JP4878604B2 - 眼科用検査装置 - Google Patents
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Description
図27に眼の断面構造を示す。符号10が眼球の前面にある透明な膜である角膜、符号12が水晶体の前方に位置し、入力する光の量を調整することを主な働きとする虹彩、符号14が水晶体、符号16がゼリー状の透明な組織からなる硝子体である。水晶体14はチン小帯を介して毛様体17に吊されるようにして支持されている。
角膜10と水晶体14、虹彩12によって囲まれる領域を前房18といい、虹彩12と硝子体16とで囲まれた部分を後房という。前房18と後房19は透明な房水によって満たされている。房水は酸素や栄養分を眼内の各組織に運び、眼内各組織の老廃物を眼外に運ぶ作用をなすものであり、毛様体17でつくりだされ、後房19から前房18に向けて循環した後、角膜10と虹彩12によって挟まれた角の部分(図のA部分:隅角という)から静脈中に排出される。
この開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障のうち、開放隅角緑内障は隅角部分の形状は健常者と非常に類似しているため隅角所見から診断することは難しいが、閉塞隅角緑内障については隅角や前房の深さを調べ、その間隔が狭くなっている場合には、閉塞隅角緑内障が発症する可能性があるとして治療を施すことによって緑内障の発症を未然に防止することが可能である。
したがって、このように検査用のレンズを使用して検査する方法は、実際には、緑内障のおそれがある場合に、眼科医が行っている程度である。
この方法は角膜と虹彩との間隔を単に視認してその間隔の広狭を定性的に評価するだけであり、検査用のレンズを使用して診断する方法にくらべるとはるかに精度が落ちるという問題と、虹彩の基部(隅角)についてはその間隔を明確に見ることが難しく、的確な診断が難しいという問題がある。
しかし、前房深度だけを測定できたとしても、虹彩の位置はわかるが、さらに正確に眼生理機能や眼疾患病態を把握するには、虹彩の形状を知ることが必要である。
虹彩の形状が分かれば閉塞隅角緑内障を発症しやすいかどうか、また前房圧と後房圧のいずれの圧力が高いか、などの状態を把握することができる。例えば、虹彩の表面形状が曲率半径の小さい円弧であれば、隅角にある房水の出口が圧迫されており閉塞隅角緑内障を発症しやすいなどの病態を把握することができる。
すなわち、本発明にかかる眼科用検査装置によれば、被検眼の前眼部を検査するための眼科用検査装置において、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を投射するスリット光投射光学系と、該スリット光投射光学系によって投射されるスリット光を走査させるように、スリット光投射光学系を移動制御する駆動装置と、前記スリット光投射光学系によって投射されたスリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を、スリット光の移動に合わせて複数回撮影する撮影光学系と、前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の複数の位置における前房深度を算出するステップと、算出された複数の前房深度に基づいて虹彩表面の複数の位置座標を算出するステップと、算出された複数の位置座標に基づいて、虹彩の曲率半径を算出するステップとを実行するデータ解析部とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することにより、測定した前房深度に基づいて虹彩の曲率半径を算出できるので、定量的な虹彩の形状を知ることができる。
この構成によれば、中心側と周辺側の曲率半径を比較することができる。このため、様々な症例の判定をすることができる。
この構成によれば、まず二次曲線に近似させ、その後線形最小二乗法によって円の方程式の初期値を算出し、この初期値を用いて非線形最小二乗法を用いて円に近似させるので、虹彩の表面形状を精度良く円にあてはめることができ、虹彩の形状の定量的な把握がしやすい。
すなわち、円の中心位置が虹彩の後房側にある場合には、虹彩が角膜側に突出する方向に形成されていることが把握でき、円の中心位置が虹彩よりも角膜側にある場合には、外傷等で虹彩が変形しているということを把握することができる。
本発明に係る眼科用検査装置は、被検者の眼にスリット光を投射し、被検眼の角膜および虹彩の断面画像を撮影することによって前眼部の断面形状を、検査用のレンズ等を使用することなく定量的に測定可能としたものであり、特に虹彩の形状を円に近似した上でその曲率半径を算出できるようにしたものである。
