JP4538045B2 - パンツ型紙おむつ - Google Patents

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Description

本発明は、テープ式としても使用できるパンツ型紙おむつに関するものである。
パンツ型使い捨て紙おむつは、前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されることにより、両側に接合部が形成されるとともに、胴開口部および左右一対の脚開口部が形成されているものであり、装着者の両足を胴開口部に通して脚開口部に挿入することにより装着するものである。
これに対して、使用の際、背側および腹側が接合されていない状態で装着者にあてがい、背側の両側部に設けられた係止片の先端部を腹側外面に固定する、止着式あるいはテープ式と呼ばれるタイプもある。
また、特許文献1に示されるように、パンツ型としても止着式としても使用できる、兼用型ともいうべき紙おむつも提案されている。この紙おむつは、後背部と、この後背部から幅方向の両側へ延びる前帯部と、上記後背部から股下を通して着用者の前腹側へ折り返し可能な吸収性本体とを有し、胴回りに巻き付けられた前帯部と折り返された吸収性本体とを着用者の前腹側で止着した形態で着用可能なものである。
特開2005−270359号公報
しかしながら、上記特許文献1記載のものは、テープ式として利用する場合、テープの取付け位置が自由にならないため、非標準的な体型の装着者に対するフィット性が乏しいという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、テープ式及びパンツ型として使用できながら、フィット性に優れる紙おむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されることにより、両側に接合部が形成されるとともに、ウエスト開口部および左右一対のレッグ開口部が形成され、前記前身頃および後身頃の各々の前記ウエスト開口部から前記レッグ開口部にわたる範囲に、複数の細長状の弾性伸縮部材が幅方向に伸張された状態で固定され、前身頃または後身頃の両側部に、ウエスト開口部の縁から前記レッグ開口部の縁まで延在するミシン目がそれぞれ形成された、パンツ型紙おむつにおいて、
内面に係止部を有するファスニングテープを複数備え、
これらファスニングテープは前記係止部により前記おむつ外面に着脱自在に係止されるとともに、この係止部による係止を取外すことによりおむつ外面から完全に分離できるように構成されており、且つ
前記弾性伸縮部材が前記ミシン目を横断するように配置されるとともに、
前記ファスニングテープの係止部が前記ミシン目の両側にわたり連続するように、各ミシン目を有する部分の外面に前記ファスニングテープが着脱自在に係止されている、
ことを特徴とするパンツ型紙おむつ。
(作用効果)
本発明の紙おむつは、ミシン目で切り離す前は所謂パンツ型として、またミシン目で切り離し、腹側および背側をファスニングテープで連結することにより所謂テープ式としても使用できる。この際、本発明では、ファスニングテープをおむつ外面から完全に分離できるため、テープ式として使用する際におけるファスニングテープの取付位置が完全に自由となる。よって、ファスニングテープの位置や角度を自由に変えて使用することができ、多種多様な体型にフィットさせることができる。また、ファスニングテープを部分的に外せば、サイズ調整用にも使用できる。ミシン目を切り離さずにファスニングテープを外して使用することも可能であり、例えば未使用時におむつをコンパクトにまるめる係止材として、あるいは使用後におむつをまるめて廃棄するための後処理テープとしても使用できる。
さらに、弾性伸縮部材をミシン目を横断する方向に設けることによって、身体に対するフィット性を向上させることができるが、パンツ型として使用する場合、おむつを履く際、弾性伸縮部材の収縮力がミシン目を広げる方向に作用するため、ミシン目が勝手に開いて破れてしまう恐れがある。
これに対して、本項記載のように、ファスニングテープの係止部をミシン目の両側にわたるように係止しておくことによって、ファスニングテープがミシン目の両側を繋いで離間を阻止するようになる。しかも、必要な箇所にのみファスニングテープを係止すれば済むため、高価なファスニングテープの使用量を可能な限り抑えることができるようになる。
また、本項記載のように構成されていると、ミシン目の切り離しと同時にファスニングテープの一方側の係止を外すことができ、そのまま他方側の係止を外さずに一方側を所望の箇所に係止するといった使用も可能になる。
<請求項2記載の発明>
前記弾性伸縮部材は、前記ミシン目を挟んで両側にそれぞれ設けられるとともにミシン目側の先端が前記ミシン目と同位置またはその近傍に位置している、請求項1記載のパンツ型紙おむつ。
<請求項3記載の発明>
前記おむつ外面が不織布により形成されており、前記ファスニングテープの係止部が、表面に多数のフック状突起を有するフック部材からなる、請求項1又は2記載のパンツ型紙おむつ。
(作用効果)
このように構成されていると、ファスニングテープのフック部材をおむつ外面のあらゆる箇所に係止することができるようになる。よって、ファスニングテープの取り付けの自由度がより一層高くなる。
<請求項4記載の発明>
前記ミシン目を横断するように、細長状の弾性伸縮部材が横断方向に伸張された状態で固定されており、前記ミシン目の切り込みにより前記弾性伸縮部材が切断されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
(作用効果)
このように構成することによって、ミシン目加工を利用してミシン目を横切る弾性伸縮部材を切断できる。よって、ミシン目を横切る弾性伸縮部材によってミシン目の切り離しが阻害されなくなるとともに、製造も容易となる。
<請求項5記載の発明>
前記ファスニングテープの係止部と重なる部分およびその近傍にのみ、細長状の弾性伸縮部材が前記ミシン目を横断する方向に伸張された状態で固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
<請求項6記載の発明>
前記係止部は、前記ファスニングテープの内面に、所定の間隔を空けて複数設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
(作用効果)
本項記載のように構成することにより、高価なファスニングテープの寸法を最小限に抑えることができる。
<請求項7記載の発明>
個々の前記ファスニングテープにおける前記係止部と係止部との間の部分のうち少なくとも一部が弾性伸縮するように構成されている、請求項6記載のパンツ型紙おむつ。
(作用効果)
ファスニングテープにおける係止部と係止部との間の部分のうち少なくとも一部が弾性伸縮することによって、フィット性が向上し、サイズ調整の自由度がさらに広がる。さらに、テープ式として使用する際には、ファスニングテープの各係止部を、ミシン目で切り離した腹側および背側にそれぞれ係止し、腹側及び背側を連結することにより、パンツ式として使用する場合よりも胴回りの最大寸法を大きくすることも可能となる。
<請求項8記載の発明>
前記ファスニングテープは、帯状の基材シートの内面に前記係止部を有する部分と、前記係止部を有さない摘み部とが設けられてなるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
<請求項9記載の発明>
