JP4878604B2 - 眼科用検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は緑内障等の眼科疾患の検査に使用する眼科用検査装置に関する。
緑内障は、主に眼圧の上昇が原因として視神経が冒され、視野異常や視力低下を来す疾患であり、眼科での失明原因の上位にある疾患である。
図27に眼の断面構造を示す。符号10が眼球の前面にある透明な膜である角膜、符号12が水晶体の前方に位置し、入力する光の量を調整することを主な働きとする虹彩、符号14が水晶体、符号16がゼリー状の透明な組織からなる硝子体である。水晶体14はチン小帯を介して毛様体17に吊されるようにして支持されている。
角膜10と水晶体14、虹彩12によって囲まれる領域を前房18といい、虹彩12と硝子体16とで囲まれた部分を後房という。前房18と後房19は透明な房水によって満たされている。房水は酸素や栄養分を眼内の各組織に運び、眼内各組織の老廃物を眼外に運ぶ作用をなすものであり、毛様体17でつくりだされ、後房19から前房18に向けて循環した後、角膜10と虹彩12によって挟まれた角の部分(図のA部分:隅角という)から静脈中に排出される。
眼圧は眼球内の圧力を示し、房水の産生、排出のバランスによって決定される。すなわち、房水の排出能力が低下するか、産生能力が亢進すると眼圧は上昇し、逆に排出能力が亢進するか、産生能力が低下すると眼圧は低下する。緑内障は、ほとんどの場合、房水の量が増えることによって眼圧が上昇したことによるのではなく、房水が眼外に排出される量が減り、それによって眼圧が上昇することにより発症する。房水の産生量は眼外に排出される量に関わらず毛様体でほぼ一定であるため、隅角から排出される房水の量が抑えられると眼圧が高くなる。
このように眼外に房水が排出される量が減少し眼圧が上昇する原因としては、房水が排出される隅角に形成されている網目状の組織、線維柱帯、における房水の透過性が低下し、房水が排出されにくくなる場合(開放隅角緑内障)と、隅角部そのものが本来狭く、何らかの理由で前房18と後房19の圧格差が生じた際に、虹彩12が背面側から角膜10の側に押され、虹彩12の根部が隅角部を閉塞するために房水が排出されなくなる場合(閉塞隅角緑内障)とがある。
開放隅角緑内障は眼圧上昇がゆるやかで症状がゆっくり進行するのに対して、閉塞隅角緑内障は房水の出口が塞がれることによって急激に眼圧が上がり、症状が急速に進んで、数日のうちに失明する場合もあるといった差異がある。開放隅角緑内障と発作前の閉塞隅角緑内障はともに自覚症状がないことと、とくに閉塞隅角緑内障は発症すると症状が急激に進む性質があることから、発症の危険性があるか否かをあらかじめ診断することはきわめて重要である。
この開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障のうち、開放隅角緑内障は隅角部分の形状は健常者と非常に類似しているため隅角所見から診断することは難しいが、閉塞隅角緑内障については隅角や前房の深さを調べ、その間隔が狭くなっている場合には、閉塞隅角緑内障が発症する可能性があるとして治療を施すことによって緑内障の発症を未然に防止することが可能である。
緑内障の発症を未然に防止すべく、角膜内皮面と虹彩との間隔(前房深度)を調べることが眼科医によって行われている。この方法では、眼科医が、角膜に検査用のレンズ(隅角鏡)を当てて前房部分の形状を視認しており、潜在患者をみつけるため多数人に対してこのような専門的な診断検査を行なわなくてはならない。
したがって、このように検査用のレンズを使用して検査する方法は、実際には、緑内障のおそれがある場合に、眼科医が行っている程度である。
なお、検査用のレンズを使用せずに、スリット光(スリットランプ)を使用して角膜と虹彩との間隔を検査する方法もある。
この方法は角膜と虹彩との間隔を単に視認してその間隔の広狭を定性的に評価するだけであり、検査用のレンズを使用して診断する方法にくらべるとはるかに精度が落ちるという問題と、虹彩の基部(隅角)についてはその間隔を明確に見ることが難しく、的確な診断が難しいという問題がある。
そこで、本発明者等は、眼科診療において、検査用のレンズを使用するといった専門医でなければならない操作によらずに閉塞隅角緑内障あるいは前房部分における眼科疾患についての検査が可能で、これによって被検者に負担を強いることなく検査することができる検査装置を提案した(特許文献1)。
特開2006−87614号公報
上述した従来の検査装置では、虹彩と角膜内皮面との間の距離である前房深度を容易に測定することが可能になった。
しかし、前房深度だけを測定できたとしても、虹彩の位置はわかるが、さらに正確に眼生理機能や眼疾患病態を把握するには、虹彩の形状を知ることが必要である。
虹彩の形状が分かれば閉塞隅角緑内障を発症しやすいかどうか、また前房圧と後房圧のいずれの圧力が高いか、などの状態を把握することができる。例えば、虹彩の表面形状が曲率半径の小さい円弧であれば、隅角にある房水の出口が圧迫されており閉塞隅角緑内障を発症しやすいなどの病態を把握することができる。
なお、画像として虹彩の形状を把握できればよいのであれば、図28に示すように、超音波生体顕微鏡で詳細な写真を撮像することもできる。しかしながら、超音波生体顕微鏡であっても、虹彩の形状を定量的に把握することができない。
このように、従来からの装置では、虹彩の形状を定量的に把握できないため、眼生理機能や眼疾患病態を正確に把握することができず、虹彩の形状を定量的に測定して眼生理機能や眼疾患病態をさらに容易且つ正確に把握できる装置が望まれているという課題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、容易且つ正確に眼生理機能や眼疾患病態を把握できるように、虹彩の形状を定量的に測定可能な眼科用検査装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明にかかる眼科用検査装置によれば、被検眼の前眼部を検査するための眼科用検査装置において、被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を投射するスリット光投射光学系と、該スリット光投射光学系によって投射されるスリット光を走査させるように、スリット光投射光学系を移動制御する駆動装置と、前記スリット光投射光学系によって投射されたスリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を、スリット光の移動に合わせて複数回撮影する撮影光学系と、前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の複数の位置における前房深度を算出するステップと、算出された複数の前房深度に基づいて虹彩表面の複数の位置座標を算出するステップと、算出された複数の位置座標に基づいて、虹彩の曲率半径を算出するステップとを実行するデータ解析部とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することにより、測定した前房深度に基づいて虹彩の曲率半径を算出できるので、定量的な虹彩の形状を知ることができる。