本実施形態の眼科用検査装置20は、スリット光投射光学系70a,70bおよび撮影光学系80等を含む測定光学系を収納する測定部30と、測定部30を3軸駆動により位置制御する駆動装置44および測定部30での測定データを解析するデータ解析部45および動作制御部46を収納する架台部40と、測定操作を行うための操作パネル50とを有している。
眼科用検査装置20は、架台部40の上方に測定部30が配置され、測定部30の上方に操作パネル50が配置されて構成される。
操作パネル50は前面に検査結果等を表示するモニター部53が設けられ、モニター部53の周縁部に操作ボタン54が配されている。この操作パネル50は、モニターアーム52により、測定部30の上方で水平方向に揺動可能に設けられ、本実施形態では、装置の前面側で左右に約45°の角度範囲(全回動角は90°)で揺動可能である。また、操作パネル50の後面には、小型のプリンタ55が設置され、計測結果をプリントして出力することが可能となっている。
操作ボタン54は、動作制御部46に接続され、操作された際に操作ボタン54から出力される操作信号に基づいて動作制御部46が該当する動作を実行するように制御可能となる。また、モニター部53は、データ解析部45に接続され、解析された検査結果を表示させる。同様に、プリンタ55もデータ解析部45に接続され、測定者の操作に応じて解析結果を出力するように制御される。
透過窓111,113は、瞳孔径が大きい被検者を検査する際に縮瞳させる操作を行うため、縮瞳用の光源95からの投射光を被検眼に投射するための透過窓である。
また、中段の透過窓112は、左右方向および上下方向(X−Y方向)の位置合わせに用いられる光源の透過窓である。
動作制御部46は、CPU47と、ROM49およびRAM48から成るメモリとを有している。ROM49には、予め所定の動作をCPU47に実行させて動作制御を実行させるための制御プログラムが記憶されている。CPU47が、ROM49内の制御プログラムを読み出して実行することによって駆動装置44並びにスリット光投射光学系70a,70b、アライメント光学系90及び撮影光学系80が所定の動作を行うように、制御信号を出力する。
データ解析部45は、撮影された画像データに基づいてデータ解析を実行する機能を有しており、架台部40内に設けられている。
データ解析部45は、CPU100と、ROM103およびRAM102から成るメモリと、ハードディスク等の記憶装置104とを有している。ROM103またはハードディスク104には、予め所定の動作をCPU100に実行させてデータ解析を行うためのデータ解析プログラムが記憶されている。CPU100が、ROM103またはハードディスク104内のデータ解析プログラムを読み出して実行することによって検査装置におけるデータ解析を実現できる。なお、データ解析プログラムとしては、表計算アプリケーションソフトのマクロ機能で簡易的に実現することも可能である。
図5は、測定部30に設けられているスリット光投射光学系70a、70bと撮影光学系80と、アライメント光学系90と、縮瞳用の光源95を示す。
本実施形態においては、スリット光投射光学系70a,70bを右眼用と左眼用とで独立させ、右眼と左眼の検査に応じて、右眼用のスリット光投射光学系70aと左眼用のスリット光投射光学系70bを使用するように構成している。スリット光投射光学系70a、70bは、スリット光を投射する光源としてのハロゲンランプ71、複数の光学レンズからなる光学系72a、72b、スリット73およびミラー74とを備える。これらのスリット光投射光学系70a、70bは被検眼の視軸に対して所定角度傾斜した方向(本実施形態では角度60°)からスリット光が投射されるように設定されている。
なお、83は固視灯の光源であり、84は光源83からの光を被検眼に向けて反射するミラーである。本実施形態では、撮影光学系の受光量をできるだけ阻害しないように、細幅に形成したミラー84を使用して固視灯を呈示するようにしている。
縮瞳用の光源95は、白色LEDを光源として使用し、測定部30の前部近傍に配置される。本実施形態の装置では、縮瞳用として白色LEDを4個配置している。
3軸制御の駆動装置は、底板をX−Y方向およびZ方向へ移動制御し、スリット光投射光学系70a、70bおよび撮影光学系80を含む測定光学系をX−Y方向およびZ方向に移動制御する。なお、X−Y方向とは鉛直面内での移動方向をいい、Z方向とは水平方向の移動方向をいう。具体的には、X方向が目に対して横方向(水平方向)、Y方向が目に対して上下方向(鉛直方向)、Z方向が目に対して前後方向(水平方向)をいう。
