JP4953807B2 - ファスニングテープの製造方法 - Google Patents
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Description
止着式紙おむつは、特に乳児や介護用として汎用されているものである。止着式紙おむつの多くは、腹側のウエスト端部から股間部を通り背側のウエスト端部に延在する、排泄物を吸収保持する吸収性本体部と、この吸収性本体部における腹側の両側部からそれぞれ側方に延在する腹側サイドフラップ部と、吸収性本体部における背側の両側部からそれぞれ側方に延在する背側サイドフラップ部と、背側サイドフラップ部に設けられたファスニングテープとを備えており、装着に際して、背側サイドフラップ部を腹側サイドフラップ部の上に重ねた状態で、背側サイドフラップ部のファスニングテープを腹側の外面に係止するものである。
また、近年では、パンツ式紙おむつにおいても、サイズ調整用としてファスニングテープを備えることが提案されており、またそのような形態において、脇部を破ることで止着式紙おむつのように使用可能なものも提案されている。さらに、止着式紙おむつにおいても、脇部の伸縮性を強化することにより、ファスニングテープで連結したままパンツ式のように使用する形態も提案されている。
一方、ファスニングテープとしては、基端部がおむつに連結固定された基材テープ部材と、基材テープ部材の先端側に設けられた、表面に多数のフック状突起を有するフックテープ部材とからなるものが汎用されている。そして、近年の紙おむつにおいては、従来以上にフィット性が要求されるようになってきており、このためファスニングテープは大型化する傾向にあり、フックテープ部材の使用面積も大きくなってきているのが現状である。
フックテープ部材は、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフックテープを所定の寸法に切断したものであり、他の部材と比べて硬いため肌触りを悪化させるおそれがあるとともに、高コストな部材であるため、効率的、効果的に使用することが望まれている。このような観点から、フックテープ部材の形状として、胴回り方向一方側の側縁が胴回り方向と直交する縦方向に沿う直線状をなし、且つ胴回り方向他方側の側縁が胴回り方向に変位しながら縦方向に沿って延在する波状をなす形状が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。このような形状とすることによって、硬軟及び係止特性(係止力の強弱等)を縦方向に変化させることができ、効率的、効果的な素材使用が可能となる。
そこで、本発明の主たる課題は、より効率的、効果的にフックテープを使用できるようにすることにある。
連続帯状の基材テープ上に連続帯状のフックテープを貼り付けた後、個々のファスニングテープに切断するファスニングテープの製造方法において、
所定の幅で連続する帯状のフックテープを、幅方向に変位しながら連続方向に沿って延在する波状の切断線において鏡像対称に2分割し、一方の側縁が直線状をなし且つ他方の側縁が前記波状をなす一対の分割テープを形成し、
この一対の分割テープを、互いの直線状の側縁を合わせつつ、前記基材テープ上に連続方向を合わせて貼り付けて、前記基材テープ上に、前記一対の分割テープからなり両側縁が前記波状をなす連続的なフックテープ領域を形成し、
しかる後、個々のファスニングテープに前記フックテープ領域の波状の両側縁が残るように、個々のファスニングテープに切断する、
ことを特徴とするファスニングテープの製造方法。
本発明の製造方法では、高価なフックテープのトリム( 余分な廃棄部分) が実質的に発生しない所謂ゼロトリム法でありながら、両側縁が波状のフックテープ領域を有するファスニングテープを製造できる。よって、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
前記波状の切断線は、前記フックテープの連続方向に周期性を有し、周期の始点、終点及び半周期点を前記フックテープの幅方向中央線上に有し、前記始点から半周期点までの前半部分および前記半周期点から終点までの後半部分は前記半周期点について点対称をなし、且つ前記前半部分及び後半部分は各々の半分の周期点を通る幅方向に沿う線について線対称をなしており、
前記一対の分割テープを前記基材テープ上に貼り付ける際、一方の分割テープにおける波状側縁の位相と、他方の分割テープにおける波状側縁の位相とを合わせる又は半周期ずらすようにする、請求項1記載のファスニングテープの製造方法。
本項記載の発明によれば、見栄えの良いフックテープ領域を有するファスニングテープを製造できる。すなわち、分割テープの貼り付けの際、位相を合わせることにより左右対称の波状側縁を有するフックテープ領域を形成でき、また位相を半周期ずらすことにより全体として所定幅の波状をなすフックテープ領域を形成できる。
図1及び図2は本発明に係る止着式紙おむつの一例を示している。図2は図1におけるB−B線矢視図である。この止着式紙おむつは、幅方向中央に沿って腹側Fの上縁F1から股間部Cを通り背側Bの上縁B1まで延在する、排泄物を吸収保持する吸収性本体部10と、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、およびトップシート30がこの順に積層されている。トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11はトップシート30よりも若干幅広に形成されている。
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)するバリヤーカフス60,60が設けられており、このバリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート64,64が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でSMS不織布やSMMS不織布等の積層不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
