実施形態の幾つかの例示的な態様を以下に説明する。なお、この明細書にて引用された文献に開示された事項や任意の公知技術に係る事項を例示的態様に援用することが可能である。
以下に説明する幾つかの例示的態様は、オルソKレンズの装着状態の評価、つまり、オルソKレンズが眼(角膜上)の適切な位置に装着されていたか否かの評価に用いることが可能である。これは、角膜が目的の形状に矯正されているか否かの評価であり、典型的には、近視進行抑制のための周辺視野の屈折状態が適切に矯正されているか否か(つまり、周辺視野の焦点が網膜面よりも手前に位置しているか否か)の評価を含んでいてよい。
以下に説明する幾つかの態様において、「矯正中心」とは、オルソKレンズにより変形された角膜の頂点(角膜頂点)の検出位置、及び、オルソKレンズにより変形された角膜形状の中心(変形中心)の推定位置のいずれかを意味していてよい。
なお、ここに言う角膜頂点は、オルソKレンズを外した後の角膜の最も突出した位置であり、一般に、本来の角膜頂点(オルソKレンズによる変形の影響がない状態における角膜の頂点)から偏位している(もちろん、オルソKレンズの影響下の角膜頂点が本来の角膜頂点に一致している状況を除外するものではない)。
角膜頂点の検出は、例えば、前眼部に形成された指標の検出により行われる。その典型的な例として、特開2015-85081号公報は、前眼部に光束を投影しつつ正面から撮影し、それにより取得された前眼部像を解析して輝点像(プルキンエ像)を検出し、この輝点像の位置(2次元位置)を角膜頂点の位置として求める技術を開示している。また、特開2017-74115号公報は、前眼部に光束を投影しつつ2方向から撮影(ステレオ撮影)を行い、それにより取得された2つの前眼部像を解析して輝点像(プルキンエ像)を検出し、この輝点像の位置(3次元位置)を角膜頂点の位置として求める技術を開示している。角膜頂点検出の他の例として、角膜曲率半径を測定するために角膜に投影されたリングパターン光の撮影像の中心位置を求めて角膜頂点の位置(2次元位置)とすることができる。角膜曲率半径を測定するための眼科装置(ケラトメータ)は、例えば、特開平2-65833号公報に開示されている。角膜頂点検出の更に他の例として、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置(例えば、特開2015-157182号公報)により得られた前眼部の画像から角膜頂点の位置(3次元位置)を検出することができる。
変形中心の推定は、例えば、角膜形状を近似する数式(関数)の中心(典型的には、フィッティング曲面の中心、フィッティング曲線の中心)を求めることにより行われる。この数式(関数)は、例えば、中心対称な数式(関数)であってよく、更には非球面式(非球面形状を表す数式(関数))であってよい。この非球面式は、例えばコーニック面の式(関数)又はバイコーニック面の式(関数)を少なくとも含む式(関数)であってよく、更には、コーニック面の式(関数)に偶数次の多項式を加算した式(関数)、又はバイコーニック面の式(関数)に偶数次の多項式を加算した式(関数)であってよい。
なお、オルソKレンズには、中心部(オプティカルゾーン、トリートメントゾーン)と周縁部(ペリフェラルゾーン、ランディングゾーン)との間に、曲率の変曲点が存在する領域(遷移ゾーン、リターンゾーン)があるため、コーニック面やバイコーニック面だけではフィッティング精度が低くなるので、例えば4次、6次又は8次程度までの多項式を加えてフィッティング精度を高めることが望ましいと考えられる。
また、近似される角膜形状は、例えば、角膜曲率分布、角膜曲率半径分布、又は、高さ分布であってよい。角膜曲率分布及び角膜曲率半径分布は、例えば、ケラトメータ、角膜トポグラム(例えば、特開平8-280624号公報を参照)により求められる。高さ分布は、例えば、角膜曲率分布を2回積分することによって求められる。変形中心(特にフィッティング中心)の推定については後述する。
以下の幾つかの態様において、「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路である。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、目的の機能を実現する。
<第1の態様>
第1の態様に係る眼科装置について説明する。本態様に係る眼科装置の構成例を図1に示す。眼科装置1000は、特定部位検出部1010と、角膜形状測定部1020と、特徴点設定部1030と、評価部1040とを含む。眼科装置1000は、これらを制御する制御部1050を更に含む。
特定部位検出部1010は、オルソKレンズを外した後の眼の特定部位を検出する。眼の特定部位は、典型的には角膜頂点又は瞳孔中心であるが、他の部位であってもよい。
角膜頂点の検出には、例えば、前述したように、プルキンエ像に基づく2次元位置又は3次元位置の検出手法、ケラトリング像に基づく2次元位置の検出手法、前眼部OCTを利用した3次元位置の検出手法、及び、他の検出手法のいずれかが適用される。
瞳孔中心の検出には、例えば、前眼部の正面画像の解析による2次元位置の検出手法、2方向からの撮影で得られた2つの前眼部像の解析による3次元位置の検出手法、及び、他の検出手法のいずれかが適用される。
典型的な特定部位検出部1010は、前眼部を撮影する撮影部(光学系、撮像素子、カメラ等)と、撮影部により得られた画像を解析するプロセッサとを含む。更に、特定部位検出部1010は、プルキンエ像やケラトリング像を形成するための光束を投射する投射部を備えていてもよい。プロセッサは、例えば、特定部位を検出するための公知の解析ソフトウェア(プログラム)にしたがって動作する。
角膜形状測定部1020は、眼の角膜形状を測定して角膜形状データを生成する。角膜形状データは、例えば、前述したように、ケラトメータにより得られた角膜曲率分布データ若しくは角膜曲率半径分布データ、角膜トポグラファにより得られた角膜曲率分布データ若しくは角膜曲率半径分布データ、及び、他の測定データのいずれかである。
典型的な角膜形状測定部1020は、角膜にパターン像を形成するための光を投射する投射系と、パターン像が形成されている前眼部を撮影する撮影部(光学系、撮像素子、カメラ等)と、撮影部により得られた画像を解析するプロセッサとを含む。プロセッサは、例えば、角膜形状パラメータの分布データを求めるための公知の解析ソフトウェア(プログラム)にしたがって動作する。
特徴点設定部1030は、角膜形状測定部1020により取得された角膜形状データから特徴点を設定する。特徴点は、角膜の形状において特徴的な位置を表す。特徴点は、典型的には前述の矯正中心である。矯正中心は、例えば、前述したように、オルソKレンズにより変形した角膜の頂点(角膜頂点)、又は、オルソKレンズにより変形された角膜形状の中心(フィッティング中心等の変形中心)であってよい。
典型的な特徴点設定部1030は、特徴点を検出するために角膜形状データを解析するプロセッサを含む。プロセッサは、角膜形状データから特徴点を設定するための解析ソフトウェア(プログラム)にしたがって動作する。解析ソフトウェアは、例えば、角膜形状データから角膜頂点を検出するためのソフトウェア、及び、角膜形状データから変形中心を検出するためのソフトウェアのいずれかを含む。角膜形状データから変形中心を検出するためのソフトウェアは、例えば、角膜形状データの近似曲面(フィッティング曲面)又は近似曲線(フィッティング曲線)を求める処理と、この近似曲面又は近似曲線の中心(フィッティング中心)を求める処理とをプロセッサに実行させるように構成される。
なお、特定部位検出部1010が角膜頂点を特定する場合、角膜形状測定部1020及び特徴点設定部1030は、角膜頂点以外の任意の特徴点(例えば、フィッティング中心等の変形中心)を設定することができる。他方、角膜頂点以外の眼の部位(例えば瞳孔中心)を特定部位検出部1010が特定する場合には、角膜形状測定部1020及び特徴点設定部1030は、任意の矯正中心(例えば、角膜頂点又は変形中心)を特徴点に設定することができる。
評価部1040は、特定部位検出部1010により検出された特定部位と、特徴点設定部1030により設定された特徴点とに基づいて、眼に対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行する。評価部1040は、例えば、特定部位と特徴点との間の偏位(位置のずれ)に基づいて評価を行う。
例えば、特定部位検出部1010が特定部位として角膜頂点を検出し、且つ、特徴点設定部1030が角膜形状データのフィッティングを行う場合、評価部1040は、特定部位検出部1010により検出された角膜頂点と、特徴点設定部1030により設定されたフィッティング中心との間の偏位に基づき評価を実行する。
他の例において、特定部位検出部1010が特定部位として瞳孔中心を検出し、且つ、特徴点設定部1030が角膜形状データのフィッティングを行う場合、評価部1040は、特定部位検出部1010により検出された瞳孔中心と、特徴点設定部1030により設定されたフィッティング中心との間の偏位に基づき評価を実行する。
特定部位及び特徴点の双方が3次元位置を表す場合、評価部1040は、これら2つの3次元位置を比較することで評価を行う。同様に、特定部位及び特徴点の双方が2次元位置を表す場合、評価部1040は、これら2つの2次元位置を比較することで評価を行う。一方、特定部位及び特徴点の一方が2次元位置を表し、他方が3次元位置を表す場合、評価部1040は、典型的には、前者の2次元位置を表現する2次元座標系に後者の3次元位置を投影することによって両者の比較を行うことができる。
典型的な評価部1040は、特定部位と特徴点とに基づきオルソKレンズの装着状態の評価を実行するプロセッサを含む。プロセッサは、当該評価を実行するための評価ソフトウェア(プログラム)にしたがって動作する。解析ソフトウェアは、例えば、特定部位と特徴点との間の偏位を算出するためのソフトウェアと、算出された偏位と所定の評価基準(評価プロトコル)に基づき評価を行うためのソフトウェアとを含む。
制御部1050は、眼科装置1000の各部を制御する。制御部1050は、制御プログラムにしたがって動作するプロセッサを含む。
図示は省略するが、眼科装置1000は、表示デバイス、操作デバイス、通信デバイスなどを更に備えていてもよい。
本態様に係る眼科装置1000の動作について説明する。眼科装置1000の動作の例を図2に示す。眼科装置1000の図示しない記憶装置には、図2に示す動作例を実現するためのソフトウェアが記憶されている。眼科装置1000は、このソフトウェアにしたがって動作することにより、図2に示す一連の処理を実行する。
(S1:オルソKレンズを眼から外す)
まず、評価対象のオルソKレンズを眼から外す。
(S2:アライメント等の準備動作を行う)
次に、後述の検出及び測定を行うための所定の準備動作が行われる。準備動作としては、例えば、眼に対する眼科装置1000の位置合わせ(アライメント)、フォーカス調整などがある。また、後述の検出及び測定のいずれかにおいてOCTが行われる場合、典型的には、光路長調整や偏光調整が準備動作として実行される。これら準備動作は公知の手法及び構成により行われる。
(S3:眼の特定部位を検出する)
特定部位検出部1010は、眼の特定部位を検出する。眼の特定部位は、典型的には、角膜頂点又は瞳孔中心である。これにより、眼の特定部位の位置データが得られる。
(S4:眼の角膜形状を測定する)
角膜形状測定部1020は、眼の角膜形状を測定する。角膜形状データは、典型的には、角膜曲率分布データ又は角膜曲率半径分布データである。これにより、眼の角膜形状データが得られる。
(S5:角膜形状データから特徴点を設定する)
特徴点設定部1030は、ステップS4で取得された角膜形状データから特徴点を設定する。特徴点は、角膜の形状において特徴的な位置を表し、典型的には矯正中心である。矯正中心は、典型的には、角膜頂点又は変形中心(フィッティング中心等)である。
(S6:オルソKレンズの装着状態の評価を行う)
評価部1040は、ステップS3で検出された特定部位と、ステップS5で設定された特徴点とに基づいて(例えば、特定部位と特徴点との間の偏位に基づいて)、眼に対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行する。
制御部1050は、ステップS6で実行された評価の結果を出力することや、保存することや、記録することができる。例えば、制御部1050は、表示デバイスを制御して評価結果を表示させることや、通信デバイスを制御して他の装置(例えば、電子カルテシステム等の医療情報管理装置)に評価結果を送信することや、眼科装置1000に設けられた記憶装置に評価結果を保存することや、プリンタを制御して評価結果を紙媒体に印刷させることや、ドライブ装置等を制御して評価結果を記録媒体に書き込ませることなどが可能である。