本実施形態では、X方向(被検眼に対して左右方向に移動する方向)には右眼と左眼の検査用として100mm程度移動するように設定され、Y方向には±15mm、Z方向(被検眼に対して前後方向に移動する方向)には±15mm移動可能に設けられている。
まず、被検者を検査装置の前に座らせ、顎受け61と額当て62により被検者の頭部が位置ずれしないようにした後、被検者に固視灯を注視するように促す。
本実施形態においては、図6に示すように、ミラー84を使用して固視光源を呈示するようにしている。ミラー84を使用する場合は、撮影光学系80の光路を遮ることになるから、本実施形態では、光路を広く遮らないように、ミラー84を上下方向に細長い形状(1mm幅)にするとともに、ミラー84の上下中央部に固視用の黒点Bを設けている。図のA部分は、光源83の光(赤色)がミラー84によって反射される領域(視野角度10°)を示す。
ミラー84を使用する方法は、ミラー84のかわりにハーフミラーを使用する方法とくらべて、撮影光学系80による被検眼からの反射光の受光量が減じることを抑えることができ、測定精度を上げることが出来るという利点がある。
固視ができたところで、右眼の検査を開始する。測定の開始操作は、操作パネル50の操作ボタン54を測定者等の人が押下することによって行う。もちろん、左眼から検査を開始してもよい。
操作ボタン54が押下されると、動作制御部46およびデータ解析部45が、制御プログラムおよびデータ解析プログラムに基づき、以下の動作を実行する。
測定開始後に、最初に行われる操作は、オートアライメント・測定操作(ステップS100)である。
動作制御部46は、測定開始時に被検眼の位置に測定光学系を正確に位置合わせするアライメント制御を行う。本実施形態の検査装置におけるアライメント制御は、以下のようにして行う。
図9に、撮影光学系80のCCDカメラ82で見た被検眼の様子を示している。図9の左図には、CCDカメラ82の光軸に対して右斜め上に3つの光が写っていることが確認できる。この3つの光のうち左右両側の光は、透過窓112から透過された位置合わせ用の光源からの反射光であり、中央の光は固視灯83の反射光である。
図9の右図が位置合わせ用の光源からの反射光の中心を撮影光学系80の光軸に合わせたところを示す。このように、位置合わせ用の光源からの反射光の中心を撮影光学系80の光軸に合わせることにより、左右方向および上下方向(X−Y方向)の位置合わせができる。
このようなアライメントは、データ解析部45が検知した位置合わせ用の反射光の位置に基づいて、動作制御部46が、測定部30をX−Y方向に移動調節することで実行される。
一方、図10のII図は、基準となるべき位置よりも角膜が後方に位置している場合である。このとき、アライメント光学系90から入射されたアライメント光は被検眼の角膜の左側で反射するので、角膜からの反射光は撮影光学系80のCCDカメラ82から見ると光軸よりも右側にずれる。
こうして、データ解析部45では、CCDカメラ82から見たアライメント光の光軸に対するずれを検出し、動作制御部46が測定部30の前後方向の位置を調節することによって角膜の頂部にスリット光投射光学系70a、70bの投射位置を合致させることができる。
アライメント操作によって測定光学系の中心光軸は被検眼の瞳孔の中心(被検眼の頂点)に位置合わせされているから、この点で左右のスリット光投射光学系70a、70bからスリット光を投射し、撮影光学系で被検眼からの反射光を視認する。スリット光は角膜の前面と後面で反射し、角膜の厚さ部分を検出することができる。そして、データ解析部45は、左右のスリット光投射光学系70a、70bによる測定値を平均して中心角膜厚とする。左右のスリット光投射光学系70a、70bを用いて測定することで、測定精度を高めることができる。実際の角膜の厚さは、データ解析部45において、検出結果データを角膜の屈折率等を考慮して換算して求められる。
動作制御部46は、測定光学系を被検眼の頂点位置に合致するように位置合わせし、その状態から上述したように測定光学系を移動(ステップS208)させる。データ解析部45は、この位置で角膜の曲率を検出する(ステップS210)。
角膜の曲率半径の測定は、被検眼の角膜の頂点位置と検査装置の光学系のフォーカス位置(光路の交差位置)が一致した状態から、所定距離(本実施形態では3.9mm)検査装置の光学系を被検眼の奥側に移動させた位置でデータ解析部45が画像を取り込むことによってなされる。
