JP4541842B2 - 自己接着性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents
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(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 全組成物中のアルケニル基1モル当たり、本(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.5〜10.0モルとなる量、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒 有効量、および
(D)エポキシ基を有するイソシアヌル酸エステル 0.01〜10質量部
を含有してなる自己接着性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは本発明の組成物のベースポリマーであり、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有する。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分と反応し、架橋剤として作用する。(B)成分の分子構造に特に制限はなく、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状構造(樹脂状)等の、従来製造されている各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
R3 aHbSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、R3は、脂肪族不飽和基を除く、非置換または置換の、炭素原子数が好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10の、ケイ素原子に結合した一価炭化水素基であり、aおよびbは、好ましくは 0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0、より好ましくは、0.9≦a≦2.0、0.01≦b≦1.0、かつ1.0≦a+b≦2.5を満足する正数である)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。
(C)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、(A)成分中のアルケニル基と、(B)成分中のSiH基との付加反応を促進するものであれば、いかなる触媒を使用してもよい。例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサンもしくはアセチレン化合物との配位化合物等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒が(C)成分として使用されるが、特に好ましくは白金系触媒である。
(D)成分は、エポキシ基を有するイソシアヌル酸エステルであり、本発明組成物に自己接着性を付与する。(D)成分としては、例えば、下記一般式(1):
(式中、R4は独立にエポキシ基含有基を表し、R5は独立に水素原子、またはエポキシ基を含有しない基を表し、xは1〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表し、ただし、x+yは3である。)
で表されるイソシアヌレート化合物が挙げられる。
本組成物において、上記の(A)〜(D)成分に加えて任意の成分として、付加反応触媒に対して硬化抑制効果を有するとされている従来公知のすべての制御剤化含物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物、トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物、硫黄含有化合物、1-エチニル-1-ヘキサノールなどのアセチレン系化合物、トリアリルイソシアヌル酸、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体などが挙げられる。制御剤化合物による硬化遅延効果の度合は、制御剤化合物の化学構造によって大きく異なる。従って、制御剤化合物の添加量は、使用する制御剤化合物の個々について最適な量に調整すべきであるが、そのような調整は当業者に周知の方法によって容易に行うことができる。一般には、該添加量が少なすぎると室温において本発明組成物の長期貯蔵安定性が得られず、逆に該添加量が多すぎると該組成物の硬化が阻害される。
本発明の自己接着可能性オルガノポリシロキサン組成物は、比較的低温で硬化し、プライマーを使用しなくても金属、プラスチックなどの基材に強固に接着する硬化物を形成することができる。従って、該組成物は、シーリング材、ポッティング材、コーティング材などとして、例えば、エアーバック等に用いられる樹脂繊維紡織布用または一般の樹脂フィルム用のコーティング材またはシーリング材として使用することができる。
(A)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、粘度が 10Pa・sのジメチルポリシロキサン 100部、(B)粘度が5mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基の含有量=1.45質量%) 2.0部((B)成分中のSiH基/(A)成分中のビニル基(モル比)=5.3)、(C)塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体 (A)および(B)成分の合計量に対して、白金金属元素に換算して質量基準で30 ppm、(D)接着性付与剤(a) 0.3部、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール 0.15部(硬化遅延剤として添加)、ならびにヘキサメチルジシラザンで処理された比表面積 120m2/gのシリカ 15部(疎水性シリカとして添加)を混合して組成物Aを調製した。なお、実際に上記(D)成分を添加する際には、接着性付与剤(a)と、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、粘度が100 Pa・sのジメチルポリシロキサンとを等質量混合した後、3本ロールミルにて均一に分散させることにより調製したペースト状態の混合物0.6部を該組成物中に分散させた。
実施例1において(D)成分の接着性付与剤(a)を接着性付与剤(b)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして組成物Bを調製した。
実施例1において、(D)成分の接着性付与剤(a)を接着性付与剤(c)に置き換え、かつ、実際に(D)成分を添加する際には、接着性付与剤(c)を等質量のメタノールに均一に溶解させることにより調製したメタノール溶液0.6部を組成物中に分散させた以外は、実施例1と同様にして組成物Cを調製した。