図2に示すステップの順序を任意に変更することができる。例えば、特定部位検出の前に角膜形状測定を行うことができる。
<第2の態様>
第2の態様に係る眼科装置について説明する。本態様は、眼の角膜頂点を基準にオルソKレンズが処方された場合に適用される。本態様では、眼の角膜頂点を基準としてオルソKレンズが適切に装着された場合には、オルソKレンズを外した後の角膜頂点が変形中心(フィッティング中心等)に一致するはずであることを前提とする。また、本態様では、眼には乱視がないこと、及び、オルソKレンズにより変形した角膜の形状(非球面性)が等方的であることを仮定する。ここで、眼に乱視がないことは、例えば、眼の乱視度の測定値が所定閾値以下であることを意味し、そのような眼に対して本態様を適用することが可能である。
本態様に係る眼科装置の構成例を図3に示す。眼科装置2000は、眼特性測定機能を有し、付加的にOCT機能を有する。
測定可能な眼特性の例として屈折力と角膜形状がある。屈折力のパラメータの例として、球面度数、乱視度数、乱視軸角度などがある。角膜形状のパラメータの例として、角膜曲率、角膜曲率半径などがある。角膜形状は、典型的には、角膜曲率分布又は角膜曲率半径分布で表現される。なお、一般に曲率と曲率半径とは互いに逆数の関係にあり、角膜曲率と角膜曲率半径とは等価なパラメータである。
本態様に適用可能なOCTのタイプは任意である。本態様ではスウェプトソースOCTが適用されるが、スペクトラルドメインOCT又は他のタイプであってもよい。ここで、スウェプトソースOCTは、波長可変光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検物からの測定光の戻り光を参照光と重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光を光検出器で検出し、波長の掃引及び測定光のスキャンに応じて収集された検出データにフーリエ変換等を施して画像を構築する手法である。一方、スペクトラルドメインOCTは、低コヒーレンス光源(広帯域光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検物からの測定光の戻り光を参照光と重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を構築する手法である。すなわち、スウェプトソースOCTは、干渉光のスペクトル分布を時分割で取得するOCT手法であり、スペクトラルドメインOCTは、干渉光のスペクトル分布を空間分割で取得するOCT手法である。
眼科装置は、他の他覚測定機能を備えていてもよく、また、自覚検査機能を備えていてもよい。自覚検査は、被検者からの応答を利用して情報を取得する測定手法であり、典型的には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定や、視野検査などがある。他覚測定は、被検者からの応答を参照することなく、主に物理的な手法を用いて眼のデータを取得する測定手法である。他覚測定には、眼の特性データを取得するための測定と、眼の画像データを取得するための撮影とが含まれる。他覚測定としては、前述した屈折力測定や角膜形状測定に加え、眼圧測定、前眼部撮影、眼底撮影、OCT等がある。
本態様において、特に言及しない限り、眼の部位と光学系内の位置との間の共役関係は、アライメントが好適な状態における相互の位置関係を意味するものとする。例えば、光学系における眼底共役位置は、アライメントが好適な状態において眼底と光学的に略共役な位置であり、眼底と光学的に共役な位置又はその近傍を意味する。また、瞳孔共役位置は、アライメントが好適な状態において瞳孔と光学的に略共役な位置であり、瞳孔と光学的に共役な位置又はその近傍を意味する。
以下、眼科装置2000の光学系の光軸に沿う方向をZ方向と呼ぶ。また、この光軸(Z座標軸)に直交する平面(XY平面)を定義する2次元直交座標系(XY座標系)の第1座標軸(例えば水平方向に沿う座標軸)及び第2座標軸(例えば上下方向に沿う座標軸)について、第1座標軸(X座標軸)に沿う方向をX方向と呼び、第2座標軸(Y座標軸)に沿う方向をY方向と呼ぶ。
さて、図3に示す眼科装置2000は、Zアライメント系1、XYアライメント系2、ケラト測定系3、固視投影系4、前眼部観察系5、レフ測定投射系6、レフ測定受光系7、及びOCT光学系8を含む。以下では、例えば、前眼部観察系5が940nm~1000nmの光を用い、レフ測定光学系(レフ測定投射系6、レフ測定受光系7)が830nm~880nmの光を用い、固視投影系4が400nm~700nmの光を用い、OCT光学系8が1000nm~1100nmの光を用いるものとする。
前眼部観察系5は、眼Eの前眼部を動画撮影する。前眼部観察系5を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は瞳孔共役位置に配置されている。前眼部照明光源50は、眼Eの前眼部に照明光(例えば、赤外光)を照射する。眼Eの前眼部により反射された光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52を透過し、絞り(テレセン絞り)53に形成された孔部を通過し、ハーフミラー23を透過し、リレーレンズ55及び56を通過し、ダイクロイックミラー76を透過する。ダイクロイックミラー52は、レフ測定光学系の光路と前眼部観察系5の光路とを結合する。ダイクロイックミラー52は、これらの光路が結合される光路結合面が対物レンズ51の光軸に対して傾斜して配置される。ダイクロイックミラー76を透過した光は、結像レンズ58により撮像素子59(エリアセンサー)の撮像面に結像される。撮像素子59は、所定のレートで撮像及び信号出力を行う。撮像素子59の出力(映像信号)は、後述のコンピュータ9に入力される。コンピュータ9は、この映像信号に基づく前眼部像E´を表示部10の表示画面10aに表示させる。前眼部像E´は、例えば赤外動画像である。
Zアライメント系1は、前眼部観察系5の光軸方向(前後方向、Z方向)におけるアライメントを行うための光(赤外光)を眼Eに投射する。Zアライメント光源11から出力された光は、眼Eの角膜Crに斜方から投射され、角膜Crにより反射され、結像レンズ12によりラインセンサー13のセンサー面に結像される。
角膜Cr(角膜頂点)の位置がZ方向に変化すると、ラインセンサー13のセンサー面における光の投射位置が変化する。コンピュータ9は、ラインセンサー13のセンサー面における光の投射位置に基づいて眼Eの角膜頂点の位置を求め、これに基づき光学系を移動させる機構を制御してZアライメントを実行する。このZアライメント手法は、光テコを利用したアライメント手法の例である。
ラインセンサー13の代わりに、任意の1次元又は2次元イメージセンサーを用いることができる。すなわち、Zアライメント系に設けられる光検出器は、複数の光検出素子(フォトダイオード等)が1次元的又は2次元的に配列された任意のイメージセンサーであってよい。
XYアライメント系2は、前眼部観察系5の光軸に直交する方向(左右方向(X方向)、上下方向(Y方向))のアライメントを行うための光束(赤外光)を眼Eに照射する。XYアライメント系2は、ハーフミラー23により前眼部観察系5の光路から分岐された光路に設けられたXYアライメント光源21とコリメータレンズ22とを含む。XYアライメント光源21から出力された光は、コリメータレンズ22を通過し、ハーフミラー23により反射され、前眼部観察系5を通じて眼Eに投射される。眼Eの角膜Crによる反射光は、前眼部観察系5を通じて撮像素子59に導かれる。
この反射光に基づく像(輝点像)Brは前眼部像E´に含まれる。コンピュータ9は、輝点像Brを含む前眼部像E´とアライメントマークALとを表示部10の表示画面10aに表示させる。手動でXYアライメントを行う場合、ユーザは、アライメントマークAL内に輝点像Brを誘導するように光学系の移動操作を行う。自動でアライメントを行う場合、コンピュータ9は、アライメントマークALに対する輝点像Brの偏位がキャンセルされるように、光学系を移動させる機構を制御する。
ケラト測定系3は、眼Eの角膜Crの形状を測定するためのリング状光束(赤外光)を角膜Crに投射する。ケラト板31は、対物レンズ51と眼Eとの間に配置されている。ケラト板31の背面側(対物レンズ51側)にはケラトリング光源32が設けられている。ケラトリング光源32からの光でケラト板31を照明することにより、眼Eの角膜Crにリング状光束(円弧状又は円周状の測定パターン)が投射される。眼Eの角膜Crからの反射光(ケラトリング像)は撮像素子59により前眼部像E´とともに検出される。コンピュータ9は、このケラトリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜Crの形状を表す角膜形状パラメータの値を算出する。典型的な角膜形状パラメータとして角膜曲率半径(角膜曲率)がある。
なお、ケラト測定系3の代わりに、又はこれに加えて、眼科装置2000は、角膜トポグラフィ系(角膜トポグラファ)を備えていてもよい。角膜トポグラフィ系は、前述した角膜トポグラムを取得するための要素群を含む(例えば、特開平8-280624号公報を参照)。角膜トポグラフィ系は、プラチドリングと呼ばれる多重同心円パターンを角膜Crに投影する。角膜Crからの反射光(プラチドリング像)は撮像素子59により前眼部像E´とともに検出される。コンピュータ9は、このプラチドリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜Crの形状を表す角膜形状パラメータの分布を求める。得られた分布データを擬似カラー表現することにより角膜トポグラムが提供される。
レフ測定光学系は、屈折力測定に用いられるレフ測定投射系6及びレフ測定受光系7を含む。レフ測定投射系6は、屈折力測定用の光束(例えば、リング状光束)を眼底Efに投射する。この光束は、典型的には赤外光である。レフ測定受光系7は、この光束の眼Eからの戻り光を検出する。レフ測定投射系6は、レフ測定受光系7の光路に設けられた孔開きプリズム65によって分岐された光路に設けられる。孔開きプリズム65に形成されている孔部は、瞳孔共役位置に配置される。レフ測定受光系7を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は眼底共役位置に配置される。
本態様では、レフ測定光源61は、例えば、高輝度光源であるスーパールミネセントダイオード(SLD)であってよい。レフ測定光源61は、光軸方向に移動可能である。レフ測定光源61は、眼底共役位置に配置される。レフ測定光源61から出力された光は、リレーレンズ62を通過し、円錐プリズム63の円錐面に入射する。円錐面に入射した光は偏向され、円錐プリズム63の底面から出射する。円錐プリズム63の底面から出射した光は、リング絞り64にリング状に形成された透光部を通過する。リング絞り64の透光部を通過した光(リング状光束)は、孔開きプリズム65の孔部の周囲に形成された反射面により反射され、ロータリープリズム66を通過し、ダイクロイックミラー67により反射される。ダイクロイックミラー67により反射された光は、ダイクロイックミラー52により反射され、対物レンズ51を通過し、眼Eに投射される。ロータリープリズム66は、眼底Efの血管や疾患部位に対するリング状光束の光量分布を平均化や光源に起因するスペックルノイズの低減のために用いられる。
眼底Efに投射されたリング状光束の戻り光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52及びダイクロイックミラー67により反射される。ダイクロイックミラー67により反射された戻り光は、ロータリープリズム66を通過し、孔開きプリズム65の孔部を通過し、リレーレンズ71を通過し、反射ミラー72により反射され、リレーレンズ73及び合焦レンズ74を通過する。合焦レンズ74は、レフ測定受光系7の光軸に沿って移動可能である。合焦レンズ74を通過した光は、反射ミラー75により反射され、ダイクロイックミラー76により反射され、結像レンズ58により撮像素子59の撮像面に結像される。コンピュータ9は、撮像素子59からの出力を基に公知の演算を行うことで眼Eの屈折力値を算出する。例えば、屈折力値は、球面度数、乱視度数及び乱視軸角度、及び等価球面度数のうちの少なくとも1つを含む。
ダイクロイックミラー67によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路にOCT光学系8が設けられる。ダイクロイックミラー83によりOCT光学系8の光路から分岐された光路に固視投影系4が設けられる。