図11は、被検眼に対してスリット光1が角膜の頂点位置からDだけ奥側に移動した状態を拡大して示す。同図でスリット光2は、測定光学系を被検眼の頂点位置から横方向に移動させた状態でのスリット光である。
データ解析部45は、スリット光2を仮想的に延長し、z軸と交わるまでの延長線をa、そのz軸方向の長さをb、aのy軸方向の長さをh、aとz軸とのなす角をθとする。角膜頂点からスリット光2が眼に入射するまでのz軸方向の長さをzとする。
すなわち、b=h/tanθ、z=D−b=D−h/tanθ、c=R−z、
R2−h2=c2 →R2−h2=(R−z)2→R=(z2+h2)/2z
=((D−h/tanθ)2+h2)/2(D−h/tanθ)
なお、hの値は画像データを換算して求めるものである。
本実施形態においては、動作制御部46が、スリット光投射光学系70a、70bを瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向け、60°の投射角度を維持したまま前眼部を走査するように移動させ、データ解析部45がデータを取得する。スキャン移動に要する時間は0.5秒間程度である。短時間で検査することによって、固視の揺れや瞬きを防止して測定精度を上げることができる。
スリット光投射光学系70a、70bからは被検眼に対して斜め方向からスリット光を投射するから、被検眼が右眼か左眼かによってスリット光の投射方向を左方向と右方向に変え、瞳孔の中心側から耳側にスリット光を移動させて、鼻などでスリット光が遮られないようにして測定する。
図12は、実際の測定データの例を示すもので、測定光学系をスキャン移動して得られた画像データを示す。スキャン移動の際には瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向けて所定間隔で21枚の画像データが取得される。
角膜の後方で白く光っている部分が虹彩の像である。この虹彩の断面像から、角膜の後方に所定間隔をあけて虹彩があること、虹彩の周辺部に近づくにしたがって、角膜との間隔が狭くなってくることがわかる。
ただし、前房深度の解析に際しては、測定データについて補正を行うことによって、より精度の高い検査結果を得ることが可能である。
図13は、測定データを補正するとともに、虹彩形状を定量的に算出するフロー図を示す。
測定データを補正する操作としては、まず、測定中に被検者の頭が動いたり、眼が固視されていなかったりしたことによって、誤った測定データが得られることがあることを補正する。このため、データ解析部は、画像として取り込まれている固視灯の位置と理論的な固視灯の位置からのずれ(X−Y方向のずれに相当する)を検出し、その検出値に基づいて測定データを補正する(ステップS300)。これによってより正確な前房深度を得ることができる。
また、前房深度測定では、測定光学系をスキャン移動させながら一定間隔でデータを収集するから、角膜上皮の位置は変化量がほぼ一定の状態で移動していく。しかしながら、角膜から強膜に移る位置までくると、その変化量が変わる(やや、膨らみ状となる)。ステップS304では、データ解析部45が、この角膜上皮の位置の変化量から角膜の輪部を決定し、ステップS306及びステップS308で角膜厚と角膜曲率半径から前房深度の測定データに補正を加える。
そこで、上述したように固視灯の位置や、角膜の位置と比較することによって測定データを補正する方法は、測定時に顔が位置ずれしたような場合でも、正確な測定結果を得ることが可能になり、より精度の高い測定が可能になる。
データ解析部45は、この図14に示した結果を用い、補正を加えられた前房深度に基づいて虹彩の形状を定量的に算出するステップS310を実行する。
データ解析部45は、ステップS202で規定した角膜頂点を原点Oとし、後房側をZ方向、スリット光の移動方向をX方向にとり、虹彩の表面の位置座標に基づいて、虹彩の表面を円の方程式で近似し、この円の方程式に基づいて半径rを算出する。また、データ解析部45は、円の中心位置(x、z)を算出する。
図16に示す例では、虹彩の曲率半径が8.5mmであり、虹彩の角膜側への突出が大きいものを示している。このような虹彩が検出された場合、一般的に遠視であり、前房深度が狭く閉塞隅角緑内障を発症する危険性が高い。
図17に示す例は、図16に示した被検者に対して水晶体摘出術及び人工レンズ挿入術を施工したものを示している。このような手術により、虹彩面がほぼ平坦になった(曲率半径115mm)。そして、前房深度は非常に広くなり、閉塞隅角緑内障の発症の危険性はほとんど無くなった。
