JP6578479B2 - 防曇性被膜形成用塗布剤、防曇性被膜形成物品及び防曇性被膜形成物品の製造方法 - Google Patents

防曇性被膜形成用塗布剤、防曇性被膜形成物品及び防曇性被膜形成物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防曇性被膜形成用塗布剤、防曇性被膜形成物品及び防曇性被膜形成物品の製造方法に関する。
浴室用・洗面化粧台用の鏡、自動車の窓ガラスやカメラのレンズ等の透明基材の視認性を確保するために、これらの基材の表面に曇り防止機能を付与することが強く求められている。
鏡やガラスなどの基材表面に生じる曇りは、無数の微小な水滴が基材表面上に生じる結露現象によって生じる。この曇りを防ぐために、基材表面上に生じた無数の微小な水滴を一様な水膜とする親水性被膜や、水滴を被膜中に取り込む吸水性被膜等が基材上に形成されてきた。
浴室用・洗面化粧台用の鏡や自動車の窓ガラス等においては、掃除のために頻繁に払拭されるため、良好な防曇性に加えて、耐傷付き性などの被膜の硬度においても優れていることが求められている。
特許文献1及び2には、防曇性、耐磨耗性に優れるウレタン樹脂系の防曇性被膜の形成方法として、イソシアネート成分を含む塗布剤Aと、吸水性ポリオール(ポリエチレングリコールや、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール)及び短鎖ポリオールを有するポリオール成分、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤を含む塗布剤Bとからなる2液硬化型の防曇性被膜形成用塗布剤を基材に塗布して防曇性被膜を形成する方法が開示されている。
特許文献1及び2の防曇性被膜は、吸水性ポリオールによる吸水性と、界面活性剤による親水性という2つの機能により防曇性を発現している。
特許文献3には、耐引っかき性を有する防曇性物品の作製方法として、イソシアネートプレポリマー、吸水性ポリオール(ポリエチレングリコール及びエチレングリコール/プロピレングリコールの共重合ポリオール)、イソシアネート反応性基を含む界面活性剤を含むコーティング組成物を物品の表面に塗布して防曇性物品を作製する方法が開示されている。特許文献3の防曇性物品も、吸水性ポリオールによる吸水性と、界面活性剤による親水性という2つの機能により防曇性を発現している。
特許文献4には、ウレタン樹脂の3次元架橋構造中にポリオキシエチレンラウリルエーテル系の界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム等を含有させた防曇性被膜が開示されている。
特開2005−029723号(特許4381742号)公報 特開2004−244612号(特許4535707号)公報 特許3852955号公報 特開昭60−85939号(特公平4−49858号)公報
しかし、特許文献1〜3に記載の防曇性被膜は、親水性を向上させるには、被膜に界面活性剤を大量に含む必要があり、その結果、耐傷付き性が低下してしまうという問題があり、親水性と耐傷付き性の両立は困難であった(後述の比較例11、12参照)。そのため、親水性と耐傷付き性を両立する防曇性被膜が強く求められていた。
そこで、本発明は、親水性と耐傷付き性の両立する防曇性被膜形成物品及びその製造方法並びに該防曇性被膜形成物品の製造に用いられる防曇性被膜形成用塗布剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、種々検討した結果、イソシアネート化合物との反応性を有しない特定の界面活性剤を、防曇性被膜の親水性を向上させるために防曇性被膜形成用塗布剤に含有させ、さらに、防曇性被膜形成用塗布剤に用いる原料を特定の混合比率とすることで、親水性と耐傷付き性を両立する防曇性被膜を形成出来ることを見出だし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、少なくとも、
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、
オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、
数平均分子量が5000〜25000のアクリルポリオール、及び、
下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、および下記一般式[2]で表される四級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
を含み、
前記イソシアネート化合物の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、53〜78質量%であり、
前記アクリルポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%であることを特徴とする防曇性被膜形成用塗布剤である。
Figure 0006578479
(式[1]中、Xは単結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基のいずれかを示し、Yは単結合、エステル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、エーテル結合のいずれかを示す。ただし、Xが単結合の場合は、YもXと一緒になって単結合となる。また、nは2〜22の自然数である。)
Figure 0006578479
(式[2]中、Rは炭素数10〜22のアルキル基である。)