固視投影系4は、固視標を眼Eに呈示する。固視投影系4の光路には、固視ユニット40が配置されている。固視ユニット40は、後述のコンピュータ9からの制御を受け、固視投影系4の光路に沿って移動可能である。固視ユニット40は、液晶パネル41を含む。
コンピュータ9による制御を受けた液晶パネル41は、固視標を表すパターンを表示する。液晶パネル41の画面上におけるパターンの表示位置を変更することにより、眼Eの固視位置を変更できる。固視位置としては、黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。固視標を表すパターンの表示位置を任意に変更することが可能である。なお、液晶パネル41に代えて、フィルム等に視標等が印刷された透過型の視標チャートと、視標チャートを照明する照明用光源とが設けられていてもよい。
液晶パネル41からの光は、リレーレンズ42を通過し、ダイクロイックミラー83を透過し、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射され、ダイクロイックミラー67を透過し、ダイクロイックミラー52により反射される。ダイクロイックミラー52により反射された光は、対物レンズ51を通過して眼底Efに投射される。幾つかの態様では、液晶パネル41及びリレーレンズ42のそれぞれは、独立に光軸方向に移動可能である。
OCT光学系8は、眼EにOCTを適用するための光学系である。OCTよりも前に実施されたレフ測定結果に基づいて、光ファイバーf1の端面が撮影部位(眼底Ef又は前眼部)と共役となるように合焦レンズ87の位置が調整される。
OCT光学系8は、ダイクロイックミラー67によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路に設けられる。上記の固視投影系4の光路は、ダイクロイックミラー83によりOCT光学系8の光路に結合される。それにより、OCT光学系8及び固視投影系4のそれぞれの光軸を同軸で結合することができる。
OCT光学系8は、OCTユニット100を含む。図4に示すように、OCTユニット100において、OCT光源101は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を掃引可能な波長可変光源を含む。波長可変光源は、共振器を含むレーザー光源を含む。OCT光源101は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。OCT光源101は、例えば、出射光の波長(1000nm~1100nmの波長範囲)を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。
図4に例示するように、OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを実行するための光学系が設けられている。この光学系は、干渉光学系を含む。この干渉光学系は、波長可変光源からの光を測定光と参照光とに分割する機能と、眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成する機能と、この干渉光を検出する機能とを備える。干渉光学系により得られた干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを表す信号であり、コンピュータ9に送られる。また、測定光の光路(測定アーム、サンプルアーム)の長さ、及び、参照光の光路(参照アーム)の長さの少なくとも一方が可変である。
OCT光源101から出力された光L0は、光ファイバー102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏光状態が調整された光L0は、光ファイバー104によりファイバーカプラー105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバー110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、コーナーキューブ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。コーナーキューブ114は、参照光LRの入射方向に移動可能であり、それにより参照光LRの光路長が変更される。
コーナーキューブ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバー117に入射する。光ファイバー117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバー119によりアッテネータ120に導かれて光量が調整され、光ファイバー121によりファイバーカプラー122に導かれる。
一方、ファイバーカプラー105により生成された測定光LSは、光ファイバーf1により導かれてコリメータレンズユニット89により平行光束に変換され、光スキャナー88、合焦レンズ87、リレーレンズ85、及び反射ミラー84を経由し、ダイクロイックミラー83により反射される。
光スキャナー88は、測定光LSを1次元的又は2次元的に偏向する。光スキャナー88は、例えば、第1ガルバノミラーと、第2ガルバノミラーとを含む。第1ガルバノミラーは、OCT光学系8の光軸に直交する水平方向(X方向)に撮影部位(眼底Ef又は前眼部)をスキャンするように測定光LSを偏向する。第2ガルバノミラーは、OCT光学系8の光軸に直交する上下方向(Y方向)に撮影部位をスキャンするように、第1ガルバノミラーにより偏向された測定光LSを偏向する。このような光スキャナー88による測定光LSのスキャンパターンとしては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。
ダイクロイックミラー83により反射された測定光LSは、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射され、ダイクロイックミラー67を透過し、ダイクロイックミラー52により反射され、対物レンズ51により屈折されて眼Eに入射する。測定光LSは、眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。眼Eからの測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラー105に導かれ、光ファイバー128を経由してファイバーカプラー122に到達する。
ファイバーカプラー122は、光ファイバー128を介して入射された測定光LSと、光ファイバー121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。ファイバーカプラー122は、所定の分岐比(例えば1:1)で干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバー123及び124を通じて検出器125に導かれる。
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードである。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを含み、これらフォトディテクタにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集システム(DAQ)130に送る。
DAQ130には、OCT光源101からクロックKCが供給される。クロックKCは、OCT光源101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。OCT光源101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、検出器125から入力される検出信号をクロックKCに基づきサンプリングする。DAQ130は、検出器125からの検出信号のサンプリング結果をコンピュータ9に送られる。コンピュータ9は、例えば一連の波長掃引毎に(Aライン毎に)、サンプリングデータに基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、コンピュータ9は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
本例では、測定アーム長と参照アーム長との間の差を変更してコヒーレンスゲートを移動するために参照アーム長を変更する要素(移動可能なコーナーキューブ114)が設けられているが、他の要素を採用してもよい。例えば、移動可能なミラーを参照アームに設けることや、移動可能なコーナーキューブ等のリトロリフレクタを測定アームに設けることが可能である。
コンピュータ9は、レフ測定光学系を用いて得られた測定結果から屈折力値を算出し、算出された屈折力値に基づいて、眼底Efとレフ測定光源61と撮像素子59とが共役となる位置に、レフ測定光源61及び合焦レンズ74それぞれを光軸方向に移動させる。幾つかの態様では、コンピュータ9は、合焦レンズ74の移動に連動してOCT光学系8の合焦レンズ87をその光軸方向に移動させる。幾つかの態様では、コンピュータ9は、レフ測定光源61及び合焦レンズ74の移動に連動して液晶パネル41(固視ユニット40)をその光軸方向に移動させる。これらの他にも、コンピュータ9は、各種の制御、各種のデータ処理、各種の演算などを実行する。
眼科装置2000の処理系の構成について説明する。眼科装置2000の処理系の機能的構成の例を図5及び図6に示す。図5は、眼科装置2000の処理系の機能ブロック図の一例を表す。図6は、データ処理部223の機能ブロック図の一例を表す。
コンピュータ9は、眼科装置2000の各部の制御、各種のデータ処理、各種の演算などを実行する。コンピュータ9は、1以上のプロセッサと、1以上の記憶装置とを含む。記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、半導体メモリなどを含む。
記憶装置には、1以上の制御プログラム、1以上のデータ処理プログラム、1以上の演算プログラムなど、各種のプログラム(ソフトウェア)が記憶される。いずれかのプロセッサがいずれかのプログラムにしたがって動作することで、コンピュータ9は、制御、データ処理、演算などを実行する。すなわち、コンピュータ9は、プロセッサ等のハードウェアとソフトウェアとの協働により、制御、データ処理、演算などを実行する。
コンピュータ9は、制御部210と、演算処理部220とを含む。また、眼科装置2000は、移動機構200と、表示部270と、操作部280と、通信部290とを含む。
移動機構200は、眼科装置2000のヘッド部を前後左右方向に移動させるための機構である。ヘッド部には、Zアライメント系1、XYアライメント系2、ケラト測定系3、固視投影系4、前眼部観察系5、レフ測定投射系6、レフ測定受光系7、及び、OCT光学系8(少なくともOCTユニット100を除く要素群)などが収容されている。例えば、移動機構200には、ヘッド部を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部210(主制御部211)は、アクチュエータに制御信号を送ることによって移動機構200に対する制御を行う。
制御部210は、1以上のプロセッサを含み、眼科装置2000の各部を制御する。制御部210は、主制御部211と、記憶部212とを含む。記憶部212には、眼科装置2000を制御するためのプログラム群があらかじめ格納される。プログラム群には、光源制御用プログラム、検出器制御用プログラム、光スキャナー制御用プログラム、光学系制御用プログラム、アライメント制御用プログラム、演算処理用プログラム、及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなプログラムにしたがって眼科装置2000は演算や制御を実行する。
主制御部211は、眼科装置2000の各種制御を行う。Zアライメント系1に対する制御には、Zアライメント光源11の制御、ラインセンサー13の制御などがある。Zアライメント光源11の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。ラインセンサー13の制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。それにより、Zアライメント光源11の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。主制御部211は、ラインセンサー13により検出された信号を取り込み、取り込まれた信号に基づいてラインセンサー13に対する光の投影位置を特定する。主制御部211は、特定された投影位置に基づいて眼Eの角膜頂点の位置を求め、これに基づき移動機構200を制御してヘッド部を前後方向に移動させる(Zアライメント)。
