JP4540192B2 - 動力噴霧機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に散布ホースの巻取ドラムを具備した動力噴霧機の構成に関するものであり、詳しくは、走行機体の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、原動機であるエンジン、噴霧機、及び巻取機を走行装置によって駆動する走行機体上に装備し一体的に構成した自走式動力噴霧機が知られている。この従来機の多くは、操向ハンドルに設けられた操向クラッチレバーを操作して走行クラッチをONの状態にし、原動機から走行装置へ動力を伝達し、同じく操向クラッチレバーにより走行クラッチをOFFにして走行装置への動力の伝達を切断し、機体を停止させる仕組みとなっており、操向ハンドルを持って機体の操向を制御している。上述の如く、操向ハンドルは必然であるが、収納時において該操向ハンドルの占有する空間を小さくすることが望ましい。従って、折り畳んで収納可能な操向ハンドルを装備する従来機も知られているが、それらは操向ハンドルが収納された状態であっても、巻取ドラム及び動力噴霧機と操向ハンドル夫々の空間を必要としている。
【0003】
また、特に四輪式の走行機体においては、前輪と後輪によって機体が支えられているわけであるが、ホース巻取時や繰出時においてホースに引っ張られる形で機体に負荷が掛かるので、このような状態においても十分に固定され、且つ、バランス的に安定した構造の機体でなければ操作上不都合が生じる。そして、走行機体はその性能を維持できる限りコンパクトであることが好ましいのであって、走行機体がコンパクトであれば機体の旋回や、狭い空間での操作等が良好に行える。従って、コンパクトであって、より安定した機体が望まれるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の課題に鑑み、噴霧機、ホース巻取機、及び原動機を夫々左右一対の前輪及び後輪を有する四輪式の走行機体上に構成した自走式動力噴霧機において、コンパクトで操作性が良好であり、且つ、負荷を受けても安定した作業を行うことのできる走行機体を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段について説明する。
【0006】
請求項1においては、四輪式走行の機体(H)を構成する機体フレーム(1)に、噴霧機(A)、ホース巻取機(D)、原動機(E)、及び夫々左右一対の前輪(4L・4R)及び後輪(5L・5R)を付設する自走式動力噴霧機において、該後輪(5L・5R)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)と側面視で一部重複して配置し、前記後輪(5L・5R)を巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該動力噴霧機の機体重心を、前記前輪(4L・4R)と後輪(5L・5R)の前後略中間に配置すべく構成し、前記左右の前輪(4L・4R)は車軸(13)に固定し、前記後輪(5L・5R)は後輪軸(25・25)に対して回転自在に構成し、前記後輪(5L・5R)を機体前後方向の略中心上に位置すべく構成し、前記左右一対の後輪(5L・5R)を支承する支持フレーム(36)を正面視略U字状に構成して該機体フレーム(1)に固設し、該支持フレーム(36)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)の下部を囲む如く構成したものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1記載の動力噴霧機において、前記機体フレーム(1)に操向ハンドル(15)を回動可能に枢支し、該操向ハンドル(15)は機体下方へ回動して収納する構成とし、該操向ハンドル(15)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該操向ハンドル(15)を下方へ回動して折り畳んだ収納時に、平面視において、前記操向ハンドル(15)の部分と、前記ホース巻取機(D)が一部重複部分を有するものである。
【0008】
請求項3においては、請求項2記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の収納時に、該操向ハンドル(15)の先端が地面と当接するものである。
【0009】