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、さらに数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオールを含むことが好ましい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、前記短鎖ポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して6〜40質量%であることが好ましい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、前記界面活性剤が、前記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤であることが好ましい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、前記界面活性剤が、前記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤であって、式[1]中、X、Yは単結合、nは8〜16の自然数であることが好ましい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、前記界面活性剤の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤においては、前記オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオールの数平均分子量が、2800〜15000であることが好ましい。
また、本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、少なくとも、
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、
オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10、かつ、数平均分子量が2800〜15000であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、
数平均分子量が5000〜25000のアクリルポリオール、
数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオール、及び、
下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、
を含み、
前記イソシアネート化合物の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、53〜78質量%であり、
前記アクリルポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%であることを特徴とする防曇性被膜形成用塗布剤である。
Figure 0006578479
(式[1]中、X、Yは単結合、nは8〜16の自然数である。)
本発明の防曇性物品の製造方法は、少なくとも、基材と、該基材上に形成された防曇性被膜とを有する防曇性物品の製造方法であって、
上述の防曇性被膜形成用塗布剤を準備する、塗布剤準備工程、
該塗布剤を該基材に塗布する、塗布工程、及び、
該基材に塗布した該塗布剤を硬化させる、硬化工程
を有することを特徴とする、防曇性物品の製造方法である。
本発明の防曇性物品の製造方法においては、前記塗布工程の前に、基材表面にプライマー層を形成する工程を有しても良い。
本発明の防曇性物品の製造方法においては、前記基材がガラスまたは鏡であることが好ましい。
本発明の防曇性物品の製造方法においては、上述の防曇性物品の製造方法によって得られる防曇性物品の防曇性被膜の膜厚が、5〜40μmであることが好ましい。
被膜に親水性を付与して防曇性を発現させる成分として、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤を用いると、界面活性剤がウレタン膜内部にとらわれて被膜表面に出にくく、親水性に優れない。本発明は、イソシアネート反応性基を有しない界面活性剤を用いることにより、界面活性剤を膜表面に導き、親水性を向上させることができ、また、耐傷付き性にも優れる防曇性被膜を形成出来る。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
<防曇性被膜形成用塗布剤>
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、少なくとも、
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、
オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、
数平均分子量が5000〜25000のアクリルポリオール、及び、
下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、及び下記一般式[2]で表される四級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
を含み、
前記イソシアネート化合物の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、53〜78質量%であり、
前記アクリルポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%である防曇性被膜形成用塗布剤である。
Figure 0006578479
(式[1]中、Xは単結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基のいずれかを示し、Yは単結合、エステル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、エーテル結合のいずれかを示す。ただし、Xが単結合の場合は、YもXと一緒になって単結合となる。また、nは2〜22の自然数である。)
Figure 0006578479
(式[2]中、Rは炭素数10〜22のアルキル基である。)
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、基材に防曇性被膜を形成するための防曇性被膜形成用塗布剤であって、上記防曇性被膜形成用塗布剤は、ウレタン樹脂系の塗布剤である。
<イソシアネート化合物>
上記イソシアネート化合物は、ウレタン樹脂の原料として用いるものであり、ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアネート構造を有する3官能のポリイソシアネート、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット構造を有するイソシアネートが耐候性、耐薬品性の点から好ましい。
