JP3564945B2 - 内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給制御装置 Download PDF

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料供給制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関のアイドル時燃料制御は、例えば図7に示したように動作するようになっている。
即ち、外乱や補機作動時等においては、TP{機関吸入空気流量QA/エンジン回転速度NEに、一次遅れ処理(例えば、加重平均処理)を施して演算された値}分の燃料を供給するのではなく、QA/NEに近づけた燃料量を供給するようになっている。
【0003】
そして、これにより、次の2つの機能を実現している。
▲1▼外乱によるアイドル回転落ち時、燃料増量で回転落ちを抑制する{図7中(a)を参照}。
▲2▼補機作動開始時等に行われる空気流量補正において、燃料補正で機関発生トルクの立ち上がりを良好にして、高応答で回転変動や回転落ち込みを抑制する{図7中(b)を参照}。
【0004】
つまり、上記▲1▼、▲2▼何れの場合も、QA/NE情報に基づいて、燃料量(当量比)によるトルクの進み補償処理を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、通常は均質混合気(燃焼内全体に均等に燃料が分散している状態)で燃焼を行わせ、所定運転状態(低回転速度・低負荷状態等)において、燃焼室内に点火栓により着火可能な可燃混合比の混合気からなる層(1)と、EGRを含む空気層或いは点火栓による着火は困難であるが前記(1)層での燃焼火炎を受け燃焼可能な可燃混合比の混合気からなる層(2)の、層からなる成層混合気を形成し、極希薄な空燃比(リーン限界近傍の空燃比)で燃焼を実現し、ポンピングロスの低減効果等による燃費等の向上を図るようにしたエンジン(所謂燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジン)がある(特開昭62−191622号公報や特開平2−169834号公報等参照)。
【0006】
なお、従来のように均質燃焼のみを行わせる場合には、アイドル時の目標当量比はほぼ一定であるため、上記従来の装置でも、良好に機能することができたが、前記燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンのように均質燃焼形態と成層燃焼形態とを切り換え、これに応じて目標当量比を切り換えるようなエンジンにとっては、以下のような事態が生じる惧れがある。
【0007】
即ち、
図8に示すように、均質燃焼形態から成層燃焼形態へ切り換える際には、例えば、ISCバルブ等の吸入空気流量制御弁(空気弁)の開度を増加させて、吸入空気流量QA/NEを増加させる一方で、出力トルク変動が起きないようにTP(吸気)遅れに合わせてベース当量比を協調補正させつつ目標当量比を空気過剰率でex=1からex=0.3へと移行させるが、この際に、吸入空気流量制御弁(空気弁)の開度増加によるQA/NEの変化に応じて上記従来の装置による燃料補正が行われてしまうことになるため、トルクのアンバランスが生じ、アイドル回転速度が変動する等の惧れがある。
【0008】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、外乱や補機作動に伴う負荷変化に良好に追従した燃料供給量の進み補償処理を行えると共に、尚且つ、例えば燃焼形態を切り換え、当量比を切り換えるような場合でも、該切り換えに応じた良好な燃料供給制御を行えるようにした内燃機関の燃料供給制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明では、図1に示すように、
少なくとも機関回転速度に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算する発生トルク推定演算手段と、
前記発生トルク推定演算手段により推定演算された発生トルクに基づいて、燃料供給量の進み補償量を設定する進み補償量設定手段と、
吸入空気流量に基づいて算出され、かつ前記進み補償量設定手段により設定された進み補償量を用いて補正された燃料供給量を機関に供給する燃料供給制御手段と、
を含んで構成した。
【0010】
かかる構成とすると、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに応じて、吸入空気流量や機関回転速度が変化し、機関に対する要求発生トルクが変化すると、吸入空気流量/機関回転速度(QA/NE)情報を目標当量比補正(空燃比補正)してトルク換算した量(X1、発生トルクの推定演算結果)の変化に応じて設定される進み補償量(Z)は要求トルク変化に追従して比較的大きな値に設定されることになるので、燃料供給量によるトルクの進み補償処理を良好に行わせることができる。このため、外乱や補機作動に伴う空気量補正などがあっても、応答性よく、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、安定した回転速度制御を行うことが可能となる。
【0011】
一方、目標当量比や燃焼効率が異なる燃焼状態(例えば燃焼形態やEGR率や点火時期等)の切り換え中においては、機関の発生トルクは本来変化しないため、QA/NE情報を目標当量比補正してトルク換算した量(X1、発生トルクの推定演算結果)の変化に応じて設定される進み補償量(Z)は小さな値或いは0に設定されることになるので、従来のように、QA/NE情報に基づいてトルクの進み補償処理を行う場合のように、目標当量比(燃焼状態、例えば燃焼形態)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、アイドル変動等を招くなどの惧れを抑制することができることになる。
【0012】