前記ファスニングテープの係止部が前記弾性伸縮部材の配置部分に係止されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
以上のとおり、本発明によれば、テープ式及びパンツ型として使用できながら、フィット性に優れるようになる等の利点がもたらされる。
以下、本発明を図面に示す実施の形態によってさらに詳説する。
<第1の実施形態>
図1は、パンツ型使い捨ておむつの例を示している。このパンツ型使い捨ておむつ10は、外面(裏面)側の外装シート12と内面(表面)側の吸収性本体20とを備え、外装シート12に吸収性本体20が固定されている。吸収性本体20は、尿や軟便などの排泄物を受け止めて吸収保持する部分であり、股間部およびその前後両側のウエスト開口部WO近傍までの範囲に延在されている。外装シート12は吸収性本体20を着用者に装着するための部分となる。
外装シート12はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体20は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。
外装シート12は、吸収性本体20が所定位置に設置され固定された後、前後に折り畳まれ、図4に示すように、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部の接合部12Aがヒートシールや超音波シールなどにより接合される。これによって、図1に示す構造の、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LOを有するパンツ型使い捨ておむつが得られる。
図示の吸収性本体20の長手方向(すなわち図1の上下方向。製品の前後方向でもある。)の中間の幅は、外装シート12の括れた部分を繋ぐ幅より長い形態が示されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
ここに、図1の符号において、「前後方向」とは、腹側と背側を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向を意味する。「ウエスト開口縁」とはウエスト開口部WOの縁を意味し、「レッグ開口縁」とはレッグ開口部LOの縁を意味する。「レッグ開口始端」とはレッグ開口部LOのレッグ開口縁と接合部30と交差する位置を意味し、レッグ開口縁の始まり個所の意味である。「胴周り部」Tとは、ウエスト開口縁からレッグ開口始端に至る長さ範囲の全体領域を意味する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト部」Wと「腰下部」Uとに分けることができる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なるが、ウエスト部Wは15〜40mm、腰下部Uは45〜220mmである。「股部」Lとは、レッグ開口部を形成する範囲、すなわち前身頃側のレッグ開口始端から後身頃側のレッグ開口始端に至る長さ範囲の全体領域を意味する。また、「中央部」とは、製品の中央線を含む側部を除く中間領域を意味する。「脇部」とは、胴周り部Tにおける両側部を意味する。
外装シート12は望ましくは図示のように二枚の不織布を積層してなり、これらの不織布間に細長状の弾性伸縮部材12Cを伸張状態で固定して、その伸縮力により着用者にフィットさせる形態が望ましい。また、弾性伸縮部材12Cとしては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物などを使用できるが、図示のように多数の糸ゴムを使用するのが望ましい。糸ゴム12Cとしては合成ゴム及び天然ゴムのいずれも用いることができ、太さ470〜925dtex程度のものを、150〜350%程度に伸張した状態で、2〜15mm程度の間隔で固定するのが好ましい。
図示の形態では、糸ゴム12C,12C…が、ウエスト部Wおよび腰下部Uにおいて幅方向に連続して複数本平行に設けられている。なお、腰下部Uにおいては両側部分のみに、糸ゴム12C,12C…を幅方向に連続して複数本平行に設けられ、吸収性本体20と重なる中央部においては設けられていないようにしてもよい。糸ゴム12C,12C…が、ウエスト部W及び腰下部Uの両者に設けられていることで、製品が着用者に好適にフィットする。糸ゴム(弾性伸縮部材)12Cは、おむつ両側部の接合部12Aの接合により、外装シート12に対して固定されているだけでもよいが、後述するような切断加工を施す場合には、外装シート12を構成する二枚の不織布同士の接合あるいは糸ゴム(弾性伸縮部材)12C自体に塗布された接着剤によって、外装シート12に対して固定されているのが好ましい。外装シート12を構成する二枚の不織布同士の接合は、ホットメルト接着剤等の接着剤による接着や、凹凸ロールと平坦ロールによる熱エンボスシール加工や凹凸ロールと超音波ホーンによる超音波シール加工による溶融シール加工により行えばよい。また、糸ゴム(弾性伸縮部材)12C自体に塗布する接着剤としては、ホットメルト接着剤等を用いればよい。
糸ゴム12Cの太さはウエスト部Wに設けるものより腰下部Uに設けるものを太くするのが好ましい。ウエスト部Wに設ける糸ゴム12C及び腰下部Uに設ける糸ゴム12Cが、ともに幅方向一方の側縁から他方の側縁まで連続する形態では、ウエスト部Wより腰下部Uにおける糸ゴム12Cの間隔を広く及び/又は糸ゴムの伸長率を低くするのが好ましい。また、吸収性本体20と重なる中央部に糸ゴム12Cを設けない又は中央部の糸ゴムを散点状の切断パターンで切断する場合は、ウエスト部Wより腰下部Uにおける糸ゴムの間隔を狭く及び/又は糸ゴムの伸長率を高くするのが好ましい。
(吸収性本体)
吸収性本体20としては、図2に示されるように、使用面側から順に、液を透過させるたとえば不織布などからなるトップシート30と、吸収要素50とを備えたものを用いることができる。通常の場合、吸収要素50の裏面側にはプラスチックシートなどからなる液不透過性シート70が設けられる。この液不透過性シート70の裏面側は外装シート12の身体側面に接合されている。また、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に、中間シート(セカンドシート)40を設けることができる。さらに、吸収部20の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、吸収部20の両側に起立するバリヤーカフス60、60を設けることができる。なお、図示しないが、吸収性本体20の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより相互に固定することができる。
吸収性本体20は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート20に対して着脱自在に取り付けることもできる。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有する。したがって、トップシート30の素材は、この液透過性を発現するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、通常「セカンドシート」と呼ばれる中間シート40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
(液不透過性シート)