また、前記データ解析部は、虹彩の中心側における第1の曲率半径および、虹彩の周辺側における第2の曲率半径を算出することを特徴としてもよい。
この構成によれば、中心側と周辺側の曲率半径を比較することができる。このため、様々な症例の判定をすることができる。
また、前記データ解析部は、虹彩の曲率半径を算出する際に、算出された複数の位置座標を最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を二次曲線で近似するステップと、算出された二次曲線を線形最小二乗法に基づいて円の方程式に近似させて、円の中心及び円の半径を算出するステップと、算出された円の中心及び円の半径を初期値として非線形最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を円の方程式に近似させるステップとを実行することにより、虹彩の曲率半径を算出することを特徴としてもよい。
この構成によれば、まず二次曲線に近似させ、その後線形最小二乗法によって円の方程式の初期値を算出し、この初期値を用いて非線形最小二乗法を用いて円に近似させるので、虹彩の表面形状を精度良く円にあてはめることができ、虹彩の形状の定量的な把握がしやすい。
さらに、前記データ解析部は、非線形最小二乗法によって得られた近似円の中心位置が、虹彩に対して角膜側にあるか後房側にあるかを検出することを特徴としてもよい。
すなわち、円の中心位置が虹彩の後房側にある場合には、虹彩が角膜側に突出する方向に形成されていることが把握でき、円の中心位置が虹彩よりも角膜側にある場合には、外傷等で虹彩が変形しているということを把握することができる。
なお、算出された曲率半径を表示する表示部を具備することを特徴としてもよい。
本発明に係る眼科用検査装置によれば、被検眼の虹彩の形状を定量的な測定データとして検知することができ、これによって被検者の眼科疾患、たとえば閉塞隅角緑内障の発症の可能性等について的確な検査を行うことが可能となる。
以下、本発明に係る眼科用検査装置の具体例について図面とともに詳細に説明する。
本発明に係る眼科用検査装置は、被検者の眼にスリット光を投射し、被検眼の角膜および虹彩の断面画像を撮影することによって前眼部の断面形状を、検査用のレンズ等を使用することなく定量的に測定可能としたものであり、特に虹彩の形状を円に近似した上でその曲率半径を算出できるようにしたものである。
図1は、本発明に係る眼科用検査装置20の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。図2は眼科用検査装置20全体の内部構成を示すブロック図である。
本実施形態の眼科用検査装置20は、スリット光投射光学系70a,70bおよび撮影光学系80等を含む測定光学系を収納する測定部30と、測定部30を3軸駆動により位置制御する駆動装置44および測定部30での測定データを解析するデータ解析部45および動作制御部46を収納する架台部40と、測定操作を行うための操作パネル50とを有している。
眼科用検査装置20は、架台部40の上方に測定部30が配置され、測定部30の上方に操作パネル50が配置されて構成される。
操作パネル50は、測定者等が本検査装置を操作するためのものであり、架台部40の後部に立設されたモニターアーム52により、測定部30の上方位置に支持されている。
操作パネル50は前面に検査結果等を表示するモニター部53が設けられ、モニター部53の周縁部に操作ボタン54が配されている。この操作パネル50は、モニターアーム52により、測定部30の上方で水平方向に揺動可能に設けられ、本実施形態では、装置の前面側で左右に約45°の角度範囲(全回動角は90°)で揺動可能である。また、操作パネル50の後面には、小型のプリンタ55が設置され、計測結果をプリントして出力することが可能となっている。
操作ボタン54は、動作制御部46に接続され、操作された際に操作ボタン54から出力される操作信号に基づいて動作制御部46が該当する動作を実行するように制御可能となる。また、モニター部53は、データ解析部45に接続され、解析された検査結果を表示させる。同様に、プリンタ55もデータ解析部45に接続され、測定者の操作に応じて解析結果を出力するように制御される。
測定部30に設けられた、被検者の右眼あるいは左眼に向けて前房深度を計測するためのスリット光を投射するスリット光投射光学系70a,70bと、被検眼と測定光学系とを正確に位置合わせするためのアライメント光を投射するアライメント光学系90と、被検眼からの反射光を検知する撮影光学系80は、測定部30の外面を覆うように設けられたケーシング32内に収納されている。
ケーシング32の前面には、撮影光学系80用の窓110が設けられている。この窓110の左右両側のそれぞれには、上下方向に3つ並ぶ透過窓111,112,113が設けられている。
透過窓111,113は、瞳孔径が大きい被検者を検査する際に縮瞳させる操作を行うため、縮瞳用の光源95からの投射光を被検眼に投射するための透過窓である。
また、中段の透過窓112は、左右方向および上下方向(X−Y方向)の位置合わせに用いられる光源の透過窓である。
架台部40の前側には、被検者の頭部を支持するための顎受け61と額当て62が配置されている。顎受け61は顎台部63に支持され、顎台部63から両側方に延出するハンドル64を回動操作することにより、顎受け61が上下動して被検者の眼の高さ位置が調節可能となっている。