つまり、本発明によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比や燃焼効率が異なる燃焼状態(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中においては、目標当量比(燃焼状態、例えば燃焼形態)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記発生トルク推定演算手段を、機関1回転当たりの吸入空気流量を目標当量比で補正して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段として構成した。
このようにすると、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比の切り換え中においては、目標当量比の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、前記発生トルク推定演算手段を、機関1回転当たりの吸入空気流量を目標当量比及び燃焼効率で補正して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段として構成した。
このようにすると、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中においては、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、前記吸入空気流量を、目標吸入空気流量とした。かかる構成とすれば、予め定められている目標吸入空気流量に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算することが可能となるので、構成の簡略化、制御の迅速性等を促進することができる。
請求項5に記載の発明では、前記吸入空気流量を、計測吸入空気流量とした。
【0016】
かかる構成とすれば、実際に計測された吸入空気流量に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算することが可能となるので、推定演算精度を向上させることが可能となる。
請求項6に記載の発明では、前記進み補償量設定手段を、目標当量比の切り換え中において、進み補償量を、目標当量比の切り換え前の進み補償量から経時と共に徐々に0に近づける手段を含んで構成するようにした。
【0017】
即ち、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比や燃焼効率が実際の要求値(現実に発生トルクを一定に保つために必要な要求値)と異なる惧れがあると、目標当量比や燃焼効率の切り換え時に、QA/NE情報を目標当量比補正してトルク換算した量(X1、発生トルクの推定演算結果)の変化が比較的大きくなり、進み補償量(Z)が比較的大きな値に設定され、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態)の切り換え中において、必要以上に進み補償処理が実行されてしまうこととなって、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、多少なりともトルクバランスが崩れ、回転変動等を招くなど制御性が低下する惧れがあるが、かかる構成とすれば、必要以上に進み補償処理が実行されることを抑制できるので、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比や燃焼効率が実際の要求値と異なっていても、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を極力抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、前記進み補償量設定手段を、目標当量比の切り換え中において、進み補償量を所定値にクランプ(目標当量比の切り換え前の値、或いは0に近い値、或いは0)に設定する手段を含んで構成するようにした。
かかる構成とすれば、やや請求項6に記載の発明に比べて制御安定性は低下するものの、確実かつ簡単な構成で、必要以上に進み補償処理が実行されることを抑制することが可能となる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、前記発生トルク推定演算手段を、燃焼効率を考慮して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段として構成した。
かかる構成とすれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中において、燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0020】
請求項9に記載の発明では、前記進み補償量設定手段を、燃焼効率の切り換え中において、進み補償量を、燃焼効率の切り換え前の進み補償量から経時と共に徐々に0に近づける手段を含んで構成するようにした。
かかる構成とすれば、請求項6に記載の発明と同様の作用効果を、燃焼効率の切り換え中において奏することが可能となる。
【0021】
請求項10に記載の発明では、前記進み補償量設定手段を、燃焼効率の切り換え中において、前記進み補償量を所定値にクランプ(目標当量比の切り換え前の値、或いは0に近い値、或いは0)する手段を含んで構成するようにした。
かかる構成とすれば、請求項7に記載の発明と同様の作用効果を、燃焼効率の切り換え中において奏することが可能となる。
【0022】
請求項11に記載の発明では、前記進み補償量設定手段を、目標当量比の切り換え直後、或いは燃焼効率の切り換え直後において、進み補償量が所定値となるようにする手段を含んで構成するようにした。