上記イソシアネート化合物は、ウレタン形成成分(本発明においては、イソシアネート化合物及びポリオール成分を指す)の固形分の総量100質量%に対して53〜78質量%含まれる。好ましくは55〜75質量%、より好ましくは55〜65質量%である。イソシアネート化合物が78質量%よりも多くなると、ポリオール成分が不足し、架橋構造が十分には形成されにくくなるため、被膜の硬度が不十分になることがある。また、イソシアネート化合物が53質量%よりも少なくなる場合も、被膜の硬度が不十分になることがある。
上記イソシアネート化合物に存在するイソシアネート基の総数は、上記共重合ポリオール中に存在する水酸基の総数に対して、1倍量以上、より好ましくは1.1倍量以上とするように調整することが好ましい。1倍量未満の場合は、塗布剤の硬化性が悪化するとともに、形成された被膜は軟らかく、特に耐傷付き性が低下する傾向がある。
<オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオール>
上記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールは、市中より入手可能であり、開始剤にフォスファゼン化合物、ルイス酸化合物またはアルカリ金属化合物触媒を用い、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを開環重合させて、ブロック付加またはランダム付加して得られる、ポリエーテルポリオールである。
上記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールは、主として被膜に吸水性の機能を発揮させるものである。このポリオールは、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等を有する。オキシエチレン鎖は、水を結合水として吸収する機能に優れるので、脱水時の脱水速度の速い可逆的な吸脱水を呈する防曇性被膜の形成に有利であり、雰囲気温度が5℃以下となるような冬季等の低温環境であっても、オキシエチレン鎖を有する共重合ポリオールを用いて形成した被膜は、防曇性を発現しやすい。
上記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールのオキシエチレン/オキシプロピレンのモル比は、45:55〜90:10である。この範囲を外れると、防曇性を得にくくなる。これは、オキシエチレンの割合が90%超になると、疎水的なオキシプロピレン鎖の作用が小さくなり、膜表面近傍へ親水的なオキシエチレン鎖や界面活性剤を誘導しにくくなるためであり、一方で、45%未満では、疎水的なオキシプロピレン鎖が多くなるため、親水化剤を添加しても十分な親水性が得られないためである。なお、吸水性を向上させるために、親水性を阻害しない程度のポリエチレングリコール(PEG)を加えても良い。
上記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールの数平均分子量は、通常500〜20000であり、数平均分子量が500未満の場合、水を結合水として吸収する能力が低く、数平均分子量が20000を超える場合は、塗布剤の硬化不良や膜強度の低下等の不具合が生じやすくなる。被膜の吸水性、親水性や膜強度等を考慮すると、2800〜15000であることが好ましく、3000〜12000であることがさらに好ましい。
上記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールの固形分は、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、通常25〜75質量%であり、好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。
<アクリルポリオール>
上記アクリルポリオールは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体であり、被膜の耐摩耗性等の耐久性を向上させるためや、表面摩擦係数を下げるため、すなわち、膜表面にスリップ性を発揮させるために用いる成分である。
アクリルポリオールは、市中より入手可能であり、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有モノマーを、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸第3ブチル、アクリロにトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸第3ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等と共重合することにより得られたものを使用できる。
また、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸第3ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸基含有モノマー、又は、フマル酸エステル、イタコン酸エステル等を上記水酸基含有モノマーと共重合させて得られるものでもよい。
上記アクリルポリオールの数平均分子量は5000〜25000であり、より好ましくは8000〜25000、さらに好ましくは12000〜20000である。アクリルポリオールの数平均分子量が5000よりも小さい場合、膜の緻密性が高くなり過ぎて、脆くなることがある。また25000よりも大きくなると、膜中に占めるアクリルポリオールの体積が大きくなり、親水性を低下させる傾向がある。
上記アクリルポリオールの固形分は、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%である。より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。アクリルポリオールの固形分が48質量%よりも大きくなると、防曇性や親水性が低下しやすくなり、2質量%よりも小さくなると被膜の十分な硬度を得にくくなる。
<短鎖ポリオール>
