する過去時刻におけるデータセットを特定し、特定したデータセットから所定時刻経過後におけるデータセットを特定することにより行うことができる。また例えば、いわゆる高炉数学モデル等のシミュレーションにより所定の操業条件での操業変数を算出して将来の所定時刻のデータセットを取得し、当該データセットについて炉況を判定してもよい。
(変形例9)
また、炉況評価装置1は、図3に示される各部を備えるとしたが、その一部については、不図示のサーバ装置が備えてもよい。サーバ装置は、例えば、炉況評価装置1の記憶部12に相当する記憶部を備え、この記憶部に記憶されているプログラム、データ等を炉況評価装置1に送信し、炉況評価装置1に処理を実行させてもよい。あるいは、サーバ装置は、炉況評価装置1の記憶部12及び処理部15に相当する記憶部及び処理部を備え、この記憶部に記憶されているプログラム、データ等を用いて処理を実行し、その結果のみを炉況評価装置1に提供してもよい。
(変形例10)
また、炉況評価装置1は、炉況判定部157及び炉況情報出力部158を有するが、実施形態に係る炉況評価装置は、クラスタリング部152〜炉況値決定部156と同一又は対応する構成する構成を有していればよい。実施形態に係る炉況評価装置は、クラスタリング部152〜炉況値決定部156と同一又は対応する構成する構成を有することで、新たに取得されたデータセットである対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を決定する。
また、処理部15が備える各機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
なお、別の見方をすると、本発明に係る炉況評価装置は、以下の態様となる。
(態様1)
過去に高炉の操業状況を表す複数の操業変数の組として取得された複数のデータセットを分類して得られる複数の操業パターンと、複数の操業パターンのそれぞれに属するデータセットから算出された複数の操業パターンのそれぞれの評価値とを対応させて記憶する記憶部と、
第1の時刻に高炉から取得されるデータセットに基づいて特定される第1の操業パターンの評価値に基づいて算出される第1の時刻における操業状況の評価値と、第1の時刻より前の第2の時刻における記憶部に記憶される第2の操業パターンの評価値に基づいて算出される第2の時刻における操業状況の評価値とを比較して第1の時刻における操業状況を評価する炉況評価部と、
炉況評価部による評価結果を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする炉況評価装置。
(態様2)
過去に高炉から取得された複数のデータセットを複数のクラスタに分類し、分類された複数のクラスタの各々について、当該クラスタに属する複数のデータセットの重心を算出して操業パターンとすると共に、当該クラスタに属する複数のデータセットに基づく点数を算出して操業パターンの評価値とする操業パターン作成部をさらに備える、(態様1)に記載の炉況評価装置。
(態様3)
操業パターン作成部は、分類された複数のクラスタの各々について、当該クラスタに属する複数のデータセットについて操業変数毎に当該操業変数の平均値を算出し、算出された平均値に基づいて当該操業変数の点数を算出し、操業変数毎に算出された点数の平均値を算出して操業パターンの評価値とする、(態様2)に記載の炉況評価装置。
(態様4)
操業パターン作成部は、複数のクラスタ全体について、操業変数毎に、対応する点数化規則に従って、算出された平均値を点数化することにより、当該操業変数の点数を算出する、(態様3)に記載の炉況評価装置。
(態様5)
点数化規則は、対応する操業変数の特性に応じて規定される、(態様4)に記載の炉況評価装置。
(態様6)
炉況評価部は、第1の時刻における操業状況の評価値が第2の時刻における操業状況の評価値を下回り且つその差分が第1のしきい値を上回った場合に、第1の時刻における操業状況は第1の状況にあると評価する、(態様1)〜(態様5)のいずれか一つに記載の炉況評価装置。
(態様7)
炉況評価部は、第1の時刻における操業状況の評価値が第2のしきい値を下回った場合に、第1の時刻における操業状況は第1の状況よりも悪い第2の状況にあると評価する、(態様6)に記載の炉況評価装置。
(態様8)
過去に高炉の操業状況を表す複数の操業変数の組として取得された複数のデータセットを分類して得られる複数の操業パターンと、複数の操業パターンのそれぞれに属するデータセットから算出された複数の操業パターンのそれぞれの評価値とを対応させて記憶する記憶部を備える炉況評価装置の制御方法であって、炉況評価装置が、
第1の時刻に高炉から取得されるデータセットに基づいて第1の操業パターンを特定し、
特定された第1の操業パターンの評価値に基づいて第1の時刻における操業状況の評価値を算出し、
第1の時刻より前の第2の時刻における記憶部に記憶される第2の操業パターンの評価値に基づいて第2の時刻における操業状況の評価値を算出し、
算出された第1の時刻における操業状況の評価値と、算出された第2の時刻における操業状況の評価値とを比較して第1の時刻における操業状況を評価し、
評価結果を表示する、
ことを特徴とする制御方法。
(態様9)
過去に高炉の操業状況を表す複数の操業変数の組として取得された複数のデータセットを分類して得られる複数の操業パターンと、複数の操業パターンのそれぞれに属するデータセットから算出された複数の操業パターンのそれぞれの評価値とを対応させて記憶する記憶部を備え炉況評価装置の制御プログラムであって、炉況評価装置に、
第1の時刻に高炉から取得されるデータセットに基づいて第1の操業パターンを特定し、
特定された第1の操業パターンの評価値に基づいて第1の時刻における操業状況の評価値を算出し、
第1の時刻より前の第2の時刻における記憶部に記憶される第2の操業パターンの評価値に基づいて第2の時刻における操業状況の評価値を算出し、
算出された第1の時刻における操業状況の評価値と、算出された第2の時刻における操業状況の評価値とを比較して第1の時刻における操業状況を評価し、
評価結果を表示する、
ことを実行させることを特徴とする制御プログラム。
1、2 炉況評価装置