また、外装シート12が不織布からなる場合には、後述するようにターゲットテープ74を省略し、フックテープ部材132,133の係合突起を外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできるが、この場合は、外装シート12は十分な係合力を発揮する観点から、坪量が15〜50g/m2であるのが好ましく、また種類としては高い係合力を発揮できるエアスルー不織布やポイントボンド不織布、強度と係合力のバランスの取れたスパンボンド不織布、SMS不織布等が好適である。この場合、外装シート12における少なくとも連結部分(例えば前後方向の中央より前側の部分等。全体でも良い)にエンボス加工を施し、補強することができる。エンボス加工は、外装シート12と液不透過性シート11を張り合せた後で、外装シート12側から凸エンボスロールで押圧されるようにする。凸エンボスロールに対向するロールは凸エンボスロールの凸部に対応する凹部が形成された凹エンボスロールであってもよいし、凸エンボスロールの凸部が押し込まれる程度の柔軟性を備えるゴムロールであってもよく、特には限定されない。凸エンボスロールの凸部の接着点面積であるエンボス面積は、5〜50%、好ましくは、5〜40%、特に好ましくは、10〜30%である。エンボス面積が5%未満では接着力が不十分となり、50%より大きいとエンボス処理を施して得られるシートが硬くなり風合いが損なわれてしまうおそれがある。連結部として付与するエンボスのパターンは、ドット状、千鳥状、格子状、線状、など任意のパターンを選択できる。
トップシート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法やスパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法やサーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に、トップシート30より液の透過速度が速い、通常「セカンドシート」と呼ばれる中間シート40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)するバリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
このバリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート64と、このバリヤーシート64に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材62とにより構成されている。このバリヤーシート64としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材62としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
バリヤーシート64の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍において、バリヤーシート64と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等の弾性伸縮部材66がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム62の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム62の収縮力が作用するので、糸ゴム62の収縮力によりバリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有している。包被シート58は省略することもできる。さらに、図示形態では、吸収体56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80が設けられているが、この保持シート80は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
吸収体56は、繊維52,52の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプ等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。繊維の繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは1〜6デニールが望ましい。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、図2に示すように高吸収性ポリマー粒子54,54…を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維52,52…の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維52,52…の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維52,52…の集合体を通り抜けて包被シート58上にある形態や、保持シート80上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子54とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子54の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子54としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子54の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子54としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図2のように、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。必要ならば、連続繊維52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
保持シート80を設ける場合、保持シート80と吸収体56上との間には、高吸収性ポリマー粒子54をその散布などにより介在させることができる。高吸収性ポリマー粒子54は、連続繊維52の集合体への供給時又はその後の工程、あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、連続繊維52の集合体を通り抜けることがある。連続繊維の集合体を通り抜けた高吸収性ポリマー粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。そこで、吸収体56と包被シート58との間に高吸収性ポリマー54の保持性能を有する保持シート80を介在させるのも好ましい形態である。