図18に示す例は、虹彩の近似円の中心が虹彩よりも角膜側に中心を有しており、通常の場合と湾曲方向が反対となっている(曲率半径−22.3mm)。この例では、外傷によって隅角が損傷したと考えられる。
まず、ステップS400において、データ解析部45は、図14に示したような前房深度の測定結果に基づいて、虹彩表面にスリット光が投射された各点における位置座標(xi、zi)を算出する。
各位置座標(xi、zi)は、スリット光の角膜内皮面における交点(xθi、zθi)と、角膜内皮面から前房内へスリット光が出射したときの出射角θとに基づいて算出される。
具体的には、以下のような式に基づいて算出が可能である。
xi=xθi−Δx=xθi−ACDsinθ
zi=zθi+Δz=zθi+ACDcosθ
ここで、Δxは、位置xiから位置xθiまでのX方向の距離である。Δzは、位置ziから位置zθiまでのZ方向の距離である。ACDは、算出された前房深度(ACD:Anterior Chamber Depth)である。
なお、スリット光の角膜内皮面における交点(xθi、zθi)および角膜内皮面から前房内へスリット光が出射したときの出射角θは、標準的な眼の形状をモデルとして光線追跡をして算出する。
ここで得られる二次曲線は、z=ax2+bx+cで表すことができ、このステップS402で二次方程式の定数a、b、c、を算出する。
ここで得られる円の方程式は、(x−x0)2+(z−z0)2=r2で表すことができ、このステップS404で円の中心位置の初期値(x0、z0)と、円の半径の初期値rを算出する。
ここで得られる円の方程式は、
f(x、z)=(x−x0)2+(z−z0)2−r2
で表すことができ、このステップS406で最終的に、虹彩表面の形状に近似した円の方程式が算出される。
そして、ステップS410では、データ解析部45は算出された円の方程式に基づいて、モニター部53に円の中心位置(x0、z0)と、円の半径rを表示させるようにデータを出力する。
図21(a)は、単に測定された虹彩の表面形状を表しており、図21(b)では、二次曲線近似を行わずに円近似を行った場合を示しており、図21(c)では、二次曲線近似を行ってから円近似を行った場合を示している。これらの図を比較すると分かるように、本来の虹彩の表面形状は必ずしも円の一部に合致するものではないが、二次曲線近似を行ってから円近似を行うことで、極めて虹彩の表面形状に沿った形状の円近似を行え、虹彩の表面形状の定量的な把握を正確に行える。
データ解析部45は、ステップS100によりオートアライメント・測定操作が終了した後、瞳孔径の判定を行う(ステップS102)。瞳孔径の判定とは、瞳孔径には個人差があり、瞳孔径が大きい人の場合には前房深度の測定ポイント数が少なくなるために、正確な前房深度が測定できないことから、そのような場合には、強制的に縮瞳させ(ステップS103)、測定ポイント数を増やして測定しなおすことができるようにするためのものである。
縮瞳させる操作は、測定部30に設けられた白色LEDの光源95を点灯することによって行う。白色LED光源を点灯することで、強制的に縮瞳され、前房深度の測定ポイント数を増やして測定することができる。
右眼の測定終了後、両眼の測定が終了しているか判断し(ステップS110)、左眼の測定が終了していない場合は左眼の測定位置へ測定光学系を移動させ(ステップS111)、左眼について上述したと同様の方法によって測定する。こうして、両眼について測定することができる。
本実施形態では、データ解析部45は、虹彩表面にスリット光が投射された各点における位置座標(xi、zi)を算出した後、この位置座標に基づいて虹彩の表面を中心側と周辺側の2つに分割して、それぞれの曲率半径を算出する。
なお、虹彩表面を2つに分割する位置の算出は、スリット光による全測定点の数を2で割って、測定点の数が半分になるところで、中心側と、周辺側に分割するようにしている。
図23には、健常者の例を示す。図面左側が虹彩全体で円近似した曲率半径を示しており、図面右側が中心側と周辺側の2箇所でそれぞれ円近似した曲率半径を示している。