図3に、動作制御部のブロック図を示す。
動作制御部46は、CPU47と、ROM49およびRAM48から成るメモリとを有している。ROM49には、予め所定の動作をCPU47に実行させて動作制御を実行させるための制御プログラムが記憶されている。CPU47が、ROM49内の制御プログラムを読み出して実行することによって駆動装置44並びにスリット光投射光学系70a,70b、アライメント光学系90及び撮影光学系80が所定の動作を行うように、制御信号を出力する。
図4に、データ解析部のブロック図を示す。
データ解析部45は、撮影された画像データに基づいてデータ解析を実行する機能を有しており、架台部40内に設けられている。
データ解析部45は、CPU100と、ROM103およびRAM102から成るメモリと、ハードディスク等の記憶装置104とを有している。ROM103またはハードディスク104には、予め所定の動作をCPU100に実行させてデータ解析を行うためのデータ解析プログラムが記憶されている。CPU100が、ROM103またはハードディスク104内のデータ解析プログラムを読み出して実行することによって検査装置におけるデータ解析を実現できる。なお、データ解析プログラムとしては、表計算アプリケーションソフトのマクロ機能で簡易的に実現することも可能である。
また、上述してきた形態では、動作制御部46とデータ解析部45とで異なるCPUが、動作制御およびデータ解析のそれぞれの機能を実行するように説明してきたが、実際には動作制御部46とデータ解析部45とで1つのCPUが共通に用いられ、この1つのCPUが動作制御とデータ解析の両方の機能を実行するようにしてもよい。
続いて、測定部30に設けられている測定光学系の構成について説明する。
図5は、測定部30に設けられているスリット光投射光学系70a、70bと撮影光学系80と、アライメント光学系90と、縮瞳用の光源95を示す。
本実施形態においては、スリット光投射光学系70a,70bを右眼用と左眼用とで独立させ、右眼と左眼の検査に応じて、右眼用のスリット光投射光学系70aと左眼用のスリット光投射光学系70bを使用するように構成している。スリット光投射光学系70a、70bは、スリット光を投射する光源としてのハロゲンランプ71、複数の光学レンズからなる光学系72a、72b、スリット73およびミラー74とを備える。これらのスリット光投射光学系70a、70bは被検眼の視軸に対して所定角度傾斜した方向(本実施形態では角度60°)からスリット光が投射されるように設定されている。
撮影光学系80は、左右に配置されたスリット光投射光学系70a、70bに挟まれた中央位置に配置される。撮影光学系80は、顕微鏡光学系81とCCDカメラ82とを備える。CCDカメラ82は光軸に対して所定角度傾けるようにして制御される。図5で1の位置は、被検眼にスリット光を位置合わせするオートアライメント操作時におけるCCDカメラの向き、2は左眼用のスリット光投射光学系70bを使用する場合のCCDカメラの向き、3は右眼用のスリット光投射光学系70aを使用する場合のCCDカメラの向きを示す。
なお、83は固視灯の光源であり、84は光源83からの光を被検眼に向けて反射するミラーである。本実施形態では、撮影光学系の受光量をできるだけ阻害しないように、細幅に形成したミラー84を使用して固視灯を呈示するようにしている。
アライメント光学系90は、アライメント光として用いる赤色光あるいは赤外光を放射するLED91、スリット92、ミラー93からなる。アライメント光学系90の撮影光学系80の光軸に対して水平面内で対称配置には、LED91の反射光を撮影光学系80に入力させるためのミラー97が配置されている。撮影光学系80の光軸上には、ビームスプリッター99が配置されており、ミラー97によって反射されたアライメント光学系90の反射光を撮影光学系80と同一の光軸に入力させて、CCDカメラ82によって撮影できるようにする。
縮瞳用の光源95は、白色LEDを光源として使用し、測定部30の前部近傍に配置される。本実施形態の装置では、縮瞳用として白色LEDを4個配置している。
これらのスリット光投射光学系70a、70bおよび撮影光学系80等からなる測定光学系は測定部30の底板を支持ステージとして固定支持され、底板が架台部40に収納されている3軸制御による駆動装置に固定されている。3軸制御による駆動装置は、スライドガイド等のガイド機構と、ボールねじおよびボールねじを回動駆動するサーボモータ等の駆動部を備える公知の機構による。
3軸制御の駆動装置は、底板をX−Y方向およびZ方向へ移動制御し、スリット光投射光学系70a、70bおよび撮影光学系80を含む測定光学系をX−Y方向およびZ方向に移動制御する。なお、X−Y方向とは鉛直面内での移動方向をいい、Z方向とは水平方向の移動方向をいう。具体的には、X方向が目に対して横方向(水平方向)、Y方向が目に対して上下方向(鉛直方向)、Z方向が目に対して前後方向(水平方向)をいう。
本実施形態では、X方向(被検眼に対して左右方向に移動する方向)には右眼と左眼の検査用として100mm程度移動するように設定され、Y方向には±15mm、Z方向(被検眼に対して前後方向に移動する方向)には±15mm移動可能に設けられている。
次に、図1に示した眼科用検査装置を用いて、実際に検査を行う場合の操作方法、および検査によって得られるデータの解析方法等について、各図面とともに説明する。
まず、被検者を検査装置の前に座らせ、顎受け61と額当て62により被検者の頭部が位置ずれしないようにした後、被検者に固視灯を注視するように促す。
本実施形態においては、図6に示すように、ミラー84を使用して固視光源を呈示するようにしている。ミラー84を使用する場合は、撮影光学系80の光路を遮ることになるから、本実施形態では、光路を広く遮らないように、ミラー84を上下方向に細長い形状(1mm幅)にするとともに、ミラー84の上下中央部に固視用の黒点Bを設けている。図のA部分は、光源83の光(赤色)がミラー84によって反射される領域(視野角度10°)を示す。
ミラー84をこのように細長く形成すると、測定開始時のセッティング時に、被検眼が正規の位置からずれていて、被検者からは黒点Bを視認できない場合でも、赤色のA部分については容易に視認することが可能になる。赤色が視認できた場合には、ハンドル64を回して、黒点Bが見える位置に頭部の高さを調節することができる。