3 評価値決定装置
4 炉況判定装置
100、200 炉況評価システム
101 高炉
102 センサ
151 データセット取得部
152 クラスタリング部
153 代表値決定部
154 評価値決定部
155 対象データセット取得部
156 炉況値決定部
157 炉況判定部
158 炉況情報出力部
251 クラスタリング判定部
252 クラスタリング修正部

Claims (23)

  1. ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング部と、
    前記異なる操業変数のそれぞれについて、前記操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定部と、
    前記個別代表値に基づいて、前記複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を前記操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて前記操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定部と、
    新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数と前記パターン評価値との相関関係に基づいて前記対象データセットに対応する前記高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定部と、
    を備えることを特徴とする炉況評価装置。
  2. 前記評価値決定部は、前記パターン評価値として前記個別評価値の平均値である評価平均値を前記操業パターン毎に算出する、請求項1に記載の炉況評価装置。
  3. 前記クラスタリング部は、前記対象データセットを前記複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
    前記炉況値決定部は、前記対象データセットが分類された操業パターンのパターン評価値である前記評価平均値を前記炉況値に決定する、請求項2に記載の炉況評価装置。
  4. 前記炉況値決定部は、前記各操業パターンのパターン評価値である各評価平均値、及び、前記各操業パターンのクラスタ重心位置と前記対象データセットとのユークリッド距離を用いて、前記炉況値を決定する、請求項2に記載の炉況評価装置。
  5. 前記炉況値決定部は、前記対象データセットに含まれる複数の操業変数のそれぞれと、前記各操業パターンの対応する個別代表値との間の相関関係に応じて、前記対象データセットに含まれる操業変数のそれぞれに対応する変数評価値を算出し、前記変数評価値の平均値を前記炉況値に決定する、請求項1に記載の炉況評価装置。
  6. 前記炉況値に基づいて前記高炉の炉況を判定し、判定された前記高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定部と、
    前記炉況情報を出力する炉況情報出力部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の炉況評価装置。
  7. 前記炉況判定部は、
    前記炉況値と、前記対象データセットより前の時刻に取得された過去データセットに対応する炉況値である過去炉況値とを比較し、
    前記過去炉況値からの前記炉況値の減少量が減少しきい値以下であると判定したときに、前記高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶し、
    前記過去炉況値からの前記炉況値の減少量が前記減少しきい値超であると判定したときに、前記高炉の炉況が正常ではないことを示す炉況情報を記憶する、請求項6に記載の炉況評価装置。
  8. 前記炉況判定部は、
    前記過去炉況値からの前記炉況値の減少量が前記減少しきい値超であり、且つ、前記炉況値が炉況しきい値以上であると判定したときに、前記高炉の炉況が異常になる可能性があることを示す炉況情報を記憶し、
    前記過去炉況値からの前記炉況値の減少量が前記減少しきい値超であり、且つ、前記炉況値が炉況しきい値未満であると判定したときに、前記高炉の炉況が異常であることを示す炉況情報を記憶する、請求項7に記載の炉況評価装置。
  9. 前記炉況判定部は、
    前記炉況値が炉況しきい値以上であるか否かを判定し、
    前記炉況値が炉況しきい値以上であると判定したときに、前記高炉の炉況が正常であることを示す炉況情報を記憶し、
    前記炉況値が前記炉況しきい値未満であると判定したときに、前記高炉の炉況が異常であることを示す炉況情報を記憶する、請求項6に記載の炉況評価装置。
  10. 前記評価値決定部は、前記操業変数毎に規定された点数化規則に基づいて、前記個別評価値を決定する、請求項1〜9の何れか一項に記載の炉況評価装置。
  11. 前記複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定するクラスタリング判定部を更に有する、請求項1〜10の何れか一項に記載の炉況評価装置。
  12. 前記クラスタリング部は、それぞれが前記複数の操業パターンの何れかに関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを前記複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
    前記クラスタリング判定部は、前記複数のテストデータセットが分類された操業パターンと、前記テストデータセットが関連付けられた操業パターンと、の一致度に応じて、前記複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、請求項11に記載の炉況評価装置。
  13. 前記クラスタリング判定部は、前記複数の操業パターンのそれぞれに分類された前記テストデータセットの数と、前記複数の操業パターンのそれぞれに関連付けられた前記テストデータセットの数の一致度に応じて、前記複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、請求項12に記載の炉況評価装置。