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤には、数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオールを含むことが好ましい。該短鎖ポリオールは、防曇性被膜の硬度を向上させるための成分である。該短鎖ポリオールの水酸基数は、2又は3であることが好ましい。水酸基が1の場合は、該短鎖ポリオールが架橋成分として働かず被膜の骨格成分とならないため、被膜の硬度が十分には得られない。4以上の場合は、反応性が高過ぎて、塗布剤が不安定になりうる。
短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2‘−チオジエタノール等のアルキルポリオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがあげられ、それらを単独、又は混合物、若しくはそれらの数平均分子量が60〜200の範囲の共重合体等を使用することができる。上記短鎖ポリオールの中では、エチレングリコール、トリエチレングリコールが得られる防曇性被膜の硬度の点から好ましく、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3−ブタンジオールのような1級水酸基よりも活性の低い2級や3級水酸基を有する短鎖ポリオールは、塗布液の安定性(ポットライフの長期化)の点から好ましい。
通常、短鎖ポリオール等の被膜の耐久性を向上させる成分を導入すると、防曇性被膜の防曇性が低下する。しかしながら、界面活性剤を適切量含有させ、共重合ポリオールを適切量含有させることにより、優れた防曇性、耐磨耗性等を有する防曇性被膜を得ることができる。具体的には、上記短鎖ポリオールの固形分は、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、6〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは6〜22質量%である。
<界面活性剤>
上記界面活性剤は、塗布剤から形成される膜に親水性を付与して防曇性を発現させる成分であり、下記一般式[1]や[3]で表される含フッ素界面活性剤、下記一般式[2]で表される四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの界面活性剤は、水酸基、メルカプト基、アミノ基等のイソシアネート反応性基を有しないことに特徴がある。被膜に親水性を付与して防曇性を発現させる成分として、従来、親水性と吸水性を利用したウレタン樹脂系の防曇性被膜においては、特許文献1〜3のように、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤が用いられていたが、本願発明の系では、イソシアネート反応性基を有する界面活性剤を用いると、界面活性剤がウレタン膜内部にとらわれて被膜表面に出にくく、親水性に優れない。また、界面活性剤がウレタン膜内部に存在して緻密な骨格形成を阻害し易くなる事により、優れた硬度が得られない(後述の比較例11〜12等参照)。そこで、イソシアネート反応性基を有しない特定の界面活性剤を用いることにより、界面活性剤を膜表面に導き、親水性を向上させることができる(後述の実施例参照)。一方、イソシアネート反応性基を有しない界面活性剤は、経時とともに樹脂から流出して親水性・防曇性が低下するというブリードアウトに関する問題が生じやすくなるが、被膜の構成成分としてオキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールを用いると、膜表面近傍に存在する親水性のオキシエチレン鎖と界面活性剤の親水成分同士の相互作用により、界面活性剤がブリードアウトしにくくなる。
上記界面活性剤の中では、下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、及び一般式[2]で表される四級アンモニウム塩が、親水性の高さや硬度を低下させない点から好ましい。式[2]で表される四級アンモニウム塩においては、式[2]中、Rは炭素数15〜22のアルキル基であることが好ましく、16〜20のアルキル基であることがより好ましい。また、常温で固体である界面活性剤(例えば下記一般式[2]で表される界面活性剤)は膜表面に存在するわずかな界面活性剤が結晶化して、膜が白濁してしまう場合がある。そのため、常温で液体である界面活性剤(例えば下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤)がより好ましい。また、下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤においては、式[1]中、X、Yは単結合であることが好ましく、nは8〜16の自然数であることが好ましく、9〜13の自然数であることがより好ましい。
Figure 0006578479
(式[1]中、Xは単結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基のいずれかを示し、Yは単結合、エステル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、エーテル結合のいずれかを示す。ただし、Xが単結合の場合は、YもXと一緒になって単結合となる。また、nは2〜22の自然数である。)
Figure 0006578479
(式[2]中、Rは炭素数10〜22のアルキル基である。)

Figure 0006578479
(式[3]中、Xは単結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基のいずれかを示し、Yは単結合、エステル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、エーテル結合のいずれかを示す。ただし、Xが単結合の場合は、YもXと一緒になって単結合となる。また、nは2〜22の自然数である。)
上記界面活性剤は、ウレタン形成成分の総量に対して、0.1〜5.0質量%とすることが好ましい。界面活性剤の含有量を多くすると、得られる被膜の品質が界面活性剤によって影響され、外観や膜強度にも支障をきたすことがある。他方、界面活性剤の含有量が少ない場合、防曇性被膜表面の親水性が十分には得られにくくなる。