つまり、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態)の切り換え完了直後である場合においては、進み補償量(Z)は、燃焼形態切り換え直後の発生トルク(X1)と、燃焼形態切り換え中にクランプ等していた値をひきずった値と、の変化量に基づいて設定されることになるから、進み補償量(Z)が、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態)の切り換え完了直後に比較的大きな値となり、不必要な進み補償処理が実行されてしまって、トルクバランスが崩れる延いては回転変動が生じるなどの惧れがあるが、かかる構成とすれば、このような惧れを確実に回避することが可能となる。
【0023】
請求項12に記載の発明では、目標当量比の切り換え中、或いは燃焼効率の切り換え中において、内燃機関の回転速度を目標値に維持するための回転速度制御手段のフィードバック制御ゲインを大きくするようにした。
かかる構成とすると、目標当量比の切り換え中、或いは燃焼効率の切り換え中において、進み補償量(Z)がクランプ等され過渡応答性が多少低下しても、目標回転速度に維持するための回転速度制御(所謂ISC制御)のフィードバック制御ゲインが高く設定されることになるから、制御性、制御応答性を確保することが可能となる。
【0024】
請求項13に記載の発明では、目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて、前記進み補償量設定手段における進み補償量の設定ゲインを変更するようにした。
かかる構成とすれば、エンジンダイナミクスに応じてきめ細かく進み補償量(Z)を設定できるので、状態によらず、良好に安定した制御を実現することができる。
【0025】
請求項14に記載の発明では、目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて、前記進み補償量設定手段における進み補償量の設定限界幅を変更するようにした。
かかる構成とすると、目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて進み補償量の設定限界幅を変更することができるので、状態に応じて燃焼品質(失火、ばらつき等)を確保しつつ、良好に安定した制御を実現することができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比や燃焼効率が異なる燃焼状態(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中においては、目標当量比(燃焼状態、例えば燃焼形態)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比の切り換え中においては、目標当量比の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中においては、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、予め定められている目標吸入空気流量に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算することが可能となるので、構成の簡略化、制御の迅速性等を促進することができる。
請求項5に記載の発明によれば、実際に計測された吸入空気流量に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算することが可能となるので、推定演算精度を向上させることが可能となる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比や燃焼効率が実際の要求値と異なっていても、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を極力抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、やや請求項6に記載の発明に比べて制御安定性は低下するものの、確実かつ簡単な構成で、必要以上に進み補償処理が実行されることを抑制することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに対して良好に燃料供給量の進み補償を行えると共に、燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え中において、燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換えと進み補償処理との干渉を抑制できるので、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、機関安定性を向上させることができる。
【0032】
請求項9に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と同様の作用効果を、燃焼効率の切り換え中において奏することが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明と同様の作用効果を、燃焼効率の切り換え中において奏することが可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、進み補償量(Z)が、目標当量比や燃焼効率(例えば燃焼形態やEGR率等)の切り換え完了直後に比較的大きな値となり、不必要な進み補償処理が実行されてしまって、トルクバランスが崩れる延いては回転変動が生じるなどの惧れを確実に回避することができる。
【0033】
請求項12に記載の発明によれば、目標当量比の切り換え中、或いは燃焼効率の切り換え中において、進み補償量(Z)がクランプ等され過渡応答性が多少低下しても、目標回転速度に維持するための回転速度制御(ISC制御)のフィードバック制御ゲインが高く設定されることになるから、制御性、制御応答性を確保することが可能となる。
【0034】
請求項13に記載の発明によれば、エンジンダイナミクスに応じてきめ細かく進み補償量(Z)を設定できるので、状態によらず、良好に安定した制御を実現することができる。