  14. 前記クラスタリング部は、それぞれが前記高炉の炉況の良否を示す順位に関連付けられたテスト用のデータセットである複数のテストデータセットのそれぞれを前記複数の操業パターンの何れか1つに分類し、
    前記炉況値決定部は、前記複数のテストデータセットのそれぞれの炉況値を決定し、
    前記クラスタリング判定部は、前記複数のテストデータセットのそれぞれに関連づけられた順位と、前記複数のテストデータセットの前記炉況値の順番の一致度に応じて、前記複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされたか否かを判定する、請求項11に記載の炉況評価装置。
  15. 前記複数のデータセットが所望の操業パターンにクラスタリングされていないと判定されたときに、前記クラスタリング部がクラスタリングを実行するときの設定であるクラスタリング設定を変更するクラスタリング修正部を更に有し、
    前記クラスタリング部は、変更されたクラスタリング設定により前記複数のデータセットを再度クラスタリングする、請求項11〜14の何れか一項に記載の炉況評価装置。
  16. 前記クラスタリング設定は、前記クラスタリング部がクラスタリングするときの手法であるクラスタリング手法及び前記クラスタリング部がクラスタリングするときの条件であるクラスタリング条件の少なくとも一方を含む、請求項15に記載の炉況評価装置。
  17. 前記クラスタリング設定は、前記複数のデータセットに含まれる操業変数の種類及び数の少なくとも一方を含む、請求項15又は16に記載の炉況評価装置。
  18. 前記クラスタリング設定は、前記クラスタリング部によってクラスタリングされる操業パターンの数を含む、請求項15〜17の何れか一項に記載の炉況評価装置。
  19. ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
    前記異なる操業変数のそれぞれについて、前記操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
    前記個別代表値に基づいて、前記複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を前記操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて前記操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
    新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数と前記パターン評価値との相関関係に基づいて前記対象データセットに対応する前記高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定工程と、
    を備えることを特徴とする炉況評価方法。
  20. 前記炉況値に基づいて前記高炉の炉況を判定し、判定された前記高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定工程と、
    前記炉況情報を出力する炉況情報出力工程と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の炉況評価方法。
  21. ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
    前記異なる操業変数のそれぞれについて、前記操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
    前記個別代表値に基づいて、前記複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を前記操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて前記操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
    新たに取得されたデータセットである対象データセットに含まれる複数の操業変数と前記パターン評価値との相関関係に基づいて前記対象データセットに対応する前記高炉の炉況を示す炉況値を決定する炉況値決定工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする炉況評価プログラム。
  22. 前記炉況値に基づいて前記高炉の炉況を判定し、判定された前記高炉の炉況を示す炉況情報として記憶する炉況判定工程と、
    前記炉況情報を出力する炉況情報出力工程と、
    をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項21に記載の炉況評価プログラム。
  23. 新たに取得されたデータセットである対象データセットに対応する高炉の炉況を示す炉況値を、前記対象データセットに含まれる複数の操業変数と、予め用意された複数の操業パターンのパターン評価値と、の相関関係に基づいて決定するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルの生成方法であって、
    ある時刻の高炉の操業状況を示す異なる操業変数の組であるデータセットが、異なる時刻について取得されており、当該複数のデータセットを複数の操業パターンにクラスタリングするクラスタリング工程と、
    前記異なる操業変数のそれぞれについて、前記操業パターン毎に個別代表値を決定する代表値決定工程と、
    前記個別代表値に基づいて、前記複数の操業変数のそれぞれの個別評価値を前記操業パターン毎に決定し、個別評価値または個別評価値を用いて前記操業パターン毎に算出される値をパターン評価値として決定する評価値決定工程と、
    を備えることを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
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