請求項4においては、請求項3記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の把手部先端に弾性体(14)を装備しているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る四輪式の自走式動力噴霧機の側面図であり、図2は同じく平面図であり、図3は同じく正面図であり、図4は同じく側面図である。
【0012】
図5はホース巻取機を示す側面図であり、図6はホース巻取機の駆動機構を示す図である。
【0013】
そして、図7は走行装置の走行駆動機構を示す側面図であり、図8は同じく走行装置におけるクラッチアームを示す図であり、図9は操向ハンドルに設けたストッパーを示す図である。
【0014】
図10は四輪式の自走式動力噴霧機の走行機体の前輪及び後輪を示す平面図であり、図11は同じく後面図である。
【0015】
そして、図12は、スタンドとして使用している操向ハンドルを示す図である。
【0016】
図1乃至図4を用いて、本発明に係る四輪式の自走式動力噴霧機の全体概略構成について説明する。図1乃至図4に示す自走式動力噴霧機は、機体Hの機体フレーム1の前部下方に走行装置Sにより駆動する左右一対の駆動輪である前輪4L・4Rを、機体フレーム1後部下方に左右一対の転動輪である後輪5L・5Rをそれぞれ配設し、そして、機体フレーム1後部には、散布ホース11を巻取ドラム12に巻き取るためのホース巻取機D、及び、巻取ドラム12への巻取りの際に散布ホース11を整列させるための整列装置F等を配している。また、機体フレーム1の前方の載置板16上には原動機としてのエンジンE、噴霧機A、該噴霧機A及び駆動輪4L・4Rに動力を伝達するための動力伝達機構を内装したベルトケース6、及び、ホース巻取機Dを駆動するための巻取駆動装置Cを載置しており、一つのエンジンEの動力はベルトやチェーンによる後述の動力伝達機構を介して分岐されて、噴霧機A、走行装置S、ホース巻取機D、及び整列装置Fを駆動する。
【0017】
上記エンジンEは機体フレーム1前部の一側側方に配置され、該エンジンEの出力軸2はエンジンEの側部から水平に突出され、該出力軸2には出力プーリ53が固定されている。また、噴霧機Aは、エアチャンバ49、圧力調整ダイヤル50、そしてクランクケース7等から構成され、該噴霧機Aは前記エンジンEの側部に配設されている。該噴霧機A内部には図示しないクランク軸を左右水平方向に配置しており、エンジンEと噴霧機Aの間に位置するベルトケース6内において、該クランク軸のエンジンE側には噴霧入力軸3を、そして他方には巻取入力軸8を突設している。そして、噴霧入力軸3上に二連の入力プーリ52が設けられ、この入力プーリ52及び上記エンジン出力軸2の出力プーリ52にはVベルト64が巻回されて、両者を連動連結している。従って、エンジンEの駆動力が噴霧入力軸3に伝達されると、該駆動力は、更に、噴霧機Aのクランク軸に伝達され、クランクケース7内のプランジャーが往復動され、これにより図示しないタンクから薬液又は水がストレーナ18で濾過されて吸上口19より吸い上げられ、吐出口17より吐出される。吐出口17には連絡ホース30の一端が接続され、該連絡ホース30の他端は上記ホース巻取機Dの回転軸10に接続している。そして、この回転軸10は連絡ホース30に対して回転自在にジョイント30aで連結され、巻取ドラム12の中心軸上で散布ホース11と接続されている。該散布ホース11の他端にはノズル29を接続して、散布ホース11を目的の場所まで引き延ばして先端のノズル29から薬液等を散布できるようにしている。
【0018】
また、前記ベルトケース6内において、噴霧機Aの側部に突出した噴霧入力軸3には、上記入力プーリ52のみでなく走行入力プーリ51も嵌装され、該走行入力プーリ51とそれよりも下方に位置し載置板16を貫いて設けられている走行駆動プーリ47との間にベルト65が巻回されて走行装置Sへ動力を伝達している。前記走行装置Sは、載置板16の下に位置する駆動輪である前輪4L・4Rを、エンジンEの動力により回動させ、機体Hを走行させるものである。前記走行駆動プーリ47は走行駆動軸27の一端に嵌装されており、一方、該走行駆動軸27の他端にはスプロケット62が嵌装され、車軸13端に固設のスプロケット59との間にチェーン46を巻回して走行駆動軸27から車軸13へ動力を伝達し、前輪4L・4Rを回動させ、機体Hを走行させる。上述の如く構成した走行装置Sで走行する機体H上に、エンジンE及び噴霧機Aからなる動力噴霧機を搭載して自走式動力噴霧機とし、機体H後部に位置し機体H中央方向へ折り畳み可能な操向ハンドル15を操作して進行方向を定めるだけで容易に機体Hを移動することができる。