<溶媒>
また、上記塗布剤は溶媒で希釈されていても良い。希釈溶媒としては、イソシアネート基に対して活性のない溶媒にする必要があり、これら塗布剤との相溶性から、酢酸エステル系溶媒、ケトン類を使用することが好ましい。具体的には、酢酸エステル系溶媒としては、酢酸アミル、酢酸アリル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸シクロへキシル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロへキシル等が挙げられ、ケトン類としては、アセチルアセトン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、メチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ヘプチルケトン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、特に、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、メチルエチルケトン等が好ましい。
上記塗布剤を希釈する場合、塗布剤中のウレタン形成成分総量の濃度は10〜50質量%程度であれば良い。
<触媒>
上記塗布剤には、被膜の硬化速度を速くするために、硬化触媒として有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機ビスマス化合物などの有機金属化合物や、アミン化合物を添加してもよい。
前記有機錫化合物には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マーカブチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカブチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等、有機チタン化合物には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートなど、有機ジルコニウム化合物には、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等、有機ビスマス化合物には、カルボキシレートを持つ化合物(例えば、King industry社製の商品名:K KAT 348)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アミン化合物としては、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5などやそれらアミン化合物の塩を挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいものの例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7のオクチル酸塩などが挙げられる。
前記硬化触媒の添加量は用いる化合物によるが、通常、前記ウレタン形成成分総量100質量%に対して0.001〜0.5質量%程度添加すればよい。
<防曇性被膜形成物品の製造方法>
本発明の防曇性被膜形成物品の製造方法は、少なくとも、基材と、該基材上に形成された防曇性被膜とを有する防曇性物品の製造方法であって、上記防曇性被膜形成用塗布剤を準備する、塗布剤準備工程、該塗布剤を該基材に塗布する、塗布工程、及び、該基材に塗布した該塗布剤を硬化させる、硬化工程を有することを特徴とする、防曇性物品の製造方法である。
塗布剤準備工程においては、上記防曇性被膜形成用塗布剤を準備する。ポリオール成分及びイソシアネート反応性基を有しない界面活性剤を含む薬液と、イソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む薬液とを混合して防曇性被膜形成用塗布剤を調製する。調製した塗布剤中では、イソシアネート基と水酸基とが反応し、ウレタン結合が生じ、ウレタン樹脂が形成され始める。
次いで、該防曇性被膜形成用塗布剤を基材へ塗布する、塗布工程を行う。塗布手段としてはディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段を採用できる。塗布後、通常は室温で放置又は170℃以下の熱処理で、防曇性被膜形成用塗布剤を硬化させる、硬化工程を行い、基材に防曇性被膜を形成する。熱処理の温度が170℃を超えると、ウレタン樹脂の炭化が起こり、膜強度が低下する等の不具合が生じやすくなる。塗布剤の硬化反応を促進させるためには、80℃〜170℃で熱処理を行うことが好ましい。
防曇性被膜の膜厚は、防曇性被膜形成用塗布剤の硬化反応後において5μm〜40μm程度にするのが望ましい。5μm未満であると、耐久性が劣る傾向にあり、40μmを超えると外観品質において光学歪みが発生する等の不具合が生じやすくなる。
<基材>
防曇性被膜を形成する基材としては、代表的なものとしてはガラスが用いられる。そのガラスは自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。
ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等、銀引き法あるいは真空成膜法により作製された鏡、さらには平板、曲げ板等各種ガラス製品を使用できる。
板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、特に1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。基材表面への防曇性被膜の形成は、基材の片面だけ、或いは用途によっては両面に行ってもよい。又、防曇性被膜の形成は基材表面の全面でも一部分であってもよい。
ガラス基材に塗布剤を塗布して被膜を形成する場合、基材と被膜との密着性を向上させるために、シランカップリング剤を有する液を、前記塗布剤の塗布前に、ガラス基材表面に塗布しておくことが好ましい。適切なシランカップリング剤としてはアミノシラン、メルカプトシラン及びエポキシシランが挙げられる。好ましいのはγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン等である。