この保持シート80は、ティッシュペーパ(クレープ紙)などの包被シート58のみでは足りないコシを補強して、消費者が使用する際に手で触ったときのジャリジャリした違和感を軽減又は防止する役割を果たす。
保持シート80の素材は、特に限定されず、高吸収性ポリマー54の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。
保持シート80としては、厚みが高吸収性ポリマー粒子の粒径よりも大きいものが好ましい。また、保持シート80の目付けは10〜60g/m2、特に20〜40g/m2であるのが好ましい。
特に、保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるとよい。
また、抜け出た高吸収性ポリマー54は、保持シート60によって保持され、包被シート58上を移動することがないため、吸収能力の偏在が生じ難くなる。特に、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するために、予め粘着性を有するホットメルト接着剤などを保持シート80上に塗布することができる。また、保持シート80の上面(使用面側に向かう面)を粗面とすることで、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動を防止するようにしてもよい。このための粗面化又は毛羽立ち手段としては、不織布の製造時におけるネット面でない非ネット面とする、マーブル加工を行う、ニードルパンチにより加工する、ブラシッング加工するなどを挙げることができる。
保持シート80は、図2に示すように吸収体56の下方にのみ設けても、また図示しないが、吸収体56の側面を通り吸収体56の上面にまで巻き上げて延在させてもよい。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
上記例は、吸収体56と包被シート58の裏面側部位との間に保持シート58を設ける例であるが、保持シート58は、包被シート58より裏面側であってもよく(その形態は図示していない)、要は、吸収体56に対して裏面側に保持シートを設ければ、製品の裏面から触る場合におけるジャリジャリした違和感を軽減させるあるいは生じさせないものとなる。
ファスニングテープ130は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などの基材テープ部材131の基部がおむつに接合されており、その先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフックテープ部材132,133が設けられている。基材テープ部材131の基端部は、おむつの内面または外面に貼り付けても良いが、図示例のように取付け部位のシート間、この場合は外装シート12とバリヤーシート64との間に挟んで固定し、先端側部分をそれらシートの側縁から側方に突出させるのが好ましい。
ファスニングテープ130の先端側部分の形状は、摘みやすさやフィット性に優れるため、図示のような略台形の形状が好ましいが、方形やその他の形状であっても構わない。略台形の場合は、台形の傾斜が大きくなると前述の先端部における効果が得られにくいため、おむつの胴回り方向に対する台形の傾斜角度は、テープ130先端部の幅方向中央において25°以下、特に20°以下が好ましい。また、後述の製法を考慮すると、3°以上、特に5°以上が好ましい。
フックテープ部材132,133は基材テープ部材131に接着剤により剥離不能に接合されている。フックテープ部材132,133は、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状、ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が知られているが、いずれの形状であっても良い。
ファスニングテープ130の基材テープ部材131は前述のように適宜選択することが可能であるが、透明度の高い素材を用い、フックテープ132,133の形状が透けて見えるようにすると、フックテープ132,133の膨出部や窪み部の位置や形状が認識しやすいため、止着時に、特に力の加わりやすい部分を強く押さえて、テープ130が剥がれにくくすることが容易になるため、好ましい。また同様の理由で、フックテープ132,133の全体または周縁部を着色して、フックテープ132,133の形状の視認性を向上させることも、好ましい。
腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためにターゲットテープ74を設けるのが好ましい。ターゲットテープ74は、フックテープ部材132,133の係合突起が絡まるようなループ糸が表面に多数設けられたものを用いることができる。
また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合には、ターゲットテープ74を省略し、フックテープ部材132,133の係合突起を外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。
各フックテープ部材132,133の波状側縁wの形状は適宜定めることができ、その例を図3にまとめて示した。図3(a)に示すファスニングテープ130は、図1に示すものと同様のものであり、各フックテープ部材132,133における縦方向の両端部およびこれらの間に位置する中間部のうち、両端部に胴回り方向の幅が最大となる部分を有し、中間部に胴回り方向の幅が最小となる部分を有するように、波状の側縁wが形成されているものである。両フックテープ部材132,133の波状の側縁wは同様の正弦曲線状をなしており、直線状の側縁sの位置(フックテープ領域の胴回り方向中央線)について線対称をなしている。
この例では、特に力の加わりやすい縦方向両端部において両フックテープ部材132,133の面積が広くなり、また縦方向中間部の面積は狭くなるため、連結が外れにくく且つファスニングテープ130の柔軟性が損なわれ難い。また、高価なフックテープの使用量を抑えることができる。さらに、ファスニングテープ130の先端側における縦方向中間部に、フックテープ部材132,133を有しない部分が設けられるため、この部分を摘み代kとして利用できる。