液不透過性シート70は、単に吸収体56の裏面側に配されるシートを意味し、本実施の形態においては、トップシート30との間に吸収体56を介在させるシートとなっている。したがって、本液不透過性シートは、その素材が、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。
液不透過性シート70は、いわゆる額巻きする形態で使用面に延在させる(図示せず)ことで、液の横漏れを防止できるが、実施の形態においては、横漏れについては、バリヤーカフス60を形成する二重のバリヤーシート64間に第2液不透過性シート72を介在させることにより防止している。この形態によれば、バリヤーカフス60の起立まで第2液不透過性シート72が延在しているので、トップシート30を伝わって横に拡散した液やバリヤーカフス60、60間の軟便の横漏れを防止できる利点もある。
液不透過性シート70には、商品名、機能説明、キャラクター、模様等の表示部を設けることができ、この表示部は、排尿があったことを知らせるお知らせ機能を有していても良い。
(バリヤーカフス)
製品の両側に設けられたバリヤーカフス60、60は、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために設けられているが、付加的な要素である。
図示のバリヤーカフス60は、撥水性不織布シートを二重にしたものであり、吸収体56の裏面側からトップシート30の下方への折り込み部分を覆って、表面側に突出するように形成されている。トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿を阻止するために、バリヤーカフス60を形成する二重の不織布シート間に第2液不透過性シート72を介在させている。図示しないが、二重の不織布シート間に液不透過性シート70の側部を挿入し、表面側に突出するバリヤーカフス60の途中まで延在させてもよい。
また、バリヤーカフス60自体の形状は適宜に設計可能であるが、図示の例では、バリヤーカフス60の突出部の先端部及び中間部に弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム62が伸張下で固定され、使用状態においてその収縮力により、バリヤーカフス60が起立するようになっている。中間部の糸ゴム62が先端部の糸ゴム62、62よりも中央側に位置してトップシート30の前後端部に固定される関係で、図2のように、バリヤーカフス60の基部側は中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端部は外側に斜めに起立する形態となる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有する。包被シート58は省略することもできる。さらに、図示形態では、吸収体56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80が設けられているが、この保持シート80は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、綿状パルプ等の短繊維を積繊したものの他、フィラメント52,52…の集合体からなるもの等も使用できる。
フィラメント52,52…の集合体は、トウ(繊維束)を開繊することにより得ることができる。トウ構成繊維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
セルロースとしては、綿、リンター、木材パルプなど植物体由来のセルロースやバクテリアセルロースなどが使用でき、レーヨンなどの再生セルロースであってもよく、再生セルロースは紡糸された繊維であってもよい。
好適に採用できるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースエステルなどのセルロースエステル誘導体などを用いることができる。これらのセルロースエステルは単独で又は二種類以上混合して使用できる。セルロースエステルの粘度平均重合度は、例えば、50〜900、好ましくは200〜800程度である。セルロースエステルの平均置換度は、例えば、1.5〜3.0(例えば、2〜3)程度である。
セルロースエステルの平均重合度は、例えば10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは200〜800程度とすることができ、セルロースエステルの平均置換度は、例えば1〜3程度、好ましくは1〜2.15、さらに好ましくは1.1〜2.0程度とすることができる。セルロースエステルの平均置換度は、生分解性を高める等の観点から選択することができる。
セルロースエステルとしては、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテートが好適である。セルロースアセテートの酢化度は、43〜62%程度である場合が多いが、特に30〜50%程度であると生分解性にも優れるため好ましい。特に好ましいセルロースエステルは、セルロースジアセテートである。
トウ構成繊維は、種々の添加剤、例えば、熱安定化剤、着色剤、油剤、歩留り向上剤、白色度改善剤等を含有していても良い。
トウ構成繊維の繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは1〜6デニールが望ましい。トウ構成繊維は、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な吸収体を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトウを容易に製造できる。トウ構成繊維の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。トウ構成繊維は、例えば、1,000〜1,000,000本、好ましくは2,000〜1,000,000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ(繊維束)の形で使用することができる。繊維束は、1,000〜1,000,000本程度の連続繊維を集束して構成するのが好ましい。
本発明において好適に使用できるセルロースジアセテートのトウのベールは、セラニーズ社やダイセル化学工業などにより市販されている。セルロースジアセテートのトウのベールは、密度は約0.5g/cm3であり、総重量は400〜600kgである。このベールから、トウを引き剥がし、所望のサイズ、嵩となるように広い帯状に開繊する。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅50〜2000mm、好ましくは製品の吸収体の幅の50〜300mm程度とすることができる。また、トウの開繊度合いを調整することにより、吸収体の密度を調整することができる。
好適には、図2に示すように、吸収体56中に高吸収性ポリマー粒子54,54…を含ませる。そして、少なくとも液受け入れ領域において、フィラメント52,52…の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。この実質的に厚み方向全体に分散されている状態を図2の要部拡大図として概念的に示した。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、フィラメントの集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子がフィラメント52,52…の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子がフィラメントフィラメント52,52…の集合体を通り抜けて包被シート58上にある形態や保持シート80上にある形態も排除されるものではない。
