JP4535708B2 - 防曇性膜形成用塗布剤及び防曇性膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室用、洗面所用等の防曇鏡、車両用、建築用等の防曇窓ガラス又は防曇鏡、レンズ、ディスプレー等各種用途に用いることが可能で、防曇性に優れる防曇性膜を得るための塗布剤及び形成方法に関する。
ガラスやプラスチック等の透明基材は、基材を挟んで内面と外面の温湿度の差により、一方の表面が露点以下になった場合、又は、基材に対して急激な温湿度変化が起こった場合(沸騰水蒸気が基材に接触した場合、低温部から高温多湿の環境に移った場合等)に雰囲気中の水分が水滴として付着し、基材表面は結露する。その結果、結露した水滴により光の散乱が起こる。いわゆる「曇り」が発生することで、視界が妨げられ、一般的な窓ガラス、自動車や航空機のフロントガラス、反射鏡、眼鏡、サングラス等では、安全性が著しく損なわれる。
上記「曇り」の発生を防止する方法として(1)基材表面に界面活性剤を塗布して水に対する接触角を小さくすることにより水滴を水膜状にする方法(例えば特許文献1)、(2)基材表面に、親水性樹脂、界面活性剤等を混合した溶液を塗布し、加熱、又は、紫外線、もしくは、電子線により硬化させて水に対する接触角を小さくさせることにより水滴を水膜状にする方法(例えば特許文献2)、(3)基材表面光触媒を有する膜を形成する方法(例えば特許文献3)、(4)基材表面(裏面)に熱線ヒーターや面ヒーターを施しヒーターを通電することで基材を加温し露点以上にする方法(例えば、特許文献4)等が考えられてきた。
しかし、(1)の方法は、初期の防曇性は優れているものの、水との接触により界面活性剤が流出し、防曇効果が短命であるという欠点がある。(2)の方法は、(1)と同様に膜から界面活性剤の流出によりに、防曇付与機能が長時間持続しない。(3)の方法は、無機物による膜であることから耐磨耗性に利点があるが、防曇性発現には紫外光が必要であり、全ての環境で防曇性が発現するわけではない。(4)の方法は、一般的にコストが高く、基材が温まるまでに時間がかかり防曇性発現に時間を要することや熱割れ等の問題がある。以上のように現状では十分な防曇性、防曇持続性、耐水性等の各種耐久性等を満足する防曇性膜は得られていない。
加えて、表面の親水性だけで防曇性を発現する防曇性膜では、氷点下環境では、被膜上に形成される水膜が凍るために防曇性が発現しないばかりか、透視性が損なわれる等の問題が生じうる。又、多孔質性等の吸水性によって、防曇性が発現している場合であっても、被膜中に取り込まれた水の凍結によって、透視性が低下する、被膜の破壊が生じうる等の問題があった。
防曇性と耐磨耗性の両立のため、界面活性剤の親水性とウレタン樹脂の弾性による耐磨耗性を利用した防曇性膜形成用塗布剤が検討されてきた。特許文献5では、ウレタン樹脂の3次元架橋構造中に界面活性剤を含有させた防曇性膜形成用塗布剤が開示されている。しかし、該公報で開示された内容物は、界面活性剤が3次元架橋構造中に担持されているにすぎず、界面活性剤が経時とともに樹脂から流出するので、防曇性が劣化する。
特許文献6では、イソシアネート基を有するイソシアネートと吸水性のポリビニルピロリドンとの2液硬化型樹脂に、イソシアネート基と反応する官能基を有する界面活性剤を導入することで、樹脂の3次元架橋に界面活性剤を結合させた防曇性膜形成用塗布剤が開示されている。又、特許文献7では、イソシアネート基を有するイソシアネートと親水性のポリオールとの2液硬化型樹脂に、イソシアネート基と反応する官能基を有する界面活性剤を導入することで、樹脂の3次元架橋に界面活性剤を結合させた防曇性膜形成用塗布剤が開示されている。
上記特許文献6乃至7の各公報で開示された防曇性膜形成用塗布剤から形成した防曇性膜は、界面活性剤が弾性のある樹脂の3次元架橋と結合しているので、防曇持続性と他の樹脂と比較して良好な耐磨耗性の両方を兼ね備えている。
特開平2−16185号公報 特開2001−040294号公報 特許2943768号公報 特開平08−317841号公報 特開昭60−85939号公報 特表昭61−502762号公報 特表2000−515572号公報
上記特許文献5乃至7の各公報で開示された防曇性膜形成用塗布剤から形成した防曇性膜は、界面活性剤が弾性のある樹脂の3次元架橋と結合しているので、防曇性の持続性と他の樹脂と比較して良好な耐摩耗性の両方を兼ね備えている。しかし、他の樹脂と比べて良好な耐摩耗性であっても、建築用や車両用の窓ガラスや鏡へ、これら防曇性膜形成用塗布剤から防曇性膜を形成した場合には、耐摩耗性はまだ十分ではなく、長期使用に耐えることができない等の問題があった。
又、防曇性膜表面の平滑性すなわちスリップ性について 検討された例はなく、防曇性を有するもののスリップ性については、20〜30μmのシート状フィルム等で検討されている程度であった(例えば、特開2001−31806号公報)。
防曇性膜は、使用中に膜表面に多種多様の付着物が付着し、外観及び品質を阻害することは容易に想定され、それらの付着物を除去するために、通常では、布等での払拭が行なわれる。その際、表面のスリップ性が不足している場合は、払拭作業において、除去時間の増加、拭きムラによる外観不良等の不具合が発生する。払拭作業中は、付着物を膜表面に擦りつけるため、スリップ性が悪い場合は、付着物が膜表面に引っかかりやすく、擦り傷も多々発生することや、払拭作業に使用する布等が逆に膜表面に貼り付く等、悪影響を与える場合がある。
すなわち、膜のスリップ性が高いと、膜の耐摩耗性、防汚性が向上するので、実用的な観点から非常に重要な指標である。膜のスリップ性を向上させるために、膜成分にシリコーン樹脂等を導入することが一般的であるが、シリコーン樹脂は撥水性のため、膜の親水性、吸水性を損ない防曇性の低下をもたらす。加えて、氷点下環境での防曇性はほとんど実現できない等の問題がある。
