JP4541084B2 - 眼科用検査装置 - Google Patents
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Description
図1に眼の断面構造を示す。10が眼球の前面にある透明な膜である角膜、12が水晶体の前方に位置し、入力する光の量を調整することを主な働きとする虹彩、14が水晶体、16がゼリー状の透明な組織からなる硝子体である。水晶体14はチン小帯を介して毛様体17に吊されるようにして支持されている。
角膜10と水晶体14、虹彩12によって囲まれる領域を前房18といい、虹彩12と硝子体16とで囲まれた部分を後房という。前房18と後房19は透明な房水によって満たされている。房水は酸素や栄養分を眼内の各組織に運び、眼内各組織の老廃物を眼外に運ぶ作用をなすものであり、毛様体17でつくりだされ、後房19から前房18に向けて循環した後、角膜10と虹彩12によって挟まれた角の部分(図のA部分:隅角という)から静脈中に排出される。
この開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障のうち、開放隅角緑内障は隅角部分の形状は健常者と非常に類似しているため隅角所見から診断することは難しいが、閉塞隅角緑内障については隅角や前房の深さを調べ、その間隔が狭くなっている場合には、閉塞隅角緑内障が発症する可能性があるとして治療を施すことによって緑内障の発症を未然に防止することが可能である。
すなわち、被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系とを備えた測定部と、該測定部をX−Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、前記測定部の上方に配置された操作パネルと、前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備えていることを特徴とする。
また、前記測定部は、前房深度測定において測定ポイントを増加させるための、縮瞳用の光源を備えていることにより瞳孔径が大きな被検者であっても縮瞳させることによって、より正確な検査を行うことができる。また、縮瞳時と通常瞳孔時における周辺前房の形態の相違を検知することによって、より正確に緑内障の発症危険性を検出することが可能になる。
また、被検眼の頂部にスリット光投射光学系のスリット光投射位置を合致させるためのアライメント機構として、前記測定部はアライメント光学系を備え、前記駆動装置はアライメント光の受光位置に基づいて測定部を位置合わせする位置合わせ機構を備えていることにより、被検眼と測定光学系とを位置合わせして高精度の検査を行うことができる。
また、前記データ解析部は、スリット光投射光学系を用いて角膜曲率半径を測定する手段を備えていることを特徴とする。
また、前記データ解析部は、前記撮影光学系によって取り込まれた角膜位置のデータに基づいて、測定データに対してZ方向の固視不良を補正する補正手段を備えていることを特徴とする。
また、前記データ解析部は、前記撮影光学系によって取り込まれた角膜厚および角膜曲率半径のデータに基づいて、角膜厚および角膜曲率半径のずれによる補正を測定データに施す補正手段を備えていることを特徴とする。これらの補正手段を備えることにより、被検眼が固視不良であったりした場合でも測定データを補正して正確な測定結果を得ることができる。
本発明に係る眼科用検査装置は、被検者の眼にスリット光を投射し、被検眼の角膜および虹彩の断面画像を撮影することによって前眼部の断面形状を、検査用のレンズ等を使用することなく離隔的に測定し、その測定結果に基づいて症状を診断するものである。
この前房深度Dの計測値は、被検者によって瞳孔から虹彩の周辺までの長さが異なるし、前房深度の深さも被検者によって比較的深い(広い)場合と浅い(狭い)場合があるといったように個人差があるが、これら前房深度についての健常者や発症者のデータを集積しておき、これらのデータと測定値とを統計的に比較することによって、たとえば閉塞隅角緑内障のおそれがあるか否かを診断することができる。
操作パネル50は前面に検査結果等を表示するモニター部53が設けられ、モニター部53の周縁部に操作ボタン54が配されている。この操作パネル50は、モニターアーム52により、測定部30の上方で水平方向に揺動可能に設けられ、本実施形態では、装置の前面側で左右に約45°の角度範囲(全回動角は90°)で揺動可能である。また、操作パネル50の後面には、小型のプリンタが設置され、計測結果をプリントして出力することが可能となっている。
なお、本実施形態では、瞳孔径が大きい被検者を検査する際に縮瞳させる操作を行うため、縮瞳用の光源を設けている。ケーシング32の前面にはこの縮瞳用の投射光を被検眼に投射するための透過窓も設けられている。
図4は、測定部30に設けられているスリット光投射光学系70a、70bと撮影光学系80と、アライメント光学系90a、90bと、縮瞳用の光源95を示す。
本実施形態においては、スリット光投射光学系を右眼用と左眼用とで独立させ、右眼と左眼の検査に応じて、右眼用のスリット光投射光学系70aと左眼用のスリット光投射光学系70bを使用するように構成している。スリット光投射光学系70a、70bは、スリット光を投射する光源としてのハロゲンランプ71、複数の光学レンズからなる光学系72a、72b、スリット73およびミラー74とを備える。これらのスリット光投射光学系70a、70bは被検眼の視軸に対して所定角度傾斜した方向(本実施形態では角度60°)からスリット光が投射されるように設定されている。
なお、83は固視灯の光源であり、84は光源83からの光を被検眼に向けて反射するミラーである。本実施形態では、撮影光学系の受光量をできるだけ阻害しないように、細幅に形成したミラー84を使用して固視灯を呈示するようにしている。
縮瞳用の光源95は、白色LEDを光源として使用し、測定部30の前部近傍に配置される。本実施形態の装置では、縮瞳用として白色LEDを4個配置している。