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子54とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子54の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子54としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子54の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子54としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子54としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量を50g/m2以下とすることにより、ポリマーの重量によって、合成連続繊維を採用することにより軽量化効果が発揮されにくくなるのを防止できる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子54は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
必要により、高吸収性ポリマー粒子54として、粒径分布が異なる複数用意し、厚み方向に順次供給し、吸収体56内の下側に粒径分布が小さいものを、上側に粒径分布が大きいものを分布させることができる。
高吸収性ポリマー粒子54と連続繊維との割合は吸収特性を左右する。吸収体56における液を直接受ける領域での5cm×5cmの平面面積内における重量比としては、高吸収性ポリマー粒子/連続繊維重量が、1〜14、特に2〜9であることが望ましい。
(包被シート)
包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図2のように、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。必要ならば、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(保持シート)
保持シート80を設ける場合、保持シート80と吸収体56上との間には、高吸収性ポリマー粒子54をその散布などにより介在させることができる。高吸収性ポリマー粒子54は、連続繊維52の集合体への供給時又はその後の工程、あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、連続繊維52の集合体を通り抜けることがある。連続繊維の集合体を通り抜けた高吸収性ポリマー粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。そこで、吸収体56と包被シート58との間に高吸収性ポリマー54の保持性能を有する保持シート80を介在させるのも好ましい形態である。この保持シート80は、ティッシュペーパ(クレープ紙)などの包被シート58のみでは足りないコシを補強して、消費者が使用する際に手で触ったとき違和感を軽減又は防止する。
保持シート80の素材は、特に限定されず、高吸収性ポリマー54の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。
保持シート80を不織布とする場合、その保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるとよい。
保持シート80を設ける理由は先にも触れたように、たとえば吸収体56から下方に抜け落ちた(抜け出た)高吸収性ポリマー54を保持することにある。したがって、抜け出た高吸収性ポリマー粒子54に対して、包被シート58及び保持シート80を介して使用者に接触するので、使用者にジャリジャリした違和感として、伝わるおそれがない。特に上記の縮エネルギー及び圧縮レジリエンスである不織布であると、その機能が十分に発揮する。
また、抜け出た高吸収性ポリマー54は、保持シート80によって保持され、包被シート58上を移動することがないため、吸収能力の偏在が生じるおそれもない。特に、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するために、予め粘着性を有するホットメルト接着剤などを保持シート80上に塗布することができる。また、保持シート80の上面(使用面側に向かう面)を粗面とすることで、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するようにしてもよい。このための粗面化又は毛羽立ち手段としては、不織布の製造時におけるネット面でない非ネット面とする、マーブル加工を行う、ニードルパンチにより加工する、ブラシッング加工するなどを挙げることができる。
保持シート80は、図2に示すように吸収体56の下方にのみ設けても、また図示しないが、吸収体56の側面を通り吸収体56の上面にまで巻き上げて延在させてもよい。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
上記例は、吸収体56と包被シート58の裏面側部位との間に保持シート58を設ける例であるが、保持シートは、包被シートより裏面側であってもよく(その形態は図示していない)、要は、吸収体56に対して裏面側に保持シートを設ければ、製品の裏面から触る場合におけるジャリジャリした違和感を軽減させるあるいは生じさせないものとなる。
(ファスニングテープ等)
特徴的には、図1に示すように、前身頃12Fの胴回り部Tにおける両側部に、ウエスト開口部WOの縁からレッグ開口部LOの縁まで延在するミシン目100,100がそれぞれ形成されている。ミシン目100のピッチは任意である。また、ミシン目100の位置の判別を容易にする表示が印刷等により設けられていると好ましい。
また特徴的には、図1および図3に示すように、両ミシン目100を有する部分の外面にファスニングテープ90,90がそれぞれ一枚貼り付けられている。ファスニングテープ90は、帯状の基材シート91の内面に長手方向一方側の端部を除いてフック部材(メカニカルファスナーの雄材)92が貼り付けられており、フック部材92を有しない部分が摘み部となるように形成されたものである。ファスニングテープ90は、フック部材92が外装シート12外面の不織布繊維に絡まることにより、全体がおむつ外面に対して分離可能なように係止される。フック部材92としては、キノコ状やJ字状等のフック状突起を表面に多数有する公知のシート状部材を用いることができる。
ファスニングテープ90の形状・寸法は適宜定めることができるが、図示のように帯状をなしているのが好ましく、ファスニングテープ90の幅X1(長手方向と直交する方向の長さ)は20〜80mm、好ましくは30〜50mm程度とするのが望ましい。ファスニングテープ90の長さ(長手方向)Y1はミシン目100の長さY3の60〜100%程度とするのが望ましい。また、フック部材92の幅(長手方向と直交する方向の長さ)X2はファスニングテープ90の幅X1の50〜100%程度とするのが望ましく、フック部材92の長さ(長手方向)はファスニングテープ90の長さY1の50〜100%程度とするのが望ましい。