透明基材は、上記ガラス以外に、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート等の樹脂等も使用することができる。これら樹脂透明基材表面に前記防曇性被膜を形成して防曇性物品とし、該物品をガラス基材に貼付してもよい。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤の使用用途としては、建築用には、浴室用、洗面化粧台用等の鏡、窓ガラス等、車両、船舶、航空機等には、窓ガラスあるいは鏡、具体的にはルームミラー、ドアミラー等があげられ、その他に眼鏡やカメラ等のレンズ、ゴーグル、ヘルメットシールド、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、試験機、精密機器ケース等の開口部やのぞき窓、道路反射鏡、携帯電話等の移動通信体のディスプレー等があげられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものでない。
本実施例及び比較例では、防曇性物品を形成するための防曇性被膜形成用塗布剤を調製し、基材上に塗布し乾燥させて、防曇性被膜形成物品を作製した。上記塗布剤の調製方法及び防曇性被膜形成物品の作製方法(製造方法)は後述の通りである。また、得られた防曇性被膜形成物品について、以下に示す方法により品質評価を行った。
〔外観評価〕:防曇性被膜の外観、透過性、クラックの有無を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。
〔防曇性評価〕:常温(温度24℃、湿度45%)の室内において、防曇性物品の該被膜面に対し、被膜と試験者の口との間隔を20mmにして息を吐く。蛍光灯に反射像を照らしながら曇りを観察して、写像が認識できるものを○、曇りで写像を認識できないものを×とした。
[親水性評価]:防曇性物品の被膜面にイオン交換水2μLを滴下し、着滴10秒後の液滴と被膜面とのなす角を、接触角計(CA−X200、協和界面科学社製)を用いて室温(約25℃)で測定した。該接触角が小さいほど、より親水性に優れているといえ、30°以下のものを合格とした。該接触角が30°以下になると、物品の表面に付着した水滴がぬれ広がりやすくなり、水滴による光の乱反射が抑制され、曇りにくくなる。
〔鉛筆硬度〕:”JIS K 5600 塗料一般試験方法”に準拠して、荷重750gが負荷された鉛筆で膜表面を2回引っ掻き、2回とも膜の破れが無かった鉛筆の硬度を膜の鉛筆硬度とした。
〔耐傷付き性〕:耐傷付き性の評価として、白ネル(番手:#100)で基材表面を約300g/cm2の強さで摺動しながら、キズが発生するまでの回数を測定した。200往復未満でキズが発生したものを×、200往復から1000往復までにキズが発生したものを○、1000往復後もキズが発生しなかったものを◎とした。
[耐スチールウール性(耐SW性)]:耐SW性の評価として、SW(番手:#0000)で、基材表面を約325g/cm2の強さで10往復摺動した後のキズの本数を測定した。試験後、キズが10本未満のものを◎(微キズ)、キズが10本から30本未満のものを○(軽キズ) キズ30本以上のものを×(重キズ)とした。
[実施例1]
(1)防曇性被膜形成用塗布剤の調製
イソシアネートプレポリマーとしてヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットタイプのポリイソシアネート(商品名「N3200」住友バイエルウレタン製)18.11gを準備した。これを薬剤Aとする。
希釈溶媒である酢酸イソブチルとジアセトンアルコールの混合溶媒65.53gに、数平均分子量4000のオキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオール(商品名「トーホーポリオールPB−4000」;東邦化学工業製)を5.92g、及び数平均分子量62の短鎖ポリオール(エチレングリコール;キシダ化学製)2.37gを混合し、これに数平均分子量18000のアクリルポリオールを45.0質量%有する混合溶液(商品名「アクリディック 47−538−BA」;DIC株式会社製)7.89gを添加し、さらに親水化剤としてフッ素系界面活性剤(フタージェント212M;ネオス社製)を0.15g添加し、攪拌することで、81・86gのポリオール混合薬液を得た。これを薬剤Bとする。なお、上記薬剤B中のオキシエチレン/オキシプロピレン共重合体とエチレングリコールとアクリルポリオールの固形分比(以降、「EOPO:EG:AP比」と記載する場合がある)は「EOPO:EG:AP=50:20:30」となるように調製されている。また、フタージェント212Mは、前記一般式[1]のX、Yは単結合、n=12で表される含フッ素界面活性剤である。
上記の薬剤Aと薬剤Bを混合し、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDL)0.03gを添加することで、防曇製被膜形成用塗布剤100gを調整した。
ここで調整した防曇性被膜形成用塗布剤100質量%中の前記ウレタン形成成分総量は、30%である。また、含フッ素界面活性剤の添加量はウレタン形成成分の固形分に対し0.5質量%であり、薬剤Aのイソシアネートプレポリマー成分に対するイソシアネート基の数は、薬剤B中のオキシエチレン/オキシプロピレン共重合体とエチレングリコールとアクリルポリオール成分に存在する水酸基の数に対して1.2倍量である(表1では「NCO/OH比」として記載)。薬剤A(イソシアネート化合物)の固形分は、ウレタン形成成分(実施例1においては、イソシアネート化合物、共重合ポリオール、アクリルポリオール、及び短鎖ポリオール)の固形分の総量100質量%に対して60.5質量%含まれている。
(2)防曇性被膜形成物品の製造
希釈溶媒である88gのイオン交換水と10gのエタノールの混合溶液に3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成製)2gを添加し、2質量%の溶液を調整した。次に、該溶液を吸収したセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)で、透明ガラス基板の裏面に鏡面加工を施したガラス(厚さ5mm)のガラス面側の表面を払拭することで該溶液を塗布し、室温状態にて乾燥後、水道水を用いてワイパーで塗布後の鏡表面を水洗することで、プライマー層が形成された基材を準備した。