3軸制御の駆動装置は、底板をX−Y方向およびZ方向へ移動制御し、スリット光投射光学系70a、70bおよび撮影光学系80を含む測定光学系をX−Y方向およびZ方向に移動制御する。なお、X−Y方向とは鉛直面内での移動方向をいい、Z方向とは水平方向の移動方向をいう。本実施形態では、X方向(被検眼に対して左右方向に移動する方向)には右眼と左眼の検査用として100mm程度移動するように設定され、Y方向には±15mm、Z方向(被検眼に対して前後方向に移動する方向)には±15mm移動可能に設けられている。
図5にアライメント操作の原理図を示す。本実施形態の眼科用検査装置では、アライメント光学系90a、90bが左右対称位置に配置され、右側と左側のアライメント光学系90a、90bからアライメント光を被検眼に向けて投射し、角膜から反射されるアライメント光を検知することによってアライメントする。アライメント光には赤外線を使用している。
眼の角膜の後方で交差している状態で、この場合には、右から入射したアライメント光は右側に戻り、左から入射したアライメント光は左側に戻る。
一方、II図は、左右のアライメント光学系90a、90bからのアライメント光が被検
眼の角膜の前方で交差している状態で、この場合には、右から入射したアライメント光は左側に反射し、左側から入射したアライメント光は右側に反射する。
こうして、角膜からの反射光を検知することで、光学系が角膜の前方で交差しているか後方で交差しているかがわかるから、この検知結果に基づいて測定部30の前後方向の位置を調節することによって角膜の頂部に左右のスリット光投射光学系70a、70bの投射位置を合致させることができる。
こうして、左右のアライメント光学系90a、90bからアライメント光を被検眼に投射し、被検眼からの反射光を検知することにより、測定部30をX−Y方向およびZ方向に移動調節して、スリット光投射光学系70a、70bと撮影光学系80を被検眼の角膜の頂部にアライメントすることができる。
まず、被検者を検査装置の前に座らせ、顎受け61と額当て62により被検者の頭部が位置ずれしないようにした後、被検者に固視灯を注視するように促す。
本実施形態においては、ミラー84を使用して固視光源を呈示するようにしている。ミラー84を使用する場合は、撮影光学系80の光路を遮ることになるから、本実施形態では、光路を広く遮らないように、ミラー84を上下方向に細長い形状(1mm幅)にするとともに、ミラー84の上下中央部に固視用の黒点Bを設けている。図のA部分は、光源83の光(赤色)がミラー84によって反射される領域(視野角度10°)を示す。
ミラー84を使用する方法は、ミラー84のかわりにハーフミラーを使用する方法とくらべて、撮影光学系80による被検眼からの反射光の受光量が減じることを抑えることができ、測定精度を上げることが出来るという利点がある。
測定開始後に、最初に行われる操作は、オートアライメント・測定操作(ステップ100)である。
図11に、オートアライメント・測定操作の制御フローを示す。オートアライメント操作は、前述したように、被検眼と測定光学系とをX−Y方向について位置合わせし(ステップ101)、角膜頂点位置の検出(Z方向の位置合わせ)を行う(ステップ102)ことによってなされる。
図7は、被検眼に対してスリット光1が角膜の頂点位置からDだけ奥側に移動した状態を拡大して示す。同図でスリット光2は、測定光学系を被検眼の頂点位置から横方向に移動させた態でのスリット光である。
スリット光2を仮想的に延長し、z軸と交わるまでの延長線をa、そのz軸方向の長さをb、aのy軸方向の長さをh、aとz軸とのなす角をθとする。角膜頂点からスリット光2が眼に入射するまでのz軸方向の長さをzとする。
すなわち、b=h/tanθ、z=D−b=D−h/tanθ、c=R−z、
R2−h2=c2 →R2−h2=(R−z)2→R=(z2+h2)/2z
=((D−h/tanθ)2+h2)/2(D−h/tanθ)
なお、hの値は画像データを換算して求めるものである。
得られた角膜の曲率値が適切であるかを判断し(ステップ107)、角膜の曲率値が適切であると判断されたときに、前房深度を測定する操作に移行する(ステップ108)。角膜の曲率値が適切でないと判断された場合には、再度、被検眼と測定光学系との位置合わせ(アライメント)操作に戻って測定を行う。
本実施形態においては、スリット光投射光学系70a、70bは、瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向け、60°の投射角度を維持したまま前眼部を走査するように移動させてデータを取得する。スキャン移動に要する時間は0.5秒間程度である。短時間で検査することによって、固視の揺れや瞬きを防止して測定精度を上げることができる。
スリット光投射光学系70a、70bからは被検眼に対して斜め方向からスリット光を投射するから、被検眼が右眼か左眼かによってスリット光の投射方向を左方向と右方向に変え、瞳孔の中心側から耳側にスリット光を移動させて、鼻などでスリット光が遮られないようにして測定する。
図9は、実際の測定データの例を示すもので、測定光学系をスキャン移動して得られた画像データを示す。スキャン移動の際には瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向けて所定間隔で21枚の画像データが取得される。
角膜の後方で白く光っている部分が虹彩の像である。この虹彩の断面像から、角膜の後方に所定間隔をあけて虹彩があること、虹彩の周辺部に近づくにしたがって、角膜との間隔が狭くなってくることがわかる。
図12は、測定データを補正するフロー図を示す。測定データを補正する操作としては、まず、測定中に被検者の頭が動いたり、眼が固視されていなかったりしたことによって、誤った測定データが得られることがあることを補正する。このため、画像として取り込まれている固視灯の位置と理論的な固視灯の位置からのずれ(X−Y方向のずれに相当する)を検出し、その検出値に基づいて測定データを補正する(ステップ110)。これによってより正確な前房深度を得ることができる。