この例のファスニングテープ130は、基端側のフックテープ部材133の面積を特に力の加わりやすい縦方向両端部で広くしながら、力の加わり難い縦方向中間部で狭くし、柔軟性の確保および部材使用量の抑制を図る一方、先端側のフックテープ部材132の面積を縦方向両端部で狭くし、衣服への絡み付きを防止し、合わせて柔軟性の確保および部材使用量の抑制を図るとともに、それによる連結力の低下を縦方向中間部における面積を広げることにより抑制したものである。
この例のファスニングテープは、基端側のフックテープ部材133の面積を特に力の加わりやすい縦方向両端部で狭くし、連結部位の動きを許容する構成とし、合わせて柔軟性の確保および部材使用量の抑制を図るとともに、それによる連結力の低下を縦方向中間部における面積を広げることにより抑制する一方、先端側のフックテープ部材132の面積を縦方向両端部で広くして連結力を確保しつつ、縦方向中間部で狭くして、柔軟性の確保および部材使用量の抑制を図ったものである。
他方、上述したファスニングテープは次の方法により製造することができる。すなわち、図4に示すように、所定の幅で連続する帯状のフックテープFTを繰り出し、搬送するとともに、このフックテープFTを、幅方向に変位しながら連続方向に沿って延在する波状の切断線C1において鏡像対称に2分割し、一方の側縁sが直線状をなし且つ他方の側縁wが波状をなす一対の分割テープST,STを形成する。
波状の切断線C1は適宜定めることができるが、周期性を有するのが好ましく、特に図示例のように、フックテープFTの連続方向に周期性を有し、周期の始点、終点及び半周期点をフックテープFTの幅方向中央線上に有し、始点から半周期点までの前半部分および半周期点から終点までの後半部分は半周期点について点対称をなし、且つ前半部分及び後半部分は各々の半分の周期点を通る幅方向に沿う線について線対称をなしているのが好ましい。具体的な形状例としては、前述したもの、つまり正弦曲線のような周期曲線、三角波、矩形波の他、大きな波と小さな波とを交互に有するものや、波の変化を階段状にしたものを挙げることができる。
切断線C1が図示例のような周期曲線の場合、一対の分割テープST,STを基材テープ131T上に貼り付ける際、一方の分割テープSTにおける波状側縁wの位相と、他方の分割テープSTにおける波状側縁wの位相とを合わせることにより、左右対称の波状側縁w,wを有するフックテープ領域FAを形成できる。
分割テープST,STを貼り付けた基材テープ131Tは、次いで、個々のファスニングテープ130に切断する。この際、フックテープ領域FAの波状の両側縁w,wが個々のファスニングテープに残るように切断する。図示例では、連続方向に延在する第1の切断線C2により基材テープ131Tを幅方向に2分割するとともに、両分割体130T,130Tを第2の切断線C3により連続方向に所定の間隔(ファスニングテープ130の縦方向長さ)を空けて断続的に切断している。
また、第2の切断線C3は、第1の切断線C2における1/4周期点及び3/4周期点からそれぞれ最寄の側縁まで幅方向に沿って連続するものである。第2の切断線C3による切断を行う場合、第1の切断C2における切断により両分割体130T,130Tを形成した後、両分割体130T,130Tにおける第2の切断線C3の位置を搬送方向に揃えてから、両分割体130T,130T同時に第2の切断線C3における切断を行うのが好ましい。もちろん、両分割体130T,130Tにおける第2の切断線C3の位相を搬送方向にずらすこともできる。
かかる第1及び第2の切断線C2,C3により切断することで、個々のファスニングテープ130が順次形成される。図4のファスニングテープは、図1及び図3(a)に示されるものと同じものである。このような方法により製造すると、トリム無しに両側縁w,wが波状のフックテープ領域FAを有するファスニングテープ130を製造できる。製造したファスニングテープ130は、図5に示すように、おむつ製造ラインに供給され、おむつに取り付けられる。図示例は、バリヤーシート64を貼り付ける前の外装シート12の内面に、ファスニングテープ130を貼り付けている。
これらの例では、一対の分割テープST,STを基材テープ131T上に貼り付ける際、一方の分割テープSTにおける波状側縁wの位相と、他方の分割テープSTにおける波状側縁wの位相とを半周期ずらすことにより全体として所定幅の波状をなすフックテープ領域FAが形成されている。また、これらの例では、切断線C1,C2の周期が等しくされるとともに、切断線C1,C2の位相は、図6(a)及び図7(b)に示されるファスニングテープ130では同位相とされ、図6(b)及び図7(a)に示されるファスニングテープ130では半周期ずらされている。
Claims (2)
- 連続帯状の基材テープ上に連続帯状のフックテープを貼り付けた後、個々のファスニングテープに切断するファスニングテープの製造方法において、
所定の幅で連続する帯状のフックテープを、幅方向に変位しながら連続方向に沿って延在する波状の切断線において鏡像対称に2分割し、一方の側縁が直線状をなし且つ他方の側縁が前記波状をなす一対の分割テープを形成し、
この一対の分割テープを、互いの直線状の側縁を合わせつつ、前記基材テープ上に連続方向を合わせて貼り付けて、前記基材テープ上に、前記一対の分割テープからなり両側縁が前記波状をなす連続的なフックテープ領域を形成し、
しかる後、個々のファスニングテープに前記フックテープ領域の波状の両側縁が残るように、個々のファスニングテープに切断する、
ことを特徴とするファスニングテープの製造方法。 - 前記波状の切断線は、前記フックテープの連続方向に周期性を有し、周期の始点、終点及び半周期点を前記フックテープの幅方向中央線上に有し、前記始点から半周期点までの前半部分および前記半周期点から終点までの後半部分は前記半周期点について点対称をなし、且つ前記前半部分及び後半部分は各々の半分の周期点を通る幅方向に沿う線について線対称をなしており、
前記一対の分割テープを前記基材テープ上に貼り付ける際、一方の分割テープにおける波状側縁の位相と、他方の分割テープにおける波状側縁の位相とを合わせる又は半周期ずらすようにする、請求項1記載のファスニングテープの製造方法。
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