【0019】
次に、前記ホース巻取機D及びそれを制御する巻取駆動装置Cについて説明する。機体前方の載置板16上であって、噴霧機Aの側方に配設されたケース9には巻取駆動装置Cが内装され、該巻取駆動装置Cは巻取入力軸8、回動カム20、伝達ローラ21、及び操作レバー22等で構成されており、該操作レバー22で回動カム20を操作し、伝達ローラ21を巻取ドラム12のディスク12aに圧接させることで巻取駆動装置Cからホース巻取機Dへの動力伝達の断接を行っている。
【0020】
図5に示す如く、前記回動カム20は、噴霧機Aから側方に突出した前記巻取入力軸8に回動自在に嵌装されており、該回動カム20の巻取ドラム12と反対側では、ケース9に固設のステーとの間にバネ23が介装されて、回動カム20は巻取ドラム12が回動しない方向、即ち、図6のKで示すブレーキ位置に付勢されている。一方、回動カム20の巻取ドラム12側下方にはブレーキシュー24が装着されており、該回動カム20がブレーキ位置Kに位置するときは、該ブレーキシュー24が巻取ドラム12に当接し、摩擦抵抗を与えてブレーキの役割を果たしている。
【0021】
前記伝達ローラ21は外周上にゴムが装着され、該伝達ローラ21と略U字状に形成された支持プレート43は支持軸42に同一軸上で枢支されており、更に、該支持プレート43は前記回動カム20に締結部材を軸として枢支されている。そして、該支持軸42及び締結部材44間には、ねじりばね26が巻回されており、回動カム20がブレーキ位置Kにあるときは、伝達ローラ21が巻取ドラム12に接触しないよう付勢している。
【0022】
以上の構成において、操作レバーによる操作により回動カムを図6のJで示すホース巻取位置まで回動すると、回動カム20の回動に連動して、伝達ローラ21も移動し、巻取入力軸8及び巻取ドラム12に接触する。即ち、伝達ローラ21が巻取入力軸8と巻取ドラム12の双方に接触することで、該伝達ローラ21を介して巻取入力軸8が巻取ドラム12を回転駆動するのである。
【0023】
一方、操作レバー22により図6のJに示すホース巻取位置より回動カム20を解除させると、該回動カム20はバネ23の付勢力によってブレーキ位置Kへ付勢されているため、該ブレーキ位置Kまで回動する。回動カム20がブレーキ位置Kに達すると、伝達ローラ21は巻取入力軸8及び巻取ドラム12から離れて、ブレーキシュー24が巻取ドラム12に接触するようになる。従って、巻取ドラム12は駆動を遮断され、更に、ブレーキが掛けられることになる。
【0024】
上述の如く、巻取ドラム12が回動すると、これに連動して該巻取ドラム12の回転軸10も回動する。巻取ドラム12側部に設けられたチェーンケース60内において、巻取ドラム12の回転軸10には送り駆動スプロケット34が固定され、一方、該巻取ドラム12の後上方位置にはホース11を自動的に整列させながら巻き取るための整列装置Fが配設され、巻取ドラム12上に横架されている該整列装置Fの左右送り軸90端に送り入力スプロケット33が固定されて、上記送り駆動スプロケット34と送り入力スプロケット33との間にはチェーン61が巻回されて、両者を同期して駆動可能とすべく連動連結している。
【0025】
上記整列装置Fの構成は、上記左右送り軸90と減速軸91とに移動ベース92を装着して、左右送り軸90を回転させることにより移動ベース92が左右方向に往復摺動するようにしている。該移動ベース92上には、回転自在とした図示しない回動支持パイプを介してフレーム96が設けられ、該フレーム96にはガイドローラ94を回動自在に軸支し、巻取ドラム12から散布ホース11を、回動支持パイプ内部からガイドローラ94を介して、ホースガイド93とガイドローラ94の間から引き出せるようにしている。
【0026】
ここで、走行装置Sへの動力伝達機構について説明する。図7に示す如く、前記ベルトケース6内において、エンジンEからの動力が出力プーリ53、及び、入力プーリ52に巻回されたVベルト64により噴霧入力軸3に伝達され、同じく該噴霧入力軸3に嵌装されている走行入力プーリ51と走行駆動プーリ47の間にVベルト65が巻回されて、エンジンEからの動力を噴霧入力軸3を介して、走行駆動軸27へ伝達している。そして噴霧入力軸3から走行駆動軸27への動力伝達のためのVベルト65にはテンションクラッチが設けられている。
【0027】