製品状態におけるファスニングテープ90の係止部位は適宜定めることができるが、図示のようにファスニングテープ90のフック部材92がミシン目100の両側にわたるように設けられているのが好ましい。これにより、未使用状態またはパンツ型として使用する際における予期しないミシン目100の破断を防止できる。また、ファスニングテープのミシン目周辺部での剥離強度を、ミシン目の引き裂き強度より強くすることで、ミシン目100の切り離しと同時にファスニングテープ90の一方側の係止を外すことができ、そのまま他方側の係止を外さずに一方側を所望の箇所に係止するといった使用も可能になる。特に、ファスニングテープ90の長手方向がミシン目100に沿うような姿勢でおむつ外面に係止されていると、最小限の資材量でより広範囲にわたってミシン目100をカバーできるため好ましい。
他方、図示形態のように、ミシン目100を横断するように糸ゴム等の弾性伸縮部材12Cが配置されている場合、弾性伸縮部材12Cが切断されていないと、ミシン目100を破断してもその両側が弾性伸縮部材12Cにより繋がった状態になってしまう。よって、これを回避するために、ミシン目100線に沿って針刺し加工、切り目加工、凸ロールと凹ロールをかみ合わせて穿孔あるいは窪みを設ける加工、圧力及び/又は熱を加えるエンボス加工、超音波シール等の溶融シール加工を行うことにより、ミシン目100を横断する弾性伸縮部材12Cを切断するのが好ましい。特に好ましい加工方法は、ミシン目加工においてミシン目の切り込みを利用して同時に弾性伸縮部材を切断する方法である。
ミシン目加工に際しては、フック部材92およびファスニングテープ基材91の融点が外装シート12の不織布よりも10℃以上高くなるように素材を選択し、ミシン目100の切り込みとともに熱または超音波を加える手法によりミシン目100をカットするのが好ましい。また、外装シート12の外面またはファスニングテープ90の内面(フック部材92側面)にシリコン処理等の手段により融着阻害処理を施した上で、熱または超音波を加える手法によりミシン目100をカットするのも好ましい。カットに際しては、弾性伸縮部材を不織布間に挟んだ状態で所定部位にファスニングテープ90を取り付け、このファスニングテープ90取付け側の反対側から切り込みを入れるのが好ましい。これにより、外装シート12とファスニングテープ90が融着されないか、融着されるとしても弱い力で融着されるため、使用には問題が生じない。また、製造工程が複雑にならないという利点もある。
また、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部をヒートシールや超音波シールなどにより接合する場合、そのシールにより弾性伸縮部材12Cを切断するとともに、両側の弾性伸縮部材12Cをその収縮によりミシン目100位置を越えて幅方向中央側に引き込ませるという方法も採用することができる。
さらに、吸収性本体20と重なる部分において弾性伸縮部材12Cを設けないように弾性伸縮部材12Cを切断する場合、その切断により幅方向中央側の弾性伸縮部材12Cをミシン目100位置を越えて幅方向外側に引き込ませるという方法を採用することもでき、その場合に弾性伸縮部材の切断とミシン目形成を同時に行うこともできる。
これらによって、ミシン目100を横切る弾性伸縮部材12Cによってミシン目100の切り離しが阻害されなくなるとともに、製造も容易となる。
かくして構成されたおむつにおいては、図4に示すように、ミシン目100で切り離す前は所謂パンツ型として、また両ミシン目100を切り離し、ファスニングテープ90,90のフック部材92の長手方向または幅方向の両端部を腹側および背側にそれぞれ係止する(つまりファスニングテープ90で腹側および背側を連結する)ことにより所謂テープ式としても使用できる。テープ式として用いる場合は、腹側の両側部と背側の両側部とを重ね合わせることも、また離間させることもできる。この際、ファスニングテープ90,90をおむつ外面から完全に分離できるため、テープ式として使用する際におけるファスニングテープ90,90の取付位置が完全に自由となる。よって、ファスニングテープ90,90の位置や角度を自由に変えて使用することができ、多種多様な体型にフィットさせることができる。また、ファスニングテープ90を部分的に外せば、サイズ調整用にも使用できる。ミシン目100を切り離さずにファスニングテープ90を外して使用することも可能であり、例えば未使用時におむつをコンパクトにまるめる係止材として、あるいは使用後におむつをまるめて廃棄するための後処理テープとしても使用できる。
<第2の実施形態>
図5に製品状態および図6にテープ式の状態を示すように、ファスニングテープ90を、前身頃12Fの両側部にそれぞれ複数備え付けることができる。ファスニングテープ90を両側部にそれぞれ複数枚設ける場合には、各側における全ファスニングテープ90,90の合計長さY1+Y1をミシン目100の長さY3の50〜100%程度とするのが望ましい。ファスニングテープ90の形状・寸法、フック部材92の寸法は第1の実施形態と同様である。
このようにミシン目1本あたり複数のファスニングテープ90を備えることにより、ミシン目100で切り離した部位を2箇所(図6に示す例ではミシン目100の両端部)で連結でき、しかもこれらファスニングテープ90の向きを個別に設定することができるため、テープ式として使用する際のフィット性を更に向上させることができ、またより多くの体型にフィットさせることができるようになる。
<第3の実施形態>
図7に示すように、ミシン目100を横断するように糸ゴム等の弾性伸縮部材12Cを設ける場合、ファスニングテープ90のフック部材92をミシン目100の両側にわたるように着脱自在に係止するだけでなく、さらにファスニングテープのフック部材92と重なる部分およびその近傍にのみ限定して弾性伸縮部材12Cを設けるのが好ましい。これにより、ミシン目100において予期せずに破断する部分が減少し、これを防止するためにファスニングテープ90を係止する部分が減少するため、高価なファスニングテープ90の使用量を可能な限り抑えることができるようになる。
<第4の実施形態>
図8に製品状態および図9にテープ式の状態を示すように、フック部材92をファスニングテープ90の長手方向に所定の間隔を空けて複数設けることもできる。この場合、製品状態におけるファスニングテープ90の係止姿勢として、フック部材92がミシン目100の形成方向と平行な方向(弾性伸縮部材12Cの伸張方向と直交する方向)では間欠的、直交する方向(弾性伸縮部材12Cの伸張方向と同じ方向)では連続的になるような姿勢を採用することもできる。
本第4の実施形態では、弾性伸縮部材12C、ファスニングテープ90、フック部材92を同じ方向で製造ラインに供給し、かつ供給された方向のまま90度転回する工程を経ることなく紙おむつに対し取り付けることができるため、製造が容易である。そして、本発明では、ファスニングテープ90全体がおむつ外面から分離するため、テープ式として使用する際に90度転回したほうが使いやすい場合は、ファスニングテープ90を取り外した後90度転回することができる。
反対に、製品状態において図9と同様にフック部材92がミシン目100に沿う方向では連続し、ミシン目と直交する方向では間欠的となるように構成することもできる。このように、本発明では、ファスニングテープ90の取付けの向きは基本的に任意である。ファスニングテープ90を、製品状態で使用時の向きに取り付けておき、使用時に向きを変える必要を無くすことも、また、製品状態で使用時の向きと異なる向きに取り付けておき、使用時にテープを取り外して使い易い向きに変えることも可能である。