ミラー84を使用する方法は、ミラー84のかわりにハーフミラーを使用する方法とくらべて、撮影光学系80による被検眼からの反射光の受光量が減じることを抑えることができ、測定精度を上げることが出来るという利点がある。
図7に、眼科用検査装置の全体動作を説明するフロー図を示す。
固視ができたところで、右眼の検査を開始する。測定の開始操作は、操作パネル50の操作ボタン54を測定者等の人が押下することによって行う。もちろん、左眼から検査を開始してもよい。
操作ボタン54が押下されると、動作制御部46およびデータ解析部45が、制御プログラムおよびデータ解析プログラムに基づき、以下の動作を実行する。
測定開始後に、最初に行われる操作は、オートアライメント・測定操作(ステップS100)である。
図8に、オートアライメント・測定動作の制御フローを示す。
動作制御部46は、測定開始時に被検眼の位置に測定光学系を正確に位置合わせするアライメント制御を行う。本実施形態の検査装置におけるアライメント制御は、以下のようにして行う。
図9に、撮影光学系80のCCDカメラ82で見た被検眼の様子を示している。図9の左図には、CCDカメラ82の光軸に対して右斜め上に3つの光が写っていることが確認できる。この3つの光のうち左右両側の光は、透過窓112から透過された位置合わせ用の光源からの反射光であり、中央の光は固視灯83の反射光である。
図9の右図が位置合わせ用の光源からの反射光の中心を撮影光学系80の光軸に合わせたところを示す。このように、位置合わせ用の光源からの反射光の中心を撮影光学系80の光軸に合わせることにより、左右方向および上下方向(X−Y方向)の位置合わせができる。
このようなアライメントは、データ解析部45が検知した位置合わせ用の反射光の位置に基づいて、動作制御部46が、測定部30をX−Y方向に移動調節することで実行される。
図10に前後方向のアライメント制御の原理図を示す。本実施形態の眼科用検査装置では、アライメント光学系90が右側位置に配置されており、アライメント光学系90からアライメント光を被検眼に向けて投射し、角膜から反射されるアライメント光が左側のミラー97を経てCCDカメラ82によって検知されることによってアライメントする。アライメント光には赤外線を使用している。
図10のI図は、基準となるべき位置よりも角膜が前方に位置している場合である。このとき、アライメント光学系90から入射されたアライメント光は被検眼の角膜の右側で反射するので、角膜からの反射光は撮影光学系80のCCDカメラ82から見ると光軸よりも左側にずれる。
一方、図10のII図は、基準となるべき位置よりも角膜が後方に位置している場合である。このとき、アライメント光学系90から入射されたアライメント光は被検眼の角膜の左側で反射するので、角膜からの反射光は撮影光学系80のCCDカメラ82から見ると光軸よりも右側にずれる。
こうして、データ解析部45では、CCDカメラ82から見たアライメント光の光軸に対するずれを検出し、動作制御部46が測定部30の前後方向の位置を調節することによって角膜の頂部にスリット光投射光学系70a、70bの投射位置を合致させることができる。
オートアライメント操作は、前述したように、データ解析部45と動作制御部46によって、被検眼と測定光学系とをX−Y方向について位置合わせし(ステップS200)、角膜頂点位置の検出(Z方向の位置合わせ)を行う(ステップS202)ことによってなされる。
アライメント後、データ解析部45は、角膜の中心膜厚を測定する(ステップS204)。
アライメント操作によって測定光学系の中心光軸は被検眼の瞳孔の中心(被検眼の頂点)に位置合わせされているから、この点で左右のスリット光投射光学系70a、70bからスリット光を投射し、撮影光学系で被検眼からの反射光を視認する。スリット光は角膜の前面と後面で反射し、角膜の厚さ部分を検出することができる。そして、データ解析部45は、左右のスリット光投射光学系70a、70bによる測定値を平均して中心角膜厚とする。左右のスリット光投射光学系70a、70bを用いて測定することで、測定精度を高めることができる。実際の角膜の厚さは、データ解析部45において、検出結果データを角膜の屈折率等を考慮して換算して求められる。
まばたきや、眼が動いてしまった場合には、角膜厚の値が適切値として得られない。そこで、ステップS206では、データ解析部45が角膜厚の値が適切か否かを判定し、適切でないと判断した場合には、ステップS200に戻って位置合わせから再度実行され、適切であると判断した場合は、次の角膜の曲率半径を測定するために操作部30を走査開始位置に移動させるステップS208に進む。
動作制御部46は、測定光学系を被検眼の頂点位置に合致するように位置合わせし、その状態から上述したように測定光学系を移動(ステップS208)させる。データ解析部45は、この位置で角膜の曲率を検出する(ステップS210)。
図11には、角膜の曲率半径を測定する方法を示す。
角膜の曲率半径の測定は、被検眼の角膜の頂点位置と検査装置の光学系のフォーカス位置(光路の交差位置)が一致した状態から、所定距離(本実施形態では3.9mm)検査装置の光学系を被検眼の奥側に移動させた位置でデータ解析部45が画像を取り込むことによってなされる。
図11は、被検眼に対してスリット光1が角膜の頂点位置からDだけ奥側に移動した状態を拡大して示す。同図でスリット光2は、測定光学系を被検眼の頂点位置から横方向に移動させた状態でのスリット光である。
データ解析部45は、スリット光2を仮想的に延長し、z軸と交わるまでの延長線をa、そのz軸方向の長さをb、aのy軸方向の長さをh、aとz軸とのなす角をθとする。角膜頂点からスリット光2が眼に入射するまでのz軸方向の長さをzとする。
zはbと検査装置の光学系の移動量Dから求めることができ、データ解析部は、角膜の曲率半径Rを、D、h、θから次式によって求める。
すなわち、b=h/tanθ、z=D−b=D−h/tanθ、c=R−z、
2−h2=c2 →R2−h2=(R−z)2→R=(z2+h2)/2z
=((D−h/tanθ)2+h2)/2(D−h/tanθ)
なお、hの値は画像データを換算して求めるものである。