XYアライメント系2に対する制御には、XYアライメント光源21の制御などがある。XYアライメント光源21の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、XYアライメント光源21の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。主制御部211は、撮像素子59により検出された信号を取り込み、取り込まれた信号に基づいてXYアライメント光源21からの光の戻り光に基づく輝点像の位置を特定する。主制御部211は、所定の目標位置(例えば、アライメントマークALの中心位置)に対する輝点像Brの偏位がキャンセルされるように移動機構200を制御してヘッド部を左右上下方向に移動させる(XYアライメント)。
ケラト測定系3に対する制御には、ケラトリング光源32の制御などがある。ケラトリング光源32の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、ケラトリング光源32の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。主制御部211は、撮像素子59により検出されたケラトリング像に対する公知の演算を演算処理部220に実行させる。それにより、眼Eの角膜形状パラメータの値が求められる。前述した角膜トポグラフィ系が設けられている場合にも、主制御部211は同様の処理を実行する。
固視投影系4に対する制御には、液晶パネル41の制御や固視ユニット40の移動制御などがある。液晶パネル41の制御には、固視標の表示のオン・オフや、固視標の表示位置の切り替えなどがある。
例えば、固視投影系4には、液晶パネル41(又は固視ユニット40)を光軸方向に移動する移動機構が設けられる。この移動機構には、移動機構200と同様に、当該移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、少なくとも液晶パネル41を光軸方向に移動させる。それにより、液晶パネル41と眼底Efとが光学的に共役となるように液晶パネル41の位置が調整される。
前眼部観察系5に対する制御には、前眼部照明光源50の制御、撮像素子59の制御などがある。前眼部照明光源50の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、前眼部照明光源50の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。撮像素子59の制御には、撮像素子59の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。主制御部211は、撮像素子59により検出された信号を取り込み、取り込まれた信号に基づく画像の形成等の処理を演算処理部220に実行させる。
レフ測定投射系6に対する制御には、レフ測定光源61の制御、ロータリープリズム66の制御などがある。レフ測定光源61の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。それにより、レフ測定光源61の点灯と非点灯とが切り替えられたり、光量が変更されたりする。例えば、レフ測定投射系6は、レフ測定光源61を光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構には、移動機構200と同様に、当該移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、レフ測定光源61を光軸方向に移動させる。ロータリープリズム66の制御には、ロータリープリズム66の回転制御などがある。例えば、ロータリープリズム66を回転させる回転機構が設けられており、主制御部211は、この回転機構を制御することによりロータリープリズム66を回転させる。
レフ測定受光系7に対する制御には、合焦レンズ74の制御などがある。合焦レンズ74の制御には、合焦レンズ74の光軸方向への移動制御などがある。例えば、レフ測定受光系7は、合焦レンズ74を光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構には、移動機構200と同様に、当該移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、合焦レンズ74を光軸方向に移動させる。主制御部211は、レフ測定光源61と眼底Efと撮像素子59とが光学的に共役となるように、例えば眼Eの屈折力に応じてレフ測定光源61及び合焦レンズ74をそれぞれ光軸方向に移動させることが可能である。
OCT光学系8に対する制御には、OCT光源101の制御、光スキャナー88の制御、合焦レンズ87の制御、コーナーキューブ114の制御、検出器125の制御、DAQ130の制御などがある。OCT光源101の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。光スキャナー88の制御には、第1ガルバノミラーによるスキャン位置やスキャン範囲やスキャン速度の制御、第2ガルバノミラーによるスキャン位置やスキャン範囲やスキャン速度の制御などがある。
合焦レンズ87の制御には、合焦レンズ87の光軸方向への移動制御、撮影部位に対応した合焦基準位置への合焦レンズ87の移動制御、撮影部位に対応した移動範囲(合焦範囲)内での移動制御などがある。例えば、OCT光学系8は、合焦レンズ87を光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構には、移動機構200と同様に、当該移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、合焦レンズ87を光軸方向に移動させる。幾つかの態様では、眼科装置2000には、合焦レンズ74及び87を保持する保持部材と、保持部材を駆動する駆動部が設けられる。主制御部211は、駆動部を制御することにより合焦レンズ74及び87の移動制御を行う。主制御部211は、例えば、合焦レンズ74の移動に連動して合焦レンズ87を移動させた後、干渉信号の強度に基づいて合焦レンズ87だけを移動させるようにしてもよい。
コーナーキューブ114の制御には、コーナーキューブ114の光路に沿った移動制御などがある。例えば、OCT光学系8は、コーナーキューブ114を光路に沿った方向に移動する移動機構を含む。この移動機構には、移動機構200と同様に、コーナーキューブ114を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。主制御部211は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより移動機構に対する制御を行い、コーナーキューブ114を光路に沿った方向に移動させる。検出器125の制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。主制御部211は、検出器125により検出された信号のサンプリングをDAQ130に実行させ、サンプリングされた信号に基づく画像構築等の処理を演算処理部220(画像形成部222)に実行させる。
また、主制御部211は、眼屈折力算出部221により算出された屈折力の測定値、画像形成部222により形成された断層像(OCT画像)、後述のデータ処理部223により得られた結果に対応した情報などを、表示部270に表示させる。
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータの例として、他覚測定により得られたデータ、OCTスキャンにより得られたデータ、断層像の画像データ、前眼部像の画像データ、データ処理部230に供給されるデータ、データ処理部230により生成されたデータ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
演算処理部220は、眼屈折力算出部221と、画像形成部222と、データ処理部223とを含む。
眼屈折力算出部221は、レフ測定投射系6により眼底Efに投影されたリング状光束(リング状の測定パターン)の戻り光を撮像素子59が検出することにより得られたリング像(パターン像)を解析する。例えば、眼屈折力算出部221は、得られたリング像が描出された画像における輝度分布からリング像の重心位置を求め、この重心位置から放射状に延びる複数のスキャン方向に沿った輝度分布を求め、この輝度分布からリング像を特定する。続いて、眼屈折力算出部221は、特定されたリング像の近似楕円を求め、この近似楕円の長径及び短径を公知の式に代入することによって球面度数、乱視度数及び乱視軸角度(屈折力値)を求める。或いは、眼屈折力算出部221は、基準パターンに対するリング像の変形及び偏位に基づいて眼屈折力のパラメータを求めることができる。
また、眼屈折力算出部221は、前眼部観察系5により取得されたケラトリング像に基づいて角膜曲率半径(角膜曲率)を算出する。例えば、眼屈折力算出部221は、ケラトリング像を解析することにより角膜前面の強主経線の曲率半径と弱主経線の曲率半径とを算出し、これら曲率半径に統計処理を適用して角膜曲率半径を算出する。この統計処理は、例えば、平均化、最大値の選択、又は最小値の選択であってよい。眼屈折力算出部221は、算出された角膜曲率半径に基づいて、角膜屈折力、角膜乱視度及び角膜乱視軸角度を算出することができる。
角膜曲率半径を求めるための手法はケラトリングを用いる手法に限定されない。例えば、前述した角膜トポグラフィ系(プラチドリング)を用いる手法の他にも、スリットスキャンを用いる手法、シャインプルーフカメラを用いる手法、前眼部OCTを用いる手法など、任意の角膜形状解析手法を適用することが可能である。眼屈折力算出部221は、第1の態様における角膜形状測定部1020の一部としての機能を有する。
画像形成部222は、OCT系8(DAQ130)からの出力に基づいて、眼E(眼底Ef、前眼部など)の断層像の画像データを形成する。この画像形成処理は、従来の(スウェプトソース)OCTと同様に、フィルター処理、高速フーリエ変換(FFT)などを含む。このような処理によりAライン(眼E内における測定光LSのスキャン経路)における反射強度プロファイルが取得され、この反射強度プロファイルを画像化することでこのAラインの画像データ(Aスキャンデータ)が形成される。
更に、画像形成部222は、OCTスキャン(測定光LSの偏向、Aスキャン位置の移動)のモードにしたがって複数のAスキャンデータを形成し、これらAスキャンデータを配列することで2次元画像データや3次元画像データを構築することができる。
ラスタースキャン等により複数の断層像データ(スタックデータ)が得られた場合、画像形成部222は、これら断層像データに補間処理等のボクセル化処理を適用することによりボクセルデータ(ボリュームデータ)を構築することができる。更に、画像形成部222は、スタックデータ又はボリュームデータをレンダリングすることができる。レンダリングの手法は任意であり、例えば、ボリュームレンダリング、多断面再構成(MPR)、サーフェスレンダリングなどであってよい。また、画像形成部222は、スタックデータ又はボリュームデータから平面画像(例えば、正面画像)を構築することができる。例えば、画像形成部222は、スタックデータ又はボリュームデータを各Aラインに沿って積算することによりプロジェクション画像を構築することができる。
データ処理部223は、様々なデータ処理を実行可能である。データ処理部223は、OCTスキャンを用いて取得されたデータ(OCTデータ)を処理することができる。OCTデータは、例えば、反射強度プロファイル又は画像データである。データ処理部223は、前眼部観察系5により得られた画像や、Zアライメント系1のラインセンサー13から出力された信号(データ)を処理することができる。データ処理部223は、ここに例示したデータ以外のデータを処理することも可能である。
例えば、データ処理部223は、スタックデータ又はボリュームデータにセグメンテーションを適用することができる。セグメンテーションは、画像データ中の部分領域を特定するための公知の処理である。データ処理部223は、OCT画像(2次元断層像、3次元画像など)の輝度値に基づきセグメンテーションを行う。例えば、眼底Efにおける複数の層組織はそれぞれ特徴的な反射率を有し、これら層組織の画像領域もそれぞれ特徴的な輝度値を有する。データ処理部223は、これら特徴的な輝度値に基づき目的の画像領域を特定するようにセグメンテーションを実行する。目的の画像領域は、例えば、内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、網膜色素上皮層、脈絡膜、強膜など、眼底Efの任意の組織に相当する。