請求項14に記載の発明によれば、目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて進み補償量の設定限界幅を変更することができるので、状態に応じて燃焼品質(失火、ばらつき等)を確保しつつ、良好に安定した制御を実現することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施形態のシステム構成を示す図である。本実施形態では、燃料供給手段としての燃料噴射弁15により燃焼室10に直接燃料を噴射供給する燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンの例を示しているが、吸気ポートに燃料噴射弁を配設した吸気ポート燃料噴射式ガソリンエンジンであっても適用できるものである。
【0036】
コントローラ19は、I/OインターフェースやCPU,ROM,RAM等からなり、各種センサや各種スイッチ(エアコン操作スイッチ等)からの信号が入力されると共に、これら各種信号に基づいてROM上に格納された後述するプログラムを実行するようになっている。なお、かかるコントローラ19が、本発明に係る発生トルク推定演算手段、進み補償量設定手段、燃料供給制御手段としてソフトウェア的に機能することになる。
【0037】
燃料噴射弁15は、コントローラ19からの指令により、例えば所定気筒の吸気行程において燃料噴射(燃料供給)を行うことで均質混合気(燃焼室10全域に亘ってほぼ均一な空燃比となる混合気)を形成する一方、圧縮行程において燃料噴射を行うことで燃焼室10内の一部に混合気が偏在する成層混合気を形成することができるものである。つまり、燃料噴射弁15からの燃料供給時期を切り換えることで、均質混合気による燃焼(均質燃焼)と、成層混合気による燃焼(成層燃焼)と、を切り換えることができるようになっている。ところで、成層混合気により燃焼を行わせる際には、コントローラ19を介して後述するスロットル弁4或いは補助空気流量制御バルブ3を所定量開弁させて吸入空気流量を所定量増加させた(当量比を小さくした)うえで、所定の極希薄な混合気を形成するようになっている。従って、成層混合気による燃焼時には、吸気の通気抵抗が減少されるから、ポンピングロスが低減され、以って燃費が向上し延いては排気有害成分の排出量も低減されることになる。
【0038】
なお、吸気コレクタ5を介装し、吸気弁13を備えた吸気ポートに接続される吸気通路6には、吸入空気流量QAを検出するエアフローメータ1が設けられている。ところで、エアフローメータ1を設ける代わりに、後述するスロットル弁4の下流側に吸気圧力BSTを検出するセンサ(図示せず)を設け、吸入空気流量の情報の一つとして吸気圧力BSTをコントローラ19へ入力させるように構成することができる。
【0039】
また、その下流側には、吸入空気流量を制御するスロットル弁4が介装されており、該スロットル弁4をアクチュエータ(モータ等)30により電気的に(運転者のアクセル操作とは独立に)開度制御する機構が備えられている。
また、前記スロットル弁4をバイパスして吸気を燃焼室10内へ導入させるための補助空気通路2が設けられていると共に、該補助空気通路2には当該補助空気通路2の流量を制御する補助空気流量制御(ISC)バルブ3が介装されている。なお、補助空気通路2、補助空気流量制御バルブ3については、例えばアイドル時の吸入空気流量を精度よく制御することができれば、スロットル弁4、アクチュエータ(モータ等)30により代用させることも可能である。なお、補助空気流量制御バルブ3やスロットル弁4等の空気弁が、吸入空気流量を制御する手段に相当し、コントローラ19が、従来同様に、これらの開度を制御することで機関吸入空気流量を制御して、機関の回転速度を目標値に維持する回転速度制御手段として機能することになる。
【0040】
燃焼室10内に臨んでシリンダヘッド9に配設され、燃焼室10内の混合気に対して点火を行う点火栓16は、コントローラ19からの指令により所定時期に点火を行うようになっている。
また、排気は排気弁14を介して排気ポート7、排気通路へ導出されるが、排気中の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ17が、排気通路に配設されている。
【0041】
なお、シリンダブロック8に摺動自在に保持されるピストン11の往復運動を、コネクティングロッド12を介して回転力として取り出すためのクランク軸の回転角度を検出するクランク角度センサ21が設けられており、当該クランク角度センサ21の検出信号に基づいて、コントローラ19ではクランク角度位置やエンジン回転速度NEを検出できるようになっている。
【0042】
ところで、図2中には図示していないが、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサが設けられ、エンジン水温TWを検出するための水温センサが機関1のウォータジャケットに臨んで設けられると共に、ドライバ(運転者)の要求を検知するためにアクセル開度ACCを検出する例えばポテンショメータ等を含んで構成されるアクセル操作量検出センサなども設けられ、これらの検出信号がコントローラ19へ入力されるようになっている。
【0043】
ここで、本実施形態に係る作用について説明する。本実施形態は、従来においてQA/NE情報に基づいて燃料補正量(進み補償量)を演算していたものを、機関の発生トルク相当量に基づいて燃料補正量(進み補償量)を演算するようにするものである。
具体的には、図3、図4に示すようなフローチャートを、本実施形態におけるコントローラ19が行うことになる。なお、本発明にかかる発生トルク推定演算手段、進み補償量設定手段、燃料供給制御手段としての機能は、後述するように、当該フローチャートにより達成されることになる。
【0044】
以下、図3、図4のフローチャートに従って説明する。
S1では、エンジン回転数NE、機関吸入空気流量QA、エンジン水温TW、吸気圧力BST等を読み込む。