本発明は、氷点下環境でも防曇性が高く、且つ防曇性の持続性、耐摩耗性、且つスリップ性に優れる防曇性膜を形成できる防曇性膜形成用塗布剤及び防曇性膜を形成することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するために、ウレタン樹脂からなる防曇性膜形成用塗布剤について、鋭意検討してなされたものである。本発明の防曇性膜形成用塗布剤は、イソシアネート基を有するイソシアネート成分を有する塗布剤A、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を有する塗布剤Bとからなり、前記ポリオール成分がポリエステルポリオール、吸水性ポリオール、及びトリアルカノールアミンを有することを特徴とする。
防曇性膜の防曇性の持続性は主として、塗布剤Bに添加する水酸基、アミノ基、メルカプト基等のイソシアネート反応性基を有する界面活性剤が寄与する。本発明の塗布剤から得られる防曇性膜は吸水性を有するので、防曇性発現の初期では水が膜中に吸水される。この吸水が主として防曇性の発現に寄与する。この吸水が飽和に達した段階では、界面活性剤の高い水膜形成能によって、防曇性が持続する。膜に高い水膜形成能を付与する界面活性剤にイソシアネート反応性基を設けることによって、該界面活性剤は、塗布剤が硬化後に界面活性剤がウレタン樹脂の架橋と結合する。従って、膜から界面活性剤が溶出することがないので、防曇性膜の高耐久化、防曇性の持続性に奏功する。
イソシアネート反応性基を有する界面活性剤は、イソシアネート成分、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤の総量(以下、ウレタン成分総量)に対して、10重量%〜25重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、前記した防曇性の持続に対する効果が少なく、25重量%超では、膜強度が低下しやすいからである。
防曇性膜の吸水性による防曇性の発現は、塗布剤Bに添加する吸水性ポリオールが寄与する。又、氷点下環境での防曇性を鑑み、該吸水性ポリオールは、ポリオキシエチレンを有するポリオキシアルキレン系のポリオールであることが好ましい。ポリオキシエチレンを有するポリオールは、塗布剤が硬化後にポリオキシエチレン鎖[−CHCHO−]として膜中に導入される。このポリオキシエチレン鎖中の酸素原子は、水を結合水として吸収する。結合水として吸収された水は、氷点下においても凍結しにくく、氷点下環境での防曇性を発現することが可能となる。氷点下での防曇性を鑑み、該ポリオキシエチレン鎖[−CH2CH2O−]単位が、ウレタン成分総量に対して10重量%以上とすることが好ましい。尚、氷点下環境での防曇性とは、0℃以下−30℃以上での防曇性である。
吸水性ポリオールの含有量は、ウレタン成分総量に対して、9重量%〜25重量%とすることが好ましい。重量%未満では、吸水性による防曇性発現に対する効果が少ない。一方、25重量%超では、塗布剤の硬化不良や膜強度の低下等の不具合が生じやすくなる。
防曇性膜の耐磨耗性は 塗布剤Bに添加するポリエステルポリオールが主として寄与する。その含有量は、ウレタン成分総量に対して、2.5重量%〜40重量%とすることが好ましい。2.5重量%未満では、耐磨耗性の効果が少なく、40重量%超では、防曇性が低下しやすいからである。又、ポリエステルポリオールの導入により得られる膜の耐水性も合せて向上する。
前記ポリエステルポリオールは、可撓性と耐擦傷性の両方を併せ持つことより防曇性を損なわずに耐磨耗性を向上させることができる平均分子量500〜2000のポリエステルポリオールであることが好ましい。平均分子量が500未満の場合は、膜は緻密になりすぎ耐磨耗性が低下する。一方、2000超では、塗布剤の成膜性が悪化し、防曇性膜を形成することが難しくなる。又、得られる膜の緻密性を考慮すると、該ポリオールの水酸基数は2又は3とすることが好ましい。
該ポリエステルポリオールには、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びそれらの混合物のいずれかを使用することができる。
トリアルカノールアミンは、膜表面にスリップ性を付与する。アルカノールアミンには、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン等があるが、得られる膜の緻密性を考慮し、トリアルカノールアミンを使用する。加えて、アルカノールアミン中のアミン基が、膜の親水性を向上させる。
トリアルカノールアミンの導入は、膜の緻密化をもたらすので、膜の吸水性を低下させ、氷点下の防曇性を低下させる影響があるが、ポリエステルポリオールとともに導入させることにより膜の吸水性の低下を抑制し、氷点下での防曇性の発現、及び膜表面のスリップ性の実現に奏功する。
前記トリアルカノールアミンは、ウレタン成分総量に対して2.5重量%〜10重量%加えることが好ましい。2.5重量%未満では硬化促進効果が小さく、10重量%を超えるとイソシアネートとの反応性が高まるとともに、比例して添加するイソシアネート量を増加しなければならないので、得られる膜の緻密化が進み、弾性低下による耐磨耗性低下、吸水能低下による防曇性の低下を招きやすい。
本発明の防曇性膜は、上記塗布剤から基材上に形成させることができ、疎水成分、及び吸水成分(好ましくはオキシエチレン鎖)、並びに界面活性剤とを含有するウレタン樹脂系の防曇性膜であり、ポリエステルポリオール由来の疎水成分、吸水性ポリオール由来の吸水成分、及び界面活性剤とが適切に含有されることにより各種特性に優れる防曇性膜を得ることができる。