<第5の実施形態>
ファスニングテープを両側部にそれぞれ複数備え付ける場合、予め別体とする他、図10に製品状態および図11にテープ式の状態を示すように、ミシン目93の切り離しにより複数の部分90A,90Bに分割できるファスニングテープ90を備え付けることもできる。この場合において、ファスニングテープ90の長手方向に所定の間隔を空けてフック部材92を複数設け、フック部材92とフック部材92との間の間隔部分にミシン目93を施すことにより、分割部分90A,90Bの各々にフック部材92を有しない摘み部94を形成することができる。
<第6の実施形態>
ファスニングテープ90には外面から視認可能なようにキャラクター等の絵柄を設けるのが好ましい。おむつ外面から完全に分離可能であるファスニングテープ90に絵柄を印刷すれば、その他衣類等に止着することも可能であり、 収集する楽しみのあるワッペン的物品として使用できる。
<第7の実施形態>
図12に示すように、外装シート12におけるミシン目100を有する部分CT1に、散点状の切断パターン(多数の小さな切断部が散点状に形成される)でミシン目100を横断する弾性伸縮部材12を切断して断片化すると、ミシン目100による切り離しの際、ミシン目100の両側の部分がミシン目100を横断する弾性伸縮部材12により繋がることがなくなり、ミシン目100における切り離しが妨げられなくなるとともに、外装シート12が不織布である場合は、ミシン目100を有する部分における不織布の繊維も弾性伸縮部材12と同様に短く分断されて断片化する、あるいは繊維強度が低下するため、繊維の長い不織布を使用していたとしても、ミシン目100での切り離しが容易になる。切断加工部分CT1の上下方向長さY4は、最もウエスト側に位置する弾性伸縮部材12Cから最も股間側に位置する弾性伸縮部材12Cまで延在する限り適宜定めることができ、図示のように加工部分が外装シートの端縁まで延在していなくても良い。ヒートエンボス加工部分CT1の幅X4は適宜定めることができ、ミシン目同様に線状であっても良いが、ある程度の幅X4、例えばミシン目100を基準として両側にそれぞれ5〜15mm程度の幅をもってミシン目100に沿って長方形状(帯状)に延在しているのが好ましい。
ここで、散点状の切断パターンとは、切断部が間隔を空けて多数形成される限り、行列状(格子状)や千鳥状のような規則的に配列されているものの他、不規則に配列されているものも含まれる。切断部の大きさは縦横それぞれ1〜10mm程度、間隔は縦横それぞれ3〜8mm程度とすることができるが、これに限るものではなく、適宜定めることができる。切断部の配置は、ミシン目100を横断する弾性伸縮部材の全てがいずれかの切断部によって切断され、ミシン目100を有する部分CT1においては10mm以下、特に5mm以下の長さに断片化するように設計するのが好ましい。図14(a)〜(d)に、ミシン目100を横断する複数本の弾性伸縮部材12Cの全てがいずれかの切断部13によって切断される切断パターンの例を示した。いずれの例も、切断部13が上下方向に(弾性伸縮部材12Cと直交する方向)に沿って所定の間隔を空けて列なる切断部列が、幅方向に所定の間隔を空けて且つ隣接する切断部列に対して上下方向位置がずれるように複数列設けられているパターンである。このうち、図14(a)及び(b)に示される例は、いわゆる千鳥状の切断パターンに属するものであり、上下方向に隣接する切断部13の上下方向間隔13sを切断部13の上下方向長さ13y未満にするとともに、隣接する切断部列の上下方向位置のずれを、上下方向に隣接する切断部13の上下方向中心間隔13cの半分としたものである。また、図14(c)及び(d)に示される例は、上下方向に隣接する切断部13の上下方向間隔13sを切断部13の上下方向長さ13y未満にする(この場合必須ではない)とともに、隣接する切断部列の上下方向位置のずれを、上下方向に隣接する切断部13の上下方向中心間隔13cの半分未満としたものである。なお、図14(a)及び(b)に示される例では、切断部13が上下方向およびこれと直交する方向(幅方向)に沿う列をなすように配列されているが、図14(c)及び(d)に示される例では、幅方向には斜めに傾斜した列をなすように配列されている。同様に、上下方向に斜めに傾斜した列をなすように、あるいは上下方向と幅方向の両方で斜めに傾斜した列をなすように配列してもよい。切断部13の形状は適宜選択することができ、図14(a)及び(c)に示すような菱形、図14(b)及び(d)に示すような線状あるいは長方形の他、円形等も採用することができる。
また、切断加工には、針刺し加工、切り目加工、凸ロールと凹ロールをかみ合わせて穿孔あるいは窪みを設ける加工、圧力及び/又は熱を加えるエンボス加工、超音波シール等の溶融シール加工等の加工方法を適宜選択することができるが、熱を加えたり超音波振動を与えたりして切断部が溶融シールされるシール加工が特に好適である。切断部が溶融シールされるシール加工を用いると、切断加工部分CT1の強度が大きく低下することがないどころか、外層シート12を構成する外面側のシートが内面側のシートと溶融シールにより強固に接合することで、むしろ強度を上げることも可能となる。このような効果さえ得られれば良いなら、あえてCT1において切断加工は施さず、シール加工のみを施してもよい。
また、外装シート12の前記ミシン目100が形成される身頃の左右のミシン目間において、ミシン目100から吸収性本体20の側縁より幅方向中央側の位置までの部分CT2が、散点状のシールパターンで多数のシール部が散点状に形成されているのも好ましい形態である。この場合、おむつ外面の不織布に多数のシール部が散点状に形成されるため、当該部分とファスニングテープのフック部材との係止力を適度に調整したり、おむつ外面の不織布の係止時の毛羽立ちを防止したりした、ファスニングテープ90の良好な係止領域を、容易にかつ広範囲に形成することが可能となる。また、おむつ外面側の不織布は、シール部により内面側に位置するシートと強固に接合することができるため、ファスニングテープ90の付け外しにおいて、おむつ外面の不織布が破れることがない。
シール加工は、熱を加えたり超音波振動を与えたりして切断部が溶融シールされる加工方法(例えば凹凸ロールと平坦ロールによる熱エンボスシール加工や凹凸ロールと超音波ホーンによる超音波シール加工)であれば、適宜の方法を用いることができる。シール加工部分CT2の寸法は適宜定めることができるが、上下方向長さY5及び幅X5ともに、ファスニングテープ90のフック部材92の長さY2より長いのが好ましい。また、幅方向範囲については、左右のミシン目100間の全域に亘って加工してもよいし、さらに前述の切断加工部分CT1を含む幅方向範囲にまで拡大して加工しても良い。この場合、CT1とCT2のシールパターンが重なる又は近接する場合には、図示のように両者が連続するパターンで一体的にシール加工を行うことができる。さらに、吸収性本体20と重なる部分においてもシール加工を施す場合には、これと、CT1,CT2の切断加工の少なくとも一方とを組み合わせることができ、組み合わせる切断加工パターンが重なる又は近接する場合には図示のように連続するパターンで一体的にシール加工を行うことができる。