そして、データ解析部45は、得られた角膜の曲率値が適切であるかを判断し(ステップS212)、角膜の曲率値が適切であると判断されたときに、前房深度を測定する操作に移行する(ステップS214)。角膜の曲率値が適切でないと判断された場合には、再度、被検眼と測定光学系との位置合わせ(アライメント)操作に戻って測定を行う。
前房深度の測定は、動作制御部46が被検眼に対して測定光学系を水平にスキャン移動させ、スリット光投射光学系70a、70bから被検眼に投射したスリット光が被検眼から反射される光を撮影光学系80によってとらえることによってなされる。
本実施形態においては、動作制御部46が、スリット光投射光学系70a、70bを瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向け、60°の投射角度を維持したまま前眼部を走査するように移動させ、データ解析部45がデータを取得する。スキャン移動に要する時間は0.5秒間程度である。短時間で検査することによって、固視の揺れや瞬きを防止して測定精度を上げることができる。
スリット光投射光学系70a、70bからは被検眼に対して斜め方向からスリット光を投射するから、被検眼が右眼か左眼かによってスリット光の投射方向を左方向と右方向に変え、瞳孔の中心側から耳側にスリット光を移動させて、鼻などでスリット光が遮られないようにして測定する。
データ解析部45では、測定光学系がスキャン移動する際に取り込んだ角膜と虹彩等の断面画像をデータ解析し、操作パネル50のモニター部53に解析結果を表示し、測定データをプリンタ55から出力する。
図12は、実際の測定データの例を示すもので、測定光学系をスキャン移動して得られた画像データを示す。スキャン移動の際には瞳孔の中心から虹彩の周辺部に向けて所定間隔で21枚の画像データが取得される。
図中で左側で白く光っている部分が角膜の断面を示す。瞳孔の中心から虹彩の周辺部に進むにしたがって徐々に右側にずれているのは角膜が湾曲しているためである。角膜の断面(白い部分)から角膜の厚さを解析することができる。
角膜の後方で白く光っている部分が虹彩の像である。この虹彩の断面像から、角膜の後方に所定間隔をあけて虹彩があること、虹彩の周辺部に近づくにしたがって、角膜との間隔が狭くなってくることがわかる。
図12に示す測定データに基づいてデータ解析部45の解析により、前房深度を数値データとして得る(ステップS216)。
ただし、前房深度の解析に際しては、測定データについて補正を行うことによって、より精度の高い検査結果を得ることが可能である。
図13は、測定データを補正するとともに、虹彩形状を定量的に算出するフロー図を示す。
測定データを補正する操作としては、まず、測定中に被検者の頭が動いたり、眼が固視されていなかったりしたことによって、誤った測定データが得られることがあることを補正する。このため、データ解析部は、画像として取り込まれている固視灯の位置と理論的な固視灯の位置からのずれ(X−Y方向のずれに相当する)を検出し、その検出値に基づいて測定データを補正する(ステップS300)。これによってより正確な前房深度を得ることができる。
また、画像として取り込まれた角膜の像と、角膜の曲率半径から理論的に得られる位置とのずれから、Z方向の固視不良や位置ずれを計算で求めることができる。ステップS302においては、データ解析部45が、このZ方向のずれによる補正を前房深度の測定データに施す。
また、前房深度測定では、測定光学系をスキャン移動させながら一定間隔でデータを収集するから、角膜上皮の位置は変化量がほぼ一定の状態で移動していく。しかしながら、角膜から強膜に移る位置までくると、その変化量が変わる(やや、膨らみ状となる)。ステップS304では、データ解析部45が、この角膜上皮の位置の変化量から角膜の輪部を決定し、ステップS306及びステップS308で角膜厚と角膜曲率半径から前房深度の測定データに補正を加える。
なお、被検者は、測定部30に対して、正対して測定を受ける必要があるが、顔をわずかに左や右に向けた状態で顎受け61に顔をのせてしまう場合や、測定中に額当て62から額が離れてしまうような場合がある。このような場合には、右眼と左眼による測定結果に差が出るといった不正確な測定になってしまうことがある。
そこで、上述したように固視灯の位置や、角膜の位置と比較することによって測定データを補正する方法は、測定時に顔が位置ずれしたような場合でも、正確な測定結果を得ることが可能になり、より精度の高い測定が可能になる。
図14に、データ解析部45によって測定、補正された前房深度の測定結果の例を示す。ここで、測定位置とは、最初にスリット光を投射した位置を0とした場合、この位置からX方向に移動した距離(mm)を表している。
データ解析部45は、この図14に示した結果を用い、補正を加えられた前房深度に基づいて虹彩の形状を定量的に算出するステップS310を実行する。
図15に、虹彩の定量的な形状を決定する原理について示す。
データ解析部45は、ステップS202で規定した角膜頂点を原点Oとし、後房側をZ方向、スリット光の移動方向をX方向にとり、虹彩の表面の位置座標に基づいて、虹彩の表面を円の方程式で近似し、この円の方程式に基づいて半径rを算出する。また、データ解析部45は、円の中心位置(x、z)を算出する。
次に、図16〜図18に、測定された虹彩の形状の例について説明する。
図16に示す例では、虹彩の曲率半径が8.5mmであり、虹彩の角膜側への突出が大きいものを示している。このような虹彩が検出された場合、一般的に遠視であり、前房深度が狭く閉塞隅角緑内障を発症する危険性が高い。
図17に示す例は、図16に示した被検者に対して水晶体摘出術及び人工レンズ挿入術を施工したものを示している。このような手術により、虹彩面がほぼ平坦になった(曲率半径115mm)。そして、前房深度は非常に広くなり、閉塞隅角緑内障の発症の危険性はほとんど無くなった。
図18に示す例は、虹彩の近似円の中心が虹彩よりも角膜側に中心を有しており、通常の場合と湾曲方向が反対となっている(曲率半径−22.3mm)。この例では、外傷によって隅角が損傷したと考えられる。
続いて、図19のフローに基づいて、虹彩の形状を定量的に算出する方法について説明する。
