JP4534431B2 - 粘着剤およびそれを用いた光学部材 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の液晶セル等の光学部品に、偏光板や位相差板等の光学部材を貼付するために用いられる粘着剤、およびそれを用いた光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の液晶セル等の光学部品には、偏光板や偏光板と位相差板の積層体が貼付される。偏光板は、一般的にはポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ多層構造を有し、この偏光板の片面または両面のトリアセチルセルロース系保護フィルム上に、粘着剤層が形成されている。偏光板は、この粘着剤層を介して液晶セル等の光学部品に貼付され液晶表示装置として使用される。近年、液晶表示装置は、パーソナルコンピューターのディスプレイ、液晶テレビをはじめとする屋内用途から、カーナビゲーション用ディスプレイ等の車両搭載用途等にも広く使用され、その使用環境が非常に苛酷になりつつある。
【0003】
液晶表示装置に使用されている偏光板は、その材料特性から寸法安定性が乏しく、熱あるいは湿熱条件下で伸縮して寸法が大きく変化するため、このような条件下では粘着剤層の発泡や偏光板の液晶セルからの浮きハガレなどの問題が生じやすくなる。
これらの問題を解消する粘着剤として、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを主成分とするアクリル系ポリマーからなる感圧性接着剤であって、該感圧性接着剤が重量平均分子量10万以下のポリマー成分を15重量%以下含有し、かつ重量平均分子量100万以上のポリマー成分を10重量%以上含有するアクリル系ポリマーからなる感圧性接着剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
前記感圧性接着剤を用いることにより、粘着剤層の発泡や偏光板の液晶セルからの浮きハガレは抑制できるが、偏光板の寸法変化による応力を吸収・緩和することができず、偏光板の周縁部に応力が集中するため、液晶表示装置の周縁部と中央部の明るさが異なり、液晶表示装置表面に色むら・白ぬけが発生する問題があった。
この液晶表示装置表面の色むら・白ぬけを解消する粘着剤として、重量平均分子量が100万以上である高分子量(メタ)アクリル系共重合体100重量部と、重量平均分子量が3万以下の低分子量(メタ)アクリル系共重合体20〜200重量部と、多官能性化合物0.005〜5重量部からなる偏光板用粘着剤が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、反応性官能基を含有する重量平均分子量100万〜250万の高分子量アクリル系ポリマーとガラス転移点が0℃〜−80℃の重量平均分子量3万〜10万の低分子量アクリル系ポリマーと架橋構造が形成可能な官能基を有する多官能性化合物からなる偏光フィルム用粘着組成物が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】
特開平1−66283号公報
【特許文献2】
特開平10−279907号公報
【特許文献3】
特開2002−121521号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2には、該文献に開示されている偏光板粘着剤は、偏光板の寸法変化に追随できるため、液晶素子に色むら・白ぬけが発生しにくいと記載されている。しかし、特許文献2に開示されている偏光板粘着剤は、多官能性化合物と三次元架橋した高分子量(メタ)アクリル系共重合体中に、架橋しにくいか若しくは架橋しない低分子量(メタ)アクリル系(共)重合体を存在させることで応力緩和性を発現させており、色むら・白ヌケの改良は可能であるが、低分子量(メタ)アクリル系重合体がブリードしやすく、被着体が汚染される課題が残されている。
【0007】
また、特許文献3には、該文献に開示されている偏光フィルム用粘着組成物は、色むら・白ぬけが発生しにくい性能と低分子量アクリル系ポリマーがブリードし難い性能を併せ持つと記載されているが、より過酷な環境下での液晶表示装置の使用において、性能バランスを発揮させることが難しい。
そこで、本発明の目的は、熱あるいは湿熱条件下でも粘着剤層の発泡や偏光板のハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶表示装置に色むら・白ぬけ現象を発生させず、更には偏光板の張りなおし時に問題となる被着体汚染やヘイズを低減できる粘着剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明における粘着剤は、高分子量の共重合体(A)と、該共重合体(A)の存在下でカルボキシル基を有する単量体とその他の単量体をラジカル共重合して得られる低分子量の共重合体(B)と、多官能性化合物(C)とを特定の比率で含むことにより、偏光板の寸法変化によって生ずる色むら・白ヌケ現象を緩和する性質と、熱あるいは湿熱条件下でも発泡やハガレ等が抑制できる性質を併せ持つものである。
【0009】
すなわち、本発明における光学部材用粘着剤は、下記単量体(a)および(b)をラジカル共重合してなる重量平均分子量100万以上200万以下の共重合体(A)と、該共重合体(A)100重量部に対して、上記共重合体(A)の存在下で下記単量体(c)および(d)をラジカル共重合してなる重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体(B)20〜100重量部、および上記共重合体(A)および/または上記共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有するイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物およびアジリジン系化合物からなる群より選択される1種以上の多官能性化合物(C)0.003〜3重量部からなる光学部材用粘着剤である。
(a)水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基およびエポキシ基からなる群より選択される反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(b)(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(c)カルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(d)(c)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