前記テンションクラッチは、クラッチアーム58に回動自在に支承したテンションローラ55を、走行入力プーリ51及び走行駆動プーリ47に巻回されたVベルト65に圧接したり離したりすることで該Vベルト65を弛緩し、動力伝達の断接を操作する仕組みとなっている。前記クラッチアーム58は回動軸56に枢設されており、該クラッチアーム56の回動軸56に対してテンションローラ55を支承しているのとは他方において弾性体からなるブレーキシュー57が設けられている。そして該ブレーキシュー57の下方で操作ワイヤ31が接続されており、該操作ワイヤ31は機体後部の操向ハンドル15に設けられた操向クラッチレバー32に連動連結しており、該操向クラッチレバー32を操作することでクラッチアーム58が回動軸56を中心に回動する構成となっている。
【0028】
前記操作ワイヤ31が引かれると、クラッチアーム58が回動して、図8のMに示す駆動位置へ到達し、従って、テンションローラ55が走行入力プーリ51と走行駆動プーリ47に巻回されたVベルト65に圧接し、該Vベルト65が緊張することで動力を伝達する。また、操作ワイヤ31を緩めると、クラッチアーム58は図示しない付勢バネにより図8のQで示すブレーキ位置に到達するよう付勢されているため、該クラッチアーム58はブレーキ位置Qまで回動する。クラッチアーム58がブレーキ位置Qまで到達すると、今度はブレーキシュー57がVベルト65に圧接されることになり、走行駆動軸27への動力が断絶されるだけでなく、ブレーキシュー57により摩擦が与えられてブレーキが掛けられて機体の走行が停止することになる。
【0029】
そして、クラッチアーム58は前記ブレーキ位置Qと駆動位置Mの間であるニュートラルゾーンNに位置することもできる。クラッチアーム58が前記ニュートラルゾーンNに位置するためには、機体H後部の操向ハンドル15上に位置する操向クラッチレバー32を完全に握り込むと機体Hが走行し、完全に離すと機体Hが停止するので、これらの間に操向クラッチレバー32が位置する、所謂、操向クラッチレバー32が半握りの状態にしなければならず、このため操向ハンドル15の操向クラッチレバー32よりも把手側にストッパーPを設けている。
【0030】
前記ストッパーPは、図9に示す如く、環状であって、その一部に外側へ突出した凸部72を形成し、さらに、係止ピン71が嵌入するための溝74が設けられている。そして、該ストッパーPは操向ハンドル15がその中央部の穴を貫通し、同じく操向ハンドルを貫装したバネ73によって操向ハンドル15の把手15a側に付勢されており、操向ハンドル15に固設の係止ピン71で係止されている。ストッパーPは操向ハンドル15上を回動して操向クラッチレバー32と接する面を切り換えることで、操向クラッチレバー32を握り込んだ状態において、走行クラッチがONの状態であるか、或いは、ニュートラルの状態であるかを切り換えられるよう構成されている。ストッパーPを回動させるときは、バネ73を縮める方向にストッパーPを押して操向ハンドル15上を摺動させ、次に該ストッパーPを回動し、そして、押している手を緩めるとストッパーPは把手15a方向へ自動的に移動し、再び係止ピン71で係止される。
【0031】
走行装置Sを駆動させるときは、前記ストッパーPの凸部72が操向ハンドル15の上に位置するよう回動すると、操向クラッチレバー32を完全に握り込むことができる。一方、走行装置Sをニュートラルの状態にするときはストッパーPの凸部72が操向ハンドル15の下に位置するよう該ストッパーPを回動させ、操向クラッチレバー32を握り込んでも該操向クラッチレバー32は完全に握り込まれた状態でなく半握りの状態になるようにしている。即ち、ストッパーPの凸部72を操向ハンドル15と操向クラッチレバー32の間に噛ませた状態で、目一杯該操向クラッチレバー32を握り込んだとしても、クラッチアーム58は駆動位置Mまで回動せず、ニュートラルゾーンNに位置することになる。
【0032】
次に、上述の走行装置Sによって走行する機体Hの構成について説明する。本発明に係る機体Hは、図10に示す如く、機体フレーム1前部に配設された載置板16の略前後中央に、前輪4L・4Rの回動中心である車軸13が配設され、該前輪4L・4Rは機体フレーム1の左右幅内にほぼ収まっている。そして、上述の走行装置Sによって車軸13が回動して前輪4L・4Rが駆動される。また、後輪5L・5Rは平面視において巻取ドラム12より外側に、そして、側面視においては該巻取ドラム12の回動軸10の斜め前下方に位置するよう設けられている。上述の如く後輪5L・5Rが位置することで、側面視において巻取ドラム12と後輪5L・5Rが一部重複し、従って、巻取ドラム12側部の保護カバーの役割を果たしている。また、ホース11を巻回した巻取ドラム12は重量物であるため、該巻取ドラム12近傍であって、その下部を支えることはバランス的に安定した形態であるので、より安定した走行が期待でき、安全性の向上に寄与している。そして、後輪5L・5Rは機体Hのやや中央寄りに位置することで、ホース11は後輪5L・5Rに干渉することなく、巻取ドラム12に巻取られる。