図6に示すように、データ処理部223は、第1解析部2231と、特徴点設定部2232と、評価部2233とを含む。前述したように、眼屈折力算出部221は、角膜形状測定部1020の一部(第2解析部)として機能する。本態様において、前眼部観察系5は、眼Eの第1撮影画像と第2撮影画像とを取得する。第1撮影画像と第2撮影画像とは、互いに別の画像であってもよいし、同一の画像であってもよい。
第1撮影画像は、眼Eの特定部位(例えば、角膜頂点又は瞳孔中心)を検出するために第1解析部2231に提供される。角膜頂点を検出する場合、前眼部観察系5は、XYアライメント系2からの光束が投射されている状態の眼Eを撮影することで、この光束により形成された輝点像(プルキンエ像)が描出された第1撮影画像を取得する。或いは、角膜頂点を検出する場合において、前眼部観察系5は、ケラト測定系3又は角膜トポグラフィ系からのパターン光が投射されている状態の眼Eを撮影することで、このパターン光により形成されたパアーン像(ケラトリング像、プラチドリング像)が描出された第1撮影画像を取得する。瞳孔中心を検出する場合、前眼部観察系5は、眼Eの瞳孔が描出された第1撮影画像を取得する。他の特定部位を検出する場合には、特定部位に応じた第1撮影画像が取得される。第1解析部2231は、第1の態様の特定部位検出部1010と同様のデータ処理を実行するように構成されている。
ここで、角膜頂点を検出する場合、XYアライメント系2と、前眼部撮影系5と、第1解析部2231とを含む要素群が、第1の態様の特定部位検出部1010として機能する。瞳孔中心を検出する場合、前眼部撮影系5と、第1解析部2231とを含む要素群が、第1の態様の特定部位検出部1010として機能する。他の特定部位を検出する場合、前眼部撮影系5と、第1解析部2231とを少なくとも含む要素群が、第1の態様の特定部位検出部1010として機能する。
第2撮影画像は、眼Eの角膜形状を測定するために眼屈折力算出部221(第2解析部)に提供される。前述したように、眼屈折力算出部221は、ケラト測定又は角膜トポグラフィによる測定データである角膜形状データ(典型的には、角膜曲率分布データ又は角膜曲率半径分布データ)を生成する。眼屈折力算出部221(第2解析部)は、第1の態様の角膜形状測定部1020と同様のデータ処理を実行するように構成されている。本態様の前眼部観察系5及び眼屈折力算出部221(第2解析部)は、第1の態様の角膜形状測定部1020として機能する。
眼屈折力算出部221により得られた角膜形状データは、特徴点設定部2232に提供される。特徴点設定部2232は、第1の態様の特徴点設定部1030として機能し、これと同様のデータ処理を実行するように構成されている。
評価部2233は、第1解析部2231により検出された特定部位と、特徴点設定部2232により設定された特徴点とに基づいて、眼Eに対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行する。評価部2233は、第1の態様の評価部1040として機能し、これと同様のデータ処理を実行するように構成されている。
本態様に係る眼科装置2000の動作について説明する。眼科装置2000の動作の例を図7に示す。眼科装置2000の図示しない記憶装置には、図7に示す動作例を実現するためのソフトウェアが記憶されている。眼科装置2000は、このソフトウェアにしたがって動作することにより、図7に示す一連の処理を実行する。
(S11:オルソKレンズを眼から外す)
まず、評価対象のオルソKレンズを眼Eから外す。
(S12:アライメント等の準備動作を行う)
次に、第1の態様のステップS2と同じ要領で、所定の準備動作が行われる。
(S13:角膜へのパターン光の投射を開始する)
次に、眼科装置2000は、ケラト測定系3又は角膜トポグラフィ系によって、眼Eの角膜にパターン光を投射する。パターン光の投射は、少なくとも、前眼部像が取得されるまで継続される。
(S14:前眼部像をキャプチャする)
次に、眼科装置2000は、角膜にパターン光が投射されている状態の眼Eの前眼部像を取得する。典型的には、眼科装置2000は、ステップS12において前眼部観察系5による前眼部の動画撮影を開始し、ステップS13の後に得られたフレームをキャプチャする。
取得された前眼部像は、パターン光により形成されたパターン像だけでなく、XYアライメント系2からの光束の像(輝点像、プルキンエ像)を描出したものであってもよい。或いは、眼科装置2000は、パターン像が描出された前眼部像と、輝点像が描出された前眼部像とを別々に取得してもよい。
(S15:角膜頂点を検出する)
第1解析部2231は、ステップS14で取得された前眼部像を解析して角膜頂点を検出する。これにより、オルソKレンズを外した後の眼Eの角膜頂点の位置データが得られる。つまり、オルソKレンズにより角膜が変形された眼Eの角膜頂点の位置データが得られる。
XYアライメント系2からの光束の像(輝点像、プルキンエ像)が前眼部像に描出されている場合、第1解析部2231は、この輝点像のX座標及びY座標を角膜頂点の2次元位置データとして求めることができる。また、XYアライメント系2からの光束の像が前眼部像に描出されている場合であって、第1の態様で説明したステレオ撮影が可能である場合、第1解析部2231は、互いに異なる方向から撮影された2つの前眼部像にそれぞれ描出された2つの輝点像から、角膜頂点の3次元位置データを求めることができる。一方、XYアライメント系2からの光束の像が前眼部像に描出されていない場合、第1解析部2231は、例えば、ケラト測定系3により投影されたケラトリング像(同心円状パターン像)のうち最も径が小さいリング像の中心を角膜頂点の2次元位置データとして求めることができる。
(S16:眼の角膜形状データを生成する)
眼屈折力算出部221(第2解析部)は、ステップS14で取得された前眼部像を解析して角膜形状データ(例えば、角膜曲率分布データ又は角膜曲率半径分布データ)を生成する。また、眼屈折力算出部221(第2解析部)は、角膜曲率分布データを2回積分して得られる高さ分布データを角膜形状データとして生成してもよい。高さ分布データは、例えば、所定位置(例えば、角膜頂点位置)を基準とした相対的な高さを表現したデータである。
(S17:角膜形状データからフィッティング中心を決定する)
特徴点設定部2232は、ステップS16で取得された角膜形状データから特徴点を設定する。本動作例では、特徴点としてフィッティング中心が求められる。
前述したように、フィッティング中心は、角膜形状データを近似する数式の中心(典型的には、フィッティング曲面の中心、フィッティング曲線の中心)である。この数式は、中心対称な数式であってよく、更には非球面式であってよい。この非球面式は、例えば、コーニック面の式を少なくとも含む式であってよく、更には、コーニック面の式に偶数次の多項式を加算した式であってよい。
コーニック面の式に偶数次の多項式を加算した式は、典型的には、次のように表現される:z = (ch2/(1+√(1-(1+k)c2h2)) + Ah4 + Bh6 +Ch8。ここで、zはZ軸に平行な面のサグ量、hはXY面における任意方向の座標、cは曲率、kはコーニック係数、A、B及びCはそれぞれ多項式の4次、6次及び8次の項の係数である。ここで、hを(h-h0)とすれば、任意の中心位置h0に関する非球面式を表現することができる。
特徴点設定部2232は、このような数式による非球面フィッティングを角膜形状データに適用する。この非球面フィッティングは、例えば、角膜頂点を中心とする非球面フィッティング、又は、任意中心の非球面フィッティングであってよい。
本態様では眼Eは無乱視眼と仮定しているので、特徴点設定部2232は、例えば、角膜の或る経線について、2次元の中心対称な非球面フィッティングを適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求める。或いは、角膜形状データが3次元データである場合においては、特徴点設定部2232は、点対称な非球面フィッティングをこの角膜形状データに適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求めることができる。
(S18:角膜頂点とフィッティング中心の偏位を算出する)
評価部2233は、ステップS15で検出された角膜頂点の位置データと、ステップS17で決定されたフィッティング中心の位置データとを比較し、これらの間の偏位Δを算出する。
偏位Δは、例えば、X方向の偏位ΔX、Y方向の偏位ΔY、XY平面における偏位ΔXY=√(ΔX2+ΔY2)、及び、XYZ空間における偏位ΔXYZ=√(ΔX2+ΔY2+ΔZ2)のいずれかであってよい。なお、偏位Δは、YZ平面における偏位ΔYZ、ZX平面における偏位ΔZX、又は、他の定義による偏位であってもよい。
(S19:偏位>閾値?)
評価部2233は、ステップS18で算出された偏位Δを既定の閾値と比較する。この閾値は、例えば0.5mmに設定されるが、他の値に設定されてもよい。眼科装置2000は、この比較結果を表示部270によって表示する。
偏位Δが閾値を超えると判定された場合(S19:Yes)、処理はステップS20に移行する。一方、偏位Δが閾値以下であると判定された場合(S19:No)、本動作例の処理は終了となる(エンド)。
(S20:オルソKレンズの処方を見直す)
偏位Δが閾値を超えると判定された場合(S19:Yes)、ユーザ(医師等)は、眼Eに対するオルソKレンズの処方を見直す。例えば、ユーザは、より眼Eに適合するオルソKレンズの種類を決定し、処方する。
第1の態様と同様に、眼科装置2000は、ステップS19で実行された評価の結果や、ステップS20でなされた処方の見直しの結果を出力、保存、記録することができる。また、図7に示すステップの順序を任意に変更することができる。
本態様におけるオルソKレンズの装着状態の評価について図8A及び図8Bを参照しつつ説明する。ここで、図8Aは装着状態が良好な場合に相当し、図8Bは不良な場合に相当する。
図8Aの符号2100は、角膜トポグラフィにより得られた角膜曲率分布データに基づき作成されたマップ(角膜トポマップ)を示す。角膜トポマップ2100が表現する分布は、例えば、角膜曲率分布、角膜曲率半径分布、角膜曲率分布若しくは角膜曲率半径分布に基づく屈折力分布、角膜曲率分布に基づく高さ分布、又は、他の分布であってよい。以下、角膜トポマップ2100は角膜曲率分布を表現したマップであるとして説明するが、これ以外の分布が適用される場合においても同様の事項が成立する。
符号2110は、角膜の所定の経線を示す。符号2120は、経線2110上における曲率分布を表すグラフである。符号2130は、曲率分布グラフ2120に非球面フィッティングを適用して決定された矯正中心(フィッティング中心)を示す。符号2200は、前眼部像を解析して検出された角膜頂点の位置を示す。
ここで、角膜頂点位置2200は図7のステップS15で取得されたデータの例であり、フィッティング中心2120はステップS17で取得されたデータの例である。この場合、ステップS18により、角膜頂点位置2200とフィッティング中心2130との偏位Δ1(経線2110に沿った方向における偏位)が算出される。
ステップS19では、偏位Δ1が閾値を超えるか否か判定される。本例では、偏位Δ1は閾値以下と判定され、現在使用されているオルソKレンズ(その装着状態)は適切であるとの評価結果が得られ、ステップS20のオルソKレンズの処方の見直しは行われない。ただし、偏位Δ1、角膜トポマップ2100、曲率分布グラフ2120、他の検査データ、問診データなどを参照してユーザがオルソKレンズの処方の見直しを行うことを妨げるものではない。
一方、図8Bの符号2300は、別の角膜トポマップを示す。符号2310は、角膜の所定の経線を示す。符号2320は、経線2310上における曲率分布を表すグラフである。符号2330は、曲率分布グラフ2320に非球面フィッティングを適用して決定された矯正中心(フィッティング中心)を示す。符号2400は、前眼部像を解析して検出された角膜頂点の位置を示す。
図8Aに示す例と同様に、角膜頂点位置2400は図7のステップS15で取得されたデータの例であり、フィッティング中心2320はステップS17で取得されたデータの例である。この場合、ステップS18により、角膜頂点位置2400とフィッティング中心2330との偏位Δ2(経線2310に沿った方向における偏位)が算出される。