まず、ステップS400において、データ解析部45は、図14に示したような前房深度の測定結果に基づいて、虹彩表面にスリット光が投射された各点における位置座標(x、z)を算出する。
この位置座標の算出の原理を図20に示す。
各位置座標(x、z)は、スリット光の角膜内皮面における交点(xθi、zθi)と、角膜内皮面から前房内へスリット光が出射したときの出射角θとに基づいて算出される。
具体的には、以下のような式に基づいて算出が可能である。
=xθi−Δx=xθi−ACDsinθ
=zθi+Δz=zθi+ACDcosθ
ここで、Δxは、位置xから位置xθiまでのX方向の距離である。Δzは、位置zから位置zθiまでのZ方向の距離である。ACDは、算出された前房深度(ACD:Anterior Chamber Depth)である。
なお、スリット光の角膜内皮面における交点(xθi、zθi)および角膜内皮面から前房内へスリット光が出射したときの出射角θは、標準的な眼の形状をモデルとして光線追跡をして算出する。
次のステップS402では、データ解析部45は、算出された虹彩表面の複数の位置(x、z)を最小二乗法によって二次曲線の方程式に近似させる。
ここで得られる二次曲線は、z=ax+bx+cで表すことができ、このステップS402で二次方程式の定数a、b、c、を算出する。
そして、データ解析部45は、ステップS404において、近似して得られた二次曲線の方程式を線形最小二乗法によって円の方程式に近似させる。線形最小二乗法では、初期値設定を必要としないので、近似は容易に行えるが精度があまり高くない。
ここで得られる円の方程式は、(x−x+(z−z=rで表すことができ、このステップS404で円の中心位置の初期値(x0、)と、円の半径の初期値rを算出する。
続いて、データ解析部45は、ステップS406において、得られた円の方程式の初期値に基づいて、非線形最小二乗法によってさらに円の方程式に近似させる。非線形最小二乗法では解が収束せずに発散する場合も生じるが、前のステップS404において算出された初期値を用いているので、確実に解を収束させることができる。
ここで得られる円の方程式は、
f(x、z)=(x−x+(z−z−r
で表すことができ、このステップS406で最終的に、虹彩表面の形状に近似した円の方程式が算出される。
そして、ステップS408おいて、データ解析部45では、円の中心位置が虹彩よりも角膜側にあるか後房側にあるかを判断する。データ解析部45は、角膜側に円の中心が存在する場合には、算出された半径rにマイナス(−)の符号を付け、測定者にわかりやすい表示・BR>ニなるようにする。
そして、ステップS410では、データ解析部45は算出された円の方程式に基づいて、モニター部53に円の中心位置(x0、)と、円の半径rを表示させるようにデータを出力する。
上述してきたように、本実施形態では、虹彩の表面形状を二次曲線近似を行った後に円近似を実行しているので、虹彩の表面形状をより正確に定量的に把握することができる。
図21(a)は、単に測定された虹彩の表面形状を表しており、図21(b)では、二次曲線近似を行わずに円近似を行った場合を示しており、図21(c)では、二次曲線近似を行ってから円近似を行った場合を示している。これらの図を比較すると分かるように、本来の虹彩の表面形状は必ずしも円の一部に合致するものではないが、二次曲線近似を行ってから円近似を行うことで、極めて虹彩の表面形状に沿った形状の円近似を行え、虹彩の表面形状の定量的な把握を正確に行える。
以下、図7のフロー図のステップS102に戻って、全体動作の説明の続きを行う。
データ解析部45は、ステップS100によりオートアライメント・測定操作が終了した後、瞳孔径の判定を行う(ステップS102)。瞳孔径の判定とは、瞳孔径には個人差があり、瞳孔径が大きい人の場合には前房深度の測定ポイント数が少なくなるために、正確な前房深度が測定できないことから、そのような場合には、強制的に縮瞳させ(ステップS103)、測定ポイント数を増やして測定しなおすことができるようにするためのものである。
図22に縮瞳させる前の状態と、縮瞳させた後の状態を説明的に示す。図22(a)は、縮瞳させる前の状態で、瞳孔径が大きいために前房深度を測定する虹彩12の領域が狭く、スリット光をスキャン移動させた際の測定ポイント数が少なくなってしまうことを示す。これに対して、図22(b)は、縮瞳させたことで虹彩12がしぼられ、前房深度の測定ポイント数が増えることを示している。
縮瞳させる操作は、測定部30に設けられた白色LEDの光源95を点灯することによって行う。白色LED光源を点灯することで、強制的に縮瞳され、前房深度の測定ポイント数を増やして測定することができる。
なお、縮瞳操作によって前房深度を測定する方法は、測定ポイント数を増やすという目的の他に、閉塞隅角緑内障の発症危険性が高い眼は、そうでない眼にくらべて、縮瞳時と通常瞳孔時における周辺前房の形態が異なると言われており、通常瞳孔時における測定結果と縮瞳時における測定結果とを比較することによって、より正確に緑内障の発症危険性を検出することが可能になる。したがって、緑内障の発症危険性があるような場合に、マニュアル的に縮瞳操作を行うようにすることもできる。
瞳孔径の判定で問題なしとされた場合には、その状態で複数回の測定を行う(ステップS104)。そして、複数回の測定データを平均化し(ステップS106)、操作パネル50のモニター部53に測定結果を表示する(ステップS108)。なお、測定データの平均化に際しては、中央値と他の測定値との差により重み付けをし、中央値に近い測定データについては測定値を4倍し、中央値からの差が大きくなるにしたがって、3倍、2倍、1倍、0倍して平均化した。
右眼の測定終了後、両眼の測定が終了しているか判断し(ステップS110)、左眼の測定が終了していない場合は左眼の測定位置へ測定光学系を移動させ(ステップS111)、左眼について上述したと同様の方法によって測定する。こうして、両眼について測定することができる。
次に、上述した虹彩全体の曲率半径を算出する実施形態ではなく、虹彩表面を2分割して虹彩の中心側と周辺側の2箇所における曲率半径を算出する実施形態について説明する。
本実施形態では、データ解析部45は、虹彩表面にスリット光が投射された各点における位置座標(x、z)を算出した後、この位置座標に基づいて虹彩の表面を中心側と周辺側の2つに分割して、それぞれの曲率半径を算出する。