前記各種特性に優れる防曇性膜は、少なくともポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を混合し、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を有する塗布剤Bを得、該塗布剤にイソシアネート基を有するイソシアネート成分を有する塗布剤Aを添加混合し防曇性膜形成用塗布剤を得る工程、前記防曇膜形成用塗布剤を基材表面上に塗布する工程、室温で放置又は170℃まで、好ましくは80℃以上の熱処理で塗布剤を硬化させる工程とによって効率的に得ることができる。
本発明の防曇性膜形成用塗布剤から形成された防曇性膜は、常温での防曇性に優れるばかりか、氷点下での防曇性に優れるとともに防曇持続性、耐摩耗性、スリップ性等に優れているので、長期使用に耐え頻繁に払拭を行うような場所や冷環境においても、使用することができ、車両用、建築用の防曇ガラス、防曇鏡への使用に奏功する。
本発明の防曇性膜形成用塗布剤は、基材に防曇性膜を形成するための防曇性膜形成用塗布剤であって、前記防曇性膜形成用塗布剤が、ウレタン樹脂系の塗布剤であり、イソシアネート基を有するイソシアネート成分を有する塗布剤A、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を有する塗布剤Bとからなる2液硬化型の塗布剤である。
イソシアネート成分には、ジイソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を有する3官能のポリイソシアネートを使用できる。当該物質は、耐候性、耐薬品性、耐熱性があり、特に耐候性に対して有効である。又、当該物質以外にも、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート及びトルエンジイソシアネート等も使用することができる。
前記イソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分、及び界面活性剤に存在する水酸基及びメルカプト基並びにアミノ基の数に対して、その比が0.8〜2、より好ましくは0.9〜1.3となるように調整することが好ましい。0.8未満である場合は、塗布剤の硬化性が悪化するとともに、形成された膜は未反応界面活性剤が膜表面に溶出するので、膜のべたつき感が出る等の不具合が生じる。一方、2を超える場合は、過剰硬化により、防曇性が低下する。
界面活性剤は塗布剤から形成される膜に親水性を付与して防曇性を発現させる成分であり、水酸基、メルカプト基、アミノ基等のイソシアネート基と反応し結合する官能基を有する。前記界面活性剤としては、陽イオン系、陰イオン系、両性系、非イオン系を使用できる。
イソシアネート反応性基を有する陰イオン系界面活性剤としてはひまし油モノサルフェート、ひまし油モノホスフェート、ソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ソルビトール脂肪酸エステルサルフェート、ソルビトール脂肪酸エステルホスフェート、ショ糖脂肪酸エステルサルフェート、ショ糖脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノホスフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノホスフェート等が挙げられる。
イソシアネート反応性基を有する陽イオン系界面活性剤としてはジアルカノールアミン塩、トリアルカノールアミン塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミンエーテル塩、脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩、ポリオキシアルキレンジアルカノールアミンエーテル塩、ポリオキシアルキレントリアルカノールアミンエーテル塩、ジ(ポリオキシアルキレン)アルキルベンジルアルキルアンモニウム塩、アルキルカルバモイルメチルジ(ポリオキシアルキレン)アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンジアルキルアンモニウム塩、リシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート等が挙げられる。
イソシアネート反応性基を有する両性系界面活性剤としては、N,N−ジ(β−ヒドロキシアルキル)N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−β−ヒドロキシアルキル−N,N−ジポリオキシアルキレン−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジ(ポリオキシアルキレン)アミンとジカルボン酸のモノエステル、N−(ポリオキシエチレン)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)アミノアルキル−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N−(β−ヒドロキシアルキルアミノエチル)−N−(β−ヒドロキシアルキル)アミノエチルカルボン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシアルキル)−N,N′−ビス(カルボキシエチル)エチレンジアミン塩、N−(β−ヒドロキシアルキル)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)−N−カルボキシエチルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
イソシアネート反応性基を有する非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ塘脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンポリオキシアルキレンアルキルアミド等があげられる。