【0033】
また、前記後輪5L・5Rは、図11に示す如く、巻取ドラム12の下方に機体フレーム1の左右に横架された支持フレーム36より突設した後輪軸25・25に回動自在に支承されており、また、該後輪5L・5Rはその回動を固定されていない、所謂、自由な状態となっている。後輪5L・5Rを正面視略U字状の支持フレーム36で支承することにより、機体Hの左右方向への剛性を向上させ、また、巻取ドラム12に巻き取られたホース11の弛みを防止すると共に、機体H下部を通過する障害物から保護している。支持フレーム36は巻取ドラム12の下部に位置するため、該巻取ドラム12によって該支持フレーム36に捻り荷重が掛かることなく、支持フレーム36はコンパクトな構造であっても十分に役割を果たすことができる。
【0034】
そして、機体Hを旋回させるときは、機体H後部に位置する操向ハンドル15を押し下げて、前輪4L・4Rを浮かせ、上述の如く、自由な状態である左右両側の後輪5L・5Rを軸として旋回する。このとき、機体H後端から後輪5L・5Rまでの距離と後輪5L・5Rから機体H前端までの距離ができる限り同じであることが望ましく、即ち、図10に示すX、Y及び、機体Hの旋回半径がほぼ等しくなることが好ましく、このとき機体Hの旋回半径は最小となるので、機体Hの操作性が良好となる。本実施例においては、前輪4L・4Rと後輪5L・5Rの回転軸13・25・25の前後方向略中線上に機体Hの重心Gが位置し、このうちで最も上記X、Yの長さが近似される位置に後輪5L・5Rを配設している。従って、巻取ドラム12は巻き取られているホース11の状態により重量が大きく変化し、特に、液体が入ったホース11を巻き付けているときは非常に重量物であるが、該巻取ドラム12の前後略中心に後輪5L・5Rが位置することは、巻取ドラム12の重量が変化しても操向ハンドル15の操作荷重が殆ど変化せず、機体Hを操作しやすい。これに加え、機体Hの重心G位置は前輪4L・4R及び後輪5L・5R夫々の回転軸13・25・25の前後方向略中線上に位置しているため、前輪4L・4Rのみを接地させるときの操向ハンドル15の持ち上げ荷重と後輪5L・5Rのみを接地させるときの操向ハンドル15押し下げ荷重が略同一となり操向ハンドル15操作荷重の統一を図ることができ、操作性及び取扱性の向上に寄与している。
【0035】
次に、機体Hを操作するための操向ハンドル15について説明する。前記操向ハンドル15は、図4に示す如く、パイプを一体的に構成し、機体フレーム1において上方向に折れ曲がるよう形成されたフレームの操向ハンドル配設部1aに、扇形ステー76を固設し、該扇形ステー76に枢支ピン79で操向ハンドル15を枢支している。前記扇形ステー76には操向ハンドル15に設けられた係止ピン77を係止するための複数の切り欠きが設けられており、該切り欠きに係止ピン77で操向ハンドル15を係止させることで枢支ピン77を中心に回動自在な操向ハンドル15を固定している。なお、扇形ステー76に設けられた切り欠きは、機体H操行時に使用する上部切り欠き76aと、そして、操向ハンドル15を機体H中心へ向かって枢支ピン77を中心として回動させて収納するための下部切り欠き76bが設けられている。このような構成で、係止ピン77を弛めて、操向ハンドル15を枢支ピン77を軸として下方に回動して折り畳んで収納した状態とすると、該収納状態における操向ハンドル15の一部(下部)は、平面視において、機体フレーム1または巻取ドラム12と重複するように配設している。
【0036】
上述の如く、巻取ドラム12と操向ハンドル15を平面視において一部重複させることで、操向ハンドル15収納時に機体H全長を短く設計することができ、取扱性に優れた構成とすることができ、特に、後輪5L・5Rの後方のデッドスペースに操向ハンドル15の把手15aや操向クラッチレバー32等を入れ込むことにより機体Hの左右幅も広げる必要はない。操向ハンドル15収納時において、操向ハンドル15を折り畳んで機体H全長を短くできるので、トラック搭載時や狭い場所での旋回時等における作業性が良くなり、大きなメリットとなる。
【0037】