なお、虹彩表面を2つに分割する位置の算出は、スリット光による全測定点の数を2で割って、測定点の数が半分になるところで、中心側と、周辺側に分割するようにしている。
データ解析部45は、図19のフローに示したように、中心側の虹彩表面の複数の位置(x、z)を最小二乗法によって二次曲線の方程式に近似させ、得られた二次曲線の方程式を線形最小二乗法によって円の方程式に近似させ、さらに、得られた円の方程式の初期値に基づいて、非線形最小二乗法によって円の方程式に近似させる。
データ解析部45は、同様に、周辺側の虹彩表面の複数の位置(x、z)を最小二乗法によって二次曲線の方程式に近似させ、得られた二次曲線の方程式を線形最小二乗法によって円の方程式に近似させ、さらに、得られた円の方程式の初期値に基づいて、非線形最小二乗法によって円の方程式に近似させる。
そして、データ解析部45は、中心側および周辺側それぞれの円の中心位置が虹彩よりも角膜側にあるか後房側にあるかを判断する。データ解析部45は、角膜側に円の中心が存在する場合には、算出された半径rにマイナス(−)の符号を付ける。
上述したように、虹彩表面を中心側と周辺側のそれぞれで円近似した曲率半径を算出することで、以下のような症例の検討に役立てることができる。
図23には、健常者の例を示す。図面左側が虹彩全体で円近似した曲率半径を示しており、図面右側が中心側と周辺側の2箇所でそれぞれ円近似した曲率半径を示している。
この健常者の例では、中心側の曲率半径が小さく、周辺側の曲率半径が大きくなっている。
図24には、閉塞隅角緑内障の例を示す。図面左側が虹彩全体で円近似した曲率半径を示しており、図面右側が中心側と周辺側の2箇所でそれぞれ円近似した曲率半径を示している。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較してもそれほど大きな違いは見られない。しかし、中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側の曲率半径と周辺側の曲率半径がほぼ同じであり、健常者と比較してそれぞれの曲率半径が小さくなっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
図25には、プラトー虹彩の例を示す。図面左側が虹彩全体で円近似した曲率半径を示しており、図面右側が中心側と周辺側の2箇所でそれぞれ円近似した曲率半径を示している。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較すると、曲率半径が小さくなっていることが検出できる。さらに、中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側では角膜側に円の中心が位置して下向きに凸となっており、周辺側では極めて曲率半径が小さくなっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
図26には、外傷性隅角損傷の例を示す。図面左側が虹彩全体で円近似した曲率半径を示しており、図面右側が中心側と周辺側の2箇所でそれぞれ円近似した曲率半径を示している。
この場合、虹彩全体の曲率半径で健常者と比較すると、曲率半径が大きくなっていることが検出できるが、さらに中心側と周辺側の2箇所で比較することにより、中心側でやや曲率半径が小さく、周辺側では角膜側に円の中心が位置して極めて小さい曲率半径で下向きに凸となっていることにより、この症例を検出することが可能となる。
虹彩表面を中心側と周辺側のそれぞれで円近似した曲率半径を算出することで、上述した例の他に、中心側で曲率半径が小さくなる傾向が強い瞳孔ブロックや、周辺側で円の中心が角膜側に位置する傾向が強いiris dispersion症候群などの症例に対する検討も可能となってくる。
なお、上述してきた各実施形態の眼科用検査装置20を使用して測定する際は、測定者が被検者の横位置で被検者を補助したり、被検者に説明したりして測定する。被検者は架台部40の前側に位置するから、測定者が被検者の近くに位置して操作できることは操作性の点で都合がよい。操作パネル50は測定部30の上方に配置され、左右に揺動可能となっているから、測定者が操作しやすい向きに操作パネル50を動かして使用することができる。また、モニター部53に表示された測定結果を被検者に示して説明する場合にも、操作パネル50を動かすことができることは有効である。
また、操作パネル50は左右方向に各々45°程度の角度範囲で揺動できるから、測定者は被検者の右側あるいは左側のどちら側でも操作することができる。また、架台部40の手前側に被検者と測定者が位置しているから、検査装置を壁際に設置して測定するといった使い方が可能であり、省スペース化を図った装置として提供できる。
また、測定操作は、操作パネル50の操作ボタンを押すだけで完全自動化されていること、操作パネル50が被検者側に向けて配置されていることから、被検者が自分で操作パネル50を操作して、測定者がついていなくても検査することが可能である。
本発明の眼科用検査装置では、虹彩形状を定量的に測定するため、生理的又は病的状態の把握に非常に有効である。
例えば、以下のように応用することができると考えられる。
閉塞隅角眼の多くは、虹彩形状が角膜側に突出しており、突出度が高いほど発症する可能性が高まる。このため、本発明の眼科用検査装置を活用することで、より高精度で閉塞隅角眼を検出できる。
虹彩形状の角膜側への突出が経時的に進行する場合、後房側の圧力が前房側よりも増強し、閉塞隅角緑内障を発症する可能性が高くなったことを示す。したがって、経時的虹彩形状の定量的評価が危険性の判定に重要である。
虹彩形状の角膜側への突出の増強は、眼房水の流出効率の悪化を来すことがあり、眼内圧の上昇や不安定化と相関性がある。したがって、虹彩形状を判定することで、眼圧上昇の危険性の判定や不安定化の予測が容易となる。
鈍的眼外傷の場合、傷害眼と健常眼では虹彩形状が異なる。軽微な差の場合、見逃すことがしばしばあり、不適切な対応を来すことがあるが、本発明の眼科用検査装置によって簡単に傷害眼を検出することができる。