吸水性ポリオールには、氷点下環境での防曇性を鑑み、平均分子量400〜2000のオキシエチレン鎖からなるポリエチレングリコール、又は前記ポリエチレングリコールと平均分子量1500〜5000のオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオールとの混合物であることが特に好ましい。尚、本発明での平均分子量は数平均分量のことを指す。
ポリエチレングリコールは平均分子量が400未満の場合は、水を結合水として吸収する能力が低く氷点下での防曇性を発現することができなくなり、平均分子量が2000を超える場合は、塗布剤の硬化不良や膜強度の低下等の不具合が生じる。
オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオールは、前記ポリエチレングリコールよりも吸水性は劣るものの塗布剤から得られる膜の耐水性を向上させることができるので、防曇性膜の吸水性と耐水性とを向上させるために吸水性ポリオールとしてポリエチレングリコールと併用して用いることができる。該共重合体ポリオールは、吸水性と耐水性を鑑み、平均分子量を1500〜5000とすることが好ましい。
トリアルカノールアミンは、塗布剤から形成される膜の表面摩擦係数を下げる効果、すなわち、膜表面にスリップ性を付与する効果を有する。防曇性膜は、使用中に膜表面に多種多様の付着物が付着し、外観及び品質を阻害することは容易に想定され、それらの付着物を除去するために、通常では、布等での払拭が行なわれる。その際、表面のスリップ性が不足している場合は、払拭作業において、除去時間の増加、拭きムラによる外観不良等の不具合が発生する。払拭作業中は、付着物を膜表面に擦りつけるため、スリップ性が悪い場合は、付着物が膜表面に引っかかりやすく、擦り傷も多々発生することや、払拭作業に使用する布等が逆に膜表面に貼り付く等、悪影響を与える場合がある。膜表面のスリップ性が高いと、膜の耐磨耗性、防汚性が向上するので、スリップ性は実用的な観点から非常に重要な物性である。
該トリアルカノールアミンとしては、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン等を使用でき、得られる膜の緻密性を考慮し、トリエタノールアミンを使用することが好ましい。
通常、ポリエステルポリオール等の膜の耐久性を向上させる成分を導入すると、防曇性膜の防曇性が低下し、特には、氷点下環境での防曇性の発現は難しくなる。しかしながら、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤を適切量含有させ、好ましくは吸水性ポリオールを適切量含有させることにより、優れた防曇性、耐水性、膜表面のスリップ性、耐磨耗性等を有する防曇性膜を得ることができる。
塗布剤から形成される膜の耐磨耗性をさらに向上させるために塗布剤Bに金属酸化物の前駆体、及びイソシアネート反応性基を有するシランカップリング剤を加えることができる。金属酸化物の前駆体に関しては、エトキシド化合物、メトキシド化合物等のアルコキシド化合物、オキシハロゲン化合物、酢酸化合物等を使用することができる。又、金属酸化物は、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタルの中から1種類以上選択したものを使用でき、経済的な観点からシリカが特に好ましい。該金属酸化物の前駆体は、ウレタン成分総量に対して、重量比で1.25倍量迄加えることができる。1.25倍量超では、得られる膜の防曇性が低下する。耐磨耗性向上の観点から、金属酸化物の前駆体は、ウレタン成分総量に対し、重量比で0.1倍量加えることが好ましい。
シランカップリング剤はウレタン成分の総量に対して、重量比で0.25倍量迄加えることができる。0.25倍量超では、シランカップリング剤の未反応の官能基に起因して得られる膜の強度が低下するとともに膜表面にべたつき感が生じる等の不具合が起こる。又、金属酸化物とウレタン樹脂とを架橋させる観点から、シランカップリング剤は、ウレタン成分総量に対して、重量比で0.01倍量加えることが好ましい。該シランカップリング剤は3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであると均質な膜が得やすく特に好ましい。
ポリオール成分、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤を混合した後に、イソシアネート基を有するイソシアネート成分を添加混合し塗布剤を得る工程で、イソシアネート基と水酸基及びメルカプト基並びにアミノ基とが反応し、ウレタン結合が生じ、ウレタン樹脂が形成され始める。
防曇性膜形成用塗布剤の各形成原料、又は、調製された防曇性膜形成用塗布剤には希釈溶媒添加することができる。希釈溶媒としては、イソシアネート基に対して活性のない溶媒でなければならず、防曇性膜形成用塗布剤の各形成原料、又は、調製された防曇性膜形成用塗布剤の相溶性から、メチルプロピレングリコール、ジアセトンアルコールが好ましい。
次いで、防曇性膜形成用塗布剤を基材へ塗布する。塗布手段としてはディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段を採用できる。塗布後、約20℃の室温で放置又は170℃までの熱処理で、防曇性膜形成用塗布剤を硬化させ、基材に防曇性膜を形成する。熱処理の温度が170℃を超えると、ウレタン樹脂の炭化が起こり、膜強度が低下する等の不具合が生じる。塗布剤の硬化反応を促進させるためには、80℃〜170℃で熱処理を行うことがより好ましい。