また、図12に示す如く、操向ハンドル15収納時において、該操向ハンドル15が地面に接する長さを有すべく構成してもよく、この場合、該操向ハンドル15の把手15aの先端には弾性体14が装着されていて、該操向ハンドル15は機体Hのスタンドとして使用できる。上述の如く構成した操向ハンドル15を枢支ピン79を中心として機体H中央へ向けて下方へ回動させ、該操向ハンドル15を収納した状態としたとき、後輪5L・5Rは地面から離れ、前輪4L・4R及び操向ハンドル15が接地することになる。前述の如く、走行装置Sが駆動しない、所謂、機体Hが停止している状態において、クラッチアーム58に固設のブレーキシュー57によりブレーキが掛けられて前輪4L・4Rは回動を固定され、そして、操向ハンドル15が接地してスタンドの役割を果たすことで、簡単な構造で機体H走行停止時のスタンドを構成している。更に、接地している操向ハンドル15の把手15aには、該把手15a先端において弾性体14が装着されており、該弾性体14と地面との摩擦により操行ハンドル15はその位置を固定されて安定性を備え、スタンドとしての役割を十分に果たしている。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上の如く構成したので以下のような効果を奏する。
【0039】
請求項1に記載の如く、四輪式走行の機体(H)を構成する機体フレーム(1)に、噴霧機(A)、ホース巻取機(D)、原動機(E)、及び夫々左右一対の前輪(4L・4R)及び後輪(5L・5R)を付設する自走式動力噴霧機において、該後輪(5L・5R)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)と側面視で一部重複して配置し、前記後輪(5L・5R)を巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該動力噴霧機の機体重心を、前記前輪(4L・4R)と後輪(5L・5R)の前後略中間に配置すべく構成し、前記左右の前輪(4L・4R)は車軸(13)に固定し、前記後輪(5L・5R)は後輪軸(25・25)に対して回転自在に構成し、前記後輪(5L・5R)を機体前後方向の略中心上に位置すべく構成し、前記左右一対の後輪(5L・5R)を支承する支持フレーム(36)を正面視略U字状に構成して該機体フレーム(1)に固設し、該支持フレーム(36)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)の下部を囲む如く構成したので、機体全長を短く構成することができ、取扱性が向上した。また、後輪が巻取ドラム側部をカバーすることで、簡単な構成で巻取ドラムの保護カバーを形成している。
【0040】
また、前記後輪が巻取ドラムより機体外側に位置すべく構成したので、後輪が側面視において巻取ドラムと一部重複した位置に配設しても、ホースは該後輪に何ら干渉されることなく巻取ドラムに巻き取られる。また、機体の安定性も増す。
【0041】
また、機体重心が前輪と後輪の前後略中間に位置すべく構成したので、前輪のみを接地して走行するときや、後輪のみを接地させて方向転換するとき等に、操向ハンドルに掛かる荷重がほぼ等しくなり、あらゆる作業におけるハンドル操作荷重の統一を図ることができ、操作性及び取扱性が向上した。
【0042】
また、前記左右の前輪は車軸に固定し、後輪は車輪軸に対して回転自在に構成し、該後輪を機体前後方向の略中心上に位置すべく構成したので、前輪を地面から浮かせた状態で操向ハンドルを持って機体を旋回させる際に、後輪がその旋回中心となるが、旋回半径が最小となるので狭い空間での旋回が良好に行えるようになった。
【0043】
また、前記左右一対の後輪を支承する支持フレームを正面視略U字状に構成して機体フレームに固設し、該支持フレームをホース巻取機の巻取ドラムの下部を囲む如く構成したので、車輪の剛性を向上するだけでなく、ホースの弛みを防止し、そして、巻取ドラムに巻き取られたホースの下部に位置するので簡単な構成でホースの保護をしている。
【0044】
請求項2に記載の如く、請求項1記載の動力噴霧機において、前記機体フレーム(1)に操向ハンドル(15)を回動可能に枢支し、該操向ハンドル(15)は機体下方へ回動して収納する構成とし、該操向ハンドル(15)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該操向ハンドル(15)を下方へ回動して折り畳んだ収納時に、平面視において、前記操向ハンドル(15)の部分と、前記ホース巻取機(D)が一部重複部分を有するので、ホース巻取径が増大しても、操向ハンドルがホース及び巻取ドラムに干渉することが無く、一つの機体フレームで様々な長さのホースに対応することができるのである。