この健常者の例では、中心側の曲率半径が小さく、周辺側の曲率半径が大きくなっている。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較してもそれほど大きな違いは見られない。しかし、中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側の曲率半径と周辺側の曲率半径がほぼ同じであり、健常者と比較してそれぞれの曲率半径が小さくなっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較すると、曲率半径が小さくなっていることが検出できる。さらに、中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側では角膜側に円の中心が位置して下向きに凸となっており、周辺側では極めて曲率半径が小さくなっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較すると、曲率半径が大きくなっていることが検出できるが、さらに中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側でやや曲率半径が小さく、周辺側では角膜側に円の中心が位置して極めて小さい曲率半径で下向きに凸となっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
また、測定操作は、操作パネル50の操作ボタンを押すだけで完全自動化されていること、操作パネル50が被検者側に向けて配置されていることから、被検者が自分で操作パネル50を操作して、測定者がついていなくても検査することが可能である。
例えば、以下のように応用することができると考えられる。
30 測定部
32 ケーシング
40 架台部
44 駆動装置
45 データ解析部
46 動作制御部
47 CPU
48 RAM
49 ROM
50 操作パネル
52 モニターアーム
53 モニター部
54 操作ボタン
55 プリンタ
61 顎受け
62 額当て
63 顎台部
64 ハンドル
70a,70b スリット光投射光学系
71 ハロゲンランプ
73 スリット
74 ミラー
80 撮影光学系
81 顕微鏡光学系
82 CCDカメラ
83 光源
84 ミラー
90 アライメント光学系
92 スリット
93 ミラー
95 光源
97 ミラー
99 ビームスプリッター
100 CPU
102 RAM
103 ROM
104 記憶装置
110 窓
111,112,113 透過窓
Claims (5)
- 被検眼の前眼部を検査するための眼科用検査装置において、
被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を投射するスリット光投射光学系と、
該スリット光投射光学系によって投射されるスリット光を走査させるように、スリット光投射光学系を移動制御する駆動装置と、
前記スリット光投射光学系によって投射されたスリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を、スリット光の移動に合わせて複数回撮影する撮影光学系と、
前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の複数の位置における前房深度を算出するステップと、算出された複数の前房深度に基づいて虹彩表面の複数の位置座標を算出するステップと、算出された複数の位置座標に基づいて、虹彩の曲率半径を算出するステップとを実行するデータ解析部とを具備することを特徴とする眼科用検査装置。 - 前記データ解析部は、
虹彩の中心側における第1の曲率半径および、虹彩の周辺側における第2の曲率半径を算出することを特徴とする請求項1記載の眼科用検査装置。 - 前記データ解析部は、
虹彩の曲率半径を算出する際に、
算出された複数の位置座標を最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を二次曲線で近似するステップと、
算出された二次曲線を線形最小二乗法に基づいて円の方程式に近似させて、円の中心及び円の半径を算出するステップと、
算出された円の中心及び円の半径を初期値として非線形最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を円の方程式に近似させるステップとを実行することにより、虹彩の曲率半径を算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の眼科用検査装置。 - 前記データ解析部は、
非線形最小二乗法によって得られた近似円の中心位置が、虹彩に対して角膜側にあるか後房側にあるかを検出することを特徴とする請求項3記載の眼科用検査装置。 - 算出された曲率半径を表示する表示部を具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の眼科用検査装置。
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