上記粘着剤において、共重合体(A)を構成する単量体(a)の共重合比率は0.1〜15重量%であることが好ましく、単量体(b)の共重合比率は85〜99.9重量%であることが好ましい。
【0010】
また、本発明における光学部材用粘着剤の製造方法は、下記の工程(1)〜(3)を有する粘着剤の製造方法である。
(1)水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基およびエポキシ基からなる群より選択される反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(a)および(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(b)を転化率50〜90%でラジカル共重合して重量平均分子量100万以上200万以下の共重合体(A)を重合する工程。
(2)共重合体(A)の重合時に残留する単量体とカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)を共重合体(A)の存在下でラジカル共重合して重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体(B)を重合する工程。
(3)共重合体(A)および/または共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有するイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物およびアジリジン系化合物からなる群より選択される1種以上の多官能性化合物(C)を添加する工程。
【0011】
上記の工程(2)において、共重合体(A)の重合時に残留する単量体とカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体 (c)を転化率70%〜100%でラジカル共重合して共重合体(B)を重合することが好ましい。
また、本発明における光学部材用粘着剤は、上記の方法で製造される粘着剤である。
また、本発明における光学部材は、上記のいずれかの光学部材用粘着剤からなる粘着剤層が、光学部材の少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする光学部材である。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、光学部材用本発明の粘着剤について説明する。
粘着剤に含まれる重合体(A)は、反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(a)と、(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(b)をラジカル共重合して得られる共重合体である。反応性官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基、エポキシ基等があげられる。また、単量体(a)および単量体(b)しては、(メタ)アクリル系単量体、ビニル系単量体が好適に用いられる。
【0013】
カルボキシル基を有する単量体(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ブチル等があげられる。
水酸基を有する単量体(a)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルヘキシル)−メチルアクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0014】
アミノ基を有する単量体(a)の具体例としては、アミノメチル(メタ)、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基を有する単量体(a)の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
マレイミド基を有する単量体(a)の具体例としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
イタコンイミド基を有する単量体(a)の具体例としては、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等が挙げられる。
【0015】
スクシンイミド基を有する単量体(a)の具体例としては、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体(a)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの単量体は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。
共重合体(A)を構成する単量体(a)の共重合比率は、単量体の全量を基準として0.1〜15重量%であることが好ましい。その共重合比率が0.1重量%より少ない場合には、粘着剤の凝集力が低下し、加熱環境下で粘着剤の発泡や浮きハガレが起こることがある。また、15重量%より多い場合には、粘着剤の粘着力が低下したり、偏光板の伸縮に起因する応力集中を十分に吸収・緩和する性質が発現しにくい。
【0016】
また、単量体(b)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等も挙げられる。
【0017】
共重合体(A)を構成する単量体(b)の共重合比率は、単量体の全量を基準として85〜99.9重量%であることが好ましい。その共重合比率が85重量%より少ない場合には、偏光板や光学部品への密着性が低下する。また、99.9重量%より多い場合には、反応性官能基有する単量体(a)の含有量が少なくなり、粘着剤の凝集力が低下し、加熱環境下で粘着剤の発泡や浮きハガレが起こることがある。
【0018】
共重合体(A)は、公知の任意の方法で製造することができる。
例えば、共重合体(A)は、単量体の合計100重量部に対して、0.001〜1重量部の重合開始剤を用いて、塊状重合、溶液重合などの方法、好ましくは溶液重合法により合成される。重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物が用いられ、重合開始剤は2種類以上を併用しても良い。また、溶液重合の場合、重合溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が用いられる。重合溶媒は2種類以上混合して用いても良い。
【0019】
重合開始剤のうちアゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0020】