該基材に上記で得られた防曇性被膜を形成するための塗布剤をスピンコートにより塗布し、塗布剤のガラス板を約150℃で約10分間熱処理することにより、膜厚10μmの防曇性被膜形成物品を得た。
[実施例2〜16]
表1に示すとおり、オキシエチレン/オキシプロピレン共重合体、短鎖ポリオール、アクリルポリオール、ポリイソシアネートおよび界面活性剤の種類、比および添加量を変え、それ以外は実施例1と同様に実施した。なお、実施例9において界面活性剤として用いたカチオンS(三洋化成工業製)は、前記一般式[2]においてRが炭素数18のアルキル基で表される界面活性剤(塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム)であり、実施例10において界面活性剤として用いたカチオンG−50(三洋化成工業製)は、前記一般式[2]においてRが炭素数12のアルキル基で表される界面活性剤(塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム)である。
[比較例1〜14]
表1に示すとおり、オキシエチレン/オキシプロピレン共重合体、短鎖ポリオール、アクリルポリオール、ポリイソシアネートおよび界面活性剤の種類、比および添加量を変え、それ以外は実施例1と同様に実施した。なお、比較例11及び12において界面活性剤として用いたLipoquat R(Lipochemicals社製)は、リシノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェートである。また、比較例13において界面活性剤として用いたペグノールTH−8(東邦化学工業社製)は、アルコールのモル当り約8モルのエチレンオキシドでエトキシ化したポリオキシエチレンラウリルエーテルであり、比較例14に用いた界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(東京化成工業製)である。
各実施例及び各比較例について、防曇性被膜形成用塗布剤の各成分とその割合を表1に示す。また、各実施例及び各比較例で得られた防曇性被膜形成物品に関し、外観の観察結果、防曇性、初期水接触角、鉛筆硬度、耐傷付き性、耐SW性の測定結果を下記の表2に示す。
Figure 0006578479
Figure 0006578479
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜16では、防曇性被膜形成用塗布剤は、イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、数平均分子量が5000〜250000のアクリルポリオール、及び、前記一般式[1]又は[2]で表される界面活性剤を特定の混合比率で含む防曇性被膜形成用塗布剤であり、上記防曇性被膜形成用塗布剤を用いて製造した防曇性被膜形成物品は、外観に問題はなく、防曇性及び親水性に優れ、耐傷付き性等の被膜の硬度も充分であった。
また、短鎖ポリオールとして2,3−ブタンジオールを用いた実施例13の方が、エチレングリコールを用いた実施例12よりも、塗布液のポットライフが3倍程度長いことが分かった。
一方、比較例1では、表1に示すように、アクリルポリオール、界面活性剤を用いておらず、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品は防曇性、親水性、耐傷付き性に問題があった。
比較例2では、表1に示すように、アクリルポリオールを用いておらず、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品の被膜は白濁し、防曇性にも問題があった。
比較例3、4では、表1に示すように、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオールのオキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10の範囲から外れており、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品は親水性や防曇性に問題があった。
比較例5では、表1に示すように、アクリルポリオールの数平均分子量が3300と小さく、表2に示すように、耐傷付き性や外観に問題があった。比較例6では、表1に示すように、アクリルポリオールの数平均分子量が30000と大きく、表2に示すように、耐傷付き性は十分であったが、防曇性、親水性に問題があった。
比較例7では、表1に示すように、アクリルポリオールの含有量が50質量%と多く、共重合ポリオールの含有量も少なかったため、表2に示すように、防曇性、親水性および耐傷付き性に問題があった。
比較例8では、表1に示すように、イソシアネート化合物の含有量が51.6質量%と少なく、表2に示すように、耐傷付き性に問題があった。
比較例9では、表1に示すように、イソシアネート化合物の含有量が81.1質量%と多く、表2に示すように、耐傷付き性に問題があった。
比較例10では、表1に示すように、アクリルポリオールの含有量が50質量%と多く、表2に示すように、耐傷付き性は十分であったが、防曇性、親水性に問題があった。
比較例11、12では、表1に示すように、特許文献1及び2に記載のイソシアネート反応性基である水酸基を有する界面活性剤を用いたため、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品は親水性に問題があった。比較例12では、該界面活性剤を20質量%と多量に用いることで、防曇性や親水性はやや向上したが、不十分であり、耐傷付き性も低下している。
比較例13では、表1に示すように、特許文献4に記載のイソシアネート反応性基である水酸基を有する界面活性剤を用いたため、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品は防曇性、親水性、および耐傷付き性に問題があった。
比較例14では、表1に示すように、特許文献4に記載のイソシアネート反応性基を有さない界面活性剤を用いたが、表2に示すように、製造した防曇性被膜形成物品は防曇性、親水性、および耐傷付き性に問題があった。