S2では、成層燃焼形態と均質燃焼形態との間で燃焼形態を切り換え中か否かを判断する(燃焼形態の切り換えに拘わらず、目標当量比を不連続に切り換える場合も含む)。NOであれば、S3へ進む。YESであれば、S6へ進む。
【0045】
なお、以下、先に、燃焼形態(目標当量比)を切り換え中でない場合や燃焼形態(目標当量比)の切り換え完了直後でない場合(S3へ進む場合)について説明する。つまり、外乱発生時や、補機(例えばエアコンなど)の作動・停止に伴う空気量補正時などにおいて行われる進み補償処理について説明する。
S3では、QA/NEに対して、目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正を施し、トルク換算した量(X1)を演算する。該S3が、本発明にかかる発生トルク推定演算手段に相当する。
【0046】
X1=TFBYA×EFFI×QA/NE
ここで、TFBYA;目標当量比
EFFI; 燃焼効率
なお、同一空気量・同一燃料供給量でも、成層燃焼と均質燃焼とでは発生トルクが異なり、また、同一空気量・同一燃料供給量でも、EGR率や点火時期によって発生トルクが異なる。また、当量比を下げると、それだけ吸入空気流量を増大できるので、ISCバルブ等の吸入空気流量制御弁(空気弁)の開度を増加でき、以ってポンピングロスが低減され、同一空気流量・同一燃料供給量でも発生トルクが大きくなる。このような相違は、燃焼効率EFFIの高さとして表すことができる。
【0047】
ところで、前記QAは、エアフローメータにより検出される計測吸入空気流量でなくても、例えば目標当量比や燃焼形態の切り換えに応じて予め設定されている目標吸入空気流量とすることもでき、このようにすると、予め定められている目標吸入空気流量に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算することが可能となるので、構成の簡略化、制御の迅速性等を促進することができる。
【0048】
S4では、X2=一次LPF(X1)なる処理を行う。
ここで、LPFは、計測された機関吸入空気流量QAを、シリンダ内(筒内若しくは燃焼室内)流入空気流量に近似させるための遅れ一次モデルである(例えば、加重平均処理)。
S5では、ISCハイゲインフラグを0にセットして(回転速度を目標値に維持するための回転速度制御のフィードバック制御ゲインを通常として)、S8へ進む。
【0049】
S8では、燃焼形態の切り換え完了直後か否かを判断する。
YESであればS9へ進み、NOであれば、S9をとばして、S10へ進む。つまり、燃焼形態(目標当量比)の切り換え完了直後でない場合には、S10へ進むことになるが、当該S10では、エンジン水温TW>TWSL#、かつ、|X1−X2|<XSL#であるか否かを判断する。
【0050】
なお、TWSL#は『進み補償処理実行水温』であり、XSL#は『進み補償処理実行X1,X2差』(制御開始時の燃料噴射量段差による回転変動を防止するための条件である)である。
YESであれば、進み補償処理を実行すべく、S11へ進む。NOであれば、進み補償処理を実行すべきではないので、S16へ進む。
【0051】
S11では、成層燃焼中か均質燃焼中かを判断する。成層燃焼中であればS12へ進み、均質燃焼中であればS14へ進む。なお、かかる判断は、例えば、車速や機関の運転状態(負荷、回転速度、暖機状態)に基づき判断することが可能である。
S12では、以下のようにして、成層燃焼時ゲインマップMAPGSを参照してゲインGSを求め、成層燃焼時に対応した進み補償量(Z)を算出する。
【0052】
GS=MAPGS(BST,NE)
Z=(X1−X2)×GS
更に、S13では、以下のようにして、成層燃焼時リーン側リミッタマップMAPGSSを参照してリーン側リミット値GSSを求める。また、成層燃焼時リッチ側リミッタマップMAPGSLを参照してリッチ側リミット値GSLを求める。そして、進み補償量(Z)のリミッタ処理を行う。
【0053】
即ち、
GSS=MAPGSS(BST,NE)
GSL=MAPGSL(BST,NE)
X2 × GSS ≦ Z ≦ X2 × GSL
なる処理を行って、S17へ進む。なお、該S12、S13が、本発明にかかる進み補償量設定手段に相当する。
【0054】
一方、S14では、以下のようにして、均質燃焼時ゲインマップMAPGHを参照してゲインGHを求め、均質燃焼時に対応した進み補償量(Z)を算出する。
GS=MAPGH(BST,NE)
Z=(X1−X2)×GH
S15では、以下のようにして、均質燃焼時リーン側リミッタマップMAPGHSを参照してリーン側リミット値GHSを求める。また、均質燃焼時リッチ側リミッタマップMAPGHLを参照してリッチ側リミット値GHLを求める。そして、進み補償量(Z)のリミッタ処理を行う。
【0055】
即ち、
GHS=MAPGHS(BST,NE)
GHL=MAPGHL(BST,NE)
X2 × GHS ≦ Z ≦ X2 × GHL
なる処理を行って、S17へ進む。なお、該S14、S15が、本発明にかかる進み補償量設定手段に相当する。
【0056】
ところで、S10において、進み補償処理を実行すべきではないと判断されると、S16へ進むが、当該S16では、進み補償量(Z)を0にセットして、S17へ進む。
S17では、以下のようにして、燃料噴射量を演算して、燃料噴射弁15に実際に燃料を噴射すべく信号を送る。
【0057】
燃料噴射量=KF#×TFBYA×(QA/NE)×(Z+X2)/X2
ここで、KF#は、ストイキ(理論空燃比)時のl/cylであり、燃料量の感度に相当する。なお、該S17が、本発明にかかる燃料供給制御手段の一部を構成する。
このようにすると、外乱や補機作動に伴う空気量補正などに応じて、QA/NEが変化し、機関1に対する要求発生トルク(換言すればX1)が変化すると(なお、この場合はTFBYAやEFFIは一定である)、QA/NE情報を目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正してトルク換算した量X1に基づいて(要求発生トルク変化に追従して)進み補償量(Z)が比較的大きな値で定められるので、燃料供給量によるトルクの進み補償処理を良好に行わせることができる。このため、外乱や補機作動に伴う空気量補正などがあっても、応答性よく、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、安定した回転速度制御を行うことが可能となる(図5を参照)。