また、有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。
【0021】
共重合体(A)の重量平均分子量は、100万以上200万以下であることが必要であり、更に120万以上180万以下であることが好ましい。重量平均分子量が100万よりも小さい共重合体(A)は、架橋して使用しても粘着剤の凝集力が不足して、発泡や浮きハガレが生じる。また、重量平均分子量が200万より大きいと、粘着剤の粘度が高くなり塗工等の作業性が劣る。なお、共重合体(A)の重量平均分子量は、共重合体(B)の重合を開始する前に反応溶液の一部をサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を実施して算出する。
【0022】
粘着剤に含まれる共重合体(B)は、上記共重合体(A)の存在下でカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)および(c)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(d)をラジカル共重合してなる重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体である。共重合体(A)の存在下で単量体(c)および単量体(d)をラジカル共重合してなる共重合体(A)よりも低分子量の共重合体(B)が粘着剤中に含まれると、熱あるいは湿熱条件下でも粘着剤の発泡やハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶素子に色むら・白ぬけ現象を発生させない。
【0023】
単量体(c)および単量体(d)としては、(メタ)アクリル系単量体、ビニル系単量体が好適に用いられる。単量体(c)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ブチル等が挙げられる。これらの単量体は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。
共重合体(B)を構成する単量体(c)の共重合比率は、単量体(c)と単量体(d)との合計量を基準として0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%であることがより好ましい。
【0024】
単量体(d)としては、共重合体(A)を構成する単量体(a)のうち、カルボキシル基以外の反応性官能基を有する単量体(a)、および単量体(b)を使用することができる。
共重合体(B)は、共重合体(A)の存在下で、カルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)および(c)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(d)とを、共重合体(A)と同様な方法でラジカル共重合することにより製造することができる。共重合体(B)は、単量体(a)と単量体(b)を転化率50〜90%でラジカル共重合して共重合体(A)を重合した後に、残留する単量体と単量体(c)を共重合体(A)の存在下でラジカル共重合して製造することが好ましい。
【0025】
また、共重合体(A)の重合時に残留する単量体と単量体(c)とは、転化率70〜100%でラジカル共重合することが好ましい。ここで転化率とは、単量体を重合して得られる共重合体の重量を、原料として用いた単量体の総重量で除した値である。
上記の転化率で共重合体(A)および共重合体(B)を重合することにより、共重合体(A)100重量部に対して共重合体(B)を20〜100重量部の範囲に収めることが容易となる。
【0026】
共重合体(B)は、溶液重合法で合成することが好ましく、重合体(A)合成時の5〜50重量倍程度の重合開始剤、すなわち単量体の合計100重量部に対して、0.005〜50重量部の重合開始剤を使用することが好ましい。また、共重合体(B)の合成時には、ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用しても良い。
【0027】
共重合体(B)の重量平均分子量は、1万以上10万以下であることが必要であり、更に2万以上5万以下であることが好ましい。重量平均分子量が1万より小さい共重合体(B)を用いる場合には、凝集力が不足して発泡や浮きハガレが生じやすい。また、重量平均分子量が10万を超える共重合体(B)を用いる場合には、偏光板の伸縮に起因する応力集中を十分に吸収・緩和する性質が発現しにくい。ここで共重合体(B)の重量平均分子量は、共重合体(A)と共重合体(B)の混合物をGPC測定し、得られたGPCスペクトルと前述の方法で測定した共重合体(A)のGPCスペクトルとの差スペクトルから算出する。
【0028】
粘着剤に含まれる共重合体(B)の含有量は、共重合体(A)100重量部に対して20〜100重量部であり、好ましくは20〜50重量部である。共重合体(B)の含有量が20重量部より少ない場合には、偏光板の伸縮に起因する応力集中を十分に吸収・緩和する性質が発現しにくい。また、共重合体(B)の含有量が100重量部を超える場合には、粘着剤の凝集力が不足して発泡や浮きハガレが生じやすい。
【0029】
共重合体(A)と共重合体(B)の重量比は、以下の方法で求められる。すなわち、まず、重合体(B)の重合を開始する前にサンプリングした溶液の一定量を重量既知の容器に入れて精秤し、この精秤した溶液を加熱乾燥して、共重合体以外の成分を揮散させ、共重合体(A)のみが残った容器を精秤し、一定量の溶液に含まれる共重合体(A)の重量を算出する。次に共重合体(B)の重合完了後に、共重合体(A)と共重合体(B)が含まれる溶液をサンプリングし、共重合体(A)の重量を算出したときと同様の方法で、一定量の溶液に含まれる共重合体(A)と共重合体(B)の重量を算出する。そして一定量の溶液に含まれる共重合体(A)および共重合体(A)と共重合体(B)の混合物の重量を、同量の溶液に含まれる共重合体(A)および共重合体(A)と共重合体(B)の混合物の重量に換算し、共重合体(A)と共重合体(B)の混合物の重量から共重合体(A)を差し引くことにより、共重合体(B)の重量を算出する。
【0030】