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤を用いることにより形成された防曇性被膜を有する防曇性被膜形成物品は、耐傷付き性や鉛筆硬度等の被膜の硬度に優れ、親水性も良好なので、長期間使用することができ、払拭が頻繁になされる環境でも使用できる。例えば、浴室や洗面化粧台用の鏡、車両用の窓ガラス、カメラのレンズなどで使用できる。

Claims (12)

  1. 少なくとも、
    イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、
    オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、
    数平均分子量が5000〜25000のアクリルポリオール、及び、
    下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、および下記一般式[2]で表される四級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
    を含み、
    前記イソシアネート化合物の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、53〜78質量%であり、
    前記アクリルポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%であることを特徴とする防曇性被膜形成用塗布剤。
    Figure 0006578479
    (式[1]中、Xは単結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基のいずれかを示し、Yは単結合、エステル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、エーテル結合のいずれかを示す。ただし、Xが単結合の場合は、YもXと一緒になって単結合となる。また、nは2〜22の自然数である。)
    Figure 0006578479
    (式[2]中、Rは炭素数10〜22のアルキル基である。)
  2. さらに数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
  3. 前記短鎖ポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して6〜40質量%であることを特徴とする、請求項2に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
  4. 前記界面活性剤が、前記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤である、請求項1に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
  5. 前記界面活性剤が、前記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤であって、
    式[1]中、X、Yは単結合、nは8〜16の自然数である、請求項4に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
  6. 前記界面活性剤の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、0.1〜5.0質量%であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の防曇成被膜形成用塗布剤。
  7. 前記オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオールの数平均分子量が、2800〜15000であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
  8. 少なくとも、
    イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、
    オキシエチレン/オキシプロピレンのモル比が45:55〜90:10、かつ、数平均分子量が2800〜15000であるオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合ポリオール、
    数平均分子量が5000〜25000のアクリルポリオール、
    数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオール、及び、
    下記一般式[1]で表される含フッ素界面活性剤、
    を含み、
    前記イソシアネート化合物の固形分が、ウレタン形成成分の固形分の総量100質量%に対して、53〜78質量%であり、
    前記アクリルポリオールの固形分が、ポリオール成分の固形分の総量100質量%に対して、2〜48質量%であることを特徴とする防曇性被膜形成用塗布剤。
    Figure 0006578479
    (式[1]中、X、Yは単結合、nは8〜16の自然数である。)
  9. 少なくとも、基材と、該基材上に形成された防曇性被膜とを有する防曇性物品の製造方法であって、請求項1乃至8のいずれかに記載の防曇性被膜形成用塗布剤を準備する、塗布剤準備工程、
    該塗布剤を該基材に塗布する、塗布工程、及び、
    該基材に塗布した該塗布剤を硬化させる、硬化工程
    を有することを特徴とする、防曇性物品の製造方法。
  10. 前記塗布工程の前に、基材表面にプライマー層を形成する工程を有することを特徴とする、請求項9に記載の防曇性物品の製造方法。
  11. 前記基材がガラスまたは鏡であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の防曇性物品の製造方法。
  12. 防曇性物品の防曇性被膜の膜厚が、5〜40μmであることを特徴とする、請求項9乃至11に記載の防曇性物品の製造方法。
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