【0045】
また、ハンドル収納時に平面視において操向ハンドルの一部と、巻取ドラムが一部重複部分を有すべく構成したので、操向ハンドル収納時の機体全長を従来機と比して短縮することができ、更なるコンパクト化を図ることができた。
【0046】
請求項3に記載の如く、請求項2記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の収納時に、該操向ハンドル(15)の先端が地面と当接すべく構成したので、操向ハンドルを機体収納時や停止時においてスタンドとして利用できるので、別部材を設けずとも簡単な構成でスタンドを設けることができるので、従って、部材点数の削減を可能とし、機体のコンパクト化及びコストダウンに寄与するのである。
【0047】
請求項4に記載の如く、請求項3記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の把手部先端に弾性体(14)を装備しているので、操向ハンドルを機体のスタンドとして使用したときに、該弾性体と地面との摩擦により操向ハンドルがブレーキスタンドとして地面に接している位置から移動することを防止し、安全で確実なブレーキ構造が実現するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自走式動力噴霧機の側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく正面図である。
【図4】 同じく側面図である。
【図5】 ホース巻取機を示す側面図である。
【図6】 ホース巻取機の駆動機構を示す図である。
【図7】 走行装置の走行駆動機構を示す側面図である。
【図8】 同じく走行装置におけるクラッチアームを示す図である。
【図9】 操向ハンドルに設けたストッパーを示す図である。
【図10】 四輪式の自走式動力噴霧機の走行機体の前輪及び後輪を示す平面図である。
【図11】 同じく後面図である。
【図12】 スタンドとして使用している操向ハンドルを示す図である。
【符号の説明】
A 噴霧機
D ホース巻取機
E 原動機
G 走行装置
H 走行機体
4L・4R 前輪
5L・5R 後輪
12 巻取ドラム
14 弾性体
15 操向ハンドル
15a 把手
36 支持フレーム
Claims (4)
- 四輪式走行の機体(H)を構成する機体フレーム(1)に、噴霧機(A)、ホース巻取機(D)、原動機(E)、及び夫々左右一対の前輪(4L・4R)及び後輪(5L・5R)を付設する自走式動力噴霧機において、該後輪(5L・5R)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)と側面視で一部重複して配置し、前記後輪(5L・5R)を巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該動力噴霧機の機体重心を、前記前輪(4L・4R)と後輪(5L・5R)の前後略中間に配置すべく構成し、前記左右の前輪(4L・4R)は車軸(13)に固定し、前記後輪(5L・5R)は後輪軸(25・25)に対して回転自在に構成し、前記後輪(5L・5R)を機体前後方向の略中心上に位置すべく構成し、前記左右一対の後輪(5L・5R)を支承する支持フレーム(36)を正面視略U字状に構成して該機体フレーム(1)に固設し、該支持フレーム(36)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)の下部を囲む如く構成したことを特徴とする動力噴霧機。
- 請求項1記載の動力噴霧機において、前記機体フレーム(1)に操向ハンドル(15)を回動可能に枢支し、該操向ハンドル(15)は機体下方へ回動して収納する構成とし、該操向ハンドル(15)をホース巻取機(D)の巻取ドラム(12)より機体外側に配置し、該操向ハンドル(15)を下方へ回動して折り畳んだ収納時に、平面視において、前記操向ハンドル(15)の部分と、前記ホース巻取機(D)が一部重複部分を有することを特徴とする動力噴霧機。
- 請求項2記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の収納時に、該操向ハンドル(15)の先端が地面と当接することを特徴とする動力噴霧機。
- 請求項3記載の動力噴霧機において、前記操向ハンドル(15)の把手部先端に弾性体(14)を装備していることを特徴とする動力噴霧機。
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