JP4539211B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
このため、例えば、燃料供給系・吸入空気計量系の故障や部品の接続不良などによって空燃比がリーン側にずれた運転状態から、アイドルに至る減速運転(ブレーキ操作による車両停止動作)がなされると、アイドル回転速度のフィードバック制御が間に合わずに、トルク不足により機関回転速度が異常に低下し、最悪エンストが発生してしまうことがあるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、正常時における燃費の悪化を回避しつつ、空燃比異常時における機関回転速度の異常な低下を未然に防止できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関(ガソリンエンジン)1には、スロットルモータ2で駆動されるスロットルバルブ3を介して空気が吸引される一方、各気筒別に設けられる燃料噴射弁4によって燃料が噴射されることで、燃焼室内に混合気が形成される。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)11は、各種センサからの検出信号を入力し、前記検出信号を演算処理することで、前記スロットルモータ2,燃料噴射弁4などに制御信号を出力する。
前記エンジンコントロールユニット11は、アイドル回転速度の制御機能が備えられており、内燃機関1のアイドル運転時に、実際の機関回転速度を、水温等に応じて設定される目標アイドル回転速度に一致させるべく、前記スロットルバルブ3の開度(アイドル運転時の吸入空気量)をフィードバック制御する。
具体的には、前記酸素センサ21の出力から、理論空燃比に対する実際の空燃比のリッチ・リーンを判定し、該判定結果に基づく比例積分動作によって空燃比フィードバック補正係数(初期値=1.0)を演算する一方、前記空燃比フィードバック補正係数による補正要求を複数に区分される運転領域毎に空燃比学習補正値として学習し、前記空燃比フィードバック補正係数と前記空燃比学習補正値との加算値によって燃料噴射量を補正することで、空燃比を理論空燃比に一致させる。
図2のフローチャートにおいて、まず、ステップS11では、車速,機関回転速度,酸素センサ出力,水温,アイドルスイッチなど各種信号を読み込む。
前記アイドル回転速度のフィードバック制御は、アクセル全閉で、かつ、変速機がニュートラルであるか又は車速が所定速度以下であることを条件に実行されるようになっている。
従って、ステップS12で、アイドル回転速度のフィードバック制御条件が成立していると判断されたときには、本ルーチンをそのまま終了させる。
ステップS13では、空燃比制御システムの自己診断において正常判定がなされているか否かを判別する。
前記空燃比制御システムとは、前記酸素センサ21を含むシステムであり、この空燃比制御システムに異常があると、空燃比の異常を正確に判断することができない。
ステップS14では、前記酸素センサ21の出力に基づいて算出されている空燃比フィードバック補正係数(平均値)と空燃比学習補正値との加算値(燃料噴射量の補正要求量)が閾値(例えば1.25)以上になっているか否かを判別する。
空燃比フィードバック補正係数と空燃比学習補正値との加算値が閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合には、ベース空燃比が継続して大きくリーン側にずれている空燃比の異常時であると判断する。
そして、前記空燃比のリーン化によるトルク不足によって、アイドル回転速度のフィードバック制御が間に合わない回転の落ち込みが発生し、最悪エンストする可能性がある。
一方、空燃比フィードバック補正係数と空燃比学習補正値との加算値が閾値未満である場合には、減速運転が行なわれても大幅に空燃比がリーン側にずれることがないものと判断され、又、閾値以上であってもその継続時間が所定時間未満であれば、ベース空燃比のずれが一時的なものである可能性があるので、ステップS16を迂回してそのまま本ルーチンを終了させる。
前記スロットル開度制御における目標空気量は、アクセル開度と機関回転速度とに応じた目標吸入空気量に、アイドル補正空気量を加算して設定され、前記アイドル補正空気量は、目標回転速度要求量,水温等に基づくフリクション要求量,エアコン等による補機負荷要求量,フィードバック制御条件成立時に目標アイドル回転速度に制御するためのフィードバック補正分などを含んで算出される。
アイドルに至るような減速運転がなされない状態では、前記吸入空気量の増量補正は不要であるが、減速運転を検出してからの増量補正では応答遅れによって機関回転速度の異常な低下を安定的に抑止できないので、減速運転に備えるべく予め吸入空気量を増量しておくものである。
また、吸入空気量の増量は、空燃比の異常検出がなされたときにのみ行なわれ、空燃比の正常時には無用に吸入空気量が増量されることがないので、燃費性能の低下を回避できる。
また、エンストに対する耐力をより増加させるために、空燃比異常の検出時に目標アイドル回転速度を増大修正し、及び/又は、減速燃料カットのリカバリー回転速度(燃料噴射を再開させる機関回転速度)を増大修正しても良い。
また、空燃比学習補正値の学習を行なわないシステムでは、前記空燃比フィードバック補正係数のみのレベルに基づいて、空燃比の異常を検出することができる。
そして、空燃比センサ31を備える場合には、空燃比のずれ代を直接的に検出することができるので、空燃比のずれ代に応じた適正量だけ吸入空気量を増量補正することが可能である。
図4のフローチャートにおいて、ステップS21では、前記空燃比センサ31の出力を含む各種信号を読み込み、ステップS22〜ステップS23では、前記ステップS12〜ステップS13と同様な処理を行なう。
空燃比センサ31で検出される空燃比と目標空燃比との偏差が閾値以上であると判別されると、ステップS25へ進み、前記空燃比偏差が閾値以上である状態が所定時間以上継続しているか否かを判別する。
前記空燃比偏差が閾値以上である状態が所定時間以上継続している状態は、空燃比補正(フィードバック補正及び/又は学習補正)によって空燃比を目標空燃比に補正できずに、実際の空燃比が目標よりもリーン側にずれている状態であり、この状態のまま、アイドルに至る減速が行なわれると、トルク不足によって機関回転速度が異常に低下する可能性がある。
具体的には、図5に示すように、前記空燃比偏差が大きい程、換言すれば、目標に対する実際の空燃比のリーン側へのずれ代が大きい程、空燃比異常時補正量をより大きな値に設定する。
上記のように、空燃比のリーン側へのずれ代に応じて空燃比異常時補正量を可変に設定すれば、リーン化によるトルク不足を補うのに過不足ない量だけ吸入空気量を増量補正することができ、耐エンスト性を高くできると共に、目標アイドル回転速度への収束応答性を維持できる。
また、空燃比センサ31の検出結果に応じて設定される空燃比フィードバック補正係数,空燃比学習補正値に基づいて、空燃比の異常を検出することができる。
Claims (5)
- 内燃機関の空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれている空燃比の異常発生時であるかを検出し、
前記空燃比の異常発生時には、前記内燃機関の吸入空気量を増量補正することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の実際の空燃比を目標空燃比に一致させるべく燃料噴射量を補正する手段を備え、
前記燃料噴射量の補正要求量に基づいて前記空燃比の異常を検出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比センサを備え、
前記空燃比センサで検出される空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて空燃比の異常を検出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記偏差に応じて吸入空気量の増量補正量を可変に設定することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記空燃比の異常状態が所定時間以上継続したときに、吸入空気量を増量補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
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