実施例1において、(D)成分の接着性付与剤(a)を下記の構造式で表される化合物(i):
実施例1において、(D)成分の接着性付与剤(a)をγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランに置き換えた以外は、実施例1と同様にして組成物Eを調製した。
これらの組成物A、B、C、D、Eをアルミニウム板、Nylon66板およびSPS(シンジオタクチックポリスチレン)板のそれぞれ2枚の間に2mm厚になるように流し込しこみ、120℃にて1時間加熱処理して硬化させた。室温に戻して、JIS K 6850に規定する接着剤の引張り剪断接着強度試験方法に準じ、ショッパー型引張り試験機を用い、引張り速度50mm/分の条件で剪断接着力試験を行った。凝集破壊率は、剪断接着力試験を行ったサンプルの破壊状態を目視にて観察することにより測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すとおり、どの被着体についても、実施例の硬化物は比較例の硬化物よりも高い剪断接着力および凝集破壊率を示した。このことから、実施例の組成物は、プライマーを使用しなくても金属基材およびプラスチック基材に強固に接着する硬化物を形成することができることが分かる。
(A)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、粘度が約30Pa・sであるジメチルポリシロキサン 60部、同じく分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、粘度が約5Pa・sであるジメチルポリシロキサン 20部、およびVi(Me)2SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるビニル基含有メチルポリシロキサンレジン(ビニル基含有量:2.3質量%) 20部、(B)粘度が5mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基の含有量=1.45質量%) 3.1部((B)成分中のSiH基/(A)成分中のビニル基(モル比)=2.3)、(C)塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体 (A)および(B)成分の合計量に対して、白金金属元素に換算して質量基準で30 ppm、(D)接着性付与剤(b) 0.3部、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール 0.10部(硬化遅延剤として添加)、ならびにベンガラ 0.5部(コーティング状態を目視で確認できるようにするために添加)を均一に混合して組成物Fを調製した。なお、実際に上記(D)成分を添加する際には、接着性付与剤(b)と、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、粘度が100 Pa・sのジメチルポリシロキサンとを等質量混合した後、3本ロールミルにて均一に分散させることにより調製したペースト状態の混合物0.6部を該組成物中に分散させた。
実施例4において、(D)成分の接着性付与剤(b)を下記の構造式で表される化合物(ii):
実施例4において、(D)成分の接着性付与剤(b)を下記の構造式で表される化合物(iii):
これらの組成物F、G、HをNylon66繊維紡織布(420デニール)上にナイフコーターにより、平均コート量が約30g/m2になるよう、均一にコーティングし、オーブンにて170℃で1分間加熱することにより硬化させた。次にこのコート済み紡織布を幅30mm、長さ150mmの短冊形状に切断し、コート面同士を張り合わせて試験片を作製した。この試験片をスコット式揉み試験機にかけ、コート面の揉み耐久評価を行った。具体的には、該評価は、押し圧力1kgf/cm2で500回、1000回、1500回の揉み試験を行った後、コート面のシリコーンゴムの紡織布表面からの剥離状況を目視観測することにより行った。その結果を表2に示す。
表2に示すとおり、実施例の硬化物は比較例の硬化物よりも揉みに対してより高い耐久性を示した。このことから、実施例の組成物は、樹脂繊維紡織布にも強固に接着する硬化物を形成することができることが分かる。
Claims (3)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 全組成物中のアルケニル基1モル当たり、本(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.5〜10.0モルとなる量、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒 (A)および(B)成分の合計量に対して、触媒金属元素に換算して質量基準で0.1〜1,000 ppm、および
(D)エポキシ基を有するイソシアヌル酸エステル 0.01〜10質量部
を含有してなる自己接着性オルガノポリシロキサン組成物(但し、少なくとも以下の構成成分を含むことを特徴とする熱硬化型定型シリコーン接着剤を除く:(A)一分子中に平均2個を超える数のケイ素原子に結合したビニル基を有する、実質的に直鎖状で、25℃における粘度が1,000,000mPa・s以上であるポリオルガノシロキサン 100質量部、(B)1分子中に平均2個を超える数のケイ素原子に結合した水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン 1〜30質量部、(C)白金触媒 (A)〜(F)全量に対して0.1〜1,000ppm、(D)接着成分として、以下から選択される1種以上の化合物 0.1〜20質量部、(D−1)少なくとも1個のヒドロシリル基と少なくとも1個のジ及び/又はトリアルコキシシリル基とを含有する化合物、(D−2)少なくとも1個のヒドロシリル基と少なくとも1個のグリシジル基とを含有する化合物、(D−3)少なくとも1個のアルケニル基と少なくとも1個のグリシジル基とを含有する化合物、(D−4)アルケニルトリアルコキシシラン及び(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシランを除く、少なくとも1個のアルケニル基と少なくとも1個のジ及び/又はトリアルコキシシリル基とを含有する化合物、(D−5)グリシジルプロピルトリアルコキシシランを除く、少なくとも1個のグリシジル基と少なくとも1個のアルケニル基と少なくとも1個のジ及び/又はトリアルコキシシリル基とを含有する化合物、(E)SiO 2 及び/又はRSiO 3/2 単位を有し、トルエンに可溶なシリコーンレジン 0〜50質量部、(F)BET比表面積が50m 2 /g以上のシリカ粉末 0〜50質量部)。 - (D)成分がアルケニル基を有することを特徴とする請求項1に記載の自己接着性オルガノポリシロキサン組成物。
- (D)成分の融点が23℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の自己接着性オルガノポリシロキサン組成物。
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