ステップS19では、偏位Δ2が閾値を超えるか否か判定される。本例では、偏位Δ2は閾値を超えると判定され、現在使用されているオルソKレンズ(その装着状態)は適切ではないとの評価結果が得られ、ステップS20のオルソKレンズの処方の見直しが行われる。ただし、ユーザは、偏位Δ2、角膜トポマップ2300、曲率分布グラフ2320、他の検査データ、問診データなどを参照してオルソKレンズの処方の見直しを行ってもよい。
ここで、2つの曲率分布グラフ2120及び2320を比較すると、曲率分布グラフ2120では左端部の傾斜と右端部の傾斜とが概ね等しく、グラフ形状が比較的左右対称になっている一方、曲率分布グラフ2320においては、左端部の傾斜が右端部の傾斜よりも緩やかであり、グラフ形状が比較的左右非対称になっている。これは、図8Aに示す例ではオルソKレンズの中心位置と角膜頂点位置とのズレが比較的小さく、オルソKレンズの効果が概ね期待通りに発揮されているのに対し、図8Bに示す例ではズレが比較的大きく、オルソKレンズの効果が十分に得られていない。
このように、図8Aに示す例によれば、角膜頂点と矯正中心との一致度が高く、オルソKレンズのフィッティングが良好であること、非球面形状(オルソKレンズの形状又はその近似形状)が角膜頂点を中心に対称であり、オルソKレンズが角膜に良くマッチしていることが分かる。更には、オルソKレンズの中心領域のベースカーブなどの各種レンズパラメータが適切であり、狙い通りの(狙いに近い)角膜曲率分布が達成されていることが分かる。
一方、図8Bに示す例によれば、角膜頂点と矯正中心との一致度が低く、オルソKレンズのフィッティングが不良であり、、非球面形状が角膜頂点に対して非対称であり、オルソKレンズが角膜にマッチしていないことが分かる。更には、オルソKレンズの中心領域のベースカーブなどの各種レンズパラメータが適切でなく、狙い通りの角膜曲率分布が達成されていないことが分かる。これらは、夜間にオルソKレンズがずれた可能性があることを示唆する。このズレが大きいと、視力に悪影響を及ぼすおそれがある。
評価部2233は、これら評価指標を定量化及び/又は定性化するように構成されていてもよい。例えば、評価部2233は、角膜頂点と矯正中心との一致度を偏位Δの大きさに基づき定量的及び/又は定性的に表現することや、曲率分布グラフの対称度を定量的及び/又は定性的に表現することが可能である。ここで、対称度の定量化は、例えば、曲率分布グラフの左側部分の面積と右側部分の面積との差又は比を求める演算や、曲率分布グラフと対称曲線との差分の左右差を求める演算などを含んでいてよい。
ステップS20(オルソKレンズの処方の見直し)においては、例えば、オルソKレンズの各種パラメータの見直し、最適値の探索、シミュレーションなどが行われる。オルソKレンズのパラメータとしては、レンズ全体の径、レンズ中心部のベースカーブの径、オプティカルゾーン(トリートメントゾーン)の弦(chord)の寸法、遷移ゾーン(リターンゾーン)の幅・深さ、ペリフェラルゾーン(ランディングゾーン)の径・角度・幅、末端部の幅、屈折力などがある。
<第3の態様>
第3の態様に係る眼科装置について説明する。以下、特に言及しない限り、第2の態様における用語、符号等を準用する。
第2の態様と同様に、本態様は、眼の角膜頂点を基準としてオルソKレンズが処方された場合に適用される。また、第2の態様と同様に、本態様は、眼の角膜頂点を基準としてオルソKレンズが適切に装着された場合には、オルソKレンズを外した後の角膜頂点が変形中心(フィッティング中心等)に一致するはずであることを前提とする。
一方、第2の態様と異なり、本態様では、眼に乱視があること、及び、オルソKレンズにより変形した角膜の形状(非球面性)が非等方的であることを仮定する。ここで、眼に乱視があることは、例えば、眼の乱視度の測定値が所定閾値を超えることを意味し、そのような眼に対して本態様を適用することが可能である。
本態様は、第2の態様と同様の構成及び機能を有する眼科装置によって実現可能である。ただし、第2の態様が無乱視眼を対象とするのに対し、本態様は乱視眼を対象としているため、第2の態様における図7のステップS17の代わりに、例えば、以下に示す近似式(バイコーニック面の式)が角膜形状データのフィッティングに適用される。
本態様において適用される近似式は、典型的には、次のように表現される:z = ((cxx2+cyy2)/(1+√(1-(1+kx)cx
2x2-(1+ky)cy
2y2))) + AR((1-AP)x2+(1+AP)y2)2 + BR((1-BP)x2+(1+BP)y2)3 + CR((1-CP)x2+(1+CP)y2)4。ここで、zはZ軸に平行な面のサグ量、xはX座標、yはY座標、cxはX方向の曲率、cyはY方向の曲率、kxはX方向のコーニック係数、kyはY方向のコーニック係数、AR、BR及びCRはそれぞれコーニックの4次、6次及び8次の回転対称部の係数、AP、BP及びCPはそれぞれコーニックの4次、6次及び8次の非回転対称部の係数である。ここで、xを(x-x0)とし且つyを(y-y0)とすれば、任意の中心位置(x0,y0)に関する非球面式を表現することができる。なお、特殊な場合として、kx=kyとし且つcx=cyとすれば、第2の態様と同様の点対称のコーニック面の式が得られる。
特徴点設定部2232は、このような数式による非球面フィッティングを角膜形状データに適用する。この非球面フィッティングは、例えば、角膜頂点を中心とする非球面フィッティング、又は、任意中心の非球面フィッティングであってよい。
本態様では眼Eは乱視眼と仮定しているので、互いに異なる2つ(以上)の経線についてフィッティングが実行される。典型的には、互いに直交する2つの経線についてフィッティングが行われる。2つの経線は、典型的には、眼Eの乱視軸方向に沿った経線とこれに直交する経線である。すなわち、特徴点設定部2232は、まず、角膜の第1の経線について、2次元の中心対称な非球面フィッティングを適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求める。次に、特徴点設定部2232は、第1の経線とは異なる第2の経線について同様のフィッティングを行って、その中心(フィッティング中心)の座標を求める。或いは、角膜形状データが3次元データである場合においては、特徴点設定部2232は、バイコーニック面の数式によるフィッティングをこの角膜形状データに適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求めることができる。
以上に説明した事項以外の事項については、第2の態様を本態様に適用することが可能である。
<第4の態様>
第4の態様に係る眼科装置について説明する。以下、特に言及しない限り、第2の態様における用語、符号等を準用する。
第2の態様及び第3の態様とは異なり、本態様は、眼の瞳孔を基準としてオルソKレンズが処方された場合に適用される。本態様では、オルソKレンズを外した後の瞳孔中心が矯正中心に一致するはずであることを前提とする。また、第2の態様と同様に、眼Eが無乱視眼であること、及び、オルソKレンズにより変形した角膜の形状(非球面性)が等方的であることを仮定する。本態様は、第2の態様と同様の構成及び機能を有する眼科装置によって実現可能である。
第2の態様と同様に、データ処理部223は、第1解析部2231と、特徴点設定部2232と、評価部2233とを含む(図6を参照)。また、眼屈折力算出部221は、角膜形状測定部1020の一部(第2解析部)として機能する(図6を参照)。更に、前眼部観察系5は、眼Eの第1撮影画像と第2撮影画像とを取得する。
第1撮影画像は、眼Eの特定部位(本態様では瞳孔中心)を検出するために第1解析部2231に提供される。前眼部観察系5は、眼Eの瞳孔が描出された第1撮影画像を取得する。第1解析部2231は、例えば、前眼部観察系5により眼Eを正面から撮影して得られた第1撮影画像を解析して瞳孔縁を検出し、この瞳孔縁に楕円フィッティングを適用して瞳孔縁を近似する楕円を求め、この楕円の中心を求める。この楕円中心は、瞳孔中心の2次元位置データとして採用される。他の例において、第1解析部2231は、前眼部観察系5により眼Eを正面から撮影して得られた第1撮影画像を解析して瞳孔縁又は瞳孔領域を検出し、その重心を求めてもよい。この楕円重心は、楕円中心の2次元位置データとして採用される。更に他の例において、第1の態様で説明したステレオ撮影が可能である場合、第1解析部2231は、互いに異なる方向から撮影された2つの第1撮影画像(2つの前眼部像)に対して同様の処理を適用することで、瞳孔中心の3次元位置データを求めることができる。本態様では、前眼部撮影系5と、第1解析部2231とを含む要素群が、第1の態様の特定部位検出部1010として機能する。
第2撮影画像は、眼Eの角膜形状を測定するために眼屈折力算出部221(第2解析部)に提供される。眼屈折力算出部221は、ケラト測定又は角膜トポグラフィによる測定データである角膜形状データ(典型的には、角膜曲率分布データ又は角膜曲率半径分布データ)を生成する。眼屈折力算出部221(第2解析部)は、第1の態様の角膜形状測定部1020と同様のデータ処理を実行するように構成されている。本態様の前眼部観察系5及び眼屈折力算出部221(第2解析部)は、第1の態様の角膜形状測定部1020として機能する。
眼屈折力算出部221により得られた角膜形状データは、特徴点設定部2232に提供される。特徴点設定部2232は、第1の態様の特徴点設定部1030として機能し、これと同様のデータ処理を実行するように構成されている。なお、本態様における特徴点は、任意の矯正中心であってよく、典型的には角膜頂点の検出位置又は変形中心の推定位置である。変形中心は、典型的にはフィッティング中心である。
評価部2233は、第1解析部2231により検出された瞳孔中心と、特徴点設定部2232により設定された特徴点(矯正中心)とに基づいて、眼Eに対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行する。評価部2233は、第1の態様の評価部1040として機能し、これと同様のデータ処理を実行するように構成されている。
本態様に係る眼科装置2000の動作について説明する。眼科装置2000の動作の例を図9に示す。眼科装置2000の図示しない記憶装置には、図9に示す動作例を実現するためのソフトウェアが記憶されている。眼科装置2000は、このソフトウェアにしたがって動作することにより、図9に示す一連の処理を実行する。
(S31:オルソKレンズを眼から外す)
まず、評価対象のオルソKレンズを眼Eから外す。
(S32:アライメント等の準備動作を行う)
次に、第1の態様のステップS2と同じ要領で、所定の準備動作が行われる。
(S33:角膜へのパターン光の投射を開始する)
次に、眼科装置2000は、ケラト測定系3又は角膜トポグラフィ系によって、眼Eの角膜にパターン光を投射する。パターン光の投射は、少なくとも、前眼部像が取得されるまで継続される。
(S34:前眼部像をキャプチャする)
次に、眼科装置2000は、角膜にパターン光が投射されている状態の眼Eの前眼部像を取得する。典型的には、眼科装置2000は、ステップS12において前眼部観察系5による前眼部の動画撮影を開始し、ステップS33の後に得られたフレームをキャプチャする。
(S35:瞳孔中心を検出する)
第1解析部2231は、ステップS34で取得された前眼部像を解析して瞳孔中心を検出する。
(S36:眼の角膜形状データを生成する)
眼屈折力算出部221(第2解析部)は、ステップS34で取得された前眼部像を解析して角膜形状データ(例えば、角膜曲率分布データ又は角膜曲率半径分布データ)を生成する。また、眼屈折力算出部221(第2解析部)は、角膜曲率分布データを2回積分して得られる高さ分布データを角膜形状データとして生成してもよい。
(S37:角膜形状データから矯正中心を決定する)
特徴点設定部2232は、ステップS36で取得された角膜形状データから特徴点を設定する。本動作例では、特徴点として任意の矯正中心が求められる。矯正中心は、典型的には角膜中心又はフィッティング中心である。
矯正中心として角膜中心を求める場合、特徴点設定部2232は、例えば、第2の態様における図7のステップS15と同様の角膜中心検出処理を実行する。矯正中心としてフィッティング中心を求める場合、特徴点設定部2232は、例えば、第2の態様における図7のステップS15と同様の非球面フィッティングを実行する。
(S38:瞳孔中心と矯正中心の偏位を算出する)
評価部2233は、ステップS35で検出された瞳孔中心の位置データと、ステップS37で決定された矯正中心の位置データとを比較し、これらの間の偏位Δを算出する。
(S39:偏位>閾値?)