ここで、散点状のシールパターンとは、シール部が間隔を空けて多数配置されている限り、行列状(格子状)や千鳥状のような規則的に配列されているものの他、不規則に配列されているものも含まれる。また、シール部の大きさは縦横それぞれ1〜10mm程度、間隔は縦横それぞれ3〜8mm程度とすることができるが、これに限るものではなく、適宜定めることができる。具体的なシールパターンとしては、前述の切断パターン(例えば図14に示されるパターン)と同様のパターンを用いることができ、この場合、切断部がシール部に相当することはいうまでもない。
シール部の配置は、ウエスト部Wや腰下部Uにおいて幅方向に連続して複数本並行に設けられる糸ゴム(弾性伸縮部材)12C,12C・・・が、シール加工部分CT2において、シール部と重なり適当な長さに分断されるような配置になっていると、シール加工と糸ゴムの切断加工を兼ねることができるので好ましい。このような配置により糸ゴム(弾性伸縮部材)12C,12C・・・が適当な長さに分断されていると、当該部分に皺が寄らず略平坦となるため、ファスニングテープ90のフック部材の係止にさらに好適な状態になる。なお、糸ゴム(弾性伸縮部材)12C,12C・・・が10mm以下、好ましくは5mm以下の長さに断片化するように設計されていると、その効果はより一層のものとなる。従って、前述のCT1における切断加工範囲を、CT2にまで広げてもよい。
ミシン目100が形成される身頃の左右のミシン目間の領域CT2は、前述のようにシール加工が施されているとファスニングテープ90の好適な係止領域を形成することができるが、溶融シール加工ではなく針刺し加工、切り目加工、凸ロールと凹ロールをかみ合わせて穿孔あるいは窪みを設ける加工、主に圧力を加えるエンボス加工などの、溶融を伴わない切断加工によって、糸ゴム(弾性伸縮部材)12C,12C・・・の切断のみを行ってもよい。このような場合でも、当該部分の略平坦化によるファスニングテープ90のつけやすさ向上という効果は得られる。
CT2において切断加工部分を設ける場合は、CT1と別個に設けてもよいが、両者を組み合わせて設けることもでき、組み合わせる切断加工パターンCT1,CT2が重なる又は近接する場合には図示のように両者が連続するパターンで一体的に切断加工を行うことができる。さらに、前述したように、吸収性本体20と重なる部分において、吸収性本体20に対して弾性伸縮部材12Cによる伸縮力が作用しないように弾性伸縮部材12Cを切断する場合には、これと、前述のミシン目100の切り離しを容易にするための切断加工、及びファスニングテープ係止用の切断加工の少なくとも一方と組み合わせることができ、組み合わせる切断加工パターンが重なる又は近接する場合には図示のように連続するパターンで一体的に切断加工を行うことができる。
図13は、図12に示す形態と同様の切断及び/又はシール加工を行う場合の製造手法の一例を示しており、弾性伸縮部材の取付工程201、弾性伸縮部材の切断及び/又はシール部形成工程202、外装シート分割工程203、ミシン目形成及びファスニングテープ取付工程204、吸収性本体の取付工程205、側部接合工程206、及び切り離し工程207をこの順に有するものである。なお、製造が可能である限り、この順番は適宜変更することができる。
先ず、弾性伸縮部材の取付工程201では、二枚の連続帯状の不織布を搬送しつつ、両不織布間に糸ゴム等の弾性伸縮部材12Cを搬送方向(胴回り方向)に沿って伸張した状態で挟み、ホットメルト接着剤等により順次貼り合わせることにより外装シート12を連続的に形成する。
次に、弾性伸縮部材の切断及び/又はシール部形成工程202では、この連続外装シート12に対して、前述の方法により切断及び/又はシール加工が施される。より詳細には、後にミシン目100を形成する部分CT1、後に吸収性本体20と重なる部分CT3、及びこれらの間の部分CT4に、それぞれ切断加工とシール加工の一方を選択して、あるいは両方を組合せて施す。なお、符号CT3及びCT4により示される部分とCT1の一部とを合わせた部分が前述の符号CT2により示される加工部分となる。また、図示例では、ミシン目100を前身頃に設ける場合を想定しており、前身頃となる部分においては、後にミシン目100を形成する部分CT1、後に吸収性本体20と重なる部分CT3、及びこれらの間の部分CT4の3箇所に切断及び/又はシール加工が施されるが、後身頃となるCD方向一方側の部分においては、後に吸収性本体20と重なる部分CT3のみが加工されている。この時の後身頃におけるCT3の加工は、切断加工である。
次に、外装シート分割工程203では、連続外装シート12のCD方向中間部にスリットを入れて、外装シートをCD方向に2分割し、前身頃をなす外装シート12と後身頃をなす外装シート12とを別体として形成する。予め前身頃をなす外装シート12と後身頃をなす外装シート12とを別々のラインで形成し、供給することもでき、その場合、前身頃をなす外装シート12における外面の不織布を、ファスニングテープ90のフック部材92が係止し易い嵩高な素材で形成する等、前身頃をなす外装シート12を後身頃をなす外装シート12と異なる素材で形成することができる。必要に応じて、図中に二点鎖線で示すレッグ開口縁に沿って外装シート12を打抜く(切断)ことができる。これらは、前身頃をなす外装シート12と後身頃をなす外装シート12とが股間部で連続せず、分離しているタイプのおむつを製造する場合の例であるが、前身頃をなす外装シートと後身頃をなす外装シートとが股間部で連続している一体タイプの場合には、おむつの前後方向長さに合わせて連続外装シート12を形成し、外装シート分割工程203を行わずにレッグ開口を打抜く(切断)ようにする。
次に、ミシン目形成及びファスニングテープ取付工程204では、先ず外装シート12における所定部位(図示例では前身頃をなす外装シート12のおむつ幅方向両側部)にCD方向に沿って一端から他端まで連続するミシン目100が形成された後、外装シート12の所定部位(図示例ではミシン目100を有する部分)における製品外側となる面(図中裏面)に、ファスニングテープ90が係止される。なお、前述のようにファスニングテープ90の取付け後に、ミシン目100を形成してもよい。
次に、吸収性本体の取付工程205では、別のラインで製造された吸収性本体20が供給され、順次搬送されてくる連続帯状の外装シート12上に間欠的にホットメルト接着剤等により貼り付けられる。
次に、側部接合工程206では、CD方向の一方側を他方側に折り畳み、前身頃と後身頃とを重ね、MD方向に所定の間隔を空けてヒートシール等の接合加工を施し、個々のおむつの幅方向両側部12Aにおいて前身頃と後身頃とを接合する。
しかる後、最後の切り離し工程207において、MD方向に所定の間隔を空けて、個々のおむつとなる部分の境界(隣接するおむつとなる部分のうち一方のおむつの接合部12Aと他方のおむつの接合部12Aとの間に位置する)に沿って切断し、個々のおむつを得る。
(他の形態)
(イ)上記例では前身頃12Fの両側部にミシン目100を設けたが、これに代えて後身頃12Bの両側部に同様のミシン目を設けることができる。
(ロ)製品状態においてミシン目100以外の部位にファスニングテープ90を止着することもできる。
(ハ)ファスニングテープ90の係止部は、上記例ではフック部材92を用いたが、おむつ外面に係止できるものであれば特に限定されず、例えばフック部材92に代えて粘着材層を設けることもできる。また、上記例では、おむつ外面の不織布を利用してファスニングテープ90を係止するように構成したが、係止が不十分になるおそれがある場合など、必要に応じて、おむつ外面の一部または全体に、フック部材92が絡まるループを有するターゲットテープ、あるいは粘着材が良好に粘着する樹脂テープ等を設けることができる。