防曇性膜の膜厚は、防曇性膜形成用塗布剤の硬化反応後において5μm〜40μm程度にするのが望ましい。5μm未満であると、耐久性が劣る傾向にあり、40μmを超えると外観品質において光学歪みが発生する等の不具合が生じやすくなる。
本発明の防曇性膜形成用塗布剤を塗布する基材としては、代表的なものとしてはガラスが用いられる。そのガラスは自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等、銀引き法、あるいは真空成膜法により作製された鏡、さらには平板、曲げ板等各種ガラス製品を使用できる。板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、車両用としては1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。基材への防曇性膜の形成は、基材の片面だけであってもよいし、両面に行ってもよい。又、防曇性膜の形成は基材面の全面でも一部分であってもよい。
加えて、本発明の防曇性膜形成用塗布剤を塗布する基材は、ガラスに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート等の樹脂、金属(特には金属鏡)、セラミックス等も使用することができる。
本発明の防曇性膜形成用塗布剤の使用用途としては、建築用には、屋内用鏡、浴室用、洗面所用等の鏡、窓ガラス等、車両、船舶、航空機等には、窓ガラスあるいは鏡、具体的にはルームミラー、ドアミラー等があげられ、その他に眼鏡やカメラ等のレンズ、ゴーグル、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、試験機、精密機器ケース等の開口部やのぞき窓、道路反射鏡、携帯電話等の移動通信体のディスプレー等があげられる。
本発明の塗布剤から形成された防曇性膜は、表面のスリップ性が優れるので、膜表面に汚染物質等が付着しにくく、又、汚染物質等が付着した場合であっても、払拭作業等で容易に除去できるので、耐摩耗性、耐防汚性が高く、上記であげた用途への適用に効果が高く、且つ氷点下環境での防曇性に優れるので、氷点下環境でも使用されうる車両、船舶、航空機等の窓ガラス、鏡、道路反射鏡等の外使いでの使用に特に奏効する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例および比較例で得られた防曇性膜は、以下に示す方法により品質評価を行った。
〔外観評価〕:防曇性膜の外観、透過性、クラックの有無を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。
〔繰返防曇性〕:“JIS S 4030眼鏡用くもり止め剤試験法”に準拠して43℃に設定した温水の水蒸気中に3分保持した時の曇り具合と、保持後に常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの呼気による曇り具合を観察する。この操作を1サイクルとして10サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生しないものを合格(○)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
〔氷点下防曇性〕:−20℃に設定した冷凍庫内に30分保持した後、常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの外観、曇り具合、呼気による曇りを観察する。この操作を1サイクルとして10サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生しないものを合格(○)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
〔耐テーバー摩耗性〕:Taber社の5130型テーバー試験機を用いた。膜に摩耗輪(CF−10F)を接触させ、2.45Nの荷重をかけながら500回転実施した時の曇化変化を測定し、△H≦5のものを合格とした。
〔耐トラバース磨耗性〕:膜表面に荷重4.9N/4cm2でネル(綿300番)を5000往復させた時の外観と呼気防曇性を測定し、異常なきものを合格(○)、異常があったものを不合格(×)とした。
〔鉛筆硬度〕:"JIS K 5400 塗料一般試験方法"に準拠して、荷重1kgが付加された鉛筆で膜表面を5回引っ掻き、膜の破れが2回未満であった鉛筆を鉛筆硬度とした。
〔スリップ性〕:“JIS K 7125 プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法”に準拠して、接触面積40cm(一辺の長さ63mm)の正方形の滑り片を200g荷重で防曇性膜上に乗せ、スリップ性を測定した。尚、滑り片の底面(供試体との接地面)には、実使用での布払拭を想定してネル(綿300番)で覆った。
ここで、測定値より導かれた静摩擦係数が0.8以下のものを合格(○)、0.8を超えるものを不合格(×)とした。スリップ性付与による膜の耐久性向上のために前記静摩擦係数は低いほど好ましいが、防曇性との両立の観点から前記静摩擦係数は1.0以下であれば十分であり、実際上は0.4以上0.8以下の範囲で使用することができる。
実施例1
(防曇性膜形成用塗布剤の調製)
ポリエステルポリオールとして平均分子量500のポリカプロラクトンジオール(商品名「プラクセルL205AL」ダイセル化学工業製)を10.5g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤としてリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート(商品名「LipoquatR」Lipo chemicals Inc製)を17.5g量、トリアルカノールアミンとしてトリエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールとして平均分子量1000のポリエチレングリコールを20g量とを混合し塗布剤Bを作製した。
これにイソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるように、イソシアネート成分であるヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「N3200」住友バイエルウレタン製)からなる塗布剤Aを47g量添加混合(本実施例では、イソシアネート成分、ポリオール成分、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤の総量(以下ウレタン成分総量とする)は100gとなる)した後、ウレタン成分総量の濃度が35重量%となるように希釈溶媒としてジアセトンアルコールを添加することにより防曇性膜形成用塗布剤を調製した。
(防曇性膜の形成)
この塗布剤をスピンコートにより1000mm×1000mm×3mm(厚)サイズのフロート法で製造されたガラス基材上に塗布し、該被塗布ガラス板を約150℃で約30分程度加熱乾燥することにより、膜厚32μmの防曇性膜を形成した。
上記方法で得られた防曇性膜を有するガラスは、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.72であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例2
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを8.6g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを15g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを25g量とを混合して塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにイソシアネート成分のヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを46.4g量添加混合した(本実施例ではウレタン成分総量は100gとなる)以外は実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が35μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.74であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例3
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを12.5g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを20g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを15g量とを混合して塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるように、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを47.5g量添加混合した(ウレタン成分総量は100gとなる)以外は実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が35μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.64であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例4
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを23.4g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを15g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを2.5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを15g量とを混合して塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを44.1g量添加混合した(本実施例ではウレタン成分総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が30μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.78であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例5
ポリエステルポリオールの平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール(商品名「プラクセルL212AL」ダイセル化学工業製)を4.7g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを7.5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを20g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるように、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを50.3g量添加混合した(本実施例ではウレタン成分総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が28μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.72であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例6