評価部2233は、ステップS38で算出された偏位Δを既定の閾値と比較する。眼科装置2000は、この比較結果を表示部270によって表示する。
偏位Δが閾値を超えると判定された場合(S39:Yes)、処理はステップS40に移行する。一方、偏位Δが閾値以下であると判定された場合(S39:No)、本動作例の処理は終了となる(エンド)。
(S40:オルソKレンズの処方を見直す)
偏位Δが閾値を超えると判定された場合(S39:Yes)、ユーザ(医師等)は、眼Eに対するオルソKレンズの処方を見直す。
眼科装置2000は、ステップS39で実行された評価の結果や、ステップS40でなされた処方の見直しの結果を出力、保存、記録することができる。また、図9に示すステップの順序を任意に変更することができる。
本態様におけるオルソKレンズの装着状態の評価について図10A及び図10Bを参照しつつ説明する。ここで、図10Aは装着状態が良好な場合に相当し、図10Bは不良な場合に相当する。
図10Aに示す角膜トポマップ2500は角膜曲率分布を表現したマップであるとして説明するが、他の分布が適用される場合においても同様の事項が成立する。符号2510は、角膜の所定の経線を示す。符号2520は、経線2510上における曲率分布を表すグラフである。符号2530は、曲率分布グラフ2520に非球面フィッティングを適用して決定された矯正中心(フィッティング中心)を示す。符号2600は、前眼部像を解析して検出された瞳孔中心の位置を示す。
ここで、瞳孔中心位置2600は図9のステップS35で取得されたデータの例であり、フィッティング中心2520はステップS37で取得されたデータの例である。この場合、ステップS38により、瞳孔中心位置2600とフィッティング中心2530との偏位Δ3(経線2510に沿った方向における偏位)が算出される。
ステップS39では、偏位Δ3が閾値を超えるか否か判定される。本例では、偏位Δ3は閾値以下と判定され、現在使用されているオルソKレンズ(その装着状態)は適切であるとの評価結果が得られ、ステップS40のオルソKレンズの処方の見直しは行われない。ただし、偏位Δ3、角膜トポマップ2500、曲率分布グラフ2520、他の検査データ、問診データなどを参照してユーザがオルソKレンズの処方の見直しを行うことを妨げるものではない。
一方、図10Bの符号2700は、別の角膜トポマップを示す。符号2710は、角膜の所定の経線を示す。符号2720は、経線2710上における曲率分布を表すグラフである。符号2730は、曲率分布グラフ2720に非球面フィッティングを適用して決定された矯正中心(フィッティング中心)を示す。符号2800は、前眼部像を解析して検出された瞳孔中心の位置を示す。
図10Aに示す例と同様に、瞳孔中心位置2800は図9のステップS35で取得されたデータの例であり、フィッティング中心2720はステップS37で取得されたデータの例である。この場合、ステップS38により、瞳孔中心位置2800とフィッティング中心2730との偏位Δ4(経線2710に沿った方向における偏位)が算出される。
ステップS39では、偏位Δ4が閾値を超えるか否か判定される。本例では、偏位Δ4は閾値を超えると判定され、現在使用されているオルソKレンズ(その装着状態)は適切ではないとの評価結果が得られ、ステップS40のオルソKレンズの処方の見直しが行われる。ただし、ユーザは、偏位Δ4、角膜トポマップ2700、曲率分布グラフ2720、他の検査データ、問診データなどを参照してオルソKレンズの処方の見直しを行ってもよい。
曲率分布グラフの傾斜、曲率分布グラフの対称性、評価指標の定量化及び定性化、オルソKレンズの処方の見直しなどについては、第2の態様のそれらと同様であってよい。
<第5の態様>
第5の態様に係る眼科装置について説明する。以下、特に言及しない限り、上記の態様における用語、符号等を準用する。
第4の態様と同様に、本態様は、眼の瞳孔を基準としてオルソKレンズが処方された場合に適用される。また、第4の態様と同様に、本態様は、眼の瞳孔中心を基準としてオルソKレンズが適切に装着された場合には、オルソKレンズを外した後の瞳孔中心が矯正中心(角膜中心、フィッティング中心など)に一致するはずであることを前提とする。
一方、第4の態様と異なり、本態様では、眼に乱視があること、及び、オルソKレンズにより変形した角膜の形状(非球面性)が非等方的であることを仮定する。ここで、眼に乱視があることは、例えば、眼の乱視度の測定値が所定閾値を超えることを意味し、そのような眼に対して本態様を適用することが可能である。
本態様は、第4の態様と同様の構成及び機能を有する眼科装置によって実現可能である。ただし、第4の態様が無乱視眼を対象とするのに対し、本態様は乱視眼を対象としているため、第4の態様における図9のステップS37の代わりに、例えば、第3の態様で説明したバイコーニック面の近似式が角膜形状データのフィッティングに適用される。すなわち、本態様の特徴点設定部2232は、バイコーニック面の近似式による非球面フィッティングを角膜形状データに適用する。この非球面フィッティングは、例えば、角膜頂点を中心とする非球面フィッティング、又は、任意中心の非球面フィッティングであってよい。
本態様では眼Eは乱視眼と仮定しているので、互いに異なる2つ(以上)の経線についてフィッティングが実行される。典型的には、互いに直交する2つの経線についてフィッティングが行われる。2つの経線は、典型的には、眼Eの乱視軸方向に沿った経線とこれに直交する経線である。すなわち、特徴点設定部2232は、まず、角膜の第1の経線について、2次元の中心対称な非球面フィッティングを適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求める。次に、特徴点設定部2232は、第1の経線とは異なる第2の経線について同様のフィッティングを行って、その中心(フィッティング中心)の座標を求める。或いは、角膜形状データが3次元データである場合においては、特徴点設定部2232は、バイコーニック面の数式によるフィッティングをこの角膜形状データに適用し、その中心(フィッティング中心)の座標を求めることができる。
以上に説明した事項以外の事項については、第4の態様を本態様に適用することが可能である。
<効果>
以上に説明した例示的態様に係る眼科装置の幾つかの効果について説明する。
例示的態様に係る眼科装置は、特定部位検出部と、角膜形状測定部と、特徴点設定部と、評価部とを含む。例えば、眼科装置1000は、特定部位検出部1010と、角膜形状測定部1020と、特徴点設定部1030と、評価部1040とを含む。また、眼科装置2000は、前眼部観察系5及び第1解析部2231を含む特定部位検出部と、前眼部観察系5及び眼屈折力算出部221(第2解析部)を含む角膜形状測定部と、特徴点設定部2232と、評価部2233とを含む。
特定部位検出部は、オルソKレンズを外した後の眼の特定部位を検出するように構成されている。特定部位は、例えば、角膜頂点又は瞳孔中心である。角膜形状測定部は、当該眼の角膜形状を測定するように構成されている。特徴点設定部は、角膜形状測定部によって取得された角膜形状データから特徴点を設定するように構成されている。評価部は、特定部位検出部によって検出された特定部位と、特徴点設定部によって設定された特徴点とに基づいて、当該眼に対する当該オルソKレンズの装着状態の評価を実行するように構成されている。
このような例示的態様によれば、オルソKレンズの装着位置の適否判定を自動で行うことができる。したがって、周辺視野の屈折状態がどのようになっているか(つまり、夜間にオルソKレンズが適切な位置に装着されていたか否か)の判断材料や、期待された屈折矯正効果が実際に得られているか否かの判断材料を、ユーザ(医師等)に提供することが可能である。
例示的態様に係る眼科装置において、特徴点設定部は、中心対称な式による角膜形状データの近似式に基づいて特徴点を設定するように構成されていてもよい。この近似式は、例えば、中心対称な曲面の式又は曲線の式である。このような構成によれば、中心対称な形状のオルソKレンズにより変形された角膜の形状に合わせて近似(フィッティング)を行うことが可能になる。
例示的態様において、近似式として用いられる中心対称な式は、非球面式であってよい。すなわち、特徴点設定部は、所定の非球面式による角膜形状データの近似式に基づき特徴点を設定するように構成されていてもよい。このような構成によれば、非球面形状の部分を有するオルソKレンズにより変形された角膜の形状に合わせてフィッティングを行うことが可能になる。
例示的態様において、所定の非球面式は、コーニック面の式又はバイコーニック面の式を少なくとも含む式であってもよい。このような構成によれば、コーニック形状又はバイコーニック形状の部分を有するオルソKレンズにより変形された角膜の形状に合わせてフィッティングを行うことが可能になる。
例示的態様において、所定の非球面式は、コーニック面の式に偶数次の多項式を加算した式又はバイコーニック面の式に偶数次の多項式を加算した式であってもよい。このような非球面式を用いることで、変曲点を有する形状のオルソKレンズにより変形された角膜の形状に対する非球面フィッティングを高い精度で行うことが可能になる。
例示的態様において、所定の非球面式がコーニック面の式を少なくとも含む場合、角膜の少なくとも1つの方向(経線)に関してフィッティングを行ってもよい。すなわち、特徴点設定部は、コーニック面の式を少なくとも含む非球面式により少なくとも1方向において角膜形状データの近似を行うように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば無乱視眼のように角膜形状の非球面性が等方的であるである場合においては1つ(以上)の経線についてコーニック面の式によるフィッティングを好適に行うことが可能であり、また、例えば乱視眼のように角膜形状の非球面性が非等方的である場合においては2つ(以上)の経線についてコーニック面の式によるフィッティングを好適に行うことが可能である。
例示的態様において、所定の非球面式がコーニック面の式を少なくとも含む場合、角膜の互いに直交する2つの方向(2つの経線)に関してそれぞれフィッティングを行ってもよい。すなわち、特徴点設定部は、コーニック面の式を少なくとも含む非球面式により互いに直交する2方向のそれぞれにおいて角膜形状データの近似を行うように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば乱視眼のように角膜形状の非球面性が非等方的である場合において、互いに直交する2つの経線についてコーニック面の式によるフィッティングを好適に行うことが可能である。
例示的態様において、所定の非球面式がコーニック面の式を少なくとも含む場合、角膜の乱視軸方向及びこれに直交する方向に関してそれぞれフィッティングを行ってもよい。すなわち、特徴点設定部は、コーニック面の式を少なくとも含む非球面式により眼の乱視軸方向及びこれに直交する方向のそれぞれにおいて角膜形状データの近似を行うように構成されていてもよい。このような構成によれば、乱視眼に対するコーニック面の式によるフィッティングを好適に行うことが可能である。
例示的態様において、所定の非球面式がバイコーニック面の式を少なくとも含む場合、3次元的なフィッティングを行ってもよい。すなわち、特徴点設定部は、バイコーニック面の式を少なくとも含む3次元非球面式により角膜形状データの近似を行うように構成されていてもよい。このような構成によれば、角膜の3次元形状に合わせてフィッティングを好適に行うことが可能である。