(ニ)ファスニングテープ90の少なくとも一部が弾性伸縮するように構成してもよい。これによりフィット性が向上し、サイズ調整の自由度がさらに広がる。特に、第4の実施形態のように所定の間隔を空けてフック部材92を複数設ける場合には、フック部材92間の部分の少なくとも一部が弾性伸縮するように構成するのが好ましい。テープ式として使用する際には、ファスニングテープ90の各フック部材92を、ミシン目100で切り離した腹側および背側にそれぞれ係止し、腹側及び背側を連結することにより、パンツ式として使用する場合よりも胴回りの最大寸法を大きくすることも可能となる。
このようにファスニングテープ90を弾性伸縮させる場合、ファスニングテープ90(基材シート91およびフック部材92の少なくとも一方)の少なくとも一部をゴムシート等の弾性伸縮素材で形成しても良く、シート状または糸状の弾性材料を伸張状態で不織布等のシートに貼り付けた弾性シートのように、弾性伸縮素材と非伸縮素材とを組み合わせても良い。弾性伸縮素材に部分的に非伸縮加工を施しても良く、逆に非伸縮素材に弾性伸縮加工を施しても良い。また、ファスニングテープ90全体が伸縮性を有しても良いが、係止部や摘み部が伸縮性を有さないように構成しても良い。
(ホ)一般的なテープ式おむつは、一方の身頃(通常腹部に当てる側)が幅方向の伸縮が少ない、あるいは実質的に伸縮性を有さず、かつ収縮時あるいは自然状態において装着者の左右のちょう骨間と同じか又はやや広い(1.0〜1.3倍程度)幅、あるいは吸収性本体20に対しては1.1〜2.0倍程度の幅を有し、他方の身頃(通常臀部に敷く側)は伸縮性に優れ、かつ収縮時の幅は一方の身頃の幅とほぼ同じか又はやや広く(1.0〜1.3倍程度、好ましくは1.0〜1.1倍程度)、あるいは吸収性本体に対しては1.1〜2.0倍程度の幅を有すると、テープ止めがし易い、フィット性が良いなどのメリットがあるため好ましいことがわかっている。
一方、本発明の紙おむつは、ミシン目で切り離すことにより、所謂テープ式おむつとしても使用できるが、ミシン目は前身頃または後身頃の両側部における幅方向中間部に形成されるため、ミシン目で切り離した後における外装シートの前身頃の幅と後身頃の幅とが大きく異なる。
しかし、本発明では、上記例のようにミシン目100のある身頃のミシン目間の弾性伸縮部材12Cを切断して実質的に伸縮しないようにしておけば、弾性伸縮部材12Cによって収縮した状態ではミシン目100が形成されている身頃の両側部の接合部12A間の幅よりもミシン目100が形成されていない身頃の両側部の接合部12A間の幅が狭くなり、ミシン目100で切り離した時のミシン目100のある身頃とミシン目100のない身頃の収縮時の幅がほぼ同じか又はやや広くなり、前述のようなテープ式おむつとして好ましい寸法設計になるという利点がある。
なお、弾性伸縮部材12Cによって収縮した状態でミシン目100が形成されている身頃の両側部の接合部12A間の幅よりもミシン目100が形成されていない身頃の両側部の接合部12A間の幅が狭くなるような構成とは、必ずしも上記例に限るものではなく、例えば弾性伸縮部材12Cを全く切断しない形態においても、弾性伸縮部材12Cを固定する際の伸長率をミシン目100が形成されている身頃よりもミシン目100が形成されていない身頃のほうを高くすれば、同様の構成となる。また、前身頃と後身頃の弾性伸縮部材12Cの切断範囲を異ならせることと、伸長率を異ならせることの両方を組み合わせてもよい。
本発明は、パンツ型紙おむつに適用できるものである。
第1の実施形態の内面を示す展開状態での平面図である。 図1の2−2断面図である。 図1の3−3断面図である。 製品状態の正面図である。 第2の実施形態の製品状態の正面図である。 第2の実施形態のテープ式状態の正面図である。 第3の実施形態の製品状態の正面図である。 第4の実施形態の製品状態の正面図である。 第4の実施形態のテープ式状態の正面図である。 第5の実施形態の製品状態の正面図である。 第5の実施形態のテープ式状態の正面図である。 第7の実施形態の製品状態の正面図である。 第7の実施形態の製造フロー図である。 各種切断パターンを示す要部拡大正面図である。
10…吸収性本体、12…外装シート、12F…前身頃、12B…後身頃、90…ファスニングテープ、91…基材シート、92…フック部材、100…ミシン目。

Claims (9)

  1. 前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されることにより、両側に接合部が形成されるとともに、ウエスト開口部および左右一対のレッグ開口部が形成され、前記前身頃および後身頃の各々の前記ウエスト開口部から前記レッグ開口部にわたる範囲に、複数の細長状の弾性伸縮部材が幅方向に伸張された状態で固定され、前身頃または後身頃の両側部に、ウエスト開口部の縁から前記レッグ開口部の縁まで延在するミシン目がそれぞれ形成された、パンツ型紙おむつにおいて、
    内面に係止部を有するファスニングテープを複数備え、
    これらファスニングテープは前記係止部により前記おむつ外面に着脱自在に係止されるとともに、この係止部による係止を取外すことによりおむつ外面から完全に分離できるように構成されており、且つ
    前記弾性伸縮部材が前記ミシン目を横断するように配置されるとともに、
    前記ファスニングテープの係止部が前記ミシン目の両側にわたり連続するように、各ミシン目を有する部分の外面に前記ファスニングテープが着脱自在に係止されている、
    ことを特徴とするパンツ型紙おむつ。
  2. 前記弾性伸縮部材は、前記ミシン目を挟んで両側にそれぞれ設けられるとともにミシン目側の先端が前記ミシン目と同位置またはその近傍に位置している、請求項1記載のパンツ型紙おむつ。
  3. 前記おむつ外面が不織布により形成されており、前記ファスニングテープの係止部が、表面に多数のフック状突起を有するフック部材からなる、請求項1又は2記載のパンツ型紙おむつ。
  4. 前記ミシン目を横断するように、細長状の弾性伸縮部材が横断方向に伸張された状態で固定されており、前記ミシン目の切り込みにより前記弾性伸縮部材が切断されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
  5. 前記ファスニングテープの係止部と重なる部分およびその近傍にのみ、細長状の弾性伸縮部材が前記ミシン目を横断する方向に伸張された状態で固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
  6. 前記係止部は、前記ファスニングテープの内面に、所定の間隔を空けて複数設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
  7. 個々の前記ファスニングテープにおける前記係止部と係止部との間の部分のうち少なくとも一部が弾性伸縮するように構成されている、請求項6記載のパンツ型紙おむつ。
  8. 前記ファスニングテープは、帯状の基材シートの内面に前記係止部を有する部分と、前記係止部を有さない摘み部とが設けられてなるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
  9. 前記ファスニングテープの係止部が前記弾性伸縮部材の配置部分に係止されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパンツ型紙おむつ。
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