ポリエステルポリオールの平均分子量1400のポリカーボネートトリオール(商品名「PC−61」固形分濃度80重量%、日本ポリウレタン製)を4.3g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを7.5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを20g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるように、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを50.7g量添加混合した(本実施例ではウレタン成分総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が26μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.78であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
実施例7
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを7.8g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを15g量と平均分子量2800のオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオール(商品名「GEP2800」オキシエチレン含有率50%、三洋化成工業製)10g量とを混合し塗布剤Bを作製した。
これにイソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを44.7g量添加混合(本実施例では、ウレタン成分総量は100gとなる)した以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が30μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.78であり、表1に示すように、各種防曇性能、各種強度が優れていることが確認された。
比較例1
イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを42.5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを42.5g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるように、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを15g量添加混合した(本比較例ではウレタン成分総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が26μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が1.73で、硬化性が悪く、べとつき感があり、スリップ性が劣っているとともに、テーバー磨耗性及び耐トラバース摩耗性試験において、傷が発生した。
比較例2
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを19.7g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを25g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを7.5g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これにイソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを47.8g量添加混合(本実施例では、ウレタン成分総量は100gとなる)した以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が31μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.73で良好であったが、繰り返し防曇性及び氷点下防曇性において曇りが発生した。
比較例3
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオールを19.9g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを25g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これにイソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを50.1g量添加混合(本実施例では、ウレタン成分総量は100gとなる)した以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が24μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.70で良好であったが、繰り返し防曇性において曇りが発生した。
比較例4