粘着剤に含まれる共重合体(A)および/または共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有する多官能性化合物(C)は、共重合体(A)が有する反応性官能基および/または共重合体(B)が有するカルボキシル基やカルボキシル基以外の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個、好ましくは2〜4個有する化合物である。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などが挙げられる。特に、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物が好ましい。多官能性化合物は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。
【0031】
イソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、およびこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体、更にはこれらポリイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
【0032】
また、エポキシ系化合物の例としては、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N‘−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグルシジル等が挙げられる。
【0033】
また、アジリジン化合物の例としては、N,N‘−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N‘−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N‘−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン等が挙げられる。
【0034】
多官能性化合物(C)の含有量は、上記共重合体(A)100重量部に対して、0.003〜3重量部である。多官能化合物(C)の含有量が0.003重量部未満では、着色剤の凝集力が不足して、発泡や浮きハガレが生じやすい。また、3重量部より多い場合には、偏光板の伸縮に起因する応力集中を十分に吸収・緩和する性質が発現しにくい。
【0035】
粘着剤には、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルメトキシシランN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシランγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
粘着剤中のシランカップリング剤の含有量は共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜2重量部が好ましい。0.01重量部より少ないと、その物性の改善効果が乏しく、2重量部を越えると、粘着剤が高価になるのみならず、浮きハガレの原因となる。
また、粘着剤には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤、レベリング調整剤を配合しても良い。
【0037】
粘着剤は、下記の工程(1)〜(3)を経ることにより製造することができる。
(1)反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(a)および(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(b)を転化率50〜90%でラジカル共重合して共重合体(A)を重合する工程。
(2)共重合体(A)の重合時に残留する単量体とカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)を共重合体(A)の存在下、転化率70%〜100%でラジカル共重合して共重合体(B)を重合する工程。
(3)共重合体(A)および/または共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有する多官能性化合物(C)を添加する工程。
【0038】
次に、本発明の光学部材について説明する。
本発明の光学部材は、本発明の粘着剤からなる粘着剤層が、光学部材の少なくとも一方の面に形成されている光学部材である。
粘着剤層を形成する光学部材としては、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルムが挙げられる。
【0039】
粘着剤層の形成は、通常使用されている塗布装置を用いて行うことができる。塗布装置としては、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどがあげられる。
また、粘着剤層の乾燥膜厚は、偏光板の伸縮に起因する応力集中を吸収、緩和するのに適切な膜厚と経済性を考慮して、5〜100μmであることが好ましい。
【0040】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、以下の説明において、部および%とあるのは、重量部および重量%をそれぞれ意味するものとする。
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、5時間反応させた。反応終了後、トルエンを190部とアクリル酸0.25部および2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50部を添加して、70℃に昇温し、6時間反応させた。反応後、トルエン55部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Aを得た。
【0041】
(合成例2〜9)
表1に示すように、反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(a)、(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(b)、カルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)の種類および量を変える以外は、合成例1と同様にして、重合体溶液B〜Iを得た。
【0042】
(合成例10)
合成例1と同様な反応装置に、ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、酢酸エチル163.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を80℃に昇温させ、4時間反応させた。反応終了後、トルエンを176部とアクリル酸0.25部および2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50部を添加して、75℃に昇温し、6時間反応させた。反応後、トルエン57部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Jを得た。