【0058】
なお、燃焼形態(目標当量比)の切り換え中や燃焼形態(目標当量比)の切り換え完了直後である場合においては、機関1の発生トルク(換言すればX1)は本来変化しないため(X2はX1に等しいか近い値になる)、QA/NE情報を目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正してトルク換算した量X1に基づく進み補償量(Z)は小さな値或いは0に設定されるので、従来のように、QA/NE情報に基づいてトルクの進み補償処理を行う場合のように、燃焼形態(目標当量比)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、回転変動等を招くなどの惧れを抑制することができることになるのである。
【0059】
つまり、本実施形態によれば、燃焼形態(目標当量比)の切り換え中においては、QA/NE変化に無闇に追従することなく、機関1の発生トルクを一定に維持するようになるから、従来のようなQA/NE情報に基づくトルクの進み補償処理を行う場合のように、燃焼形態(目標当量比)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、回転変動等を招くなどの惧れを抑制することができることになるのである。
【0060】
ところで、QA/NE情報を目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正してトルク換算した量X1に基づくトルクの進み補償処理によれば、上述したように、燃焼形態の切り換え(目標当量比の不連続な切り換え)等があっても、安定した回転速度制御を実現することができるのであるが、これは、発生トルクが一定なら、当量比によらず、”TFBYA×EFFI×QA/NE”は一定であるということを前提にしている。
【0061】
しかし、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比TFBYAや燃焼効率EFFIが実際の要求値(現実に発生トルクを一定に保つために必要な要求値)と異なる惧れがあると、計測吸入空気流量QAや計測エンジンNEを含む”TFBYA×EFFI×QA/NE(=X1)”は、定常的及び過渡的に変化してしまう(誤差を含む)ことになる{図6中の”TFBYA×EFFI×QA/NE”に対応するタイムチャートを参照}。
【0062】
つまり、定常状態で説明すると、同一発生トルクを得ようとすると、燃焼形態(目標当量比)の切り換え前後において、計測吸入空気流量QAや計測エンジン回転速度NEに基づくX1には、図6中の”X1”に対応するタイムチャートに示される程度の段差(誤差)が生じる惧れがあるということである{誤差がなければ、上述したように、本来、X1は、燃焼形態(目標当量比)の切り換えに拘わらず一定である}。
【0063】
このため、(X1−X2)の値が比較的大きくなり、進み補償量(Z)が比較的大きな値に設定され、燃焼形態(目標当量比)の切り換え中や燃焼形態(目標当量比)の切り換え完了直後には本来必要でないトルクの進み補償処理が実行されてしまうこととなって、燃焼形態(目標当量比)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、多少なりともトルクバランスが崩れ、回転変動等を招くなど制御性が低下する惧れがある。
【0064】
そこで、本実施形態では、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比TFBYAや燃焼効率EFFIが実際の要求値と異なる場合における制御性の悪化を抑制するために、以下に説明するような処理を行うようにしている。
即ち、
S2において、燃焼形態の切り換え(目標当量比の不連続な切り換え)中であると判断された場合には、S6へ進ませる。
【0065】
S6では、前回のX1(old)をX1にセットすると共に、X1(old)を用いてX2を演算して、S7へ進む。
つまり、燃焼形態の切り換え(当量比の不連続な切り換え)があって、S6へ進む場合は、大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比TFBYAや燃焼効率EFFIが実際の要求値と異なることに起因するX1の変化に基づき実行されるトルク進み補償処理を禁止すべく、トルク換算した量(X1)=X1(old)として、X1を前回値(切り換え前の値)にクランプする。ところで、クランプされたX1に基づき演算されるX2は、燃焼形態の切り換え中において、徐々にX1(old)に近づくことになる。即ち、X1を前回値(切り換え前の値)にクランプする前の情報の分だけ、引き続き進み補償処理が継続されることになる。なお、燃焼形態の切り換え前が定常状態であれば、X2=X1(old)となる。
【0066】
ところで、S6において、X1=X1(old)とすると共に、X2=X1(old)としてもよい。
つまり、燃焼形態の切り換え(目標当量比の不連続な切り換え)開始と同時に、後述する進み補償量(Z)を所定値にクランプするように、或いは0近傍に設定する、若しくは瞬時に0になるようにすれば、不必要に行われる進み補償処理を禁止できるので、トルクバランスが崩れ延いては回転変動が生じるなどの惧れを回避することが可能となるのである。但し、進み補償量(Z)が所定値にクランプされたり、0近傍に設定する、若しくは瞬時に0になるようにすると、定常補償となるので、クランプ時の補正量によっては、燃焼形態(当量比)切り換え中の制御性がやや低下したり、発生トルクに段差が生じる惧れがある。このため、図3のS6で示したように、X1を前回値(切り換え前の値)にクランプし、クランプされたX1に基づき演算されるX2を、徐々にX1(old)に近づけて、進み補償量(Z)を徐々に0に近づけるように、即ち、X1を前回値(切り換え前の値)にクランプする前の情報の分だけ、引き続き進み補償処理を継続させるようにするのが好ましい。