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオール11.2g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、トリアルカノールアミンの代わりにジアルカノールアミンのジエタノールアミンを5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを20gとを混合し塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを46.3g量添加混合した(本比較例ではウレタン総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚34μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.94でスリップ性が劣っていた。
比較例5
イソシアネート反応性基を有する界面活性剤としてリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、トリアルカノールアミンのトリエタノールアミンを8.7g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを20g量とを混合し塗布剤Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを53.8g量添加混合した(本比較例ではウレタン総量は100gとなる)以外は、実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.73と良好であったが、氷点下防曇性において曇りが発生した。
比較例6
ポリエステルポリオールの平均分子量500のポリカプロラクトンジオール24.9g量、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤のリシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファートを17.5g量、吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコールを20g量とを混合して塗布剤の成分Bを作製した。これに、イソシアネート基/(水酸基+メルカプト基+アミノ基)比が1.2となるようにヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネートからなる塗布剤Aを37.6g量添加混合した後、ウレタン成分総量の濃度が35重量%となるように希釈溶媒としてジアセトンアルコールを添加した。その後、トリアルカノールアミンの代わりとしてポリエーテル変性シリコーン(商品名「L−7607N」日本ユニカー製)を前記混合された塗布剤に、0.05重量%添加した以外は実施例1と同様の操作で防曇性膜を得た。得られた防曇性膜は、膜厚が27μm、上記スリップ性の評価で得られた静摩擦係数が0.56であり、スリップ性は良好であったが、繰り返し防曇性、氷点下防曇性にて曇りが発生した。

Claims (5)

  1. 2液硬化型の防曇性膜形成用塗布剤であって、イソシアネート基を有するイソシアネート
    成分を有する塗布剤A、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性
    剤とを有する塗布剤Bとからなり、前記ポリオール成分が吸水性ポリオール、ポリエステ
    ルポリオール、及びアルカノールアミンを有し、当該アルカノールアミンがトリアルカノ
    ールアミンからなるものであり、前記イソシアネート成分、ポリオール成分、及びイソシ
    アネート反応性基を有する界面活性剤の総量に対して、イソシアネート反応性基を有する
    界面活性剤が10重量%〜25重量%、吸水性ポリオールが9重量%〜25重量%、ポリ
    エステルポリオールが2.5重量%〜40重量%、トリアルカノールアミンが2.5重量
    %〜10重量%であることを特徴とする防曇性膜形成用塗布剤。
  2. 吸水性ポリオールが平均分子量400〜5000のポリオキシエチレンを有するポリオキ
    シアルキレン系のポリオールであり、該ポリオキシエチレン鎖[−CHCHO−]単
    位が、イソシアネート成分、ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面
    活性剤の総量に対して10重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の防曇性膜形成用塗布剤。
  3. ポリエステルポリオールが平均分子量500〜2000であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防曇性膜形成用塗布剤。
  4. ポリエステルポリオールがポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の防曇性膜形成用塗布剤。
  5. ポリオール成分、及びイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を混合しポリオール成
    分とイソシアネート反応性基を有する界面活性剤を有する塗布剤Bを得、該塗布剤にイソ
    シアネート基を有するイソシアネート成分を有する塗布剤Aを添加混合し防曇性膜形成用
    塗布剤を得る工程、前記防曇成膜形成用塗布剤を基材表面上に塗布する工程、室温で放置
    又は170℃までの熱処理で塗布剤を硬化させる工程とによって基材に防曇性膜を形成す
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の防曇性膜形成用塗布剤を用
    いる防曇性膜の形成方法。
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