【0043】
(合成例11)
合成例1と同様な反応装置に、ブチルアクリレート60.0部、2−エチルヘキシルアクリレート37.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート3.0部、アセトン150.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを65.0部とアクリル酸0.28部および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を添加して、60℃に昇温し、8時間反応させた。反応後、トルエン183部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Kを得た。
【0044】
(合成例12)
合成例1と同様な反応装置に、ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、3時間反応させた。反応終了後、トルエンを1.1部とアクリル酸0.55部および2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.1部を添加して、70℃に昇温し、7時間反応させた。反応後、トルエン236部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Lを得た。
【0045】
(合成例13)
合成例1と同様な反応装置に、ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、10時間反応させた。反応終了後、トルエンを198部とアクリル酸0.08部および2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.16部を添加して、70℃に昇温し、6時間反応させた。反応後、トルエン51部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Mを得た。
【0046】
(合成例14)
合成例1と同様な反応容器に、n−ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、5時間反応させた。反応後、トルエン150部を添加して室温まで冷却し、固形分20.0%の重合体溶液Nを得た。重合体の重量平均分子量は161万、Mw/Mnは4.8であった。
【0047】
(合成例15)
合成例1と同様な反応容器に、n−ブチルアクリレート99.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、トルエン150.0部、α−メチルスチレンダイマー1部および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら窒素雰囲気下で、この反応溶液を70℃に昇温させ、6時間反応させた。反応後、トルエン150部を添加して室温まで冷却し、固形分40.0%の重合体溶液Oを得た。重合体の重量平均分子量は2.4万、Mw/Mnは2.8であった。
【0048】
合成例1〜13で得られた重合体溶液について、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、共重合体(A)合成時の転化率、共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)、共重合体(B)合成時の転化率、および共重合体(A)100部に対する共重合体(B)の比率を先に説明した方法で算出した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1中の単量体の略号を以下に示す。
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
AA:アクリル酸
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
EA:エチルアクリレート
VAc:酢酸ビニル
【0051】
なお、共重合体の重量平均分子量は、GPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、GPC測定条件は以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21(昭和電工(株)製)
カラム:Shodex KF−602.5を1本、Shodex KF−606Mを2本(昭和電工(株)製)の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:50μl
【0052】
(実施例1)
合成例1で得られた重合体溶液A 100重量部に対して、XDI/TMP(キシリレンジイソシネートのトリメチローププロパンアダクト体)0.05部およびシランカップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM403」)0.1部を添加してよく撹拌して粘着剤を得た。この粘着剤を剥離処理されたポリエステルフィルムに塗工して乾燥させ、25μmの粘着剤層を設けた後に、それを偏光フィルムの片面に転写して偏光フィルムを粘着加工した。この粘着加工された偏光フィルムを温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させて偏光板を得た。
【0053】
(実施例2〜7および比較例1〜7)
表2に示す種類および量の重合体溶液、多官能性化合物(C)、およびシランカップリング 剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして粘着剤を製造し、得られた粘着剤を用いて粘着加工した偏光板を作成した。
なお、本願発明において、実施例3および実施例5は参考例である。
【0054】
【表2】
【0055】
表2中の多官能性化合物およびシランカップリング剤の略号を以下に示す。
TAT:トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジンTGMXDA:N,N,N',N'-テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン
KBM903:信越化学工業(株)製シランカップリング剤「KBM903」
KBM803:信越化学工業(株)製シランカップリング剤「KBM803」
KBM9007:信越化学工業(株)製シランカップリング剤「KBM9007」
【0056】