また、前房深度測定では、測定光学系をスキャン移動させながら一定間隔でデータを収集するから、角膜上皮の位置は変化量がほぼ一定の状態で移動していく。しかしながら、角膜から強膜に移る位置までくると、その変化量が変わる(やや、膨らみ状となる)。ステップ112では、この角膜上皮の位置の変化量から角膜の輪部を決定し、ステップ113、114で、角膜厚と角膜曲率半径から前房深度の測定データに補正を加える。
縮瞳させる操作は、測定部30に設けられた白色LEDの光源95を点灯することによって行う。白色LED光源を点灯することで、強制的に縮瞳され、前房深度の測定ポイント数を増やして測定することができる。
右眼の測定終了後、両眼の測定が終了しているか判断し(ステップ120)、左眼の測定が終了していない場合は左眼の測定位置へ測定光学系を移動させ(ステップ121)、左眼について上述したと同様の方法によって測定する。こうして、両眼について測定することができる。
また、測定操作は、操作パネル50の操作ボタンを押すだけで完全自動化されていること、操作パネル50が被検者側に向けて配置されていることから、被検者が自分で操作パネル50を操作して、測定者がついていなくても検査することが可能である。
12 虹彩
18 前房
19 後房
20 眼科用検査装置
30 測定部
40 架台部
50 操作パネル
52 モニターアーム
53 モニター部
54 操作ボタン
70a、70b スリット光投射光学系
80 撮影光学系
81 顕微鏡光学系
82 CCDカメラ
90a、90b アライメント光学系
Claims (9)
- 被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、
被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系とを備えた測定部と、
該測定部をX−Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、
前記測定部の上方に配置された操作パネルと、
前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備えていることを特徴とする眼科用検査装置。 - 前記操作パネルは、検査装置を動作させる操作ボタンと、測定結果を表示するモニター部とを備えるとともに、前記測定部の上方で、水平方向に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の眼科用検査装置。
- 前記測定部は、前房深度測定において測定ポイントを増加させるための、縮瞳用の光源を備えていることを特徴とする請求項1記載の眼科用検査装置。
- 被検眼の頂部にスリット光投射光学系のスリット光投射位置を合致させるためのアライメント機構として、
前記測定部はアライメント光学系を備え、前記駆動装置はアライメント光の受光位置に基づいて測定部を位置合わせする位置合わせ機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の眼科用検査装置。 - 被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、
被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系と、被検眼の頂部にスリット光投射光学系からのスリット光投射位置を合致させるためのアライメント光学系とを備えた測定部と、
該測定部をX−Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、
前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備え、
該データ解析部は、左右のスリット光投射光学系を用いて角膜厚を測定する手段を備えていることを特徴とする眼科用検査装置。 - 前記データ解析部は、スリット光投射光学系を用いて角膜曲率半径を測定する手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の眼科用検査装置。
- 被検眼の前眼部の断面形状を検知することにより被検眼の眼科疾患を検査するための眼科用検査装置であって、
被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を走査させるように移動させながら投射するスリット光投射光学系と、該スリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を撮影する撮影光学系と、被検眼の頂部にスリット光投射光学系からのスリット光投射位置を合致させるためのアライメント光学系とを備えた測定部と、
該測定部をX−Y方向およびZ方向に移動制御する駆動装置を備えた架台部と、
前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の前眼部の形状を解析するデータ解析部とを備え、
該データ解析部は、前記撮影光学系によって取り込まれた固視灯のデータに基づいて、測定データに対して被検眼のX−Y方向の固視不良を補正する補正手段を備えていることを特徴とする眼科用検査装置。 - 前記データ解析部は、前記撮影光学系によって取り込まれた角膜位置のデータに基づいて、測定データに対してZ方向の固視不良を補正する補正手段を備えていることを特徴とする請求項7記載の眼科用検査装置。
- 前記データ解析部は、前記撮影光学系によって取り込まれた角膜厚および角膜曲率半径のデータに基づいて、角膜厚および角膜曲率半径のずれによる補正を測定データに施す補正手段を備えていることを特徴とする請求項7または8記載の眼科用検査装置。
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