虹彩形状は、縮瞳や散瞳などによりその形態を大きく変化させる。閉塞隅角眼の場合、散瞳により形状がより角膜側に突出するが、開放眼の場合、突出は無い場合が多い。一般診察では、このような瞳孔反応による虹彩形状の変化をとらえることはほとんど不可能であるが、本発明の眼科用検査装置ではそれが可能となる。このため、本発明の眼科用検査装置は閉塞隅角緑内障眼と開放隅角緑内障眼の鑑別に有用である。
加齢により水晶体の厚さが増大し、調節能力や光の屈折に変化が起こる。このような加齢性の屈折変化は、水晶体を固定するチン小帯が緩むか、毛様体筋によるか、水晶体の肥厚による。これらの理由を確実に鑑別することで対応策が異なるが、従来はこの鑑別が困難であった。しかしながら、水晶体の肥厚の場合は虹彩形状が角膜側に突出することが知られており、またチン小帯が緩んだ場合は虹彩形状の変化により前房深度全体が浅くなることが知られている。このため、本発明の眼科用検査装置を用いることで、加齢性の屈折変化の原因の鑑別を確実に行えるようになる。
虹彩裏面にのう胞などがあった場合、虹彩括約筋若しくは散大筋に傷害があった場合、又は対光反応や薬物による瞳孔反応の場合、虹彩形状に影響が出る。本発明の眼科用検査装置では、これらの状態を詳細に感知することができるので、適切な治療を行うことが可能である。
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
眼科用検査装置の全体構成を示す斜視図である。 眼科用検査装置の内部構成を示すブロック図である。 動作制御部の内部構成を示すブロック図である。 データ解析部の内部構成を示すブロック図である。 測定光学系の構成を示す説明図である。 固視方法を示す説明図である。 眼科用検査装置全体の動作を説明するフロー図である。 オートアライメント・測定動作を説明するフロー図である。 アライメントの方法について説明する説明図である。 被検眼の頂部にアライメントする方法を示す説明図である。 角膜の曲率半径を測定する方法を示す説明図である。 前房深度測定における測定データを示す説明図である。 データ解析動作を説明するフロー図である。 前房深度の測定結果の一例を示す表である。 虹彩の表面形状を定量的に測定する原理を説明する説明図である。 虹彩の表面形状の曲率半径が比較的小さい場合の例を示す説明図である。 虹彩の表面形状の曲率半径が比較的大きい場合の例を示す説明図である。 虹彩の表面形状の湾曲方向が反対となっている場合の例を示す説明図である。 虹彩の形状の算出動作を説明するフロー図である。 虹彩表面の位置を算出する原理を説明する説明図である。 円近似についての説明図である。 縮瞳前と縮瞳後における測定を示す説明図である。 健常者の場合に、中心側と周辺側の2箇所で曲率半径を測定したときの説明図である。 閉塞隅角緑内障の場合に、中心側と周辺側の2箇所で曲率半径を測定したときの説明図である。 プラトー虹彩の場合に、中心側と周辺側の2箇所で曲率半径を測定したときの説明図である。 外傷性隅角損傷の場合に、中心側と周辺側の2箇所で曲率半径を測定したときの説明図である。 眼の断面構造を示す説明図である。 超音波生体顕微鏡によって撮影された前眼部の写真である。
符号の説明
20 眼科用検査装置
30 測定部
32 ケーシング
40 架台部
44 駆動装置
45 データ解析部
46 動作制御部
47 CPU
48 RAM
49 ROM
50 操作パネル
52 モニターアーム
53 モニター部
54 操作ボタン
55 プリンタ
61 顎受け
62 額当て
63 顎台部
64 ハンドル
70a,70b スリット光投射光学系
71 ハロゲンランプ
73 スリット
74 ミラー
80 撮影光学系
81 顕微鏡光学系
82 CCDカメラ
83 光源
84 ミラー
90 アライメント光学系
92 スリット
93 ミラー
95 光源
97 ミラー
99 ビームスプリッター
100 CPU
102 RAM
103 ROM
104 記憶装置
110 窓
111,112,113 透過窓

Claims (5)

  1. 被検眼の前眼部を検査するための眼科用検査装置において、
    被検眼の前眼部に向け、瞳孔領から虹彩の周辺部にわたりスリット光を投射するスリット光投射光学系と、
    該スリット光投射光学系によって投射されるスリット光を走査させるように、スリット光投射光学系を移動制御する駆動装置と、
    前記スリット光投射光学系によって投射されたスリット光の反射光によって得られる前眼部の断面画像を、スリット光の移動に合わせて複数回撮影する撮影光学系と、
    前記撮影光学系によって撮影された断面画像を画像解析して、被検眼の複数の位置における前房深度を算出するステップと、算出された複数の前房深度に基づいて虹彩表面の複数の位置座標を算出するステップと、算出された複数の位置座標に基づいて、虹彩の曲率半径を算出するステップとを実行するデータ解析部とを具備することを特徴とする眼科用検査装置。
  2. 前記データ解析部は、
    虹彩の中心側における第1の曲率半径および、虹彩の周辺側における第2の曲率半径を算出することを特徴とする請求項1記載の眼科用検査装置。
  3. 前記データ解析部は、
    虹彩の曲率半径を算出する際に、
    算出された複数の位置座標を最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を二次曲線で近似するステップと、
    算出された二次曲線を線形最小二乗法に基づいて円の方程式に近似させて、円の中心及び円の半径を算出するステップと、
    算出された円の中心及び円の半径を初期値として非線形最小二乗法に基づいて虹彩の表面曲線を円の方程式に近似させるステップとを実行することにより、虹彩の曲率半径を算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の眼科用検査装置。
  4. 前記データ解析部は、
    非線形最小二乗法によって得られた近似円の中心位置が、虹彩に対して角膜側にあるか後房側にあるかを検出することを特徴とする請求項3記載の眼科用検査装置。
  5. 算出された曲率半径を表示する表示部を具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の眼科用検査装置。
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