【0067】
次に、S7では、ISCハイゲインフラグを1にセットして(目標回転速度に維持するための回転速度制御のフィードバック制御ゲインを大きくして、制御性、制御応答性を高めるようにして)、S8へ進む。
つまり、S6でX1をクランプし、X2をそれに基づき演算すると、S12、S14において演算される進み補償量(Z)は、徐々に0に近づけられクランプされるようになる。ところが、本来進み補償処理は、運転状態の変化に追従させるための過渡的な補償であるため、進み補償量(Z)がクランプされると、定常補償となるので、クランプ時の進み補償量(Z)によっては、燃焼形態(当量比)切り換え中の制御性が低下することになる。このため、目標回転速度に維持するための回転速度制御(ISC制御)のフィードバック制御ゲインを高くして、制御性、制御応答性を高めるようにするのである。
【0068】
なお、燃焼形態の切り換え(目標当量比の不連続な切り換え)開始と同時に、進み補償量(Z)を所定値にクランプする場合や0近傍に設定する或いは瞬時に0にする場合も同様にして、機関回転速度を目標値に維持するための回転速度制御(ISC制御)の制御ゲインを大きくして、制御応答性を高めるようにするのが好ましい。
【0069】
次のS9では、燃焼形態の切り換え完了直後であるので、X2を、燃焼形態の切り換え完了後にS2〜S4を通って演算されたX1(燃焼形態切り換え後のX1)にクランプして、S10へ進ませる。つまり、燃焼形態切り換え後のX1と、X2と、を一致させないと、S12、S14において進み補償量(Z)は、燃焼形態切り換え後のX1と、燃焼形態切り換え前のクランプしていた値をひきずったX2(X2は一次遅れ処理後の値であるから)と、に基づいて演算されることになるから、進み補償量(Z)が燃焼形態の切り換え完了直後に比較的大きな値となり、不必要なトルク進み補償処理が実行されてしまって、トルクバランスが崩れる延いては回転変動が生じるなどの惧れがあるが、X2=X1とすれば、かかる惧れを回避することが可能となるのである。
【0070】
このように、本実施形態によれば、外乱や補機作動に伴う空気量補正などがあった場合には、QA/NE情報を目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正してトルク換算した量(X1)に基づき、進み補償量(Z)を比較的大きな値に設定し、燃料供給量によるトルクの進み補償処理を良好に行えるようにしたので、応答性よく、回転変動や回転の落ち込み、ふけ上がりなどを抑制して、安定した回転速度制御を行わせることができる。
【0071】
また、燃焼形態(目標当量比)を切り換える際には、QA/NE情報を目標当量比補正(空燃比補正)及び燃焼効率補正してトルク換算した量(X1)に基づき、進み補償量(Z)を小さな値或いは0に設定できる構成とし、燃料供給量によるトルクの進み補償処理が実質的に行われないようにしたので、QA/NE情報に基づいてトルクの進み補償処理を行う場合のように、燃焼形態(目標当量比)の切り換えと進み補償処理とが干渉し合ってしまって、回転変動等を招くなどの惧れを抑制することができる。
【0072】
然も、例えば大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比TFBYAや燃焼効率EFFIが実際の要求値(現実に発生トルクを一定に保つために必要な要求値)と異なる場合を考慮して、燃焼形態(当量比)の切り換え中や切り換え完了直後においては、進み補償量(Z)を徐々に0になるように、或いは所定値にクランプするように、或いは0近傍に設定する、若しくは瞬時に0になるようにしたので、大気圧、吸気温度等の影響で目標当量比TFBYAや燃焼効率EFFIが実際の要求値と異なることにより不必要に行われる進み補償処理を確実に禁止させることができるので、一層安定した回転速度制御を行わせることができる。
【0073】
また、本実施形態では、燃焼形態(当量比)の切り換え中において、進み補償量(Z)を徐々に0に近づける、或いは所定値にクランプする、若しくは0近傍に設定する、若しくは瞬時に0になるようにした場合には、機関回転速度を目標値に維持するための回転速度制御(ISC制御)のフィードバック制御ゲインを大きくしたので、燃焼形態(当量比)の切り換え中における回転速度制御性を向上させることができる。
【0074】
そして、S12、S14において、燃焼形態、当量比、エンジン回転速度NE、吸気圧力BST(吸入空気流量QAでもよい)に応じて、進み補償量(Z)を設定する際のゲイン(本発明にかかる設定ゲイン)を変更(連続的に或いはステップ的に変更させることが可能である)するようにしたので、エンジンダイナミクスに応じてきめ細かく進み補償量(Z)を設定できるので、状態によらず、良好に安定した回転速度制御(機関の安定化)を実現できる。
【0075】
更に、S13、S15において、燃焼形態、当量比、エンジン回転速度NE、吸気圧力BST(吸入空気流量QAでもよい)に応じて、進み補償量(Z)の操作幅(リーン限界やリッチ限界であり、本発明にかかる設定限界幅に相当する)を変更(連続的に或いはステップ的に変更させることが可能である)するようにしたので、燃焼品質(失火、ばらつき等)を確保しつつ、機関の安定化を実現することが可能となる。
【0076】
ところで、本発明は、アイドル時における制御に限定されるものではなく、例えば、全て運転領域において、外乱、補機(エアコン、パワステ、電気負荷、自動変速機のD・Rレンジ選択等)による負荷変動があった場合や、燃焼形態、当量比、EGR率、点火時期、パージ率等を切り換えるようにした場合に適用することができるものである。
【0077】