例示的態様において、特徴点設定部は、中心対称な式による角膜形状データの近似式の中心を、角膜形状データに基づく特徴点として設定するように構成されていてもよい。このような構成によれば、中心対称な形状のオルソKレンズにより変形された角膜の特徴点を、中心対称な式によるフィッティングに基づき好適に設定することが可能である。
例示的態様において、特定部位検出部は、角膜頂点を特定部位として検出するように構成されていてもよく、且つ、評価部は、この角膜頂点と中心対称な式による近似式の中心との間の偏位に基づいて、当該眼に対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行するように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば角膜頂点を基準に処方されたオルソKレンズの評価を好適に行うことが可能である。
例示的態様において、特定部位検出部は、瞳孔中心を特定部位として検出するように構成されていてもよく、且つ、評価部は、この瞳孔中心と中心対称な式による近似式の中心との間の偏位に基づいて、当該眼に対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行するように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば瞳孔を基準に処方されたオルソKレンズの評価を好適に行うことが可能である。
例示的態様において、角膜形状測定部は、角膜の曲率分布データ又は曲率半径分布データを角膜形状データとして取得するように構成されていてもよい。このような構成によれば、ケラトメータや角膜トポグラファやOCT装置等の一般的な角膜形状測定装置により得られた角膜形状データを、オルソKレンズの評価に利用することが可能になる。
例示的態様において、角膜形状測定部は、角膜の高さ分布データを角膜形状データとして取得するように構成されていてもよい。このような構成によれば、一般的な角膜形状測定装置により得られた角膜形状データを2回積分して求められる高さ分布データを、オルソKレンズの評価に利用することが可能になる。
例示的態様は、眼を撮影する撮影部とプロセッサとを含む眼科装置を制御する方法を提供することができる。例えば、眼科装置1000は、前眼部を撮影する撮影部(光学系、撮像素子、カメラ等)と、(1以上の)プロセッサとを含んでいる。また、眼科装置2000は、撮影系として機能する前眼部観察系5と、プロセッサを具備したコンピュータとを含んでいる。
例示的態様に係る制御方法は、第1の制御ステップにおいて、オルソKレンズを外した後の眼の第1撮影画像及び第2撮影画像を取得するために撮影部を制御する。更に、第2の制御ステップにおいて、当該眼の特定部位を検出するために第1撮影画像を解析するようにプロセッサを制御する。また、第3の制御ステップにおいて、当該眼の角膜形状データを取得するために第2撮影画像を解析するようにプロセッサを制御する。更に、第4の制御ステップにおいて、第3の制御ステップに基づき取得された角膜形状データから特徴点を設定するようにプロセッサを制御する。加えて、第5の制御ステップにおいて、第2の制御ステップで検出された特定部位と、第4の制御ステップで設定された特徴点とに基づいて、当該眼に対するオルソKレンズの装着状態の評価を実行するようにプロセッサを制御する。
このような眼科装置の制御方法に対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
例示的態様に係る制御方法をコンピュータを含む眼科装置に実行させるプログラムを提供することができる。このプログラムに対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
例示的態様に係る制御方法、プログラム、又は記録媒体によれば、オルソKレンズの装着位置の適否判定を眼科装置に実行させることが可能になる。それにより、周辺視野の屈折状態がどのようになっているか(つまり、夜間にオルソKレンズが適切な位置に装着されていたか否か)の判断材料や、期待された屈折矯正効果が実際に得られているか否かの判断材料を、眼科装置からユーザ(医師等)に直接的に又は間接的に提供することが可能になる。
<他の態様>
上記の例示的態様では、眼を撮影する機能(撮影部)を具備した眼科装置について説明したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、以下に説明する眼科情報処理装置は、撮影機能を有する他の眼科装置により取得された眼の画像を受けて一連の処理を実行するコンピュータである。
例示的態様に係る眼科情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、ローカルエリアネットワーク(LAN)上に設けられたサーバ、ワイドエリアネットワーク(WAN)上に設けられたサーバ(クラウドサーバ等)、又は、他の形態のコンピュータを含んでいてよい。
例示的態様に係る眼科情報処理装置の構成を図11に示す。眼科情報処理装置3000は、画像受付部3010と、第1解析部3020と、第2解析部3030と、特徴点設定部3040と、評価部3050と、制御部3060とを含む。
画像受付部3010は、他の眼科装置により眼を撮影して取得された画像を受け付ける。画像受付部3010は、例えば、通信デバイス及びドライブ装置のいずれかを含む。
画像受付部3010の通信デバイスは、例えば、他の眼科装置からネットワークを介して撮影画像を受信する。或いは、画像受付部3010の通信デバイスは、他の眼科装置から画像アーカイビングシステムなどに保存された撮影画像をネットワークを介して受信する。
画像受付部3010のドライブ装置は、他の眼科装置により取得されて記録媒体に記録された撮影画像を、当該記録媒体から読み出す。
画像受付部3010は、オルソKレンズを外した後の眼の第1撮影画像と第2撮影画像とを受け付ける。第1撮影画像及び第2撮影画像については、第2の態様のそれらと同様である。典型的には、画像受付部3010により受け付けられた第1撮影画像及び第2撮影画像は記憶装置(図示せず)に保存され、第1撮影画像は制御部3060により第1解析部3020に提供され、第2撮影画像は制御部3060により第2解析部3030に提供される。
第1解析部3020は、眼科装置1000の特定部位検出部1010のプロセッサと同様のデータ処理(眼科装置2000の第1解析部2231と同様のデータ処理)を実行するように構成されており、第1撮影画像を解析して特定部位を検出するように機能する。
第2解析部3030は、眼科装置1000の角膜形状測定部1020のプロセッサと同様のデータ処理(眼科装置2000の眼屈折力算出部221と同様のデータ処理)を実行するように構成されており、第2撮影画像を解析して角膜形状データを取得するように機能する。
特徴点設定部3040は、眼科装置1000の特徴点設定部1030と同様のデータ処理(眼科装置2000の特徴点設定部2232と同様のデータ処理)を実行するように構成されており、第2解析部3030により取得された角膜形状データから特徴点を設定するように機能する。
評価部3050は、眼科装置1000の評価部1040と同様のデータ処理(眼科装置2000の評価部2233と同様のデータ処理)を実行するように構成されており、第1解析部3020により検出された特定部位と特徴点設定部3040により設定された特徴点とに基づいて、当該眼に対する当該オルソKレンズの装着状態の評価を実行するように機能する。
制御部3060は、眼科情報処理装置3000の各部を制御する。制御部3060は、制御プログラムにしたがって動作するプロセッサを含む。
このように構成された眼科情報処理装置3000によれば、他の眼科装置により取得された眼の撮影画像に基づいて、オルソKレンズの装着位置の適否判定を自動で行うことができる。したがって、周辺視野の屈折状態がどのようになっているか(つまり、夜間にオルソKレンズが適切な位置に装着されていたか否か)の判断材料や、期待された屈折矯正効果が実際に得られているか否かの判断材料を、ユーザ(医師等)に提供することが可能である。
例示的態様において、眼科情報処理装置3000をネットワーク上に設置し、複数の眼科装置からの撮影画像を処理可能に構成することができる。これにより、各眼科装置にオルソKレンズ評価機能を設けることなく、眼科情報処理装置3000が評価処理を集中的に(一元的に)行うことができる。この構成によれば、オルソKレンズの装着状態の評価サービスを広く提供することが可能になる。
このような眼科情報処理装置3000に対して、例示的態様に係る眼科装置(1000、2000)に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
例示的態様は、プロセッサを含む眼科情報処理装置を制御する方法を提供することができる。例えば、眼科情報処理装置3000は、(1以上の)プロセッサを含んでいる。眼科装置2000のコンピュータ9も同様である。
例示的態様に係る制御方法は、第1の制御ステップにおいて、眼の特定部位を検出するために、オルソKレンズを外した後の当該眼の第1撮影画像を解析するようにプロセッサを制御する。第2の制御ステップにおいて、当該眼の角膜形状データを取得するために、当該眼の第2撮影画像を解析するようにプロセッサを制御する。第3の制御ステップにおいて、第2の制御ステップで取得された角膜形状データから特徴点を設定するようにプロセッサを制御する。第4の制御ステップにおいて、第1の制御ステップで検出された特定部位と、第3の制御ステップで設定された特徴点とに基づいて、当該眼に対する当該オルソケラトロジーレンズの装着状態の評価を実行するようにプロセッサを制御する。
このような眼科情報処理装置の制御方法に対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、このような眼科情報処理装置の制御方法に対して、例示的態様に係る眼科情報処理装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
例示的態様に係る制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することができる。このプログラムに対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、このプログラムに対して、例示的態様に係る眼科情報処理装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的態様に係る眼科装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、この記録媒体に対して、例示的態様に係る眼科情報処理装置に関して説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
例示的態様に係る制御方法、プログラム、又は記録媒体によれば、オルソKレンズの装着位置の適否判定をコンピュータに実行させることが可能になる。それにより、周辺視野の屈折状態がどのようになっているか(つまり、夜間にオルソKレンズが適切な位置に装着されていたか否か)の判断材料や、期待された屈折矯正効果が実際に得られているか否かの判断材料を、コンピュータからユーザ(医師等)に直接的に又は間接的に提供することが可能になる。
以上に説明した幾つかの態様は、この発明の実施態様の例示に過ぎない。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。