実施例および比較例で得られた粘着剤、および粘着加工した偏光板について、耐熱性能、耐湿熱性能、光学特性およびリワーク性を以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
(1)耐熱性能、耐湿熱性能、光学特性(白ぬけ)の評価方法
粘着加工した偏光板を150mm×80mmの大きさにカットし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼り付けた。続いて、この偏光板を貼り付けたガラス板を50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させてガラス板に密着させた。更に、この偏光板とガラス板の構成物を80℃で500時間放置した後の浮きハガレ(耐熱性能)、60℃、相対湿度90%で500時間放置した後の浮きハガレ(耐湿熱性)、およびこの60℃相対湿度90%で500時間放置した後の偏光板とガラス板の構成物に光を透過させたときの光漏れ(白ぬけ)を目視で観察し、三段階で評価した。
◎は「浮きハガレ・白ぬけが全く認められない」、○は「若干浮きハガレ・白ぬけが認められるが、実用上問題がない」、△は「明らかに浮きハガレ・白ぬけが認められ、実用上問題がある」をそれぞれ意味する。
【0057】
(2)リワーク性の評価方法
粘着加工した偏光板を25mm×150mmの大きさにカットし、厚さ1.1mmのフロートガラスにラミネータを用いて貼り付け、50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させてガラス板に密着させた。この試験片を23℃、相対湿度50%で1週間放置した後に、180°ピール試験(剥離速度300mm/min)を実施し、ピール後のガラスの曇りを目視で観察し、二段階で評価した。
◎は「実用上全く問題がない」、△は「実用上問題がある」をそれぞれ意味する。
【0058】
(3)光学特性(ヘイズ)の評価方法
粘着剤を剥離処理されたポリエステルフィルムに塗工して乾燥させ、25μmの粘着剤層を設けた後に、更に剥離処理されたポリエステルフィルムを被せた。この剥離処理ポリエステルフィルムに挟まれた粘着剤層を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させた後、剥離処理ポリエステルフィルムを取り除き、粘着剤層単体のヘイズをNDH−300A(日本電色工業(株)社製)で測定した。
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】
本発明の粘着剤を用いることにより、熱あるいは湿熱条件下でも発泡やハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶素子に色むら・白ぬけを発生させない光学部材を提供できるようになった。
Claims (6)
- 下記単量体(a)および(b)をラジカル共重合してなる重量平均分子量100万以上200万以下の共重合体(A)と、該共重合体(A)100重量部に対して、上記共重合体(A)の存在下で下記単量体(c)および(d)をラジカル共重合してなる重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体(B)20〜100重量部、および上記共重合体(A)および/または上記共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有するイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物およびアジリジン系化合物からなる群より選択される1種以上の多官能性化合物(C)0.003〜3重量部からなる光学部材用粘着剤。
(a)水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基およびエポキシ基からなる群より選択される反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(b)(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(c)カルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
(d)(c)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体 - 共重合体(A)を構成する単量体(a)の共重合比率が0.1〜15重量%、単量体(b)の共重合比率が85〜99.9重量%である請求項1記載の光学部材用粘着剤。
- 下記の工程(1)〜(3)を有する光学部材用粘着剤の製造方法。
(1)水酸基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基およびエポキシ基からなる群より選択される反応性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(a)および(a)と共重合可能な他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(b)を転化率50〜90%でラジカル共重合して重量平均分子量100万以上200万以下の共重合体(A)を重合する工程。
(2)共重合体(A)の重合時に残留する単量体とカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)を共重合体(A)の存在下でラジカル共重合して重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体(B)を重合する工程。
(3)共重合体(A)および/または共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有するイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物およびアジリジン系化合物からなる群より選択される1種以上の多官能性化合物(C)を添加する工程。 - 工程(2)において、共重合体(A)の重合時に残留する単量体とカルボキシル基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(c)を転化率70〜100%でラジカル共重合して共重合体(B)を重合する請求項3記載の光学部材用粘着剤の製造方法。
- 請求項3または4記載の方法で製造される光学部材用粘着剤。
- 請求項1、2または5記載の光学部材用粘着剤からなる粘着剤層が、光学部材の少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする光学部材。
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