また、本発明は、燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンや吸気ポート内燃料噴射エンジンに適用することができるものであり、また均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼、成層リーン燃焼など、種々の燃焼形態の間で燃焼形態を切り換えるようなものにも適用できるものである。また、燃焼形態を切り換える場合に限定されるものではなく、その他、燃焼効率が異なる運転状態間で運転状態を切り換える場合、例えばEGR率の切り換え、点火時期の切り換え、スワール比の切り換え、バルブタイミング・リフトの切り換え等にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るシステム構成図。
【図3】同上実施形態における進み補償処理ルーチンを説明するフローチャート(その1)。
【図4】同上実施形態における進み補償処理ルーチンを説明するフローチャート(その2)。
【図5】本発明における外乱時における進み補償処理を説明するタイムチャート。
【図6】本発明における燃焼形態(均質→成層)切り替え時における進み補償処理を説明するタイムチャート。
【図7】従来技術を説明するためのタイムチャート。
【図8】従来技術をそのまま採用した場合における課題を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
1 エアフローメータ
2 補助空気通路
3 補助空気流量制御バルブ
4 スロットル弁
10 燃焼室(筒内)
11 ピストン
15 燃料噴射弁
16 点火栓
19 コントローラ(ECU)
21 クランク角度センサ
30 アクチュエータ

Claims (14)

  1. 少なくとも機関回転速度に基づいて内燃機関の発生トルクを推定演算する発生トルク推定演算手段と、
    前記発生トルク推定演算手段により推定演算された発生トルクに基づいて、燃料供給量の進み補償量を設定する進み補償量設定手段と、
    吸入空気流量に基づいて算出され、かつ前記進み補償量設定手段により設定された進み補償量を用いて補正された燃料供給量を機関に供給する燃料供給制御手段と、
    を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関の燃料供給制御装置。
  2. 前記発生トルク推定演算手段が、機関1回転当たりの吸入空気流量を目標当量比で補正して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  3. 前記発生トルク推定演算手段が、機関1回転当たりの吸入空気流量を目標当量比及び燃焼効率で補正して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  4. 前記吸入空気流量が、目標吸入空気流量であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  5. 前記吸入空気流量が、計測吸入空気流量であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  6. 前記進み補償量設定手段が、目標当量比の切り換え中において、進み補償量を、目標当量比の切り換え前の進み補償量から経時と共に徐々に0に近づける手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  7. 前記進み補償量設定手段が、目標当量比の切り換え中において、進み補償量を所定値にクランプする手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  8. 前記発生トルク推定演算手段が、燃焼効率を考慮して内燃機関の発生トルクを推定演算する手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  9. 前記進み補償量設定手段が、燃焼効率の切り換え中において、進み補償量を、燃焼効率の切り換え前の進み補償量から経時と共に徐々に0に近づける手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  10. 前記進み補償量設定手段が、燃焼効率の切り換え中において、前記進み補償量を所定値にクランプする手段含んで構成されたことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  11. 前記進み補償量設定手段が、目標当量比の切り換え直後、或いは燃焼効率の切り換え直後において、進み補償量が所定値となるようにする手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項6、7、9、10の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  12. 目標当量比の切り換え中、或いは燃焼効率の切り換え中において、内燃機関の回転速度を目標値に維持するための回転速度制御手段のフィードバック制御ゲインを大きくすることを特徴とする請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  13. 目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて、前記進み補償量設定手段における進み補償量の設定ゲインを変更することを特徴とする請求項1〜請求項12の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  14. 目標当量比、燃焼形態、燃焼効率、吸気圧力、吸入空気流量、機関回転速度のうちの何れか1つの情報に基づいて、前記進み補償量設定手段における進み補償量の設定限界幅を変更することを特徴とする請求項1〜請求項13の何れか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
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